JPH10340449A - 磁気記録媒体およびその記録再生方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその記録再生方法

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JPH10340449A
JPH10340449A JP16197997A JP16197997A JPH10340449A JP H10340449 A JPH10340449 A JP H10340449A JP 16197997 A JP16197997 A JP 16197997A JP 16197997 A JP16197997 A JP 16197997A JP H10340449 A JPH10340449 A JP H10340449A
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magnetic recording
heating
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JP16197997A
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Masahiro Ito
正宏 伊藤
Shohei Mimura
升平 三村
Masao Shigeta
政雄 重田
Tsutomu Cho
勤 長
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TDK Corp
Toppan Infomedia Co Ltd
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Tokyo Magnetic Printing Co Ltd
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録情報の改竄による変造を容易に発見でき
る安全性の高い磁気記録媒体と、この磁気記録媒体の変
造が容易に発見できる磁気記録再生方法とを提供する。 【解決手段】 基体の表面側に、不可逆記録材料と硬質
磁性材料とを含む磁気記録層を有し、不可逆記録材料
が、加熱により飽和磁化が2倍以上または1/2倍以下
に不可逆的に変化するものであり、硬質磁性材料が、加
熱により飽和磁化が変化せず、不可逆記録材料よりも保
磁力が高いものである磁気記録媒体。磁気記録層を加熱
して不可逆記録材料に飽和磁化変化を生じさせることに
より記録を行い、硬質磁性材料が一方向に磁化した状態
において、向きが前記一方向またはこれとは逆であっ
て、かつ硬質磁性材料の磁化を反転させないバイアス磁
界を印加しながら、磁気記録層の磁化変化を検出するこ
とにより再生を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気カード等の磁
気記録媒体と、この磁気記録媒体を再生する方法とに関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気カードの普及は著しく、種々
の分野で利用されている。とりわけ、金額情報等が磁気
情報として記録され、使用するつど金額が減算されて書
き換えられるカード(プリペイドカード)への用途が拡
大している。
【0003】この用途では、記録情報の改竄による磁気
カードの変造や、カード自体の偽造が容易であっては、
システムの安全性を著しく低下させてしまう。このた
め、情報の改竄を防止するための保護機能をもつ磁気カ
ードが要望され、これに応じて種々の磁気カードが提
案、実用化されている。例えば、磁気カードの一部に特
殊な材料からなる領域を形成することにより、カード自
体の偽造を困難にしたり、その領域を検知してカードの
真偽判定を行なうもの、カードの層構成を複雑にするも
のなどである。
【0004】これらの保護機能を採用した磁気カードは
大量に偽造したり複製したりすることは困難になるもの
の、例えば1枚のカードの金額情報等を書き換えるなど
の改竄により、使用済みのカード情報を初期の金額情報
に戻すことは可能であった。この対策として、使用度数
に応じてパンチで穿孔する方法もあるが、この方法では
きめ細かく対応できないこと、抜きカスが出ること、パ
ンチ孔を埋めて修復されることなどの問題がある。この
他、感熱記録などにより使用度数に応じて可視情報を記
録することも考えられるが、可視情報の読み取りは光学
的に行なう必要があるので、汚れに弱いという問題があ
る。また、可視情報であるため、記録の改竄が容易であ
る。また、光学的読み取り装置は高価であるという問題
もある。
【0005】このような事情から、特開平8−7762
2号公報には、(結晶質のときの飽和磁化)/(非晶質
のときの磁化)が5以上である合金を磁気記録材料とし
て用いた不可逆記録層を有する磁気記録媒体が提案され
ている。この磁気記録媒体は、加熱により飽和磁化が不
可逆的に変化する記録材料からなる不可逆記録層を有す
るものである。この記録材料は、飽和磁化が加熱により
変化するが、飽和磁化を加熱前の値まで戻すためには、
磁気記録媒体の変形や溶融が生じる程度まで加熱する必
要があるので、実質的に書き換えが不可能であり、安全
性が高い。
【0006】しかし、このような不可逆記録層を、例え
ば機械的に傷つけることにより、偽信号を生じさせるこ
とが可能である。例えば、不可逆記録層の一部を削り取
ることにより非磁性領域を形成することができるので、
加熱により飽和磁化が減少する不可逆記録層をもつ磁気
記録媒体では、削り取った領域を書き込み(加熱)領域
と誤認させることができる。したがって、このような不
可逆記録層を有する磁気記録媒体では、このような改竄
