JPH1137160A - すべり装置およびキャリッジ - Google Patents

すべり装置およびキャリッジ

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JPH1137160A
JPH1137160A JP21011297A JP21011297A JPH1137160A JP H1137160 A JPH1137160 A JP H1137160A JP 21011297 A JP21011297 A JP 21011297A JP 21011297 A JP21011297 A JP 21011297A JP H1137160 A JPH1137160 A JP H1137160A
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Takashi Minami
隆 南
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  • Moving Of The Head For Recording And Reproducing By Optical Means (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高記録密度や過酷な振動条件で使用される場
合においても、機械精度を維持しつつ低価格化が得られ
る。 【解決手段】 軸と、この軸の外周面に摺動案内される
摺動部を有するキャリッジとを備えたすべり装置におい
て、キャリッジが樹脂組成物の成形体からなり、比重が
1.9〜3.0 で熱伝導率が 0.5〜5 kcal/m・hr・℃であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はすべり装置およびキ
ャリッジに関し、特に樹脂製の直線移動用すべり装置お
よびそれに用いるキャリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】CD−ROM、DVD等のディスク型記
録装置は、大量の情報を記録できる装置として近年多用
されるようになってきている。このような装置に用いら
れている記録検出用ピックアップをディスク半径方向に
直線移動させるためのスライドベース部品、例えば直線
移動用すべり装置は、記録装置の記録密度が高くなるに
つれて、より高水準の機械精度が求められている。ま
た、記録装置の普及に伴い機械精度を維持しつつ低価格
化が求められている。従来、このようなすべり装置は、
アルミ合金や亜鉛合金等をダイキャスト成形してキャリ
ッジを製作し、そのキャリッジの摺動部については、別
途後加工後潤滑剤を塗布、あるいは、含油焼結金属、自
己潤滑性樹脂等の摺動部材を組み込んでいた。しかし、
工数が多くなり、低価格化に対応できないため、一部の
機種においては、コストダウンを主目的とし、樹脂を射
出成形して本体を製作し、摺動部については、ダイキャ
スト成形と同様に別途摺動部材を設けるなどの手段を採
用していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、樹脂の
射出成形を用いた直線移動用すべり装置は、より過酷な
振動条件で使用される車載用CD、CD−ROM、携帯
型CD等において、音とび等の誤動作が発生するという
問題がある。また、DVDの場合のように記録密度が高
くなるにつれて要求される高水準の機械精度も維持でき
ないという問題がある。さらに、樹脂製直線移動用すべ
り装置は、このすべり装置に組込まれる半導体レーザ等
の寿命低下が生ずるという問題がある。
【0004】本発明は、このような問題に対処するため
になされたもので、高記録密度や過酷な振動条件で使用
される場合においても、機械精度を維持しつつ低価格化
が得られるすべり装置およびキャリッジを提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のすべり装置は、
軸と、この軸の外周面に摺動案内される摺動部を有する
キャリッジとを備えたすべり装置において、キャリッジ
が樹脂組成物の成形体からなり、比重が 1.9〜3.0 で熱
伝導率が 0.5〜5 kcal/m・hr・℃であることを特徴とす
る。
【0006】また、樹脂組成物は、無機充填材と、繊維
状補強材および摺動特性向上材から選ばれた少なくとも
一つの配合材とが配合されてなることを特徴とする。
【0007】樹脂組成物を成形してなる成形体が射出成
形体であることを特徴とする。
【0008】すべり装置を構成するキャリッジの摺動部
が射出成形面で形成されてなることを特徴とする。また
は、そのキャリッジの摺動部が滑り軸受で形成されてな
ることを特徴とする。
【0009】本発明のキャリッジは、摺動孔を有する射
出成形体からなるキャリッジにおいて、比重が 1.9〜3.
