JPH11350631A - 布基礎と壁パネルの定着構造およびその方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 布基礎上に付設された壁パネルを充分な強度
を確保して定着でき、しかも布基礎中へのアンカー手段
の埋め込み精度を緩和して簡素に施工でき、その作業性
を改善できる布基礎と壁パネルの定着構造およびその方
法を提供する。 【解決手段】 壁パネル４を布基礎１上に付設して定着
する布基礎と壁パネルの定着構造において、上記布基礎
１の外面寄りに平行にその天端５より所定寸法以上上方
に延出された可撓性を有するアンカーバンド６を打設
し、上記布基礎１の天端５上に土台２、床パネル３およ
び上記壁パネル４を順次付設するとともに、上記アンカ
ーバンド６の上方部を上記壁パネル４に固着手段８によ
り固着し、上記壁パネル４を上記布基礎１に定着してな
る布基礎と壁パネルの定着構造。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、壁パネルを用いた
ユニット住宅において、その布基礎上に壁パネルを付設
して両者を定着する布基礎と壁パネルの定着構造および
その方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、壁パネルを用いたユニット住宅に
おいては、図５に示すように布基礎１１上に土台１２、
床パネル１３および壁パネル１４を順次付設した後、布
基礎１１の中に埋め込み設置されたアンカーボルト１５
を利用して、壁パネル１４を布基礎１１に対しワッシャ
１６、ナット１７にて定着するようにしている。この壁
パネル１４を布基礎１１に定着するアンカーボルト１５
は、布基礎１１の中の埋め込み長さを少なくとも２５ｃ
ｍ以上とし、隅角部および土台の継ぎ手部分に配置し、
かつその間隔を２ｍ以下とすることが規定されている。

【０００３】そして、このアンカーボルト１５は、通
常、型枠に布基礎１１を形成するコンクリートを打設
し、同コンクリートが硬化する前の軟らかいうちに、コ
ンクリート中に埋め込み設置される。アンカーボルト１
５は、壁パネル１４が布基礎１１から離れようとする引
っ張り荷重に対抗するためのものであり、その引っ張り
荷重に対抗して壁パネル１４を確実に布基礎１１に定着
するには、布基礎１１中に精度よく埋め込み設置する必
要がある。

【０００４】しかしながら、アンカーボルト１５を布基
礎１１中へ所定の埋め込み長さを確保して埋め込み、か
つ壁パネル１４を組み付けたときに、壁パネル１４の芯
材から上方に突出するボルト部分の長さをワッシャ１
６、ナット１７を装着して確実に締め付け固定できるよ
う確保するには、アンカーボルト１５の埋め込み長さ寸
法を一定に保つ必要があり、傾かないように垂直に精度
よく、しかもコンクリートが硬化する前の軟らかいうち
に素早く行う必要があるため、大変手間のかかる作業と
なっており、その改善と簡素化が望まれている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の問題
に対処するためになされたものであり、その第一の課題
は、壁パネルを用いたユニット住宅において、その布基
礎上に付設された壁パネルを充分な強度を確保して定着
でき、しかも簡素に施工できる布基礎と壁パネルの定着
構造およびその方法を提供することにある。また、本発
明のもう一つの課題は、布基礎中へのアンカー手段の埋
め込み精度を緩和し、その作業性を改善することができ
る布基礎と壁パネルの定着構造およびその方法を提供す
ることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ために、本発明にかかる布基礎と壁パネルの定着構造
は、壁パネルを布基礎上に付設して定着する布基礎と壁
パネルの定着構造において、上記布基礎の外面寄りに平
行にその天端より所定寸法以上上方に延出された可撓性
を有するアンカーバンドを打設し、上記布基礎の天端上
に土台、床パネルおよび上記壁パネルを順次付設すると
ともに、上記アンカーバンドの上方部を上記壁パネルに
固着手段により固着し、上記壁パネルを上記布基礎に定
着してなることを特徴とするものであり、壁パネルを布
基礎に定着するためのアンカー手段として可撓性を有す
るアンカーバンドを用いているため、同アンカーバンド
を布基礎中に打設する際にその埋め込み長さおよび角度
に多少の誤差が生じても、アンカーバンドの上方部を壁
パネルに確実に固着して、壁パネルを布基礎上に充分な
強度を確保して強固に定着することができる。

【０００７】また、本発明にかかる布基礎と壁パネルの
定着構造は、上記した布基礎と壁パネルの定着構造にお
いて、上記アンカーバンドの上記布基礎中に打設する側
の端部に抜け止め部を設けてなることを特徴とするもの
であり、アンカーバンドの端部に設けられた抜け止め部
を布基礎中に打設することにより、アンカーバンドを確
実に抜け止めすることができるため、壁パネルに対して
充分な引っ張り強度を確保することができる。

