JP2000355824A - セルロースアセテートフィブリル及びその製造方法 - Google Patents

セルロースアセテートフィブリル及びその製造方法

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JP2000355824A
JP2000355824A JP16352699A JP16352699A JP2000355824A JP 2000355824 A JP2000355824 A JP 2000355824A JP 16352699 A JP16352699 A JP 16352699A JP 16352699 A JP16352699 A JP 16352699A JP 2000355824 A JP2000355824 A JP 2000355824A
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spinning
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fibril
less
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JP16352699A
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Katsuhiko Shinada
勝彦 品田
Hiroyuki Fujiki
浩之 藤木
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】エアーフィルター素材に適したセルロースアセ
テートフィブリルと、同フィブリルの工業的に優位な製
造方法とを提供する。 【解決手段】紡糸原液の吐出口を有する紡糸原液流路
と、凝固剤流体の噴射口を有する凝固剤流体流路と、前
記紡糸原液の吐出口と前記凝固剤流体の噴射口とが開口
すると共に下流端に紡出口を有する合流部とを備えてな
るフィブリル賦形口金から、前記紡糸原液の吐出線と凝
固剤流体の噴射線とのなす角度θが0°より大きく90
°以下となるように、セルロースアセテートの溶解能を
有する溶媒を5〜30重量%含有する凝固液中に紡出
し、特定の物性を有するセルロースアセテートフィブリ
ルを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エアーフィルター
材料、特にタバコ用フィルター材料として適した単位g
当たりの表面積(比表面積)と形態とを有するセルロ
ースアセテートフィブリルと、同セルロースアセテート
フィブリルの製造方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】従来からタバコ用フィルターとしては、
セルロースアセテートフィルター、紙フィルター、レイ
ヨンフィルター、及びそれらに活性炭微粒子を包み込ん
だ活性炭フィルターがある。これらフィルターのうち、
紙フィルター及びレイヨンフィルターは、煙中のニコチ
ン成分及びタール成分の吸着性能に優れているが、一方
で水分をも多量に吸着してしまうため、タバコの味が辛
(つら)くなり、香喫味を損なうといった欠点がある。
【0003】また、活性炭フィルターもニコチン成分及
びタール成分を十分に吸着するが、タバコ煙における気
相成分の吸着能力が高すぎるため喫味を害し、更には喫
煙時に異臭が感じられるという欠点がある。
【0004】これに対してセルロースアセテートフィル
ターは、紙フィルターやレイヨンフィルターに比べて水
分の吸着量が低く、香喫味を損なわない程度の程良い吸
湿性を有しているため、香喫味を損なうことがない。ま
た、タバコ煙中の固体や液体に対する濾過性能をもち、
ニコチン成分及びタール成分に対しても適度な吸着能力
を有している。この様に、セルロースアセテートフィル
ターはタバコ用フィルターとして、性能面やコスト面に
おいて上述した他のフィルターよりも優れているため、
その使用量は他のフィルターを遥かに凌ぐものである。
【0005】ところで、近年になって喫煙の健康に及ぼ
す影響が極めて大きな問題として取り上げられるように
なり、タバコのニコチン成分及びタール成分の除去率
(吸着性能)を従来より高めることが強く要請されてい
る。そこで、セルロースアセテートフィルターにおい
て、上述したようなセルロースアセテートの素材の利点
を十分に活かし、且つ、タバコのニコチン成分及びター
ル成分の吸着性能を高めるために種々の提案がなされて
いる。
【0006】例えば、従来から、フィルターの吸着面積
を増大することによりタバコのニコチン成分及びタール
成分の吸着性能を高める方法が提案されている。その具
体的な例としては、セルロースアセテート繊維の繊度を
細デニール化する方法、セルロースアセテート繊維を異
形断面とする方法、タバコ用フィルターの長さを更に長
くする方法などが挙げられる。
【0007】タバコ用フィルターに使用されるセルロー
スアセテート繊維は、一般に乾式紡糸法により製造され
ている。乾式紡糸でセルロースアセテート繊維を製造す
る場合、紡糸ノズルから紡糸されたセルロースアセテー
ト繊維は、紡糸塔内の加熱雰囲気中で溶剤を蒸発させ