0 で熱伝導率が 0.5〜5 kcal/m・hr・℃以上であること
を特徴とする。
【0010】従来の樹脂製キャリッジが高記録密度や過
酷な振動条件下で使用できない原因について追及した結
果、従来の樹脂製キャリッジの比重が低いことや熱伝導
率が小さいことに原因があることを見い出した。例え
ば、ダイキャスト成形キャリッジに比較して、樹脂製キ
ャリッジが軽いため、スピーカ等の振動発生源が近くに
存在するときに誤動作が発生し易くなったり、樹脂製キ
ャリッジの熱伝導率が小さいため、装着された半導体レ
ーザの発熱により寸法変化や半導体レーザ等の寿命が低
下していた。本発明は、このような知見に基づいてなさ
れたもので、樹脂製キャリッジを構成する樹脂組成物の
比重を 1.9〜3.0 、熱伝導率を 0.5〜5 kcal/m・hr・℃
とすることにより、本発明のすべり装置およびキャリッ
ジは、高記録密度や過酷な振動条件で使用される場合に
おいても、誤動作の発生や半導体レーザ等の寿命低下を
抑えることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のすべり装置およびキャリ
ッジについて図1および図2により説明する。図1およ
び図2は、光学式ディスク装置に用いられる直線移動用
のすべり装置の一部とそれに用いられているキャリッジ
の斜視図である。主軸1と補助軸2にキャリッジ3が装
着されている。キャリッジ3は、その摺動部4を主軸1
および補助軸2の外周面に摺動案内されて軸方向に直線
移動する。図1に示すキャリッジ3は全体を射出成形体
により形成したもので、主軸1および補助軸2を挿通す
る貫通孔が摺動部4になっている。図2に示すキャリッ
ジ3は、主軸1および補助軸2を挿通する貫通孔にキャ
リッジ3と別材質のスリーブ状の滑り軸受4aを設けた
ものである。主軸1および補助軸2はスタンド6に固定
され、キャリッジ3には半導体レーザ5が装着されてい
る。
【0012】キャリッジ3は樹脂組成物の成形体からな
り、比重が 1.9〜3.0 、好ましくは2.2〜3.0 、より好
ましくは 2.5〜3.0 で、熱伝導率が 0.5〜5 kcal/m・hr
・℃、好ましくは 0.6〜5 kcal/m・hr・℃、より好まし
くは 1〜5 kcal/m・hr・℃である。比重が 1.9未満であ
ると、キャリッジ3の質量が軽くなり、振動の影響を受
けやすくなり、CDなどにおいて音とび等の誤動作が発
生する。また比重が3.0 を越えると成形性が困難とな
る。熱伝導率が 0.5kcal/m・hr・℃未満であると、作動
時において半導体レーザ5の表面温度の上昇を押えるこ
とができなくなり、寸法変化、あるいは半導体レーザ等
の寿命低下が生ずる。熱伝導率が5 kcal/m・hr・℃を越
えると、表面温度の上昇を押える点では良好となるが、
射出成形性などが困難となる。
【0013】本発明に係る比重が 1.9〜3.0 で熱伝導率
が 0.5〜5 kcal/m・hr・℃となる成形体を形成すること
のできる樹脂組成物について説明する。本発明に係る樹
脂組成物は樹脂本体に、無機充填材と、繊維状補強材お
よび摺動特性向上材から選ばれた少なくとも一つの配合
材とが配合される。樹脂体は、多かれ少なかれ金属材料
よりは潤滑性を有し、また無機充填材の結合剤として好
ましいものと考えられる。樹脂本体としては、金属酸化
物、繊維状補強材等の高比重、高熱伝導率を有する無機
充填材を高充填することのできる樹脂体であれば、熱可
塑性樹脂や熱硬化性樹脂であっても、特に限定すること
なく使用することができる。そのような樹脂本体として
は、例えば66ポリアミド樹脂、46ポリアミド樹脂等
のポリアミド系樹脂(PA)、熱硬化性ポリイミド樹
脂、熱可塑性ポリイミド樹脂等のポリイミド系樹脂(P
I)、ポリアミドイミド系樹脂(PAI)、ポリフェニ
レンスルフィド樹脂(PPS)等のポリアリーレンスル