を発見できるような再生方法が必要とされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、記録
情報の改竄による変造を容易に発見できる安全性の高い
磁気記録媒体と、この磁気記録媒体の変造が容易に発見
できる磁気記録再生方法とを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(12)のいずれかの構成により達成される。 (1) 基体の表面側に、不可逆記録材料と硬質磁性材
料とを含む磁気記録層を有し、前記不可逆記録材料が、
加熱により飽和磁化が2倍以上または1/2倍以下に不
可逆的に変化するものであり、前記硬質磁性材料が、加
熱により飽和磁化が実質的に変化せず、前記不可逆記録
材料よりも保磁力が高いものである磁気記録媒体。 (2) 前記磁気記録層が、前記不可逆記録材料を含む
不可逆記録層と、前記硬質磁性材料を含む硬質磁性層と
からなる上記(1)の磁気記録媒体。 (3) 前記硬質磁性材料の保磁力が300Oe以上であ
る上記(1)または(2)の磁気記録媒体。 (4) 前記不可逆記録層の表面粗さ(Ra)が1μm
以下である上記(1)〜(3)のいずれかの磁気記録媒
体。 (5) 前記不可逆記録材料が、結晶質合金であって、
加熱により不規則相から規則相へと変化するものである
上記(1)〜(4)のいずれかの磁気記録媒体。 (6) 前記不可逆記録材料の飽和磁化が、規則相のと
きよりも不規則相のときのほうが高い上記(5)の磁気
記録媒体。 (7) 前記不可逆記録材料が、FeおよびAlを合計
で90原子%以上含有し、原子比Al/(Fe+Al)
が0.30〜0.45である上記(6)の磁気記録媒
体。 (8) 前記不可逆記録材料が飽和磁化変化を示し始め
る温度が、50〜400℃の範囲に存在する上記(1)
〜(7)のいずれかの磁気記録媒体。 (9) 上記(1)〜(8)のいずれかの磁気記録媒体
を記録再生する方法であって、前記磁気記録層を加熱し
て前記不可逆記録材料に飽和磁化変化を生じさせること
により記録を行い、前記硬質磁性材料が一方向に磁化し
た状態において、向きが前記一方向であるバイアス磁界
を印加しながら前記磁気記録層の磁化変化を検出するこ
とにより再生を行う磁気記録媒体の記録再生方法。 (10)上記(1)〜(8)のいずれかの磁気記録媒体
を記録再生する方法であって、前記磁気記録層を加熱し
て前記不可逆記録材料に飽和磁化変化を生じさせること
により記録を行い、前記硬質磁性材料が一方向に磁化し
た状態において、向きが前記一方向とは逆であって、か
つ前記硬質磁性材料の磁化を反転させないバイアス磁界
を印加しながら、前記磁気記録層の磁化変化を検出する
ことにより再生を行う磁気記録媒体の記録再生方法。 (11)上記(1)〜(8)のいずれかの磁気記録媒体
を記録再生する方法であって、前記磁気記録層を加熱し
て前記不可逆記録材料に飽和磁化変化を生じさせること
により記録を行い、前記硬質磁性材料が一方向に磁化し
た状態において、向きが前記一方向であるバイアス磁界
を印加しながら前記磁気記録層の磁化変化を検出する過
程と、前記硬質磁性材料が一方向に磁化した状態におい
て、向きが前記一方向とは逆であって、かつ前記硬質磁
性材料の磁化を反転させないバイアス磁界を印加しなが
ら、前記磁気記録層の磁化変化を検出する過程とにより
再生を行う磁気記録媒体の記録再生方法。 (12)前記バイアス磁界の強度が、前記硬質磁性材料
の保磁力よりも低く、前記不可逆記録材料の保磁力より
も高い上記(9)〜(11)のいずれかの磁気記録媒体
の記録再生方法。
【0009】
【作用および効果】本発明の磁気記録媒体は、不可逆記
録材料と硬質磁性材料とを含む磁気記録層を有する。本
発明の記録再生方法を説明するために、図3に示すよう
に、磁気記録層4が硬質磁性層41と不可逆記録層42
とを積層したものである磁気記録媒体を例に挙げる。本
発明において再生対象となる磁気情報は、不可逆記録材
料を所定のパターンに加熱することにより記録されてい
る。
【0010】再生時には、硬質磁性層41が一方向に磁
化した状態となっている必要がある。そして、磁気記録
層4に、向きが前記一方向であるバイアス磁界(以下、
順方向バイアス磁界という)を印加しながら磁化変化を
検出するか、前記順方向バイアス磁界とは向きが逆のバ
イアス磁界(以下、逆方向バイアス磁界という)を印加
しながら磁化変化を検出するか、これらを共に行う。不
可逆記録層42は、順方向バイアス磁界または逆方向バ
イアス磁界の印加により、それぞれのバイアス磁界の方
向に磁化される。一方、逆方向バイアス磁界の強度は硬
質磁性層41の保磁力よりも低くするため、逆方向バイ
アス磁界を印加しても硬質磁性層41の磁化は反転しな
い。本発明では、このような再生において、磁気記録層
4の磁化変化を検出する。すなわち、微分出力を検出す
る。
【0011】図3に示す媒体に、順方向バイアス磁界を
印加しながら再生を行う場合を図4に示し、逆方向バイ
アス磁界を印加しながら再生を行う場合を図5に示す。
なお、図示例の不可逆記録層42は、加熱により飽和磁
化が減少(実質的に消滅)するものである。各図の
(a)は、不可逆記録層42が単独に存在していると考
えたときの微分出力であり、各図の(b)は、硬質磁性
層41が単独に存在していると考えたときの微分出力で
ある。そして、各図の(c)は、両磁性層の積層体であ
る磁気記録層4の微分出力である。硬質磁性層41は一
方向に磁化されており、また、硬質磁性材料は加熱によ
り飽和磁化変化を生じないため、各部の(b)に示すよ
うに硬質磁性層41の微分出力はゼロである。したがっ
て、磁気記録層4の微分出力は、不可逆記録層42の磁
化変化パターンとバイアス磁界の方向とを反映したもの
となる。ただし、磁気記録層4の微分出力の大きさ(絶
