JPH08322540A

JPH08322540A - たばこフィルターおよびその製造方法

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Publication number: JPH08322540A
Application number: JP7158294A
Authority: JP
Inventors: Hiroyuki Matsumura; 裕之松村
Original assignee: Daicel Chemical Industries Ltd
Current assignee: Daicel Corp
Priority date: 1995-05-31
Filing date: 1995-05-31
Publication date: 1996-12-10
Anticipated expiration: 2020-01-05
Also published as: US5979460A; CN1287696C; CN1137364A; DE69619433D1; JP3606950B2; EP0745336A3; EP0745336A2; US5823201A; EP0745336B1; DE69619433T2

Abstract

(57)【要約】【目的】有害成分に対する濾過性能および喫味に優れ
るとともに、通気抵抗、硬度、断面組織の均一性が良好
なたばこフィルターを得る。【構成】４０重量％以上のセルロースエステル成分を
含み、坪量２０〜３５ｇ／ｍ²、密度０．２５〜０．４
５ｇ／ｃｍ³を有する抄紙構造のシート状素材に、１０
０℃以上のロールを用いてクレープ加工又はエンボス加
工を施し、棒状に巻き上げることにより、断面外周１７
〜２７ｍｍのたばこフィルターを調製する。セルロース
エステル成分には、例えば、セルロースエステル短繊
維、フィブリル化した繊維、エステル化繊維、セルロー
スエステルをコーティングした繊維などが含まれる。こ
のたばこフィルターは、断面外周２４．５ｍｍ、長さ１
０ｃｍであるとき、通気抵抗３００〜５００ｍｍＷＧ、
硬度８８％以上、断面空隙率２％以下である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、たばこ有害成分の濾過
性能および喫味が良好でかつ、通気抵抗、硬度、断面状
態が良好なたばこフィルターおよびその製造方法、並び
に前記フィルターを備えたたばこに関する。

【０００２】

【従来の技術】たばこ煙中のタール類を除去し、喫味に
優れるたばこ煙用フィルターとして、セルロースアセテ
ートの繊維束をトリアセチンなどの可塑剤を用いて成型
したフィルターが広く使用されている。このフィルター
は、適度な通気抵抗と良好な断面状態を有しているとと
もに、可塑剤により繊維同士を部分的に融着して成型し
ているため、フィルターとして適当な硬さを有する。し
かし、繊維同士を融着させているため、使用後に廃棄す
ると、環境中で形状が崩壊するまでに長時間を要し、環
境汚染の一因となる。

【０００３】一方、クレープ状に加工した木材パルプシ
ートを原料とした紙製のたばこ煙用フィルターや再生セ
ルロース繊維束で形成されたたばこ煙用フィルターも知
られている。これらのフィルターは、セルロースアセテ
ート繊維束からなるフィルターと比較して、湿潤時の崩
壊性が若干高く、環境汚染をある程度軽減できる。しか
し、たばこの喫味が劣ると共に、フィルターとして必要
なフェノール類の選択除去性がセルロースアセテートに
比べて極端に低い。

【０００４】さらに、シート状素材にクレープ加工及び
／又はエンボス加工を施して棒状フィルターに巻き上げ
る慣用の方法では、適当な通気抵抗、喫煙者に対して不
快感を与えない程度の硬度、および断面組織の均一性を
同時に充足させることが困難である。例えば、フィルタ
ーの硬度は、セルロースアセテート繊維束フィルターな
どのように可塑剤や特殊なバインダーを用いたり、繊維
の断面形状を変化させることにより向上させることがで
きる。また、フィルターの通気抵抗も、クレープ加工や
エンボス加工に伴うクレープやエンボスの深さにより容
易に調整可能である。しかし、通気抵抗を適度な範囲に
調整すると、フィルターの組織が粗となり、フィルター
の硬度が低下し、断面組織も不均一となる。そのため、
フィルタ好なフィルターを得ることができない。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、通気抵抗、硬度、および断面組織の均一性の高いた
ばこフィルターおよびその製造方法、並びに前記フィル
ターを用いたたばこを提供することにある。本発明の他
の目的は、たばこの喫味および有害成分の濾過性能が良
好なたばこフィルターおよびその製造方法、並びに前記
フィルターを用いたたばこを提供することにある。本発
明のさらに他の目的は、湿潤による崩壊性が高く、環境
汚染を軽減する上で有用なたばこフィルターおよびその
製造方法、並びに前記フィルターを用いたたばこを提供
することにある。本発明の別の目的は、前記の如き優れ
た特性を有するたばこフィルターを簡単な操作で効率よ
く製造できる方法を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討の結果、セルロースエステルを
含むシートの特性とフィルター化の条件とを組み合わせ
ると、たばこの喫味および有害成分の濾過性能だけでな
く、適度な通気抵抗、高い硬度、および小さな断面空隙
率を有するたばこフィルターが得られることを見いだ
し、本発明を完成した。

【０００７】すなわち、本発明のたばこフィルターは、
セルロースエステル成分を含み、クレープ加工及び／又
はエンボス加工が施された抄紙構造のシート状素材の巻
き上げにより形成される棒状のたばこフィルターであっ
て、断面外周が２４．５±０．２ｍｍ、長さが１０±
０．２ｃｍであるとき、通気抵抗が３００〜５００ｍｍ
ＷＧ、硬度が８８％以上、断面空隙率が２％以下であ
る。セルロースエステル成分の含有量は、シート状素材
全体の４０重量％以上であってもよく、下記式で表され
るシート状素材の充填密度は、０．１５〜０．２０（ｇ
／ｃｍ³）であってもよい。Ｄ＝Ｆ／（Ｓ×Ｌ）（式中、Ｄはシート状素材の充填密度（ｇ／ｃｍ³）、
Ｆはシート状素材の充填量（ｇ）、Ｓはフィルター断面
積（ｃｍ²）、Ｌはフィルター長さ（ｃｍ）を示す）前記フィルターの断面外周は１７〜２７ｍｍ程度であっ
てもよい。前記セルロースエステル成分は、セルロース
エステル繊維、フィブリル化セルロースエステル繊維、
表面がエステル化処理されたセルロース繊維、およびセ
ルロースエステルをコーティングした繊維からなる群か
ら選択された少くとも一種である場合が多く、セルロー
スエステル成分は短繊維である場合が多い。前記シート
状素材は、セルロースエステル成分と叩解パルプとで構
成してもよい。さらに、前記フィルターは、湿潤により
崩壊性を有していてもよい。

