JPH11350108A - 耐浸炭性、耐高温酸化性に優れたガス浸炭炉用部品及び治具 - Google Patents
耐浸炭性、耐高温酸化性に優れたガス浸炭炉用部品及び治具Info
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- JPH11350108A JPH11350108A JP17665098A JP17665098A JPH11350108A JP H11350108 A JPH11350108 A JP H11350108A JP 17665098 A JP17665098 A JP 17665098A JP 17665098 A JP17665098 A JP 17665098A JP H11350108 A JPH11350108 A JP H11350108A
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Abstract
浸炭炉において、かかる環境下の浸炭、酸化に耐え、長
時間安定に用いうる部品及び治具を提供することを目的
とする。 【解決手段】 金属製、特に普通鋼又はステンレス鋼で
つくられたガス浸炭炉用部品及び治具にクロマイジング
処理を施すことにより、表面にクロム濃度が40wt%
以上のクロム拡散浸透層を設けることにより上記目的が
達成される。本発明によれば、耐浸炭性、耐高温酸化性
をあげ、寿命の延長を図り、取り替え頻度を減少させる
ことができ、作業効率の向上、コストの低減をはかるこ
とができる。
Description
部品及び治具に関するものである。
硬化法の一つとして特に低炭素鋼の表面に炭素を侵入、
拡散させる処理として浸炭処理がある。浸炭後、焼き入
れ・焼き戻しを行えば表面層だけ硬化し、耐摩耗性のあ
る表面層と靭性に富む心部からなる浸炭部品が得られ
る。このような浸炭と焼き入れ・焼き戻しは低炭素鋼の
みならず、鋼の表面を硬くし、耐摩耗性をあげるための
熱処理としてあらゆる分野の部品及び材料に適用されて
いる。
ガス・液体・固体浸炭があるが、一般にはガス浸炭法が
多く用いられている。このガス浸炭法は通常ガス浸炭炉
内で行われるが、その際、一回の装入原料毎に行うバッ
チ式と24時間連続的に行う連続式とがあるがその原理
はいずれも同じである。また、浸炭炉で浸炭のみ行う場
合、浸炭・焼き入れを行う場合、浸炭・焼き入れ・焼き
戻しを行う場合の3通りがあるが、本発明で広義にガス
浸炭炉という場合は、この3通りの場合を含む。
例の概略的断面図を図9に示す。耐火物1と鉄皮2で構
成される炉3内にバスケットなどに収容された被処理材
がメッシュベルトやハースローラーなどで送られてくる
部分を4で示す。この炉内には後述のような浸炭用ガス
が送られてきており、これは電気ヒータータイプラジア
ントチューブ5内に収容された電気ヒーターエレメント
6により加熱され、ファン7により攪拌され、被処理材
にガス浸炭が行われる。
入れ炉、ガス浸炭焼き入れ・焼き戻し炉には各種の金属
製部品、例えばラジアントチューブ、電気ヒーターチュ
ーブ、炉内ファン、メッシュベルト、ハースローラー、
ブッシャー、レトルト、マッフル、チェーンガイド、ス
キッドレール、コロ、熱電対保護管、ヒーター、ガスサ
ンプリング管、ガス導入管、スタッドボルト等、及びガ
ス浸炭、焼入れする製品を載せて炉内に入れるための金
属製治具、例えばトレイ、バスケット、ホルダー、グリ
ッド、金網、立棒、横掛け棒、振れ止め等が用いられて
いる。
入れ炉、ガス浸炭焼き入れ・焼き戻し炉の部品及び治具
は、浸炭ガス、即ちCO、CH4 、H2 、N2 ガスを主
体とした変成ガス(RXガス)、あるいはこれに更にC
3 H8 、C4 H10等のエンリッチガスを加えたもの、あ
るいはエンリッチガスのみの雰囲気内にて800〜10
00℃の高温に長時間晒され、且つ加熱・冷却の頻度の
高いきわめて厳しい環境で使用されるため、一般的に材
料としては、高温強度・耐浸炭性・耐高温酸化性に優れ
るオーステナイト系ステンレス鋼(JIS規格SUS3