る。かかる乾式紡糸において細繊度化を図る場合に、前
述したようにセルロースアセテート繊維は紡糸塔内に一
定時間滞在させる必要があるため、紡糸速度を高めての
細繊度化は困難である。そこで、繊度を細くするために
は、紡糸原液を紡糸ノズルから押し出す速度と巻き取り
速度との比で示される紡糸ドラフト比を大きくすること
が考えられる。この紡糸ドラフト比は、タバコ用フィル
ターに使用されるセルロースアセテート繊維の場合、通
常、1以下である。このドラフト比を1より大きくした
場合にはドラフト切れが多発し、ドラフト比の増大は実
質的に不可能である。また、紡糸ノズルの孔径を小さく
して、紡糸原液の吐出量を下げることによりある程度の
細繊度化が達成できるが、この場合には生産性が著しく
低下するといった問題がある。
【0008】また、セルロースアセテートの異形断面繊
維の開発によるニコチン成分及びタール成分の吸着性能
は未だ十分に向上されてはおらず、その開発には限界が
ある。更に、タバコ用フィルターの長さを長くして吸着
性能を向上させる場合には、セルロースアセテート繊維
の使用量が増加するため、タバコ用フィルターのコスト
が高くなり、好ましくない。
【0009】かかる問題から、近年では、タバコ用フィ
ルター材料としての新規なセルロースアセテート素材が
提案されている。特に、セルロースアセテート繊維をフ
ィブリルと呼ばれる、多数の分岐構造を有し、繊維の断
面構造にも凹凸があり、更に繊維側面の表面構造にも著
しい隆起を有する、比表面積の大きな繊維構造体に形成
するための方法が多数提案されている。
【0010】例えば、特公昭50−38720号公報に
開示されているタバコ用フィルター素材は、セルロース
のアセチル誘導体からなるフィブリル状のミクロファイ
バーから構成される繊維状物を主材としており、同繊維
状物は表面積が3m2 /g以上と、通常のセルロースア
セテート繊維の表面積(0.5m2 /g)よりも大きな
表面積を有している。
【0011】また、特開昭53−45468号公報に開
示されているタバコフィルターに適したシート状構造物
は、セルロースエステル短繊維とセルロースエステル小
繊維とから構成されている。前記セルロースエステル小
繊維とは、5.0m2 /g以上の表面積をもち、長さは
1000μmより短く、表径が約0.5〜50μmの繊
維状物である。
【0012】これらのように比表面積の大きなフィブリ
ルを主材とするタバコ用フィルターは、タバコの煙中に
含まれるエアロゾルがショートパスすることなく、フィ
ブリルと衝突を繰り返すことにより、フィルター中での
タバコ煙の滞在時間が長くなり、しながら同フィブリル
に吸着捕捉されることにより優れた濾過特性を示し、タ
バコ煙からニコチン成分やタール成分を効率よく除去で
きる。
【0013】このような特性をもったフィブリルの製造
方法について、無数のフィブリル繊維の連続糸(プレキ
シフィラメント)を製造する方法としては、例えば特開
昭40−28125号公報及び特開昭41−6215号
公報に開示されているフラッシュ紡糸方式がよく知られ
ている。このフラッシュ紡糸方式は、結晶性重合体を溶
剤に溶解した紡糸原液を、前記溶剤の正規の沸点よりも
高温で、且つ自生の蒸気圧或いはそれ以上の高い圧力下
にある高圧域から、適当な形状のオリフィスを通って低
圧域へと押し出すことにより、前記溶剤を紡糸原液から
激しく蒸発させて、押し出された重合体の多数を引裂さ
せることによって連続的なフィブリル繊維を形成せしめ
るものである。
【0014】このフラッシュ紡糸方式をセルロースアセ
テートへ適用した例として、例えば特開昭49−751
8号公報に開示されている連続した繊維状糸条体の製造
方法では、常圧での沸点が80℃以下の溶剤に、少なく
とも70%以上がセルロースアセチル誘導体からなる重
合体を5〜50重量%の濃度になるように溶解した溶液
を、150〜190℃の温度で、ノズル通過線速度が3
0m/sec以上となるように、溶剤の自生圧、或いは
それ以上の圧力で吐出している。かかる製造方法によ
り、最小構成単位が直径0.1〜20μmの大きさを有
する多数のフィブリル状フィラメントから構成され、そ
のフィブリル状フィラメントの一部或いは大部分がお互
いに絡合い、且つその比表面積が2m2 /g以上の連続
した繊維状糸条体を製造することができるとしている。
しかしながら、かかるフラッシュ紡糸方式は重合体溶液
の高温高圧下での取り扱いが必須となり、工業的には必
ずしも優位な方法とはいえない。
【0015】そこで、例えば特開昭52−96231号
公報にはセルロースアセテートを溶媒に溶解したセルロ
ースアセテート濃度が5〜20重量%である溶液を、前
記溶媒の濃度が15〜45重量%である同溶媒と水とか
らなる沈殿剤中に撹拌下に導入するセルロースアセテー
トパルプの製造方法が提案されている。この方法では、
溶液中のセルロースアセテート濃度、沈殿剤中の溶媒濃
度、及び沈殿剤の剪断を制御する必要があり、その制御
が煩雑となる。特に、撹拌による剪断作用の制御は工業
的な規模を考慮した場合に過大な設備が必要となるな
ど、同方法は工業的に有用であるとは言いがたい。ま
た、溶液のセルロースアセテート濃度は20%以下であ
ることが前提であるため、後の溶剤回収などの後処理で
