JPH11350674A - 屋根用下葺材 - Google Patents

屋根用下葺材

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JPH11350674A
JPH11350674A JP16452298A JP16452298A JPH11350674A JP H11350674 A JPH11350674 A JP H11350674A JP 16452298 A JP16452298 A JP 16452298A JP 16452298 A JP16452298 A JP 16452298A JP H11350674 A JPH11350674 A JP H11350674A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】防水性、透湿性、可撓性及び耐候性に優れたシ
ート状の屋根用下葺材の提供。 【解決手段】多孔性繊維質シート基材の一面または両面
に、ポリマー成分、セメント及び骨材を含む組成物に水
を加えて混練したものを塗布して形成される透湿性防水
シートから構成される屋根用下葺材であって、上記組成
物中の骨材の配合割合がセメント100重量部に対して
10〜60重量部であること、厚さが0.4〜1.4m
mであること、及びシートの透湿度が少なくとも150
g/m2・24h(JIS Z 0208-1976)で、かつ耐水圧が
少なくとも100cm/cm2 ・24h(JIS L 1092)
であることを特徴とする屋根用下葺材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種建築物の防
水、特に家屋の屋根や壁面の防水に効果的に使用できる
シートであって、透湿性、可撓性、耐候性に特徴を有す
る防水シートに関する。本発明の防水シートは、建築物
の屋根、壁等といった透湿性が必要とされる対象物に適
用される防水材として、特に屋根の下葺材として有用で
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、屋根瓦等の下に使用されている防
水シートは、アスファルト・フェルトが主流である。し
かしながら、アスファルト・フェルトは防水性に優れる
ものの、透湿性に乏しいため、家屋内の湿気や屋根の野
地板に含まれる湿気を排出することができない。このた
め、家屋内に湿気がこもり、結露やカビの発生を招き、
衛生上よくないばかりか、家屋自体にも悪影響を与える
という問題がある。またアスファルトは、時間の経過と
ともに次第に老化して脆くなり、収縮や亀裂を生じて浸
水や断水を生じやすいという大きな欠点を有している。
特に、屋根瓦や屋根板の下は夏期には70℃以上の高温
になることもあるため、アスファルト・フェルトが受け
るダメージは大きい。
【0003】更に屋根下葺材の施工においてもアスファ
ルト・フェルトは通常1kg/m2以上と重く、家屋に
対する負荷が大きいとともに屋根下葺材を施工する作業
員の負担も大きく、作業性がよくないという問題があ
る。
【0004】また、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、合成
ゴム等を利用した防水シートも開発検討されているが、
これら有機高分子を主剤とした素材は耐候性に弱いとい
う欠点を有し、更にこれらは製造に際して溶剤を使用し
たり加熱溶融が行なわれるため、作業衛生や安全性の問
題がある。
【0005】このため、防水性に加えて透湿性、耐候性
及び軽量性等といった屋根下葺材として有用な特性を備
えた防水シートが求められているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、防水性、透
湿性、耐候性及び軽量性等といった屋根下葺材として有
用な特性を有する透湿性防水シートを提供することを目
的とする。また本発明は、パネル間のジョイント部を被
覆するテープ材として有用な特性を有する透湿性防水シ
ートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、屋根下葺材
として従来から使用されているアスファルト・フェルト
の前記問題点を解消すべく日夜検討を重ねていたとこ
ろ、多孔性繊維質シート基材の一面または両面に、主と
してポリマー成分とセメントからなる組成物(以下、被
覆用組成物又は塗布用組成物ともいう)を塗布すること
によって形成されるシートが、1mm前後という薄さに
調製しても、十分な防水性を発揮し、しかも優れた透湿
性を有することを見出した。更にかかるシートの重量
は、従来のアスファルト・フェルト製シートの約7割以
下と軽く、更に高い可撓性を有し、耐候性に優れ、屋根
下葺材として極めて有用な特性を備えていることを見出
した。本発明は、かかる知見に基づいて開発されたもの
である。
【0008】すなわち、本発明は下記(1)〜(10)
に示す透湿性防水シートである。
【0009】(1)多孔性繊維質シート基材の一面また
は両面に、ポリマー成分及びセメントを含む組成物に水
を加えて混練したものを塗布して形成される透湿性防水
シート。
【0010】(2)組成物が更に骨材を含むものである
(1)記載の透湿性防水シート。
【0011】(3)透湿度が少なくとも150g/m2
・24h(JIS Z 0208-1976)であり、かつ耐水圧が少
なくとも100cm/cm2(JIS L 1092)であること
を特徴とする(1)又は(2)記載の透湿性防水シー
ト。
【0012】(4)セメントとポリマ−成分の配合割合
が、セメント1重量部に対してポリマ−成が0.2〜4
重量部である(1)乃至(3)のいずれかに記載の透湿
性防水シート。
【0013】(5)厚さが0.4〜1.4mmである
(1)乃至(4)のいずれかに記載の透湿性防水シー
ト。
【0014】(6)組成物がポリマー成分として樹脂エ
マルジョンを含有するものである(1)乃至(5)のい
ずれかに記載の透湿性防水シート。
【0015】(7)樹脂エマルジョンが、アクリル系樹
脂エマルジョンである(6)に記載の透湿性防水シー
ト。
【0016】(8)多孔性繊維質シート基材が、ガラス
繊維を含む不織布である(1)乃至(7)のいずれかに
記載の透湿性防水シート。
【0017】(9)組成物が更に炭素粉末を含有するも
のである(1)乃至(8)のいずれかに記載の透湿性防
水シート。
【0018】(10)多孔性繊維質シート基材の一面
に、ポリマー成分及びセメントを含む組成物に水を加え
て混練したものを塗布して形成される層を有し、その反
対面に接着層、及び必要に応じて剥離層を有する(1)
乃至(9)のいずれかに記載の透湿性防水シート。
【0019】本発明の透湿性防水シートは、その適用対
象を特に制限するものではないが、特に屋根用下葺材と
して有用である。この場合、本発明の防水シートは防水
性と同時に高い透湿性を有するため、家屋内部で発生す
る湿気や降雨により家屋内に蓄えられた湿気を当該シー
トを通じて、大気中に放出することができ、家屋に悪影
響を与えることなく、またよりよい住環境を与えること
ができる。また、当該シートは軽量化することが可能で
あるため、家屋への負荷や施工作業員の施工負担を軽減
することができる。
【0020】また、本発明の防水シートは、シート自体
に高い可撓性があり、伸び率が大きいため90度以上に
折り曲げても亀裂やひび割れを生じない。このため外的
要素の力に対して柔軟に対応することが可能である。
【0021】このような特性を利用して、本発明の防水
シート、特に上記(10)に記載される透湿性防水シー
トは、テーピング材、例えば壁に使用するパネルの接続
部を被覆するテーピング材として有用である。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明は、多孔性繊維質シート基
材の両面又はその片面に、ポリマー成分及びセメントを
含む組成物に水を加えて混練したものを塗布して形成さ
れるシートであって、屋根下葺材として有用な特性を備
えた透湿性防水シートを提供するものである。
【0023】本発明で用いられるポリマー成分は、セメ
ントと混和性があり、弾力性、耐水性及び透湿性を有す
るものであればよい。好ましくは更に耐候性を備えるも
のである。セメントと混和性のあるポリマー成分には、
制限はされないが、ポリアクリル系、ポリオレフィン
系、ウレタン系、ネオプレン系、酢酸ビニル系、スチレ
ンブタジエン系等のポリマーが含まれる。これらのポリ
マー成分は上記性質を有するものであれば、その分子
量、重合度、粘度等を特に制限するものではなく、これ
ら分子量、重合度、粘度等は上記性質を備えるように適
宜選択して用いることができる。またこれらは1種単独
で、または2種以上を任意に組み合わせて用いることが
できる。またセメントに配合されるポリマー成分の形態
は特に制限されず、水性ポリマーディスパージョン、再
乳化形粉末樹脂、液状ポリマーのいずれの形態であって
もよい。
【0024】好ましいポリマー成分としてはゴム又は合
成樹脂からなるものを挙げることができ、これらは好適
にはゴムエマルジョン(ラテックス)又は樹脂エマルジ
ョンの形態で用いられる。好ましくは樹脂エマルジョン
である。
【0025】樹脂エマルジョンは、一般に、水に難不溶
性の合成樹脂が乳化剤の助けによって水の中に一定の大
きさの粒子として均一分散しているものである。