【０００８】更に、本発明にかかる布基礎と壁パネルの
定着方法は、壁パネルを布基礎上に付設して定着する布
基礎と壁パネルの定着方法において、上記布基礎の外面
寄りに平行にその天端より所定寸法以上上方に延出され
た可撓性のアンカーバンドを打設し、同アンカーバンド
を上記布基礎の外面側に折り曲げた状態にして上記布基
礎の天端上に土台、床パネルおよび上記壁パネルを順次
付設した後、上記アンカーバンドを上記土台、床パネル
および壁パネルの側面に沿うよう曲げ戻し、その上方部
を上記壁パネルに固着手段により固着することによっ
て、上記壁パネルを上記布基礎に定着してなることを特
徴とするものであり、アンカーバンドは可撓性を有し、
折り曲げ可能であるため、布基礎の天端上に土台、床パ
ネルおよび上記壁パネルを付設する際に、アンカーバン
ドを布基礎の外面側に折り曲げた状態で作業をすること
ができ、これらを付設した後、アンカーバンドを土台、
床パネルおよび壁パネルに沿うように曲げ戻し、その上
方部を壁パネルに釘等の固着手段により固着することに
よって、壁パネルを布基礎上に強固に定着することがで
きるため、施工精度を緩和して作業の容易化、簡素化を
図ることができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図１
乃至図４に基づいて説明する。図１の（Ａ）、（Ｂ）は
本発明の実施形態にかかる布基礎と壁パネルの定着構造
の施工手順を示す側面図、図２はその正面図、図３はそ
のアンカーバンドの打設状態を示す斜視図、図４の
（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）は同アンカーバンドの複数の実
施形態を示す部分斜視図である。

【００１０】図中において、１は型枠にコンクリートを
打設して形成される布基礎、２は布基礎１上に付設され
る土台、３は土台２上に付設される床パネル、４は床パ
ネル３上に付設される壁パネルである。これらの床パネ
ル３、壁パネル４等は、通常工場でライン生産され、建
築現場に搬入されて組み立て施工される。

【００１１】布基礎１には、図３に示すようにその天端
５の外面寄りに外面と平行に所定の間隔でアンカーバン
ド６が打設されている。このアンカーバンド６は、所定
の長さに切断された帯状（短冊状）のバンドであり、例
えば薄鋼板製バンド（厚さ０．６ｔ程度）、ナイロン製
バンド、布製バンド等の可撓性を有し、折り曲げが可能
であって、かつ充分な引っ張り強度を有する材料から構
成される。

【００１２】アンカーバンド６は、布基礎１を形成する
コンクリートを打設する際に、その天端５より所定寸法
以上上方に延出されるよう同コンクリート中に所定寸法
埋め込まれるように打設されて設置される。布基礎１
は、その幅を１２ｃｍ以上、地盤面からその上端までの
高さを３０ｃｍ以上とし、アンカーバンド６の布基礎１
の中の埋め込み長さは少なくとも２５ｃｍ以上とし、隅
角部および土台の継ぎ手部分に配置し、かつその間隔を
２ｍ以下とすることが規定されている。

【００１３】また、このアンカーバンド６には、布基礎
１のコンクリート中に埋め込まれる側の端部に、図４に
示すように各種の抜け止め部７Ａ、７Ｂ、７Ｃ及び釘穴
８Ａが設けられている。この抜け止め部７Ａは穴、７Ｂ
は突起、７Ｃは切り起こしであり、これらの他にバンド
自体の表面の凹凸によっても、抜け止め効果を期待する
ことができ、これによってアンカーバンド６の引っ張り
強度をアップすることができる。

【００１４】しかして、上記の実施形態によると、アン
カーバンド６は、布基礎１を型枠にコンクリートを打設
して形成する際に、同コンクリート中に抜け止め部７Ａ
乃至７Ｃを設けた側の端部を所定寸法埋め込むことによ
って、図３に示すように布基礎１の天端５上に上方へ突
出するよう設置することができる。このアンカーバンド
６を打設した布基礎１の天端５上には、図１に示すよう
に土台２、その上に床パネル３が付設され、更に床パネ
ル３上に壁パネル４が順次付設される。

【００１５】アンカーバンド６は、土台２、床パネル
３、壁パネル４を順次付設して行く際に、図１の（Ａ）
に示すようにその可撓性を利用して布基礎１の外面側に
折り曲げておくことができ、これにより土台２、床パネ
ル３、壁パネル４の付設の邪魔にならないようにし、付
設作業の容易化を図ることができる。そして、壁パネル
４を床パネル３上に付設した後、アンカーバンド６を図
１の（Ｂ）に示すように土台２、床パネル３、壁パネル
４の側面に沿うように曲げ戻し、その上方部を釘８等の
固着手段を床パネル３および壁パネル４の芯材に打ち込
んで固着することにより、壁パネル４を布基礎１上に定
着することができる。