【０００８】本発明の方法では、セルロースエステル成
分を含むシート状素材をクレープ加工及び／又はエンボ
ス加工し、棒状に巻き上げることにより、断面外周が２
４．５±０．２ｍｍ、長さが１０±０．２ｃｍであると
き、通気抵抗が３００〜５００ｍｍＷＧ、硬度が８８％
以上、断面空隙率が２％以下であるたばこフィルターを
製造する。この方法には、セルロースエステル成分の短
繊維と叩解パルプとを含み、坪量２０〜３５ｇ／ｍ²、
密度０．２５〜０．４５ｇ／ｃｍ³を有する抄紙構造の
シート状素材に、１００℃以上のロールを用いてクレー
プ加工及び／又はエンボス加工を施し、充填密度０．１
５〜０．２０ｇ／ｃｍ³で棒状に巻き上げるたばこフィ
ルターの製造方法が含まれる。本発明のたばこは、前記
のたばこフィルターを備えている。

【０００９】なお、本明細書において、「セルロースエ
ステル成分」とは、セルロースエステル単体に限らず、
表面の大部分がセルロースエステルで被覆された粉粒体
又は繊維を含む意味に用いる。また、「通気抵抗」「硬
度」及び「断面空隙率」は、次のような方法により得ら
れた値を意味する。「通気抵抗」：フィルトローナー社製オートマチックテ
ストステーションズＦＴＳ３００を用い、密閉式で測定
した値である。すなわち、フィルターを通過する空気流
量が１７．５ｍｌ／秒であるときの圧力損失を通気抵抗
としてウォーターゲージ（ｍｍＷＧ）で表す。「硬度」：フィルトローナー社製オートマチックハード
ネステクターＡＨＴ４００を用いて、測定した値（％）
である。すなわち、所定条件下、フィルターに対して３
００ｇの重りを乗せる前の直径をＡ，重りを乗せた後の
直径をＢとしたとき、下記式に従って算出した値を硬度
（％）として表す。硬度（％）＝（Ｂ／Ａ）×１００「断面空隙率」：１５ｍｍ長さに切断したフィルター
に、外光の影響を防ぐため黒い紙を巻き、フィルターの
一方の端面から、照明レベル７（４２万ルクス）の照明
を照射する。光照射においては、照明装置（（株）ケン
コー製，ＫＰＳ−１００Ｒ）に装着したライトガイド
（５００ｍｍ径）をフィルターの端面に密着させた状態
で照射する。そして、フィルターの他端に透過した光に
よって形成される明暗画像を画像処理装置で２５６階調
の光量レベルに変換する。光量レベルが９０以上の階調
部を空隙と定義し、全体の面積に占める空隙の割合
（％）を断面空隙率として算出する。

【００１０】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いるセルロースエステルとしては、例えば、セルロー
スアセテート、セルロースプロピオネート、セルロース
ブチレートなどの有機酸エステル；硝酸セルロース、硫
酸セルロース、リン酸セルロースなどの無機酸エステ
ル；セルロースアセテートプロピオネート、セルロース
アセテートブチレート、セルロースアセテートフタレー
ト、硝酸酢酸セルロースなどの混合エステル；およびポ
リカプロラクトングラフト化セルロースアセテートなど
のセルロースエステル誘導体などが例示される。これら
のセルロースエステルは、単独で又は二種以上混合して
利用できる。

【００１１】セルロースエステルの平均置換度は、例え
ば１〜３程度である場合が多いが、特開平７−７６６３
２号公報で提案されているように、平均置換度１〜２．
１５、好ましくは１．１〜２．０程度のセルロースエス
テルを用いると、生分解性を高め、環境汚染を低減する
上で有用である。好ましいセルロースエステルには、有
機酸エステル（例えば、炭素数２〜４程度の有機酸との
エステル）、特にセルロースアセテートが含まれる。セ
ルロースアセテートの平均置換度は１．５〜３（例え
ば、２〜３）程度であるのが好ましい。

【００１２】なお、たばこ煙の瀘過に関与する少くとも
表面又は表層部がセルロースエステル（例えば、平均置
換度１．５〜３の酢酸セルロースなど）で構成されてい
るセルロース系繊維又は粉粒体を用いると、全体として
の置換度が前記置換度より小さくても、たばこ煙の喫味
や、タール類の除去効率などの瀘過特性に優れている。
このようなセルロースエステルには、例えば、表面がエ
ステル化処理されたエステル化セルロース（例えば、天
然又は再生セルロースから誘導されるセルロース誘導体
であって、表面が有機酸又はその酸無水物や無機酸（例
えば、炭素数２〜４程度の有機酸又はその酸無水物）で
エステル化されている繊維状又は粉粒状セルロース誘導
体）や、セルロースエステルのコーティング物（例え
ば、木材パルプなどの繊維状又は粉末状セルロースがセ
ルロースエステルで被覆された繊維状又は粉粒状セルロ
ース誘導体）などが含まれる。前者のセルロース誘導体
は、平均置換度が１．５以下（例えば、０．０２〜１．
２）程度であってもよく、後者のセルロース誘導体の被
覆量は、全体の０．１〜５０重量％程度であってもよ
い。このようなセルロース誘導体では、内部（芯部）に
非エステル化部分を含むので、生分解性も高い。

