JP4709337B2 - セルロースエステル微小繊維及びそれを用いたたばこ煙用フィルター素材 - Google Patents
セルロースエステル微小繊維及びそれを用いたたばこ煙用フィルター素材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4709337B2 JP4709337B2 JP16370098A JP16370098A JP4709337B2 JP 4709337 B2 JP4709337 B2 JP 4709337B2 JP 16370098 A JP16370098 A JP 16370098A JP 16370098 A JP16370098 A JP 16370098A JP 4709337 B2 JP4709337 B2 JP 4709337B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cellulose ester
- cellulose
- microfiber
- microfibers
- solution
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Cigarettes, Filters, And Manufacturing Of Filters (AREA)
- Artificial Filaments (AREA)
- Paper (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、抄造性に優れ、比表面積の大きなセルロースエステル微小繊維、それを用いたたばこ煙用フィルター素材、並びにたばこ煙用フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在のたばこ煙用フィルターの多くは、繊維状に成形した酢酸セルロースなどのセルロースエステルのトウが用いられている。喫煙時の口腔内への有害成分の流入量をさらに低減させるため、フィブリル化したセルロースエステル微小繊維を用いたトウが提案されている。
【0003】
例えば、特公昭50−38720号公報には、直径0.1〜10μmのフィブリル状セルロースアセテートのミクロファイバーで構成され、ミクロファイバーの少なくとも一部が絡み合い、比表面積3m2 / g以上の繊維状物で構成されたたばこ煙用フィルターが開示されている。この文献には、エジェクター式の紡糸装置を用い、比表面積3〜18m2 /gのフィブリル化セルロースアセテート繊維を得たことが記載されている。また、特開昭53−45468号公報には、直径0.5〜50μm、比表面積5.0m2 /g以上 (例えば、12〜25m2 /g)のセルロースエステル繊維状物をたばこ煙用フィルター素材として用いることが開示されている。この文献には、ベンチュリ管ののど部に、オリフィスからドープ液を押し出し、前記ベンチュリ管に凝固液を高速で供給して前記セルロースエステル繊維状物を得ることが記載されている。
【0004】
このようなセルロースエステル微小繊維をたばこフィルターに成形する方法としては、微小繊維を湿式あるいは乾式でシート状に抄造した後、該シートをクレープ加工して円筒状に巻き上げる方法や、乾式で微小繊維を円筒中に詰め込む方法が考えられる。
【0005】
しかし、これらの文献に記載の過度な微小素材を用いる場合には、湿式抄造においては水はけ (濾水) 性が悪く連続抄造が不可能であり、乾式抄造においては微小繊維の塊を解繊することが著しく困難であり、均質なたばこ煙用フィルターを連続的に製造することが不可能である。また、微小繊維の調製に際して、濾水性が低いため、調製に使用した溶媒を洗浄することが極めて困難であるか、又は洗浄に多量の洗浄用水及び長時間を要する。
【0006】
一方、特開平8−120517号公報には、繊維径15〜250μm、比表面積0.5〜4.5m2 /gのフィブリル化繊維状セルロースエステルで構成されたたばこ煙用フィルターが開示されている。この文献には、セルロースエステル溶液をノズルから貧溶媒中に押し出し、吐出した繊維状セルロースエステル溶液に、インペラ状のカッターによりせん断力を作用させ、フィブリル化セルロースエステルを調製することも記載されている。しかし、一般に、たばこ煙中の有害成分の除去率とフィルター素材の比表面積の間には相関関係が認められ、前記フィブリル化繊維状セルロースエステルの比表面積では、たばこ煙中の有害成分を効率的に除去するためには十分ではない。
【0007】
さらに、たばこ煙の通気抵抗を小さくすると、通常、フィルターの硬度や濾過効率が低下し、煙濾過性と硬度を両立できない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、比表面積が大きくても濾水性の大きなセルロースエステル微小繊維、フィルター素材及びたばこ煙用フィルターを提供することにある。