フィド系樹脂(PAS)、ポリシアノアリールエーテル
系樹脂(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂
(PEEK)等のポリエーテルケトン系樹脂(PE
K)、ポリエチレンテレフチレート樹脂(PET)、ポ
リブチレンテレフチレート樹脂(PBT)などのポリエ
ステル系樹脂、液晶ポリエステル樹脂(LCP)等の芳
香族系ポリエステル樹脂、ポリアセタール系樹脂(PO
M)、ポリオレフィン系樹脂等を挙げることができる。
これらの樹脂群のうち、熱可塑性的な性質を有する樹
脂、もしくは射出成形可能な樹脂、また熱可塑性樹脂で
あり射出成形可能な樹脂体が複雑な形状のキャリッジを
生産性よく効率的に製造できるため好ましい。
【0014】射出成形が容易で、無機充填材等を高充填
することのできる樹脂体が本発明の樹脂体として好まし
く、そのような樹脂体としては、ポリフェニレンスルフ
ィド樹脂(PPS)やポリブチレンテレフタレート樹脂
(PBT)を挙げることができる。また、PPS、PB
Tは耐熱性に優れ、吸水性が少なく、結晶性樹脂であ
り、寸法安定性、機械的強度の点でも好ましいものと考
えられる。
【0015】PPSとしては、最大結晶化度が約 60 〜
65 %、吸水率が 0.05 %(ASTM D570、23
℃、水中、24時間)、ガラス転移点が 80 〜 95 ℃(D
SC法、JIS K 7121)、融点が 280〜290 ℃
(DSC法、JIS K 7121)、溶融粘度が 300
〜30000 ポイズ(300 〜320 ℃)、好ましくは 300〜30
00ポイズであり、直鎖状または架橋型もしくは半架橋型
のいずれの形態であってもよい。
【0016】またPBTとしては、結晶化度が約 70 〜
90 %、吸水率が 0.1%(ASTMD570、23℃、水
中、24時間)、ガラス転移点が 25 ℃前後(DSC法、
JIS K 7121)、融点が 220〜230 ℃(DSC
法、JIS K 7121)、溶融粘度が 100〜1000ポ
イズ(260 ℃)が好ましい。溶融粘度は、樹脂体の融点
よりも 10 〜 50 ℃程度高い温度で測定し、好ましくは
JIS K 7210に準ずる測定方法、もしくは、よ
り具体的には毛管直径 1mm、毛管長さ 10 mm、バレル直
径 9.55 mm、バレル長さ 350mm、せん断速度103 sec-1
の条件下で評価することが好ましい。なお、上記各々の
評価内容に限らず、いかなる評価方法を採ってもよい。
【0017】これらは例えば、せん断速度が 1×102
1×104 (sec-1)、好ましくは 1×103 (sec-1)にて、
溶融粘度が 1×102 〜 1×105 ポイズ、好ましくは 1×
102〜 1×104 ポイズの樹脂および樹脂組成物が射出成
形の点で好ましい。また、吸水率が 0.5重量%以下、好
ましくは 0.1重量%以下、また最大結晶化度が、少なく
とも 10 %以上、好ましくは 20 %以上、より好ましく
は 30 %以上、90%以下の結晶性的な性質を有する樹脂
が機械的強度の点から好ましい。
【0018】樹脂製キャリッジに高比重、高熱伝導率を
付与するための無機充填材としては、高比重および高熱
伝導率を有していることが好ましいが、高比重または高
熱伝導率のいずれかの特性を有していてもよい。後者の
場合、繊維状補強材および/または摺動特性向上材が高
比重または高熱伝導率のいずれかの特性を有しているこ
とが必要で、無機充填材と繊維状補強材および/または
摺動特性向上材との組合わせで、高比重および高熱伝導
率を達成できる配合材であればよい。例えば、無機充填
材として比較的高い熱伝導率を有する酸化マグネシウム
や酸化鉄などの金属酸化物を用いた場合には、低い熱伝
導率のガラス繊維を繊維状補強材として使用することが
できる。一方、比較的低い熱伝導率を有するマイカ粉
(例えば、K2 O・3Al2 3 ・6SiO2 ・2H2