【0026】本発明で用いられる樹脂エマルジョンとし
ては、前述するように、形成されるポリマーが弾力性、
耐水性及び透湿性を有し、より好ましくは更に耐候性を
備えるものであれば、特に制限されない。例えば、樹脂
エマルジョンにはアクリル系エマルジョン、酢酸ビニル
系エマルジョン、塩化ビニリデン系エマルジョン、塩化
ビニル系エマルジョン、SBR系エマルジョン、エポキ
シエマルジョン等が含まれる。これらに含まれる樹脂の
分子量、重合度等は、形成されるポリマーが上記特性を
有するものであれば特に制限されず、そのようなポリマ
ーを形成するように適宜選択することができる。
【0027】アクリル系エマルジョンは、アクリル酸又
はアクリル酸エステルを主成分とするものであればよ
く、メタクリル酸メチルとの共重合体、アクリル/スチ
レン系エマルジョン、アクリル/酢酸ビニル系エマルジ
ョン等が含まれる。酢酸ビニル系エマルジョンとして
は、酢酸ビニル単独重合体エマルジョン、バーサチック
酢酸ビニル(ベオバ)やエチレンとの共重合体等が含ま
れる。塩化ビニリデン系エマルジョンとしては、塩化ビ
ニリデンと塩化ビニルとの共重合体エマルジョンが含ま
れる。塩化ビニル系エマルジョンには塩化ビニルと酢酸
ビニルとの共重合体エマルジョンが含まれる。
【0028】樹脂エマルジョンとして好ましくはアクリ
ル系エマルジョンを挙げることができる。これには、好
適なものとしてアニオン性のアクリル系エマルジョンが
含まれる。尚、かかるアクリル系エマルジョンとして、
簡便には市販のエマルジョンを使用することもでき、例
えばリカボンド ES−73、リカボンド ES−69
等のリカボンド ESシリーズ(いずれ中央理化工業株
式会社製)等を挙げることができる。
【0029】これらの樹脂エマルジョンは、1種単独で
用いてもまた必要に応じて2種以上を任意に組み合わせ
て使用することもできる。
【0030】樹脂エマルジョンの粘度、pH、不揮発分
含量等は特に制限されない。1500〜3500cp
s、2000〜3000cps又は2200〜2800
cpsの範囲の粘度を有するように調整されたエマルジ
ョン(粘度測定条件:BM型、ローター#2使用、12
rpm/25℃);またpH7〜10又はpH8〜9のp
H範囲にあるエマルジョン;不揮発分を30〜70重量
%、30〜60重量%又は50〜60重量%の含量範囲
で含むエマルジョンのいずれもが包含される。
【0031】本発明において使用されるセメントの種類
は特に制限されず、ポルトランドセメント、高炉セメン
ト、シリカセメント、フライアッシュセメントの別を問
わない。好ましくはポルトランドセメントである。また
ポルトランドセメントには、普通セメント、白色セメン
ト、早強セメント、超早強セメント、中庸熱セメントの
いずれもが包含され、その種の別を問わないが、好まし
くは普通ポルトランドセメントを例示できる。
【0032】本発明においては、ポリマー成分及びセメ
ントに加えて更に骨材を配合することもできる。ここで
骨材の種類は特に制限されず、通常使用されるものを広
く使用することができる。例えば珪砂,寒水砂,川砂等
の天然骨材;陶磁器片やガラス粒等の着色骨材や、パー
ライト,バーミキュライト,シラス球等の軽量骨材等を
含む人工骨材等を挙げることができる。但し、これらに
限定されることはなく、骨材と同様な機能を担う骨材相
当物を使用することもできる。これらの骨材は、一種単
独で使用してもまた2種以上を任意に組み合わせて用い
てもよい。
【0033】防水シートに滑り止め効果を持たせて、屋
根への固定性を良くし、施工時の安全性、施工性を高め
るためには粒状のものが好ましい。かかるものとして
は、通常60〜130メッシュ、好ましくは80〜10
0メッシュの粒子状骨材を例示することができる。経済
的観点からは、主として珪砂、寒水砂等の天然砂が採用
される。
【0034】骨材を使用する場合、セメントに配合する
骨材の割合は、特に制限されないが、セメント100重
量部に対して、骨材0.1〜300重量部、場合によっ
ては1〜100重量部、好ましくは10〜60重量部、
より好ましくは20〜40重量部の割合を例示すること
ができる。
【0035】本発明においてシート基材の塗布に使用さ
れる被覆用組成物は、例えば、上記セメントに前述する
樹脂エマルジョン等のポリマー成分を添加、混合して、
更に必要に応じて骨材を入れて、水とも混練りして調製
することができる。なお、上記成分の配合の順番は特に
制限されない。
【0036】ここで、セメントとポリマー成分との配合
割合は、上記被覆用組成物を多孔性繊維質シート基材の
両面又は片面に塗布し、硬化させて例えば1mm前後の
厚さ(好ましくは、0.4〜1.4mm厚)のシートを
調製した場合に、少なくとも透湿度150g/m2・2
4h(JIS Z 0208-1976)であり、かつ耐水圧が少なく
とも100cm/cm2(JIS L 1092)という条件を満
たすような割合であれば、特に制限されない。尚、屋根
下葺材として使用される場合に求められる好ましい透湿
度は150g/m2・24h(JIS Z 0208-1976)以上、
より好ましくは200g/m2・24h以上であり、特
に200〜350g/m2・24hの範囲、更には30
0〜350g/m2・24hの範囲が好適に例示され
る。また、本発明の屋根下葺材のように直接外界と接し
ない状態で使用される防水シートの場合、実際上、耐水
圧が少なくとも100cm/cm2(JIS L 1092)とい
う条件を満たしていれば十分である。
【0037】またセメントとポリマー成分との配合割合
は、調製される防水シートを調製した場合に、該シート
を90度以上、好ましくは90〜180度まで折り曲げ
ても表面層、すなわち被覆用組成物塗布形成層(以下、
単にセメント被覆層という)に亀裂を生じたり、ひび割
れしたりせず、また骨材が脱落しない範囲であることが
望ましい。
【0038】このようにセメント及びポリマー成分の配
合割合は、セメントやポリマー成分の種類に応じて、上
記要件を満たすように適宜選択調整することができるた
め、一概に規定することはできないが、一例を挙げると
すれば、セメント1重量部に対して例えば樹脂エマルジ
ョン(不揮発分50〜60重量%)の配合割合は、通常
0.2〜4重量部、好ましくは0.4〜3.5重量部、
より好ましくは0.5〜2重量部、更に好ましくは0.
5〜1.5重量部である。
【0039】なお、本発明で用いる被覆用組成物には、
本発明の効果を損なわない限り、上記成分に加えて他の
成分を配合してもよく、例えばベントナイト、珪藻土、
酸性白土、カオリン、イソライト等の無機充填材;アル
ミニウムステアレート、メチルセルローズ、ポリビニル
アルコール、ケイ酸系、カゼイン酸ソーダ等、建築用吹
付材や塗料などに一般に使用される増粘剤やシックナ
ー;群青、二酸化チタン、セラミック顔料等の顔料;炭
酸カルシウム等、その他の添加剤を挙げることができ
る。また、電磁波吸収材も配合することができる。電磁
波吸収材としては、例えば炭素粉末等が挙げられるが、
これらに限定されない。かかる電磁波吸収材の配合割合
は、本発明の防水シートの可撓性等の特性を損なわない
割合であれば特に制限されない。また制限はされない
が、一例としてセメント100重量部に対して炭素粉末
を30重量部程度配合する例を挙げることができる。
【0040】本発明で用いられる被覆用組成物は、前述
するように各種成分を水とも混練りして調製することが
できる。この際、セメントは水と反応してセメント水和
物を形成し、その一方で、樹脂はセメント中のカルシウ
ムイオン及び鉄イオンによって架橋し、また水と反応し
て接着性を有するポリマーを形成する。当該組成物は水
との混練状態で流動性が増大して高いワーカビリティー
を有する。
【0041】このような適度な粘度を有する組成物は、
次いで多孔性繊維質シート材に塗布して硬化させる。そ
の結果、セメント水和物と骨材とが樹脂から形成される
ポリマーを介して強固に結合し、曲げ強度、引張り強度
が増大し、防水性が向上する。また樹脂成分の働きによ
って、被塗布材である多孔性繊維質シート材に対する接
着力、固着力が増加するとともに、耐磨耗性が増加し、
更に耐候性、耐熱性が大幅に改善される。
【0042】本発明で用いる多孔性繊維質シート基材
は、それ自体可撓性を有するものであって、ポリマー成
分、セメント及び必要に応じて骨材から構成されるセメ
ント被覆層が有する透湿性を妨げないものであれば特に
制限されない。好ましくは、被覆層とシート基材との接
着強度、及びシート基材を中間層として両側面に配され
る被覆層同士の接着強度をより高めるために、シート基
材は多孔性の繊維質のものを例示することができる。
【0043】かかるシート基材としては、例えば、ガラ
ス繊維、ポリプロピレン、アクリル、ナイロン、ポリエ
ステル、ポリアミド、ビニロン等の合成繊維などを構成
素材として得られる多孔性の織布や不織布、編み物等を
挙げることができる。なお、上記素材は、1種単独で用
いられても、また2種以上を任意で組み合わせて用いる
こともできる。2種以上の素材を組み合わせる例として
は、不飽和ポリエステル樹脂をガラス繊維で補強した繊
維(FRP)、ポリプロピレン樹脂をガラス繊維で補強
した繊維、エポキシ系樹脂をガラス繊維で補強した繊維
を挙げることができる。好ましくは、ガラス繊維を含む
不織布、より好ましくはポリプロピレン樹脂をガラス繊