の負荷が大きくなり、好ましくない。
【0016】また、特開昭53−45468号公報に開
示されているフィルター材料の製造方法では、アセトン
又は酢酸にセルロースアセテートを溶解した溶液が毛細
管針を通して供給される。この毛細管針の先端は凝固液
(熱水又は冷水)が通るベンチュリ管の喉部の位置に設
置されており、前記毛細管から吐出された前記溶液は、
のど部における高速水流によって薄められ、或いは溶媒
が置換されて、セルロースアセテートのフィブリル状小
繊維が得られる。この方法にあっても、セルロースアセ
テート溶液におけるセルロースアセテートの濃度範囲は
5〜10重量%と低濃度であるため、溶剤回収などの後
処理での負荷が大きい。
【0017】更に、特開昭51−33358号公報に開
示されているシガレット用フィルター素材の製造法で
は、セルロースのアセチル誘導体を溶媒に溶解した紡糸
原液を、高速で流れている前記アセチル誘導体に対する
凝固液中に導入することにより、フィブリル状のミクロ
ファイバーから構成される繊維状物を形成している。こ
の方法では、紡糸原液を比較的、高濃度とすることが可
能であるが、十分な比表面積をもつ繊維状物を形成する
ためには、凝固剤の高流速環境をつくらなければならな
い。例えば、同公報に開示された実施例では紡糸原液と
凝固剤との供給にアスピレーター方式を採用している
が、アスピレーターの最狭窄部において、凝固剤の線流
速を600m/min.と極めて高速に設定している。
この方法では凝固剤の線流速を高速に維持するために、
形成されたフィブリル状の繊維状物、溶媒及び凝固剤の
懸濁液は、細いキャピラリーの中を通過させる必要があ
る。しかしながら、前記キャピラリーは閉塞を起こしや
すく、工業的な規模での製法としては満足できるもので
はない。
【0018】また、特開平7−197314号公報に開
示されているセルロースエステルフィブリル物質の製造
法は、径の異なる3つの管をその軸を一致させて配し、
中心の細管からベントナイト、活性炭、ゼオライトなど
を含むスラリー状の添加剤を吐出すると共に、その外側
の環状キャビティからセルロースエステル溶液を、更に
最外側の環状導管からは凝固剤液体を吐出している。こ
のように、フィブリルの形成時においてスラリー状の添
加剤を注入することにより、添加剤がフィブリルの表面
に固定され、約5.0m2 /g(好ましくは、約20m
2 /g)を越える表面積、約1000ミクロン未満(好
ましくは、約20〜約200ミクロン)の長さ、及び約
0.2〜約90ミクロン(好ましくは、約0.5〜約5
0ミクロン)の直径を有し、且つ表面に添加剤が埋め込
み又は含浸されたフィブリルを得ることができる。この
ように、同方法によれば表面積の高いセルロースエステ
ルからなるフィブリルを得ることができるが、同フィブ
リルには添加剤を含有させなくてはならないために製造
工程が煩雑になり、また、コストも高くなってしまう。
【0019】ここで、糸または不織布等のシート状物を
得るための原料として、パルプに代表される不連続にフ
ィブリル化された繊維(以下、「フィブリル化繊維」が
好適に利用されている。このフィブリル化繊維は、上述
したようにエアーフィルターなどの分野において、低圧
力損失、高濾過性能を有する表面積の大きな極細繊維が
有効に利用されており、更に表面積を増加して濾過効率
を向上させることが提案されている。
【0020】例えば、特開平9−324318号公報に
開示された不連続フィブリル化繊維の製造方法によれ
ば、溶剤に高分子重合体を溶解した紡糸原液を賦形口金
のオリフィスを通じて同賦形口金内の混合セルへと押し
出すと同時に、前記重合体の凝固剤流体を同賦形口金の
ノズルを通じて前記混合セル内に、前記紡糸原液の吐出
線方向に対して0°以上90°未満の角度で噴出し、同
混合セル内で前記紡糸原液とを混合し、それにより凝固
した前記重合体を前記凝固剤流体の剪断流により剪断し
て不連続フィブリル化繊維を形成している。かかる方法
により得られた不連続フィブリル化繊維は、幅0.1μ
m〜500μm、長さ10μm〜10mmのフィブリル
状及びフィルム状物のセルロースエステルから構成さ
れ、少なくとも1000μm以上の長さを有し且つ分岐
構造を有したフィブリル状またはフィルム状物の割合が
5重量%以上である。
【0021】上記公報に開示されている製造方法におけ
る賦形口金内の混合セルとは、紡糸原液と凝固剤流体と
の接触位置から下方に設けられた所定長さを有する空間
のことであり、同混合セルにおいて紡糸原液と凝固剤流
体とが混合され、それにより重合体が凝固し、更に凝固
した重合体には剪断が与えられる。かかる混合セルを設
けることにより、紡糸原液に効率よく凝固剤流体を作用
させることができ、得られたフィブリル状又はフィルム
状繊維は、比表面積が5m2 /g以上と高く、タバコ用
フィルターの素材として適した性能を有するものであ
る。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上記公報では
前記混合セルの長さは、前記紡糸原液の吐出線と前記凝
固剤流体の噴出線との交点よりも下流側に少なくとも1
mm以上が必要であるとしている。しかしながら、前記