対値)は、硬質磁性層41の磁化の大きさと、バイアス
磁界の大きさおよび向きとの影響を受ける。
【0012】一方、図6は、カッターナイフなどで磁気
記録層4を一部除去することにより、記録情報を改竄し
て変造を行った例を示す。この変造媒体について、硬質
磁性層41を一方向に磁化した後、順方向バイアス磁界
または逆方向バイアス磁界を印加して再生を行うと、不
可逆記録層42が単独に存在していると考えたときの微
分出力は図7(a)および図8(a)に示すものとな
り、これは、改竄ではない通常の加熱記録の場合と同様
となる。したがって、不可逆記録層42だけでは、デー
タの改竄を発見することはできない。
【0013】しかし、硬質磁性層41が単独で存在して
いると考えたときの微分出力は各図の(b)に示すもの
となり、通常の加熱記録を行った場合とは異なる。すな
わち、硬質磁性層41は一部が除去されているため、除
去領域の端部において磁化変化が生じ、かつ硬質磁性層
41の磁化は逆方向バイアス磁界を印加しても反転しな
いので、図示するように両図の(b)の微分出力は、極
性変化が同パターンとなり、その結果、磁気記録層4全
体の微分出力は、各図の(c)に示すものとなる。すな
わち、図7(c)と図8(c)に示すように、微分出力
(絶対値)がバイアス磁界の方向によって大きく異なる
ので、両者を比較することによって改竄を容易に発見で
きる。
【0014】なお、磁気記録層除去による改竄を発見す
るためには、図4(c)と図7(c)との判別または図
5(c)と図8(c)との判別が可能であればよい。す
なわち、順方向バイアス磁界を印加して再生を行うか、
逆方向バイアス磁界を印加して再生を行って、図4
(c)や図5(c)の標準信号とは異なる微分出力信号
をチェックすればよい。すなわち、バイアス磁界の方向
を変えて2回再生する必要はない。ただし、バイアス磁
界の方向を変えて2回再生を行い、各回の再生で得られ
た結果を比較することにより、データの改竄をより確実
に発見することができる。
【0015】なお、加熱により飽和磁化が増大する不可
逆記録材料を用いる場合、本発明は加熱領域を除去する
ことによる変造の発見に有効である。
【0016】また、以上では、磁気記録層4が硬質磁性
層41と不可逆記録層42とに分離している場合を例に
挙げたが、例えば図1に示すように、磁気記録層4が単
層構成であって、不可逆記録材料と硬質磁性材料との両
方を含む場合にも、全く同様な作用によりデータの改竄
を発見することが可能である。しかも、不可逆記録材料
と硬質磁性材料との両者を含む単層の磁気記録層を用い
ると、不可逆記録材料だけを除去することが不可能とな
るため、上述した再生方法による真贋の判定がより確実
なものとなる。
【0017】なお、本発明では、硬質磁性層にも情報を
記録しておいてよい。この場合、硬質磁性層に記録され
た情報をいったん半導体メモリ等に保持し、次いで、硬
質磁性層を上記のように一方向に磁化して再生を行い、
再生後、保持していた情報を硬質磁性層に書き戻せばよ
い。
【0018】ところで、本発明では、不可逆記録材料
に、前記特開平8−77622号公報記載の記録材料を
用いることもできるが、この記録材料は、非晶質から結
晶質への変化により飽和磁化変化を生じるものである。
これに対し本発明において好ましく用いられるFe−A
l系合金の不可逆記録材料は、結晶質合金であって規則
相と不規則相との間での飽和磁化変化を利用するものな
ので、上記公報記載の非晶質の不可逆記録材料に比べ、
安定性がより良好である。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体の構成例
を、図1ならびに図2の(a)および(b)に示す。こ
れらの磁気記録媒体は、基体2の表面に磁気記録層4を
有する。
【0020】磁気記録層4 図1に示す磁気記録層4は、不可逆記録材料を含むか、
不可逆記録材料と硬質磁性材料とを含む。図2に示す磁
気記録層4は、硬質磁性層41と不可逆記録層42とか
ら構成される。硬質磁性層41は、後述する硬質磁性材
料を含み、不可逆記録層42は、後述する不可逆記録材
料を含む。図2(a)では、硬質磁性層41が基体2側
に存在し、図2(b)では、不可逆記録層42が基体2
側に存在する。本発明では、これらのいずれの構成とし
てもよいが、図2(a)に示す構成は不可逆記録層だけ
を一部除去することが可能であり、その場合には前述し
た作用による改竄の発見が困難となる。したがって、好
ましくは図1または図2(b)に示す構成とする。ただ
し、図2(b)に示す構成では、不可逆記録層に記録を
行う際に、サーマルヘッド等の加熱手段と不可逆記録層
との間に硬質磁性層が存在するため、不可逆記録層の昇
温が不十分となって高SN比が得られにくいので、図1
に示す構成とすることがより好ましい。
【0021】図1に示す構成とする場合、磁気記録層中
の硬質磁性材料の含有率は、前述した作用により改竄の
発見が可能なように適宜決定すればよいが、硬質磁性材
料/(不可逆記録材料+硬質磁性材料)は、20〜80
重量%であることが好ましい。硬質磁性材料の含有率が
少なすぎると、図7(b)および図8(b)に示すよう
な微分出力が小さくなってしまうので、データ改竄の発
見が難しくなる。一方、硬質磁性材料の含有率が多すぎ
ると不可逆記録材料の加熱による磁化変化が小さくなる
ので、読み取りが困難となる。
【0022】図1における磁気記録層4の厚さおよび図
2(a)における不可逆記録層42の厚さは、10μm
以下であることが好ましい。これらの層は、その表面側
からサーマルヘッド等の加熱源により加熱される。加熱
を間欠的に行って加熱ドットがマトリックス状に並ぶ記
録方法を使う場合、各加熱ドットに対応して、層表面か
らほぼ半球状に加熱領域(等温領域)が広がる。このと
き、層が厚すぎると、加熱源からの距離が遠い領域(深
い領域)では、隣接する加熱ドット間に、昇温不十分な
領域が生じる。再生の際には、前記昇温不十分な領域に
起因して生じる磁化変化をノイズとして検出してしまう
ので、再生出力自体は大きくは変化しないが、再生信号
のSN比が低くなりやすい。このようなSN比の低下を
防ぐためには、上記したように10μm以下の厚さとす
ることが好ましい。なお、各層の厚さの下限は、その形
成方法によって大きく異なるため、特に限定されない
が、塗布法では通常、1μm程度、スパッタ法等の真空
成膜法では通常、0.01μm程度、好ましくは0.1
μm程度である。これらの層が薄すぎると出力が不十分
となったり、均質な層を形成することが困難となったり
する。
【0023】硬質磁性層は、硬質磁性材料の粉末をバイ
ンダと共に塗布したものであってもよく、スパッタ法等
により形成された薄膜であってもよい。
【0024】硬質磁性層の厚さは、前述した作用により
改竄の発見が可能なものであればよく、特に限定されな
いが、通常、3〜20μmとすることが好ましい。ただ
し、図2(b)に示す構成では、不可逆記録層42の表
面側に硬質磁性層41が存在するため、記録時に不可逆
記録層の昇温を妨げないように、厚さを15μm以下と
することが好ましい。
【0025】磁気記録層表面の表面粗さ(Ra)は、磁
気記録層が単層構成であっても、2層構成であっても、
また、不可逆記録層が表面側であっても硬質磁性層が表
面側であっても、1μm以下であることが好ましい。表
面粗さが大きいと、SN比が著しく低くなってしまう。
なお、表面粗さ(Ra)は、JIS B 0601に規定されてい
る。
【0026】不可逆記録材料 不可逆記録材料は、加熱により飽和磁化が不可逆的に変
化するものである。不可逆記録材料の飽和磁化4πMs
の変化率、すなわち(加熱後の4πMs/加熱前の4π
Ms)または(加熱前の4πMs/加熱後の4πMs)
は、2以上または1/2以下、好ましくは3以上または
1/3以下である。飽和磁化が十分に変化しないと、記
録情報の読み出しが困難となる。
【0027】なお、上記飽和磁化は、通常の環境温度範
囲(例えば−10〜40℃)におけるものである。ま
た、本明細書において加熱により飽和磁化が不可逆的に
変化するとは、磁気カード等に適用したときに、加熱後
に再利用が可能な程度の温度(例えば400℃程度)ま
での加熱において、飽和磁化が不可逆的に変化すること
を意味する。
【0028】昇温時に不可逆記録材料が飽和磁化変化を
示し始める温度は、好ましくは50〜400℃、より好
ましくは100〜400℃、さらに好ましくは150〜
300℃の範囲に存在することが望ましく、また、この
ような温度範囲において上記した飽和磁化変化率が得ら
れることが好ましい。飽和磁化変化を示し始める温度が
低すぎると、熱に対して不安定となり、信頼性が低くな
る。また、加熱領域近傍が影響を受けやすくなって正確
な記録が困難となる。飽和磁化変化を示し始める温度が
高すぎると、記録の際に必要とされる加熱温度が高くな
るため耐熱性の低い樹脂を基体に使うことが困難とな
り、また、記録装置が高価になってしまう。なお、不可
逆記録層の加熱にはサーマルヘッドなどを用いる。サー
マルヘッドの表面温度は400℃程度であり、これに磁
気記録媒体を接触させることにより、不可逆記録層を3
00℃程度まで昇温することが可能である。サーマルヘ
ッドにより加熱では、磁気記録層表面からの深さが約1
0μmの位置での温度が、100〜140℃程度まで上
昇する。
【0029】不可逆記録材料のキュリー温度は特に限定
されず、不可逆記録およびその再生が可能であるキュリ
ー温度であればよい。
【0030】不可逆記録材料の形態は特に限定されず、
例えば、薄帯状、薄膜状、粉末状等のいずれであっても
よい。例えば、磁気カードに適用する場合、不可逆記録
材料の薄帯を単ロール法等の液体急冷法により作製し、
これを基体表面に貼付したり、スパッタ法や蒸着法等の
薄膜形成法により基体表面に不可逆記録材料の薄膜を形
成したり、不可逆記録材料の薄帯を粉砕した粉末や、水
アトマイズ法、ガスアトマイズ法等により製造した粉末
を、媒体攪拌ミル等により扁平化ないし微細化し、これ
をバインダで結合して塗布したりすればよい。不可逆記
録材料を粉末状とする場合、粒子形状は扁平状であるこ
とが好ましい。扁平状粒子を用いれば、塗膜の表面性が
良好となって磁気記録再生特性および加熱時の熱伝導性
が良好となる。
【0031】不可逆記録材料の具体的組成は特に限定さ
れないが、好ましくは以下に挙げるものを用いる。
【0032】Ni基合金 この合金では、非晶質状態のものを加熱して結晶化する
ことにより、飽和磁化の増大が生じる組成を選択する。
【0033】Ni基合金としては、Niに加え、メタロ
イド元素として、M(Mは、B、C、Si、PおよびG
eからなる群から選択される少なくとも1種の元素であ
る)を含むものが好ましい。これらの元素を含むことに
より、非晶質から結晶質への変化が容易となり、また、
結晶化温度を好ましい範囲内とすることが容易となる。
Mとしては、B、CおよびPの少なくとも1種が好まし
く、Bおよび/またはCがより好ましい。特に、Bおよ
びCを含む合金は、飽和磁化が高く、しかも結晶化に要
する温度が低いため好ましい。
【0034】なお、結晶化温度やキュリー温度等の制御
のために、これら以外の元素が含まれていてもよく、ま
た、本発明の作用効果を著しく阻害しない範囲におい
て、さらに他の元素が含まれていてもよい。上記以外の
元素としては、例えばFe、Co、Y、Zr、Gd、C
u、Sn、Al、Cr等が挙げられる。FeやCoは、
Niの一部を置換するかたちで含まれ、これらの置換に
より結晶化温度はやや上昇するが、飽和磁化が高くな
る。
