JPH1135782A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JPH1135782A
JPH1135782A JP20393797A JP20393797A JPH1135782A JP H1135782 A JPH1135782 A JP H1135782A JP 20393797 A JP20393797 A JP 20393797A JP 20393797 A JP20393797 A JP 20393797A JP H1135782 A JPH1135782 A JP H1135782A
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Sumi Yanagii
寿美 楊井
Hideyuki Fujii
秀幸 藤井
Yasuaki Ii
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性で、高い流動性と良好な耐候性、な
らびに優れた顔料着色性を有する熱可塑性樹脂組成物の
開発。 【解決手段】 (A)(a−1)ポリオルガノシロキサ
ンと(a−2)アルキル(メタ)アクリレートゴムとか
らなる複合ゴム((a−1)+(a−2))に、(a−
3)芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、
アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選
ばれる少なくとも一種の単量体をグラフト重合してなる
グラフト重合体、および(B)芳香族アルケニル化合物
成分とメタクリル酸エステル成分とを必須の構成成分と
する共重合体を含有させて熱可塑性樹脂組成物を構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成
物に関し、より詳しくは耐衝撃性、流動性、耐候性およ
び顔料着色性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】樹脂
材料の耐衝撃性を向上させることは、材料の用途の拡大
だけでなく成形品の薄肉化や大型化への対応を可能にす
るなど、工業的な有用性は非常に大きく、これまで様々
な手法によって開発がなされてきた。
【0003】特に、ガラス転移温度(Tg)や弾性率の
低いゴム成分を樹脂マトリックス中に分散させた樹脂材
料はその優れた耐衝撃性を特長として工業化に至ってい
る。
【0004】このうち、ゴム成分として耐候性、耐衝撃
性および熱安定性に優れたポリオルガノシロキサンとア
ルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合ゴムを
含むグラフト共重合体を用いた樹脂材料が特開平1−1
90746号公報および米国特許第2,558,126
号明細書等に提案されている。さらに、その顔料着色性
の改良について、特開平8−41149号公報には、特
定のポリジメチルシロキサンとアルキル(メタ)アクリ
レートゴムとからなる複合ゴムに、ビニル単量体がグラ
フト重合したグラフト共重合体とアクリロニトリル−ス
チレン共重合体を構成成分とする樹脂組成物が、また、
特開平8−199025号公報には、特定のポリオルガ
ノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムとか
らなる複合ゴムに、ビニル単量体がグラフト重合したグ
ラフト共重合体とマレイミド系共重合体を構成成分とす
る樹脂組成物が、さらに、特開平8−283524号公
報には、ポリオルガノシロキサンとアルキル(メタ)ア
クリレートゴムとからなる複合ゴムに、ビニル単量体が
グラフト重合したグラフト共重合体とポリメチルメタク
リレート樹脂を構成成分とする樹脂組成物が提案されて
いる。
【0005】しかしながら、特開平8−41149号公
報に記載される樹脂組成物は、耐衝撃性および溶融成形
時の流動性には優れるものの、マトリックス樹脂として
アクリロニトリル−スチレン共重合体を使用しているた
めに、耐候性が十分でなく、屋外での使用に際して制限
が生じる等の欠点があった。また、特開平8−1990
25号公報に記載される樹脂組成物は、耐衝撃性および
耐熱性には優れるものの、マトリックス樹脂としてマレ
イミド系樹脂を使用しているために、成形品が着色しや
すく色調が重要視される用途への使用ができなかった。
また、特開平8−283524号公報に記載される樹脂
組成物は、耐衝撃性で、屋内外の使用においても成形品
の変色は少なく、良好な耐候性を有しているものの、マ
トリックス樹脂としてポリメタクリレート樹脂を使用し
ているため、溶融成形時の流動性が低く、自動車部材の
ように大型あるいは薄肉形状を有する成形品の射出成形
が困難であり、そのために利用できる成形品の形状ある
いは加工法等に制限が生じるという問題があった。
【0006】すなわち、従来は、ポリオルガノシロキサ
ンとアルキル(メタ)アクリレートゴムとからなる複合
ゴムを含むグラフト共重合体と熱可塑性樹脂を構成成分
とする樹脂組成物において、高い溶融成形時の流動性と
変色の少ない良好な耐候性を有する材料は未だ見出され
