JPH1137178A - 変速機の制御装置 - Google Patents

変速機の制御装置

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JPH1137178A
JPH1137178A JP9195565A JP19556597A JPH1137178A JP H1137178 A JPH1137178 A JP H1137178A JP 9195565 A JP9195565 A JP 9195565A JP 19556597 A JP19556597 A JP 19556597A JP H1137178 A JPH1137178 A JP H1137178A
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明人 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】作動流体の極低温時にあって、エンジンの出力
を駆動系に伝達すべきでない状態で、エンジンと変速機
構との間に介装された発進用クラッチが高速回転される
ことによって生じる作動流体の遠心圧で当該発進用クラ
ッチが締結しないようにする。 【解決手段】作動流体の温度TMPを検出すると共に、
エンジン出力を伝達すべきでないNレンジを検出し、作
動流体温度TMPが低温所定値TMP0 以下であると
き、読込まれた入力回転数NPri からクラッチ機構が遠
心圧で伝達する伝達トルクTTRを算出し、その伝達トル
クTTRが、車両に所定の加速度GX0を発生させる所定値
TR0 以上であるときに、エンジンコントロールユニッ
トにフューエルカット要求信号を出力し、伝達されるエ
ンジン出力そのものを低減すると共に入力回転数NPri
を下げて遠心圧を小さくし、クラッチ機構の締結を解除
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両に搭載される
変速機の制御装置に関するものであり、例えば溝幅が可
変の一対のプーリで巻回されるベルトを狭持し、当該プ
ーリの溝幅を調整することで変速比を可変制御する無段
変速機構を始め、トロイダル型無段変速機構や一般的な
遊星歯車式有段変速機構とエンジンとの間に同軸の発進
用クラッチを備えたものに好適なものである。
【0002】
【従来の技術】例えばベルト式無段変速機の制御装置と
しては例えば本出願人が先に提案した特開平8−200
461号公報に記載されるものがある。この従来技術に
見られるように、プーリの溝幅を調整して変速比を可変
制御するものでは、ベルトの滑りを抑制防止するために
プーリを構成する二つの円錐体に作動流体圧を供給し、
その推力,つまり押圧力により二つの円錐体でベルトを
挟持する。また、この従来技術では、エンジンと無段変
速機構との間にトルクコンバータや前後進切換機構等を
備えている。このうち、トルクコンバータは従来既存の
ものであるが、前後進切換機構は、前進用クラッチや後
進用ブレーキ等の発進用クラッチを備えており、それら
は供給される作動流体圧で締結や開放作動する。ちなみ
に、これらの発進用クラッチに供給される作動流体圧は
クラッチ圧と称せられ、ポンプで昇圧された作動流体
を、例えばデューティ弁等を含んで構成されるクラッチ
締結制御用調圧弁で調圧するようにしており、その場合
には、前記デューティ弁へのデューティ比制御信号によ
ってクラッチ圧を制御できるようにしている。また、こ
の従来技術は、例えばプーリのシリンダ室に供給される
作動流体が、当該プーリの回転によって発生する遠心力
で当該シリンダ室の外側に押付けられ、もってシリンダ
室内の作動流体圧が高くなってしまうという、遠心圧に
関する発明であり、より具体的には前記ベルトの供給さ
れる作動流体圧から当該遠心圧を減じた流体圧を制御す
べき流体圧として扱うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した遠
心圧は、実は前記前進用クラッチのような発進用クラッ
チにも発生する。具体的には、このような遠心圧は発進
用クラッチの回転速度の2乗に比例するが、通常の発進
用クラッチの場合、作動流体の粘度が設定された範囲内
である,つまり作動流体の温度が通常の使用環境である
ときには、例えば前進用クラッチのピストン流体室内に
発生する程度の遠心圧は問題ない。しかしながら作動流
体の粘度が極めて大きいとき,つまり作動流体の温度が
極めて低い場合には、遠心圧が大きくなり、実際に供給
される作動流体圧が低くても、発進用クラッチが締結さ
れたのと同様の状態になる。即ち、エンジンと共に回転
する軸上に発進用クラッチのピストン流体室が配置され
る変速機にあっては、作動流体の温度が低く且つ発進用
クラッチへの入力回転数が大きいときには、伝達すべき
でないとき,つまり非走行レンジが選択されているとき
でも、エンジンの出力が伝達されるようになってしまう
のである。
【0004】本発明はこれらの諸問題に鑑みて開発され
たものであり、伝達すべきでないときにはエンジンの出
力が伝達されないようにすることができる変速機の制御
装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のうち請求項1に係る変速機の制御装置は、
非走行レンジが選択されていても、内燃機関と共に回転
する軸上に変速機内の発進用クラッチのピストン流体室
を備え、その発進用クラッチへの作動流体圧をクラッチ
締結制御用調圧弁で調圧するようにした変速機の制御装
置にあって、前記作動流体の温度を検出する作動流体温
度検出手段と、前記発進用クラッチへの入力回転数を検
出する入力回転数検出手段と、この入力回転数検出手段
で検出された入力回転数に基づいて、少なくとも前記作
動流体温度検出手段で検出された作動流体の温度が予め
設定された低温所定値以下であるときに発生する前記発
進用クラッチの伝達トルクを検出する伝達トルク検出手
段と、選択されたシフトレンジが非走行レンジであるこ
とを検出する非走行レンジ検出手段と、この非走行レン
ジ検出手段で非走行レンジであることが検出され且つ前
記作動流体温度検出手段で検出された作動流体の温度が
予め設定された低温所定値以下であるときの前記伝達ト
ルク検出手段で検出された発進用クラッチの伝達トルク
が予め設定された所定値以上であるときに、少なくとも