また本発明の他の目的は、抄造性に優れるセルロースエステル微小繊維、それを用いたたばこ煙用フィルター素材、並びにたばこ煙用フィルターを提供することにある。
さらに本発明の他の目的は、たばこ煙用フィルターとして好適な硬さと煙濾過性とを両立できるセルロースエステル微小繊維、それを用いたたばこ煙用フィルター素材、並びにたばこ煙用フィルターを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記目的を達成するため鋭意検討の結果、特定のセルロースエステル繊維が、比表面積が大きいにもかかわらず高い濾水性を有することを見いだし、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明のセルロースエステル微小繊維は、カナダ標準濾水度が120〜500mlであり、下記(1)の特性を有する。
【0011】
(1)BET測定法による比表面積が10〜50m2/g
本発明のたばこ煙用フィルター素材は、上記セルロースエステル微小繊維で構成されており、たばこ煙用フィルター用として有用である。
【0012】
なお、本明細書において、「シート」とは、二次的拡がりを有する紙状物を意味し、巻き取り可能であればよい。また、「平均直径」とは、湿潤時又は乾燥時に測定した繊維直径の平均値を意味する。繊維の直径は、適当量の繊維を採取し、顕微鏡写真を撮影して、その写真中の各繊維直径を測定することにより求めることができる。なお、繊維が高次(又は高度)に分岐している場合は、最も太い部分の直径をその繊維の直径とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の微小繊維はセルロースエステルで構成されている。
セルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースブチレート、セルロースプロピオネートなどの有機酸エステル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロースなどの無機酸エステル;セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、硝酸酢酸セルロースなどの混合エステル;及びポリカプロラクトングラフト化セルロースアセテートなどのセルロースエステル誘導体などが例示される。これらのセルロースエステルは、単独で又は二種以上混合して使用できる。
【0014】
これらセルロースエステルのうち、セルロースアセテート(例えば、セルロースジアセテートなど)が好ましい。
これらセルロースエステルの種類、置換度や重合度は特に制限されないが、セルロースエステルの平均重合度は、例えば、10〜1000、好ましくは50〜900、より好ましくは200〜800程度であり、通常150〜550程度である。セルロースエステルの平均置換度は、例えば1.0〜3.0程度、特に1.5〜2. 7 (例えば、2.0〜2.7)程度である。
【0015】
セルロースエステルを得るための原料は特に制限されず、例えば、天然セルロース(木材パルプ、リンターパルプなど)又は再生セルロースなどが使用できる。セルロース原料としては、通常、木材パルプを用いる場合が多い。
【0016】
前記セルロースエステルは、種々の添加剤、例えば、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウムなどの無機微粉末;カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤;着色剤、油剤、歩留まり向上剤などを含んでいてもよい。
【0017】
また、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの環境分解促進剤(生分解促進剤)、アナターゼ型酸化チタンなどの光分解促進剤などを含有させることにより、繊維の分解性を高めることができる。
【0018】
また、前記セルロースエステルは、白色度改善剤、例えば、酸化チタン、好ましくはアナターゼ型酸化チタンを含む場合が多い。酸化チタンの平均粒子径は、例えば、0.01〜10μm、好ましくは0.02〜5μm程度である場合が多い。酸化チタンの含有量は、前記セルロースエステル全体に対して、0.05〜2.0重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%、さらに好ましくは0.2〜0.8重量%であり、0.4〜0.6重量%である場合が多い。
【0019】
本発明のセルロースエステル微小繊維は、濾水度が大きくても比表面積が大きいという特色を有する。そのため、抄造性に優れ、連続抄造が可能である。また、たばこ煙の濾過効率も高い。