O)を無機充填材として使用する場合は、高い熱伝導率
を有する炭素繊維を繊維状補強材として使用することに
より、高比重および高熱伝導率を達成することができ
る。
【0019】本発明に係る無機充填材は、樹脂本体に高
充填でき、かつ樹脂成形時の温度で不具合を発生しない
ものであれば特定されることなく使用でき、例えば、比
重が少なくとも 3以上、好ましくは 3.3以上、例えば 1
5 以下、好ましくは 10 以下、熱伝導率が少なくとも 1
0 kcal/m・hr・℃以上、好ましくは 20 kcal/m・hr・℃
以上、より好ましくは 30 kcal/m・hr・℃以上、 100kc
al/m・hr・℃以下の無機充填材が好ましい。
【0020】そのような無機充填材としては、例えば、
酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化アルミニウム等の金属
酸化物類を挙げることができる。これらの中で、酸化マ
グネシウムや酸化鉄が安全性、摩耗特性および滑性を有
する点の理由で特に好ましい。
【0021】無機充填材の形状は、樹脂組成物の生産性
および製品成形性の面から 150〜350 メッシュより選択
される粉粒径、もしくは 0.05 〜100 μm 、好ましくは
0.1〜 50 μm 、より好ましくは 0.2〜 25 μm の粉末
状がよい。例えば、酸化鉄(Fe2 3 )では 0.1〜 1
μm 、好ましくは 0.2〜 0.5μm (BET法による平均
粒径)が好適である。このような微粒子径の充填材は、
前記結晶性樹脂の結晶化度を上げるうえで、このような
微粒子径の充填粉粒体が核となって、金型内での樹脂体
の結晶化の促進に多少たりとも寄与されることも期待で
きるので、上記結晶性的性質を有する樹脂本体にこのよ
うな充填材を配合することは好ましいと考えられる。
【0022】本発明においては、無機充填材とともに繊
維状補強材および摺動特性向上材から選ばれた少なくと
も一つの配合材を配合することができる。繊維状補強材
は、無機充填材が配合された樹脂組成物を補強可能なも
のであれば、特にその種類を限定するものでなく、例え
ば炭素繊維(CF)、ガラス繊維(GF)、芳香族ポリ
アミド繊維、アルミナ繊維、ウォラスナイト、チタン酸
カリウムウィスカー等の短繊維などを例示することがで
きる。そして、より機械的強度の優れた成形品を得るた
めには、引張り弾性率が 200GPa 以上(700GPa以下)の
繊維状補強材を採用することが好ましい。
【0023】摺動特性向上材は、キャリッジの摺動部が
射出成形面で形成される場合などには、特に配合するこ
とが好ましい。具体的には、黒鉛やフッ素系樹脂などを
挙げることができる。フッ素系樹脂としては、耐熱性、
摺動性、射出金型からの離型性等に優れたテトラフルオ
ロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン
−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PF
A)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(FEP)などのパーフルオロ系フッ素樹
脂が好ましく、これらもまた、上記充填材の平均粒径程
度(例えば 1〜30μm )が好ましく、これらは、成形体
中に例えば 1〜20重量%、好ましくは 1〜10重量%程度
配合されていれば、成形性を損なわず、摺動性を改善で
き、また成形金型からの離型性も改善される。特に焼成
された再生テトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)で
上記平均粒径を有するものが好ましい。
【0024】本発明に係る樹脂組成物の配合割合は、樹
脂本体に無機充填材と、繊維状補強材、摺動特性向上材
とを、比重が 1.9〜3.0 で熱伝導率が 0.5〜5 kcal/m・
hr・℃となる範囲で配合することができる。具体的に
は、樹脂本体が 30 〜 50 重量%、好ましくは 30 〜 4
0 重量%、無機充填材が 30 〜 70 重量%、好ましくは
40 〜 70 重量%、繊維状補強材および/または摺動特
性向上材が 10 〜 30 重量%、好ましくは 15 〜 25 重
量%の範囲にあることが好ましい。このような配合割合
であると、成形体の比重を 1.9〜3.0 、熱伝導率を 0.5
〜5 kcal/m・hr・℃とすることができ、また射出成形性
にも優れている。
【0025】本発明のすべり装置を構成するキャリッジ
3は、上述の樹脂組成物を成形することにより得られ
る。成形方法は、射出成形、圧縮成形、トランスファー
成形、押出し成形等を用いることができる。これの中で
も射出成形がキャリッジとしての精度や生産性を向上さ
せることができるため好ましい。
【0026】また、例えばPBTを例にすれば、金型内
のキャビティ表面温度の設定温度により、成形体表面に
スキン層が形成される。このスキン層は約 250μm 以
下、実質的には平均 1〜100 μm の薄膜が形成される。
これは、金型表面温度が低い場合(例えば 25 ℃前後)
では約 200μm 前後となり、逆に金型表面温度が高い場
合(例えば 120℃前後)では約 20 〜30μm 程度とな
る。このように、金型温度を常温( 20 ℃前後)〜 120
℃、もしくは 120〜 150℃に設定して、スキン層の厚み
を調整することも考えられる。また、衝撃強度等を重視
するのであれば、金型表面温度を低く設定することが好
ましい。
【0027】摺動部4を有するキャリッジ3は射出成形
法により一体に成形することが好ましい。特に摺動性に
優れた樹脂組成物、例えばマイカ粉と炭素繊維とを配合
した場合や、さらにテトラフルオロエチレン樹脂を配合
した場合などにあっては、射出成形により形成された貫
通孔内表面を、そのまま摺動部4とすることが可能とな
り、部品点数や組み立て工数が削減される。このような
キャリッジは、必要により樹脂体のガラス転移点以上、
融点以下の熱処理を施して、結晶化を促進し、寸法安定
性、機械的強度を向上させてもよい。しかし、衝撃強度
等を重視するのであれば上記熱処理は省略してもよい。
【0028】また、キャリッジ3を射出成形法により成
形して、そのキャリッジ3の摺動部4となる貫通孔に、
キャリッジ3と別材質のスリーブ状の滑り軸受4aを設
けることができる(図2)。滑り軸受4aは、含油合
金、固体潤滑剤、摺動抵抗の小さな樹脂、例えば、ポリ
テトラフルオロエチレン樹脂を主成分とする樹脂等から
構成することができる。この滑り軸受4aは、キャリッ
ジ3の貫通孔に挿入して接着や、融着、圧入等で固定し
ても、またインサート成形や二色成形等でキャリッジ3
と一体に射出成形することができる。このキャリッジ
は、部品点数は多くなるが、滑り性能や耐久性の向上が
図り易い。また、インサート成形等の方法を採ること
で、製造工程の増加を抑えることができる。
【0029】本発明のすべり装置を構成する主軸1およ
び補助軸2の材質は、特に限定されず、SS鋼、S−C
鋼、SCM鋼、SUJ鋼、SUS鋼など種々の材料を用
いることができる。鋼の硬度は、HRC 30 〜 60 程
度、もしくは、HB 140〜220程度でよく、また、焼き
入れ処理後の硬度はHRC 55 〜 70 程度好ましくはH
RC 60 〜 65 程度とすると耐摩耗性、寸法安定性の点
で好ましい。
【0030】以上の構成は、軸と、軸の外周面に摺動案
内されるキャリッジとを備えたすべり装置を対象とする
が、軸は、円状の軸のみならず、平面状の摺動面を有す
る軸と、この摺動面に摺動案内されるキャリッジを備え
たすべり装置にも、以上の構成が同様に適用できる。
【0031】本発明のすべり装置は、軸の外周面および
キャリッジの貫通孔の内表面の少なくとも片方に、さら
に摺動性薄膜を形成することが好ましい。好ましい摺動
性薄膜としては、例えば、特許第 2534682号に開示され
ている−CX 2X−O−(xは 1〜4 の整数)を主要構
造単位とし、イソシアネート基、エポキシ基、またはア
ミノ基から選ばれる官能基を少なくとも一つ有する平均
分子量が 1,000〜 50,000 のフルオロポリエーテル重合
体を塗布、吹付けまたは浸漬し、ついで乾燥して形成さ
れた薄膜を挙げることができる。また、さらにグリー
ス、オイル、コート剤等を軸の外周面またはキャリッジ
の貫通孔の内表面に塗布することもできる。
【0032】なお、これらキャリッジと相手部材または
成形用金型の摺動面の表面・形状粗さは、最大粗さ(Rm
ax)、算術平均粗さ(Ra)、十点平均粗さ(Rz)などの
JISで定義された評価法によって測定される。これら
少なくとも一つの摺動面の表面・形状粗さは、約25μm
以下であり、約 8μm 以下が好ましく、3.2 μm 以下で
あればより好ましい。表面・形状粗さが、約25μm を越
えると、摺動面に傷が多くついて摩耗の原因となる場合
が多く、金型からの離型性にも悪影響を及ぼす傾向があ
る。なお、表面・形状粗さの下限値は、加工時の効率を
考慮して約 0.1μm 以上、好ましくは 1μm 以上あれば
よい。また、相手材や成形用金型の表面の仕上加工など
に長時間を要して効率的に生産できないことや、樹脂体
の転移膜の形成に影響される可能性もあるため、摩耗に
影響しない仕様や条件であれば、摺動面の表面・形状粗
さは、約 1〜 3μmRa の範囲としてもよい。このような
表面粗さ、形状は、上記微粒子粉粒体を樹脂材に配合し
ているので、射出成形されたキャリッジの表面状態は滑
らかな状態を保ちえているものと考えられる。
【0033】
【実施例】実施例および比較例で使用した原材料を一括
して以下に示す。なお、[ ]内は表1に用いた略号ま
たは化学記号を示す。 (1)ポリフェニレンスルフィド樹脂[PPS]:東レ
社製;M2100 (2)ポリブチレンテレフタレート[PBT]:クラレ
社製;S1000 (3)酸化マグネシウム[MgO]:旭硝子社製;AP
−FS、熱伝導率 36kcal/m ・hr・℃(at 25 ℃)、比
重 3.4〜3.6 、平均粒径約 200〜 325メッシュ (4)酸化鉄[Fe2 3 ]:研削粉を焼成して使用、
熱伝導率 33 kcal/m・hr・℃(at 25 ℃)、比重 3.8〜
5.3 、粒子の大きさ約 0.1〜50μm (5)マイカ[MICA]:カナダマイカ社製;S32
5、熱伝導率 0.3kcal/m・hr・℃(at 41.3 ℃)、比重
2.8〜3.1 、粒子の大きさ約 10 〜80μm (薄片状) (6)ガラス繊維[GF]:旭ガラスファイバー社製;
MF06MB120、熱伝導率 0.6kcal/m・hr・℃(at
25 ℃)、比重 2.5〜2.6 (7)炭素繊維[CF]:東邦レーヨン社製;ベスファ
イトHTA−C6S、熱伝導率 15 kcal/m・hr・℃(at
25 ℃)、比重 1.75 〜1.95 (8)焼成されたポリテトラフルオロエチレン樹脂[再
生PTEE]:喜多村社製;KTL610、平均粒径約
25 μm
【0034】実施例l〜実施例4および比較例l〜比較
例3 以上の原材料を表1に示した割合で配合し、ヘンシェル
ミキサーで混合した後、混練押出し機により押出して造
粒し、250 ℃(PBT)成形用ペレットを得た。得られ
たペレットを射出成形機によりシリンダー温度、250 ℃
(PBT)、 310℃(PPS)、射出圧力最大 2000kg/
cm2 、金型温度 100〜 150℃の条件で調整後成形して図
1に示すキャリッジ3(摺動部の表面粗さ 2〜 3μmRa
)を作製し、主軸1および補助軸2としてSUS鋼を
用いて直線移動用のすべり装置を作製した。得られたす
べり装置のキャリッジの質量を測定した。また、半導体
レーザを作動させた時の半導体レーザ5の表面温度を測
定した。その結果を表1に併記した。なお、比較例3は
アルミ合金をダイキャスト成形してキャリッジを作製し
た。
【0035】
【表1】
【0036】表1に示すように、実施例l〜実施例4の
すべり装置は、比較例1、2のすべり装置に比較してキ
ャリッジの比重が大きく、したがって質量が重くなって
いる。このため車載用CD、CD−ROM、携帯型CD
等において、音とび等の誤動作が発生しなかった。ま
た、比較例1、2のすべり装置に比較して半導体レーザ
5の表面温度が低く、半導体レーザ5の寿命低下を抑え
ることができた。
【0037】
【発明の効果】本発明のすべり装置は、キャリッジが樹
脂組成物の成形体からなり、その比重が 1.9〜3.0 で熱
伝導率が 0.5〜5 kcal/m・hr・℃であるので、高記録密
度や過酷な振動条件で使用される場合であっても、誤動
作の発生や半導体レーザ等の寿命低下を抑えることがで
きる。
【0038】また、樹脂組成物が無機充填材と、繊維状
補強材および摺動特性向上材から選ばれた少なくとも一
つの配合材とが配合されてなるので、容易に比重と熱伝
導率を上述の範囲とすることができる。
【0039】本発明のすべり装置は、キャリッジが、こ
のような樹脂組成物の射出成形体であるので、寸法精度
や生産性に優れ、低価格に対応できる。
【0040】また、キャリッジの摺動部が射出成形面で
形成されてなるので、生産工数が減り、より低価格に対
応できる。また、キャリッジの摺動部が滑り軸受で形成
されてなるので、より摺動特性に優れたすべり装置が得
られる。
【0041】本発明のキャリッジは、射出成形体の比重
が 1.9〜3.0 で熱伝導率が 0.5〜5kcal/m・hr・℃以上
であるので、高記録密度や過酷な振動条件で使用される
場合であっても、誤動作の発生や半導体レーザ等の寿命
低下を抑えることができるすべり装置のキャリッジとし
て使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】直線移動用のすべり装置とキャリッジの斜視図
である。
【図2】直線移動用のすべり装置と滑り軸受を有するキ
ャリッジの斜視図である。
【符号の説明】
1 主軸 2 補助軸 3 キャリッジ 4 摺動部 4a 滑り軸受 5 半導体レーザ(フォトカプラー) 6 スタンド

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸と、この軸の外周面に摺動案内される
    摺動部を有するキャリッジとを備えたすべり装置におい
    て、前記キャリッジは、樹脂組成物の成形体からなり、
    比重が 1.9〜3.0 で熱伝導率が 0.5〜5 kcal/m・hr・℃
    であることを特徴とするすべり装置。
  2. 【請求項2】 前記樹脂組成物は、無機充填材と、繊維
    状補強材および摺動特性向上材から選ばれた少なくとも
    一つの配合材とが配合されてなることを特徴とする請求
    項1記載のすべり装置。
  3. 【請求項3】 前記成形体が射出成形体であることを特
    徴とする請求項1または請求項2記載のすべり装置。
  4. 【請求項4】 前記キャリッジの摺動部が射出成形面で
    形成されてなることを特徴とする請求項3記載のすべり
    装置。
  5. 【請求項5】 前記キャリッジの摺動部が滑り軸受で形
    成されてなることを特徴とする請求項3記載のすべり装
    置。
  6. 【請求項6】 摺動孔を有する射出成形体からなるキャ
    リッジにおいて、前記射出成形体の比重が 1.9〜3.0 で
    熱伝導率が 0.5〜5 kcal/m・hr・℃以上であることを特
    徴とするキャリッジ。
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