【００１６】従って、上記の実施形態によると、可撓性
を有するアンカーバンド６を用いて壁パネル４を布基礎
１に定着するようにしているため、アンカーバンド６を
布基礎１中に打設する際にその埋め込み長さおよび角度
に多少の誤差があっても、アンカーバンド６の上方部を
壁パネル４に釘８を打ち込むことにより固着することが
でき、これによって壁パネル４を布基礎１上に充分な強
度を確保して強固に定着することができる。

【００１７】また、アンカーバンド６の端部には抜け止
め部７Ａ乃至７Ｃが設けられているため、アンカーバン
ド６を抜け止めし、壁パネル４に対して充分な引っ張り
強度を確保することができるとともに、アンカーバンド
６は可撓性を有し、折り曲げ可能であるため、布基礎１
の天端５上に土台２、床パネル３および壁パネル４を付
設する際に、アンカーバンド６を布基礎１の外面側に折
り曲げた状態で作業をすることができ、付設作業の容易
化を図ることができる。

【００１８】更に、土台２、床パネル３および壁パネル
４を付設した後、アンカーバンド６を土台２、床パネル
３および壁パネル４に沿うように曲げ戻し、その上方部
を壁パネル４に釘８により固着することによって、壁パ
ネル４を布基礎１上に強固に定着することができるた
め、布基礎１中へのアンカーバンド６の埋め込み精度の
緩和とともに、全体としてアンカーバンド６の打設作
業、土台２、床パネル３および壁パネル４の付設作業の
簡素化を図り、施工性、作業性を改善することができ
る。

【００１９】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明にかかる
布基礎と壁パネルの定着構造および方法によると、可撓
性を有するアンカーバンドを用いて壁パネルを布基礎上
に確実に定着することができるため、アンカーボルトを
用いた従来のものに比べ、アンカーバンドの布基礎中へ
の埋め込み精度を緩和してアンカーバンドを容易に設置
することができるとともに、そのアンカーバンドによっ
て布基礎上に壁パネルを充分な引っ張り強度を確保して
強固に定着でき、しかもアンカーバンドの打設作業、土
台、床パネルおよび壁パネルの付設作業の簡素化、容易
化を図ることによって、その施工性、作業性を大幅に改
善することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態にかかる布基礎と壁パネルの
定着構造の施工手順を示す側面図（Ａ）、（Ｂ）であ
る。

【図２】本発明の実施形態にかかる布基礎と壁パネルの
定着構造の正面図である。

【図３】本発明におけるアンカーバンドの打設状態を示
す斜視図である。

【図４】本発明におけるアンカーバンドの複数の実施形
態（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）を示す部分斜視図である。

【図５】従来の布基礎と壁パネルの定着構造を示す側面
図である。

【符号の説明】

１…布基礎、２…土台、３…床パネル、４…壁パネル、
５…天端、６…アンカーバンド、７Ａ，７Ｂ，７Ｃ…抜
け止め部、８…釘

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 壁パネルを布基礎上に付設して定着する
   布基礎と壁パネルの定着構造において、 上記布基礎の外面寄りに平行にその天端より所定寸法以
   上上方に延出された可撓性を有するアンカーバンドを打
   設し、上記布基礎の天端上に土台、床パネルおよび上記
   壁パネルを順次付設するとともに、上記アンカーバンド
   の上方部を上記壁パネルに固着手段により固着し、上記
   壁パネルを上記布基礎に定着してなることを特徴とする
   布基礎と壁パネルの定着構造。
2. 【請求項２】 上記アンカーバンドの上記布基礎中に打
   設する側の端部に抜け止め部を設けてなることを特徴と
   する請求項１記載の布基礎と壁パネルの定着構造。
3. 【請求項３】 壁パネルを布基礎上に付設して定着する
   布基礎と壁パネルの定着方法において、 上記布基礎の外面寄りに平行にその天端より所定寸法以
   上上方に延出された可撓性のアンカーバンドを打設し、
   同アンカーバンドを上記布基礎の外面側に折り曲げた状
   態にして上記布基礎の天端上に土台、床パネルおよび上
   記壁パネルを順次付設した後、上記アンカーバンドを上
   記土台、床パネルおよび壁パネルの側面に沿うよう曲げ
   戻し、その上方部を上記壁パネルに固着手段により固着
   することによって、上記壁パネルを上記布基礎に定着し
   てなることを特徴とする布基礎と壁パネルの定着方法。