ておらず、これらを同時に満足する樹脂材料の開発が強
く望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリオル
ガノシロキサンとアルキル(メタ)アクリレートゴムか
らなる複合ゴムを含むグラフト共重合体と熱可塑性樹脂
とからなる樹脂組成物について、マトリックス樹脂の成
分構成と得られる樹脂組成物の流動性および耐候性につ
いて鋭意検討した結果、驚くべきことに、特定の重合体
をマトリックスに用いることにより、耐衝撃性で、従来
にない優れた流動性と耐候性を示し、かつ優れた顔料着
色性を有する樹脂組成物が得られることを見出し本発明
に到達した。
【0008】すなわち本発明は、(A)(a−1)ポリ
オルガノシロキサンと(a−2)アルキル(メタ)アク
リレートゴムとからなる複合ゴム((a−1)+(a−
2))に、(a−3)芳香族アルケニル化合物、メタク
リル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン化ビ
ニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体をグラ
フト重合してなるグラフト共重合体、および(B)芳香
族アルケニル化合物成分とメタクリル酸エステル成分を
必須の構成成分とする共重合体、からなる熱可塑性樹脂
組成物にある。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明におけるグラフト共重合体
(A)を構成するポリオルガノシロキサン(a−1)と
しては特に限定されるものではないが好ましくは、ビニ
ル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンであ
る。さらに好ましくは、ビニル重合性官能基含有シロキ
サン単位0.3〜3モル%およびジメチルシロキサン単
位97〜99.7モル%からなり、さらに3個以上のシ
ロキサン結合を有するケイ素原子がポリジメチルシロキ
サン中の全ケイ素原子に対し1モル%以下の場合であ
る。
【0010】ポリオルガノシロキサン(a−1)中のビ
ニル重合性官能基含有シロキサン単位が0.3モル%未
満では、アルキル(メタ)アクリレートゴム(a−2)
との複合化が不十分となり、グラフト共重合体(A)を
含む樹脂組成物の成形品表面におけるポリオルガノシロ
キサンのブリードアウトに由来する外観不良が発生しや
すい。また、ポリオルガノシロキサン(a−1)中のビ
ニル重合性官能基含有シロキサン単位が3モル%を超え
るか、または3個以上のシロキサン結合を有するケイ素
原子がポリオルガノシロキサン中の全ケイ素原子に対し
1モル%を超える場合は、グラフト共重合体(A)を含
む樹脂組成物の耐衝撃性が低くなりやすい。
【0011】さらにグラフト共重合体(A)を含む樹脂
組成物の耐衝撃性と成形外観の両方を考慮すると、ポリ
オルガノシロキサン(a−1)中のビニル重合性官能基
含有シロキサン単位を0.5〜2モル%とすることが好
ましく、より好ましくは0.5〜1モル%である。
【0012】上記ポリオルガノシロキサン(a−1)の
製法としては、ジメチルシロキサンとビニル重合性官能
基含有シロキサンからなる混合物、またはさらに必要に
応じてシロキサン系架橋剤を含む混合物を乳化剤と水に
よって乳化させたラテックスを、高速回転による剪断力
で微粒子化するホモミキサーや、高圧発生機による噴出
力で微粒子化するホモジナイザー等を使用して微粒子化
した後、酸触媒を用いて高温下で重合させ、次いでアル
カリ性物質により酸を中和する方法が挙げられる。
【0013】重合に用いる酸触媒の添加方法としては、
シロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合する方
法と、シロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高
温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法等があるが、
ポリオルガノシロキサンの粒子径の制御のしやすさを考
慮するとシロキサン混合物が微粒子化したラテックスを
高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法が好まし
い。
【0014】ポリオルガノシロキサン粒子の大きさは特
に限定されないが、グラフト共重合体(A)を含む樹脂
組成物の顔料着色性を考慮すると、重量平均粒子径は
0.2μm以下が好ましく、より好ましくは0.1μm
以下である。
【0015】また、ポリオルガノシロキサン(a−1)
の製造に用いるジメチルシロキサンとしては、3員環以
上のジメチルシロキサン系環状体が挙げられ、3〜6員
環のものが好ましい。具体的にはヘキサメチルシクロト
リシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、
デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシク
ロヘキサシロキサン等が挙げられるが、これらは単独で
または二種以上混合して用いられる。