混合セルの長さを前記交点よりも1mm以上下流側とし
た場合、生成されたフィブリル化繊維の一部が、混合セ
ル壁面に徐々に貼り付くという現象が生じ、最終的には
前記混合セルがフィブリル化繊維によって閉塞されてし
まい、長時間にわたる安定した紡糸が困難となる。
【0023】また、上記公報に開示された製造方法によ
り製造されたフィブリル状又はフィルム状繊維は、カナ
ディアンフリーネステスターによる濾水度(JIS P
−8121)が200ml未満であることから、同繊維
を湿式抄紙法によりシートに形成する場合、シートの断
裂が起こるという問題がある。また、得られた繊維のな
かには、直径1mm以上の分散しにくい繊維の固まりが
含まれる場合があり、かかる繊維の固まりが存在する
と、同フィブリル化繊維をシートに形成する場合、得ら
れたシートの表面に前記繊維の固まりによる凹凸が生じ
たり、厚みが不均一になるという問題があるだけでな
く、プラグ化の際に白粉が発生する原因ともなり工業的
に問題である。
【0024】本発明はかかる問題を解決すべくなされた
ものであり、本発明の目的は、エアーフィルター、特に
タバコ用フィルターの素材として適した形態、比表面積
及び濾水度を有するセルロースアセテートフィブリル
と、同セルロースアセテートフィブリルの工業的に優位
な製造方法とを提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本件請求項1に係る発明は、比表面積が10m2
g以上、濾水度が200ml以上、篩い分け試験による
150メッシュ通過分が10重量%以下、及び、紙強度
が1kg/15mm以上であることであることを特徴と
するセルロースアセテートフィブリルを主要な構成とし
ている。本発明でいう紙強度とは、JIS P−820
9(パルプ試験用手漉き紙調製方法)により坪量40g
/m2のシートを調製し、JIS P−8113(紙お
よび板紙の引張強さ試験方法)によって測定した値であ
る。
【0026】本発明における「セルロースアセテートフ
ィブリル」とは、3次元網状組織を形成するための約
0.1μm〜約100μmの太さからなる無数の微細な
繊維が枝分かれした構造を有する繊維及びその集合体を
意味するものであって、特に限定されるものではない
が、同フィブリルの長さは数10μm〜1cmの範囲に
ある。これらのフィブリルは不織布及び合成紙を通常の
方法により製造する際の素材として好適な形態を与え
る。また、「セルロースアセテート」には、セルロース
ジアセテート及びセルローストリアセテートも含まれ
る。なお、タバコフィルター用としては、セルロースジ
アセテートが好ましく用いられる。
【0027】本発明のセルロースアセテートフィブリル
は、比表面積が10m2 /g以上と大きいため、エアー
フィルターの素材として用いた場合に濾過性能に優れ、
特にタバコ用フィルターの素材として用いる場合には、
ニコチン成分やタール成分を十分に吸着、濾過できる。
【0028】なお、セルロースアセテートフィブリルを
タバコ用フィルターに加工する方法としては、公知の技
術を組み合わせることができる。例えば、前記セルロー
スアセテートフィブリルを紙や不織布のようなシート状
物に加工した後、プラグ巻き上げ機によりタバコ用フィ
ルターに加工することが出来る。また、活性炭粒子をア
セテートトウに分散させる手法に準じて、本発明のセル
ロースアセテートフィブリルをアセテートトウに分散さ
せ、プラグ巻き上げ機によりタバコ用フィルターに加工
することも可能である。
【0029】本発明のセルロースアセテートフィブリル
は、タバコ用フィルター素材として適しており、上述し
たようにニコチンやータール分を吸着/濾過するために
充分な比表面積と、後述するようにタバコフィルターに
加工するために適した形態とを兼ね備えている。
【0030】本発明のセルロースアセテートフィブリル
は、その繊維長が、篩い分け試験(JIS P−820
7)における150メッシュ通過分が10重量%以下と
する必要がある。セルロースアセテートフィブリルの繊
維長が短いと、フィルタに加工する際の取り扱いが煩雑
となる。例えば、前記セルロースアセテートフィブリル
を湿式法により連続的に抄紙してシート状物を製造する
場合、抄紙ネットからのセルロースアセテートフィブリ
ルの抜け分が多くなり、収率の低下と廃水の白水化を引
き起こすため好ましくない。また、乾式法によりシート
状物を製造する場合は、気流中に浮遊するセルロースア
セテートフィブリルが増加し、作業環境の悪化を引き起
こす虞れがある。更に、シート状物に繊維長の短いセル
ロースアセテートフィブリルが多量に存在すると、同シ
ート状物の力学的強度が低下するため、好ましくない。
【0031】また、繊維状物のフィブリル化度の指標で
あるカナディアンフリーネステスターによる濾水度(J
IS P−8121)は200ml以上であることが必
要である。濾水度が200ml以下のセルロースアセテ
ートフィブリルを用いて湿式抄紙法によりシート状物を
製造する場合、シート状物の断裂が起こる可能性が高い
ため好ましくない。
【0032】更に、本発明のセルロースアセテートフィ
ブリルは、それをシート状にした時の紙強度は、1kg
/15mm以上であることが必要である。この理由は、