発進用クラッチへの入力回転数を低減する入力回転数低
減手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0006】ここで用いられる発進用クラッチとは例え
ば前進用クラッチ機構であり、内燃機関は一般にエンジ
ンと言い表れる。また、一般的に設定される自動変速の
シフトレンジが、従来のP,R,N,D,2,L(1)
のようであるとき、一般にR,Dレンジのような走行レ
ンジではクラッチ機構のような発進用クラッチは元々締
結されていて、エンジン出力を伝達すべき状態である。
また、非走行レンジのうちのPレンジでは個別のパーキ
ングブレーキが作用していてエンジン出力は機械的に伝
達できない。従ってNレンジこそ、エンジン出力を伝達
すべきでない非走行レンジ状態である。
【0007】また、本発明のうち請求項2に係る変速機
の制御装置は、前記発進用クラッチの伝達トルクの所定
値は、予め設定された前後加速度を車両に発生させる値
に設定されたことを特徴とするものである。
【0008】また、本発明のうち請求項3に係る変速機
の制御装置は、前記入力回転数低減手段は、前記内燃機
関の出力を低減する出力低減手段を備えて構成されるこ
とを特徴とするものである。
【0009】また、本発明のうち請求項4に係る変速機
の制御装置は、非走行レンジが選択されていても、内燃
機関と共に回転する軸上に変速機内の発進用クラッチの
ピストン流体室を備え、その発進用クラッチへの作動流
体圧をクラッチ締結制御用調圧弁で調圧するようにした
変速機の制御装置にあって、前記作動流体の温度を検出
する作動流体温度検出手段と、前記発進用クラッチへの
入力回転数を検出する入力回転数検出手段と、選択され
たシフトレンジが非走行レンジであることを検出する非
走行レンジ検出手段と、この非走行レンジ検出手段で非
走行レンジであることが検出され且つ前記作動流体温度
検出手段で検出された作動流体の温度が予め設定された
低温所定値以下であるときに、前記入力回転数検出手段
で検出された入力回転数が、前記発進用クラッチに予め
設定された所定値以上の伝達トルクを発生せしめる所定
値以上であるときに、少なくとも発進用クラッチへの入
力回転数を低減する入力回転数低減手段とを備えたこと
を特徴とするものである。
【0010】また、本発明のうち請求項5に係る変速機
の制御装置は、前記発進用クラッチの伝達トルクの所定
値は、予め設定された前後加速度を車両に発生させる値
に設定されたことを特徴とするものである。
【0011】また、本発明のうち請求項6に係る変速機
の制御装置は、前記入力回転数低減手段は、前記内燃機
関の出力を低減する出力低減手段を備えて構成されるこ
とを特徴とするものである。
【0012】
【発明の効果】而して、本発明のうち請求項1に係る変
速機の制御装置によれば、エンジン(内燃機関)の出力
を伝達すべきでない非走行レンジが検出され、そのとき
の作動流体の温度が予め設定された低温所定値以下であ
って、しかも発進用クラッチへの入力回転数から検出し
た発進用クラッチの伝達トルクが予め設定された所定値
以上であるときに、少なくともこの発進用クラッチへの
入力回転数を低減することによって、そのピストン流体
室に発生する作動流体の遠心圧を小さくして当該発進用
クラッチによるエンジン出力の伝達を抑制防止すること
ができる。
【0013】また、本発明のうち請求項2に係る変速機
の制御装置によれば、前記発進用クラッチの伝達トルク
の所定値を、予め設定された前後加速度を車両に発生さ
せる値に設定することによって、前記発進用クラッチに
よるエンジン出力の伝達で車両が発進したりするのを回
避することができる。
【0014】また、本発明のうち請求項3に係る変速機
の制御装置によれば、前記発進用クラッチへの入力回転
数を低減するにあたり、内燃機関の出力を低減すること
で、発進用クラッチに発生する作動流体の遠心圧を小さ
くすると共に伝達されるエンジン出力そのものを効果的
に小さくすることができる。
【0015】また、本発明のうち請求項4に係る変速機
の制御装置によれば、エンジン(内燃機関)の出力を伝
達すべきでない非走行レンジが検出され、そのときの作
動流体の温度が予め設定された低温所定値以下であっ
て、しかも発進用クラッチへの入力回転数が、予め設定
された発進用クラッチの伝達トルクを発生する所定値以
上であるときに、少なくともこの発進用クラッチへの入
力回転数を低減することによって、そのピストン流体室
に発生する作動流体の遠心圧を小さくして当該発進用ク
ラッチによるエンジン出力の伝達トルクを抑制防止する
ことができる。
【0016】また、本発明のうち請求項5に係る変速機
の制御装置によれば、前記発進用クラッチの伝達トルク
の所定値を、予め設定された前後加速度を車両に発生さ
せる値に設定することによって、前記発進用クラッチに
よるエンジン出力の伝達で車両が発進したりするのを回
避することができる。
【0017】また、本発明のうち請求項6に係る変速機
の制御装置によれば、前記発進用クラッチへの入力回転
数を低減するにあたり、内燃機関の出力を低減すること
で、発進用クラッチに発生する作動流体の遠心圧を小さ
くすると共に伝達されるエンジン出力そのものを効果的
に小さくすることができる。
【0018】
【発明の実施形態】以下、本発明の変速機の制御装置の
一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】図1は本発明の一実施形態を示す無段変速
機及びその制御装置の概略構成図である。まず、この無
段変速機の動力伝達機構は、フルードカップリングがト
ルクコンバータに変更されている点を除いて、本出願人
が先に提案した特開平7−317895号公報に記載さ
れるものと同等であるために、同等の構成部材には同等
の符号を附して簡潔に説明する。なお、図中の符号10
はエンジン、12はトルクコンバータ、15は前後進切
換機構、29はVベルト式無段変速機構、56は差動装
置、66,68は前輪用の左右ドライブシャフトであ
る。
【0020】前記エンジン10の吸気管路11には、運
転者によるアクセルペダルの踏込み量に応じて開閉する
スロットルバルブ19が配設されている。また、このス
ロットルバルブ19には、その開度(以下、スロットル
開度とも記す)TVOを検出するスロットル開度センサ