【0016】また、ビニル重合性官能基含有シロキサン
としては、ビニル重合性官能基を含有し、かつジメチル
シロキサンとシロキサン結合を介して結合しうるもので
あり、ジメチルシロキサンとの反応性を考慮するとビニ
ル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物
が好ましい。具体的には、β−メタクリロイルオキシエ
チルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキ
シプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイ
ルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタク
リロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタ
クリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ
−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラ
ンおよびδ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメ
チルシラン等のメタクリロイルオキシシロキサン、テト
ラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニ
ルシロキサン、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシ
ラン、さらにγ−メルカプトプロピルジメトキシメチル
シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等
のメルカプトシロキサンが挙げられる。これらビニル重
合性官能基含有シロキサンは、単独でまたは二種以上の
混合物として用いることができる。
【0017】シロキサン系架橋剤としては、3官能性ま
たは4官能性のシラン系架橋剤、例えばトリメトキシメ
チルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシ
ラン等が用いられる。
【0018】また、本発明におけるポリオルガノシロキ
サン(a−1)製造の際用いる乳化剤としては、アニオ
ン系乳化剤が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸ナ
トリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル
硫酸エステルナトリウムなどの中から選ばれた乳化剤が
使用される。特にアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、ラウリルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸系
の乳化剤が好ましい。これらの乳化剤は、シロキサン混
合物100重量部に対して0.05〜5重量部程度の範
囲で使用される。使用量が少ないと分散状態が不安定と
なり微小な粒子径の乳化状態を保てなくなる。また、使
用量が多いとこの乳化剤に起因する樹脂組成物成形品が
着色するようになる。
【0019】シロキサン混合物、乳化剤、水および/ま
たは酸触媒を混合する方法は、高速撹拌による混合、ホ
モジナイザーなどの高圧乳化装置による混合などがある
が、ホモジナイザーを使用した方法は、ポリオルガノシ
ロキサンラテックスの粒子径の分布が小さくなるので好
ましい方法である。
【0020】ポリオルガノシロキサン(a−1)の重合
に用いる酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置
換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン
酸などのスルホン酸類および硫酸、塩酸、硝酸などの鉱
酸類が挙げられる。これらの酸触媒は一種でまたは二種
以上を組み合わせて用いられる。また、これらの中で
は、ポリオルガノシロキサンラテックスの安定化作用に
も優れている点で脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ま
しく、n−ドデシルベンゼンスルホン酸が特に好まし
い。また、n−ドデシルベンゼンスルホン酸と硫酸など
の鉱酸とを併用すると、ポリオルガノシロキサンラテッ
クスの乳化剤成分に起因する樹脂組成物の着色を低減さ
せることができる。
【0021】ポリオルガノシロキサンの重合温度は、5
0℃以上が好ましく、より好ましくは80℃以上であ
る。
【0022】ポリオルガノシロキサン(a−1)の重合
時間は、酸触媒をシロキサン混合物、乳化剤および水と
ともに混合、微粒子化させて重合する場合は2時間以
上、さらに好ましくは5時間以上であり、酸触媒の水溶
液中にシロキサン混合物が微粒子化したラテックスを低
下する方法では、ラテックスの滴下終了後1時間程度保
持することが好ましい。重合の停止は、反応液を冷却