【0020】
本発明のセルロースエステル微小繊維は、5m2 / g以上 (例えば、10〜50m2 / g程度)、好ましくは10〜40m2 / g、さらに好ましくは15〜40m2 / g(特に20m2 / g以上)のBET比表面積を有している。BET比表面積が5m2 / g未満では、たばこ煙中の有害成分の除去効率が低下する。
【0021】
本発明のセルロースエステル微小繊維は、JIS P−8121に規定されているカナダ標準濾水度が100〜700ml、好ましくは120〜600ml、さらに好ましくは150〜500mlであり、通常200〜600ml程度である。カナダ標準濾水度が100ml未満では、繊維が過度に微小であるか、繊維のフィブリル化 (分岐)が過度に進行しているため、繊維の絡み合いが多すぎたり水はけ性が低下し、乾式あるいは湿式でシート状に連続的に抄造することが実質上不可能となる。また、湿式抄造で得られるシートが硬く緻密となり、このようなシートから調製したたばこ煙用フィルターは、好適な通気特性(通気抵抗)を達成する場合には物理特性(硬さ)が不足となる。また、カナダ標準濾水度が700mlを超える場合は、乾式抄造における解繊性、湿式抄造における水はけ性は高いものの、セルロースエステル微小繊維の繊維間結合が弱すぎるため成形することが不可能となり、成形するためには多量の木材パルプなどを混合する必要がある。
【0022】
セルロースエステル微小繊維の濾水性には、微小繊維のa)直径、b)長さ、c)フィブリル化(分岐)の程度が関係し、小さい直径、短い長さ、高いフィブリル化度は濾水性を低下させる。実質上はセルロースエステル微小繊維の濾水性は上記a)〜c)のバランスとa)〜c)各形状の分布などが関係するため、セルロースエステル微小繊維の形態により定量的に濾水性を予測することは困難である。本発明のセルロースエステル微小繊維は、一般に平均直径20〜250μm、好ましくは50〜250μm、さらに好ましくは50〜200μmの微小繊維が全体の繊維数の10〜70%、好ましくは20〜65%、さらに好ましくは30〜60%を占める。平均直径が20μm未満では、たばこ煙用フィルター巻上げ時の歩留まりが低下し、平均直径が250μmを超えると、フィルターの均一性が低下しやすく、比表面積が低下する。
【0023】
セルロースエステル微小繊維の製造には、繊維状紡糸液にせん断力を作用させながらフィブリル化できる種々の装置が使用できる。このような装置は、凝固液が供給される流路と、この流路内にセルロースエステル溶液を吐出するためのノズル手段と、ノズル手段から押し出し又は吐出された繊維状紡糸液をフィブリル化とともにカッティングするための切断手段(せん断手段)とを備えている場合が多い。
【0024】
本発明のセルロースエステル微小繊維を得る方法は特に限定されないが、例えば、図1に示す装置を用いて、セルロースエステル溶液を該セルロースエステルの凝固液中に攪拌せん断下に押し出し凝固させる方法が挙げられる。
【0025】
図1はセルロースエステルをフィブリル化してセルロースエステル微小繊維を製造するための装置の一例を示す概略構成図であり、図2は図1の切断手段を示す概略底面図である。
【0026】
図1及び図2に示す装置は、上部が閉塞した円筒状ケーシング3と、このケーシング3の底部から上方へセルロースエステル溶液を吐出するためのノズル手段1と、ケーシング3の下部に凝固液を供給し、吐出されたセルロースエステル溶液と合流接触して、セルロースエステル溶液を凝固沈殿させるための凝固液供給口4と、前記ケーシング3の上部側面に接続され、かつ生成したフィブリル状セルロースエステルを凝固液とともに送出するための送出口5とを備えている。
【0027】
そして、前記ノズル手段1と送出口5との間のうち、セルロースエステル溶液と凝固液との接触領域には、ノズル手段1から押し出された繊維状のセルロースエステル溶液を攪拌するとともに、せん断力を作用させて繊維状セルロースエステル溶液をフィブリル化するためのカッティング手段(またはせん断手段)6が配設されている。
【0028】
このカッティング手段6は、ノズル手段1に近接して対向し、かつ回転可能に配設されたカッター8と、このカッターの下流側において、前記カッター8と近接してケーシング3に取り付けられた多孔プレート10とを備えている。すなわち、カッティング手段6は、前記ケーシング3内で軸方向に延びるシャフト7と、このシャフトの端部に取り付けられ、かつモーターなどの回転駆動源により回転可能な複数枚の羽根を有するカッター8と、このカッターよりも下流側に位置してケーシング3に取り付けられ、かつ周方向に複数の孔9を有するプレート10とを備えている。この例では、プレート10はカッター8と平行に配設されている。また、カッティング手段6のカッター8は、プレート10と近接しているとともに、前記ノズル手段1の吐出口に近接している。