該シートを円棒状のプラグに成形するに際し、該シート
の縦方向に皺を付与するクレープ加工施すことが好まし
く、このクレープ加工によって、柔軟性と嵩高性が向上
し、均一な円棒状に巻き上げることが容易になるが、紙
強度が1kg/15mm以下では、十分なクレープ加工
を施すことができないからである。
【0033】かかるセルロースアセテートフィブリルを
製造するために、本件の請求項2に係る発明は、紡糸原
液の吐出口を有する紡糸原液流路と、凝固剤流体の噴射
口を有する凝固剤流体流路と、前記紡糸原液の吐出口と
前記凝固剤流体の噴射口とが開口すると共に下流端に紡
出口を有する合流部とを備えてなるフィブリル賦形口金
から、セルロースアセテートフィブリルを凝固液中に紡
出し、セルロースアセテートフィブリルを製造する方法
であって、前記紡糸原液の吐出線と凝固剤流体の噴射線
とのなす角度θが0°より大きく90°以下であり、前
記凝固液がセルロースアセテートの溶解能を有する溶媒
を5〜30重量%含有することを特徴とするセルロース
アセテートフィブリルの製造方法を主要な構成としてい
る。
【0034】紡糸原液の重合体濃度は10重量%以上2
5重量%未満に設定することが好ましい。前記重合体濃
度が10重量%未満である場合、廃液からの溶剤回収の
負荷が増大するため工業的に好ましくない。また、前記
重合体濃度が25重量%以上である場合には、得られた
セルロースアセテートフィブリルの比表面積が10m 2
/g未満となるため好ましくない。
【0035】前記賦形口金における紡糸原液流路の横断
面形状は、直径が0.06mmφ以上0.2mmφ未満
の円形が好ましい。前記横断面形状が円形以外、例えば
矩形である場合、得られたセルロースアセテートフィブ
リルには繊維の固まりが含まれるため好ましくない。繊
維の固まりが存在することにより、得られたセルロース
アセテートフィブリルをシートに形成した場合に、シー
ト表面には前記繊維の固まりによる凹凸が生じ、また、
シート厚みや同シートをフィルターとして使用した場合
の各種機能が不均一となるといった問題が生じる。更に
は、同シートをプラグ化する際に白粉が発生する原因と
もなり工業的にも問題である。
【0036】前記紡糸原液の吐出線と凝固剤流体の噴射
線とのなす角度θを0°<θ≦90°とすることにより、
凝固剤流体が前記紡糸原液の吐出線方向へと流れるよう
にすることができる。また、前記角度θを上述の範囲内
に設定することにより、形成されたセルロースアセテー
トフィブリル、紡糸原液内の溶媒及び凝固剤の混合液を
すみやかに賦形口金の紡出口から凝固液中へと紡出する
ことが可能になる。更に、前記角度θは10°〜80°
の範囲に設定することが好ましい。前記角度θをかかる
範囲内に設定することにより、十分にフィブリル化がな
された更に好適なセルロースアセテートフィブリルを得
ることができる。
【0037】紡糸原液の吐出線と凝固剤流体の噴出線と
が平行である場合、すなわち前記角度θが0°である場
合、紡糸原液と凝固剤流体とは混合が不十分となり、得
られるセルロースアセテートフィブリルの断面は円形又
は楕円形を呈し、断面の大きさも不規則となり好ましく
ない。また、前記角度θが90°を越えると紡糸原液と
凝固剤流体が十分混合されるものの、凝固したセルロー
スアセテートフィブリルにより、賦形口金の紡出口が詰
まりやすくなるため好ましくない。
【0038】更に、本発明では、紡糸原液の吐出線と凝
固剤流体の噴出線との交点を、賦形口金の紡出口よりも
下流側に位置させることが好ましい。前記交点が前記紡
出口よりも下流側に位置させることにより、生成したセ
ルロースアセテートフィブリルの一部が合流部の壁面に
徐々に貼り付くことがなく、前記合流部内において閉塞
が起こることもないため、長時間の安定した紡糸が可能
となる。
【0039】更に、前記凝固液の液面を、前記紡出口と
ほぼ同一の高さに位置させることが好ましい。そのた
め、前記紡出口から紡出された紡糸原液と凝固剤流体と
の混合体が速やかに凝固液内へと導入され、賦形口金の
周囲に飛び散ることがない。更には、紡糸原液の吐出線
と凝固剤流体の噴出線との交点が前記凝固液の液面より
下方に位置することになるため、前記凝固液が前記紡糸
原液の吐出圧や凝固剤流体の噴出圧により攪拌され、生
成したセルロースアセテートフィブリルが凝固液中で円
滑に分散される。
【0040】また、前記凝固剤流体は水蒸気であり、蒸
気圧が50KPa以上250KPa未満で噴射すること
が好ましい。前記蒸気圧が50KPa未満の水蒸気であ
る場合には、得られたセルロースアセテートフィブリル
中に分散しにくい繊維の固まりが含有されてしまうため
好ましくない。一方、蒸気圧が250KPa以上の水蒸
気である場合、得られたセルロースアセテートフィブリ
ルの濾水度が100ml未満となり、同フィブリルをシ
ートに加工の際、シート断裂が発生するため好ましくな
い。
【0041】なお、上述した方法により、賦形口金の紡
出口から紡出されたセルロースアセテートフィブリル
は、更に凝固液中で洗浄され、溶媒が除去される。ここ
で、凝固液組成は該紡糸原液の溶媒を5重量%以上30
重量%未満の割合で含有することが必要である。該紡糸
