JPH11350242A - セルロースエステル微小繊維及びそれを用いたたばこ煙用フィルター素材 - Google Patents

セルロースエステル微小繊維及びそれを用いたたばこ煙用フィルター素材

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JPH11350242A
JPH11350242A JP16370098A JP16370098A JPH11350242A JP H11350242 A JPH11350242 A JP H11350242A JP 16370098 A JP16370098 A JP 16370098A JP 16370098 A JP16370098 A JP 16370098A JP H11350242 A JPH11350242 A JP H11350242A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い比表面積を有し、しかも抄造性に優れる
セルロースエステル微小繊維を用いたたばこ煙用フィル
ター素材を得る。 【解決手段】 本発明のセルロースエステル微小繊維
は、カナダ標準濾水度が100〜700mlであり、
(1)BET比表面積5m2/g以上、又は(2)直径5
0〜250μmの微小繊維の割合が全繊維数の10〜7
0%を占める。このようなセルロースエステル微小繊維
を用いて、たばこ煙用フィルターに好適なフィルター素
材を得る。セルロースエステルとしてはセルロースアセ
テートなどが使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抄造性に優れ、比
表面積の大きなセルロースエステル微小繊維、それを用
いたたばこ煙用フィルター素材、並びにたばこ煙用フィ
ルターに関する。
【0002】
【従来の技術】現在のたばこ煙用フィルターの多くは、
繊維状に成形した酢酸セルロースなどのセルロースエス
テルのトウが用いられている。喫煙時の口腔内への有害
成分の流入量をさらに低減させるため、フィブリル化し
たセルロースエステル微小繊維を用いたトウが提案され
ている。
【0003】例えば、特公昭50−38720号公報に
は、直径0.1〜10μmのフィブリル状セルロースア
セテートのミクロファイバーで構成され、ミクロファイ
バーの少なくとも一部が絡み合い、比表面積3m2 / g
以上の繊維状物で構成されたたばこ煙用フィルターが開
示されている。この文献には、エジェクター式の紡糸装
置を用い、比表面積3〜18m2 /gのフィブリル化セ
ルロースアセテート繊維を得たことが記載されている。
また、特開昭53−45468号公報には、直径0.5
〜50μm、比表面積5.0m2 /g以上 (例えば、1
2〜25m2 /g)のセルロースエステル繊維状物をた
ばこ煙用フィルター素材として用いることが開示されて
いる。この文献には、ベンチュリ管ののど部に、オリフ
ィスからドープ液を押し出し、前記ベンチュリ管に凝固
液を高速で供給して前記セルロースエステル繊維状物を
得ることが記載されている。
【0004】このようなセルロースエステル微小繊維を
たばこフィルターに成形する方法としては、微小繊維を
湿式あるいは乾式でシート状に抄造した後、該シートを
クレープ加工して円筒状に巻き上げる方法や、乾式で微
小繊維を円筒中に詰め込む方法が考えられる。
【0005】しかし、これらの文献に記載の過度な微小
素材を用いる場合には、湿式抄造においては水はけ (濾
水) 性が悪く連続抄造が不可能であり、乾式抄造におい
ては微小繊維の塊を解繊することが著しく困難であり、
均質なたばこ煙用フィルターを連続的に製造することが
不可能である。また、微小繊維の調製に際して、濾水性
が低いため、調製に使用した溶媒を洗浄することが極め
て困難であるか、又は洗浄に多量の洗浄用水及び長時間
を要する。
【0006】一方、特開平8−120517号公報に
は、繊維径15〜250μm、比表面積0.5〜4.5
2 /gのフィブリル化繊維状セルロースエステルで構
成されたたばこ煙用フィルターが開示されている。この
文献には、セルロースエステル溶液をノズルから貧溶媒
中に押し出し、吐出した繊維状セルロースエステル溶液
に、インペラ状のカッターによりせん断力を作用させ、
フィブリル化セルロースエステルを調製することも記載
されている。しかし、一般に、たばこ煙中の有害成分の
除去率とフィルター素材の比表面積の間には相関関係が
認められ、前記フィブリル化繊維状セルロースエステル
の比表面積では、たばこ煙中の有害成分を効率的に除去
するためには十分ではない。
【0007】さらに、たばこ煙の通気抵抗を小さくする
と、通常、フィルターの硬度や濾過効率が低下し、煙濾
