JPH1157343A - フィルター素材およびたばこ煙用フィルター - Google Patents

フィルター素材およびたばこ煙用フィルター

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JPH1157343A
JPH1157343A JP22824897A JP22824897A JPH1157343A JP H1157343 A JPH1157343 A JP H1157343A JP 22824897 A JP22824897 A JP 22824897A JP 22824897 A JP22824897 A JP 22824897A JP H1157343 A JPH1157343 A JP H1157343A
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filter
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fibers
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Hiroyuki Matsumura
裕之 松村
Nobuyuki Oji
信之 大路
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セルロースエステル繊維で構成されたフィル
ターを用い、たばこ煙中の有害成分を有効に除去する。 【解決手段】 平均直径20〜250μm、直径10μ
m以下の繊維数の割合が全繊維数の30%以下、BET
比表面積5m2 /g以上のセルロースエステル微小繊維
を用い、タバコ煙用フィルターに好適なフィルター素材
を得る。フィルター素材は、上記セルロースエステル微
小繊維と他のセルロースエステル繊維とで構成してもよ
い。セルロースエステルとしてはセルロースアセテート
などが利用できる。前記セルロースエステル微小繊維
は、比表面積が大きいにも拘らず、繊維径が比較的大き
く、しかも直径の小さな繊維数が少ないため、作業性及
び歩留りに優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、喫煙者の口腔内へ
の有害成分流入量を低減し、喫煙者の健康に及ぼす悪影
響を軽減するのに有用なフィルター素材およびそれを用
いたたばこ煙用フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、たばこの健康に及ぼす影響との関
連から、先進諸国を中心に喫煙時の口腔内への有害成分
の流入量(デリバリー量と称する)を低減させるための様
々な検討、主にたばこ煙用フィルターの濾過効率の向上
が検討されている。現在のたばこ煙用フィルターの多く
は、セルロースジアセテート捲縮繊維トウが用いられて
いる。このようなトウによる有害成分の濾過効率を高め
るために、単繊維繊度の小さいトウを用いたり、繊維充
填量を大きくすることが検討されている。しかし、これ
らの方法で得られるたばこ煙用フィルターは、通気抵抗
が大きく、喫煙者に過大な吸引力を要求することにな
る。そのため、たばこ煙用フィルターの通気抵抗を実用
的な範囲に維持しながら、濾過効率を向上させるには限
界があるとともに、コスト高ともなる。
【0003】たばこ煙用フィルターの濾過効率の向上の
ための他の方法としては、たばこ煙用フィルターに種々
の添加剤を添加し、濾過効率を高める方法が検討されて
いる。しかし、そのような方法の多くは、たばこ煙用フ
ィルター素材に添加剤を添加することにより、たばこ自
体の喫味を著しく変化させ、喫煙者の喫煙感を損なう虞
がある。
【0004】たばこの喫味の変化を抑制するためには、
添加剤として、フィルター素材と化学的に同じ又は類似
の成分を用い、濾過効率を向上できる形態で添加するこ
とが考えられる。例えば、特公昭50−38720号公
報には、直径0.1〜10μmのフィブリル状セルロー
スアセテートのミクロファイバーで構成され、ミクロフ
ァイバーの少なくとも一部が絡み合い、比表面積3m2
/g以上の繊維状物で構成されたたばこ煙用フィルター
が開示されている。この文献には、エジェクター式の紡
糸装置を用い、比表面積3〜18m2 /gのフィブリル
化セルロースアセテート繊維を得たことが記載されてい
る。特開昭53−45468号公報には、直径0.5〜
50μm、比表面積5.0m2 /g以上(例えば、12
〜25m 2 /g)のセルロースエステル繊維状物をたば
こ煙用フィルター材料として用いることが開示されてい
る。この文献には、ベンチュリ管ののど部に、オリフィ
スからドープ液を押出し、前記ベンチュリ管に凝固液を
高速で供給して前記セルロースエステル繊維状物を得る
ことが記載されている。
【0005】しかし、前記繊維状物の繊維径がかなり小
さく、特に繊維径10μm以下の微小繊維を多く含むた
め、通常のたばこ煙用フィルター巻上方法(例えば活性
炭添加装置など)を用いてフィルター素材に添加しよう
とする場合、たばこ煙用フィルター巻上時の歩留りが低
下し、操作性を低下させる虞がある。
【0006】特開平7−197314号公報には、比表
面積5.0m2 /g以上、繊維径0.2〜90μmであ
り、比較的大きな繊維径を有するセルロースエステル繊
維が開示されている。この文献には、繊維径について、
通常、0.2〜0.6μmの繊維径を有し、0.5〜5
μmの直径を有するのが好ましいと記載されている。こ
のことから、前記セルロースエステル繊維の機能および
特色が高い比表面積を有する点にあり、比表面積を高く
するため、繊維径を小さくする必要がある。
【0007】一方、特開平8−120517号公報に
は、繊維径15〜250μm、比表面積0.5〜4.5
2 /gのフィブリル化繊維状セルロースエステルで構
成されたタバコ煙用フィルターが開示されている。この
文献には、セルロースエステル溶液をノズルから貧溶媒
中に押し出し、吐出した繊維状セルロースエステル溶液
に、インペラ状のカッタにより剪断力を作用させ、フィ
ブリル化セルロースエステルを調製することも記載され
ている。しかし、一般に、たばこ煙中の有害成分の除去
率とフィルター材料の比表面積の間には極めて大きな相
関関係が認められる。そして、前記フィブリル化繊維状
セルロースエステル程度の比表面積では、有害成分を効
率的に除去するためには十分でない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、繊維径が比較的大きいにも拘らず比表面積が大き
く、たばこ煙中の有害成分を効率的に除去するのに適し
たフィルター素材およびそれを用いたたばこ煙用フィル
ターを提供することにある。本発明の他の目的は、少量
の添加によりたばこ煙中の有害成分を効率的に除去でき
るフィルター素材およびそれを用いたたばこ煙用フィル
ターを提供することにある。本発明のさらに他の目的
は、高い歩留まりでフィルター素材に容易に添加でき、
たばこ煙中の有害成分を効率的に除去して、喫煙者の口
腔内への有害成分のデリバリー量を著しく低減させるの
に有用なフィルター素材およびそれを用いたたばこ煙用
フィルターを提供することにある。本発明の別の目的
は、たばこ煙用フィルターに利用しても、通気抵抗、た
ばこ喫味、喫煙者の喫煙感を損なうことのないフィルタ
ー素材およびそれを用いたたばこ煙用フィルターを提供
することにある。本発明のさらに別の目的は、たばこ煙
中の有害成分を有効に除去できるたばこ煙用フィルター
の構造を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、たばこ煙用フィルター
の構成成分として、繊維直径が大きく、しかも高い比表
面積のセルロースエステル微小繊維(特に繊維直径10
μm以下の微小繊維含有量の少ない微小繊維)を含有さ
せると、たばこの喫味を変化させることなく、たばこ煙
中の有害成分を有効かつ効率よく除去でき、喫煙者の口
腔内への有害成分デリバリー量を著しく低減できること
を見いだし、本発明を完成した。すなわち、本発明のフ
ィルター素材は、平均直径が20〜250μmであり、
かつ直径10μm以下の繊維数の割合が全繊維数の30
%以下であり、BET比表面積が5m2 /g以上のセル
ロースエステル微小繊維で構成されている。フィルター
素材は(1)前記セルロースエステル微小繊維単独で構
成してもよく、(1)前記セルロースエステル微小繊維
と(2)他のセルロースエステル繊維及び/又は第3成
分(木材パルプなど)とで構成してもよい。本発明のた
ばこ煙用フィルターは、前記フィルター素材で構成され
ている。なお、前記セルロースエステル微小繊維は、例
えば、セルロースエステル溶液を、ノズルから前記セル
ロースエステルに対する沈殿剤(非溶媒又は貧溶媒)中
に押出し、剪断力を作用させることにより得られる。
【0010】なお、本明細書において、「平均直径」と
は湿潤時又は乾燥時に測定した繊維直径の平均値を意味
する。繊維の直径は適当量の繊維を採取し、顕微鏡写真
を撮影して、その写真中の各繊維直径を測定することに
より求めることができる。なお、繊維が高次(又は高
度)に分岐している場合、最も太い部分の直径をその繊
維の直径とする。
【0011】
【発明の実施の形態】セルロースエステルを得るための
原料は特に制限されず、例えば、天然セルロース(木材
パルプ,リンターパルプなど)又は再生セルロースなど
が使用できる。セルロース原料としては、通常、木材パ
ルプを用いる場合が多い。なお、セルロースとしては、
高純度のセルロースを用いることが好ましいが、本発明
では品質の低いセルロース原料(例えば、ヘミセルロー
ス含有量5〜20重量%程度の木材パルプなど)も有効
に利用できるという特色がある。
【0012】本発明のフィルター素材を構成するセルロ
ースエステルの形態は、微小繊維状である。このセルロ
ースエステル微小繊維は、高次に分岐(フィブリル化と
いう場合がある)し、フィブリル化セルロースエステル
繊維を構成しており、不定形構造を有していてもよい。
セルロースエステル微小繊維の平均直径は、20〜25
0μm(例えば20〜200μm程度)、好ましくは3
0〜200μm、より好ましくは40〜150μm程度
であり、通常、20〜100μm(特に25〜100μ
m)程度である。平均直径が20μm未満(特に10μ
m未満)では、たばこ煙用フィルター巻上時の歩留りが
低下し、平均直径が250μmを越えると、フィルター
の均一性が低下し易く、比表面積が低下する。
【0013】さらにセルロース微小繊維において、直径
10μm以下の繊維数(繊維本数)の割合は、全繊維数
の30%以下(0〜30%)、好ましくは20%以下
(0〜20%)、特に15%以下(例えば、0〜10
%)である。さらに好ましくは直径50μm以上の繊維
数は、全繊維数の10%以上(例えば、15〜100
%)、さらに好ましくは20%以上(例えば、25〜1
00%)である。セルロースエステル微小繊維の繊維長
は、歩留りや添加の均一性を損なわない範囲で適宜選択
でき、通常0.1〜10mm、好ましくは0.2〜5m
m程度である。特に、繊維長1mm以上の長繊維が或る
程度(例えば、本数割合で10%以上)含まれているの
が好ましく、繊維長1mm以上の長繊維が本数割合で1
5%以上(例えば、15〜70%程度)含まれている場
合が多い。
【0014】前記セルロースエステル微小繊維は、主と
して高次に分岐されており、BET法で測定した比表面
積(以下、BET比表面積という)は、5m2 /g以上
(例えば、7〜50m2 /g程度)、好ましくは10m
2 /g以上(例えば、10〜50m2 /g程度)、さら
に好ましくは20m2 /g以上(例えば、25〜50m
2 /g程度)であり、通常、15m2 /g以上(例え
ば、15〜50m2 /g程度)である場合が多い。後述
する方法によれば、27〜50m2 /g程度のフィブリ
ル化セルロースエステル微小繊維を得ることもできる。
BET比表面積が5m2 /g未満では、セルロース微小
繊維の含有量から予想される程の有害成分除去効果が得
られず、たばこ煙中の有害成分の除去効率が低下する場
合がある。
【0015】このようなセルロースエステル微小繊維
は、例えば、セルロースエステル溶液を、ノズルから前
記セルロースエステルに対する沈殿剤(以下、凝固剤又
は貧溶媒という場合がある)中に押出し、剪断力を作用
させることにより得ることができる。ノズルから押出さ
れたセルロースエステル溶液は、沈殿剤(凝固剤)との
接触により、外周部から固化が開始する。この方法で
は、吐出した繊維状セルロースエステル溶液(繊維状紡
糸液)に剪断力を作用させることにより、セルロースエ
ステルが固化する前に部分的にフィブリル化するととも
に切断し、前記特定の平均直径及びBET比表面積を有
するセルロースエステル微小繊維を得ることができる。
【0016】なお、ノズルを用いて、予め繊維状に吐出
した紡糸液から凝固させると、本発明のセルロースエス
テル微小繊維を容易かつ効率よく得ることができるが、
前記セルロースエステル微小繊維の製法は、上記の方法
に限定されない。例えば、他の剪断手段によりセルロー
スエステル溶液に剪断力を作用させ、セルロースエステ
ル溶液を凝固させることにより前記セルロースエステル
微小繊維を得てもよい。
【0017】以下、必要に応じて図面を参照しつつ、セ
ルロースエステル微小繊維の製造方法について説明す
る。
【0018】セルロースエステル微小繊維の製造には、
繊維状紡糸液に剪断力を作用させながらフィブリル化で
きる種々の装置が使用できる。このような装置は、凝固
液が供給される流路と、この流路内にセルロースエステ
ル溶液(以下、単に紡糸液と称する場合がある)を吐出
するためのノズル手段と、ノズル手段から押出又は吐出
された繊維状紡糸液をフィブリル化とともにカッティン
グするための切断手段(剪断手段)とを備えている場合
が多い。
【0019】図1はセルロースエステルをフィブリル化
してセルロースエステル微小繊維を製造するための装置
の一例を示す概略構成図であり、図2は図1の切断手段
を示す概略底面図である。
【0020】図1及び図2に示す装置は、上部が閉塞し
た円筒状ケーシング3と、このケーシング3の底部から
上方へセルロースエステル溶液を吐出するためのノズル
手段1と、ケーシング3の下部に沈殿剤を供給し、吐出
されたセルロースエステル溶液と合流接触して、セルロ
ースエステル溶液を凝固沈殿させるための沈殿剤供給口
4と、前記ケーシング3の上部側面に接続され、かつ生
成したフィブリル状セルロースエステルを沈殿剤ととも
に送出するための送出口5とを備えている。
【0021】そして、前記ノズル手段1と送出口5との
間のうち、セルロースエステル溶液と沈殿剤との接触領
域には、ノズル手段1から押出された繊維状のセルロー
スエステル溶液を撹拌すると共に、剪断力を作用させて
繊維状セルロースエステル溶液をフィブリル化するため
のカッティング手段(または剪断手段)6が配設されて
いる。
【0022】このカッティング手段6は、ノズル手段1
に近接して対向し、かつ回転可能に配設されたカッター
8と、このカッターの下流側において、前記カッター8
と近接してケーシング3に取付けられた多孔プレート1
0とを備えている。すなわち、カッティング手段6は、
前記ケーシング3内で軸方向に延びるシャフト7と、こ
のシャフトの端部に取付けられ、かつモーターなどの回
転駆動源により回転可能な複数枚の羽根を有するカッタ
ー8と、このカッターよりも下流側に位置してケーシン
グ3に取付けられ、かつ周方向に複数の孔9を有するプ
レート10とを備えている。この例では、プレート10
はカッター8と平行に配設されている。また、カッティ
ング手段6のカッター8は、プレート10と近接してい
るとともに、前記ノズル手段1の吐出口に近接してい
る。
【0023】このような装置を用いると、セルロースエ
ステル溶液供給口2から供給され、ノズル手段1からケ
ーシング3内に加圧状態で押出されたセルロースエステ
ル溶液は、沈殿剤供給口4から供給された沈殿剤と接触
して、カッティング手段6のカッター8により撹拌され
る。その際、ノズル1と多孔プレート10との間に、ノ
ズル1に対向してカッター8が介在しているので、ノズ
ル手段1からプレート10の孔9を通過する間に、カッ
ター8の回転力および撹拌力によりセルロースエステル
溶液に剪断力が作用し、セルロースエステル溶液をフィ
ブリル化しながら、凝固できる。フィブリル化したセル
ロースエステルは、プレート10の孔9を通過して、フ
ィブリル化セルロースエステル送出口5から送出され
る。
【0024】なお、フィブリル化の程度や繊維長は、前
記セルロースエステル溶液の押出速度、吐出口とカッテ
ィング手段との距離、カッティング手段とプレートとの
距離、カッティング手段による剪断力(カッターの回転
速度やカッターの形状など)、さらにはノズル孔径など
により調整できる。剪断力は、セルロースエステルが完
全に凝固する前に作用させればよく、部分的に凝固した
セルロースエステルにさせてもよい。カッターを使用す
る場合のカッターの回転数は、前記ノズル1とカッター
8との距離になど応じて適当に選択でき、例えば、30
00〜15000rpm程度の範囲から選択できる。
【0025】前記ノズルの先端とカッターとの距離は、
セルロースエステル溶液の供給速度やカッターの回転数
により適宜選択できるが、通常、1〜5mm、好ましく
は1〜3mm程度(例えば2mm程度)である。上記距
離が短すぎると、塊状物が生成しやすく、長すぎると、
繊維長および繊維直径が大きくなりやすい。剪断力は、
前記カッターの回転剪断力に限らず、ジェット流、パル
ス波による衝撃などを利用してセルロースエステル溶液
に作用させてもよい。
【0026】断面円形のノズルを用いる場合、ノズル口
径は、所望の繊維径などに応じて選択でき、通常、50
μm〜5mm、好ましくは100μm〜4mm、さらに
好ましくは500μm〜3mm程度である。ノズルとし
ては、断面円形ノズルに限られず、円形ノズルと同程度
の断面積を有していれば、異形の断面形状であってもよ
い。また、セルロースエステル溶液を吐出するノズルは
単一ノズルに限らず、多数のノズル孔径に対応する孔を
形成した口金で構成してもよい。
【0027】セルロースエステル溶液は、セルロースエ
ステルを良溶媒に溶解することにより調製できる。前記
良溶媒は、セルロースエステルの置換基,平均置換度な
どに応じて適宜選択でき、例えば、アセトン,メチルエ
チルケトンなどのケトン類;酢酸などのカルボン酸;ジ
オキサン,ジエチルエーテル,テトラヒドロフランなど
のエーテル類;塩化メチレン,塩化エチレンなどのハロ
ゲン化アルキル類やハロゲン化炭化水素類;メタノー
ル,エタノール,イソプロパノールなどのアルコール
類;酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類などの有
機溶媒;これらの有機溶媒の混合溶媒;及びこれらの有
機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。前
記良溶媒は、通常、アセトン、ジオキサン、酢酸、アセ
トン−水混合溶媒、酢酸−水混合溶媒、塩化メチレン−
メタノール混合溶媒などの混合溶媒であってもよい。ま
た、セルロースエステル溶液は、セルロースエステルの
製造過程において、原料セルロースを溶媒中でエステル
化し、必要に応じて加水分解して得られるドープの形態
で用いてもよい。
【0028】セルロースエステル溶液中のセルロースエ
ステルの濃度は、通常、2〜50重量%、好ましくは5
〜40重量%、より好ましくは10〜25重量%程度で
ある。濃度が2重量%未満では、セルロースエステル微
小繊維を効率よく製造できず、濃度が50重量%を越え
ると、溶液の粘度が高く、所望の形状の繊維が得られに
くい。
【0029】前記凝固剤は、セルロースエステルおよび
良溶媒の種類に応じて、セルロースエステルに対する非
溶媒又は貧溶媒から選択でき、例えば、水;メタノール
などのアルコール類;水と前記良溶媒との混合溶媒など
が挙げられる。凝固剤には、通常、水、メタノール、ア
セトン−水混合溶媒、酢酸−水混合溶媒、ジオキサン−
水混合溶媒などが含まれる。なお、良溶媒と凝固剤とを
混合溶媒で構成する場合、凝固剤としての混合溶媒は、
良溶媒に比べて水の割合が多い。
【0030】このような良溶媒と凝固剤との組合せは、
特に限定されないが、例えば、次の組合せが例示され
る。 (a)良溶媒:アセトン/水=100/0〜70/30
(重量%)の溶媒 凝固剤:水/アセトン=100/0〜50/50(重量
%)の溶媒 (b)良溶媒:ジオキサン 凝固剤:水/ジオキサン=100/0〜70/30(重
量%)の溶媒 (c)良溶媒:酢酸/水=100/0〜60/40(重
量%)の溶媒 凝固剤:水/酢酸=100/0〜60/40(重量%)
の溶媒 前記凝固剤とセルロースエステル溶媒との割合は、得ら
れる繊維の特性を損なわない範囲で適宜選択でき、例え
ば、前者/後者=10/1(重量比)以上(例えば10
/1〜100/1(重量比)、好ましくは12/1〜5
0/1(重量比)程度)、通常、12/1〜40/1
(重量比)程度である。
【0031】沈殿剤とセルロースエステル溶液との割合
は、例えば、濃度13重量%のセルロースエステル溶液
1重量部に対して、沈殿剤10重量部以上、例えば、1
0〜50重量部(例えば、15〜50重量部)、好まし
くは12〜40重量部(例えば、15〜40重量部)、
さらに好ましくは15〜30重量部(例えば、20〜3
0重量部)程度である。セルロースエステル溶液および
沈殿剤の温度は、適当に選択できるが、通常、室温以
上、好ましくは30〜60℃(例えば、40〜60℃)
程度である。
【0032】なお、前記方法で得られたフィブリル化セ
ルロースアセテート微小繊維は、脱溶媒が不十分で膨潤
度が高く、そのまま乾燥すると、固い樹脂状物になりや
すい。従って、得られた繊維状物を、脱水し、温水又は
冷水で水洗し、次いで水の存在下で処理(例えば、沸騰
水処理又は水蒸気処理など)するのが好ましい。このよ
うな方法により、繊維の膨潤度が低下し、乾燥により柔
らかい羽毛状の繊維が得られる。沸騰水処理又は水蒸気
処理の処理時間は、通常、5分以上(例えば10分〜2
時間程度)、好ましくは10〜60分(例えば、10〜
50分)程度である。
【0033】塊状物の量を低減し、利用しやすい形態の
セルロースエステル微小繊維とするため、得られたセル
ロースエステル微小繊維はさらに湿式解砕、または乾燥
してから乾式解砕することもできる。さらに、分級する
ことにより繊維長などの揃ったセルロースエステル微小
繊維を利用することも可能である。
【0034】本発明のフィルター素材は、前記セルロー
スエステル微小繊維単独で構成してもよく、(1)前記
セルロースエステル微小繊維と(2)他の繊維(ポリプ
ロピレンなどのポリオレフィン繊維、他の合成繊維、セ
ルロースエステル,レーヨンなどのセルロース誘導体、
木材パルプ,リンターパルプなどのパルプ類)とで構成
してもよい。(2)他の繊維としては、セルロース(パ
ルプ類)やセルロース誘導体、特にセルロースエステル
繊維(中でもセルロースアセテート繊維)が好ましい。
【0035】(1)セルロースエステル微小繊維と(2)
他の繊維(特にセルロースエステル繊維)との割合は、
有害成分のデリバリー量などに応じて、例えば、前者
(1)/後者(2)=1/99〜99/1(重量%)、好
ましくは5/95〜75/25(重量%)、さらに好ま
しくは10/90〜50/50(重量%)程度の範囲か
ら選択でき、通常、15/85〜50/50(重量%)
程度である。セルロースエステル微小繊維の含有量が1
重量%未満であると、たばこ主流煙中の有害成分に対す
る除去効率が低下する虞がある。
【0036】本発明のフィルター素材の形態は特に制限
されず、綿状などの繊維集合体であってもよく、シート
状,ロッド状(繊維束状)であってもよい。前記フィル
ター素材は、直径10μm以下の微小繊維の含有量が少
ないので、他の繊維に添加あるいはシート成形してもセ
ルロースエステル微小繊維の歩留まりを向上できる。し
かも、繊維の平均直径が大きいにも拘らず、比表面積が
大きく、種々の成分を除去するフィルター材料として適
している。特にたばこ煙中の有害成分の除去効率が高
い。そのため、本発明のたばこ煙用フィルターは、少な
くとも前記セルロースエステル微小繊維を含むフィルタ
ー素材で構成されている。タバコ煙用フィルタはフィル
ターチップ,フィルタープラグを構成してもよい。
【0037】シート状フィルター素材(ウェブ)は、例
えば、必要により他の繊維(セルロースエステル繊維,
木材パルプなど)とともにセルロースエステル微小繊維
を抄紙する方法、他の繊維(セルロースエステル繊維,
木材パルプなど)で構成されたシート状素材に微小繊維
を添加する方法などにより調製できる。シート状フィル
ター素材には、エンボス加工、皺付け加工などを施して
もよい。ロッド状(繊維束状)のフィルター素材や巻紙
でロッド状に成形されているロッド状たばこ煙用フィル
ターにおいて、セルロースエステル微小繊維の添加方法
及び添加又は装着部位は、特に限定されない。また、た
ばこ煙用フィルターの製造方法も特に制限されない。ロ
ッド状のフィルター素材やロッド状たばこ煙用フィルタ
ーは、例えば、(i)セルロースエステル微小繊維を繊
維束状に収束する方法で調製できる。より具体的には、
セルロースエステル微小繊維を、そのまま又は成形して
フィルター素材とし、フィルター巻紙で巻上げ、たばこ
煙用フィルターを製造することもできる。セルロースエ
ステル微小繊維を成形する場合、セルロースエステルの
可塑剤(トリアセチンなど)や接着剤を添加して成形し
たり、セルロースエステル微小繊維の熱可塑性を利用し
て加熱加圧成形などの成形法により成形することもでき
る。
【0038】(ii)他の方法として、他の繊維(2)の
フィルター素材にセルロースエステル微小繊維を混合し
て添加する方法が採用できる。この方法では、シート状
の他の繊維(2)(セルロースエステル繊維など)のフ
ィルター素材を必要により開繊してセルロースエステル
微小繊維を添加して収束する方法により、ロッド状のフ
ィルター素材やロッド状たばこ煙用フィルターを調製で
きる。この方法(ii)には、例えば、セルロースエステ
ル微小繊維を、水などの非溶媒又は貧溶媒に分散し、得
られたスラリーを他の繊維(2)のフィルター素材に添
加し、巻紙で巻上げた後、溶媒を蒸発除去させる方法:
巻紙で他の繊維(2)のフィルター素材を巻上げた後、
非溶媒又は貧溶媒にセルロースエステル微小繊維が分散
したスラリーを注入し、その後溶媒を蒸発除去させる方
法:セルロースエステル微小繊維を乾燥状態のままで、
必要により開繊したフィルター素材(例えば、他の繊維
(2)(セルロースエステル繊維など)の繊維束(ト
ウ))に添加し、巻紙で巻上げる方法などが含まれる。
【0039】上記方法(ii)のセルロースエステル微小
繊維の添加工程において、セルロースエステル微小繊維
をスラリー状で添加する場合、現在のたばこ煙用フィル
ターの製造に用いられている可塑剤添加装置などが利用
でき、セルロースエステル微小繊維を乾燥状態で添加す
る場合、現在のたばこ煙用チャコールフィルターの製造
に用いられている活性炭添加装置などが利用可能であ
る。
【0040】さらに(iii)他の繊維(2)のフィルター
素材で構成された複数個のフィルター間に一定の空間を
設けてフィルター巻紙で巻上げ、その空間(リセス)内
にセルロースエステル微小繊維(繊維束又は繊維集合体
の形態で)を添加又は充填する方法も採用できる。この
場合、前記空間には、セルロースエステル微小繊維と他
の繊維との混合繊維や繊維束を添加又は充填してもよ
い。この方法(iii)では、現在のたばこ煙用フィルタ
ーの製造に一般的に用いられているトリプルフィルター
製造装置を利用することも可能である。
【0041】セルロースエステル微小繊維は、たばこ煙
用フィルターの全体に亘り均一に分布していてもよく、
不均一又は部分的に存在していてもよい。すなわち、本
発明のたばこ煙用フィルターは、(a)セルロースエス
テル微小繊維で構成され、かつセルロースエステル微小
繊維が均一又は不均一に存在する繊維束(トウ)、
(b)セルロースエステル微小繊維で構成された繊維束
又は繊維集合体と他の繊維束(セルロースエステル繊維
束など)とが同軸方向に隣接して配設された複合繊維束
で構成してもよい。後者のフィルター構造(b)におい
ては、セルロースエステル微小繊維で構成された繊維束
又は繊維集合体としては、セルロースエステル微小繊維
単独、又はセルロースエステル微小繊維と他の繊維(セ
ルロースエステル繊維など)との混合物が利用でき、一
般のたばこ煙用フィルターの構造に利用されているデュ
アルフィルターやトリプルフィルターなどの形態を様々
に組み合わせで使用することも可能である。
【0042】セルロースエステル微小繊維(1)および
他の繊維(2)としてのセルロースエステル繊維として
は、例えば、セルロースアセテート、セルロースブチレ
ート、セルロースプロピオネートなどの有機酸エステ
ル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロー
スなどの無機酸エステル;セルロースアセテートブチレ
ート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロー
スアセテートフタレート、硝酸酢酸セルロースなどの混
合エステル;およびポリカプロラクトングラフト化セル
ロースアセテートなどのセルロースエステル誘導体など
が例示される。これらのセルロースエステルは、単独で
または二種以上混合して使用できる。これらのセルロー
スエステルのうち、セルロースアセテート(特に、平均
置換度2.0〜2.7程度のセルロースジアセテート)
は、たばこの喫味、喫煙感などの点で好ましい。
【0043】セルロースエステルの平均重合度は、例え
ば、10〜1000、好ましくは50〜900、より好
ましくは200〜800程度であり、セルロースエステ
ルの平均置換度は、例えば1〜3程度、特に1.5〜
2.7程度である。なお、平均置換度1〜2.15、好
ましくは1.1〜2.0程度のセルロースエステルは、
生分解性を高める上で有効である。
【0044】セルロースエステル微小繊維(1)および
他の繊維(2)は、セルロースエステル以外に他の物質
を含有していてもよいが、その場合、セルロースエステ
ルの含有量は50重量%以上であるのが好ましい。な
お、セルロースエステルには、適度なフィルター硬度を
発現するために必要な量の可塑剤(バインダー)を含有
させてもよい。前記セルロースエステルは、種々の添加
剤、例えば、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭
酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミ
ニウムなどの無機微粉末;カルシウム、マグネシウムな
どのアルカリ土類金属の塩などの熱安定化剤;着色剤;
油剤;歩留り向上剤などを含んでいてもよい。
【0045】また、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの
環境分解促進剤(生分解促進剤)、アナターゼ型酸化チ
タンなどの光分解促進剤などを含有させることにより、
繊維の分解性を高めることができる。また、前記セルロ
ースエステルは、白色度改善剤、例えば、酸化チタン、
好ましくはアナターゼ型酸化チタンを含む場合が多い。
酸化チタンの平均粒子径は、例えば、0.01〜10μ
m、好ましくは0.02〜5μm程度である場合が多
い。酸化チタンの含有量は、前記セルロースエステル全
体に対して、0.05〜2.0重量%、好ましくは0.
1〜1.0重量%、さらに好ましくは0.2〜0.8重
量%であり、0.4〜0.6重量%である場合が多い。
【0046】他の繊維(2)としてのセルロースエステ
ル繊維の繊度は、例えば、1〜16デニール、好ましく
は1〜10デニール、さらに好ましくは2〜8デニール
程度である。他の繊維(2)としてのセルロースエステ
ル繊維は、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であ
るのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、1イン
チ当たり5〜75個、好ましくは10〜50個、さらに
好ましくは15〜50個程度である。繊維の捲縮度は、
1インチ当たり20〜50個程度である場合が多い。ま
た、均一に捲縮した捲縮繊維を用いる場合が多い。捲縮
繊維を用いると、適度な通気抵抗を有し、チャンネリン
グが抑制されたフィルターロッドを得ることができると
ともに、セルロースエステル微小繊維の添加量が少なく
てもたばこ煙中の有害成分の濾過性をある程度有効に発
現することができる。
【0047】他の繊維(2)としてのセルロースエステ
ル繊維の繊維断面形状は、特に限定されず、例えば、円
形、楕円形、異形(例えば、Y字状、X字状、I字状、
R字状など)や中空状などのいずれであってもよい。セ
ルロースエステル繊維で構成された繊維束(トウ)は、
例えば、3000〜1000000本、好ましくは50
00〜100000本程度のセルロースエステル繊維の
単繊維を束ねることにより形成できる。繊維トウは30
00〜100000本程度の連続繊維を集束して構成す
る場合が多い。
【0048】さらに、本発明のセルロースエステル微小
繊維を、高濾過性能を実現するための構造を有するたば
こ煙用フィルターや、ベンチレーション機能を有するた
ばこ煙用フィルターと組み合わせて使用すれば、有害成
分のデリバリー量をさらに低減させ、喫煙者の健康に及
ぼす悪影響を軽減することが可能である。
【0049】
【発明の効果】本発明では、高い比表面積を有するにも
拘らず、繊維直径が大きく、しかも繊維直径の小さな繊
維の含有量が少ないセルロースエステル微小繊維を用い
るため、少量の添加によっても、たばこ煙中の有害成分
を効率的に除去できる。特に繊維直径の小さな成分の含
有量が少ないため、作業性および歩留りに優れ、高い歩
留まりでフィルター素材に容易に添加でき、たばこ煙中
の有害成分を効率的に除去して、喫煙者の口腔内への有
害成分のデリバリー量を著しく低減できる。さらに、通
気抵抗、たばこ喫味や喫煙者の喫煙感を損なうことがな
い。
【0050】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。なお、実施例及び比較例において、た
ばこ煙用フィルターサンプルの通気抵抗、ニコチン及び
タール量を以下の方法で測定した。また、下記の方法
で、喫味についても評価した。 (1)通気抵抗:たばこ煙用フィルターサンプル内を通
過する空気流量が17.5ml/秒の時の圧力損失(m
mH2 O)を自動通気抵抗測定器(フィルトローナ社
製,FTS300)を用いて測定した。
【0051】(2)ニコチン及びタール量:長さ20m
mのたばこ煙用フィルターサンプルに、スェーデンたば
こ製のコレスタ(CORESTA)モニターNo.1シガレッ
トの葉たばこ部を接続し、得られたサンプルたばこにつ
いて、ピストンタイプの定容量型自動喫煙器(ボルグワ
ルド社製,RM20/CS)を用い、流量17.5ml
/秒,喫煙時間2秒/回、喫煙頻度1回/分の条件で喫
煙を行った。フィルターを通過した煙中のニコチン及び
タールをガラス繊維製フィルター(ケンブリッジフィル
ター)で捕集し、ニコチン量はガスクロマトグラフ
((株)日立製作所製,G−3000)を用いて測定
し、タール量は重量法により測定した。
【0052】喫煙終了後、たばこ煙用フィルターに付着
したニコチン量Tn及びタール量Ttと、喫煙器の煙成
分捕集用のガラス繊維製フィルター(ケンブリッジフィ
ルター)に付着したニコチン量Cn及びタール量Ctを
測定した。そして、たばこ煙用フィルターサンプルにつ
いて、ニコチン及びタールの濾過効率を次式を用いて算
出した。 ニコチン除去率(%)=Tn/(Tn+Cn)×100 タール除去率(%)=Tt/(Tt+Ct)×100 (3)喫味評価:長さ20mmのたばこ煙用フィルター
サンプルを、スェーデンたばこ製のコレスタ(COREST
A)モニターNo.1シガレットの葉たばこ部に接続
し、得られたサンプルたばこについて、10人のパネラ
ーにより、現行のフィルター(アセテート繊維束)を使
用したたばこ(上記スェーデンたばこ製のコレスタ(CO
RESTA)モニターNo.1シガレット)と喫味を比較す
ることにより評価した。なお、上記の測定および評価
は、温度23℃、相対湿度65%の雰囲気中、約24時
間以上放置して、調湿した後、たばこ煙用フィルターサ
ンプル及びサンプルたばこについて行った。
【0053】参考例(セルロースエステル微小繊維の製
造) 酢酸セルロース(平均置換度2.5)を60重量%酢酸
水溶液に溶解し、酢酸セルロース濃度13重量%の溶液
を温度50℃に調整した。一方、沈殿剤として、29重
量%酢酸水溶液を調整し、温度40℃に調整した。図1
に記載の装置を用い、前記沈殿剤を30リットル/分の
流速で供給し、12000rpmの高速でカッターを回
転させながら、沈澱剤中に前記酢酸セルロース溶液をノ
ズル手段(口径4mm)から1リットル/分の流速で押
出したた。酢酸セルロース溶液は、沈澱剤と接する際に
剪断力を受け、微小繊維状に沈殿した。生成したスラリ
ーを、増幸産業(株)製,スーパーマスコロダー(クリ
アランス60μm,回転速度1800rpmに調整)を
用いて解砕した。その後、十分に水洗し、沸騰水で処理
(30分間)を施した後、オーブンで乾燥した。乾燥し
た微小繊維を汎用のディスクリファイナー(クリアラン
ス1mm,回転速度1700rpmに調整)を用いて解
砕し、以下の実施例に用いた。
【0054】実施例1 断面形状Y字形、置換度2.45、捲縮度32〜33個
/インチ,単繊度3.0デニール、トータル繊度370
00のセルロースジアセテート繊維トウを、可塑剤(ト
リアセチン)を用いて成型したフィルター(長さ7m
m、円周25mm)2個を6mmの空間(間隔)を開け
て並べた。この空間内に、セルロースアセテート微小繊
維(置換度2.45、BET比表面積29m2 /g、繊
維平均直径約40μm,直径50μm以上の繊維の割合
35%,直径10μm以下の繊維の割合15%)を、前
記セルロースジアセテート繊維成型フィルター100重
量部に対して18重量部となるように充填し、フィルタ
ー巻紙で巻上げ、長さ20mmのたばこ煙用フィルター
サンプルを得た。
【0055】実施例2 セルロースジアセテート繊維成型フィルター100重量
部に対するセルロースエステル微小繊維の添加量を33
重量部とする以外は、実施例1と同様の方法でたばこ煙
用フィルターサンプルを得た。
【0056】比較例1 断面形状Y字形、置換度2.45、捲縮度32〜33個
/インチ,単繊度3.0デニール、トータル繊度370
00のセルロースジアセテート繊維トウを、可塑剤(ト
リアセチン)を用いて実施例1で得られるたばこ煙用フ
ィルターサンプルの通気抵抗と同程度になるように成型
したフィルター(長さ20mm、円周25mm)をフィ
ルター巻紙で巻上げ、長さ20mmのたばこ煙用フィル
ターサンプルを得た。
【0057】比較例2 断面形状Y字形、置換度2.45、捲縮度34個/イン
チ,単繊度2.2デニール、トータル繊度40000の
セルロースジアセテート繊維トウを、可塑剤(トリアセ
チン)を用いて実施例2で得られるたばこ煙用フィルタ
ーサンプルの通気抵抗と同程度になるように成型したフ
ィルター(長さ20mm、円周25mm)をフィルター
巻紙で巻上げ、長さ20mmのたばこ煙用フィルターサ
ンプルを得た。
【0058】比較例3 断面形状Y字形、置換度2.45、捲縮度32〜33個
/インチ,単繊度3.0デニール、トータル繊度370
00のセルロースジアセテート繊維トウを、可塑剤(ト
リアセチン)を用いて成型したフィルター(長さ7m
m、円周25mm)2個を6mmの空間を開けて並べ、
その空間内にセルロースジアセテートフレーク(置換度
2.45、BET比表面積14m2 /g)を前記セルロ
ースジアセテート成型フィルター100重量部に対して
50重量部になるように添加し、フィルター巻紙で巻上
げ、長さ20mmのたばこ煙用フィルターサンプルを得
た。
【0059】比較例4 断面形状Y字形、置換度2.45、捲縮度32〜33個
/インチ,単繊度3.0デニール、トータル繊度370
00のセルロースジアセテート繊維トウを、可塑剤(ト
リアセチン)を用いて成型したフィルター(長さ7m
m、円周25mm)2個を6mmの空間(間隔)に開け
て並べ、その空間内にセルロースジアセテート微粉末
(置換度2.45、BET比表面積14m2 /g)を前
記セルロースジアセテート成型フィルター100重量部
に対して20重量部になるように添加し、フィルター巻
紙で巻上げ、長さ20mmのたばこ煙用フィルターサン
プルを得た。
【0060】そして、実施例および比較例で得られたた
ばこ煙用フィルターサンプルについて、前記測定方法に
より、通気抵抗、ニコチン及びタールの除去率を測定す
るとともに、喫味を評価した。結果を表に示す。
【0061】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明のセルロースエステル微小繊維の
製造装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図2は図1に示す装置のカッティング手段の概
略底面図である。
【符号の説明】
1…ノズル手段 3…ケーシング 4…沈殿剤供給口 5…送出口 6…カッティング手段(剪断手段) 8…カッター 9…孔 10…プレート

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均直径が20〜250μmであり、か
    つ直径10μm以下の繊維数の割合が全繊維数の30%
    以下であり、BET比表面積が5m2 /g以上のセルロ
    ースエステル微小繊維で構成されているフィルター素
    材。
  2. 【請求項2】 平均直径が30〜200μmであり、か
    つ直径10μm以下の繊維数の割合が全繊維数の20%
    以下であり、BET比表面積が5m2 /g以上のセルロ
    ースエステル微小繊維で構成されている請求項1記載の
    フィルター素材。
  3. 【請求項3】 セルロースエステル微小繊維のBET比
    表面積が10m2 /g以上である請求項1記載のフィル
    ター素材。
  4. 【請求項4】 セルロースエステル微小繊維のBET比
    表面積が20m2 /g以上である請求項1記載のフィル
    ター素材。
  5. 【請求項5】 平均直径20〜100μm、および直径
    10μm以下の繊維数の割合が全繊維数の20%以下で
    あり、BET比表面積10〜50m2 /gのセルロース
    エステル微小繊維で構成されている請求項1記載のフィ
    ルター素材。
  6. 【請求項6】 (1)請求項1記載のセルロースエステ
    ル微小繊維と(2)他のセルロースエステル繊維とで構
    成されている請求項1記載のフィルター素材。
  7. 【請求項7】 (1)セルロースエステル微小繊維と
    (2)他のセルロースエステル繊維との割合が、前者
    (1)/後者(2)=1/99〜99/1(重量%)であ
    る請求項6記載のフィルター素材。
  8. 【請求項8】 セルロースエステルがセルロースアセテ
    ートである請求項1記載のフィルター素材。
  9. 【請求項9】 シート状である請求項1記載のフィルタ
    ー素材。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかの項に記載の
    フィルター素材で構成されているたばこ煙用フィルタ
    ー。
  11. 【請求項11】 (a)セルロースエステル微小繊維で
    構成された繊維束又は繊維集合体、又は(b)セルロー
    スエステル微小繊維で構成された繊維束又は繊維集合体
    と他のセルロースエステル繊維束とが同軸方向に隣接し
    て配設された複合繊維束を備えている請求項10記載の
    たばこ煙用フィルター。
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