原液の溶媒としてアセトンを使用することがさらに好ま
しい。該凝固液組成が、紡糸原液の溶媒を5重量%未満
しか含有しない場合であっても、セルロースアセテート
フィブリルを得ることは可能である。しかし、JISP
−8209(パルプ試験用手漉き紙調製方法)により坪
量40g/m2のシートを調製し、JIS P−811
3(紙および板紙の引張強さ試験方法)により紙強度を
測定した場合、1kg/15mm以上とするためには該
凝固液組成を、紡糸原液の溶媒を5重量%以上含有する
組成とすることが必要である。また、該凝固液組成が、
紡糸原液の溶媒を30重量%以上含有する場合は、凝固
液中にてフィブリル同士の融着現象が発生し、比表面積
が10m2/g以下に低下することから好ましくない。
【0042】このセルロースアセテートフィブリルは、
例えば更なる洗浄工程や叩解工程を経て、公知のシート
賦形装置に供給される。この洗浄工程及び叩解工程は、
本発明によるセルロースアセテートフィブリルの製造工
程の後に連続的になされるよう、各工程における装置を
連結することも可能である。また、シート賦形後には、
公知の方法により乾燥を行うことによって、不織布又は
紙を成形できる。なお、本発明で使用される希釈剤、溶
媒、及び凝固剤の回収は、蒸留などの公知の方法を採用
できる。
【0043】また、上述した製造方法に好適に使用でき
る賦形口金として、紡糸原液の吐出口を有する紡糸原液
流路と、凝固剤流体の噴射口を有する凝固剤流体流路
と、前記紡糸原液の吐出口と前記凝固剤流体の噴射口と
が開口すると共に下流端に紡出口を有する合流部と、を
備えてなるセルロースアセテートフィブリルを紡出する
セルロースアセテートフィブリル賦形口金であって、前
記紡糸原液流路の横断面形状は直径が0.06mmφ以
上0.2mmφ未満の円形であること、前記紡糸原液の
吐出線と前記凝固剤流体の噴射線とのなす角度θは0°
以上90°未満であること、及び、前記吐出線と前記噴
射線との交点が前記紡出口よりも下流側に位置する賦形
口金を用いることが好ましい。
【0044】かかる賦形口金は上述したように、紡糸原
液流路の横断面形状が、直径が0.06mmφ以上0.
2mmφ未満の円形であるため、得られたセルロースア
セテートフィブリルには繊維の固まりが少ない。また、
前記紡糸原液の吐出線と凝固剤流体の噴射線とのなす角
度θを0°<θ≦90°とすることにより、凝固剤流体
が前記紡糸原液の吐出線方向へと流れるようにすること
ができる。更には、紡糸原液の吐出線と凝固剤流体の噴
出線との交点を、賦形口金の紡出口よりも下流側に位置
させているため、生成したセルロースアセテートフィブ
リルの一部が合流部の壁面に徐々に貼り付くことがな
く、前記合流部内において閉塞が起こることもない。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明における好適な実施
の形態について、図面を参照して具体的に説明する。図
1は、本発明に用いる賦形口金の概略を示す縦断面図で
ある。
【0046】本実施形態による賦形口金1は、口金部材
2とスペーサ3とを備えている。前記口金部材2は、そ
の下面中央に逆載頭円錐形状の突出部2aを有してお
り、同突出部2aの中心線上に上下方向の貫通孔4が形
成されている。同貫通孔は、本発明の紡糸原液流路4を
構成し、その上端4aが紡糸原液の導入口4aとなって
おり、上流側の大径部からテーパ部を通って下流側の小
径部へと紡糸原液が流れ、前記小径部の下端の吐出口4
bから吐出される。同紡糸原液流路の吐出口4bは直径
が0.06mmφ以上0.2mmφ未満の円形である。
【0047】更に、前記口金部材2の下面には、前記突
出部2aの全周にわたって凹溝2bが形成されており、
同凹溝2bと前記スペーサ3の上面との間に形成される
空間が凝固剤流体の貯留部5を構成する。同貯留部5は
外周の一部に連通する凝固剤流体の導入口5aを有して
いる。
【0048】前記スペーサ3はその中心に断面が円形の
貫通孔3aが形成されている。同貫通孔3aはその上部
が逆載頭円錐形状をなす上記突出部2aの外周面と同一
の傾斜をもつテーパ面3bを有している。前記突出部2
aの頂面から前記貫通孔3aの下端に至までに形成され
る空間6が本発明の合流部6である。この合流部6の下
端は前記賦形口金1の紡出口7である。更に、前記テー
パ面3bと前記突出部2aとの間には連続するスリット
8が形成され、同スリット8は凝固剤流体流路を構成し
ている。この凝固剤流体流路8の噴射口8aは、前記合
流部6に開口している。
【0049】前記凝固剤流体流路8は、前記紡糸原液流
路4の中心線、即ち紡糸原液の吐出線Aと、同凝固剤流
体流路8の中心線、即ち凝固剤流体の噴射線Bとのなす
角度θが0°<θ≦90°となるように形成されてい
る。かかる角度θとすることで、前記凝固剤流体は紡糸
原液の吐出線Aの方向へ流れるように噴出される。更
に、前記吐出線Aと前記噴射線Bとの交点Pは、前記紡
出口7よりも下流側へ位置するように、前記凝固剤流体
流路8を形成している。前記交点Pをかかる位置に設定
することで、生成したセルロースアセテートフィブリル
が前記合流部6の壁面に貼り付いて合流部6内を閉塞す
るといったことが生じることもない。そのため長時間に