過性と硬度を両立できない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、比表面積が大きくても濾水性の大きなセルロースエ
ステル微小繊維、フィルター素材及びたばこ煙用フィル
ターを提供することにある。また本発明の他の目的は、
抄造性に優れるセルロースエステル微小繊維、それを用
いたたばこ煙用フィルター素材、並びにたばこ煙用フィ
ルターを提供することにある。さらに本発明の他の目的
は、たばこ煙用フィルターとして好適な硬さと煙濾過性
とを両立できるセルロースエステル微小繊維、それを用
いたたばこ煙用フィルター素材、並びにたばこ煙用フィ
ルターを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成するため鋭意検討の結果、特定のセルロースエステ
ル繊維が、比表面積が大きいにもかかわらず高い濾水性
を有することを見いだし、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明のセルロースエステル微
小繊維は、カナダ標準濾水度が100〜700mlであ
り、下記(1)及び(2)のうち少なくともいずれか一
方の特性を有する。
【0011】(1)BET測定法による比表面積が5m
2 / g以上 (2)直径50〜250μmの微小繊維の割合が全繊維
数の10〜70%を占める 本発明のたばこ煙用フィルター素材は、上記セルロース
エステル微小繊維で構成されており、たばこ煙用フィル
ター用として有用である。
【0012】なお、本明細書において、「シート」と
は、二次的拡がりを有する紙状物を意味し、巻き取り可
能であればよい。また、「平均直径」とは、湿潤時又は
乾燥時に測定した繊維直径の平均値を意味する。繊維の
直径は、適当量の繊維を採取し、顕微鏡写真を撮影し
て、その写真中の各繊維直径を測定することにより求め
ることができる。なお、繊維が高次(又は高度)に分岐
している場合は、最も太い部分の直径をその繊維の直径
とする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の微小繊維はセルロースエ
ステルで構成されている。セルロースエステルとして
は、例えば、セルロースアセテート、セルロースブチレ
ート、セルロースプロピオネートなどの有機酸エステ
ル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロー
スなどの無機酸エステル;セルロースアセテートプロピ
オネート、セルロースアセテートブチレート、セルロー
スアセテートフタレート、硝酸酢酸セルロースなどの混
合エステル;及びポリカプロラクトングラフト化セルロ
ースアセテートなどのセルロースエステル誘導体などが
例示される。これらのセルロースエステルは、単独で又
は二種以上混合して使用できる。
【0014】これらセルロースエステルのうち、セルロ
ースアセテート(例えば、セルロースジアセテートな
ど)が好ましい。これらセルロースエステルの種類、置
換度や重合度は特に制限されないが、セルロースエステ
ルの平均重合度は、例えば、10〜1000、好ましく
は50〜900、より好ましくは200〜800程度で
あり、通常150〜550程度である。セルロースエス
テルの平均置換度は、例えば1.0〜3.0程度、特に
1.5〜2. 7 (例えば、2.0〜2.7)程度であ
る。
【0015】セルロースエステルを得るための原料は特
に制限されず、例えば、天然セルロース(木材パルプ、
リンターパルプなど)又は再生セルロースなどが使用で
きる。セルロース原料としては、通常、木材パルプを用
いる場合が多い。
【0016】前記セルロースエステルは、種々の添加
剤、例えば、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭
酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミ
ニウムなどの無機微粉末;カルシウム、マグネシウムな
どのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤;着色剤、油
剤、歩留まり向上剤などを含んでいてもよい。
【0017】また、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの
環境分解促進剤(生分解促進剤)、アナターゼ型酸化チ
タンなどの光分解促進剤などを含有させることにより、
繊維の分解性を高めることができる。
【0018】また、前記セルロースエステルは、白色度
改善剤、例えば、酸化チタン、好ましくはアナターゼ型
酸化チタンを含む場合が多い。酸化チタンの平均粒子径
は、例えば、0.01〜10μm、好ましくは0.02
〜5μm程度である場合が多い。酸化チタンの含有量
は、前記セルロースエステル全体に対して、0.05〜
2.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%、さら
に好ましくは0.2〜0.8重量%であり、0.4〜
0.6重量%である場合が多い。
【0019】本発明のセルロースエステル微小繊維は、
濾水度が大きくても比表面積が大きいという特色を有す
る。そのため、抄造性に優れ、連続抄造が可能である。
また、たばこ煙の濾過効率も高い。
【0020】本発明のセルロースエステル微小繊維は、
5m2 / g以上 (例えば、10〜50m2 / g程度)、
好ましくは10〜40m2 / g、さらに好ましくは15
〜40m2 / g(特に20m2 / g以上)のBET比表
面積を有している。BET比表面積が5m2 / g未満で
は、たばこ煙中の有害成分の除去効率が低下する。
【0021】本発明のセルロースエステル微小繊維は、
JIS P−8121に規定されているカナダ標準濾水
度が100〜700ml、好ましくは120〜600m
l、さらに好ましくは150〜500mlであり、通常
200〜600ml程度である。カナダ標準濾水度が1
00ml未満では、繊維が過度に微小であるか、繊維の
フィブリル化 (分岐)が過度に進行しているため、繊維
の絡み合いが多すぎたり水はけ性が低下し、乾式あるい
は湿式でシート状に連続的に抄造することが実質上不可
能となる。また、湿式抄造で得られるシートが硬く緻密
となり、このようなシートから調製したたばこ煙用フィ
ルターは、好適な通気特性(通気抵抗)を達成する場合
には物理特性(硬さ)が不足となる。また、カナダ標準
濾水度が700mlを超える場合は、乾式抄造における
解繊性、湿式抄造における水はけ性は高いものの、セル
ロースエステル微小繊維の繊維間結合が弱すぎるため成
形することが不可能となり、成形するためには多量の木
材パルプなどを混合する必要がある。
【0022】セルロースエステル微小繊維の濾水性に
は、微小繊維のa)直径、b)長さ、c)フィブリル化
(分岐)の程度が関係し、小さい直径、短い長さ、高い
フィブリル化度は濾水性を低下させる。実質上はセルロ
ースエステル微小繊維の濾水性は上記a)〜c)のバラ
ンスとa)〜c)各形状の分布などが関係するため、セ
ルロースエステル微小繊維の形態により定量的に濾水性
を予測することは困難である。本発明のセルロースエス
テル微小繊維は、一般に平均直径20〜250μm、好
ましくは50〜250μm、さらに好ましくは50〜2
00μmの微小繊維が全体の繊維数の10〜70%、好
ましくは20〜65%、さらに好ましくは30〜60%
を占める。平均直径が20μm未満では、たばこ煙用フ
ィルター巻上げ時の歩留まりが低下し、平均直径が25
0μmを超えると、フィルターの均一性が低下しやす
く、比表面積が低下する。
【0023】セルロースエステル微小繊維の製造には、
繊維状紡糸液にせん断力を作用させながらフィブリル化
できる種々の装置が使用できる。このような装置は、凝
固液が供給される流路と、この流路内にセルロースエス
テル溶液を吐出するためのノズル手段と、ノズル手段か
ら押し出し又は吐出された繊維状紡糸液をフィブリル化
とともにカッティングするための切断手段(せん断手
段)とを備えている場合が多い。
【0024】本発明のセルロースエステル微小繊維を得
る方法は特に限定されないが、例えば、図1に示す装置
を用いて、セルロースエステル溶液を該セルロースエス
テルの凝固液中に攪拌せん断下に押し出し凝固させる方
法が挙げられる。
【0025】図1はセルロースエステルをフィブリル化
してセルロースエステル微小繊維を製造するための装置
の一例を示す概略構成図であり、図2は図1の切断手段
を示す概略底面図である。
【0026】図1及び図2に示す装置は、上部が閉塞し
た円筒状ケーシング3と、このケーシング3の底部から
上方へセルロースエステル溶液を吐出するためのノズル
手段1と、ケーシング3の下部に凝固液を供給し、吐出
されたセルロースエステル溶液と合流接触して、セルロ
ースエステル溶液を凝固沈殿させるための凝固液供給口
4と、前記ケーシング3の上部側面に接続され、かつ生
成したフィブリル状セルロースエステルを凝固液ととも
に送出するための送出口5とを備えている。
【0027】そして、前記ノズル手段1と送出口5との
間のうち、セルロースエステル溶液と凝固液との接触領
域には、ノズル手段1から押し出された繊維状のセルロ
ースエステル溶液を攪拌するとともに、せん断力を作用
させて繊維状セルロースエステル溶液をフィブリル化す
るためのカッティング手段(またはせん断手段)6が配
設されている。
【0028】このカッティング手段6は、ノズル手段1
に近接して対向し、かつ回転可能に配設されたカッター
8と、このカッターの下流側において、前記カッター8
と近接してケーシング3に取り付けられた多孔プレート
10とを備えている。すなわち、カッティング手段6
は、前記ケーシング3内で軸方向に延びるシャフト7
と、このシャフトの端部に取り付けられ、かつモーター
などの回転駆動源により回転可能な複数枚の羽根を有す
るカッター8と、このカッターよりも下流側に位置して
ケーシング3に取り付けられ、かつ周方向に複数の孔9
を有するプレート10とを備えている。この例では、プ
レート10はカッター8と平行に配設されている。ま
た、カッティング手段6のカッター8は、プレート10
と近接しているとともに、前記ノズル手段1の吐出口に
近接している。
【0029】このような装置を用いると、セルロースエ
ステル溶液供給口2より供給され、かつノズル手段1か
らケーシング3内に加圧状態で押し出されたセルロース
エステル溶液は、凝固液供給口4から供給される凝固液
と接触して、シャフト7で回転させられるカッター8に
より攪拌される。その際、ノズル1と多孔プレート10
との間に、ノズル1に対向してカッター8が介在してい
るので、ノズル手段1からプレート10の孔9を通過す
る間に、カッター8の回転力及び攪拌力によりセルロー
スエステル溶液にせん断力が作用し、セルロースエステ
ル溶液をフィブリル化しながら凝固できる。フィブリル
化したセルロースエステルはプレート10の孔9を通過
して、フィブリル化セルロースエステル送出口5から送
出される。
【0030】本発明のセルロースエステル微小繊維のフ
ィブリル化の程度や繊維長及び濾水度は、セルロースエ
ステルの溶媒、セルロースエステル溶液の濃度、温度、
供給速度、セルロースエステルの凝固液、セルロースエ
ステル凝固液の温度、供給速度、吐出口とカッティング
手段との距離、カッティング手段とプレートとの距離、
カッティング手段によるせん断力(カッターの回転速度
や形状など)、さらにはノズル孔径などにより調製でき
る。せん断力は、セルロースエステルが完全に凝固する
前に作用させればよく、部分的に凝固したセルロースエ
ステルに作用させてもよい。カッターを使用する場合の
カッターの回転数は、前記ノズル1とカッター8の距離
などに応じて適当に選択でき、例えば、3000〜15
000rpm程度の範囲から選択できる。
【0031】前記ノズルの先端とカッターとの距離は、
セルロースエステル溶液の供給速度やカッターの回転数
により適宜選択できるが、通常、1〜5mm、好ましく
は1〜3mm程度(例えば2mm程度)である。上記距
離が短すぎると、塊状物が生成しやすく、長すぎると、
繊維長及び繊維直径が大きくなりやすい。
【0032】せん断力は、前記カッターの回転せん断力
に限らず、ジェット流、パルス波による衝撃などを利用
してセルロースエステル溶液に作用させてもよい。断面
円形のノズルを用いる場合、ノズル口径は、所望の繊維
径などに応じて選択でき、通常、50μm〜5mm、好
ましくは100μm〜4mm、さらに好ましくは500
μm〜3mm程度である。ノズルとしては、断面円形ノ
ズルに限られず、円形ノズルと同程度の断面積を有して
いればよい。また、セルロース溶液を吐出するノズルは
単一ノズルに限らず、多数のノズル孔径に対応する孔を
形成した口金で構成してもよい。
【0033】セルロースエステルの良溶媒としては、ア
セトン、エチルメチルケトンなどのケトン類;酢酸など
のカルボン酸;ジオキサン、テトラヒドロフランなどの
エーテル類;塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲ
ン化アルキル類やハロゲン化炭化水素類;メタノール、
エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;酢
酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;N,N−ジメ
チルアセトアミドなどのアミド類;ジメチルスルフォキ
シドなどのスルホキシド類などの有機溶媒;これらの有
機溶媒の混合溶媒;およびこれらの有機溶媒と水との混
合溶媒(例えば、酢酸水溶液など)が挙げられ、セルロ
ースエステルの種類や置換度に応じて適当に選択でき
る。
【0034】セルロースエステルの凝固液としては、メ
タノール、エタノール、イソプロパノールなどやこれら
の有機溶媒と水との混合溶媒、水などが例示される。前
記セルロースエステル溶液の良溶媒と水との混合溶媒
(例えば、酢酸水溶液など)も使うことができる。
【0035】比表面積と濾水度には、凝固液とセルロー
スエステル溶液との温度差が大きな影響を及ぼす。その
ため、本発明のセルロースエステル微小繊維を得るに
は、凝固液の温度Tは、セルロースエステル溶液の温度
0 と同等か又は十分低くすることが重要であり、温度
差(T0 −T)は−10〜100℃(例えば0 〜100
℃)程度、好ましくは10 〜100℃、さらに好ましく
は20〜100℃(例えば50〜100℃)程度であ
る。凝固液の温度がセルロースエステル溶液の温度を大
きく超える場合は、カナダ標準濾水度が100ml以下
のセルロースエステル微小繊維しか得ることができな
い。この理由は明確ではないが、比較的高温ではセルロ
ースエステルの溶媒の活動度が高いため、あるいは気化
が生じるため、セルロースエステル微小繊維のフィブリ
ル化が過度に進行するためと考えられる。
【0036】特開平9-324318号公報には比較的幅(直
径)の大きいフィブリル状およびフィルム状のセルロー
スエステルが開示されている。しかし、この文献におい
てはセルロースエステルの溶液を高温の水蒸気と接触さ
せることを調製上の実質的な要件としており、本発明の
セルロースエステル微小繊維とは異なる。
【0037】本発明のたばこ煙用フィルター素材は、少
なくとも前記セルロースエステル微小繊維で構成され
る。フィルター素材の形態は特に制限されず、繊維状、
毛状、織布状、不織布状、トウ状、ウェブ状、シート状
などいずれであってもよい。好ましい素材には、ウェブ
またはシート状素材、特に不織布状で抄紙構造を有する
シート状素材が含まれる。なお、抄紙構造とは、繊維が
互いに絡みあった構造を意味する。
【0038】本発明のセルロースエステル微小繊維をシ
ート状に抄造する方法としては、セルロースエステル微
小繊維を0.3〜2重量%含む水性スラリーを調製し、
通常の長網抄紙機や円網抄紙機で湿式で抄造する方法が
例示される。また、セルロースエステル微小繊維をシー
ト状に抄造する他の方法としては、乾燥したセルロース
エステル微小繊維を通常の乾式不織布製造装置にて解繊
・抄造する方法も例示される。
【0039】上記乾式、湿式いずれの方法においても、
セルロースエステル短繊維(例えば繊度2〜7デニール
程度、繊維長2〜4mm程度)や木材パルプを、セルロ
ースエステル微小繊維の、例えば50〜100重量%、
70〜100重量%、80〜100重量%程度の範囲か
ら選択し、配合することができる。
【0040】また、シート状素材は、フィルタープラグ
を通じて、チャンネリングを抑制しつつ、煙を円滑かつ
均一に通過させるため、クレープ加工又はエンボス加工
されているのが好ましい。クレープ加工は、進行方向に
沿って多数の溝が形成された一対のクレープ化ロールに
シート状素材を通し、シートの進行方向に沿って皺及び
若干の裂け目を形成することにより行うことができる。
エンボス加工は、格子状、ランダム状などに凹凸が形成
されたロール間にシート状素材を通したり、凹凸部が形
成されたロールでシート状素材を押圧することにより行
うことができる。クレープ加工やエンボス加工により、
フィルターの通気性を調整できる。
【0041】本発明のたばこ煙用フィルター素材は、た
ばこ煙用フィルター(たばこ用フィルターロッド)を製
造する上で有用である。前記たばこ煙用フィルターは、
慣用の方法、例えば、フィルター素材を、そのままフィ
ルターロッド成型用金型に充填してフィルタープラグと
したり、シート状の素材をフィルタープラグ巻上げ機に
導入することにより得られる。
【0042】セルロースエステル微小繊維の添加方法及
び添加または装着部位は、特に限定されない。セルロー
スエステル微小繊維を成形する場合、セルロースエステ
ルの可塑剤(トリアセチンなど)や接着剤を添加しても
よく、セルロースエステル微小繊維の熱可塑性を利用し
て加熱加圧成形などの成形法により成形することもでき
る。
【0043】また、シート状成型体を経由することな
く、乾燥した本発明のセルロースエステル微小繊維を解
繊し、所望の直径および長さの紙製円筒に充填すること
により、たばこ煙用フィルターを得ることも可能であ
る。
【0044】たばこ煙用フィルター(ロッド状フィルタ
ー)は、フィルターチップを構成してもよい。前記プラ
グ巻上げ機では、シート状素材をロール中に巻き込んだ
後、巻紙により円筒状に巻き上げ、糊付けし、適当な長
さに切断することにより、フィルタープラグを作製でき
る。巻上げに際して、クレープ加工したシート状素材
は、皺が延びる方向に横断又はほぼ直交する方向に巻上
げる場合が多い。
【0045】
【発明の効果】本発明では、セルロースエステル微小繊
維及びフィルター素材の比表面積が大きく、しかも濾水
度が大きい。そのため、たばこ煙用フィルターとして用
いると喫煙者の口腔内への有害物質流入量を低減し喫煙
者の健康に及ぼす悪影響を低減できる。また、抄造性に
優れ、抄造過程での紙切れも防止できる。さらに、たば
こ煙用フィルターとして好適な硬さと煙濾過性を両立で
き、通気抵抗が小さくても濾過効率を向上できる。
【0046】
【実施例】以下実施例に基づいて本発明をより詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
【0047】実施例1 平均置換度2.45、極限粘度1.6g/ dlのセルロ
ースアセテートを70重量%酢酸水溶液に溶解し、濃度
12重量%のセルロースアセテートの溶液を得た。25
重量%酢酸水溶液を凝固液として、図1の装置を用い、
セルロースエステル溶液温度40℃、凝固液温度40℃
の条件でセルロースエステル微小繊維を得た。得られた
セルロースエステル微小繊維のカナダ標準濾水度は44
0ml、BET比表面積は14m2/gであった。
【0048】実施例2 セルロースエステル溶液の温度を55℃とする以外は実
施例1と同様の方法でセルロースエステル微小繊維を調
製した。得られたセルロースエステル微小繊維のカナダ
標準濾水度は150ml、BET比表面積は29m2/g
であった。
【0049】比較例1 凝固液温度を80℃とする以外は実施例2と同様の方法
でセルロースエステル微小繊維を調製した。得られたセ
ルロースエステル微小繊維のカナダ標準濾水度は20m
l、BET比表面積は32m2/gであった。
【0050】実施例3、4および比較例2 実施例1、2および比較例1で得られたセルロースエス
テル微小繊維8重量部とY断面セルロースアセテート短
繊維(長さ4mm、繊度3デニール、セルロースアセテ
ートの置換度2.45)2重量部を1000重量部の水
に懸濁して得たスラリーを通常の円網抄紙機を用いて5
0m/分の速度で連続湿式抄造した。秤量35g/ m2
のシートを調製した際の90分間のシート切れ頻度を表
1に示した。
【0051】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の製造方法で用いるフィブリル
化装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図2は、図1のフィブリル化装置のカッティン
グ手段の概略底面図である。
【符号の説明】
1…ノズル手段 2…セルロースエステル溶液送入口 3…ケーシング 4…凝固液供給口 5…フィブリル状セルロースエステル送出口 6…カッティング手段 7…シャフト 8…カッター 9…孔 10…プレート

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カナダ標準濾水度が100〜700ml
    であり、下記(1)及び(2)のうち少なくともいずれ
    か一方の特性を有するセルロースエステル微小繊維。 (1)BET測定法による比表面積が5m2/g以上 (2)直径50〜250μmの微小繊維の割合が全繊維
    数の10〜70%を占める
  2. 【請求項2】 BET法で測定した比表面積が20m2
    / g以上である請求項1記載のセルロースエステル微小
    繊維。
  3. 【請求項3】 カナダ標準濾水度が200〜600ml
    である請求項1または2記載のセルロースエステル微小
    繊維。
  4. 【請求項4】 セルロースエステルがセルロースアセテ
    ートである請求項1記載のセルロースエステル微小繊
    維。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のセルロースエステル微小
    繊維で構成されているたばこ煙用フィルター素材。
  6. 【請求項6】 シート状である請求項5記載のたばこ煙
    用フィルター素材。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載のたばこ煙用フィルター
    素材で構成されたたばこ煙用フィルター。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004204380A (ja) * 2002-12-25 2004-07-22 Asahi Kasei Corp 比表面積の大きいセルロース系物質
JP2011177698A (ja) * 2010-03-04 2011-09-15 Daicel Chemical Industries Ltd キトサンを担持させた粒状組成物とそれを含有するたばこフィルタ
JP2012036529A (ja) * 2010-08-06 2012-02-23 Asahi Kasei Fibers Corp セルロースシート
JP2015526608A (ja) * 2012-08-24 2015-09-10 ドムター ペーパー カンパニー, エルエルシー 表面強化パルプ繊維、表面強化パルプ繊維の製造方法、表面強化パルプ繊維を配合した製品、および表面強化パルプ繊維を配合した製品の製造方法

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