【0029】
このような装置を用いると、セルロースエステル溶液供給口2より供給され、かつノズル手段1からケーシング3内に加圧状態で押し出されたセルロースエステル溶液は、凝固液供給口4から供給される凝固液と接触して、シャフト7で回転させられるカッター8により攪拌される。その際、ノズル1と多孔プレート10との間に、ノズル1に対向してカッター8が介在しているので、ノズル手段1からプレート10の孔9を通過する間に、カッター8の回転力及び攪拌力によりセルロースエステル溶液にせん断力が作用し、セルロースエステル溶液をフィブリル化しながら凝固できる。フィブリル化したセルロースエステルはプレート10の孔9を通過して、フィブリル化セルロースエステル送出口5から送出される。
【0030】
本発明のセルロースエステル微小繊維のフィブリル化の程度や繊維長及び濾水度は、セルロースエステルの溶媒、セルロースエステル溶液の濃度、温度、供給速度、セルロースエステルの凝固液、セルロースエステル凝固液の温度、供給速度、吐出口とカッティング手段との距離、カッティング手段とプレートとの距離、カッティング手段によるせん断力(カッターの回転速度や形状など)、さらにはノズル孔径などにより調製できる。せん断力は、セルロースエステルが完全に凝固する前に作用させればよく、部分的に凝固したセルロースエステルに作用させてもよい。カッターを使用する場合のカッターの回転数は、前記ノズル1とカッター8の距離などに応じて適当に選択でき、例えば、3000〜15000rpm程度の範囲から選択できる。
【0031】
前記ノズルの先端とカッターとの距離は、セルロースエステル溶液の供給速度やカッターの回転数により適宜選択できるが、通常、1〜5mm、好ましくは1〜3mm程度(例えば2mm程度)である。上記距離が短すぎると、塊状物が生成しやすく、長すぎると、繊維長及び繊維直径が大きくなりやすい。
【0032】
せん断力は、前記カッターの回転せん断力に限らず、ジェット流、パルス波による衝撃などを利用してセルロースエステル溶液に作用させてもよい。
断面円形のノズルを用いる場合、ノズル口径は、所望の繊維径などに応じて選択でき、通常、50μm〜5mm、好ましくは100μm〜4mm、さらに好ましくは500μm〜3mm程度である。ノズルとしては、断面円形ノズルに限られず、円形ノズルと同程度の断面積を有していればよい。また、セルロース溶液を吐出するノズルは単一ノズルに限らず、多数のノズル孔径に対応する孔を形成した口金で構成してもよい。
【0033】
セルロースエステルの良溶媒としては、アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類;酢酸などのカルボン酸;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;塩化メチレン、塩化エチレンなどのハロゲン化アルキル類やハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジメチルスルフォキシドなどのスルホキシド類などの有機溶媒;これらの有機溶媒の混合溶媒;およびこれらの有機溶媒と水との混合溶媒(例えば、酢酸水溶液など)が挙げられ、セルロースエステルの種類や置換度に応じて適当に選択できる。
【0034】
セルロースエステルの凝固液としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどやこれらの有機溶媒と水との混合溶媒、水などが例示される。前記セルロースエステル溶液の良溶媒と水との混合溶媒(例えば、酢酸水溶液など)も使うことができる。
【0035】
比表面積と濾水度には、凝固液とセルロースエステル溶液との温度差が大きな影響を及ぼす。そのため、本発明のセルロースエステル微小繊維を得るには、凝固液の温度Tは、セルロースエステル溶液の温度T0 と同等か又は十分低くすることが重要であり、温度差(T0 −T)は−10〜100℃(例えば0 〜100℃)程度、好ましくは10 〜100℃、さらに好ましくは20〜100℃(例えば50〜100℃)程度である。凝固液の温度がセルロースエステル溶液の温度を大きく超える場合は、カナダ標準濾水度が100ml以下のセルロースエステル微小繊維しか得ることができない。この理由は明確ではないが、比較的高温ではセルロースエステルの溶媒の活動度が高いため、あるいは気化が生じるため、セルロースエステル微小繊維のフィブリル化が過度に進行するためと考えられる。
【0036】