303が取付けられている。また、エンジン10の出力
軸10aには、その回転速度(以下、エンジン回転数と
も記す)NE を検出するエンジン回転数センサ301が
取付けられている。なお、エンジン負荷や車速等に応じ
て例えば燃料噴射量やその時期、点火時期等をエンジン
コントロールユニット200が制御することで、エンジ
ン10の回転状態は車両の走行状態に応じて最適状態に
制御される。また、このエンジンコントロールユニット
200は、後述する変速機コントロールユニット300
からフューエルカット要求信号が送出されると、予め設
定された気筒への燃料の供給を遮断して、エンジン出力
そのものを低減し、同時にその回転速度を低減するよう
に構成されている。また、スロットル開度センサ303
で検出されるスロットル開度TVOの検出信号は、当該
スロットル開度TVOが大でアクセルペダルの踏込み量
が大であることを示す。また、前記エンジン回転数セン
サ301はエンジンのイグニッション点火パルスからエ
ンジン回転速度を検出するように構成してもよい。
【0021】前記エンジン10の出力軸10aに連結さ
れたトルクコンバータ12は、ロックアップ機構付きの
既存のものであり、図示されるロックアップフェーシン
グの図示左方がアプライ側流体室12a、その反対側,
即ちロックアップフェーシングとトルコンカバーとの間
がリリース側流体室12bになり、アプライ側流体室1
2aへの作動流体圧が高まるとロックアップ、リリース
側流体室12bへのそれが高まるとアンロックアップ状
態となる。なお、このトルクコンバータ12の出力軸,
即ちタービン出力軸13には、前後進切換機構15から
無段変速機構29への入力回転速度(以下、単に入力回
転数とも記す)NPri を検出する入力回転数センサ30
5が取付けられている。なお、後述する前後進切換機構
15では、例えば前進用クラッチ40の締結力を可変調
整することにより、アクセルペダルを踏込んでいないと
きの,所謂クリープ走行力等を制御することもあるが、
通常の走行時には当該前進用クラッチ40は完全に締結
しているので、前記タービン出力軸13の回転数を、当
該前進用クラッチ40への入力回転数及び無段変速機構
への入力回転数NPri として用いる。また、前記リリー
ス側流体室12bに供給される作動流体はアプライ側流
体室12aを通ってドレンされるし、アプライ側流体室
12aに供給された作動流体のドレン分はリリース側流
体室12bから、その他の冷却・潤滑系に転用されてゆ
く。従って、このロックアップ機構への作動流体は流体
路そのものを切換えるのではなく、供給の向きを切換え
ることでロックアップ/アンロックアップの切換制御を
行っている。
【0022】また、前記前後進切換機構15は、遊星歯
車機構17、前進用クラッチ40、及び後進用ブレーキ
50を有して構成される。このうち、遊星歯車機構17
は、複段のピニオン列を有して構成されており、これら
のピニオン列を支持するピニオンキャリアが駆動軸14
を介して前記無段変速機構29の駆動プーリ16に接続
され、サンギヤが前記タービン回転軸13に接続されて
いる。また、前記ピニオンキャリアは前進用クラッチ4
0によって前記タービン回転軸13と締結可能とされ、
遊星歯車機構17のリングギヤが後進用ブレーキ50に
よって静止部と締結可能とされている。従って、前進用
クラッチ40が流体室40aへの作動流体圧によって締
結されると、ピニオンキャリアを介して前記駆動軸14
とタービン出力軸13とが同方向に等速回転する。ま
た、後進用ブレーキ50が流体室50aへの作動流体圧
によって締結されると、複段のピニオン列を介して前記
駆動軸14がタービン出力軸13と逆方向に等速回転す
る。ここで、前進用クラッチ40のピストン流体室40
aは、前記トルクコンバータ12を介して、エンジン1
0と共に回転する軸上にあることになる。
【0023】前記無段変速機構29を構成する駆動プー
リ16は、前記駆動軸14と一体に回転する固定円錐体
18と、これに対向配置されてV字状プーリ溝を形成す
ると共に軸方向に移動可能な可動円錐体22とから構成
される。また、この駆動プーリ16の可動円錐体22に
は、固定円錐体18との間でベルト24を挟持するため
に、作動流体圧が供給されるシリンダ室20が形成され
ている。また、前記駆動プーリ16と対をなして、ベル
ト24が巻回される従動プーリ26は、従動軸28と一
体に回転する固定円錐体30と、これに対向配置されて
V字状プーリ溝を形成すると共に軸方向に移動可能な可
動円錐体34とから構成され、当該可動円錐体34に
も、固定円錐体30との間でベルト24を挟持するため
に、作動流体圧が供給されるシリンダ室32が形成され
ている。
【0024】このベルト式無段変速機構29は、ラック
182に噛合するピニオン108aをステップモータ1
08の回転軸に取付け、更にラック182と前記可動プ
ーリ16の可動円錐体22とをレバー178で連結し、
このステップモータ108を後述する変速機コントロー
ルユニット300からの駆動信号DS/M により回転制御
することで駆動プーリ16の可動円錐体22及び従動プ
ーリ26の可動円錐体34を軸方向に移動させてベルト
24との接触位置半径を変えることにより、駆動プーリ
16と従動プーリ26との回転比,つまり変速比(プー
リ比)を変えることができる。なお、このプーリ比接触
位置半径変更制御は、例えば前述のように本実施形態で
は駆動プーリ16の可動円錐体22を移動させてその溝
幅を変更することで、従動プーリ26の可動円錐体34
が自動的に移動されて溝幅が変更されるようになってい
る。これは、前述のようにベルト24が、主として押圧
方向に駆動力を伝達する,プッシュ式ベルトであるため
である。なお、このプッシュ式ベルトは、周知のエレメ
ント(薄板片)をベルトの長手方向又は巻回方向に並べ
て構成される。
【0025】そして、前記従動軸28に固定された駆動
ギヤ46と、アイドラ軸52上のアイドラギヤ48とが
噛合し、このアイドラ軸52に設けられたピニオンギヤ
54がファイナルギヤ44に噛合し、このファイナルギ
ヤ44に差動装置56を介して前左右のドライブシャフ
ト66及び68が連結されている。なお、この最終出力
軸には車速VSPを検出する車速センサ302が取付けら
れている。
【0026】次に、この無段変速機の流体圧制御装置に
ついて説明する。この流体圧制御装置は、前記エンジン