し、さらにラテックスを苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ナ
トリウムなどのアルカリ性物質で中和することによって
行うことができる。
【0023】本発明におけるグラフト共重合体(A)を
構成するアルキル(メタ)アクリレートゴム(a−2)
は、アルキル(メタ)アクリレートと多官能性アルキル
(メタ)アクリレートとの重合物である。アルキル(メ
タ)アクリレートとしては、例えばメチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、
n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレ
ート等のアルキルアクリレートおよびヘキシルメタクリ
レート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウ
リルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げ
られ、特にn−ブチルアクリレートの使用が好ましい。
多官能性アルキル(メタ)アクリレートとしては、例え
ばアリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能性アル
キル(メタ)アクリレートの使用量は、アルキル(メ
タ)アクリレート成分中0.1〜20重量%であること
が好ましく、より好ましくは0.2〜5重量%、さらに
好ましくは0.2〜1重量%である。アルキル(メタ)
アクリレートや多官能性アルキル(メタ)アクリレート
は単独でまたは二種以上併用して用いられる。
【0024】本発明におけるグラフト共重合体(A)の
構成成分であるポリオルガノシロキサン(a−1)とア
ルキル(メタ)アクリレートゴム(a−2)からなる複
合ゴム((a−1)+(a−2))は、ポリオルガノシ
ロキサン(a−1)成分のラテックス中へ上記アルキル
(メタ)アクリレート成分を添加し、通常のラジカル重
合開始剤を作用させて重合することによって調製でき
る。アルキル(メタ)アクリレートを添加する方法とし
ては、ポリオルガノシロキサン(a−1)成分のラテッ
クスと一括で混合する方法とポリオルガノシロキサン
(a−1)成分のラテックス中に一定速度で滴下する方
法がある。なお、得られるグラフト共重合体(A)を含
む樹脂組成物の耐衝撃性を考慮するとポリオルガノシロ
キサン(a−1)成分のラテックスを一括で混合する方
法が好ましい。
【0025】本発明における複合ゴム((a−1)+
(a−2))中のポリオルガノシロキサン(a−1)の
量は1〜20重量%であることが好ましい。1重量%未
満ではポリオルガノシロキサン量が少ないため耐衝撃性
が低くなりやすく、また、一方、20重量%を超えると
グラフト共重合体(A)を含む樹脂組成物から得られる
成形品の顔料着色性が低下する傾向を示す。また、グラ
フト共重合体(A)を含む樹脂組成物の耐衝撃性と顔料
着色性の両方を考慮すると、複合ゴム((a−1)+
(a−2))中のポリオルガノシロキサン(a−1)の
量は、より好ましくは6〜20重量%、さらに好ましく
は10〜20重量%である。
【0026】重合に用いるラジカル重合開始剤として
は、過酸化物、アゾ系開始剤、または酸化剤・還元剤を
組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。この中
では、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄
・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリッ
ト・ヒドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレ
ート系開始剤が好ましい。
【0027】複合ゴム((a−1)+(a−2))を得
るに当っての重合温度は特に限定されないが50〜90
℃の温度で行うことが好ましい。
【0028】本発明の樹脂組成物を構成するグラフト共
重合体(A)は、上記の如く乳化重合によって製造され
た複合ゴムに、(a−3)芳香族アルケニル化合物、メ
タクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよびシアン
化ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体を
グラフト重合することによって製造することができる。
【0029】グラフト共重合体(A)を得るのに使用さ
れる、芳香族アルケニル化合物としては、例えばスチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等であり、メ
タクリル酸エステルとしては、例えばメチルメタクリレ
ート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタ
クリレート等であり、アクリル酸エステルとしては、例
えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチル
アクリレート等であり、シアン化ビニル化合物として