【００１３】セルロースエステル成分の形態は特に制限
されず、セルロースエステル粉末、セルロースエステル
繊維のいずれであってもよい。好ましいセルロースエス
テル成分は、少くともセルロースエステル繊維を含んで
いる。セルロースエステル繊維は、例えば、（i）慣用
の紡糸法による繊維状セルロースエステル、（ii）フィ
ブリル化したセルロースエステル繊維（例えば、特願平
６−２８２５８４号に記載のように、セルロースエステ
ル溶液を、ノズルから沈殿剤中に押出して凝固するまで
に剪断力を作用させることにより得られる繊維であっ
て、１５〜２５０μｍの平均直径及び０．５〜４．５ｍ
²／ｇのＢＥＴ比表面積を有するフィブリル化された繊
維状セルロースエステル）、（iii）表面がエステル化
処理されたエステル化セルロース繊維（例えば、特願平
６−２８００５３号に記載のように、天然又は再生セル
ロース繊維から誘導される繊維状セルロース誘導体であ
って、表面が有機酸又はその酸無水物などでエステル化
されている繊維）、（iv）セルロースエステルをコーテ
ィングした繊維（例えば、特願平６−２５４５５７号に
記載のように、木材パルプなどの繊維状セルロースをセ
ルロースエステルで被覆した繊維）などが含まれる。

【００１４】これらのセルロースエステル成分は、単独
で用いてもよく、粉粒状セルロースエステルと繊維状セ
ルロースエステルとの組合わせ、種類の異なるセルロー
スエステル繊維の組合わせなどのように、二種以上組合
わせて用いてもよい。シート状素材を効率よく調製する
観点からは、（i）紡糸法によるセルロースエステル繊
維、（ii）フィブリル化したセルロースエステル繊維、
（iii）エステル化セルロース繊維、（iv）セルロース
エステルをコーティングした繊維などの繊維状物を用い
ることが好ましい。また、湿潤による崩壊性を高める観
点からは、例えば、セルロースエステル短繊維、(ii)フ
ィブリル化されたセルロースエステル繊維、(iii)エス
テル化セルロース繊維、(iv)セルロースエステルをコー
ティングした繊維が好ましい。

【００１５】セルロースエステルを含むシート状素材を
得るためには、セルロースエステル繊維、特にセルロー
スエステル短繊維を用いるのが好ましい。セルロースエ
ステル繊維の長さは、抄紙性などを損わない限り特に限
定されず、慣用の湿式抄造法にてシートを調製したり、
自然界での崩壊性を高める場合には、例えば、１〜１０
ｍｍ、好ましくは２〜８ｍｍ程度であり、３〜７ｍｍ程
度である場合が多い。繊維長が短すぎると、短繊維を製
造するためのコストが上昇し易くなるとともに、シート
強度が弱くなり、巻き上げ時にシートが切れるなどのト
ラブルが生じ易くなる。また、繊維長が長すぎると水へ
の分散性が低下し、湿式抄造によるシート化が困難にな
るとともに、崩壊性も低下し易い。

【００１６】セルロースエステル繊維の繊度は、例え
ば、１〜１０デニールであり、好ましくは２〜８（例え
ば、２〜７）デニール、さらに好ましくは３〜６デニー
ル程度である。繊度が小さ過ぎると、一般的な方法で効
率よく製造することが困難となり、紡糸に特殊な方法を
必要とし、太過ぎると、フィルターの濾過効率やシート
の強度が低下するだけでなく、シートが嵩高くなり易く
巻き上げが困難になり、断面組織の均一性が低下しやす
くなる。

【００１７】セルロースエステル繊維は、捲縮繊維であ
ってもよく非捲縮繊維であってもよい。抄紙性、湿潤時
の崩壊性又は分散性の点からは、非捲縮繊維が好まし
い。セルロースエステル繊維の断面形状は、特に制限さ
れず、円形、楕円形、三角形などの多角形、断面異形の
いずれであってもよい。フィルターの通気性を高めるた
めには、断面異形のセルロースエステル繊維が有利であ
る（特願平６−２９２１４９号）。断面異形のセルロー
スエステル繊維において、繊維の断面外縁に対する外接
円の直径Ｄ1 と内接円の直径Ｄ2 との比Ｒ（＝Ｄ1／Ｄ
2）は２以上、好ましくは２．２〜６、さらに好ましく
は２．３〜５、特に３〜５程度である。このような断面
形状の繊維を用いると、通気抵抗が低いにも拘らず硬度
の高いフィルターを得ることができるとともに、濾過性
能も高めることもできる。断面異形のセルロースエステ
ル繊維において、断面形状は、例えば、Ｘ字形、Ｙ字
形、Ｈ字形、Ｒ字形、Ｉ字形などのいずれであってもよ
いが、Ｘ字形、Ｙ字形、Ｈ字形又はＩ字形、特にＹ字形
が好ましい。

【００１８】たばこフィルター用のシート状素材は、喫
味及び濾過性能を損なわない範囲で前記セルロースエス
テル成分を含み、抄紙構造を有していればよいが、セル
ロースエステル成分の含有量は、例えば、シート状素材
全体の４０重量％以上（例えば、４５〜１００％）、好
ましくは５０重量％以上（例えば、５０〜１００重量
％）である。なお、セルロースエステルの粉粒体や繊維
（短繊維）は単独では自己接着性や抄紙性が劣り、良質
のシート状素材を得ることが困難である場合が多い。こ
のような場合は、叩解パルプ及び／又はバインダー（天
然又は合成樹脂系バインダー）と併用してシート化する
のが好ましい。好ましい態様では、セルロースエステル
成分（好ましくはセルロースエステル短繊維）は、少な
くとも叩解パルプと併用し、混合抄紙する場合が多い。