10の回転駆動力で回転されるポンプ101により、リ
ザーバ130内の作動流体を十分に昇圧してアクチュエ
ータユニット100に供給する。このアクチュエータユ
ニット100内の構成は、本出願人が先に提案した前記
特開平7−317895号公報に記載されるものと同様
であるため、同等の構成要素には同等の符号を附して、
その詳細な図示並びに説明を省略し、本実施形態で必要
な弁構成の説明に止める。なお、この流体圧制御装置に
は、前記リザーバ130内の作動流体の温度TMPを検
出する作動流体温度センサ306が設けられている。
【0027】図1中の符号104は、セレクトレバー1
03によって直接操作され、主として前記前進用クラッ
チ40のシリンダ室40aへのクラッチ圧PCLと後進用
ブレーキ50のシリンダ室50aへのブレーキ圧PBRK
とを切換制御するためのマニュアル弁である。なお、こ
のセレクトレバー103には、選択されたシフトポジシ
ョンを検出し、それに応じたシフトレンジ信号SRANGE
を出力するインヒビタスイッチ304が取付けられてい
る。ちなみに、このシフトレンジ信号SRANGEは、実車
のシフトポジションに合わせて、P,R,N,D,2,
Lに相当する信号になっている。
【0028】また、符号106は、前記ステップモータ
108と駆動プーリ16の可動円錐体22との相対変
位,即ち前記レバー178の挙動に応じて操作され、主
として変速の様子,つまり要求する変速比と当該駆動プ
ーリ16の溝幅との相対関係に応じて駆動プーリ106
側への作動流体圧(ライン圧)PL(Pri)を制御する変速
制御弁である。
【0029】また、符号128は後述する変速機コント
ロールユニット300からの駆動信号DL/U によって駆
動され、主として前記トルクコンバータ12のロックア
ップ機構によるロックアップ/アンロックアップを制御
するためのロックアップ制御用デューティ弁である。ち
なみに、このロックアップ制御用デューティ弁128
は、デューティ比の大きい制御信号でトルクコンバータ
12をロックアップし、デューティ比の小さい制御信号
でアンロックアップするように作用する。また、符号1
29は、後述する変速機コントロールユニット300か
らの駆動信号DCLによって駆動され、主として前記前進
用クラッチ40又は後進用ブレーキ50の締結力を制御
するためのクラッチ締結制御用デューティ弁である。こ
のクラッチ締結制御用デューティ弁129は、デューテ
ィ比の大きい制御信号で前進用クラッチ40又は後進用
ブレーキ50を締結し、デューティ比の小さい制御信号
で締結解除するように作用する。なお、このクラッチ締
結制御用デューティ弁129は、通常の走行レンジで
は、後述する図3の演算処理に従って適切な作動流体圧
をクラッチ圧として前進用クラッチ40に供給するが、
Nレンジでは、エンジンの出力が無段変速機構29に伝
達されてはならないから、作動流体圧を供給しない,つ
まりクラッチ圧は0(MPa)とする。
【0030】また、符号120は、後述する変速機コン
トロールユニット30からの駆動信号DPLによって駆動
され、前述のようにベルト24を挟持するために、前記
従動プーリ26及び駆動プーリ16への作動流体圧(以
下、この流体圧をライン圧とも記す)PL を制御するた
めのライン圧制御用デューティ弁120である。なお、
引用する公報では、このデューティ弁120をモディフ
ァイヤ用デューティ弁としている。これは、このデュー
ティ弁120からの出力圧が、一旦、プレッシャモディ
ファイヤ弁というパイロット圧調圧弁のパイロット圧と
して作用し、その結果、プレッシャモディファイヤ弁か
らの出力圧がライン圧調圧弁のパイロット圧として作用
して、当該ライン圧調圧弁の上流側に形成されるライン
圧PL を調圧するためである。しかしながら、この説明
からも明らかなように、このデューティ弁120のデュ
ーティ比を制御すれば、間接的にではあるが、ライン圧
L を制御することができるのである。また、これによ
り、本実施形態では、図2に示すように、所定の不感帯
領域を除き、このライン圧制御用デューティ弁120へ
の制御信号又は駆動信号のデューティ比D/TPLの増加
に伴って(目標)ライン圧PL(OR) はリニアに増圧する
ものとする。ちなみに、前記プレッシャモディファイヤ
弁からの出力圧が増圧されると、クラッチ圧の元圧やト
ルクコンバータのロックアップ圧の元圧も同時に増圧す
る(傾きや切片は異なる)ことができるようになってい
る。
【0031】前記変速機コントロールユニット300
は、例えば後述する図3の演算処理等を実行すること
で、前記無段変速機構29並びに前記アクチュエータユ
ニット100を制御するための制御信号を出力する制御
手段としてのマイクロコンピュータ310と、当該マイ
クロコンピュータ310から出力される制御信号を、実
際のアクチュエータ,即ち前記ステップモータ108や
各デューティ弁120,128,129に適合する駆動
信号に変換する駆動回路311〜314とを備えて構成
される。
【0032】このうち、前記マイクロコンピュータ31
0は、例えばA/D変換機能等を有する入力インタフェ
ース回路310aと、マイクロプロセサ等の演算処理装
置310bと、ROM,RAM等の記憶装置310c
と、例えばD/A変換機能を有する出力インタフェース
回路310dとを備えている。このマイクロコンピュー
タ310では、例えば前記特開平7−317895号公
報に記載される演算処理を行うことで、実際の変速比を
司るステップモータ108の回転角,つまりポジション
を求め、そのポジションが達成されるパルス制御信号S
S/M を出力したり、ベルト24を挟持するのに最適なラ
イン圧PL を求め、それを達成するために必要なライン
圧制御用デューティ弁120のデューティ比D/TPL
算出し、そのライン圧制御デューティ比D/TPLに応じ
たライン圧制御信号SPLを出力したり、或いはトルクコ
ンバータ12のロックアップ機構をロックアップ/アン
ロックアップ制御するのに最適な作動流体圧(以下、こ
れを単にトルコン圧とも記す)PT/C を求め、それを達
成するために必要なロックアップ制御用デューティ弁1
28のデューティ比D/TL/U を算出し、そのロックア
ップ制御デューティ比D/TL/U に応じたロックアップ
制御信号SL/U を出力したり、例えばアクセルペダルが
踏込まれていない状態での車両のクリープ走行に最適な
作動流体圧(以下、これを単にクラッチ圧とも記す)P
CLを求め、それを達成するために必要なクラッチ締結制
御用デューティ弁129のデューティ比D/TCLを算出
し、そのクラッチ圧制御デューティ比D/TCLに応じた
クラッチ締結制御信号SCLを出力したりする。
【0033】また、前記駆動回路311は前記パルス制
御信号SS/M をステップモータ108に適した駆動信号
S/M に、駆動回路312は前記ライン圧制御信号SPL
をライン圧制御用デューティ弁120に適した駆動信号
PLに、駆動回路313は前記ロックアップ制御信号S
L/U をロックアップ制御用デューティ弁128に適した
駆動信号DL/U に、駆動回路314は前記クラッチ締結
制御信号SCLをクラッチ締結制御用デューティ弁129
に適した駆動信号DCLに、夫々変換して出力する。
【0034】なお、例えばデューティ比に応じた制御信
号やパルス制御信号の形態は、既に所望するデューティ
比やパルス数を満足しており、各駆動回路311〜31
4は、例えば単にそれを増幅するなどの電気的処理を施
すだけで、信号の形態そのものを処理するものではな
い。
【0035】また、前記エンジンコントロールユニット
200内にも独自のマイクロコンピュータを有してお
り、前記変速機コントロールユニット300のマイクロ
コンピュータ310と相互通信を行って、エンジン並び
に変速機を車両走行状態に応じて最適状態に制御するよ
うに構成されている。そして、本実施形態では、前述の
ように変速機コントロールユニット300からのフュー
エルカット要求信号に応じて、予め設定された気筒への
燃料の供給を所定時間だけ遮断する。
【0036】次に、本実施形態の変速制御全体の概略構
成を、前記マイクロコンピュータ310で実行される図
3に示すゼネラルフローの演算処理に従って説明する。
この演算処理は、基本的には、前記Dレンジが選択され
且つエンジンコントロールユニット側からの要求がない
状態で、前記特開平7−317895号公報に記載され
る変速制御を簡潔に纏めたものであり、その詳細は当該
公報を参照されるとして、ここではゼネラルフローの概
要を説明するに止める。この演算処理は、所定サンプリ
ング時間(例えば10msec)ΔT毎にタイマ割込処理と
して実行される。なお、これ以後の演算処理では、何れ
も特に通信のためのステップを設けていないが、演算処
理装置310bで必要なプログラムやマップ、或いは必
要なデータは随時記憶装置310cから読込まれるし、
逆に演算処理装置310bで算出されたデータは随時記
憶装置310cに更新記憶されるものとする。
【0037】この演算処理では、まずステップS1で、
前記車速センサ302からの車速V SP,エンジン回転数
センサ301からのエンジン回転数NE ,入力回転数セ
ンサ305からの入力回転数NPri ,スロットル開度セ
ンサ303からのスロットル開度TVO,及びインヒビ
タスイッチ304からのシフトレンジ信号SRANGE を読
込む。
【0038】次にステップS2に移行して、個別の演算
処理に従って、前記車速VSP,入力回転数NPri から現
在の変速比CP を算出する。具体的には、最終出力軸回
転数に比例する車速VSPを、無段変速機構29から最終
出力軸までの,所謂最終減速比nで除せば無段変速機構
29の出力回転数NSec が得られるから、これに対する
入力回転数NPri の比を算出すれば現在の変速比CP
得られる。
【0039】次にステップS3に移行して、制御マップ
検索等の個別の演算処理に従って、スロットル開度TV
O,エンジン回転数NE からエンジントルクTE を算出
する。具体的には、例えば図4に示すように、スロット
ル開度TVOをパラメータとし且つエンジン回転数NE
に応じたエンジントルクTE の出力特性図から現在のエ
ンジントルクTE を算出する。
【0040】次にステップS4に移行して、個別の演算
処理に従って、前記ライン圧PL の制御を行う。具体的
には、図5のような制御マップからトルクコンバータに
よるトルク比tを算出し、このトルク比tを前記エンジ
ントルクTE に乗じて入力トルクTPri を算出し、次い
で図6に示すような制御マップから入力トルクTPri
び現在の変速比CP に応じた基準ライン圧PL0を算出す
る。ここで、ベルト耐久性の面からもライン圧PL は小
さい方が望ましいが、ベルト24には伝達すべきトルク
がかかるから、それによってベルトが滑らないようにプ
ーリで挟持しなければならず、そのトルクとは変速比C
P が大きいほど,及び/又は入力トルクTPri が大きい
ほど大きいから、その分だけベルト挟持力を高めるよう
にこの基準ライン圧PL0を大きくする必要がある。更
に、この基準ライン圧PL0から前記出力回転数NSec
比例する遠心圧PL1を減じた値を制御すべき目標ライン
圧P L0R とし、それに見合うライン圧制御信号SPLを創
成出力する。
【0041】次にステップS5に移行して、個別の演算
処理に従って、ロックアップ制御を行う。具体的には、
例えば図7のような制御マップから車速VSP及びスロッ
トル開度TVOに応じたロックアップ車速VON及びアン
ロックアップ車速VOFF を設定し、原則的に車速VSP
ロックアップ車速VON以上ならロックアップ,アンロッ
クアップ車速VOFF 以下ならアンロックアップとなるよ
うに前記制御信号SL/ U を創成出力するが、特にロック
アップ側に移行するときに、そのときのエンジン回転数
E と入力回転数NPri ,即ちタービン出力軸回転数と
の差分値が大きいときには、その差分値の大きさに応じ
た比較的大きなゲインでデューティ比D/TL/U を増加
し、両者の差分値が小さくなる,つまりロックアップ気
味になると比較的小さな所定値ずつデューティ比D/T
L/U を増加して、完全なロックアップ移行時の衝撃を緩
和する。
【0042】次にステップS6に移行して、制御マップ
検索等の個別の演算処理に従って、到達変速比CD を算
出する。この到達変速比CD は、車速VSP及びスロット
ル開度TVOとから現在のエンジン回転数NE を達成す
る、最も理想的な無段変速機構29の変速比であり、具
体的には図8に示すように、3者が完全に一致する変速
比Cが設定できれば、そのときの車速VSPとエンジン回
転数NE とを満足しながら、運転者によるアクセルペダ
ルの踏込み量,即ちスロットル開度TVOに応じた加速
を得られる。ここで、例えば前記図8が到達変速比CD
の設定に用いる制御マップであると仮定すれば、原点を
通る傾き一定の直線が或る一定の変速比となり、例えば
変速パターンの全領域において最も傾きの大きい直線
は、車両全体の減速比が最も大きい,即ち最大変速比C
Loであり、逆に最も傾きの小さい直線は、車両全体の減
速比が最も小さい,即ちDレンジ最小変速比CDHi であ
ると考えてよい。
【0043】次にステップS7に移行して、個別の演算
処理に従って、目標変速比CR を算出する。具体的に
は、原則的に前記到達変速比CD が現在の変速比CP
り大きければダウンシフト方向,小さければアップシフ
ト方向に、例えば現在の変速比CP を最も速い変速速度
dCR /dt又は最も小さい時定数τで変速した所定サ
ンプリング時間ΔT後の変速比を目標変速比CR として
設定する。但し、スロットル開度TVOが全開状態に近
い状態から閉方向変化した,所謂アクセルペダルの足戻
し状態では変速速度dCR /dtを少し遅くし又は時定
数τを少し大きくし、更にこの条件に加えてスロットル
開度の閉方向への変化速度が速く且つスロットル開度の
閉方向への変化量が大きい,所謂アクセルペダルの足離
し状態では変速速度dCR /dtを更に遅くし又は時定
数τを更に大きくして、夫々、目標変速比CR を設定す
る。
【0044】次にステップS8に移行して、個別の演算
処理に従って、クラッチ締結制御を行う。具体的には、
原則的に車速VSPがクリープ制御閾値以上なら前進用ク
ラッチ40を締結、車速VSPがクリープ制御閾値未満で
且つスロットル開度TVOがクリープ制御用の全閉閾値
以上なら締結解除するように制御信号SCLを創成出力す
るが、車速VSPがクリープ制御閾値未満で且つスロット
ル開度TVOが全閉閾値未満の場合には、そのときのエ
ンジン回転数NE と入力回転数NPri ,即ちタービン出
力軸回転数との差分値に応じて反比例するゲインでデュ
ーティ比D/T CLを設定することにより、坂道などの影
響で車両がクリープ走行し易いときにはクラッチの締結
力を弱め、クリープ走行し難いときにはクラッチの締結
力を強めるようにしている。
【0045】次にステップS9に移行して、個別の演算
処理に従って、変速比制御を行ってからメインプログラ
ムに復帰する。具体的には前記設定された目標変速比C
R に対して、そのときの変速速度dCR /dt又は時定
数τで変速を行うための総パルス数並びに単位時間値に
パルス数を設定し、その両者を満足するパルス制御信号
S/M を創成出力してからメインプログラムに復帰す
る。
【0046】次に、前記図3の演算処理と並行して、同
じサンプリング時間ΔT毎に、個別にタイマ割込処理さ
れる演算処理について、図9のフローチャートを用いて
説明する。この演算処理では、まずステップS11でシ
フトレンジ信号SRANGE ,作動流体温度TMP,及び入
力回転数NPri を読込む。
【0047】次にステップS12に移行して、前記読込
まれたシフトレンジ信号SRANGE がNレンジである,つ
まり非走行レンジであるか否かを判定し、当該シフトレ
ンジ信号SRANGE がNレンジである場合にはステップS
13に移行し、そうでない場合にはそのままメインプロ
グラムに復帰する。また、前記ステップ13では、前記
読込まれた作動流体温度TMPが、例えば−10℃程度
の低温に予め設定された所定値TMP0 以下であるか否
かを判定し、当該作動流体温度TMPが所定値TMP0
以下である場合にはステップS14に移行し、そうでな
い場合にはそのままメインプログラムに復帰する。
【0048】前記ステップS14では、個別の演算処理
に従って、発進用クラッチである前進用クラッチ40に
発生する遠心圧による伝達トルク(容量)TTRを算出す
る。具体的には、このステップS14に至るまでにステ
ップS13で作動流体温度TMPが低温所定値TMP0
以下であって、従って作動流体の粘度は相応に高いこと
が分かっているから、例えば図10に示すように、この
作動流体の粘度に応じ且つ発進用クラッチである前進用
クラッチ40の回転速度,即ち前記入力回転数NPri
2乗に比例する遠心圧から伝達トルク(容量)TTRを算
出する。つまり、この伝達トルク(容量)TTRとは、低
温で粘度の高い作動流体が、前進用クラッチ40の流体
室40a内で高速回転することにより外側に押付けら
れ、その回転速度の2乗値に応じた流体圧,つまり遠心
圧でピストンが押圧されたときに当該前進用クラッチ4
0が伝達可能なトルク(厳密にはその容量)である。な
お、図10に示す特性図で、入力回転数NPri がある程
度以上大きくならないと伝達トルクTTRが発生しないの
は、前進用クラッチ40の,所謂遊びによるものであ
る。
【0049】次にステップS15に移行して、前記算出
された伝達トルク(容量)TTRが予め設定された所定値
TR0 以上であるか否かを判定し、当該伝達トルク(容
量)TTRが所定値TTR0 以上である場合にはステップS
16に移行し、そうでない場合にはそのままメインプロ
グラムに復帰する。ここで、前記前進用クラッチ40に
よってエンジンの出力が伝達されると、その伝達トルク
TRとそのときの無段変速機構29の変速比CP とに応
じた駆動力で、車両には或る所定の前後加速度GX が発
生(作用)する。この場合はNレンジであるから無段変
速機構29で選択される変速比CP は前記最大変速比C
Hi一定であり、従って伝達トルクTTRと前後加速度GX
とは図11に示すようにリニアな関係になる。そこで、
例えばNレンジで車両に作用しても違和感のない前後加
速度GX の上限値を所定値GX0としたときの伝達トルク
TRの上限値を前記所定値TTR0 とすれば、そのような
前後加速度GX (GX0)が発生しそうな場合だけ次のス
テップS16に移行するプログラムになる。
【0050】そして、前記ステップS16では、個別の
演算処理に従って、前記エンジンコントロールユニット
200に向けてフューエルカット要求信号を出力してか
らメインプラムに復帰する。
【0051】次に、本実施形態の作用について説明する
が、変速制御の概要は、前記特開平7−317895号
公報に記載されるものと同様であるから、ここでは省略
し、特に図9の演算処理に伴うフューエルカット要求制
御の作用について詳述する。この演算処理では、まず選