わたって安定した紡糸が可能となる。
【0050】更に図1の例では、凝固液の液面Sが前記
紡出口7とほぼ同一の高さに位置している。そのため、
前記紡出口7から紡出された紡糸原液と凝固剤流体との
混合体が速やかに凝固液内へと導入され、賦形口金1の
周囲に飛び散ることがない。更には、紡糸原液の吐出線
Aと凝固剤流体の噴出線Bとの交点Pが前記凝固液の液
面Sより下方に位置することになるため、前記凝固液が
前記紡糸原液の吐出圧や凝固剤流体の噴出圧により攪拌
され、生成したセルロースアセテートフィブリルが凝固
液中で円滑に分散される。
【0051】以下、本発明について具体的な実施例及び
比較例を挙げて説明する。 (実施例1)セルロースジアセテート(ダイセル化学製
MGH)18.0重量部をアセトン81.3重量部と
水0.7重量部の混合溶媒に室温にて1時間攪拌して溶
解させた原液を、タンクに移し150kPaの窒素加圧
下で押し出し、ギヤポンプを用いて図1に示した口金へ
定量供給を行うと同時に水蒸気を供給した。水蒸気の供
給量は減圧弁により供給圧力を規定することにより制御
した。水蒸気量は図1に示す紡糸ノズルより水蒸気のみ
を凝固液中に噴出し、単位時間当たりの重量の増分を求
めることにより測定した。
【0052】直径が0.1mm、ホール数26個の溶液
吐出口、直径が2mm、水蒸気流路がスリット状で開度
を360μmに調整し、溶液流路の中心線とスリット中
心線のなす角度が30度、紡糸原液流路の中心線と水蒸
気流路の中心線との交点が凝固液面より下流部に0.5
mmになるように製作した口金を用いて、セルロースジ
アセテート溶液の供給量を96ml/min.、水蒸気
の供給圧を125kPaとして、温度30℃のアセトン
/水=20:80の割合に調製した凝固液中へ噴出し
た。この時の水蒸気消費量は水換算で64g/min.
であった。
【0053】凝固液中に浮遊したセルロースジアセテー
トの凝固体を捕集し、さらに沸騰水中で1時間以上洗浄
を行った。得られた凝固体を濾過して含水フィブリル集
合体を得た。この含水物の固形分重量は約10%であっ
た。この含水フィブリルを再度水に分散し、約0.5w
t%のフィブリル分散液を調整した。このフィブリル分
散液を希釈して濾水度を測定した。濾水度の測定はカナ
ディアンフリーネステスターを用いてJIS P−81
21に準拠して行った。標準温度20℃、標準濃度0.
30%への補正を行った値は330mlであった。篩い
分け試験(JIS P−8207)における150メッ
シュ通過分が8重量%であった。
【0054】次にこの含水フィブリル集合体を80℃の
熱風で乾燥し、得られた凝固体を走査型電子顕微鏡を用
いて繊維側断面の形態を観察した。さらに、投射型実体
顕微鏡(日本光学社製プロファイルプロジェクター V
−12)を用いて繊維の長さ方向の形態を観察した。
【0055】得られた凝固体は太さがサブμmから20
μm、長さが数十μmから数mmのフィブリル状を呈す
る集合体であり、その集合体は分岐構造を有した部分が
あり、全体として樹木状の枝分かれ構造が観察された。
10個のフィブリルを測定したところ平均繊維径10μ
m平均繊維長1.5mmであった。この集合体の比表面
積を自動比表面積測定装置(マイクロメリティックス社
製ジェミニ2375)を用いて測定したところ18m2
/gであった。該フィブリル化繊維をJIS P−82
09(パルプ試験用手漉き紙調製方法)により坪量40
g/m2のシートを調製した。JIS P−8113
(紙および板紙の引張強さ試験方法)により紙強度を測
定したところ、1.8kg/15mmであった。
【0056】(実施例2)実施例1と同様の方法で、凝
固浴組成をアセトン/水=10:90に変更する以外、
実施例1と同様な方法でセルロースジアセテートの賦形
を行った。投射型実体顕微鏡を用い、10個のフィブリ
ルを観察したところ平均繊維径8μm平均繊維長1.1
mmであった。この凝固体集合体の比表面積は16m2
/g、濾水度は300mlであった。篩い分け試験にお
ける150メッシュ通過分は9重量%であった。該フィ
ブリル化繊維をJIS P−8209により坪量40g
/m2のシートを調製した。JIS P−8113によ
り紙強度を測定したところ、1.4kg/15mmであ
った。
【0057】(比較例1)実施例1と同様の方法で、凝
固浴組成をアセトン/水=1:99に変更する以外、実
施例1と同様な方法でセルロースジアセテートの賦形を
行った。投射型実体顕微鏡を用い、10個のフィブリル
を観察したところ平均繊維径7μm平均繊維長0.8m
mであった。この凝固体集合体の比表面積は15m2
g、濾水度は270mlであった。篩い分け試験におけ
る150メッシュ通過分は12重量%であった。該フィ
ブリル化繊維をJIS P−8209により坪量40g
/m2のシートを調製した。JIS P−8113によ
り紙強度を測定したところ、0.7kg/15mmであ
った。
【0058】(比較例2)実施例1と同様の方法で、凝
固浴組成をアセトン/水=30:70に変更する以外、
実施例1と同様な方法でセルロースジアセテートの賦形
を行った。投射型実体顕微鏡を用い、10個のフィブリ
ルを観察したところ平均繊維径23μm平均繊維長2.