【0035】Ni基合金中のNi含有率は、好ましくは
65〜90原子%、より好ましくは73〜83原子%で
ある。Ni量が少なすぎると結晶化温度が高くなり、し
かも加熱して結晶質としたときの4πMsが低くなって
しまう。一方、Ni量が多すぎると、不可逆記録材料製
造時に非晶質化することが困難となる。Ni基合金がB
およびCを含む場合、結晶化時の飽和磁化はC量の増加
に伴なって一般に増加するが、C量が多すぎると結晶化
温度が上昇してしまうので、C/(B+C)は0.45
以下であることが好ましい。Niの一部をFeおよび/
またはCoで置換する場合、合金中のFe+Coは10
原子%以下であることが好ましい。Fe+Coが多すぎ
ると、非晶質のときの飽和磁化が大きくなってしまう。
【0036】Mn−M(メタロイド)系合金 この合金では、非晶質状態のものを加熱して結晶化する
ことにより、飽和磁化の増大が生じる組成を選択する。
【0037】この合金は、Mnに加え、メタロイド元素
Mの少なくとも1種を含有するものである。メタロイド
元素Mとしては、Ge、Al、B、C、Ga、Siおよ
びCrからなる群から選択される少なくとも1種の元素
が好ましい。元素Mを含むことにより、非晶質から結晶
質への変化が容易となり、また、結晶化温度を好ましい
範囲内とすることが容易となる。MのうちGeまたはA
lを用いた場合、飽和磁化が高くなるので好ましく、特
に、Geを用いた場合には結晶化温度が低くなるので好
ましい。そして、Geに加えAlおよび/またはSiを
添加した場合には、きわめて高い飽和磁化が得られる。
また、Alおよび/またはSiの添加により加熱前の飽
和磁化が著しく小さくなるため、これらの添加は加熱前
後での飽和磁化の比の増大に寄与する。この場合、Al
+Siの添加量の下限は特にないが、通常、0.1原子
%以上とすることが好ましい。また、Alの添加量は好
ましくは6原子%以下、Siの添加量は好ましくは10
原子%以下であり、Al+Siは12原子%を超えない
ことが好ましい。AlやSiの添加量が多すぎると加熱
後の飽和磁化はかえって低くなってしまう。
【0038】Mn−M系合金の結晶化機構は特に限定さ
れないが、一般に、Mnと他の元素との化合物が析出す
ることにより結晶化し、これにより飽和磁化が高くなる
と考えられる。例えば、Geを含む場合には、強磁性の
Mn5 Ge3 相が少なくとも析出する。また、Mnおよ
びAlを主成分とする合金の場合には、強磁性のMn55
Al45相が少なくとも析出すると考えられる。
【0039】合金中のMn含有率の好ましい範囲は、合
金中に含まれるMの種類によって異なるので、不可逆記
録材料としての作用効果が実現するように適宜決定すれ
ばよく、通常、40〜80原子%とすればよいが、例え
ば、Mn−Ge合金やMn−Ge−Al合金、Mn−G
e−Si合金のようにMnおよびGeを主体とするMn
−Ge系合金の場合、Mn含有率は、好ましくは40〜
80原子%、より好ましくは45〜75原子%であり、
Mn−Al合金の場合のMn含有率は、好ましくは45
〜60原子%、より好ましくは50〜55原子%であ
る。
【0040】Mn−Sb系合金 この合金は、MnおよびSbを含む合金である。合金中
のMn含有率は、不可逆記録材料としての作用効果が実
現するように適宜決定すればよいが、好ましくは40〜
75原子%、より好ましくは44〜66原子%、さらに
好ましくは58原子%〜66原子%、最も好ましくは6
0〜66原子%である。Mn含有率が低すぎると、加熱
前および後での飽和磁化がいずれも小さくなり、飽和磁
化の変化比率も小さくなってしまう。一方、Mn含有率
が高い場合、通常、加熱により飽和磁化は増大するが、
Mn含有率が高すぎると加熱後の飽和磁化があまり高く
ならず、記録情報の読み出しが困難となる。
【0041】合金中には、MnおよびSb以外に上記し
たメタロイド元素Mが含まれていてもよい。元素Mの添
加により、一般に結晶化温度を低くすることができるの
で、記録が容易となる。また、Crのように反強磁性元
素を少量添加すると加熱前の磁化が小さくなり、その結
果、飽和磁化の変化比率が大きくなる。なお、M添加に
より飽和磁化は低下するため、M含有率は、通常、15
原子%以下であることが好ましい。
【0042】Mn含有率が上記範囲であるとき、合金の
飽和磁化および保磁力は加熱により一般に増大するが、
Mn含有率が低めのときには、加熱によって飽和磁化が
減少することもある。また、Sb以外に添加する元素の
種類や、加熱温度などによっても、飽和磁化の加熱によ
る減少が生じることがある。ただし、この合金は、加熱
により飽和磁化が増大する場合に、飽和磁化の変化比率
が一般に大きくなるので、このような飽和磁化変化を示
すように組成を選択することが好ましい。
【0043】なお、Mn含有率が低めのときには結晶化
しやすいため、後述する急冷法や薄膜形成法によって不
可逆記録材料を形成する場合に、結晶質となることが多
い。この場合、加熱による磁気特性の変化は、少なくと
も結晶相から他の結晶相への変化に伴うものと考えられ
る。
【0044】Fe−Mn(−C)系合金 この合金は、FeおよびMnを主成分とするか、Fe、
MnおよびCを主成分とする合金である。
【0045】FeおよびMnを主成分とする合金におけ
る各元素の含有率は、好ましくは Fe:50〜75原子%、 Mn:25〜50原子% であり、より好ましくは Fe:60〜70原子%、 Mn:30〜40原子% である。Feが少なすぎても多すぎても、Mnが少なす
ぎても多すぎても、加熱前後での飽和磁化変化率が低く
なる。
【0046】Fe、MnおよびCを主成分とする合金に
おける各元素の含有率は、好ましくは Fe:35〜75原子%、 Mn:20〜50原子% C :0〜30原子%(0原子%を含まず) であり、より好ましくは Fe:35〜70原子%、 Mn:20〜40原子% C :5〜25原子%(0原子%を含まず) である。Feが少なすぎても多すぎても、Mnが少なす
ぎても多すぎても、加熱前後での飽和磁化変化率が低く
なる。Cは、加熱前後での飽和磁化変化率を向上させる
ために添加される。このような効果を十分に発揮させる
ためには、C添加量を好ましくは5原子%以上、より好
ましくは10原子%以上とする。ただし、C添加量が多
すぎると加熱前後での飽和磁化変化率が逆に低くなって
しまう。
【0047】合金中には上記以外の元素、例えば、B、
Si、Al、Cr等の少なくとも1種が含まれていても
よい。ただし、これらの元素の含有率が高すぎると加熱
前後での飽和磁化変化率が小さくなることがあるため、
これらの元素の含有率の合計は、通常、30原子%以下
であることが好ましい。
【0048】なお、この合金の飽和磁化は加熱により一
般に増大するが、C含有率が高めのときには、加熱によ
って飽和磁化が減少することもある。
【0049】Fe−Al系合金 この合金は結晶質合金であり、不規則相から規則相への
不可逆的な変態に伴って飽和磁化の不可逆的変化が生じ
るものである。具体的には、加熱により飽和磁化が減少
する。
【0050】この合金は、FeおよびAlを合計で90
原子%以上含有し、Alの比率を表す原子比Al/(F
e+Al)が好ましくは0.30〜0.45、より好ま
しくは0.35〜0.42である。
【0051】この合金は、平衡状態では規則相であり、
常磁性であるためにほとんど磁化を示さない。しかし、
この合金を後述する液体急冷法やスパッタ法、蒸着法な
どで急冷したり、粉砕機等で加工したりすることなどに
より、格子歪みを伴う不規則な構造にすると、磁性を支
配するFe原子の環境が変化するために強磁性を示すよ
うになる。いったん不規則な構造になった合金は、加熱
により構造緩和して常磁性に変化するので、加熱による
磁化変化を利用した記録が可能となる。そして、加熱に
より常磁性に変化した合金を加熱前の不規則な構造に戻
すためには、不可逆記録材料をその融点付近まで加熱す
るか、不可逆記録材料に結晶構造変化を生じさせる程度
の強い応力を発生させる必要がある。例えば、本発明を
磁気カードに適用する場合には、磁気カードの基体が燃
焼してしまうほどの高温まで加熱するか、磁気カードが
粉々になるほど強い力で加工する必要がある。このた
め、不可逆記録材料にいったん記録された情報の書き換
えは実質的に不可能であり、情報の改竄を防ぐことがで
きる。
【0052】この合金において、Alの比率が低すぎる
と、加熱前後での飽和磁化変化が小さくなり、Alの比
率が高すぎると、耐環境性が著しく低くなる。本明細書
において耐環境性が低いとは、温度100℃程度の環境
下で保存したときに、飽和磁化が減少してしまうことを
意味する。Alの比率が高すぎると、高温環境下での保
存により飽和磁化が著しく低下し、一方、加熱後の飽和
磁化は変化しないため、飽和磁化変化率が著しく低くな
って実用に耐えなくなる。また、Alの比率が高すぎる
と、飽和磁化自体が小さくなって再生信号のSN比が低
くなるという問題もある。
【0053】合金中のAlは、MI(MIは、Si、G
e、Sn、Sb、Bi、Mo、W、Nb、Ta、Ti、
ZrおよびHfの少なくとも1種)で置換されていても
よい。MIでAlを置換することにより、耐環境性が向
上する。ただし、MI含有量が多すぎると、初期飽和磁
化(不規則相本来の飽和磁化)が低くなってしまうた
め、不可逆記録材料中のMI含有量は10原子%以下と
することが好ましい。
【0054】合金中のFeは、MII(MIIは、Co、N
i、Mn、Cr、VおよびCuの少なくとも1種)で置
換されていてもよい。MIIでFeを置換することによ
り、飽和磁化変化率が向上する。また、MIIのうちCr
は、耐食性の向上に極めて有効である。ただし、MII
有量が多すぎると、初期飽和磁化が低くなってしまうこ
とがあるため、不可逆記録材料中のMII含有量は20原
子%以下とすることが好ましい。
【0055】なお、MIおよびMIIは、上記した原子比
Al/(Fe+Al)を算出する際に、それぞれAlお
よびFeとして扱う。
【0056】合金中には、MIII(MIIIは、B、C、N
およびPの少なくとも1種)が含有されていてもよい。
IIIは、合金を急冷法等により製造する際に、不規則
相を出現しやすくする。また、不規則相から規則相への
変化を妨げる作用を示す。このため、上記MIと同様
に、高温環境下で保存したときの飽和磁化の減少を抑え
る効果を示す。しかも、MIII添加による初期飽和磁化
の低下はほとんど認められない。ただし、MIII含有量
が多すぎると飽和磁化変化率が低くなってしまうため、
III含有量は不可逆記録材料の10原子%以下とする
ことが好ましい。
【0057】Cu−Mn−Al系合金 この合金はホイスラー合金の1種であり、結晶質であっ
て、加熱により反強磁性相から強磁性相へ不可逆的に変
化する。すなわち、加熱により飽和磁化が不可逆的に増
大する合金である。
【0058】この合金の組成(原子比)は、 CuxMnyAlz において x=40〜80、 y=5〜40、 z=10〜40、 x+y+z=100 であることが好ましい。x、y、zが上記範囲を外れる
と、十分な磁化変化が得られない。
【0059】硬質磁性材料 本発明で用いる硬質磁性材料は、加熱により飽和磁化が
実質的に変化しない材料、例えば、400℃程度まで加
熱して冷却することによって生じる飽和磁化の変化が3
0%以下である硬質磁性材料である。硬質磁性材料の保
磁力は、不可逆記録材料の保磁力より高ければよく、好
ましくは300Oe以上である。硬質磁性材料は、具体的
にはBaフェライト、Srフェライトなどから適宜選択
すればよいが、不可逆記録材料を加熱する際に硬質磁性
材料も加熱されることになるので、耐熱性の高いもので
あることが好ましい。
【0060】記録・再生方法 磁気記録層に記録する際には、サーマルヘッドやレーザ
光等の加熱手段により磁気記録層の少なくとも一部を加
熱した後、冷却し、磁気記録層内の不可逆記録材料に、
所定パターンの磁気特性変化を不可逆的に生じさせる。
記録は、磁気記録層面内方向の磁化を利用する面内磁気
記録であっても、磁気記録層に垂直な方向の磁化を利用
する垂直磁気記録のいずれであってもよい。
【0061】再生は、前述した手順で行う。再生手段、
すなわち磁気記録層の磁化の検出手段は特に限定され
ず、例えば、通常のリング型磁気ヘッドや、磁気抵抗効
果型(MR)磁気ヘッドなどを用いればよい。そして、
検出した磁化の微分出力から、前述したデータ改竄の判
定を行えばよい。
【0062】バイアス磁界は、不可逆記録材料の保磁力
よりも高い必要があり、逆方向バイアス磁界は、硬質磁
性材料の保磁力よりも低い必要がある。
【0063】磁気記録層に記録する情報は特に限定され
ない。例えば、通常のプリペイドカードとして用いる場
合、不可逆記録材料を含む上記磁気記録層に加え、バイ
アス磁界にさらされない位置に第2の磁気記録層を設け
る。そして、第2の磁気記録層には、金額や度数、その
他、一般的に磁気カードに必要な情報を記録しておき、
不可逆記録材料を含む磁気記録層には、第2の磁気記録
層に記録されている情報のうち、例えば金額や度数など
使用のたびに書き換えが必要な情報を記録する。第2の
磁気記録層において情報を書き換えるたびに、不可逆記
録材料を含む磁気記録層には追記することになる。第2
の磁気記録層の情報が改竄された場合でも、不可逆記録
材料を含む磁気記録層の情報は書き換えができないた
め、両者を照合すれば改竄の有無が判定できる。
【0064】磁気記録層に記録する情報はこれに限定さ
れるものではなく、例えば、磁気カードの固有データと
してのIDコードを記録してもよい。この場合、このI
Dコードで磁気記録層に記録される情報を暗号化してお
けば、この磁気カードの磁気記録層の内容を別のIDコ
ードをもつ他の磁気カードの磁気記録層にコピーしたと
しても、正規の情報の読み出しは不可能となる。本発明
では、カード1枚1枚に固有のIDコードを記録でき、
しかもその改竄が不可能であるため、複製による偽造の
防止効果が極めて高くなる。
【0065】他の構成 基体2の構成材料は特に限定されず、樹脂、金属等のい
ずれであってもよい。
【0066】磁気記録層4の表面には、必要に応じて樹
脂保護層や無機保護層を設けてもよい。なお、このよう
な保護層を設けた場合でも、磁気記録層の表面粗さ(R
a)の限定は有効である。
【0067】
【実施例】水アトマイズ法により得た合金粉末を媒体攪
拌ミルで粉砕して、平均粒径8μmのFe58Al42合金
扁平状粉末を製造し、不可逆記録材料とした。この合金
粉末は、加熱により飽和磁化が低下するものである。な
お、この合金粉末は、急冷直後も400℃まで加熱した
後も結晶質であった。
【0068】また、硬質磁性材料として、Co被着γ−
Fe23粉末(保磁力約700Oe)を用意した。
【0069】上記不可逆記録材料と上記硬質磁性材料と
を重量比で1:1で含む磁性塗料を、厚さ188μmの
ポリイミド基体表面に塗布して乾燥することにより、厚
さ8μmの磁気記録層を形成し、磁気記録媒体サンプル
とした。
【0070】図9(a)に示すように、このサンプルの
磁気記録層4に対しサーマルヘッドにより加熱を行っ
て、等幅の加熱領域が等間隔で並ぶパターンを形成し
た。また、この磁気記録層4にカッターによる切り込み
を入れて、図示するような除去領域を形成した。各加熱
領域の幅は1.25mm(加熱ドット5個分)とし、加熱
領域の間にある非加熱領域の幅は0.75mmとした。な
お、加熱エネルギーは1.2mJ/dotとした。
【0071】次に、磁気記録層に2kOeの順方向バイア
ス磁界または300Oeの逆方向バイアス磁界を印加しな
がら、読み取り速度314mm/sで再生を行った。順方向
バイアス磁界印加時の微分出力を図9(b)に、逆方向
バイアス磁界印加時の微分出力を図9(c)に示す。図
9の(b)および(c)に示すグラフは、横方向が時間
で1ディビジョンが2msであり、縦方向が出力で1ディ
ビジョンが200mVである。
【0072】図9の(b)および(c)から、順方向バ
イアス磁界印加時も逆方向バイアス磁界印加時も、加熱
によって生じた微分出力と磁気記録層除去によって生じ
た微分出力とを明確に判別できることがわかる。そし
て、図9の(b)と(c)とを比較することにより、磁
気記録層除去によるデータ改竄が極めて容易に発見可能
であることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の構成例を示す断面図で
ある。
【図2】(a)および(b)は、本発明の磁気記録媒体
の構成例を示す断面図である。
【図3】磁気記録層4の一部を加熱して記録を行った様
子を模式的に示す断面図である。
【図4】図3に示すように加熱した磁気記録層4に、順
方向バイアス磁界を印加して再生したときの微分出力を
模式的に示すグラフであり、(a)は不可逆記録層42
の微分出力、(b)は硬質磁性層41の微分出力、
(c)は磁気記録層4全体の微分出力である。
【図5】図3に示すように加熱した磁気記録層4に、逆
方向バイアス磁界を印加して再生したときの微分出力を
模式的に示すグラフであり、(a)は不可逆記録層42
の微分出力、(b)は硬質磁性層41の微分出力、
(c)は磁気記録層4全体の微分出力である。
【図6】磁気記録層4の一部を除去してデータを改竄し
た様子を模式的に示す断面図である。
【図7】図6に示すように一部を除去した磁気記録層4
に、順方向バイアス磁界を印加して再生したときの微分
出力を模式的に示すグラフであり、(a)は不可逆記録
層42の微分出力、(b)は硬質磁性層41の微分出
力、(c)は磁気記録層4全体の微分出力である。
【図8】図6に示すように一部を除去した磁気記録層4
に、逆方向バイアス磁界を印加して再生したときの微分
出力を模式的に示すグラフであり、(a)は不可逆記録
層42の微分出力、(b)は硬質磁性層41の微分出
力、(c)は磁気記録層4全体の微分出力である。
【図9】(a)は、磁性層の加熱パターンと、その除去
パターンを示す断面図であり、(b)は、(a)の磁性
層に順方向バイアス磁界を印加しながら再生を行ったと
きの微分出力を示すグラフであり、(c)は、(a)の
磁性層に逆方向バイアス磁界を印加しながら再生を行っ
たときの微分出力を示すグラフである。
【符号の説明】
2 基体 4 磁気記録層 41 硬質磁性層 42 不可逆記録層
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G11B 19/04 521 G11B 19/04 521 H01F 1/11 H01F 1/11 M (72)発明者 重田 政雄 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 長 勤 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体の表面側に、不可逆記録材料と硬質
    磁性材料とを含む磁気記録層を有し、 前記不可逆記録材料が、加熱により飽和磁化が2倍以上
    または1/2倍以下に不可逆的に変化するものであり、 前記硬質磁性材料が、加熱により飽和磁化が実質的に変
    化せず、前記不可逆記録材料よりも保磁力が高いもので
    ある磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記磁気記録層が、前記不可逆記録材料
    を含む不可逆記録層と、前記硬質磁性材料を含む硬質磁
    性層とからなる請求項1の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記硬質磁性材料の保磁力が300Oe以
    上である請求項1または2の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記不可逆記録層の表面粗さ(Ra)が
    1μm以下である請求項1〜3のいずれかの磁気記録媒
    体。
  5. 【請求項5】 前記不可逆記録材料が、結晶質合金であ
    って、加熱により不規則相から規則相へと変化するもの
    である請求項1〜4のいずれかの磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記不可逆記録材料の飽和磁化が、規則
    相のときよりも不規則相のときのほうが高い請求項5の
    磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記不可逆記録材料が、FeおよびAl
    を合計で90原子%以上含有し、原子比Al/(Fe+
    Al)が0.30〜0.45である請求項6の磁気記録
    媒体。
  8. 【請求項8】 前記不可逆記録材料が飽和磁化変化を示
    し始める温度が、50〜400℃の範囲に存在する請求
    項1〜7のいずれかの磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかの磁気記録媒体
    を記録再生する方法であって、 前記磁気記録層を加熱して前記不可逆記録材料に飽和磁
    化変化を生じさせることにより記録を行い、 前記硬質磁性材料が一方向に磁化した状態において、向
    きが前記一方向であるバイアス磁界を印加しながら前記
    磁気記録層の磁化変化を検出することにより再生を行う
    磁気記録媒体の記録再生方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜8のいずれかの磁気記録媒
    体を記録再生する方法であって、 前記磁気記録層を加熱して前記不可逆記録材料に飽和磁
    化変化を生じさせることにより記録を行い、 前記硬質磁性材料が一方向に磁化した状態において、向
    きが前記一方向とは逆であって、かつ前記硬質磁性材料
    の磁化を反転させないバイアス磁界を印加しながら、前
    記磁気記録層の磁化変化を検出することにより再生を行
    う磁気記録媒体の記録再生方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜8のいずれかの磁気記録媒
    体を記録再生する方法であって、 前記磁気記録層を加熱して前記不可逆記録材料に飽和磁
    化変化を生じさせることにより記録を行い、 前記硬質磁性材料が一方向に磁化した状態において、向
    きが前記一方向であるバイアス磁界を印加しながら前記
    磁気記録層の磁化変化を検出する過程と、前記硬質磁性
    材料が一方向に磁化した状態において、向きが前記一方
    向とは逆であって、かつ前記硬質磁性材料の磁化を反転
    させないバイアス磁界を印加しながら、前記磁気記録層
    の磁化変化を検出する過程とにより再生を行う磁気記録
    媒体の記録再生方法。
  12. 【請求項12】 前記バイアス磁界の強度が、前記硬質
    磁性材料の保磁力よりも低く、前記不可逆記録材料の保
    磁力よりも高い請求項9〜11のいずれかの磁気記録媒
    体の記録再生方法。
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