択されたシフトレンジがNレンジである,つまりエンジ
ンの出力を、無段変速機構を含む駆動系に伝達してはな
らない非走行レンジ状態で、且つ作動流体温度TMPが
例えば−10℃程度の低温所定値TMP0 以下であり、
しかも入力回転数NPri から求めた伝達トルクTTRが、
予め設定された前後加速度所定値GX0以上で車両を駆動
する所定値TTR0 以上であるときに、エンジンコントロ
ールユニット200に対してフューエルカット要求信号
を出力する。これにより、エンジンの出力が低減される
と共にその回転速度も小さくなり、結果的に前進用クラ
ッチ40への入力回転数NPri を小さくすることで当該
前進用クラッチ40の伝達トルクTTRを小さくして、車
両に作用する前後加速度G X を小さくする。
【0052】前述のように低温の作動流体は粘度が高
く、その粘度の高い作動流体が前進用クラッチ40の流
体室40a内で高速回転されると、当該作動流体に作用
する遠心力によってそれが外側に押付けられて流体圧が
高まる。この流体圧の高まりが遠心圧であり、その遠心
圧がピストンに作用して前進用クラッチ40を締結して
しまう。このように前進用クラッチ40が締結されれ
ば、Nレンジであって、供給される作動流体圧は零であ
っても、エンジンの出力は無段変速機構以後の駆動系に
伝達されてしまい、結果的に駆動輪に駆動力が作用して
車両が加速してしまう。勿論、前進用クラッチ40の流
体室40aは十分な容積を有しているし、また図示され
ないリターンスプリングも十分な反力を発現するから、
作動流体の温度が通常使用域であればこのような問題は
発生しないが、当該作動流体温度が非日常的とも言える
極低温時には発生する可能性がある。
【0053】そこで、このような作動流体温度の低温時
にあって、前記前進用クラッチ40内の遠心圧によって
車両に所定の加速度が発生するような場合には、伝達さ
れるエンジンの出力を低下すると共に、その回転速度を
小さくすることで前進用クラッチ40の入力回転数N
Pri を小さくし、これによって遠心圧を小さくして当該
前進用クラッチ40の締結を解除し、これらにより車両
に発生する加速度を小さくする。
【0054】以上より、この実施形態は本発明のうち請
求項1乃至3に係る変速機の制御装置を実施化したもの
であり、前記前進用クラッチ40が本発明の発進用クラ
ッチに相当し、以下同様に前記クラッチ締結制御用デュ
ーティ弁129がクラッチ締結制御用調圧弁を構成し、
作動流体温度センサ306及び図9の演算処理のステッ
プS11が作動流体温度検出手段を構成し、入力回転数
センサ305及び図9の演算処理のステップS11が入
力回転数検出手段を構成し、図9の演算処理のステップ
S14が伝達トルク検出手段を構成し、インヒビタスイ
ッチ304及び図9の演算処理のステップS11及びス
テップS12が非走行レンジ検出手段を構成し、図9の
演算処理のステップS12,ステップS13,ステップ
S15及びステップS16が出力低減手段並びに入力回
転数低減手段を構成する。
【0055】次に本発明の変速機の制御装置の第2実施
形態について図12を用いて説明する。この実施形態に
おける車両の主要構成は前記第1実施形態の図1のもの
と同様である。また、無段変速機の主要制御は、前記第
1実施形態の図3に示すゼネラルフローと同様であり、
またそれに用いられる各種の制御マップも、前記第1実
施形態の図4乃至図8に示すものと同様である。一方、
この図3のゼネラルフローと並行して行われる図9の演
算処理の代わりに、図12のフローチャートに示す演算
処理が実行される。但し、図12の演算処理は前記図9
の演算処理に類似しており、中には同等のステップもあ
る。そこで、同等のステップには同等の符号を附してそ
れらの詳細な説明は省略する。そして、図9の演算処理
と図12の演算処理の相違について列挙すると、前記ス
テップS14が削除され、また前記ステップS15がス
テップS15’に変更されている。
【0056】具体的に前記ステップS15’では、読み
込まれている入力回転数NPri が前述した伝達トルク
(容量)の所定値TTR0 を発生する入力回転数の所定値
Pri0以上であるときに、前記ステップS16に移行し
てフューエルカット要求信号を出力するように構成され
ている。
【0057】前述したように予め設定された加速度GX
(GX0)を車両に発生(作用)させる伝達トルクT
TR(TTR0 )は、入力回転数PPri の2乗値に比例する
のであるから、当該伝達トルクの所定値TTR0 に相当す
る入力回転数NPri (NPri0)も一意に決まる。従っ
て、この入力回転数NPri を、加速度の所定値GX0を発
生させる入力回転数の所定値NPri0とし、読込まれた入
力回転数NPri が当該所定値NPri0以上であるときにフ
ューエルカット要求信号を出力する本実施形態では、前
記第1実施形態と同様に、作動流体温度の低温時にあっ
て、前記前進用クラッチ40内の遠心圧によって車両に
所定の加速度が発生するような場合には、伝達されるエ
ンジンの出力を低下すると共に、その回転速度を小さく
することで前進用クラッチ40の入力回転数NPri を小
さくし、これによって遠心圧を小さくして当該前進用ク
ラッチ40の締結を解除し、これらにより車両に発生す
る加速度を小さくすることができる。
【0058】以上より、この実施形態は本発明のうち請
求項4乃至6に係る変速機の制御装置を実施化したもの
であり、前記前進用クラッチ40が本発明の発進用クラ
ッチに相当し、以下同様に前記クラッチ締結制御用デュ
ーティ弁129がクラッチ締結制御用調圧弁を構成し、
作動流体温度センサ306及び図12の演算処理のステ
ップS11が作動流体温度検出手段を構成し、入力回転
数センサ305及び図12の演算処理のステップS11
が入力回転数検出手段を構成し、インヒビタスイッチ3
04及び図12の演算処理のステップS11及びステッ
プS12が非走行レンジ検出手段を構成し、図12の演
算処理のステップS12,ステップS13,ステップS
15’及びステップS16が出力低減手段並びに入力回
転数低減手段を構成する。
【0059】なお、前記実施形態では、ベルト式無段変
速機構を用いた変速機についてのみ詳述したが、変速機
構そのものは何でもよく、トロイダル型無段変速機構や
一般的な遊星歯車式有段変速機構等を用いることもでき