8mmであった。この凝固体集合体の比表面積は5m2
/g、濾水度は680mlであった。篩い分け試験にお
ける150メッシュ通過分は3重量%であった。該フィ
ブリル化繊維をJIS P−8209により坪量40g
/m2のシートを調製した。JIS P−8113によ
り紙強度を測定したところ、0.4kg/15mmであ
った。
【0059】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明のセルロ
ースアセテートフィブリルは、エアーフィルター、特に
タバコ用フィルターの素材として適した比表面積と形態
とを有するものであり、ニコチン成分やタール成分の吸
着、濾過性能に優れたものである。また、本発明の賦形
口金を用いて、本発明の製造方法により、かかる優れた
セルロースアセテートフィブリルを安価に、且つ、高効
率で製造することができる。
【0060】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる好適な賦形口金の概略を示す縦
断面図である。
【符号の説明】
1 賦形口金 2 口金部材 2a 突出部 2b 凹溝 3 スペーサ 3a 貫通孔 3b テーパ 4 紡糸原液流路(貫通孔) 4a 紡糸原液の導入口 4b 吐出口 5 貯留部 5a 凝固剤流体の導入口 6 合流部 7 紡出口 8 凝固剤流体流路(スリット) 8a 噴射口 13 凝固液 A 紡糸原液の吐出線 B 凝固剤流体の噴射線 θ 吐出線Aと噴射線Bとのなす角度 P 吐出線Aと噴射線Bとの交点 S 凝固液の液面

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比表面積が10m2 /g以上、濾水度が
    200ml以上、篩い分け試験による150メッシュ通
    過分が10重量%以下、及び、紙強度が1kg/15m
    m以上であることであることを特徴とするセルロースア
    セテートフィブリル。
  2. 【請求項2】 紡糸原液の吐出口を有する紡糸原液流路
    と、凝固剤流体の噴射口を有する凝固剤流体流路と、前
    記紡糸原液の吐出口と前記凝固剤流体の噴射口とが開口
    すると共に下流端に紡出口を有する合流部とを備えてな
    るフィブリル賦形口金から、セルロースアセテートフィ
    ブリルを凝固液中に紡出し、セルロースアセテートフィ
    ブリルを製造する方法であって、 前記紡糸原液の吐出線と凝固剤流体の噴射線とのなす角
    度θが0°より大きく90°以下であり、前記凝固液が
    セルロースアセテートの溶解能を有する溶媒を5〜30
    重量%含有することを特徴とするセルロースアセテート
    フィブリルの製造方法。
  3. 【請求項3】 該紡糸原液の溶媒がアセトンである請求
    項2記載のセルロースアセテートフィブリルの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 重合体濃度が10重量%以上25重量%
    未満である紡糸原液を用いる請求項2又は請求項3記載
    のセルロースアセテートフィブリルの製造方法。
  5. 【請求項5】 紡糸原液流路の下端に形成された吐出口
    の直径が0.06mmφ以上0.2mmφ未満である請
    求項2〜4のいずれか1項に記載のセルロースアセテー
    トフィブリルの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記凝固液の液面を、前記紡出口とほぼ
    同一の高さに位置させてなる請求項2〜5のいずれか1
    項に記載のセルロースアセテートフィブリルの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記凝固剤流体は水蒸気であり、蒸気圧
    が50KPa以上250KPa未満で噴射してなる請求
    項2〜6いずれか1項に記載のセルロースアセテートフ
    ィブリルの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004223413A (ja) * 2003-01-23 2004-08-12 Yuniseru Kk フィルタ
JP2014030785A (ja) * 2012-08-02 2014-02-20 Japan Vilene Co Ltd フィルタ

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JP2004223413A (ja) * 2003-01-23 2004-08-12 Yuniseru Kk フィルタ
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