維で補強した繊維からなる不織布である。
【0044】これらのシート基材の坪量(単位面積あた
りの重量)は、特に制限されないが、通常10〜100
g/m2であり、好ましくは30〜80g/m2、より好
ましくは50〜70g/m2である。繊維密度が小さす
ぎると得られる防水シートの強度が実用上不十分で好ま
しくなく、また坪量が大きくなると繊維密度が大きくな
りすぎて被覆用組成物の繊維孔への均一な含浸、被着が
期待できず、得られる防水シートの防水性が不十分なも
のとなる。また、坪量の増大に伴って得られる防水シー
トが厚くなってしまうという問題がある。
【0045】シート基材の厚さは特に制限されないが、
通常0.1〜0.5mm、好ましくは0.15〜0.4
mm、より好ましくは0.2〜0.3mmを例示するこ
とができる。またシート基材は、適度な引張強度、引張
伸度及び引裂強度を有していることが好ましい。かかる
引張強度、引張伸度及び引裂強度は、調製する防水シー
トの用途や適用対象に応じて適時選択することができ、
特に限定されない。
【0046】シート基材の大きさや形状は、調製する防
水シートの大きさやその適用対象に応じて適宜選択する
ことができる。屋根下葺材を調製する場合には、例えば
幅1mm程度の反物を用いることができる。
【0047】本発明の防水シートは、上記シート基材の
一面又は両面に被覆用組成物を、水の通過を防止すると
ともに透湿性を確保する厚さに塗布・含浸することによ
って得ることができる。防水シートの軽量化という観点
からは、塗膜の厚さはできるだけ薄く、しかも防水性、
透湿性、可撓性等といった屋根下葺材として有用な特性
を満たすものが望ましい。
【0048】通常最終製品としての防水シートの厚さは
上記条件を満たすものであれば特に制限されないが、通
常0.4〜1.4mm、好ましくは0.5〜1.2m
m、より好ましくは0.5〜1mm、更に好ましくは
0.5〜0.7mmの範囲にあることが望ましい。また
かかる防水シートの重量は、1kg/m2以下と軽量で
あるほど好ましい。例えば0.9kg/m2以下、好ま
しくは0.8kg/m2以下、より好ましくは0.7k
g/m2以下であり、例えば0.4〜0.8kg/m2
場合によっては0.5〜0.8kg/m2、好ましくは
0.6〜0.75kg/m2の範囲のものを例示するこ
とができる。
【0049】なお、シート基材の両面に被覆層を有する
防水シートの場合、最終的に得られるシートの厚さが上
記範囲にあるものであれば、片面の厚さを特に制限する
ものではないが、両面同士がともにほぼ均等な厚さに調
製されることが好ましい。
【0050】シート基材への被覆用組成物の塗布・含浸
方法は、特に制限されず、ロールコーター、スプレー、
フローコーター等を用いる方法を挙げることができる。
【0051】一例として圧縮空気を用いた吹き付け法に
よれば、例えば、まず適量の水で適当な粘度に調製した
被覆用組成物を多孔性繊維質シート基材の一面に吹き付
ける。この吹き付けによって、被覆用組成物はシート基
材の表面に塗膜を形成するとともに、シート基材の繊維
間や孔を介して内部に含浸され、一定時間後にシート基
材と一体化する。その際、被覆用組成物がシート基材の
繊維間や孔内に浸透・含浸することが本発明をより有用
なものとする。この場合、組成物に含まれる樹脂成分が
セメントと骨材を強固に結合するとともに、繊維を抱合
して、塗膜層(被覆層)とシート基材を一体化して層間
剥離を確実に防止する。
【0052】次いで、シート基材の反対面に同様に被覆
用組成物を吹き付け、一定時間放置する。これにより、
被覆用組成物から形成される塗膜(被覆層)がシート基
材という中間層を介して一体化形成されて本発明の防水
シートが形成される。また、シート基材の両面から同時
に被覆用組成物を吹き付けて、一定時間放置して硬化さ
せて本発明の防水シートを調製することもできる。
【0053】なお、シート基材に塗布した被覆用組成物
を乾燥、硬化させる方法は、特に制限されないが、シー
ト基材に被覆用組成物を塗布後、適度な湿度下で陰干し
するか又はそれに準じた条件下での乾燥方法を挙げるこ
とができる。生産性の観点からは、シート基材に被覆用
組成物を塗布した後、高湿度条件下に置き、かかる環境
下でセメント被覆層に含まれる水分を除く工程(除湿工
程)を採用することが好ましい。その後、適宜加温処
理、風乾処理及び冷却処理等の各種工程を組み合わせて
行うことができる。なお、上記除湿工程は冷却しながら
行ってもよく、また室温下で行うこともできる。本発明
の透湿性防水シートは、上記の如く、多孔性繊維質シー
ト基材に被覆用組成物を塗布後、高湿度下で除湿して乾
燥させることによって、より可撓性及び柔軟性の高いシ
ートとして調製される。
【0054】本発明の防水シートは、セメント被覆層
(塗膜層)(2)を多孔性繊維質シート基材(3)の一
面側だけに有するものであってもよいし(図5)、また
両面ともに有するものであってもよい(図2)。屋根下
葺材として使用される場合には、シート基材の両面にセ
メント被覆層を有するものが好ましい。この場合、組成
物に含まれる骨材により、その両表面は多数の突起が形
成されて粗れており、これによって滑り止め機能が発揮
される。このため施工者は防水シート上での下葺き乃至
は瓦葺き作業を極めて安全に行うことができる。
【0055】屋根下葺材として用いられる本発明の透湿
性防水シートは、1例として厚さ0.5〜1.2mm、
好ましくは0.5〜1mm、幅1m、長さ20〜40m
のものをロール状に巻いた状態で提供することができる
(図1参照)。
【0056】かかる屋根下葺材として用いられる透湿性
防水シート(1)は、例えば図3及び図4に示すよう
に、屋根の野地板(4)の上に、野地板に釘(6)打ち
することによって屋根材に固定される。シートの端は、
シート同士を重ね合わせるように敷設することが好まし
い。尚、防水シートの屋根材への固定は、シートの上に
桟木を配し、その桟木の上から釘打ちすることによって
も可能であり、図4の例に制限されない。
【0057】被覆層をシート基材の一面側にのみに有す
る防水シートの場合、予め建築物の施工面に接着剤を付
しておき、該面に貼付・被着することもできるが、貼付
・被着施工時の作業効率や薄物の取り扱い性を考慮し
て、予めセメント被覆層とは反対側のシート基材表面に
所望の接着剤を塗布して接着層を設けておくこともでき
る。なお当該接着層の接着部は、シート基材の一面全部
に形成されても、またその一部に形成されてもよい。ま
たかかる場合、防水シートが使用されるまで、該接着層
が剥離フィルム等の剥離層で保護されていることが好ま
しい。
【0058】これは本発明の透湿性防水シートの態様の
一例であり、具体的には、多孔性繊維質シート基材
(3)を中間層として、一面側に形成された被覆用組成
物塗布形成層(セメント被覆層)(2)、及び反対の面
に接着層(7)を有する3層構造の透湿性防水シート
(図5);また上記シートにおいて、接着層側に更に剥
離層(8)を有する4層構造の透湿性防水シート(図
6)を挙げることができる。
【0059】なお接着層に使用される接着剤は、特に制
限されず、該防水シートを適用する建築物の施工面に適
した接着剤のいずれもが使用できる。剥離フィルムとし
ては、制限はされないが、例えばポリエチレンフィルム
や表面加工した紙類を挙げることができる。
【0060】かかる態様の防水シートは、例えばテープ
状に調製されて、建築物の壁面等に使用されるパネルの
ジョイント部の接合や被覆に用いられる。
【0061】本発明の防水シートは、十分な防水機能を
有する一方で、適当な通気性、透湿性を有する。このた
め、雨水等が屋根材を通じて構造物内部に侵入すること
を確実に防止することができるとともに、屋根材の内部
から水分を水蒸気として速やかに通過させて大気中に放
出することができる。このため、家屋の湿気による傷み
を防止できるとともに、衛生的な住環境を提供すること
ができる。
【0062】更に、本発明の防水シートに釘打ちして
も、被覆層に配合されるポリマー成分とセメントの相互
の働きに基づいて、防水シートが釘に弾性的に絡まるの
で、釘打付部からの水の侵入を確実に防止することがで
きる。
【0063】また本発明の防水シートは、可撓性のある
シート基材を、被覆用組成物の被塗布材として使用する
ことに基づいて、実用上好ましい強度と可撓性を有して
いる。かかる可撓性に基づいて、防水シートの施工面が
局面をなしている場合であっても、容易に該面に沿って
防水シートを施工することができる。
【0064】更にまた本発明の防水シートは、所望の引
張強度と伸縮性を有するので、建築物の壁面に使用する
パネル間の接続部の透湿性防水テーピング材として使用
することができる(図7)。また施工面にひび割れやク
ラックが生じてもシート自体に影響しないので、長期に
わたって、防水性を保持することができる。
【0065】
【実施例】以下、本発明の内容を以下の実施例及び試験
例等を用いて具体的に説明する。ただし、これらの実施
例及び試験例等は本発明の一態様にすぎず、本発明はこ
れらの例に何ら限定されるものではない。
【0066】実施例1 多孔性繊維質シート基材として、ポリプロピレン熱圧着
タイプ・スパンボンド不織布(ジオテキスタイル「テク
トン」#3201:蝶理株式会社製)を用いた。なお、
かかるシート基材は下記の物性を有している。