は、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等で
ある。このうち、グラフト共重合体(A)を含む樹脂組
成物の熱安定性を考慮するとスチレンおよびアクリロニ
トリルの混合物が好ましい。
【0030】グラフト重合は、複合ゴム((a−1)+
(a−2))のラテックスに、(a−3)芳香族アルケ
ニル化合物、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステ
ルおよびシアン化ビニル化合物から選ばれた少なくとも
一種の単量体を加え、ラジカル重合により一段であるい
は多段で行うことができるが、得られるグラフト共重合
体を含む樹脂組成物の耐衝撃性および顔料着色性を考慮
すると二段以上で重合を行うことが好ましい。また、上
記グラフト重合において用いる単量体中にはグラフトポ
リマーの分子量やグラフト率を調製するための各種連鎖
移動剤を添加することができる。
【0031】本発明におけるグラフト共重合体(A)を
構成するのに使用される単量体である(a−3)成分の
量は、特に限定されないがグラフト共重合体(A)に対
し(a−3)成分が50〜80重量%であることが好ま
しく、より好ましくは50〜70重量%、さらに好まし
くは50〜60重量%である。(a−3)成分量が50
重量%未満では得られる樹脂組成物の顔料着色性が低下
する傾向を示し、また、一方、80重量%を超えるとゴ
ム量が低くなるため耐衝撃性が低くなりやすい。
【0032】グラフト重合体(A)を得るに当って重合
温度は特に限定されないが、60〜80℃の温度で行わ
れる。
【0033】また、上記のごとく調製されるグラフト共
重合体(A)の粒子径は特に限定されるものではない
が、得られる樹脂組成物の耐衝撃性と顔料着色性の両方
を考慮すると、数平均粒子径が0.10〜0.5μmで
あることが好ましく、より好ましくは0.10〜0.3
0μm、さらに好ましくは0.10〜0.15μmであ
る。
【0034】本発明で用いられるグラフト共重合体
(A)は、上記のごとくに製造したグラフト共重合体ラ
テックスを酢酸カルシウムまたは硫酸アルミニウム等の
金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩折、凝固すること
によりグラフト共重合体を分離し、回収することができ
る。
【0035】本発明の樹脂組成物を構成する共重合体
(B)は、芳香族アルケニル化合物とメタクリル酸エス
テルを必須の構成成分とする共重合体であって、必要に
応じてこれらと共重合可能な他のビニル単量体成分を含
むことができる。共重合体(B)を構成するのに使用さ
れる芳香族アルケニル化合物としては、スチレン、α−
メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルス
チレン、p−ブロモスチレン、p−クロロスチレン等が
挙げられ、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピ
ル、メタクリル酸n−ブチル等が挙げられる。また、こ
れらと共重合可能な他のビニル単量体としては、アクリ
ロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、マ
レオニトリル、N−置換マレイミド化合物、無水マレイ
ン酸等の不飽和酸無水物、塩化ビニル等のハロゲン化ビ
ニル化合物、エチレン、プロピレン等の不飽和炭化水素
およびアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸
が挙げられる。
【0036】本発明で用いられる共重合体(B)を構成
する芳香族アルケニル化合物成分、メタクリル酸エステ
ル成分およびこれらと共重合可能な他のビニル単量体成
分の含有量としては特に限定されるものではないが、得
られる樹脂組成物の流動性、耐候性、耐衝撃性および熱
安定性を考慮すると、芳香族アルケニル化合物成分が1
〜99重量%、メタクリル酸エステル成分が99〜1重
量%および共重合可能な他のビニル単量体成分が0〜4
0重量%であることが好ましい。より好ましくは、芳香
族アルケニル化合物成分が5〜80重量%、メタクリル
酸エステル成分が95〜20重量%および共重合可能な
他のビニル単量体成分0〜40重量%である。
【0037】また、本発明で用いられる共重合体(B)
の分子量は特に限定されないが、得られる樹脂組成物の
流動性、耐候性、機械特性を考慮すると、重量平均分子
量が50,000〜500,000の範囲が好ましく、
より好ましくは50,000〜300,000の範囲で
ある。
【0038】本発明で用いられる共重合体(B)は、芳
香族アルケニル化合物成分とメタクリル酸エステル成分
を必須成分として含有することが重要であり、例えば芳
香族アルケニル化合物のみを必須成分とした場合は、得
られる樹脂組成物の耐候性が低下し、一方、メタクリル
酸エステル成分のみを必須成分とした場合は、得られる
樹脂組成物の流動性が低下するようになる。
【0039】本発明で用いられる共重合体(B)は、通
常公知の乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法および塊
状重合法によって得ることができる。このうち、得られ
る共重合体の熱安定性および生産性を考慮すると、懸濁
重合法および塊状重合法を用いて製造することが好まし
い。
【0040】本発明の樹脂組成物は、上記のごとく製造
したグラフト共重合体(A)と共重合体(B)を必須成
分とするものである。樹脂組成物中の各成分の含有量は
特に限定されないが、得られる樹脂組成物の耐衝撃性、
剛性、流動性および耐候性を考慮すると、好ましい含有
量の範囲は、合計量を100重量部としたとき、グラフ
ト共重合体(A)0.1〜99.8重量部に対して共重
合体(B)99.9〜0.2重量部の範囲であり、より
好ましくはグラフト共重合体(A)10〜70重量部に
対して共重合体(B)30〜90重量部となる範囲であ
り、さらに好ましくはグラフト共重合体(A)20〜5
0重量部に対して共重合体(B)50〜80重量部とな
る範囲である。
【0041】本発明の樹脂組成物は、通常、公知の混合
混練方法、例えば粉末、ビーズ、またはペレット状態の
樹脂を所定量秤量して混合し、得られた混合物を溶融混
練する方法等により得ることができる。溶融混練する際
には、押出機または、バンバリーミキサー、加圧ニーダ
ー、ロール等の混練機等を用いればよい。
【0042】本発明の樹脂組成物は、そのまま成形品の
製造原料に供することができる。また、さらに必要に応
じて染料、顔料、安定剤、補強剤、充填材、難燃剤等を
配合することができる。
【0043】本発明の樹脂組成物は、射出成形法、押出
成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、カレンダー成形
法、インフレーション成形法等の各種成形方法によっ
て、目的の成形品とされる。
【0044】
【実施例】以下実施例により本発明を説明する。なお、
参考例、実施例および比較例において『部』および
『%』は特に断らない限り『重量部』および『重量%』
を意味する。
【0045】また、参考例、実施例および比較例におけ
る物性の評価は以下に示す方法によって行った。
【0046】(1)重量平均粒子径 ラテックス中のポリオルガノシロキサンの重量平均粒子
径およびラテックス中のグラフト共重合体の重量平均粒
子径は、大塚電子(株)製、DLS−700型を用いた
動的光散乱法により求めた。
【0047】(2)アイゾット衝撃強度 ASTM D256に準拠して測定した。
【0048】(3)スパイラル流動長 幅15mm、厚み2mmのスパイラル状の射出成形用金
型による射出成形を、東芝機械(株)製、射出成形機I
S−100ENを用いて、シリンダー設定温度230
℃、金型温度60℃、インジェクションスピード50%
および射出圧力設定53%の条件で行い、射出成形した
成形品の樹脂の流動方向の長さを測定することによって
行った。
【0049】(4)顔料着色性 東芝機械(株)製、射出成形機IS−100ENで成形
した100mm×100mm×厚さ3mmの黒着色板を
用いてJIS Z8729に準拠した色相測定によって
測定した。
【0050】(5)耐候性 100mm×100mm×厚さ3mmの白着色板をサン
シャインウエザーメーター(スガ試験機(株)製)で1
000時間処理した後の色差計で測定した変色の度合い
(ΔE)および下記式(1)で算出した光沢度保持率に
より評価した。
【0051】
【数1】
【0052】[参考例1]グラフトの共重合体S−1の
製造 オクタメチルシクロテトラシロキサン98部、γ−メタ
クリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン2部
を混合してシロキサン系混合物100部を得た。これに
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部を溶
解した蒸留水300部を添加し、ホモミキサーにて10
000回転/分で2分間撹拌した後、ホモジナイザーに
300kg/cm2 の圧力で1回通し、安定な予備混合
オルガノシロキサンラテックスを得た。
【0053】一方、試薬注入容器、冷却管、ジャケット
加熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸10部と蒸留水90部とを注入し、1
0%のドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を調製した。
この水溶液を85℃に加熱した状態で、予備混合オルガ
ノシロキサンラテックスを4時間にわたって滴下し、滴
下終了後1時間温度を維持し、冷却した。次いで、この
反応物を苛性ソーダ水溶液で中和した。このようにして
得られたラテックスを170℃で30分間乾燥して固形
分を求めたところ、17.7%であった。また、ラテッ
クス中のポリオルガノシロキサンの重量平均粒子径は、
0.05μmであった。
【0054】次に、試薬注入容器、冷却管、ジャケット
加熱機および撹拌装置を備えた反応器内に、上記ポリオ
ルガノシロキサンラテックス53.3部、N−ラウロイ
ルザルコシンナトリウム0.3部を採取し、蒸留水25
8.5部を添加混合した後、n−ブチルアクリレート5
