JPH11353451A - 磁気記録媒体および磁気記録方法 - Google Patents

磁気記録媒体および磁気記録方法

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JPH11353451A
JPH11353451A JP10172226A JP17222698A JPH11353451A JP H11353451 A JPH11353451 A JP H11353451A JP 10172226 A JP10172226 A JP 10172226A JP 17222698 A JP17222698 A JP 17222698A JP H11353451 A JPH11353451 A JP H11353451A
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JP
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heating
recording
track
saturation magnetization
magnetic
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Withdrawn
Application number
JP10172226A
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English (en)
Inventor
Masahiro Ito
正宏 伊藤
Shohei Mimura
升平 三村
Masao Shigeta
政雄 重田
Tsutomu Cho
勤 長
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TDK Corp
Toppan Infomedia Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Magnetic Printing Co Ltd
TDK Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱により不可逆的な飽和磁化変化を生じる
不可逆記録層を有する磁気記録媒体において、媒体の変
造や偽造を防ぐ。 【解決手段】 基体上の少なくとも一部に、加熱により
飽和磁化が不可逆的に変化する不可逆記録層を有し、こ
の不可逆記録層内に、少なくとも1本の記録トラックを
有する磁気記録媒体であって、加熱バーがバーコード状
に配列したトラック要素が、少なくとも2本互いにほぼ
平行に配置されて1本の記録トラックを構成しており、
この記録トラックの少なくとも一部に、少なくとも2本
のトラック要素の間で加熱バーの配列パターンが異なる
非対称領域が存在する磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気カード等の磁
気記録媒体およびこの磁気記録媒体に記録する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気カードの普及は著しく、種々
の分野で利用されている。とりわけ、金額情報等が磁気
情報として記録され、使用するつど金額が減算されて書
き換えられるカード(プリペイドカード)への用途が拡
大している。
【0003】この用途では、記録情報の改竄による磁気
カードの変造や、カード自体の偽造が容易であっては、
システムの安全性を著しく低下させてしまう。このた
め、情報の改竄を防止するための保護機能をもつ磁気カ
ードが要望され、これに応じて種々の磁気カードが提
案、実用化されている。例えば、磁気カードの一部に特
殊な材料からなる領域を形成することにより、カード自
体の偽造を困難にしたり、その領域を検知してカードの
真偽判定を行なうもの、カードの層構成を複雑にするも
のなどである。
【0004】これらの保護機能を採用した磁気カードは
大量に偽造したり複製したりすることは困難になるもの
の、例えば1枚のカードの金額情報等を書き換えるなど
の改竄により、使用済みのカード情報を初期の金額情報
に戻すことは可能であった。この対策として、使用度数
に応じてパンチで穿孔する方法もあるが、この方法では
きめ細かく対応できないこと、抜きカスが出ること、パ
ンチ孔を埋めて修復されることなどの問題がある。この
他、感熱記録などにより使用度数に応じて可視情報を記
録することも考えられるが、可視情報の読み取りは光学
的に行なう必要があるので、汚れに弱いという問題があ
る。また、可視情報であるため、記録の改竄が容易であ
る。また、光学的読み取り装置は高価であるという問題
もある。
【0005】このような事情から、特開平8−7762
2号公報には、(結晶質のときの飽和磁化)/(非晶質
のときの磁化)が5以上である合金を磁気記録材料とし
て用いた不可逆記録層を有する磁気記録媒体が提案され
ている。この磁気記録媒体は、加熱により飽和磁化が不
可逆的に変化する記録材料からなる不可逆記録層を有す
るものである。この記録材料は、飽和磁化が加熱により
変化するが、飽和磁化を加熱前の値まで戻すためには、
磁気記録媒体の変形や溶融が生じる程度まで加熱する必
要があるので、実質的に書き換えが不可能であり、安全
性が高い。
【0006】しかし、このような不可逆記録層は、書き
換えは不可能ではあるが、追記は可能であるため、追記
によるデータ改竄のおそれがある。
【0007】また、磁気カードの変造方法としては、例
えば、データがバーコード状に記録された磁気ストライ
プを、その長手方向に2分割して、分割片のそれぞれを
他のカードまたはカード形状の基体の読み取り領域に貼
り付ける方法がある。この方法では、カード発行時の金
額情報、発行番号、店番号、有効期限等の価値情報や標
識情報がそのまま複製されてしまうため、カード発行者
に与える損失が大きい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、加熱
により不可逆的な飽和磁化変化を生じる不可逆記録層を
有する磁気記録媒体において、媒体の変造や偽造を防ぐ
ことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)および(2)のいずれかの構成により達成され
る。 (1) 基体上の少なくとも一部に、加熱により飽和磁
化が不可逆的に変化する不可逆記録層を有し、この不可
逆記録層内に、少なくとも1本の記録トラックを有する
磁気記録媒体であって、加熱バーがバーコード状に配列
したトラック要素が、少なくとも2本互いにほぼ平行に
配置されて1本の記録トラックを構成しており、この記
録トラックの少なくとも一部に、少なくとも2本のトラ
ック要素の間で加熱バーの配列パターンが異なる非対称
領域が存在する磁気記録媒体。 (2) 基体上の少なくとも一部に、加熱により飽和磁
化が不可逆的に変化する不可逆記録層を有し、この不可
逆記録層内に記録トラックが存在する磁気記録媒体に対
し記録を行う方法であって、加熱バーがバーコード状に
配列したトラック要素が、少なくとも2本互いにほぼ平
行に配置されて1本の記録トラックを構成し、かつ、こ
の記録トラックの少なくとも一部に、少なくとも2本の
トラック要素の間で加熱バーの配列パターンが異なる非
対称領域が存在するように、記録時に加熱手段を制御す
る磁気記録方法。
【0010】
【発明の実施の形態】記録トラック 図1(a)に、本発明を適用した磁気カードの一例の平
面図を示す。この磁気カードは、基体2上に不可逆記録
層4、14を有する。これらの不可逆記録層は、加熱に
より飽和磁化が不可逆的に変化する不可逆記録材料から
構成される。
【0011】本発明が適用された不可逆記録層4内に
は、2本のトラック要素40a、40bが互いにほぼ平
行に存在し、これら2本のトラック要素により記録トラ
ック40が構成されている。トラック要素40a、40
bは、加熱バーがバーコード状に配列した領域である。
なお、本明細書において加熱バーとは、加熱により飽和
磁化が不可逆的に変化したバー状の領域を意味する。
【0012】記録トラック40の一部には、2本のトラ
ック要素40a、40bの間で加熱バーの配列パターン
が異なる領域(図中の符号410)が存在する。本発明
では、この領域を非対称領域という。
【0013】図1(a)における領域非対称領域410
の一部を、図1(b)に拡大して示す。図1(b)で
は、トラック要素40aに加熱バー41a、42a、4
3aが存在し、トラック要素40bに加熱バー41b、
42b、43bが存在する。図示例では、両トラック要
素が密着して一体化しているが、一体化させることは必
須ではない。両トラック要素を単一の記録トラックとし
て磁気ヘッドで読み取ることが可能であれば、両トラッ
ク要素の間に間隙が存在していてもよい。
【0014】図1(c)は、記録トラックを、その長さ
方向に基体2と共に2分割して、トラック要素40aと
トラック要素40bとを切り離した状態を示す平面図で
ある。なお、図示例では、トラック要素40aの加熱バ
ー42a、43a間に、これらの加熱バーよりも短い加
熱バー44aを記載してあり、また、トラック要素40
bの加熱バー41b、42b間に、これらの加熱バーよ
りも短い加熱バー44bを記載してある。これら短い加
熱バー44a、44bは、他の加熱バーを形成する際に
付随的に形成されることもあるという意味で記載したも
のであり、実際には存在しないことが好ましい。ただ
し、この程度の短い加熱バーが存在しても、磁気的再生
に影響を与えることはない。
【0015】図1(d)は、切り離した一方のトラック
要素40aを、別のカード基体に貼り付けて独立した記
録トラックとした状態を示す平面図である。また、図1
(e)は、他方のトラック要素40bを、別のカード基
体に貼り付けて独立した記録トラックとした状態を示す
平面図である。図1(d)および図1(e)には、各ト
ラック要素を磁気的に再生したときの再生微分出力パタ
ーンを併記してある。また、前記した図1(b)には、
記録トラック40の再生微分出力パターン、すなわち、
トラック要素40aとトラック要素40bとを切り離す
前の再生微分出力パターンを併記してある。これらの再
生微分出力パターンには、加熱バーのエッジに対応する
ピークが存在する。図1(d)と図1(e)とを比較す
ると、加熱バーの配列パターンの違いに対応して、両再
生微分出力パターンのピーク配列が異なることがわか
る。そして、両再生微分出力パターンを合成すると、図
1(b)の再生微分出力パターンとなることがわかる。
【0016】本発明では、図1(b)に併記した再生微
分出力パターンにおいて、相対的に低いピークも信号と
して検出されるように検出レベルを設定して、再生を行
う。記録トラック40内のトラック要素40aとトラッ
ク要素40bとをそれぞれ独立して記録トラックとした
図1(d)および図1(e)では、ピーク配列パターン
がいずれも図1(b)とは異なるので、正しい情報を再
生することはできない。したがって、図1(b)に示す
ように記録トラックを2本のトラック要素から構成する
ことにより、記録トラック2分割による磁気カードの変
造ないし偽造は不可能となる。
【0017】本発明では、記録トラックすべてを非対称
領域とする必要はなく、記録トラックのデータ配列や、
記録されているデータが複数である場合にはデータの重
要度などに応じて、記録トラックの一部だけを非対称領
域としてもよい。なお、非対称領域は、1つの記録トラ
ック内に複数存在してもよい。
【0018】また、上記説明では、記録トラック内にト
ラック要素を2本設けたが、トラック要素は3本以上設
けてもよい。この場合の非対称領域は、3本以上のトラ
ック要素のうちの少なくとも2本の間で、加熱バーの配
列パターンが異なっている領域である。ただし、図1
(b)の再生微分出力からわかるように、トラック要素
の数が増えるにしたがって最低ピークが低くなり、十分
な出力が得られなくなるので、好ましくは2本のトラッ
ク要素から記録トラックを構成する。
【0019】図2(a)および図3(a)に、非対称領
域を有する記録トラックの他の構成例をそれぞれ示す。
これら各図に示す記録トラック40は、いずれも2本の
トラック要素40a、40bから構成され、いずれも非
対称領域410を有する。図2(b)および図3(b)
は、それぞれ図2(a)および図3(a)に示す記録ト
ラック40の再生微分出力パターン、図2(c)および
図3(c)は、それぞれ図2(a)および図3(a)に
示す上側のトラック要素40a単独の再生微分出力パタ
ーン、図2(d)および図3(d)は、それぞれ図2
(a)および図3(a)に示す下側のトラック要素40
b単独の再生微分出力パターンである。図2(b)のパ
ターンは、図2(c)のパターンと図2(d)のパター
ンとを合成したものであることがわかる。また、図3
(b)のパターンは、図3(c)のパターンと図3
(d)のパターンとを合成したものであることがわか
る。
【0020】図3(a)の非対称領域410では、トラ
ック要素40aの加熱バーと、トラック要素40bの加
熱バーとが、記録トラック長さ方向において位置的に重
なっていないため、他方のトラック要素の加熱バーに対
応する位置を加熱して加熱バーを形成すれば、従来の記
録トラックと同様な単一のバーコードパターンとなって
しまうので、記録トラック2分割による複製が可能とな
ってしまう。したがって、安全性をより高くするために
は、図2(a)の非対称領域410のように、両トラッ
ク要素の加熱バーが記録トラック長さ方向において一部
重なるように、配列パターンを設定することが好まし
い。
【0021】なお、図2(b)、図2(c)、図2
(d)および図3(b)、図3(c)、図3(d)にそ
れぞれ示す再生微分出力パターンは、実測により得たも
のである。この測定に用いた磁気記録媒体は、厚さ18
8μm のポリイミド基体の表面に、厚さ5.5μmの不
可逆記録層を有するものである。この不可逆記録層は、
加熱により飽和磁化が低下する結晶質合金(原子比組成
がFe58Al42)からなる扁平状粉末を、バインダ中に
分散して基体に塗布し、乾燥したものである。
【0022】非対称領域を有する記録トラックに記録さ
れる情報の種類は特に限定されず、磁気カード発行時や
最初の使用時などに記録され、それ以降の追記がなされ
ない固定情報であってもよく、磁気カード使用時に追記
が行われる追記情報であってもよい。固定情報として
は、例えば価値情報や標識情報などが挙げられる。価値
情報や標識情報の具体例としては、例えば、磁気カード
発行時の金額情報、発行番号、店番号、有効期限など
や、これらを暗号化したものなどが挙げられる。一方、
追記情報としては、例えば残額情報などが挙げられる。
【0023】なお、図1では、記録トラック14には非
対称領域を設けていないが、このように媒体が複数の記
録トラックを有する場合、必要に応じ複数の記録トラッ
クに非対称領域を設けてもよいことは勿論である。
【0024】記録方法 次に、本発明の磁気記録媒体の不可逆記録層に対し、記
録および再生を行う方法について説明する。
【0025】不可逆記録層に記録を行う際には、サーマ
ルヘッドやレーザー光等の加熱手段で走査して、不可逆
記録層を所定のパターンに加熱する。記録トラックに前
記非対称領域を形成することは、例えば、複数のサーマ
ルヘッドを記録トラック幅方向に並べて走査する方法、
単独のサーマルヘッドを用い、記録トラック幅方向にお
ける走査と長さ方向における走査とを様々に組み合わせ
る方法、単独のサーマルヘッドを用い、記録トラック幅
方向における発熱部位の位置分布が時間的に変化するよ
うに制御しながら走査する方法などのいずれによっても
実現できる。
【0026】再生の際には、通常のリング型磁気ヘッド
や磁気抵抗効果型(MR)磁気ヘッドなどの再生ヘッド
を用い、この再生ヘッドにより、記録トラックに存在す
る複数のトラック要素を同時に走査して、加熱バーの配
列パターンに応じた磁化変化を検出し、再生信号を得
る。なお、再生の際には、記録トラックに直流磁界を印
加した後、磁化変化パターンを検出するか、または、直
流磁界を印加しながら磁化変化パターンを検出する。加
熱により飽和磁化が減少する不可逆記録材料を用いた場
合、記録時に加熱されたところは磁化されないか磁化が
小さいため、再生時には記録時の加熱パターンに応じた
磁化パターンを検出することができる。また、加熱によ
り記録材料の飽和磁化が増大する場合も、再生時には記
録時の加熱パターンに応じた磁化パターンを検出するこ
とができる。
【0027】なお、加熱により飽和磁化が増大する不可
逆記録材料のなかには、記録後、直流磁界を印加しなく
ても既に磁化を有しているものがある。このような不可
逆記録材料では、直流磁界を印加することなく、再生を
行うことができる。また、加熱により飽和磁化が減少す
る不可逆記録材料についても、非加熱領域での磁化が記
録後も残存していれば、同様に直流磁界を印加すること
なく再生を行うことができる。
【0028】本発明では、不可逆記録層へ固定情報を記
録する方式として、FM(周波数変調)方式またはPM
(位相変調)方式を利用することが好ましい。なお、P
M方式は、PE(Phase Encoding)方式ともいう。以
下、これらの方式が好ましい理由を説明する。
【0029】加熱により不可逆的な飽和磁化変化を生じ
る不可逆記録層に、各種の変調方式によりデジタル信号
を記録する場合の変調波形を、図4に模式的に示す。
【0030】FM方式は、"1"に対応して波形を反転さ
せ、かつビット間でも波形を1回反転させる方式であ
る。あるいは、データ・ビット間隔内における波形の反
転回数が2のとき"1"とし、反転回数が1のとき"0"と
する変調方式であるともいえる。PM方式では、"1"
と"0"とで波形反転の方向を逆転させる、すなわち、デ
ータ・ビット中央のパルスの立ち上がりが"1"、立ち下
がりが"0"に対応し、同じ符号が続くときにはデータ・
ビットの境界で反転させる方式である。FM方式および
PM方式では、1ビット中に必ず波形反転が生じるた
め、FM方式またはPM方式によってコード化された加
熱バー配列に、追加熱(追記)によって新たな加熱バー
を加えた場合、FM信号またはPM信号とはならず、読
み出しが不可能となる。したがって、FM方式またはP
M方式により固定情報を記録した場合、追記によるデー
タの改竄が不可能である。
【0031】これに対し、他の変調方式、例えば図4に
示すRZ方式、RB方式、NRZ方式、NRZI方式、
MFM方式、M2FM方式などでは、図示するように、
加熱バーの配列に新たな加熱バーを追加することによ
り、データの改竄が可能であることがわかる。例えば、
NRZ方式では、"1"に対応して磁化を反転させるの
で、図示するような加熱バーの追加により、記録情報が
容易に改竄できてしまう。また、例えばMFM方式で
は、NRZ方式と同様に"1"に対応して磁化を反転させ
ると共に、"0"が2個以上続く場合にはビット間でも磁
化を反転させるので、図示するような加熱バーの追加に
より、記録情報が容易に改竄できてしまう。
【0032】図4では、非加熱バー(加熱バー間に存在
するバー状領域)から加熱バーに移行する際にパルスが
立ち上がり、加熱バーから非加熱バーに移行する際にパ
ルスが立ち下がる構成としてあるが、加熱バーのエッジ
に対するパルスの立ち上がりおよび立ち下がりの関係が
逆であっても、FM方式またはPM方式を用いることに
よる効果は同様に実現する。この関係を逆にするために
は、例えば、加熱による飽和磁化変化の方向が逆である
不可逆記録層を用いたり、再生時に印加するバイアス磁
界の方向を逆にしたり、信号処理方法を変更したりすれ
ばよい。
【0033】なお、以上では、固定情報を記録する際に
FM方式またはPM方式を利用する場合について説明し
たが、不可逆記録層に追記する際にも、FM方式または
PM方式を利用することができる。
【0034】不可逆記録層 不可逆記録層の好ましい構成について説明する。
【0035】不可逆記録層は、その表面側からサーマル
ヘッド等の加熱源により加熱される。加熱を間欠的に行
って加熱ドットがマトリックス状に並ぶ記録方法を使う
場合、各加熱ドットに対応して、層表面からほぼ半球状
に加熱領域(等温領域)が広がる。このとき、層が厚す
ぎると、加熱源からの距離が遠い領域(深い領域)で
は、隣接する加熱ドット間に、昇温不十分な領域が生じ
る。再生の際には、前記昇温不十分な領域に起因して生
じる磁化変化をノイズとして検出してしまうので、再生
出力自体は大きくは変化しないが、再生信号のSN比が
低くなりやすい。このようなSN比の低下を防ぐために
は、不可逆記録層の厚さを10μm以下とすることが好
ましい。なお、不可逆記録層の厚さの下限は、その形成
方法によって大きく異なるため、特に限定されないが、
塗布法では通常、1μm程度、スパッタ法等の真空成膜
法では通常、0.01μm程度、好ましくは0.1μm程
度である。これらの層が薄すぎると出力が不十分となっ
たり、均質な層を形成することが困難となったりする。
【0036】不可逆記録層表面の表面粗さ(Ra)は、
1μm以下であることが好ましい。表面粗さが大きい
と、SN比が著しく低くなってしまう。なお、表面粗さ
(Ra)は、JIS B 0601に規定されている。
【0037】不可逆記録材料 不可逆記録材料は、加熱により飽和磁化が不可逆的に変
化するものである。不可逆記録材料の飽和磁化4πMs
の変化率、すなわち(加熱後の4πMs/加熱前の4π
Ms)または(加熱前の4πMs/加熱後の4πMs)
は、好ましくは2以上または1/2以下、より好ましく
は3以上または1/3以下である。飽和磁化が十分に変
化しないと、記録情報の読み出しが困難となる。
【0038】なお、上記飽和磁化は、通常の環境温度範
囲(例えば−10〜40℃)におけるものである。ま
た、本明細書において加熱により飽和磁化が不可逆的に
変化するとは、磁気カード等に適用したときに、加熱後
に再利用が可能な程度の温度(例えば500℃程度、好
ましくは400℃程度)までの加熱において、飽和磁化
が不可逆的に変化することを意味する。
【0039】昇温時に不可逆記録材料が飽和磁化変化を
示し始める温度は、好ましくは50〜500℃、より好
ましくは100〜500℃、さらに好ましくは150〜
400℃の範囲に存在することが望ましく、また、この
ような温度範囲において上記した飽和磁化変化率が得ら
れることが好ましい。飽和磁化変化を示し始める温度が
低すぎると、熱に対して不安定となり、信頼性が低くな
る。また、加熱領域近傍が影響を受けやすくなって正確
な記録が困難となる。飽和磁化変化を示し始める温度が
高すぎると、記録の際に必要とされる加熱温度が高くな
るため耐熱性の低い樹脂を基体に使うことが困難とな
り、また、記録装置が高価になってしまう。なお、不可
逆記録層の加熱にはサーマルヘッドなどを用いる。サー
マルヘッドの表面温度は400℃程度であり、これに磁
気記録媒体を接触させることにより、不可逆記録層を3
00℃程度まで昇温することが可能である。サーマルヘ
ッドによる加熱では、不可逆記録層表面からの深さが約
10μmの位置での温度が、100〜140℃程度まで
上昇する。なお、記録する際の加熱時間は特に限定され
ないが、通常、3ms以下の加熱で飽和磁化は十分に変化
し、2ms以下でも十分な飽和磁化変化が実現する。加熱
時間の下限は到達温度によっても異なるが、通常、0.
5ms程度である。
【0040】不可逆記録材料のキュリー温度は特に限定
されず、不可逆記録およびその再生が可能であるキュリ
ー温度であればよい。
【0041】不可逆記録材料の形態は特に限定されず、
例えば、薄帯状、薄膜状、粉末状等のいずれであっても
よい。例えば、磁気カードに適用する場合、記録材料の
薄帯を単ロール法等の液体急冷法により作製し、これを
基体表面に貼付したり、スパッタ法や蒸着法等の薄膜形
成法により基体表面に記録材料の薄膜を形成したり、記
録材料の薄帯を粉砕した粉末や、水アトマイズ法、ガス
アトマイズ法等により製造した粉末を、媒体撹拌式ミル
(例えばアトライタ等)などの粉砕手段により扁平化な
いし微細化し、これをバインダで結合して塗布したりす
ればよい。これらのうちでは、薄帯や粉末を扁平化した
ものが最も好ましい。媒体撹拌式ミルとは、固定した粉
砕容器と、これに挿入された撹拌軸(アジテータともい
う)とを有し、粉砕容器内に被粉砕材と共に粉砕媒体
(ボール、ビーズ等)を充填して撹拌軸を高速で回転さ
せることにより、粉砕媒体間に摩擦剪断力を発生させて
被粉砕材を粉砕する装置である。媒体撹拌式ミルにより
粒子を扁平化する際には、粒子に剪断力が働くため、例
えば後述するFe−Al系合金では不規則相化がすす
み、より高い飽和磁化が得られる。また、扁平状粒子を
用いれば、塗膜の表面性が良好となって磁気記録再生特
性および加熱時の熱伝導性が良好となる。
【0042】不可逆記録材料の具体的組成は特に限定さ
れないが、好ましくは以下に挙げるものを用いる。
【0043】Ni基合金 この合金では、非晶質状態のものを加熱して結晶化する
ことにより、飽和磁化の増大が生じる組成を選択する。
【0044】Ni基合金としては、Niに加え、メタロ
イド元素として、M(Mは、B、C、Si、PおよびG
eからなる群から選択される少なくとも1種の元素であ
る)を含むものが好ましい。これらの元素を含むことに
より、非晶質から結晶質への変化が容易となり、また、
結晶化温度を好ましい範囲内とすることが容易となる。
Mとしては、B、CおよびPの少なくとも1種が好まし
く、Bおよび/またはCがより好ましい。特に、Bおよ
びCを含む合金は、飽和磁化が高く、しかも結晶化に要
する温度が低いため好ましい。
【0045】なお、結晶化温度やキュリー温度等の制御
のために、これら以外の元素が含まれていてもよく、ま
た、本発明の作用効果を著しく阻害しない範囲におい
て、さらに他の元素が含まれていてもよい。上記以外の
元素としては、例えばFe、Co、Y、Zr、Gd、C
u、Sn、Al、Cr等が挙げられる。FeやCoは、
Niの一部を置換するかたちで含まれ、これらの置換に
より結晶化温度はやや上昇するが、飽和磁化が高くな
る。
【0046】Ni基合金中のNi含有率は、好ましくは
65〜90原子%、より好ましくは73〜83原子%で
ある。Ni量が少なすぎると結晶化温度が高くなり、し
かも加熱して結晶質としたときの4πMsが低くなって
しまう。一方、Ni量が多すぎると、不可逆記録材料製
造時に非晶質化することが困難となる。Ni基合金がB
およびCを含む場合、結晶化時の飽和磁化はC量の増加
に伴なって一般に増加するが、C量が多すぎると結晶化
温度が上昇してしまうので、C/(B+C)は0.45
以下であることが好ましい。Niの一部をFeおよび/
またはCoで置換する場合、合金中のFe+Coは10
原子%以下であることが好ましい。Fe+Coが多すぎ
ると、非晶質のときの飽和磁化が大きくなってしまう。
【0047】Mn−M(メタロイド)系合金 この合金では、非晶質状態のものを加熱して結晶化する
ことにより、飽和磁化の増大が生じる組成を選択する。
【0048】この合金は、Mnに加え、メタロイド元素
Mの少なくとも1種を含有するものである。メタロイド
元素Mとしては、Ge、Al、B、C、Ga、Siおよ
びCrからなる群から選択される少なくとも1種の元素
が好ましい。元素Mを含むことにより、非晶質から結晶
質への変化が容易となり、また、結晶化温度を好ましい
範囲内とすることが容易となる。MのうちGeまたはA
lを用いた場合、飽和磁化が高くなるので好ましく、特
に、Geを用いた場合には結晶化温度が低くなるので好
ましい。そして、Geに加えAlおよび/またはSiを
添加した場合には、きわめて高い飽和磁化が得られる。
また、Alおよび/またはSiの添加により加熱前の飽
和磁化が著しく小さくなるため、これらの添加は加熱前
後での飽和磁化の比の増大に寄与する。この場合、Al
+Siの添加量の下限は特にないが、通常、0.1原子
%以上とすることが好ましい。また、Alの添加量は好
ましくは6原子%以下、Siの添加量は好ましくは10
原子%以下であり、Al+Siは12原子%を超えない
ことが好ましい。AlやSiの添加量が多すぎると加熱
後の飽和磁化はかえって低くなってしまう。
【0049】Mn−M系合金の結晶化機構は特に限定さ
れないが、一般に、Mnと他の元素との化合物が析出す
ることにより結晶化し、これにより飽和磁化が高くなる
と考えられる。例えば、Geを含む場合には、強磁性の
Mn5Ge3相が少なくとも析出する。また、Mnおよび
Alを主成分とする合金の場合には、強磁性のMn55
45相が少なくとも析出すると考えられる。
【0050】合金中のMn含有率の好ましい範囲は、合
金中に含まれるMの種類によって異なるので、不可逆記
録材料としての作用効果が実現するように適宜決定すれ
ばよく、通常、40〜80原子%とすればよいが、例え
ば、Mn−Ge合金やMn−Ge−Al合金、Mn−G
e−Si合金のようにMnおよびGeを主体とするMn
−Ge系合金の場合、Mn含有率は、好ましくは40〜
80原子%、より好ましくは45〜75原子%であり、
Mn−Al合金の場合のMn含有率は、好ましくは45
〜60原子%、より好ましくは50〜55原子%であ
る。
【0051】Mn−Sb系合金 この合金は、MnおよびSbを含む合金である。合金中
のMn含有率は、不可逆記録材料としての作用効果が実
現するように適宜決定すればよいが、好ましくは40〜
75原子%、より好ましくは44〜66原子%、さらに
好ましくは58原子%〜66原子%、最も好ましくは6
0〜66原子%である。Mn含有率が低すぎると、加熱
前および後での飽和磁化がいずれも小さくなり、飽和磁
化の変化比率も小さくなってしまう。一方、Mn含有率
が高い場合、通常、加熱により飽和磁化は増大するが、
Mn含有率が高すぎると加熱後の飽和磁化があまり高く
ならず、記録情報の読み出しが困難となる。
【0052】合金中には、MnおよびSb以外に上記し
たメタロイド元素Mが含まれていてもよい。元素Mの添
加により、一般に結晶化温度を低くすることができるの
で、記録が容易となる。また、Crのように反強磁性元
素を少量添加すると加熱前の磁化が小さくなり、その結
果、飽和磁化の変化比率が大きくなる。なお、M添加に
より飽和磁化は低下するため、M含有率は、通常、15
原子%以下であることが好ましい。
【0053】Mn含有率が上記範囲であるとき、合金の
飽和磁化および保磁力は加熱により一般に増大するが、
Mn含有率が低めのときには、加熱によって飽和磁化が
減少することもある。また、Sb以外に添加する元素の
種類や、加熱温度などによっても、飽和磁化の加熱によ
る減少が生じることがある。ただし、この合金は、加熱
により飽和磁化が増大する場合に、飽和磁化の変化比率
が一般に大きくなるので、このような飽和磁化変化を示
すように組成を選択することが好ましい。
【0054】なお、Mn含有率が低めのときには結晶化
しやすいため、後述する急冷法や薄膜形成法によって不
可逆記録材料を形成する場合に、結晶質となることが多
い。この場合、加熱による磁気特性の変化は、少なくと
も結晶相から他の結晶相への変化に伴うものと考えられ
る。
【0055】Fe−Mn(−C)系合金 この合金は、FeおよびMnを主成分とするか、Fe、
MnおよびCを主成分とする合金である。
【0056】FeおよびMnを主成分とする合金におけ
る各元素の含有率は、好ましくはFe:50〜75原子
%、Mn:25〜50原子%であり、より好ましくはF
e:60〜70原子%、Mn:30〜40原子%であ
る。Feが少なすぎても多すぎても、Mnが少なすぎて
も多すぎても、加熱前後での飽和磁化変化率が低くな
る。
【0057】Fe、MnおよびCを主成分とする合金に
おける各元素の含有率は、好ましくはFe:35〜75
原子%、Mn:20〜50原子% C :0〜30原子%(0原子%を含まず)であり、よ
り好ましくはFe:35〜70原子%、Mn:20〜4
0原子% C :5〜25原子%(0原子%を含まず)である。F
eが少なすぎても多すぎても、Mnが少なすぎても多す
ぎても、加熱前後での飽和磁化変化率が低くなる。C
は、加熱前後での飽和磁化変化率を向上させるために添
加される。このような効果を十分に発揮させるために
は、C添加量を好ましくは5原子%以上、より好ましく
は10原子%以上とする。ただし、C添加量が多すぎる
と加熱前後での飽和磁化変化率が逆に低くなってしま
う。
【0058】合金中には上記以外の元素、例えば、B、
Si、Al、Cr等の少なくとも1種が含まれていても
よい。ただし、これらの元素の含有率が高すぎると加熱
前後での飽和磁化変化率が小さくなることがあるため、
これらの元素の含有率の合計は、通常、30原子%以下
であることが好ましい。
【0059】なお、この合金の飽和磁化は加熱により一
般に増大するが、C含有率が高めのときには、加熱によ
って飽和磁化が減少することもある。
【0060】Fe−Al系合金 この合金は結晶質合金であり、不規則相から規則相への
不可逆的な変態に伴って飽和磁化の不可逆的変化が生じ
るものである。具体的には、加熱により飽和磁化が減少
する。
【0061】この合金は、FeおよびAlを合計で90
原子%以上含有し、Alの比率を表す原子比Al/(F
e+Al)が好ましくは0.30〜0.45、より好ま
しくは0.35〜0.42である。
【0062】この合金は、平衡状態では規則相であり、
常磁性であるためにほとんど磁化を示さない。しかし、
この合金を加工すると、すなわち、例えば液体急冷法や
スパッタ法、蒸着法などで急冷したり、好ましくはさら
に粉砕したりすると、格子歪みを伴う不規則な構造とな
り、磁性を支配するFe原子の環境が変化するために強
磁性を示すようになる。いったん不規則な構造になった
合金は、加熱により構造緩和して飽和磁化が減少するの
で、加熱による磁化変化を利用した記録が可能となる。
そして、加熱により飽和磁化が減少した合金を加熱前の
不規則な構造に戻すためには、記録材料をその融点付近
まで加熱した後、再び加工等を行う必要がある。例え
ば、磁気カードに適用する場合には、少なくとも、磁気
カードの基体が燃焼してしまうほどの高温まで加熱する
操作を行う必要がある。このため、記録材料にいったん
記録された情報の書き換えは実質的に不可能であり、情
報の改竄を防ぐことができる。
【0063】より詳細に説明すると、Al/(Fe+A
l)が上記した好ましい範囲にあるようなFe−Al合
金の常温状態における平衡相は、常磁性のB2相であ
る。B2相は、BCC−Fe格子とCsCl構造のFe
Al格子とが組合わさって構成されており、これら基本
的な格子の対称性が高いものとなっている。このような
合金を加工すると、加工度に応じてFeとAlとが原子
単位でランダムに置換すると共に空孔や転位が導入され
て、上記基本的な格子の規則性が失われて対称性が著し
く低下し、同時に磁性が発現する。そして、加工した合
金を融点未満の温度まで加熱すると、上記基本的な格子
の規則性が少なくとも一部復活し、飽和磁化が減少す
る。ただし、通常、加工前の状態までは戻らない。本明
細書において加熱により不規則相から規則相に変化する
とは、基本的な格子の規則性が、加熱により少なくとも
一部復活することを意味する。すなわち、本明細書にお
ける規則相とは、歪みを導入していないB2相だけでは
なく、格子の非対称性が一部残存している場合も含む概
念とする。なお、加熱により基本的な格子の対称性が復
活することは、X線回折や電子線回折により確認するこ
とができる。
【0064】この合金において、Alの比率が低すぎる
と、加熱による飽和磁化変化率が小さくなる。一方、A
lの比率が高すぎると、耐環境性が著しく低くなる。本
明細書において耐環境性が低いとは、熱安定性が悪いこ
と、具体的には、温度100℃程度の環境下で保存した
ときに、飽和磁化が減少してしまうことを意味する。A
lの比率が高すぎると、高温環境下での保存により飽和
磁化が著しく低下し、一方、加熱後の飽和磁化は変化し
ないため、飽和磁化変化率が著しく低くなってしまう。
また、Alの比率が高すぎると、加熱前の飽和磁化自体
が小さくなって再生信号のSN比が低くなるという問題
もある。
【0065】この合金中のAlは、MI(MIは、Si、
Ge、Sn、Sb、Bi、Mo、W、Nb、Ta、T
i、ZrおよびHfの少なくとも1種)で置換されてい
てもよい。MIでAlを置換することにより、耐環境性
が向上する。ただし、MI含有量が多すぎると、初期飽
和磁化(不規則相本来の飽和磁化)が低くなってしまう
ため、合金中のMI含有量は10原子%以下とすること
が好ましい。
【0066】この合金中のFeは、MII(MIIは、C
o、Ni、Mn、Cr、VおよびCuの少なくとも1
種)で置換されていてもよい。MIIでFeを置換するこ
とにより、飽和磁化変化率が向上する。また、MIIのう
ちCrは、耐食性の向上に極めて有効である。ただし、
II含有量が多すぎると、初期飽和磁化が低くなってし
まうことがあるため、この合金中のMII含有量は20原
子%以下とすることが好ましい。
【0067】なお、MIおよびMIIは、上記した原子比
Al/(Fe+Al)を算出する際に、それぞれAlお
よびFeとして扱う。
【0068】この合金中には、MIII(MIIIは、B、
C、NおよびPの少なくとも1種)が含有されていても
よい。MIIIは、合金を急冷法等により製造する際に、
不規則相を出現しやすくする。また、不規則相から規則
相への変化を妨げる作用を示す。このため、上記MI
同様に、高温環境下で保存したときの飽和磁化の減少を
抑える効果を示す。しかも、MIII添加による初期飽和
磁化の低下はほとんど認められない。ただし、MIII
有量が多すぎると飽和磁化変化率が低くなってしまうた
め、MIII含有量はこの合金の10原子%以下とするこ
とが好ましい。なお、MIIIのうちCは、例えば合金粉
末を粉砕する際に用いる分散媒(有機溶媒)から混入す
ることがある。
【0069】また、この合金中には、上記各元素のほ
か、通常、不可避的不純物として酸素が含まれる。酸素
は、合金を粉砕する際に混入しやすい。酸素の含有量
は、一般に3原子%程度以下に抑えることが好ましい。
【0070】磁気カード等の磁気記録媒体として十分な
SN比を得るためには、この合金は、加熱前に飽和磁化
が好ましくは45emu/g以上、より好ましくは50emu/g
以上あることが望ましく、かつ、加熱により飽和磁化が
好ましくは35emu/g以上、より好ましくは40emu/g以
上低下するものであることが望ましい。
【0071】また、加熱前の飽和磁化および加熱による
飽和磁化の低下量が上記範囲であって、かつ、飽和磁化
の変化率、すなわち、(加熱前の飽和磁化/加熱後の飽
和磁化)が、2以上、好ましくは3以上であれば、SN
比はさらに良好となる。飽和磁化が大きく変化するこの
合金では、前述したように直流磁界を印加しながら再生
すれば、再生感度を向上させることができる。なお、飽
和磁化の変化率が大きいこの合金に直流磁界を印加しな
がら再生する場合には、この合金の保磁力は特に限定さ
れず、軟磁性体であってもよい。
【0072】なお、上記飽和磁化は、通常の環境温度範
囲(例えば−10〜40℃)におけるものである。
【0073】Cu−Mn−Al系合金 この合金はホイスラー合金の1種であり、結晶質であっ
て、加熱により反強磁性相から強磁性相へ不可逆的に変
化する。すなわち、加熱により飽和磁化が不可逆的に増
大する合金である。
【0074】この合金の組成(原子比)は、 CuxMnyAlz において x=40〜80、 y=5〜40、 z=10〜40、 x+y+z=100 であることが好ましい。x、y、zが上記範囲を外れる
と、十分な磁化変化が得られない。
【0075】磁気記録層 基体上には、可逆記録が行われる通常の磁性層を、必要
に応じて設けてもよい。本明細書では、このような磁性
層を磁気記録層という。磁気記録層の使用方法の一例
は、次のとおりである。本発明の磁気記録媒体を通常の
プリペイドカードとして用いる場合、磁気記録層には、
金額や度数、その他、一般的に磁気カードに必要な情報
を記録しておき、不可逆記録層には、磁気記録層に記録
されている情報のうち、例えば金額や度数など使用のた
びに書き換えが必要な情報を記録する。すなわち、磁気
記録層において情報を書き換えるたびに、不可逆記録層
には追記することになる。磁気記録層の情報が改竄され
た場合でも、不可逆記録層の情報は書き換えができない
ため、両者を照合すれば改竄の有無が判定できる。
【0076】また、上述したように、不可逆記録層に、
固定情報としてその磁気カードのIDコードを記録し、
他の情報をこのIDコードで暗号化して磁気記録層に記
録すれば、この磁気カードの磁気記録層の内容を別のI
Dコードをもつ他の磁気カードの磁気記録層にコピーし
たとしても、正規の情報の読み出しは不可能となる。不
可逆記録層には、カード1枚1枚に固有のIDコードを
記録でき、しかもその改竄が不可能であるため、複製に
よる偽造の防止効果が極めて高くなる。
【0077】磁気記録層に含まれる磁性材料は特に限定
されず、例えばBaフェライトやSrフェライトなどか
ら適宜選択すればよいが、不可逆記録層を加熱する際に
磁気記録層も加熱されるような配置とする場合には、耐
熱性の高い磁性材料を用いることが好ましい。磁気記録
層は、不可逆記録層と分離して設けてもよく、磁気記録
層を形成した後に、磁気記録層の少なくとも一部と重な
るように不可逆記録層を設けてもよい。
【0078】基体 不可逆記録層や磁気記録層が形成される基体の構成材料
は特に限定されず、樹脂、金属等のいずれであってもよ
い。
【0079】保護層 不可逆記録層の表面には、必要に応じて樹脂保護層や無
機保護層を設けてもよい。なお、このような保護層を設
けた場合でも、前記した不可逆記録層の表面粗さ(R
a)の限定は有効である。
【0080】
【発明の効果】本発明を適用することにより、記録トラ
ック2分割による磁気記録媒体の変造ないし偽造を防止
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の磁気記録媒体の一例である
磁気カードの平面図である。(b)は、(a)に示す記
録トラックの一部を拡大して、加熱バー配列パターンの
詳細を示した平面図、および記録トラックのこの領域の
再生微分出力パターンである。(c)は、(b)に示す
記録トラックを2本のトラック要素に分割した様子を示
す平面図である。(d)は、(c)において記録トラッ
クから分割された一方のトラック要素を独立した記録ト
ラックとしたときの平面図、およびその記録トラックの
再生微分出力パターンである。(e)は、(c)におい
て記録トラックから分割された他方のトラック要素を独
立した記録トラックとしたときの平面図、およびその記
録トラックの再生微分出力パターンである。
【図2】(a)は、本発明の磁気記録媒体の記録トラッ
クにおける加熱バー配列パターンを示す平面図である。
(b)は、この記録トラックの再生微分出力パターンで
ある。(c)は、(a)に示す記録トラックを2本のト
ラック要素に分割して、上方のトラック要素を独立した
記録トラックとしたときの再生微分出力パターンであ
る。(d)は、(a)に示す記録トラックを2本のトラ
ック要素に分割して、下方のトラック要素を独立した記
録トラックとしたときの再生微分出力パターンである。
【図3】(a)は、本発明の磁気記録媒体の記録トラッ
クにおける加熱バー配列パターンを示す平面図である。
(b)は、この記録トラックの再生微分出力パターンで
ある。(c)は、(a)に示す記録トラックを2本のト
ラック要素に分割して、上方のトラック要素を独立した
記録トラックとしたときの再生微分出力パターンであ
る。(d)は、(a)に示す記録トラックを2本のトラ
ック要素に分割して、下方のトラック要素を独立した記
録トラックとしたときの再生微分出力パターンである。
【図4】デジタル信号の符号化方式を比較説明するため
の図である。
【符号の説明】
2 基体 4、14 不可逆記録層 40 記録トラック 40a、40b トラック要素 41a、41b、42a、42b、43a、43b、4
4a、44b 加熱バー 410 非対称領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G11B 19/02 521 G11B 19/04 521 19/04 521 G06K 19/00 B (72)発明者 重田 政雄 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 長 勤 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上の少なくとも一部に、加熱により
    飽和磁化が不可逆的に変化する不可逆記録層を有し、こ
    の不可逆記録層内に、少なくとも1本の記録トラックを
    有する磁気記録媒体であって、 加熱バーがバーコード状に配列したトラック要素が、少
    なくとも2本互いにほぼ平行に配置されて1本の記録ト
    ラックを構成しており、 この記録トラックの少なくとも一部に、少なくとも2本
    のトラック要素の間で加熱バーの配列パターンが異なる
    非対称領域が存在する磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 基体上の少なくとも一部に、加熱により
    飽和磁化が不可逆的に変化する不可逆記録層を有し、こ
    の不可逆記録層内に記録トラックが存在する磁気記録媒
    体に対し記録を行う方法であって、 加熱バーがバーコード状に配列したトラック要素が、少
    なくとも2本互いにほぼ平行に配置されて1本の記録ト
    ラックを構成し、かつ、この記録トラックの少なくとも
    一部に、少なくとも2本のトラック要素の間で加熱バー
    の配列パターンが異なる非対称領域が存在するように、
    記録時に加熱手段を制御する磁気記録方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018018567A (ja) * 2016-07-29 2018-02-01 日本放送協会 磁性細線素子、その記録再生方法およびその記録再生装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018018567A (ja) * 2016-07-29 2018-02-01 日本放送協会 磁性細線素子、その記録再生方法およびその記録再生装置

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