【0067】 引張強度 タテ×ヨコ 25×25 kgf/2.5cm(試験方法JIS L-1096) 引張伸度 タテ×ヨコ 60×60 % (試験方法JIS L-1096) 引裂強度 タテ×ヨコ 15×15 kgf (試験方法JIS L-1096) 坪量 60 g/m2 (試験方法JIS L-1096) 厚み 0.26 mm (試験方法JIS L-1085) 透水係数 2.8×10-2cm/sec (試験方法JIS A-1218) 下記の処方からなる原材料を混練りして被覆用組成物を
調製し、上記シート基材の一表面に、塗布乾燥重量が3
20g/m2となる割合で、スプレーガンを用いて吹き
付け塗布した。次いで塗布表面に水蒸気をあてながら除
湿し(20℃)、80℃の温風のもとで数分間乾燥させ
た。
【0068】 <被覆用組成物処方> 普通ポルトランドセメント 10重量部 リカボンドES−73(中央理化工業製) 10重量部 [粘度1900±500cp(BM型,12rpm/25℃)、不揮発分54±2%] 珪砂(8号) 4重量部 水 適 量 次いで、その裏面に同じ処方の組成物を同様にスプレー
塗布し、蒸気存在下で除湿、乾燥して、本発明の透湿性
防水シート(重さ700g/m2:試験方法JISL-1096)
を調製した。
【0069】得られた防水シートの厚さは、1mm(試
験方法JIS L-1085)であった。また該防水シートは、上
記シート基材が有する引張強度及び引裂強度以上の強度
を保有していた。更に上記シート基材の引張伸度も殆ど
損なわれず、また可撓性に優れており、引張ったりクシ
ャクシャに折り曲げてもひび割れや亀裂がみられなかっ
た。
【0070】実施例2 下記の処方からなる原材料を混練りして調製した被覆用
組成物を用いて、上記シート基材の一表面の塗布乾燥重
量が300g/m2となる割合で、シート基材にスプレ
ー塗布する以外は、実施例1と同じ方法で透湿性防水シ
ート(重さ660g/m2:試験方法JIS L-1096)を調
製した。
【0071】 <被覆用組成物処方> 普通ポルトランドセメント 20重量部 リカボンドES−73(中央理化工業製) 30重量部 [粘度1900±500cp(BM型,12rpm/25℃)、不揮発分54±2%] 珪砂(8号) 6重量部 水 適 量 得られた防水シートは、厚さが0.8mm(試験方法JI
S L-1085)であり、また実施例1と同様に優れた引張強
度、引張伸度、引裂強度及び可撓性を有していた。
【0072】実施例3 下記の処方からなる原材料を混練りして調製した被覆用
組成物を用いて、実施例1で使用するシート基材と同じ
シート基材の一表面に、塗布乾燥重量が640g/m2
となる割合でスプレーガンを用いて吹き付け塗布し、塗
布表面に水蒸気をふき当てながら、20℃下で除湿器を
使用して乾燥させた。次いで、その裏面のシート基材上
にアクリル系の接着剤を塗布した。更に該接着層をポリ
エチレン製の剥離フィルムで覆って、片面のみにセメン
ト被覆層を有する本発明の透湿性防水シート(重さ70
0g/m2:試験方法JIS L-1096)を調製した。
【0073】 <被覆用組成物処方> 普通ポルトランドセメント 30重量部 リカボンドES−73(中央理化工業製) 20重量部 [粘度1900±500cp(BM型,12rpm/25℃)、不揮発分54±2%] 珪砂(8号) 12重量部 水 適 量 得られた防水シートは、厚さが1mm(試験方法JIS L-
1085)であり、また実施例1と同様に優れた引張強度、
引張伸度、引裂強度及び可撓性を有していた。
【0074】実施例4 上記で使用する多孔性繊維質シート基材の代わりに、引
張強度10×10〜100×100kgf/2.5cm(JIS L-1096)、引
張伸度50×50〜70×70%(JIS L-1096)、引裂強度7×
7〜55×55kgf(JIS L-1096)、坪量40〜100g/m2
(JIS L-1096)、厚み0.2〜0.5mm(JIS L-108
5)、透水係数1〜10-1〜1×10-3cm/sec(JIS A-1
218)の物性を有するシートを用いて、実施例1と同様
に防水シートを調製して、屋根下葺材として有用な特性
を有する透湿性防水シートを得た。
【0075】実施例5〜13 表1記載の処方からなる原材料に水を適量入れて混練り
して調製した被覆用組成物を用いて、実施例1で使用す
るシート基材と同じシート基材の一表面に、塗布乾燥重
量が320g/m2となる割合で、ロールコーターを用
いて塗布し、25℃で湿度30〜80%の下で数分乾燥
させた。次いで、80℃の温風をかけ、適宜冷却した。
次いで、その裏面に同じ処方の被覆用組成物を同様にス
プレー塗布し、同様に除湿処理後、乾燥させて、本発明
の透湿性防水シート(重さ700g/m2:試験方法JIS
L-1096)を得た。
【0076】
【表1】
【0077】得られた防水シートは、厚さが0.6〜
1.2mm(試験方法JIS L-1085)の範囲であり、また
実施例1と同様に優れた引張強度、引張伸度、引裂強度
及び可撓性を有していた。
【0078】試験例1 耐水圧試験 実施例1で調製した透湿性防水シートをJIS L 1092「繊
維製品の防水性試験法」(A法(低水圧法)静水圧法)
に従って試験をして、その防水性、耐水性を測定した。
試験は、実施例1で調製した防水シートから約20cm
×20cmの試験片を4枚ずつ切り取り、耐水試験器
(WP−5P、株式会社大栄化学精器製作所製)に試験
片の表面が水にあたるように取り付け、1分間に60±
3cm/分の割合で水圧を加え、試験片の裏面側に3箇
所から水が出たときの水圧を測ることによって行った。
なお、水滴が現れてから大きくならない非常に小さい水
滴は計算にいれない。結果の数値は4回試験を行った平
均値を小数点以下1桁までで示す。結果は4回の平均値
として、202cm/cm2であった。
【0079】同様に、実施例1〜13で調製した透湿性
防水シートについて試験を行ったところ、いずれも耐水
圧は100cm/cm2以上であった。
【0080】試験例2 透湿性試験 実施例1で調製した防水シートの透湿性を、JIS Z 0280
-1976「防湿包装材料の透湿試験方法(カップ法)」に
従って測定した。具体的には、まず透湿カップ内に吸湿
剤(塩化カルシウム)を入れ、この透湿カップの口に直
径70mmに裁断した本発明の防水シート(試料)をの
せて、パッキン及びリングを蝶ナットで固定した後、透
湿カップと試料の接合部をビニル粘着テープでシールし
て試験体とした。この試験体を40±2℃、90±5%
RHの恒温恒湿装置内に所定時間放置した。1時間後に
試験体を取り出し、質量を測定し、測定後再び恒温恒湿
装置内に置き、4時間後に取り出して、質量を測定し、
次式により、透湿度を、防水シート(1m2当たり)を
通過した水蒸気の質量(g)として求めた。
【0081】<式> 透湿度(g/m2・24h)=240×(a2−a1)/
4h×s a2−a1:試験を行った最後の2つの秤量間隔・増加質
量の合計(g) 4h :4時間 s :透湿面積(cm2) その結果、本発明の防水シートの透湿度は236g/m
2・24h(3試料の平均)であった。
【0082】同様に、実施例1〜13で調製した透湿性
防水シートについて試験を行ったところ、いずれも透湿
度は150g/m2・24h以上で、特に実施例2及び
3の透湿性防水シートの透湿度は200g/m2・24
h以上を満たしていた。
【0083】試験例3 耐沸騰水試 実施例1で調製した防水シートの試験片(100mm×
100mm)を沸騰水の中に1時間浸し、その後取り出
して外観上の変化をみた。処理後の防水シートには、膨
れや浮き、亀裂やチェッキング、被覆層の剥離、層間剥
離など、いずれも観察されなかった。また、実施例2で
調製した防水シートについても同様に試験したところ、
同様の結果が得られた。
【0084】試験例4 耐温水試験 実施例1で調製した防水シートの試験片(100mm×
100mm)を70℃の温水の中に12時間浸し、その
後取り出して外観上の変化をみた。処理後の防水シート
には、膨れや浮き、亀裂やチェッキング、被覆層の剥
離、層間剥離など、いずれも観察されなかった。また、
実施例2で調製した防水シートについても同様に試験し
たところ、同様の結果が得られた。
【0085】試験例5 釘穴シール 性試験 9mm厚さのベニヤ板に実施例1で調製した防水シート
を貼り、これに直径2mm、長さ38mmの真ちゅう製
釘を板を貫通して20mm出るように打ち付けた。この
釘を中心として内径40mmの透明塩化ビニル製パイプ
を置いて周囲をシールした後、高さ150mmまで水を
入れ21±1℃の条件で24時間静置し、釘穴からの漏
水の有無を目視によって観察した。この試験を試料10
個について行ったが、いずれの試料も漏水は観察されな
かった。また、実施例2及び3で調製した防水シートに
ついても同様に試験したところ、同様の結果が得られ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】両面にセメント被覆層を有する本発明の透湿性
防水シート(ロール状に調製)の斜視図である。
【図2】両面にセメント被覆層を有する本発明の透湿性
防水シートの断面図である
【図3】本発明の透湿性防水シートの屋根下葺材として
の施工例を示す図である。
【図4】本発明の透湿性防水シートの屋根材への取り付
け状態を示す図である。
【図5】多孔性繊維質シート基材を介して、片面にセメ