る。つまり、これらの変速機構以後の駆動系とエンジン
との間の発進用クラッチのピストン流体室がエンジンと
共に回転する軸上にあることが肝要なのである。
【0060】また、前記実施形態では、各コントロール
ユニットをマイクロコンピュータで構築したものについ
てのみ詳述したが、これに限定されるものではなく、演
算回路等の電子回路を組み合わせて構成してもよいこと
は言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】無段変速機及びその制御装置の一例を示す概略
構成図である。
【図2】目標ライン圧からライン圧制御用デューティ弁
へのデューティ比を設定する制御マップである。
【図3】図1の変速機コントロールユニットで実行され
る演算処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】スロットル開度をパラメータとしてエンジン回
転数からエンジントルクを設定する制御マップである。
【図5】トルコン入出力速度比からトルク比を設定する
制御マップである。
【図6】入力トルクをパラメータとして変速比から基準
ライン圧を設定する制御マップである。
【図7】車速とスロットル開度とからロックアップ車速
及びアンロックアップ車速を設定する制御マップであ
る。
【図8】スロットル開度をパラメータとして車速から変
速比を設定する制御マップである。
【図9】本発明の変速機の制御装置で行われる演算処理
の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図10】発進用クラッチへの入力回転数と伝達トルク
との相関を示す説明図である。
【図11】伝達トルクと車両に発生する前後加速度との
相関を示す説明図である。
【図12】本発明の変速機の制御装置で行われる演算処
理の第2実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10はエンジン 12はトルクコンバータ 16は駆動プーリ 19はスロットルバルブ 20はシリンダ室 24はベルト 26は従動プーリ 29は無段変速機構 32はシリンダ室 108はステップモータ 120はライン圧制御用デューティ弁 128はロックアップ制御用デューティ弁 129はクラッチ締結制御用圧切換弁 200はエンジンコントロールユニット 300は変速機コントロールユニット 301はエンジン回転数センサ 302は車速センサ 303はスロットル開度センサ 304はインヒビタスイッチ 305は入力回転数センサ 306は作動流体温度センサ 310はマイクロコンピュータ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非走行レンジが選択されていても、内燃
    機関と共に回転する軸上に変速機内の発進用クラッチの
    ピストン流体室を備え、その発進用クラッチへの作動流
    体圧をクラッチ締結制御用調圧弁で調圧するようにした
    変速機の制御装置にあって、前記作動流体の温度を検出
    する作動流体温度検出手段と、前記発進用クラッチへの
    入力回転数を検出する入力回転数検出手段と、この入力
    回転数検出手段で検出された入力回転数に基づいて、少
    なくとも前記作動流体温度検出手段で検出された作動流
    体の温度が予め設定された低温所定値以下であるときに
    発生する前記発進用クラッチの伝達トルクを検出する伝
    達トルク検出手段と、選択されたシフトレンジが非走行
    レンジであることを検出する非走行レンジ検出手段と、
    この非走行レンジ検出手段で非走行レンジであることが
    検出され且つ前記作動流体温度検出手段で検出された作
    動流体の温度が予め設定された低温所定値以下であると
    きの前記伝達トルク検出手段で検出された発進用クラッ
    チの伝達トルクが予め設定された所定値以上であるとき
    に、少なくとも発進用クラッチへの入力回転数を低減す
    る入力回転数低減手段とを備えたことを特徴とする変速
    機の制御装置。
  2. 【請求項2】 前記発進用クラッチの伝達トルクの所定
    値は、予め設定された前後加速度を車両に発生させる値
    に設定されたことを特徴とする請求項1に記載の変速機
    の制御装置。
  3. 【請求項3】 前記入力回転数低減手段は、前記内燃機
    関の出力を低減する出力低減手段を備えて構成されるこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の変速機の制御装
    置。
  4. 【請求項4】 非走行レンジが選択されていても、内燃
    機関と共に回転する軸上に変速機内の発進用クラッチの
    ピストン流体室を備え、その発進用クラッチへの作動流
    体圧をクラッチ締結制御用調圧弁で調圧するようにした
    変速機の制御装置にあって、前記作動流体の温度を検出
    する作動流体温度検出手段と、前記発進用クラッチへの
    入力回転数を検出する入力回転数検出手段と、選択され
    たシフトレンジが非走行レンジであることを検出する非
    走行レンジ検出手段と、この非走行レンジ検出手段で非
    走行レンジであることが検出され且つ前記作動流体温度
    検出手段で検出された作動流体の温度が予め設定された
    低温所定値以下であるときに、前記入力回転数検出手段
    で検出された入力回転数が、前記発進用クラッチに予め
    設定された所定値以上の伝達トルクを発生せしめる所定
    値以上であるときに、少なくとも発進用クラッチへの入
    力回転数を低減する入力回転数低減手段とを備えたこと
    を特徴とする変速機の制御装置。
  5. 【請求項5】 前記発進用クラッチの伝達トルクの所定
    値は、予め設定された前後加速度を車両に発生させる値
    に設定されたことを特徴とする請求項4に記載の変速機
    の制御装置。
  6. 【請求項6】 前記入力回転数低減手段は、前記内燃機
    関の出力を低減する出力低減手段を備えて構成されるこ
    とを特徴とする請求項4又は5に記載の変速機の制御装
    置。
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