特開平9-324318号公報には比較的幅(直径)の大きいフィブリル状およびフィルム状のセルロースエステルが開示されている。しかし、この文献においてはセルロースエステルの溶液を高温の水蒸気と接触させることを調製上の実質的な要件としており、本発明のセルロースエステル微小繊維とは異なる。
【0037】
本発明のたばこ煙用フィルター素材は、少なくとも前記セルロースエステル微小繊維で構成される。フィルター素材の形態は特に制限されず、繊維状、毛状、織布状、不織布状、トウ状、ウェブ状、シート状などいずれであってもよい。好ましい素材には、ウェブまたはシート状素材、特に不織布状で抄紙構造を有するシート状素材が含まれる。なお、抄紙構造とは、繊維が互いに絡みあった構造を意味する。
【0038】
本発明のセルロースエステル微小繊維をシート状に抄造する方法としては、セルロースエステル微小繊維を0.3〜2重量%含む水性スラリーを調製し、通常の長網抄紙機や円網抄紙機で湿式で抄造する方法が例示される。また、セルロースエステル微小繊維をシート状に抄造する他の方法としては、乾燥したセルロースエステル微小繊維を通常の乾式不織布製造装置にて解繊・抄造する方法も例示される。
【0039】
上記乾式、湿式いずれの方法においても、セルロースエステル短繊維(例えば繊度2〜7デニール程度、繊維長2〜4mm程度)や木材パルプを、セルロースエステル微小繊維の、例えば50〜100重量%、70〜100重量%、80〜100重量%程度の範囲から選択し、配合することができる。
【0040】
また、シート状素材は、フィルタープラグを通じて、チャンネリングを抑制しつつ、煙を円滑かつ均一に通過させるため、クレープ加工又はエンボス加工されているのが好ましい。クレープ加工は、進行方向に沿って多数の溝が形成された一対のクレープ化ロールにシート状素材を通し、シートの進行方向に沿って皺及び若干の裂け目を形成することにより行うことができる。エンボス加工は、格子状、ランダム状などに凹凸が形成されたロール間にシート状素材を通したり、凹凸部が形成されたロールでシート状素材を押圧することにより行うことができる。クレープ加工やエンボス加工により、フィルターの通気性を調整できる。
【0041】
本発明のたばこ煙用フィルター素材は、たばこ煙用フィルター(たばこ用フィルターロッド)を製造する上で有用である。前記たばこ煙用フィルターは、慣用の方法、例えば、フィルター素材を、そのままフィルターロッド成型用金型に充填してフィルタープラグとしたり、シート状の素材をフィルタープラグ巻上げ機に導入することにより得られる。
【0042】
セルロースエステル微小繊維の添加方法及び添加または装着部位は、特に限定されない。セルロースエステル微小繊維を成形する場合、セルロースエステルの可塑剤(トリアセチンなど)や接着剤を添加してもよく、セルロースエステル微小繊維の熱可塑性を利用して加熱加圧成形などの成形法により成形することもできる。
【0043】
また、シート状成型体を経由することなく、乾燥した本発明のセルロースエステル微小繊維を解繊し、所望の直径および長さの紙製円筒に充填することにより、たばこ煙用フィルターを得ることも可能である。
【0044】
たばこ煙用フィルター(ロッド状フィルター)は、フィルターチップを構成してもよい。
前記プラグ巻上げ機では、シート状素材をロール中に巻き込んだ後、巻紙により円筒状に巻き上げ、糊付けし、適当な長さに切断することにより、フィルタープラグを作製できる。巻上げに際して、クレープ加工したシート状素材は、皺が延びる方向に横断又はほぼ直交する方向に巻上げる場合が多い。
【0045】
【発明の効果】
本発明では、セルロースエステル微小繊維及びフィルター素材の比表面積が大きく、しかも濾水度が大きい。そのため、たばこ煙用フィルターとして用いると喫煙者の口腔内への有害物質流入量を低減し喫煙者の健康に及ぼす悪影響を低減できる。また、抄造性に優れ、抄造過程での紙切れも防止できる。さらに、たばこ煙用フィルターとして好適な硬さと煙濾過性を両立でき、通気抵抗が小さくても濾過効率を向上できる。
【0046】
【実施例】
以下実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0047】
実施例1
平均置換度2.45、極限粘度1.6g/ dlのセルロースアセテートを70重量%酢酸水溶液に溶解し、濃度12重量%のセルロースアセテートの溶液を得た。25重量%酢酸水溶液を凝固液として、図1の装置を用い、セルロースエステル溶液温度40℃、凝固液温度40℃の条件でセルロースエステル微小繊維を得た。得られたセルロースエステル微小繊維のカナダ標準濾水度は440ml、BET比表面積は14m2/gであった。
【0048】
実施例2
セルロースエステル溶液の温度を55℃とする以外は実施例1と同様の方法でセルロースエステル微小繊維を調製した。得られたセルロースエステル微小繊維のカナダ標準濾水度は150ml、BET比表面積は29m2/gであった。