ント被覆層を有し、他方の片面に接着層を有する本発明
の透湿性防水シートの断面図である。
【図6】被覆層、多孔性繊維質シート基材、接着層及び
剥離層を有する本発明の透湿性防水シートの断面図であ
る。
【図7】建築物の壁面パネル間の接続部に本発明の透湿
性防水シート(テープ状)を被着施工した状態を示す断
面図である。
【符号の説明】
1 本発明の透湿性防水シート 2 セメント被覆層 3 多孔性繊維質シート基材 4 野地板 5 瓦 6 釘 7 接着層 8 剥離層 9 壁面パネル
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年12月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 屋根用下葺材
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種建築物の防
水、特に家屋の屋根の防水に効果的に使用できるシート
であって、透湿性、可撓性、耐候性に特徴を有する屋根
用下葺材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、屋根瓦等の下に使用されている防
水シートは、アスファルト・フェルトが主流である。し
かしながら、アスファルト・フェルトは防水性に優れる
ものの、透湿性に乏しいため、家屋内の湿気や屋根の野
地板に含まれる湿気を排出することができない。このた
め、家屋内に湿気がこもり、結露やカビの発生を招き、
衛生上よくないばかりか、家屋自体にも悪影響を与える
という問題がある。またアスファルトは、時間の経過と
ともに次第に老化して脆くなり、収縮や亀裂を生じて浸
水や断水を生じやすいという大きな欠点を有している。
特に、屋根瓦や屋根板の下は夏期には70℃以上の高温
になることもあるため、アスファルト・フェルトが受け
るダメージは大きい。
【0003】更に屋根下葺材の施工においてもアスファ
ルト・フェルトは通常1kg/m2以上と重く、家屋に
対する負荷が大きいとともに屋根下葺材を施工する作業
員の負担も大きく、作業性がよくないという問題があ
る。
【0004】また、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、合成
ゴム等を利用した防水シートも開発検討されているが、
これら有機高分子を主剤とした素材は耐候性に弱いとい
う欠点を有し、更にこれらは製造に際して溶剤を使用し
たり加熱溶融が行なわれるため、作業衛生や安全性の問
題がある。
【0005】このため、防水性に加えて透湿性、耐候性
及び軽量性等といった屋根下葺材として有用な特性を備
えた防水シートが求められているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、防水性、透
湿性、耐候性及び軽量性等といった屋根下葺材として有
用な特性を有する透湿性防水シートから構成される屋根
用下葺材を提供することを目的とする
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、屋根下葺材
として従来から使用されているアスファルト・フェルト
の前記問題点を解消すべく日夜検討を重ねていたとこ
ろ、多孔性繊維質シート基材の一面または両面に、ポリ
マー成分、セメント及び骨材を特定の割合で含有する組
成物(以下、被覆用組成物又は塗布用組成物ともいう)
を塗布することによって形成されるシートが、1mm前
後という薄さに調製しても、十分な防水性を発揮し、し
かも優れた透湿性を有することを見出した。更にかかる
シートの重量は、従来のアスファルト・フェルト製シー
トの約7割以下と軽く、更に高い可撓性を有し、耐候性
に優れ、屋根下葺材として極めて有用な特性を備えてい
ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて開
発されたものである。
【0008】すなわち、本発明は下記(1)〜()に
示す屋根用下葺材である。 (1)多孔性繊維質シート基材の一面または両面に、ポ
リマー成分、セメント及び骨材を含む組成物に水を加え
て混練したものを塗布して形成される透湿性防水シート
から構成される屋根用下葺材であって、上記組成物中の
骨材の配合割合がセメント100重量部に対して10〜
60重量部であること、厚さが0.4〜1.4mmであ
ること、及びシートの透湿度が少なくとも150g/m
2・24h(JIS Z 0208-1976)で、かつ耐水圧が少なく
とも100cm/cm2・24h(JIS L 1092)である
ことを特徴とする屋根用下葺材。 (2)セメントとポリマー成分の配合割合が、セメント
1重量部に対してポリマー成分が0.2〜4重量部であ
る(1)に記載の屋根用下葺材。 (3)ポリマー成分、セメント及び骨材を含む組成物が
ポリマー成分として樹脂エマルジョンを含有するもので
ある(1)又は(2)に記載の屋根用下葺材。 (4)樹脂エマルジョンが、アクリル系樹脂エマルジョ
ンである(1)乃至(3)のいずれかに記載の屋根用下
葺材。 (5)多孔性繊維質シート基材が、ガラス繊維を含む不
織布である(1)乃至(4)のいずれかに記載の屋根用
下葺材。 (6)ポリマー成分、セメント及び骨材を含む組成物が
更に炭素粉末を含有するものである(1)乃至(5)の
いずれかに記載の屋根用下葺材。
【0009】本発明の屋根用下葺材は、防水性と同時に
高い透湿性を有するため、家屋内部で発生する湿気や降
雨により家屋内に蓄えられた湿気を当該下葺材を通じ
て、大気中に放出することができ、家屋に悪影響を与え
ることなく、またよりよい住環境を与えることができ
る。また、当該シートは軽量化することが可能であるた
め、家屋への負荷や施工作業員の施工負担を軽減するこ
とができる。
【0010】また、本発明のシート状の屋根下葺材は、
シート自体に高い可撓性があり、伸び率が大きいため9
0度以上に折り曲げても亀裂やひび割れを生じない。こ
のため外的要素の力に対して柔軟に対応することが可能
である
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、多孔性繊維質シート基
材の両面又はその片面に、ポリマー成分、セメント及び
骨材を特定の割合で含む組成物に水を加えて混練したも
のを塗布して形成されるシートであって、軽量性(薄
さ)、可撓性及び耐候性など屋根下葺材として有用な特
性を備えた透湿性防水シートを提供するものである。
【0012】本発明で用いられるポリマー成分は、セメ
ントと混和性があり、弾力性、耐水性及び透湿性を有す
るものであればよい。好ましくは更に耐候性を備えるも
のである。セメントと混和性のあるポリマー成分には、
制限はされないが、ポリアクリル系、ポリオレフィン
系、ウレタン系、ネオプレン系、酢酸ビニル系、スチレ
ンブタジエン系等のポリマーが含まれる。これらのポリ
マー成分は上記性質を有するものであれば、その分子
量、重合度、粘度等を特に制限するものではなく、これ
ら分子量、重合度、粘度等は上記性質を備えるように適
宜選択して用いることができる。またこれらは1種単独
で、または2種以上を任意に組み合わせて用いることが
できる。またセメントに配合されるポリマー成分の形態
は特に制限されず、水性ポリマーディスパージョン、再
乳化形粉末樹脂、液状ポリマーのいずれの形態であって
もよい。
【0013】好ましいポリマー成分としてはゴム又は合
成樹脂からなるものを挙げることができ、これらは好適
にはゴムエマルジョン(ラテックス)又は樹脂エマルジ
ョンの形態で用いられる。好ましくは樹脂エマルジョン
である。
【0014】樹脂エマルジョンは、一般に、水に難不溶
性の合成樹脂が乳化剤の助けによって水の中に一定の大
きさの粒子として均一分散しているものである。
【0015】本発明で用いられる樹脂エマルジョンとし
ては、前述するように、形成されるポリマーが弾力性、
耐水性及び透湿性を有し、より好ましくは更に耐候性を
備えるものであれば、特に制限されない。例えば、樹脂
エマルジョンにはアクリル系エマルジョン、酢酸ビニル
系エマルジョン、塩化ビニリデン系エマルジョン、塩化
ビニル系エマルジョン、SBR系エマルジョン、エポキ
シエマルジョン等が含まれる。これらに含まれる樹脂の
分子量、重合度等は、形成されるポリマーが上記特性を
有するものであれば特に制限されず、そのようなポリマ
ーを形成するように適宜選択することができる。
【0016】アクリル系エマルジョンは、アクリル酸又
はアクリル酸エステルを主成分とするものであればよ
く、メタクリル酸メチルとの共重合体、アクリル/スチ
レン系エマルジョン、アクリル/酢酸ビニル系エマルジ
ョン等が含まれる。酢酸ビニル系エマルジョンとして
は、酢酸ビニル単独重合体エマルジョン、バーサチック
酢酸ビニル(ベオバ)やエチレンとの共重合体等が含ま
れる。塩化ビニリデン系エマルジョンとしては、塩化ビ
ニリデンと塩化ビニルとの共重合体エマルジョンが含ま
れる。塩化ビニル系エマルジョンには塩化ビニルと酢酸
ビニルとの共重合体エマルジョンが含まれる。
【0017】樹脂エマルジョンとして好ましくはアクリ
ル系エマルジョンを挙げることができる。これには、好
適なものとしてアニオン性のアクリル系エマルジョンが
含まれる。尚、かかるアクリル系エマルジョンとして、
簡便には市販のエマルジョンを使用することもでき、例