【００１９】なお、「叩解パルプ」とは、慣用の叩解機
または解砕機で叩解した木材パルプ、リンター、麻など
の天然セルロース繊維のパルプの他、合成繊維のパルプ
も含む意味に用いる。叩解パルプとしては、例えば、サ
ルファイト法、クラフト法などの慣用の方法で広葉樹、
針葉樹などから得られる木材パルプを用いる場合が多
い。叩解パルプは、叩解によりフィブリル化し、製紙性
を有する。

【００２０】叩解度は、セルロースエステル成分（セル
ロースエステル繊維など）との共存系での抄紙性などを
損わない範囲で選択でき、例えば、ショッパーリーグラ
ー式ろ水度２０〜９０°ＳＲ、好ましくは２０〜８０°
ＳＲ、さらに好ましくは３０〜７０°ＳＲ程度であり、
３０〜６０°ＳＲ程度である場合が多い。叩解度が低過
ぎると、絡み合いによりセルロースエステル成分（セル
ロースエステル短繊維など）を十分接着することができ
なくなり、シート強度が低下し易く、叩解度が高すぎる
と、繊維間の結合力、接着性が強くなり過ぎ、崩壊性が
低下し易い。

【００２１】セルロースエステル成分（例えば、セルロ
ースエステル短繊維）と叩解パルプとの割合は、セルロ
ースエステル成分の含有量が４０重量％以上（好ましく
は５０重量％以上）であれば、如何なる範囲であっても
喫味、濾過性能の高いフィルターを得ることができる。
好ましい割合は、例えば、セルロースエステル成分／叩
解パルプ＝９０／１０〜４０／６０（重量比）、好まし
くは８０／２０〜４０／６０（重量比）、さらに好まし
くは７０／３０〜５０／５０（重量比）程度である。

【００２２】なお、前記叩解パルプに代えて、又は叩解
パルプとともに、必要に応じて、微小繊維状セルロース
（例えば、繊維径２μｍ以下、繊維長５０〜１０００μ
ｍの微細繊維物質）を添加してもよい。微小繊維状セル
ロースの添加量は、例えば、フィルター全体の０．１〜
１０重量％程度である（特願平６−２３９４０２号）。
微小繊維状セルロースを用いると、粉粒状又は繊維状セ
ルロースエステル成分に対する接着性や抄紙性などを高
め、紙力を向上できる。

【００２３】また、シート状素材の調製に際しては、必
要に応じて、天然又は合成樹脂系バインダーを用いても
よい。特に、セルロースエステルの粉末や短繊維の含有
量が高い場合や、乾式法で不織布状シートを調製する場
合には、多少ともバインダーが必要な場合がある。この
バインダーとしては、人体に悪影響を及ぼさず、喫味お
よび崩壊性を損なわないバインダーが使用される。この
ようなバインダーには、例えば、食品添加物に属し、臭
気のないバインダーが含まれる。また、バインダーの使
用量は、できる限り少量（例えば、素材全体に対して１
０重量％以下）であるのが好ましい。

【００２４】バインダーは、水不溶性又は水難溶性バイ
ンダー（例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチ
レン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−アクリル酸エチルなどのオレフィン系
ポリマー、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、
ポリエステル、ポリアミドなど）であってもよい。

【００２５】湿潤時の崩壊性又は分散性が要求される場
合には、水溶性バインダー（水溶性接着剤）を用いるの
が好ましい。水溶性バインダーには、天然物系接着剤
（例えば、デンプン、変性デンプン、可溶性デンプン、
デキストラン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、
カゼイン、ゼラチンなど）；セルロース誘導体（例え
ば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、エチルセルロース、水溶性酢酸セルロースな
ど）；合成樹脂接着剤（例えば、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、水溶性アクリル樹脂など）
などが例示される。これらの水溶性接着剤は一種又は二
種以上使用できる。

【００２６】なお、バインダーは、溶液状又は分散液な
どの液状で使用してもよく、粉粒状で使用してもよい。
また、湿潤時の崩壊性が要求される場合であっても、崩
壊性を損わない程度の少量であれば非水溶性バインダー
を使用してもよい。また、臭気、匂いが生成するバイン
ダーであっても、喫味を損なわない限り使用してもよ
い。さらに、崩壊性や分散性を必要とする場合であって
も、セルロースエステルの可塑剤も崩壊性を損なわない
範囲であれば使用してもよい。

【００２７】たばこフィルター用シート状素材は前記の
成分で構成され、不織布状で抄紙構造を有している。抄
紙構造とは、抄造により得られる用紙や和紙などのよう
に、繊維が互いに絡み合った構造を意味する。そのた
め、シート状素材は特別なバインダーを用いない限り、
乾燥時の紙力が大きいものの、雨水などによる湿潤に伴
なって迅速に崩壊又は分散する。

【００２８】このようなシート状素材は、慣用の乾式抄
紙法、例えば、セルロースエステル成分と、必要に応じ
て叩解パルプなどの他の成分を、気流を用いてネットな
どの通気性支持体に吹付けることによっても調製できる
が、セルロースエステル成分と叩解パルプ、必要に応じ
てその他の成分を水に分散したスリラーを用いて、湿式
抄造する方法が好ましい。そのため、好ましい抄紙構造
には、湿式抄造による抄紙構造が含まれる。前記スリラ
ーの固形分濃度は、抄紙可能な範囲で適当に選択でき、
例えば、０．００５〜０．５重量％程度である。抄紙は
慣用の方法で行うことができ、例えば、多孔板などを備
えた湿式抄紙機を用いて抄紙し、脱水・乾燥することに
より行うことができる。

【００２９】たばこフィルター用シート状素材の特性
は、フィルターの通気性、硬度およひ断面組織の均一性
を損なわない範囲であればよく、例えば、坪量２０〜３
５ｇ／ｍ²、好ましくは２５〜３５ｇ／ｍ²（例えば、２
７〜３５ｇ／ｍ²）程度、密度０．２５〜０．４５ｇ／
ｃｍ²、好ましくは０．３０〜０．４５ｇ／ｃｍ²（例え
ば、０．３２〜０．４５ｇ／ｃｍ²）程度である。坪量
が小さ過ぎると、シートの調製が困難になるとともにシ
ートの強度が低下し易い。一方、坪量が大き過ぎるとク
レープ加工やエンボス加工工程でクレープやエンボスを
形成することが困難となり、フィルターの断面組織に不
均一な隙間が生成し易くなり、断面組織の均一性が低下
しやすい。また、密度が小さ過ぎると、シートの強度が
低下し、大き過ぎると、クレープ加工やエンボス加工工
程でクレープやエンボスを形成することが困難となり易
い。

【００３０】このようなシート状素材は、適度な通気
性、適度な硬度および断面組織の均一性を備えたフィル
ターを得る上で有用である。本発明のたばこフィルター
は、慣用の方法、例えば、一般的な紙フィルター用巻き
上げ装置を用いて前記シート状素材を棒状に巻き上げる
ことにより得ることができる。チャンネリングを抑制し
つつたばこ煙を円滑かつ均一に通過させるため、巻き上
げに先だって、シート状素材には、クレープ加工及び／
又はエンボス加工が施される。そして、前記シート状素
材にクレープ加工又はエンボス加工を施した後にロート
中に巻き込み、巻紙により棒状に巻上げ、糊付けし、適
当な長さに切断することによりたばこフィルターが得ら
れる。

【００３１】前記クレープ加工は、進行方向に沿って多
数の溝が形成された一対のクレープ化ロールにシート状
素材を通し、シートの進行方向に沿って皺及び若干の裂
け目を形成することにより行なうことができる。エンボ
ス加工は、格子状、ランダム状などに凹凸部が形成され
たロール間にシート状素材を通したり、凹凸部が形成さ
れたロールでシート状素材を押圧することにより行なう
ことができる。クレープ加工における溝の間隔と溝の深
さ、エンボス加工による凹凸部の間隔と凹部の深さは、
例えば、間隔０．５〜５ｍｍ、深さ０．１〜１ｍｍ（例
えば、０．２〜０．９ｍｍ）程度の範囲から適当に選択
できる。クレープ加工又はエンボス加工の深さは、０．
３〜０．６ｍｍ（例えば、０．３〜０．５ｍｍ）程度で
ある場合が多い。また、ロールに形成された溝や凹凸部
の深さが一定であっても、ロール間のクリアランスを調
整することにより、シートに対するクレープ加工及びエ
ンボス加工の深さを自由に変えることができる。

【００３２】クレープ加工又はエンボス加工において、
ロールは加温又は加熱してもよく、加温しなくてもよ
い。適度な通気抵抗、硬度及び高い断面組織の均一性を
有するたばこフィルターを得るためには、加温又は加熱
したクレープ化ロール及び／又はエンボス加工ロールを
用いてたばこフィルター用シート状素材をクレープ加工
及び／又はエンボス加工するのが好ましい。このような
方法では、シートにクレープや皺又は凹凸部が生成し易
くなり、フィルターの通気抵抗が低い割に、高い硬度を
示し、断面状態（均一性）も良好である。ロールの加熱
温度は、シート状素材の種類、所望する通気抵抗などに
応じて選択でき、例えば、７０℃以上（例えば、８０〜
１８０℃）、好ましくは９０℃以上（例えば、９０〜１
７０℃）、さらに好ましくは１００℃以上（例えば、１
１０〜１６０℃）程度である。クレープ加工やエンボス
加工は、９０〜１７０℃、特に１００〜１６０℃程度に
加熱されたロールを用いて行なう場合が多い。

【００３３】前記シート状素材は、棒状、特に円柱状に
巻き上げるの場合が多い。この巻き上げに際して、充填
密度もフィルターの特性に影響を及ぼす。巻き上げによ
るシート状素材の充填密度は、フィルターの通気抵抗、
硬度などを損なわない範囲で選択でき、例えば、０．１
５〜０．２０ｇ／ｃｍ³（例えば、０．１６〜０．２０
ｇ／ｃｍ³）、好ましくは０．１６〜０．１９ｇ／ｃｍ³
程度である。このような充填密度で巻き上げると、断面
外周が１５〜３０ｍｍ（好ましくは１７〜２７ｍｍ）程
度のフィルターに、適度な通気抵抗、高い硬度及び断面
組織の均一性を付与できる。

【００３４】このようにして得られたたばこフィルター
は、断面外周が２４．５±０．２ｍｍ、長さが１０±
０．２ｃｍであるとき、通気抵抗が３００〜５００ｍｍ
ＷＧ（例えば、３１０〜４９０ｍｍＷＧ），好ましくは
３００〜４５０ｍｍＷＧ程度であり、硬度が８８％以上
（例えば、８８〜９５％）、好ましくは８９％以上（例
えば、８９〜９３％）程度であり、断面組織の均一性の
指標となる断面空隙率が２％以下（例えば、０．３〜
１．７％）、１．５％以下（例えば、０．５〜１．５
％）、さらに好ましくは１％以下であり、良好なフィル
ター特性を示す。なお、前記のように、断面外周が１５
〜３０ｍｍ（好ましくは１７〜２７ｍｍ）程度のたばこ
フィルターであっても、シート状素材の充填率を前記範
囲に調整すると、良好な通気抵抗、硬度、断面空隙率を
有するたばこフィルターが得られる。

【００３５】なお、フィルタープラグの作製に際して、
円筒状の巻紙同士の端部での糊付け、巻上げられた棒状
の素材と巻紙との糊付けが必要な場合、前記と同様の水
不溶性バインダー又は水溶性バインダーが使用できる。
湿潤時の崩壊性又は分散性を損わないためには、前記の
水溶性接着剤を用いるのが好ましい。また、セルロース
エステル及び／又はシート状たばこフィルター素材は、
種々の添加剤、例えば、カオリン、タルク、ケイソウ
土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタ
ン、アルミナなどの無機微粉末、カルシウム、マグネシ
ウムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定化剤、着
色剤、油剤、歩留り向上剤、サイズ剤、活性炭などの吸
着剤などを含んでいてもよい。特に、クエン酸、酒石
酸、リンゴ酸などの生分解促進剤、アナターゼ型チタン
などの光分解促進剤などを含むセルロースエステル成分
（セルロースエステル短繊維など）は、自然環境中での
分解を促進する上で有用である。なお、アナターゼ型チ
タンは、白色度改善剤としても機能する。

【００３６】本発明のたばこは、前記たばこフィルター
を備えている。たばこフィルターの配設部位は特に制限
されないが、巻紙により、棒状に成型されたたばこにお
いては、口元の部位、または口元と紙巻きタバコとの間
に配設する場合が多い。また、たばこフィルターは、活
性炭などの吸着剤を含んでいたもよく、たばこは、活性
炭などの吸着剤が充填された充填部を備えていてもよ
い。なお、たばこの断面外周は、前記フィルターの断面
外周に対応している場合が多く、通常、１５〜３０ｍ
ｍ、特に１７〜２７ｍｍ程度である。

【００３７】

【発明の効果】本発明のたばこフィルター及びたばこ
は、セルロースエステル成分を含むシート状素材のクレ
ープ加工及び／又はエンボス加工と巻き上げにより形成
され、適度な通気抵抗、高い硬度、および高い断面組織
の均一性を有しているので、喫い心地がよい。また、喫
味および有害成分の濾過性能に優れている。さらに、自
然環境中での崩壊性も高く、環境汚染を軽減できる。本
発明の方法では、抄紙により得られるシート状素材を、
クレープ加工及び／又はエンボス加工し、巻き上げると
いう簡単な操作で、前記の如き優れた特性を有するたば
こフィルターを効率よく製造できる。

【００３８】

【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。なお、実施例及び比較例において、坪量、
ショッパーリーグラーろ水度、シート密度、水崩壊度、
喫味は下記の方法により測定又は評価した。

【００３９】坪量（ｇ／ｍ²）：ＪＩＳ−Ｐ−８１２１ショッパーリーグラーろ水度：ＪＩＳ−Ｐ−８１２１シート密度（ｇ／ｃｍ³）：計算式［坪量（ｇ／ｍ²）／
シート厚さ（ｃｍ）］÷１００００で算出した。なお、
シート厚さはＪＩＳ−Ｐ−８１１８に準じて測定した。

【００４０】水崩壊度（％）：試料約０．２ｇを、３０
０ｍｌ（直径７５ｍｍ）内の水２００ｍｌに投入し、渦
中心部の高さが最も高い液面の３／４の高さとなるよう
に、マグネチックスターラで撹拌し、１０分後および２
０分後に試料の崩壊の挙動を観察し、以下の５段階の基
準で評価した。Ａ：１０分後に完全に崩壊する。Ｂ：１０分後では一部崩壊しない部分（塊）があるもの
の、２０分後には完全に崩壊する。Ｃ：２０分後にも崩壊しない部分が残ったり、または形
状は崩壊しているものの、再凝集などにより一部に塊が
残る。Ｄ：２０分後にも試料の５０重量％以上が崩壊しない
か、または形状は崩壊しているものの、再凝集などによ
り５０重量％以上が塊として残る。Ｅ：２０分後にも殆ど崩壊しない。

【００４１】喫味試験：紙巻たばこ［市販のたばこ（日
本たばこ産業（株）、商品名「ハイライト」）のフィル
ターを除去したもの］にフィルター化した試料を取付
け、喫煙愛好者５人によって下記の基準で香喫味を評価
し、５人の評価を平均値で表した。香喫味３：辛味がなく、たばこの旨味がある。香喫味２：辛味はないが、旨味が落ちる。香喫味１：辛味がある。なお、通気抵抗（ｍｍＷＧ）、硬度（％）及び断面空隙
率（％）は、それぞれ１０以上のサンプルについて測定
し、その平均値を表に示す。

【００４２】実施例１〜８および比較例１〜５表１に記載したセルロースアセテート短繊維（いずれ
も、Ｙ断面（Ｄ1/Ｄ2＝３．７）、繊維長４ｍｍ、置換
度２．４５）６０重量部と、叩解度４０°ＳＲの針葉樹
漂白クラフトパルプ４０重量部とを、３０００００重量
部の水に均一に分散し、円網式抄紙機を用いて湿式抄造
し、脱水乾燥することにより、表１の坪量及び密度を有
するシート状素材を調製した。

【００４３】得られたシート状素材に対して、表１に記
載のクレープ化ロール温度でクレープ加工（クレープ深
さ約０．３５ｍｍ〜約０．４５ｍｍ）を施すとともに、
表１に記載の充填密度で巻き上げることにより、円周２
４．５±０．２ｍｍ、長さ１０±０．２ｃｍのフィルタ
ーを調製した。得られたフィルーの通気抵抗、硬度、断
面空隙率を表１に示した。

【００４４】

【表１】表より明らかなように、比較例でえられたフィルター
は、通気抵抗、硬度、及び断面組織の均一性のいずれか
１つの特性が劣っていた。これに対して、実施例で得ら
れたフィルターは、通気抵抗が３００〜５００ｍｍＷ
Ｇ、硬度８８％以上、断面空隙率２％以下であり、良好
なフィルター特性を示した。また、実施例１〜８のシー
ト状素材の水崩壊度は全てランク「Ａ」であり、崩壊性
又は分散性に優れていた。さらに、実施例１〜８のフィ
ルターによる香喫味は２．２〜３．０の範囲にあり、良
好であった。

【００４５】実施例９針葉樹サルファイトパルプ（α−セルロ−ス含量９２
％）をセルロース原料として用い、アセチル化剤として
無水酢酸、触媒として硫酸、反応溶媒として酢酸を用い
て、アセチル化した後、熟成（加水分解）して、セルロ
ースジアセテート／酢酸／水＝２０／６０／２０（重量
比）の組成のドープを調製し、このドープを６０℃に調
温した。一方、凝固剤として、２０℃の１０重量％酢酸
水溶液を調製した。

【００４６】そして、凝固剤を流すための流路を有する
パイプと、このパイプに接続され、かつ前記パイプの流
路内で下流方向に前記ドープを押出すための細孔を有す
るノズルと、このノズルの下流側に配されたカッティン
グ手段（カッター）とを備えた装置を用い、一部がフィ
ブリル化されたセルロースアセテート繊維を製造した。
すなわち、パイプの流路に凝固剤を流しながら、ノズル
の細孔からドープを押し、ドープが固化する前にカッテ
ィング手段の旋回流で切断することにより、一部がフィ
ブリル化されたセルロースアセテート繊維を生成させ
た。

【００４７】得られた繊維を遠心脱水した後、５０℃の
温水中に投入し、洗浄・脱溶媒した。湿潤状態で顕微鏡
下で観察した繊維の見掛けの直径は５０〜１５０μｍの
範囲であった。前記繊維を１００℃の沸騰水中に投入し
て３０分間処理した後、脱水し、９０℃の熱風で乾燥し
たところ、フワフワの羽毛状繊維塊が得られた。

【００４８】このようにして得られたフィブリル化した
セルロースアセテート繊維（乾燥状態の繊維長０．３〜
２ｍｍ、ＢＥＴ比表面積３．８ｍ²／ｇ）５５重量部
と、叩解度４５°ＳＲの針葉樹漂白クラフトパルプ４５
重量部とを、３０００００重量部の水に均一に分散し、
円網式抄紙機を用いて湿式抄造して脱水乾燥することに
より、坪量３０ｇ／ｍ²、密度０．４４ｇ／ｃｍ³を有す
るシート状素材を調製した。

【００４９】得られたシート状素材に対して、クレープ
化ロール温度１３０℃でクレープ加工（クレープ深さ
０．３５ｍｍ）を施し、充填密度０．１８ｇ／ｃｍ³で
巻き上げることにより、円周２４．５±０．２ｍｍ、長
さ１０±０．２ｃｍのフィルターを調製した。このよう
にして得られたフィルターの特性を測定したところ、通
気抵抗４２０ｍｍＷＧ、硬度８９．０％、断面空隙率
１．２％であった。また、得られたフィルターの水崩壊
度はランク「Ｂ」、香喫味は「２．７」であり、たばこ
フィルターとしての特性に優れていた。

【００５０】実施例１０針葉樹サルファイドパルプ（α−セルロース含有量９４
％）１０ｇを、水１０００ｍｌに１時間浸漬した後、５
倍まで脱液（濃縮）して酢酸１００ｍｌで置換した。得
られた混合液に酢酸６００ｍｌ及び無水酢酸６００ｍｌ
を加え、窒素気流下、油浴中、８０℃で１時間反応させ
た。反応生成物を、水３０００ｍｌ中に投入し、過剰の
無水酢酸を分解した後、濾別、水洗、乾燥し、平均置換
度０．１５の繊維状セルロース誘導体（繊維長４ｍｍ、
繊維径２０μｍ）を得た。

【００５１】得られた繊維状セルロース誘導体の生分解
性を調べたところ、６１％であった。なお、生分解性
は、ＡＳＴＭＤ５２０９に準拠し、活性汚泥として都
市下水処理場活性汚泥を用いて評価した。また、供試試
料は、試料２ｇを液体窒素中で３分間初期凍結し、コー
ヒーミルで３分間粉砕した後、液体窒素で１分間凍結
し、振動粉砕機で３分間粉砕することにより調製した
（１００メッシュパス）。そして、供試試料濃度１００
ｐｐｍ（仕込み量３０ｍｇ）、前記汚泥濃度３０ｐｐｍ
（仕込み量９ｍｇ）で、２５±１℃で４週間に亘り試験
し、発生した二酸化炭素の量を分解された炭素数に換算
し、供試試料の総炭素数との比率から分解率を求めた。
また、前記繊維状セルロース誘導体を分散染料（ディス
パーズイエロー３）で染色し、繊維断面を顕微鏡で観察
したところ、外部のみが染料に染まり、表面のみが選択
的にアセチル化されていることが確認された。

【００５２】表面が選択的にアセチル化されたサルファ
イトパルプ（平均置換度０．１５）７０重量部と、叩解
度４５°ＳＲの針葉樹漂白クラフトパルプ３０重量部と
を、３０００００重量部の水に均一に分散し、円網式抄
紙機を用いて湿式抄造して脱水乾燥することにより、坪
量３０ｇ／ｍ²、密度０．４２ｇ／ｃｍ³を有するシート
状素材を調製した。

【００５３】得られたシート状素材に対して、クレープ
化ロール温度１２０℃でクレープ加工（クレープ深さ
０．４０ｍｍ）を施し、充填密度０．１８ｇ／ｃｍ³で
巻き上げることにより、円周２４．５±０．２ｍｍ、長
さ１０±０．２ｃｍのフィルターを調製した。このよう
にして得られたフィルターの特性を測定したところ、通
気抵抗４３５ｍｍＷＧ、硬度８９．５％、断面空隙率
０．９％であった。また、得られたフィルターの水崩壊
度はランク「Ａ」、香喫味は「２．４」であり、たばこ
フィルターとしての特性に優れていた。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】セルロースエステル成分を含み、クレー
プ加工及び／又はエンボス加工が施された抄紙構造のシ
ート状素材の巻き上げにより形成される棒状のたばこフ
ィルターであって、断面外周が２４．５±０．２ｍｍ、
長さが１０±０．２ｃｍであるとき、通気抵抗が３００
〜５００ｍｍＷＧ、硬度が８８％以上、断面空隙率が２
％以下であるたばこフィルター。
【請求項２】断面外周が２４．５±０．２ｍｍ、長さ
１０±０．２ｃｍであるとき、通気抵抗が３００〜４５
０ｍｍＷＧ、硬度が８９％以上、断面空隙率が１％以下
である請求項１記載のたばこフィルター。
【請求項３】セルロースエステル成分の含有量が、シ
ート状素材全体の４０重量％以上である請求項１又は２
記載のたばこフィルター。
【請求項４】式Ｄ＝Ｆ／（Ｓ×Ｌ）（式中、Ｄはシート状素材の充填密度（ｇ／ｃｍ³）、
Ｆはシート状素材の充填量（ｇ）、Ｓはフィルター断面
積（ｃｍ²）、Ｌはフィルター長さ（ｃｍ）を示す）で
表されるシート状素材の充填密度が、０．１５〜０．２
０（ｇ／ｃｍ³）である請求項１又は２記載のたばこフ
ィルター。
【請求項５】断面外周が１７〜２７ｍｍである請求項
１〜４のいずれかの項に記載のたばこフィルター。
【請求項６】セルロースエステル成分が、セルロース
エステル繊維、フィブリル化セルロースエステル繊維、
表面がエステル化処理されたセルロース繊維、およびセ
ルロースエステルをコーティングした繊維からなる群か
ら選択された少くとも一種である請求項１〜５のいずれ
かの項に記載のたばこフィルター。
【請求項７】セルロースエステル成分が、短繊維であ
る請求項１〜６のいずれかの項に記載のたばこフィルタ
ー。
【請求項８】繊維状セルロースエステル成分の少くと
も表面が置換度１．５〜３．０の酢酸セルロースで構成
されている請求項１〜７のいずれかの項に記載のたばこ
フィルター。
【請求項９】シート状素材が、セルロースエステル成
分と叩解パルプとを含む請求項１〜８のいずれかの項に
記載のたばこフィルター。
【請求項１０】シート状素材が、セルロースエステル
成分の短繊維と、叩解パルプとを、前者／後者＝８０／
２０〜４０／６０（重量比）の割合で含む請求項１〜９
のいずれかに記載のたばこフィルター。
【請求項１１】湿潤による崩壊性を有する請求項１又
は２記載のたばこフィルター。
【請求項１２】セルロースエステル成分の短繊維と、
叩解パルプとを、前者／後者＝７０／３０〜５０／５０
（重量比）の割合で含み、クレープ加工及び／又はエン
ボス加工が施された抄紙構造のシート状素材の巻き上げ
により形成される棒状のたばこフィルターであって、シ
ート状素材の充填密度が０．１６〜０．１９（ｇ／ｃｍ
³）であるとともに、断面外周が２４．５±０．２ｍ
ｍ、長さが１０±０．２ｃｍであるとき、通気抵抗が３
００〜５００ｍｍＷＧ、硬度が８８％以上、断面空隙率
が２％以下であるたばこフィルター。
【請求項１３】セルロースエステル成分を含むシート
状素材をクレープ加工及び／又はエンボス加工し、棒状
に巻き上げることにより、断面外周が２４．５±０．２
ｍｍ、長さが１０±０．２ｃｍであるとき、通気抵抗が
３００〜５００ｍｍＷＧ、硬度が８８％以上、断面空隙
率が２％以下であるたばこフィルターを製造する方法。
【請求項１４】セルロースエステル成分の短繊維と叩
解パルプとを含み、坪量２０〜３５ｇ／ｍ²、密度０．
２５〜０．４５ｇ／ｃｍ³を有する抄紙構造のシート状
素材に、１００℃以上のロールを用いてクレープ加工及
び／又はエンボス加工を施し、充填密度０．１５〜０．
２０ｇ／ｃｍ³で棒状に巻き上げるたばこフィルターの
製造方法。
【請求項１５】坪量２０〜３５ｇ／ｍ²、密度０．３
０〜０．４５ｇ／ｃｍ³のシート状素材に、１００〜１
６０℃のロールを用いてクレープ加工及び／又はエンボ
ス加工し、充填密度０．１６〜０．１９ｇ／ｃｍ³で棒
状に巻き上げる請求項１４記載のたばこフィルターの製
造方法。
【請求項１６】請求項１〜１１のいずれかの項に記載
のたばこフィルターを備えたたばこ。