【0049】
比較例1
凝固液温度を80℃とする以外は実施例2と同様の方法でセルロースエステル微小繊維を調製した。得られたセルロースエステル微小繊維のカナダ標準濾水度は20ml、BET比表面積は32m2/gであった。
【0050】
実施例3、4および比較例2
実施例1、2および比較例1で得られたセルロースエステル微小繊維8重量部とY断面セルロースアセテート短繊維(長さ4mm、繊度3デニール、セルロースアセテートの置換度2.45)2重量部を1000重量部の水に懸濁して得たスラリーを通常の円網抄紙機を用いて50m/分の速度で連続湿式抄造した。秤量35g/ m2 のシートを調製した際の90分間のシート切れ頻度を表1に示した。
【0051】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の製造方法で用いるフィブリル化装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図2は、図1のフィブリル化装置のカッティング手段の概略底面図である。
【符号の説明】
1…ノズル手段
2…セルロースエステル溶液送入口
3…ケーシング
4…凝固液供給口
5…フィブリル状セルロースエステル送出口
6…カッティング手段
7…シャフト
8…カッター
9…孔
10…プレート
Claims (4)
- カナダ標準濾水度が150〜440mlであり、下記(1)の特性を有するセルロースアセテート微小繊維。
(1)BET測定法による比表面積が14〜29m2/g - 請求項1記載のセルロースアセテート微小繊維で構成されているたばこ煙用フィルター素材。
- シート状である請求項2記載のたばこ煙用フィルター素材。
- 請求項2に記載のたばこ煙用フィルター素材で構成されたたばこ煙用フィルター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16370098A JP4709337B2 (ja) | 1998-06-11 | 1998-06-11 | セルロースエステル微小繊維及びそれを用いたたばこ煙用フィルター素材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16370098A JP4709337B2 (ja) | 1998-06-11 | 1998-06-11 | セルロースエステル微小繊維及びそれを用いたたばこ煙用フィルター素材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11350242A JPH11350242A (ja) | 1999-12-21 |
JP4709337B2 true JP4709337B2 (ja) | 2011-06-22 |
Family
ID=15778963
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16370098A Expired - Lifetime JP4709337B2 (ja) | 1998-06-11 | 1998-06-11 | セルロースエステル微小繊維及びそれを用いたたばこ煙用フィルター素材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4709337B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4166562B2 (ja) * | 2002-12-25 | 2008-10-15 | 旭化成株式会社 | 比表面積の大きいセルロース系物質 |
JP5635782B2 (ja) * | 2010-03-04 | 2014-12-03 | 株式会社ダイセル | キトサンを担持させた粒状組成物とそれを含有するたばこフィルタ |
JP2012036529A (ja) * | 2010-08-06 | 2012-02-23 | Asahi Kasei Fibers Corp | セルロースシート |
US9879361B2 (en) * | 2012-08-24 | 2018-01-30 | Domtar Paper Company, Llc | Surface enhanced pulp fibers, methods of making surface enhanced pulp fibers, products incorporating surface enhanced pulp fibers, and methods of making products incorporating surface enhanced pulp fibers |
-
1998