えばリカボンド ES−73、リカボンド ES−69
等のリカボンド ESシリーズ(いずれ中央理化工業株
式会社製)等を挙げることができる。
【0018】これらの樹脂エマルジョンは、1種単独で
用いてもまた必要に応じて2種以上を任意に組み合わせ
て使用することもできる。
【0019】樹脂エマルジョンの粘度、pH、不揮発分
含量等は特に制限されない。1500〜3500cp
s、2000〜3000cps又は2200〜2800
cpsの範囲の粘度を有するように調整されたエマルジ
ョン(粘度測定条件:BM型、ローター#2使用、12
rpm/25℃);またpH7〜10又はpH8〜9のp
H範囲にあるエマルジョン;不揮発分を30〜70重量
%、30〜60重量%又は50〜60重量%の含量範囲
で含むエマルジョンのいずれもが包含される。
【0020】本発明において使用されるセメントの種類
は特に制限されず、ポルトランドセメント、高炉セメン
ト、シリカセメント、フライアッシュセメントの別を問
わない。好ましくはポルトランドセメントである。また
ポルトランドセメントには、普通セメント、白色セメン
ト、早強セメント、超早強セメント、中庸熱セメントの
いずれもが包含され、その種の別を問わないが、好まし
くは普通ポルトランドセメントを例示できる。
【0021】本発明においては、ポリマー成分及びセメ
ントに加えて更に骨材を配合するここで骨材の種類は
特に制限されず、通常使用されるものを広く使用するこ
とができる。例えば珪砂,寒水砂,川砂等の天然骨材;
陶磁器片やガラス粒等の着色骨材や、パーライト,バー
ミキュライト,シラス球等の軽量骨材等を含む人工骨材
等を挙げることができる。但し、これらに限定されるこ
とはなく、骨材と同様な機能を担う骨材相当物を使用す
ることもできる。これらの骨材は、一種単独で使用して
もまた2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0022】防水シートに滑り止め効果を持たせて、屋
根への固定性を良くし、施工時の安全性、施工性を高め
るためには粒状の骨材が好ましい。かかるものとして
は、通常60〜130メッシュ、好ましくは80〜10
0メッシュの粒子状骨材を例示することができる。経済
的観点からは、主として珪砂、寒水砂等の天然砂が採用
される。
【0023】メントに配合する骨材の割合は、特に制
限されないが、セメント100重量部に対して骨材1〜
100重量部、好ましくは10〜60重量部、より好ま
しくは20〜40重量部の割合を例示することができ
る。
【0024】本発明においてシート基材の塗布に使用さ
れる被覆用組成物は、例えば、上記セメントに前述する
樹脂エマルジョン等のポリマー成分及び骨材を添加、混
合して水とも混練りして調製することができる。な
お、上記成分の配合の順番は特に制限されない。
【0025】ここで、セメントとポリマー成分との配合
割合は、上記被覆用組成物を多孔性繊維質シート基材の
両面又は片面に塗布し、硬化させて例えば1mm前後の
厚さ(好ましくは、0.4〜1.4mm厚)のシートを
調製した場合に、少なくとも透湿度150g/m2・2
4h(JIS Z 0208-1976)であり、かつ耐水圧が少なく
とも100cm/cm2(JIS L 1092)という条件を満
たすような割合であれば、特に制限されない。本発明の
屋根用下葺材が有する好ましい透湿度は150g/m2
・24h(JIS Z 0208-1976)以上であり、より好まし
くは200g/m2・24h以上であり、特に200〜
350g/m2・24hの範囲、更には300〜350
g/m2・24hの範囲が好適に例示される。また、
接外界と接しない状態で使用される屋根下葺材の場合、
実際上、耐水圧が少なくとも100cm/cm2(JIS L
1092)という条件を満たしていれば十分である。
【0026】またセメントとポリマー成分との配合割合
は、調製される防水シートを調製した場合に、該シート
を90度以上、好ましくは90〜180度まで折り曲げ
ても表面層、すなわち被覆用組成物塗布形成層(以下、
単にセメント被覆層という)に亀裂を生じたり、ひび割
れしたりせず、また骨材が脱落しない範囲であることが
望ましい。
【0027】このようにセメント及びポリマー成分の配
合割合は、セメントやポリマー成分の種類に応じて、上
記要件を満たすように適宜選択調整することができるた
め、一概に規定することはできないが、一例を挙げると
すれば、セメント1重量部に対して例えば樹脂エマルジ
ョン(不揮発分50〜60重量%)の配合割合は、通常
0.2〜4重量部、好ましくは0.4〜3.5重量部、
より好ましくは0.5〜2重量部、更に好ましくは0.
5〜1.5重量部である。
【0028】なお、本発明で用いる被覆用組成物には、
本発明の効果を損なわない限り、上記成分に加えて他の
成分を配合してもよく、例えばベントナイト、珪藻土、
酸性白土、カオリン、イソライト等の無機充填材;アル
ミニウムステアレート、メチルセルローズ、ポリビニル
アルコール、ケイ酸系、カゼイン酸ソーダ等、建築用吹
付材や塗料などに一般に使用される増粘剤やシックナ
ー;群青、二酸化チタン、セラミック顔料等の顔料;炭
酸カルシウム等、その他の添加剤を挙げることができ
る。また、電磁波吸収材も配合することができる
【0029】 電磁波吸収材としては、例えば炭素粉末等
が挙げられるが、これらに限定されない。かかる電磁波
吸収材の配合割合は、本発明の屋根用下葺材の可撓性等
の特性を損なわない割合であれば特に制限されない。ま
た制限はされないが、一例としてセメント100重量部
に対して炭素粉末を30重量部程度配合する例を挙げる
ことができる。
【0030】本発明で用いられる被覆用組成物は、前述
するように各種成分を水と混練りして調製することがで
きる。この際、セメントは水と反応してセメント水和物
を形成し、その一方で、樹脂はセメント中のカルシウム
イオン及び鉄イオンによって架橋し、また水と反応して
接着性を有するポリマーを形成する。当該組成物は水と
の混練状態で流動性が増大して高いワーカビリティーを
有する。
【0031】このような適度な粘度を有する組成物は、
次いで多孔性繊維質シート材に塗布して硬化させる。そ
の結果、セメント水和物と骨材とが樹脂から形成される
ポリマーを介して強固に結合し、曲げ強度、引張り強度
が増大し、防水性が向上する。また樹脂成分の働きによ
って、被塗布材である多孔性繊維質シート材に対する接
着力、固着力が増加するとともに、耐磨耗性が増加し、
更に耐候性、耐熱性が大幅に改善される。
【0032】本発明で用いる多孔性繊維質シート基材
は、それ自体可撓性を有するものであって、ポリマー成
分、セメント及び骨材から構成されるセメント被覆層が
有する透湿性を妨げないものであれば特に制限されな
い。好ましくは、被覆層とシート基材との接着強度、及
びシート基材を中間層として両側面に配される被覆層同
士の接着強度をより高めるために、シート基材は多孔性
の繊維質のものを例示することができる。
【0033】かかるシート基材としては、例えば、ガラ
ス繊維、ポリプロピレン、アクリル、ナイロン、ポリエ
ステル、ポリアミド、ビニロン等の合成繊維などを構成
素材として得られる多孔性の織布や不織布、編み物等を
挙げることができる。なお、上記素材は、1種単独で用
いられても、また2種以上を任意で組み合わせて用いる
こともできる。2種以上の素材を組み合わせる例として
は、不飽和ポリエステル樹脂をガラス繊維で補強した繊
維(FRP)、ポリプロピレン樹脂をガラス繊維で補強
した繊維、エポキシ系樹脂をガラス繊維で補強した繊維
を挙げることができる。好ましくは、ガラス繊維を含む
不織布、より好ましくはポリプロピレン樹脂をガラス繊
維で補強した繊維からなる不織布である。
【0034】これらのシート基材の坪量(単位面積あた
りの重量)は、特に制限されないが、通常10〜100
g/m2であり、好ましくは30〜80g/m2、より好
ましくは50〜70g/m2である。繊維密度が小さす
ぎると得られる防水シートの強度が実用上不十分で好ま
しくなく、また坪量が大きくなると繊維密度が大きくな
りすぎて被覆用組成物の繊維孔への均一な含浸、被着が
期待できず、得られる防水シートの防水性が不十分なも
のとなる。また、坪量の増大に伴って得られる防水シー
トが厚くなってしまうという問題がある。
【0035】シート基材の厚さは特に制限されないが、
通常0.1〜0.5mm、好ましくは0.15〜0.4
mm、より好ましくは0.2〜0.3mmを例示するこ
とができる。またシート基材は、適度な引張強度、引張
伸度及び引裂強度を有していることが好ましい。かかる
引張強度、引張伸度及び引裂強度は、調製する屋根用下
葺材としての用途や適用対象に応じて適時選択すること
ができ、特に限定されない。
【0036】シート基材の大きさや形状は、調製する屋
根用下葺材の大きさやその適用対象に応じて適宜選択す
ることができる。例えば幅1mm程度の反物を用いるこ
とができる。
【0037】本発明の屋根用下葺材は、上記シート基材
の一面又は両面に被覆用組成物を、水の通過を防止する
とともに透湿性を確保する厚さに塗布・含浸することに
よって得ることができる。屋根用下葺材の軽量化という
観点からは、塗膜の厚さはできるだけ薄く、しかも防水
性、透湿性、可撓性等といった屋根下葺材として有用な
特性を満たすものが望ましい。
【0038】通常最終製品としての屋根用下葺材の厚さ
は上記条件を満たすものであれば特に制限されないが、
通常0.4〜1.4mm、好ましくは0.5〜1.2m
m、より好ましくは0.5〜1mm、更に好ましくは
0.5〜0.7mmの範囲にあることが望ましい。また
かかる屋根用下葺材の重量は、1kg/m2以下と軽量
であるほど好ましい。例えば0.9kg/m2以下、好
ましくは0.8kg/m2以下、より好ましくは0.7
kg/m2以下であり、例えば0.4〜0.8kg/
2、場合によっては0.5〜0.8kg/m2、好まし
くは0.6〜0.75kg/m2の範囲のものを例示す
ることができる。
【0039】なお、シート基材の両面に被覆層を有する
防水シートの場合、最終的に得られるシートの厚さが上
記範囲にあるものであれば、片面の厚さを特に制限する
ものではないが、両面同士がともにほぼ均等な厚さに調
製されることが好ましい。
【0040】シート基材への被覆用組成物の塗布・含浸
方法は、特に制限されず、ロールコーター、スプレー、
フローコーター等を用いる方法を挙げることができる。
【0041】一例として圧縮空気を用いた吹き付け法に
よれば、例えば、まず適量の水で適当な粘度に調製した
被覆用組成物を多孔性繊維質シート基材の一面に吹き付
ける。この吹き付けによって、被覆用組成物はシート基
材の表面に塗膜を形成するとともに、シート基材の繊維
間や孔を介して内部に含浸され、一定時間後にシート基
材と一体化する。その際、被覆用組成物がシート基材の
繊維間や孔内に浸透・含浸することが本発明をより有用
なものとする。この場合、組成物に含まれる樹脂成分が
セメントと骨材を強固に結合するとともに、繊維を抱合
して、塗膜層(被覆層)とシート基材を一体化して層間
剥離を確実に防止する。
【0042】次いで、シート基材の反対面に同様に被覆
用組成物を吹き付け、一定時間放置する。これにより、
被覆用組成物から形成される塗膜(被覆層)がシート基
材という中間層を介して一体化形成されて本発明のシー
ト状の屋根用下葺材が形成される。また、シート基材の
両面から同時に被覆用組成物を吹き付けて、一定時間放
置して硬化させて本発明の屋根用下葺材を調製すること
もできる。
【0043】なお、シート基材に塗布した被覆用組成物
を乾燥、硬化させる方法は、特に制限されないが、シー
ト基材に被覆用組成物を塗布後、適度な湿度下で陰干し
するか又はそれに準じた条件下での乾燥方法を挙げるこ
とができる。生産性の観点からは、シート基材に被覆用
組成物を塗布した後、高湿度条件下に置き、かかる環境
下でセメント被覆層に含まれる水分を除く工程(除湿工
程)を採用することが好ましい。その後、適宜加温処
理、風乾処理及び冷却処理等の各種工程を組み合わせて
行うことができる。なお、上記除湿工程は冷却しながら
行ってもよく、また室温下で行うこともできる。本発明
屋根用下葺材は、上記の如く、多孔性繊維質シート基
材に被覆用組成物を塗布後、高湿度下で除湿して乾燥さ
せることによって、より可撓性及び柔軟性の高いシート
状物として調製される。
【0044】本発明の屋根用下葺材は、セメント被覆層
(塗膜層)(2)を多孔性繊維質シート基材(3)の一
面側だけに有するものであってもよいし、また両面とも
に有するものであってもよい(図2)。好ましくは、
ート基材の両面にセメント被覆層を有するものである
この場合、組成物に含まれる骨材により、その両表面は
多数の突起が形成されて粗れており、これによって滑り
止め機能が発揮される。このため施工者は当該シート
での下葺き乃至は瓦葺き作業を極めて安全に行うことが
できる。
【0045】本発明の屋根用下葺材(1)は、1例とし
て厚さ0.5〜1.2mm、好ましくは0.5〜1m
m、幅1m、長さ20〜40mのものをロール状に巻い
た状態で提供することができる(図1参照)。
【0046】かかるシート状の屋根下葺材(1)は、例
えば図3及び図4に示すように、屋根の野地板(4)の
上に、野地板に釘(6)打ちすることによって屋根材に
固定される。シートの端は、シート同士を重ね合わせる
ように敷設することが好ましい。尚、屋根用下葺材の屋
根材への固定は、シートの上に桟木を配し、その桟木の
上から釘打ちすることによっても可能であり、図4の例
に制限されない。
【0047】被覆層をシート基材の一面側にのみに有す
屋根用下葺材の場合、予め施工面に接着剤を付してお
き、該面に貼付・被着することもできるが、貼付・被着
施工時の作業効率や薄物の取り扱い性を考慮して、予め
セメント被覆層とは反対側のシート基材表面に所望の接
着剤を塗布して接着層を設けておくこともできる。なお
当該接着層の接着部は、シート基材の一面全部に形成さ
れても、またその一部に形成されてもよい。またかかる
場合、屋根用下葺材が使用されるまで、該接着層が剥離
フィルム等の剥離層で保護されていることが好ましい。
【0048】これは本発明の屋根用下葺材の態様の一例
であり、具体的には、多孔性繊維質シート基材(3)を
中間層として、一面側に形成された被覆用組成物塗布形
成層(セメント被覆層)(2)、及び反対の面に接着層
(7)を有する3層構造のシート状屋根用下葺材(図
5);また上記シートにおいて、接着層側に更に剥離層
(8)を有する4層構造のシート状屋根用下葺材(図
6)を挙げることができる。
【0049】なお接着層に使用される接着剤は、特に制
限されず、該防水シートを適用する建築物の施工面に適
した接着剤のいずれもが使用できる。剥離フィルムとし
ては、制限はされないが、例えばポリエチレンフィルム
や表面加工した紙類を挙げることができる
【0050】本発明の屋根用下葺材は、十分な防水機能
を有する一方で、適当な通気性、透湿性を有する。この
ため、雨水等が屋根材を通じて構造物内部に侵入するこ
とを確実に防止することができるとともに、屋根材の内
部から水分を水蒸気として速やかに通過させて大気中に
放出することができる。このため、家屋の湿気による傷
みを防止できるとともに、衛生的な住環境を提供するこ
とができる。
【0051】更に、本発明の屋根用下葺材に釘打ちして
も、被覆層に配合されるポリマー成分とセメントの相互
の働きに基づいて、防水シートが釘に弾性的に絡まるの
で、釘打付部からの水の侵入を確実に防止することがで
きる。
【0052】また本発明の屋根用下葺材は、可撓性のあ
るシート基材を、被覆用組成物の被塗布材として使用す
ることから、実用上好ましい強度と可撓性を有してい
る。かかる可撓性に基づいて、防水シートの施工面が局
面をなしている場合であっても、容易に該面に沿って
根用下葺材を施工することができる
【0053】
【実施例】以下、本発明の内容を以下の実施例及び試験
例等を用いて具体的に説明する。ただし、これらの実施
例及び試験例等は本発明の一態様にすぎず、本発明はこ
れらの例に何ら限定されるものではない。実施例1 多孔性繊維質シート基材として、ポリプロピレン熱圧着
タイプ・スパンボンド不織布(ジオテキスタイル「テク
トン」#3201:蝶理株式会社製)を用いた。なお、
かかるシート基材は下記の物性を有している。
【0054】 引張強度 タテ×ヨコ 25×25 kgf/2.5cm(試験方法JIS L-1096) 引張伸度 タテ×ヨコ 60×60% (試験方法JIS L-1096) 引裂強度 タテ×ヨコ 15×15 kgf (試験方法JIS L-1096) 坪量 60 g/m2 (試験方法JIS L-1096) 厚み 0.26 mm (試験方法JIS L-1085) 透水係数 2.8×10-2cm/sec(試験方法JIS A-1218) 下記の処方からなる原材料を混練りして被覆用組成物を
調製し、上記シート基材の一表面に、塗布乾燥重量が3
20g/m2となる割合で、スプレーガンを用いて吹き
付け塗布した。次いで塗布表面に水蒸気をあてながら除
湿し(20℃)、80℃の温風のもとで数分間乾燥させ
た。
【0055】 <被覆用組成物処方> 普通ポルトランドセメント 10重量部 リカボンドES−73(中央理化工業製) 10重量部 [粘度1900±500cp(BM型,12rpm/25℃)、不揮発分54±2%] 珪砂(8号) 4重量部 水 適 量 次いで、その裏面に同じ処方の組成物を同様にスプレー
塗布し、蒸気存在下で除湿、乾燥して、本発明のシート
状の屋根用下葺材(重さ700g/m2:試験方法JIS L
-1096)を調製した。
【0056】得られたシートの厚さは、1mm(試験方
法JIS L-1085)であった。また該シートは、上記シート
基材が有する引張強度及び引裂強度以上の強度を保有し
ていた。更に上記シート基材の引張伸度も殆ど損なわれ
ず、また可撓性に優れており、引張ったりクシャクシャ
に折り曲げてもひび割れや亀裂がみられなかった。実施例2 下記の処方からなる原材料を混練りして調製した被覆用
組成物を用いて、上記シート基材の一表面の塗布乾燥重
量が300g/m2となる割合で、シート基材にスプレ
ー塗布する以外は、実施例1と同じ方法で透湿性防水シ
ート(重さ660g/m2:試験方法JIS L-1096)を調
製した。
【0057】 <被覆用組成物処方> 普通ポルトランドセメント 20重量部 リカボンドES−73(中央理化工業製) 30重量部 [粘度1900±500cp(BM型,12rpm/25℃)、不揮発分54±2%] 珪砂(8号) 6重量部 水 適 量 得られた防水シートは、厚さが0.8mm(試験方法JI
S L-1085)であり、また実施例1と同様に優れた引張強
度、引張伸度、引裂強度及び可撓性を有していた。実施例3 下記の処方からなる原材料を混練りして調製した被覆用
組成物を用いて、実施例1で使用するシート基材と同じ
シート基材の一表面に、塗布乾燥重量が640g/m2
となる割合でスプレーガンを用いて吹き付け塗布し、塗
布表面に水蒸気をふき当てながら、20℃下で除湿器を
使用して乾燥させた。次いで、その裏面のシート基材上
にアクリル系の接着剤を塗布した。更に該接着層をポリ
エチレン製の剥離フィルムで覆って、片面のみにセメン
ト被覆層を有する本発明のシート状の屋根用下葺材(重
さ700g/m2:試験方法JIS L-1096)を調製した。 <被覆用組成物処方> 普通ポルトランドセメント 30重量部 リカボンドES−73(中央理化工業製) 20重量部 [粘度1900±500cp(BM型,12rpm/25℃)、不揮発分54±2%] 珪砂(8号) 12重量部 水 適 量 得られたシートは、厚さが1mm(試験方法JIS L-108
5)であり、また実施例1と同様に優れた引張強度、引
張伸度、引裂強度及び可撓性を有していた。実施例4 上記で使用する多孔性繊維質シート基材の代わりに、引
張強度10×10〜100×100kgf/2.5cm(JIS L-1096)、引
張伸度50×50〜70×70%(JIS L-1096)、引裂強度7×
7〜55×55kgf(JIS L-1096)、坪量40〜100g/m2
(JIS L-1096)、厚み0.2〜0.5mm(JIS L-108
5)、透水係数1〜10-1〜1×10-3cm/sec(JIS A-1
218)の物性を有するシートを用いて、実施例1と同様
にシートを調製して、屋根下葺材として有用な特性を有
する透湿性防水シートを得た。実施例5〜10 表1記載の処方からなる原材料に水を適量入れて混練り
して調製した被覆用組成物を用いて、実施例1で使用す
るシート基材と同じシート基材の一表面に、塗布乾燥重
量が320g/m2となる割合で、ロールコーターを用
いて塗布し、25℃で湿度30〜80%の下で数分乾燥
させた。次いで、80℃の温風をかけ、適宜冷却した。
次いで、その裏面に同じ処方の被覆用組成物を同様にス
プレー塗布し、同様に除湿処理後、乾燥させて、本発明
屋根用下葺材(重さ700g/m2:試験方法JIS L-1
096)を得た。
【0058】
【表1】
【0059】得られたシートは、厚さが0.6〜1.2
mm(試験方法JIS L-1085)の範囲であり、また実施例
1と同様に優れた引張強度、引張伸度、引裂強度及び可
撓性を有していた。試験例1 耐水圧試験 実施例1で調製したシートをJIS L 1092「繊維製品の防
水性試験法」(A法(低水圧法)静水圧法)に従って試
験をして、その防水性、耐水性を測定した。試験は、実
施例1で調製したシートから約20cm×20cmの試
験片を4枚ずつ切り取り、耐水試験器(WP−5P、株
式会社大栄化学精器製作所製)に試験片の表面が水にあ
たるように取り付け、1分間に60±3cm/分の割合
で水圧を加え、試験片の裏面側に3箇所から水が出たと
きの水圧を測ることによって行った。なお、水滴が現れ
てから大きくならない非常に小さい水滴は計算にいれな
い。結果の数値は4回試験を行った平均値を小数点以下
1桁までで示す。結果は4回の平均値として、202c
m/cm2であった。
【0060】同様に、実施例10で調製したシート
について試験を行ったところ、いずれも耐水圧は100
cm/cm2以上であった。試験例2 透湿性試験 実施例1で調製したシートの透湿性を、JIS Z 0280-197
6「防湿包装材料の透湿試験方法(カップ法)」に従っ
て測定した。具体的には、まず透湿カップ内に吸湿剤
(塩化カルシウム)を入れ、この透湿カップの口に直径
70mmに裁断した本発明の屋根用下葺材(試料)をの
せて、パッキン及びリングを蝶ナットで固定した後、透
湿カップと試料の接合部をビニル粘着テープでシールし
て試験体とした。この試験体を40±2℃、90±5%
RHの恒温恒湿装置内に所定時間放置した。1時間後に
試験体を取り出し、質量を測定し、測定後再び恒温恒湿
装置内に置き、4時間後に取り出して、質量を測定し、
次式により、透湿度をシート(1m2当たり)を通過し
た水蒸気の質量(g)として求めた。 <式> 透湿度(g/m2・24h)=240×(a2−a1)/
4h×s a2−a1:試験を行った最後の2つの秤量間隔・増加質
量の合計(g) 4h :4時間 s :透湿面積(cm2) その結果、本発明の屋根用下葺材の透湿度は236g/
2・24h(3試料の平均)であった。
【0061】同様に、実施例10で調製したシート
について試験を行ったところ、いずれも透湿度は150
g/m2・24h以上で、特に実施例2及び3のシート
の透湿度は200g/m2・24h以上を満たしてい
た。試験例3 耐沸騰水試験 実施例1で調製したシートの試験片(100mm×10
0mm)を沸騰水の中に1時間浸し、その後取り出して
外観上の変化をみた。処理後の防水シートには、膨れや
浮き、亀裂やチェッキング、被覆層の剥離、層間剥離な
ど、いずれも観察されなかった。また、実施例2で調製
たシートについても同様に試験したところ、同様の結
果が得られた。試験例4 耐温水試験 実施例1で調製したシートの試験片(100mm×10
0mm)を70℃の温水の中に12時間浸し、その後取
り出して外観上の変化をみた。処理後のシートには、膨
れや浮き、亀裂やチェッキング、被覆層の剥離、層間剥
離など、いずれも観察されなかった。また、実施例2で
調製したシートについても同様に試験したところ、同様
の結果が得られた。試験例5 釘穴シール性試験 9mm厚さのベニヤ板に実施例1で調製したシートを貼
り、これに直径2mm、長さ38mmの真ちゅう製釘を
板を貫通して20mm出るように打ち付けた。この釘を
中心として内径40mmの透明塩化ビニル製パイプを置
いて周囲をシールした後、高さ150mmまで水を入れ
21±1℃の条件で24時間静置し、釘穴からの漏水の
有無を目視によって観察した。この試験を試料10個に
ついて行ったが、いずれの試料も漏水は観察されなかっ
た。また、実施例2及び3で調製した防水シートについ
ても同様に試験したところ、同様の結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】両面にセメント被覆層を有する本発明の屋根用
下葺材(ロール状に調製)の斜視図である。
【図2】両面にセメント被覆層を有する本発明の屋根用
下葺材の断面図である
【図3】本発明の屋根用下葺材の施工例を示す図であ
る。
【図4】本発明の屋根用下葺材の屋根材への取り付け状
態を示す図である。
【図5】多孔性繊維質シート基材を介して、片面にセメ
ント被覆層を有し、他方の片面に接着層を有する本発明
屋根用下葺材の断面図である。
【図6】被覆層、多孔性繊維質シート基材、接着層及び
剥離層を有する本発明の屋根用下葺材の断面図である。
【符号の説明】 1 本発明の屋根用下葺材 2 セメント被覆層 3 多孔性繊維質シート基材 4 野地板 5 瓦 6 釘 7 接着層 8 剥離層
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔性繊維質シート基材の一面または両面
    に、ポリマー成分及びセメントを含む組成物に水を加え
    て混練したものを塗布して形成される透湿性防水シー
    ト。
  2. 【請求項2】組成物が更に骨材を含むものである請求項
    1記載の透湿性防水シート。
  3. 【請求項3】透湿度が少なくとも150g/m2・24
    h(JIS Z 0208-1976)であり、かつ耐水圧が少なくと
    も100cm/cm2(JIS L 1092)であることを特徴
    とする請求項1又は2記載の透湿性防水シート。
  4. 【請求項4】セメントとポリマ−成分の配合割合が、セ
    メント1重量部に対してポリマー成分が0.2〜4重量
    部である請求項1乃至3のいずれかに記載の透湿性防水
    シート。
  5. 【請求項5】厚さが0.4〜1.4mmである請求項1
    乃至4のいずれかに記載の透湿性防水シート。
  6. 【請求項6】組成物がポリマー成分として樹脂エマルジ
    ョンを含有するものである請求項1乃至5のいずれかに
    記載の透湿性防水シート。
  7. 【請求項7】樹脂エマルジョンが、アクリル系樹脂エマ
    ルジョンである請求項6に記載の透湿性防水シート。
  8. 【請求項8】多孔性繊維質シート基材が、ガラス繊維を
    含む不織布である請求項1乃至7のいずれかに記載の透
    湿性防水シート。
  9. 【請求項9】組成物が更に炭素粉末を含有するものであ
    る請求項1乃至8のいずれかに記載の透湿性防水シー
    ト。
  10. 【請求項10】多孔性繊維質シート基材の一面に、ポリ
    マー成分及びセメントを含む組成物に水を加えて混練し
    たものを塗布して形成される層を有し、その反対面に接
    着層、及び必要に応じて剥離層を有する請求項1乃至9
    のいずれかに記載の透湿性防水シート。
  11. 【請求項11】請求項1乃至10のいずれかに記載の透
    湿性防水シートからなる屋根用下葺材。
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