7部、アリルメタクリレート0.3部、1,3−ブチレ
ングリコールジメタクリレート0.1部およびキュメン
ヒドロパーオキサイド0.14部の混合物を添加した。
この反応器に窒素気流を通して、雰囲気の窒素置換を行
い、60℃まで昇温した。内部の液温が60℃となった
時点で、硫酸第一鉄0.0001部、エチレンジアミン
四酢酸二ナトリウム塩0.0003部およびロンガリッ
ト0.24部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加
し、ラジカル重合を開始せしめた。アクリレート成分の
重合により、液温は78℃まで上昇した。1時間この状
態を維持し、アクリレート成分の重合を完結させてポリ
オルガノシロキサンとn−ブチルアクリレートゴムとか
らなる複合ゴムのラテックスを得た。
【0055】次いで、反応器内部の液温が60℃に低下
した後、ロンガリット0.4部を蒸留水10部に溶解し
た水溶液を添加し、次いで、アクリロニトリル12.9
部、スチレン38.8部およびキュメンヒドロパーオキ
サイド0.23部の混合液を2時間にわたって滴下し重
合した。滴下終了後、温度60℃の状態を1時間保持し
た後、硫酸第一鉄0.0002部、エチレンジアミン四
酢酸二ナトリウム塩0.0006部およびロンガリット
0.23部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加
し、次いで、アクリロニトリル7.4部、スチレン2
2.2部およびキュメンヒドロパーオキサイド0.13
部の混合液を2時間にわたって滴下し重合した。滴下終
了後、温度60℃の状態を1時間保持した後冷却し、ポ
リオルガノシロキサンとn−ブチルアクリレートゴムと
からなる複合ゴムに、アクリロニトリルおよびスチレン
をグラフト重合させたグラフト共重合体のラテックスを
得た。得られたラテックス中のグラフト共重合体の重量
平均粒子径は、0.13μmであった。次いで、硫酸ア
ルミニウムを7.5%の割合で溶解した水溶液150部
を60℃に加熱し撹拌した。この中へ上記のグラフト共
重合体ラテックス100部を徐々に滴下し凝固した。次
いで、析出物を分離し、洗浄した後乾燥して、グラフト
共重合体S−1を得た。
【0056】[参考例2]重合体MS−1の製造 冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備えた耐圧
反応器内に、水250部、スチレン40部、メタクリル
酸メチル60部、アゾビスイソブチロニトリル0.02
部、n−オクチルメルカプタン0.4部およびメタクリ
ル酸メチル30重量%とメタクリル酸カリウム70重量
%とからなる重合体0.15部およびメタクリル酸メチ
ル25重量%、メタクリル酸カリウム10重量%および
2−スルホエチルメタクリル酸ソーダ65重量%とから
なる重合体0.5部を仕込み、碇型撹拌棒を用いて40
0回転/毎分の条件で撹拌した。次いで、ジャケット加
熱機により内温を80℃まで昇温し、3時間重合反応を
行った。次に、再びジャケット加熱機により内温を10
0℃まで昇温し、20分間保持して反応を完結させた。
内容物を冷却後、遠心脱水機を用いて洗浄、脱水を繰り
返し、さらに得られた固形物を乾燥して、白色粒状の共
重合体MS−1を得た。この得られた重合体MS−1の
重量平均分子量は、90,000であった。
【0057】[参考例3]重合体MS−2の製造 共重合体MS−1の製造において、スチレンの量を40
部から25部に、そしてメタクリル酸メチルの量を60
部から75部にそれぞれ変更した以外は共重合体MS−
1と同様の方法を繰り返して白色粒状の共重合体MS−
2を得た。この得られた重合体MS−2の重量平均分子
量は、70,000であった。
【0058】[参考例4]重合体M−1の製造 冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備えた耐圧
反応器内に、水250部、メタクリル酸メチル99部、
アクリル酸メチル1部、アゾビスイソブチロニトリル
0.20部、n−オクチルメルカプタン0.4部、メタ
クリル酸メチル30重量%とメタクリル酸カリウム70
重量%とからなる重合体0.15部、およびメタクリル
酸メチル25重量%、メタクリル酸カリウム10重量%
および2−スルホエチルメタクリル酸ソーダ65重量%
とからなる重合体0.5部を仕込み、碇型撹拌棒を用い
て400回転/毎分の条件で撹拌した。次いで、ジャケ
ット加熱機により内温を80℃まで昇温し、3時間重合
反応を行った。次に、再びジャケット加熱機により内温
を100℃まで昇温し、20分間保持して反応を完結さ
せた。次いで、内容物を冷却後、遠心脱水機を用いて洗
浄、脱水を繰り返し、さらに得られた固形物を乾燥し
て、白色粒状の共重合体M−1を得た。この得られた共
重合体M−1の重量平均分子量は、90,000であっ
た。
【0059】[参考例5]共重合体A−1の製造 冷却管、ジャケット加熱機および撹拌装置を備えた耐圧
反応器内に、水150部、アクリロニトリル25部、ス
チレン75部、アゾビスイソブチロニトリル0.20
部、t−ドデシルメルカプタン0.4部およびポリビニ
ルアルコール0.7部を仕込み、碇型撹拌棒を用いて4
00回転/毎分の条件で撹拌した。次いで、ジャケット
加熱機により内温を75℃まで昇温し、2時間重合反応
を行った。次に、再びジャケット加熱機により内温を1
10℃まで昇温し、20分間保持して反応を完結させ
た。次いで、内容物を冷却後、遠心脱水機を用いて洗
浄、脱水を繰り返し、さらに得られた固形物を乾燥し
て、白色粒状の共重合体A−1を得た。この得られた重
合体A−1の重量平均分子量は、80,000であっ
た。
【0060】[実施例1〜2、比較例1〜3]参考例1
〜5にて製造したグラフト共重合体S−1および共重合
体MS−1、MS−2、M−1、A−1、ならびにポリ
スチレン(スミブライトM−140、住友化学工業
(株)製)を表1に示す割合でそれぞれ混合し、さらに
熱安定剤として、アデカスタブC(旭電化工業(株)
製)を0.3部、離型剤としてステアリン酸バリウムを
0.4部、滑剤としてEBS(エチレンビスステアレー
ト)を0.4部、光安定剤としてアデカスタブLA−6
3P(旭電化工業(株)製)を0.2部、アデカスタブ
LA−36(旭電化工業(株)製)を0.2部、さらに
着色剤として酸化チタン(CR60−2、石原産業
(株)製)を3.0部添加した後ヘンシェルミキサーを
用いて十分混合して樹脂組成物を得た。これらの樹脂組
成物をバレル温度を230℃に設定した二軸押出機で賦
形し、白着色したペレットを得た。次いで、この得られ
たペレットをシリンダー温度230℃、金型温度60℃
に設定した射出成形機で射出成形して、100mm×1
00mm×厚さ3mmの白着色板を得た。この白着色板
を用いて行った耐候性試験結果を表1に示した。また、
得られたペレットを用いてスパイラル流動長の測定を行
った。結果を表1に示した。また、得られたペレットを
用いてアイゾット衝撃強度測定用の試験片を射出成形に
より作製し、これを用いてアイゾット衝撃強度の測定を
行った。結果を表1に示した。
【0061】また、上記樹脂組成物において、着色剤を
酸化チタン3.0部からカーボンブラック(三菱化学
(株)製)0.8部に変更し、それぞれを同様のブレン
ド、賦形を行い黒着色したペレットを得た。次いで、こ
のペレットを用いて上記と同じ条件で射出成形を行って
100mm×100mm×厚さ3mmの黒着色板を得
た。この黒着色板を用いて行った顔料着色性の評価結果
を表1に示した。
【0062】
【表1】
【0063】実施例および比較例より、以下のことが明
らかとなった。 (1)実施例1〜2に示す本発明の樹脂組成物は、マト
リックス樹脂として((B)成分)スチレン−メタクリ
ル酸メチル共重合体を用いているため、耐衝撃性で、高
い光沢度の保持率および良好な耐変色性(ΔE)を示
し、かつ高い流動性および良好な顔料着色性を有してお
り、高いレベルの耐候性、成形性および発色性が必要と
なる用途、例えば自動車外装品等に好適に使用すること
ができる。 (2)比較例1に示す本発明外の樹脂組成物は、マトリ
ックス樹脂としてメタクリル樹脂を用いているため、耐
衝撃性で、優れた耐候性および顔料着色性を有してはい
るものの、流動性が低く、大型あるいは薄肉形状を有す
る成形品の射出成形が困難であり、利用できる成形品の
形状、あるいは加工法に制限が生じる。 (3)比較例2に示す本発明外の樹脂組成物は、マトリ
ックス樹脂としてスチレン−アクリロニトリル共重合体
を用いているため、優れた耐衝撃性と高い流動性を示す
ものの、顔料着色性が十分でなく、特に耐変色性(Δ
E)が高く、耐候性が要求される用途には使用すること
ができない。 (4)比較例3に示す本発明外の樹脂組成物は、マトリ
ックス樹脂としてポリスチレンを用いているために、耐
衝撃性で高い流動性を示すものの、顔料着色性が十分で
なく、特に光沢度の保持性および耐変色性がともに悪い
ため、耐候性が要求される用途には使用することができ
ない。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の樹脂組成
物は、耐衝撃性で、高い溶融成形時の流動性と良好な耐
候性、ならびに優れた顔料着色性を同時に有し、特に、
そのバランスは、従来知られているポリオルガノシロキ
サンとアクリレートゴムからなる複合ゴムをゴム源とし
た樹脂材料では得られない非常に高いレベルであり、各
種工業用材料としての利用価値は極めて高いものであ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(a−1)ポリオルガノシロキサ
    ンと(a−2)アルキル(メタ)アクリレートゴムとか
    らなる複合ゴム((a−1)+(a−2))に、(a−
    3)芳香族アルケニル化合物、メタクリル酸エステル、
    アクリル酸エステルおよびシアン化ビニル化合物から選
    ばれる少なくとも一種の単量体をグラフト重合してなる
    グラフト共重合体、および(B)芳香族アルケニル化合
    物成分とメタクリル酸エステル成分を必須の構成成分と
    する共重合体、からなる熱可塑性樹脂組成物。
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