04等)あるいは耐熱鋳鋼(SCH13等)が使用され
ているが、かかる材料を使用しても、以下の通り割れ、
変形、減肉を起こしやすく、短寿命によるメンテナンス
コスト増、設備トラブルによる生産効率低下等の問題を
抱えており、有効な対策が何ら講じられていないのが実
情である。
め、加熱・急冷に伴う熱膨張・収縮応力によって容易に
クラックが発生し、さらには破断に至り、使用不能とな
る。炉の部品・治具共に溶接構造のものが多く、溶接構
造物の場合、特に溶接部のHAZ(熱影響部)から破断
しやすく、破断が更に変形を助長し、様々なトラブルを
引き起こす。
わたってクロムカーバイドあるいはセメンタイトが形成
され、これらが体積膨張するため、著しい変形を起こ
す。 (b)炉の部品及び治具が、製作時に於いて、溶接ある
いは塑性加工などにより、内部歪みエネルギーを保有し
ているため、使用時の加熱によって容易に変形を起こ
す。 (c)治具の場合、積載する製品による荷重あるいは治
具の積み重ねによる荷重のため、炉内で変形を起こす。 (d)加熱・冷却による熱膨張収縮応力のため、変形を
起こす。変形が進んでくると、(1)製品の治具へのセ
ット、治具の組立、及び搬送がスムーズに行かなくな
り、作業効率を低下させる。更に変形が進むと使用不能
となる。(2)変形を矯正しようとすれば、浸炭によっ
て脆化しているため、破断してしまう。等の問題が生じ
てくる。
ナータイプラジアントチューブの場合、チューブ内面は
酸化による減肉、外面は浸炭による脆化のため、短寿命
となっている。特に内面に関しては、1000℃以上の
酸化雰囲気に晒されるため、酸化減肉が速く、短寿命で
あるばかりでなく、酸化スケールが脱落し、チューブ内
に溜まるため、電気ヒータータイプラジアントチューブ
の場合、ヒーターとチューブがスケールを介して導通し
焼損のトラブルが、バーナータイプラジアントチューブ
の場合、燃焼ガスの流れが悪くなり、異常燃焼による局
部加熱が起き、チューブ破裂のトラブルが発生する。ま
た、これらのトラブルを防止するために、度々設備を停
止し、チューブ内のスケール除去作業を実施しなければ
ならず、生産性の低下、メンテナンスコスト増を招いて
いる。 (b)浸炭、焼入れ、焼戻しの後、製品を治具にセット
したままの状態でショットブラストをすることがあり、
かかる工程に於いては、治具が摩耗・変形し易く、短寿
命の原因になっている。
者らは何らかの方法で(1)浸炭・酸化を抑える。
(2)溶接の熱影響部をなくす。(3)使用前の炉の部
品・治具自体が持っている歪みエネルギーを除去する。
(4)耐摩耗性を向上させる。(5)高温強度を向上さ
せる。等の対策を講じれば、大幅に寿命延長できる可能
性を知見したわけである。耐浸炭性・耐酸化性に優れた
耐熱合金としては、例えば特開平07−166290号
公報あるいは特開平02−259037号公報等に記載
の合金があるが、これらの合金は高価なMo、Ni等を
多量に含んでいるため高価であり、また高価な割には耐
浸炭性及び耐酸化性が向上しないという欠点がある。一
方現在一般的に用いられているオーステナイト系ステン
レス鋼または耐熱鋳鋼を使い、これらに何らかの表面処
理を施し、表面のみ保護性の被覆を形成させ、かかる性
能を向上させる方法もあるが、一般的な表面処理、例え
ばメッキ・溶射・蒸着等で形成される保護被覆では、ガ
ス浸炭炉のように熱衝撃の厳しい環境に於いては、直ち
に剥離し、到底寿命延長は期待できない。
あるガス浸炭炉において長時間安定に用いうる部品及び
治具を提供することを目的にするものである。
る最大の要因は高温の浸炭ガスによる炭化即ち浸炭であ
り、一般的にこの浸炭を押えるのに最も有効な元素の一
つとしてアルミニウムが知られているが、その理由はア
ルミニウム自体が炭化されにくい、つまりCと結合し炭
化物となり難い性質があるからである。従って本発明者
らによって実施されているカロライジング処理(アルミ
ニウム拡散滲透処理)は、被処理物の表面に高アルミニ
ウム濃度の合金層を形成せしめることから、浸炭防止に
有効であることが実証された。一方で本発明者らは、様
々な材料及び表面処理材の耐浸炭性を評価していく過程
において、処理する材質によっては以下の通りクロマイ
ジング処理の方が浸炭防止に有効であることを発見し
た。
ない炭素鋼あるいは鋳鉄などにクロマイジング処理を施
すと、表面に安定なクロム炭化物層が形成されるが、こ
の層が完全に炭化(浸炭)を止めてしまうこと。
オーステナイト系ステンレス鋼などにクロマイジング処
理を施すと、表面にクロム濃度40wt%以上のクロム
鉄を主体とするクロム拡散滲透層が形成されるが、クロ
ムは炭化されやすいので、浸炭雰囲気に晒されると、直
ちに最表面に安定なクロム炭化物層が形成され、これが
更なる炭化(浸炭)を止めてしまうこと。またかかる浸
炭防止効果は表面のクロム濃度が高いときのみ起こり得
ること。
れやすいので、成分としてのクロムはむしろ浸炭を促進
してしまうのではと考えがちであるが、クロマイジング
処理を施すことによって、表面に連続的な高クロム濃度
のクロム炭化物あるいは鉄クロム化合物が形成される場
合は、極めて優れた耐浸炭性を発揮するのである。また
クロマイジング処理材は、前述の耐浸炭性以外にも以下
の特性がある。 (1) 耐酸化性に優れていること。 (2) 表面硬度が母材の数倍になり、従って耐摩耗性
が優れていること。 (3) 表面から拡散浸透するクロムが、母材の主成分
と合金化することによって、クロム拡散滲透層が形成さ
れているため、熱衝撃に強く、剥離し難いこと。 (4) クロマイジング処理工程において、高温に加熱
保持し徐冷されるために溶接のHAZ(熱影響部)が消
失し、溶接ビードと母材が均一な組成となり、且つ連続
的にクロム拡散滲透層で覆われるため、溶接部からの劣
化が起きにくいこと。 (5) クロマイジング処理工程において、被処理物自
体が持っている歪みエネルギーが殆ど除去されるため、
使用時の加熱によって変形しがたい事。
するクロマイジング処理をガス浸炭炉の部品及び治具に
施して表面のみに、剥離し難い高クロム濃度のクロム拡
散滲透層を形成させることにより、母材の機械的性質・
溶接性を損ねることなく、耐浸炭性・耐酸化性・耐摩耗
性を向上せしめ、かかるガス浸炭炉の部品及び治具の大
幅な寿命延長が可能であることを見いだして本発明をな
すに至ったのである。
鋼、鋳鉄、オーステナイト系ステンレス鋼及びステンレ
ス鋳鋼を母材として用い、これにクロマイジング処理を
施すことにより、かかる母材の表面に最表面のクロム濃
度が40wt%以上の堅固なクロム拡散滲透層を形成し
てなる、ガス浸炭炉またはガス浸炭炉焼き入れ炉、ガス
浸炭焼き入れ・焼き戻し炉の部品及び治具に関するもの
である。
濃度40wt%以上のクロムの拡散滲透層を設けるので
あるが、ここにクロム濃度を40wt%以上に限定した
のは、40wt%未満の場合、最表面に連続的なクロム
炭化物あるいは、クロム酸化物ができにくいため、十分
な耐浸炭性・耐酸化性を発揮するに至らず、且つ硬度も
低いため、耐摩耗性にも欠け、長寿命化が期待できない
からである。
400〜2000mHvの範囲であり、10〜200
(μm)の厚みの範囲に形成するのが好ましい。クロム
拡散滲透層のクロム濃度・層厚及び硬度はクロマイジン
グ処理温度・処理時間・及び浸透剤中のクロム濃度を変
えることによって調整することが出来る。
5〜70wt%濃度の鉄クロム合金粉またはクロム粉を
40〜80wt%、アルミナを20〜60wt%、また
滲透促進剤たる塩化アンモニウム粉を0.1〜2.0w
t%混合してなる滲透剤と被処理物を半密閉容器内に充
填し、容器内をアルゴンガス等の不活性ガスまたは水素
ガス等の還元性ガス雰囲気に維持したまま、加熱炉内に
て900〜1200℃の温度に5〜20時間加熱保持す
ることによって行われる。
品及び治具は耐浸炭性が向上し、厳しい環境下にあるガ
ス浸炭炉に長時間用いても殆ど浸炭することなく安定で
あり、その寿命を著しく延長することが出来る。
この種の用途に用いられている、Ni、Cr、又はMo
等高価な金属を含有するオーステナイト系ステンレス鋼
のみならず従来はこの種の用途には一般に用いられてい
なかったが、これら高価な金属を全く含まない安価な炭
素鋼や鋳鉄を高温浸炭ガス雰囲気下のガス浸炭炉用部品
及び治具として良好に用いることができる。むしろ安価
な炭素鋼や鋳鉄等を用いてこれにクロマイジング処理す
れば、高価なオーステナイト系ステンレス鋼や耐熱鋳鋼
の無処理品よりも優れた耐浸炭性が得られ寿命の延長、
コストの低減等を図ることができて誠に有効である。
ステンレス鋼あるいはオーステナイト系ステンレス鋳鋼
にあっては最大でCrを24〜26%含有しているが、
最表面のCr含有量がこの程度では上記の如きすぐれた
効果は得られない。しかしこの場合もクロマイジング処
理すれば最表面のクロム濃度を40%以上とすることが
でき、このような高いCr濃度にすることにより上記の
如きすぐれた効果を得ることができる。
明する。 <実施例1>ガス浸炭炉またはガス浸炭焼き入れ炉、ガ
ス浸炭焼き入れ焼き戻し炉の部品及び治具に一般的に用
いられているオーステナイト系ステンレス鋼SUS30
4、同SUS310S及び一般的には使用されていない
が、クロマイジング処理することにより使用され得る、
一般構造用圧延鋼材SS400、球状黒鉛鋳鉄FCD4
00、ステンレス鋳鋼SCS14の縦30mm×横50
mm×厚み3mmの試料を、クロム粉60wt%、アル
ミナ粉39wt%及び塩化アンモニウム粉1wt%を混
合して成る滲透剤と共に鋼製ケース内に充填し、電気炉
に入れ、ケース内に水素ガスを通しながら、1100℃
に12時間加熱保持し、クロマイジング処理を実施し
た。用いた各試料の化学成分を表1に、クロマイジング
処理結果を表2に示す。
ジング処理済み試料及び無処理の試料を固形浸炭剤(デ
ュルフェリット固形浸炭剤)と共に鋼製ケース内に充填
し、ケースを電気炉内に入れ、930℃に12時間加熱
保持する浸炭操作を10回繰り返し実施し、各12時間
経過ごとに浸炭量の測定を実施した。その結果を図1、
2に示す。
も無処理材が多量に浸炭増量しているのに対して、図1
からSUS304クロマイジング処理品、SCS14ク
ロマイジング処理品及びSUS310Sクロマイジング
処理品の場合、浸炭テストの初期段階において、わずか
に浸炭増量し、その後は全く浸炭増量していない。図2
からSS400クロマイジング処理品及びFCD400
クロマイジング処理品いずれも浸炭増量が0となってお
り、クロマイジング処理品の優れた耐浸炭性が実証され
た。
ジング処理済み試料及び無処理の試料を電気炉内に入
れ、3時間かけて1050℃に昇温し大気中で1050
℃に15時間加熱保持後、常温まで数分で空冷する操
作、いわゆるサイクル酸化試験を20回実施し、30時
間ごとに酸化増減量を測定した。その結果を図3、4に
示す。何れの材質においても無処理品が大きく減量して
いるのに対し、クロマイジング処理材は減量が少なく、
その優れた耐高温酸化性が実証された。
mm)を有するSUS304のガス導入管をクロム濃度
60wt%の鉄クロム粉を80wt%、アルミナ粉1
9.5wt%、塩化アンモニウム粉0.5wt%を混合
してなる滲透剤と共に鋼製ケース内に充填し、ケース内
に水素ガスを流しながら、クロマイジング加熱炉内に1
050℃に10時間加熱保持することにより、クロマイ
ジング処理を施したものと、現行品(SUS310S)
で無処理のものを、同時に連続式ガス浸炭炉に取り付
け、寿命を比較した。ガス導入管は浸炭性の変成ガスを
炉内に導入する為のものである。無処理品は約3ケ月で
局部的な減肉が始まり、約半年で穴が空き使用不能にな
ったのに対して、クロマイジング処理品は約1年経って
も減肉はなく、無処理品の2倍以上の寿命があることが
実証された。
ている高価なSUS310S無処理品よりも、従来は用
いられていなかったが安価なSUS304にクロマイジ
ング処理を施した安価な材料の方が本発明で有効である
ことを示すために、無処理品と処理品とは互いに異なる
材質のものを用いて比較された。実施例3と4において
も同様である。
る配管用炭素鋼鋼管SGP及びオーステナイト系ステン
レス鋼SUS316Lのサンプリング管をクロム粉7
4.5wt%、アルミナ粉25wt%、塩化アンモニウ
ム粉0.5wt%を混合してなる滲透剤と共に鋼製ケー
ス内に充填し、ケース内にアルゴンガスを流しながら、
クロマイジング加熱炉内にて1100℃に10時間加熱
保持することにより、クロマイジング処理を施したもの
と、現行品(SUS310S)で無処理のものを、同時
に連続式ガス浸炭炉(900〜930℃)に取り付け、
寿命を比較した。サンプリング管は炉内のガス雰囲気の
モニターのためガスセンサーへガスを導く為のものであ
る。無処理品は約1ケ月ほどで局部的に減肉し始め、3
ケ月ほどで穴があき使用不能となった。クロマイジング
処理品は両材質共に約1年経っても減肉はなく、無処理
品の4倍以上の寿命があることが実証された。一方、無
処理品の内面にはすすが生成・堆積しやすく、且つ固ま
ってしまうので、頻繁に除去を行わなければならない
が、クロマイズ処理品の方はすすが生成・堆積し難く、
除去頻度が大幅に下がった。尚、上記両試料の化学組成
を示せば、SGPはP 0.040%以下、S 0.0
40%以下、残余Fe、SUS316LはC 0.03
0%以下、Si 1.00%以下、Mn2.00%以
下、P 0.045%以下、S0.030%以下、Ni
12.00〜15.00%、Cr 16.00〜1
8.00%、Mo 2.00〜3.00%、残余Feで
ある。
電気ヒータタイプのラジアントチューブ(SUS30
4)をクロム濃度70wt%の鉄クロム粉を70wt
%、アルミナ粉29.5wt%、塩化アンモニウム粉
0.5wt%を混合してなる滲透剤と共に鋼製ケース内
に充填し、水素ガスを流しながら、クロマイジング加熱
炉内にて1050℃15時間加熱保持することにより、
クロマイジング処理を施したものと、現行品で無処理
(SUS310S)のものを、同時に連続式ガス浸炭炉
に取り付け、約3000時間使用した後に取外し、外観
及び断面の検査を実施した。その結果を表3に示す。
マイジング処理品はSUS310S無処理品の1/10
以下、チューブ外面の浸炭深さに関してはSUS310
S無処理品が0.85〜0.92(mm)であったのに
対し、SUS304クロマイジング処理品0.005〜
0.010(mm)となっており、その優れた耐酸化性
・耐浸炭性が実証された。ここで3000時間使用後の
チューブの断面のX線写真を図5の(a)と(b)に示
す。図5の(a)がSUS310S無処理品の場合を示
し、(b)がSUS304クロマイジング処理品の場合
を示す。白い部分がクロム炭化物を示す。これらの図か
らも明らかなように、SUS310S無処理品が肉厚全
般にわたってクロム炭化物が検出されているのに対し、
SUS304クロマイジング処理品は最表面にのみ5〜
10(μm)厚みのクロム炭化物層が検出されたが、そ
の内側のクロム拡散滲透層及び素地部にはクロム炭化物
は全く検出されておらず、つまり使用初期に炭化され最
表面に形成されたクロム炭化物層が、その後の浸炭を防
止していることが実炉においても再確認された。
結果、クロマイジング処理によって大幅な寿命の延長が
期待される。また使用途中においてチューブ内に多量に
堆積した酸化スケールを介して電気ヒーターとチューブ
が導通し、焼損を起こした無処理品と比較して、クロマ
イジング処理品はかかる焼損トラブルは皆無であった。
ジング処理品のクロマイジング処理結果をまとめて表4
に示す。
明によれば、 (1) すぐれた耐浸炭性、耐酸化性によって、大幅な
寿命延長が可能となり、炉の部品・治具コスト及びメン
テナンスコストが削減される。 (2) 取り替え頻度及び設備トラブルの減少により、
生産性が向上する。 (3) クロマイジング処理を施すことによって、溶接
部からの劣化が起きなくなるので、炉の部品及び治具を
高価な鋳造品から安価な製缶溶接構造物クロマイジング
処理品に切り替えることが可能になり、これにより製作
コストを大幅に削減することが出来る。 (4) 高価なNi、Cr等の金属を多量に含有する高
価なSUS310Sより前記のごとき高価な金属の含有
量が少ない又は全く含有しておらず、数倍安価なSUS
304やSS400のクロマイジング処理品が遥かに耐
浸炭性に優れていることから、現行材質をグレードダウ
ンし、クロマイジング処理を施して使用することにより
製作コストを大幅に下げることが出来る。
の浸炭量測定結果を示すグラフ。
浸炭量測定結果を示すグラフ。
酸化テスト後の酸化減少量測定結果を示すグラフ。
化テスト後の酸化減少量測定結果を示すグラフ。
ラジアントチューブSUS310S無処理品の使用後に
おける断面のクロム炭化物の分布を示すX線写真。 (b) 同SUS304クロマイジング処理品の同様な
X線写真。
の側面図。
グ管の側面図。
ータイプラジアントチューブの側面図。
Claims (1)
- 【請求項1】クロマイジング処理を施すことにより、表
面に最表面のクロム濃度が40wt%以上のクロム拡散
滲透層を設けてなる事を特徴とする、金属製のガス浸炭
炉用部品及び治具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17665098A JPH11350108A (ja) | 1998-06-09 | 1998-06-09 | 耐浸炭性、耐高温酸化性に優れたガス浸炭炉用部品及び治具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17665098A JPH11350108A (ja) | 1998-06-09 | 1998-06-09 | 耐浸炭性、耐高温酸化性に優れたガス浸炭炉用部品及び治具 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11350108A true JPH11350108A (ja) | 1999-12-21 |
Family
ID=16017300
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17665098A Pending JPH11350108A (ja) | 1998-06-09 | 1998-06-09 | 耐浸炭性、耐高温酸化性に優れたガス浸炭炉用部品及び治具 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11350108A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002092980A1 (fr) * | 2001-05-10 | 2002-11-21 | Soghi Kogyo Co., Ltd. | Ensemble de guidage de gaz d'echappement a surface reformee dans un turbocompresseur de type vgs et procede de reformage de surface des elements constitutifs de cet ensemble |
JP2010090965A (ja) * | 2008-10-07 | 2010-04-22 | Ntn Corp | チェーンテンショナ |
JP2014080736A (ja) * | 2012-10-12 | 2014-05-08 | Shinto Kogyo Kk | ボルト接合用の接合部材 |
JP2014169799A (ja) * | 2013-03-01 | 2014-09-18 | Ngk Spark Plug Co Ltd | グロープラグおよびその製造方法 |
-
1998
- 1998-06-09 JP JP17665098A patent/JPH11350108A/ja active Pending
Cited By (4)
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