- 1998-06-11 JP JP16370098A patent/JP4709337B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11350242A (ja) | 1999-12-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3779945B2 (ja) | たばこ煙用フィルター素材、繊維状セルロースエステル短繊維及びその製造方法 | |
JP3420359B2 (ja) | たばこ煙用フィルター素材、繊維状セルロースエステル及びその製造方法 | |
JP3677332B2 (ja) | たばこフィルター用素材およびそれを用いたたばこフィルター | |
JP6496705B2 (ja) | 抄紙シート及び抄紙シートの製造方法 | |
US4274914A (en) | Filter material | |
US5671757A (en) | Cigarette filters | |
JP4373008B2 (ja) | 不織布の製造方法 | |
US4192838A (en) | Process for producing filter material | |
JPH08322540A (ja) | たばこフィルターおよびその製造方法 | |
JPH10501975A (ja) | フィルタ材 | |
JPH0847385A (ja) | たばこ煙用フィルター素材およびその製造方法 | |
US4283186A (en) | Method of forming cigarette filter material | |
JP4709337B2 (ja) | セルロースエステル微小繊維及びそれを用いたたばこ煙用フィルター素材 | |
JP3939823B2 (ja) | フィルター素材およびたばこ煙用フィルター | |
CA1076912A (en) | Filter material | |
JPH09316792A (ja) | たばこフィルター用巻紙及びそれを用いたたばこフィルター | |
JPH1161612A (ja) | シート状物 | |
JP3677309B2 (ja) | たばこフィルター素材およびそれを用いたたばこフィルター | |
RU2106790C1 (ru) | Сигаретный фильтр и сигарета | |
JP2000084323A (ja) | エアーフィルターとタバコ用フィルター及び同フィルターを備えたタバコシガレット | |
JP2001095551A (ja) | タバコフィルター材料、および、その材料を用いたタバコフィルター、並びに、それらの製造方法。 | |
KR800001521B1 (ko) | 필터 시이트 재료의 제조방법 | |
CA2177496C (en) | Cigarette filters | |
JP2000355824A (ja) | セルロースアセテートフィブリル及びその製造方法 | |
JP2000282322A (ja) | セルロースアセテートフィブリル及びその製造方法並びにその賦形口金 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050526 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070510 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070515 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070619 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20071009 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101115 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20101214 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110121 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110318 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140325 Year of fee payment: 3 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140325 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |