JP2014169799A - グロープラグおよびその製造方法 - Google Patents

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剛 大熊
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秀衛 石井
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Abstract

【課題】クロムの濃度が低い低コストな金属材料を用いた場合であっても良好な耐熱性を有するグロープラグを提供可能とする。
【解決手段】グロープラグは、軸線方向に延び、先端が閉塞した金属製のシース管と、シース管の内側に軸線方向に沿って配置される発熱体と、を備える。シース管は、クロムを含有しており、グロープラグは、シース管の素材内部から少なくとも径方向外側の表面に向けてクロムの濃度が高くなる濃度変化領域を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、グロープラグおよびその製造方法に関する。
エンジンに取り付けられるグロープラグは、コイル状の発熱体と、発熱体を内側に収容するシース管(シースチューブともいう)とを有している(例えば、特許文献1参照)。シース管は、発熱体による発熱に耐えるため、その材料として、例えば、SUS310S等の金属材料が採用される。SUS310Sは、高温環境下において、保護性皮膜として働く酸化クロム領域が表面に形成されるため、高い耐熱性を有している。
特開2012−042196号公報 特開2010−270981号公報 特開2009−158431号公報
しかし、上述したSUS310Sは、クロムの濃度が高く、ステンレス素材の中でも比較的高価な材料であるため、製造コストが嵩むという問題があった。そのため、クロムの濃度が低い低コストな金属材料を用いた場合であっても良好な耐熱性を有するグロープラグを提供可能な技術が求められていた。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、軸線方向に延び、先端が閉塞した金属製のシース管と、前記シース管の内側に前記軸線方向に沿って配置される発熱体と、を備えるグロープラグが提供される。前記シース管は、クロムを含有し、前記グロープラグは、前記シース管の素材内部から少なくとも径方向外側の表面に向けて前記クロムの濃度が高くなる濃度変化領域を有する。この形態のグロープラグによれば、シース管の素材内部から少なくとも径方向外側の表面に向けてクロムの濃度が高くなる濃度変化領域を有しているため、シース管の表面に酸化クロム領域を良好に形成することができる。そのため、クロムの濃度が低い低コストな金属材料を用いた場合であっても良好な耐熱性を有するグロープラグを提供することができる。また、上記形態によれば、シース管の内部のクロムの含有量を少なくすることができるので、シース管の内部におけるシース管810の主成分(例えば、Fe)の濃度を高くすることが可能となり、これによりシース管の熱伝導性を高めることができる。よって、発熱効率の高いグロープラグを提供することができる。
(2)上記グロープラグにおいて、前記濃度変化領域は、前記クロムの濃度が連続的に上昇している部分を含んでいてもよい。このような形態のグロープラグであれば、濃度変化領域に、クロムの濃度が連続的に上昇している部分が含まれているので、濃度変化領域中に、ひび割れや剥がれが発生することを抑制できる。
(3)上記グロープラグは、前記シース管の前記濃度変化領域よりも前記表面側に、酸化クロム領域が形成されていてもよい。このような形態のグロープラグであれば、シース管の耐熱性を高めることができる。
(4)上記グロープラグにおいて、前記シース管は、鉄系またはステンレス系の金属によって形成されていてもよい。このような金属としては、例えば、SPCCや、オーステナイト系ステンレス(例えば、SUS304L)、フェライト系ステンレス(例えば、SUS430)を用いることができる。
(5)鉄系またはステンレス系の金属によって形成されたグロープラグにおいて、前記濃度変化領域に、前記クロムの濃度が23%以上である部分が、前記シース管の厚み方向に50μm以上存在してもよい。このような形態のグロープラグであれば、シース管の表面に緻密な酸化被膜を形成することができる。また、酸化被膜が剥がれたとしても迅速に酸化被膜を再生させることができる。よって、グロープラグの耐久性を高めることができる。
(6)上記グロープラグにおいて、前記シース管は、ニッケル系合金によって形成されていてもよい。このような合金としては、例えば、インコロイ(登録商標)800を用いることができる。
(7)ニッケル系合金によって形成されたシース管を有するグロープラグにおいて、前記濃度変化領域に、前記クロムの濃度が21%以上である部分が、前記シース管の厚み方向に50μm以上存在してもよい。このような形態のグロープラグであれば、シース管の表面に緻密な酸化被膜を形成することが可能になる。また、酸化被膜が剥がれたとしても迅速に酸化被膜を再生させることができる。よって、グロープラグの耐久性を高めることができる。
(8)上記グロープラグにおいて、前記シース管は炭素を含有し、前記シース管の前記濃度変化領域よりも内部の部分における前記炭素の濃度が0.1%以下であってもよい。このような形態のグロープラグであれば、クロムの濃度が23%となる部分を安定して50μm以上形成することが可能になる。
(9)上記グロープラグにおいて、前記シース管の最大厚みと最小厚みの差が、最小厚みの20%以内であってもよい。このような形態のグロープラグであれば、濃度変化領域を形成する際の熱処理時等に、シース管が歪んでしまうことを抑制することができる。
(10)本発明の他の形態によれば、軸線方向に延び、先端が閉塞した金属製のシース管と;前記シース管の内側に前記軸線方向に沿って配置される発熱体と、を有するグロープラグの製造方法が提供される。この製造方法は、(a)前記シース管の少なくとも径方向外側の表面に対して、クロム拡散浸透処理を施す工程と;(b)前記工程(a)の後に、前記シース管内に前記発熱体を配置する工程と、を備える。このような形態のグロープラグの製造方法であれば、クロム拡散浸透処理を施すことにより、上述した濃度変化領域を形成することができる。よって、上述した効果を奏するグロープラグを製造することができる。
本発明は、上述したグロープラグおよびグロープラグの製造方法としての形態に限らず、種々の形態で実現することが可能である。例えば、グロープラグを備える車両等の形態で実現することができる。
グロープラグを示す説明図である。 シースヒータの詳細な構成を示す断面図である。 シース管の断面を示す図である。 グロープラグの製造方法を示すフローチャートである。 シース管の厚みとクロム濃度とを示す図である。 クロムの濃度に応じて形成される酸化被膜の種々の例を示す図である。
図1は、本発明の一実施形態としてのグロープラグ10を示す説明図である。グロープラグ10は、熱を発生させるシースヒータ(発熱装置)800を備え、ディーゼルエンジンを始めとする内燃機関(図示せず)の始動時における点火を補助する熱源として機能する。グロープラグ10は、シースヒータ800の他、中軸200と、主体金具500とを備える。これらグロープラグ10を構成する部材は、グロープラグ10の軸線Oに沿って組み付けられている。図1では、軸線Oから紙面右側に外観構成を図示し、軸線Oから紙面左側に断面構成を図示した。なお、本明細書では、グロープラグ10におけるシースヒータ800側を「先端側」と呼び、係合部材100側を「後端側」と呼ぶ。
主体金具500は、炭素鋼を筒状に成形した部材である。主体金具500は、先端側の端部においてシースヒータ800を保持する。また、主体金具500は、後端側の端部において絶縁部材410およびO(オー)リング460を介して中軸200を保持する。絶縁部材410の軸線Oに沿った位置は、絶縁部材410の後端に接するリング300が中軸200に加締められることで固定される。更に、主体金具500は、絶縁部材410からシースヒータ800に至る中軸200の部位を内包する。主体金具500は、軸孔510と、工具係合部520と、雄ネジ部540とを備える。軸孔510は、軸線Oに沿って形成された貫通孔であり、中軸200よりも大きな径を有する。軸孔510に中軸200が位置決めされた状態で、軸孔510と中軸200との間には、両者を電気的に絶縁する空隙が形成される。軸孔510の先端側には、シースヒータ800が圧入されて接合されている。主体金具500の工具係合部520は、グロープラグ10の取り付けおよび取り外しに用いられる工具(図示しない)に係合する。雄ネジ部540は、内燃機関(図示しない)に形成された雌ネジに嵌り合う。
中軸200は、導電材料で円柱状に成形された部材である。中軸200は、主体金具500の軸孔510に挿入された状態で軸線Oに沿って組み付けられる。中軸200は、先端側に形成された先端部210と、後端側に設けられた雄ネジ部290とを備える。先端部210は、シースヒータ800の内部に挿入される。他方、雄ネジ部290は、主体金具500から突出している。雄ネジ部290には、係合部材100が嵌り合う。
図2は、シースヒータ800の詳細な構成を示す断面図である。シースヒータ800は、シースヒータ800の内部に中軸200の先端部210が挿入された状態で、主体金具500の軸孔510に圧入され接合されている。シースヒータ800は、シース管810と、発熱体としての発熱コイル820と、制御コイル830と、絶縁粉末840とを備える。
シース管810は、軸線O方向に延び、先端が閉塞した筒状部材である。シース管810は、発熱コイル820と、制御コイル830と、絶縁粉末840とを内包する。シース管810は、外側に向けて丸く形成された先端部811と、先端部811とは反対側に開口した端部である後端部819とを備える。この後端部819からシース管810の内部に中軸200の先端部210が挿入されている。シース管810は、パッキン600および絶縁粉末840によって中軸200と電気的に絶縁される。一方、シース管810は、主体金具500と接触して電気的に接続されている。
本実施形態では、シース管810は、鉄とクロムと炭素とを含有するオーステナイト系ステンレス材料によって形成されている。具体的には、オーステナイト系ステンレスの一種であるSUS304Lによって形成されている。SUS304Lは、シース管810の一般的な素材であるSUS310Lよりもクロムの含有量が少なく、安価であるという性質を有する。シース管810は、その素材内部から少なくとも径方向外側の表面に向けてクロムの濃度が高くなる濃度変化領域を有する。濃度変化領域の詳細については後述する。なお、本明細書において、「濃度」とは、質量パーセント濃度を指す。
図3は、軸線Oに垂直な方向におけるシース管810の断面を示す図である。本実施形態では、シース管810の最大の厚みT2と最小の厚みT1の差が、最小の厚みT1の20%以内になるように、シース管810が形成されている。すなわち、シース管810の最大の厚みT2と最小の厚みT1は、以下の関係式(1)を満たしている。
T2−T1≦T1*20% ・・・(1)
発熱コイル820(図2)は、例えば、導電材料である鉄(Fe)−クロム(Cr)−アルミニウム(Al)合金で形成されたコイルである。発熱コイル820は、シース管810の内側に軸線O方向に沿って配置され、通電によって発熱する。発熱コイル820は、先端側のコイル端部である先端部821と、後端側のコイル端部である後端部829とを備える。先端部821は、シース管810の先端部811の内壁に溶接されることによりシース管810と電気的に接続される。後端部829は、制御コイル830に溶接されることにより制御コイル830と電気的に接続される。
制御コイル830は、発熱コイル820を形成する材料よりも電気比抵抗の温度係数が大きい導電材料(例えば、コバルトやニッケルを主成分とする合金)で形成されたコイルである。制御コイル830は、シース管810の内側に設けられ、発熱コイル820に供給される電力を制御する。制御コイル830は、先端側のコイル端部である先端部831と、後端側のコイル端部である後端部839とを備える。先端部831は、発熱コイル820の後端部829に溶接されることにより発熱コイル820と電気的に接続される。後端部839は、中軸200の先端部210に接合されることにより中軸200と電気的に接続される。
絶縁粉末840は、電気絶縁性を有する絶縁材料の粉末である。絶縁粉末840としては、例えば、酸化マグネシウム(MgO)の粉末が用いられる。絶縁粉末840は、シース管810の内側に充填され、シース管810と、発熱コイル820と、制御コイル830と、中軸200との各隙間を電気的に絶縁する。
図4は、本実施形態のグロープラグ10の製造方法を示すフローチャートである。本実施形態の製造方法では、まず、筒状に加工されたシース管810が用意され、そのシース管810の表面に対して、クロム拡散浸透処理が施される(ステップS10)。シース管810を筒状に加工するには、例えば、板材を筒状にまるめてアーク溶接を行う手法や、板材を深絞りする手法が用いられる。クロム拡散浸透処理とは、所定のケース内に、処理対象の金属材料と、クロム粉末と、ハロゲン化物等とを充填して密閉し、所定の時間、炉内において900〜1100℃に加熱することで、対象の金属材料の表面にクロムの拡散浸透領域を形成する処理である。
図5は、本実施形態における製造方法の各工程におけるシース管810の厚みとクロム濃度とを示す図である。図5には、シース管810のうち、図2において丸印Pで囲った部分の断面を示している。なお、丸印P以外の部分についてもシース管810は同様の特性を有している。上記ステップS10においてクロム拡散浸透処理が施される前には、図5(A)に示すように、シース管810の内部では、クロムの濃度はほぼ一定となる。これに対して、上記ステップS10においてクロム拡散浸透処理が施されると、図5(B)に示すように、シース管810は、表面からクロムが浸透した分、厚みが増す。そして、シース管810の内部から、少なくとも径方向外側の表面に向けてクロムの濃度が高くなる濃度変化領域20が形成される。この濃度変化領域20には、クロムの濃度が連続的に上昇している部分が含まれる。また、濃度変化領域20には、クロムの濃度が23%以上である部分が、シース管810の厚み方向に50μm以上存在する。シース管810の濃度変化領域20よりも内部の領域(以下、「内部領域25」という)における炭素濃度は、0.1%以下、好ましくは、0.08%以下、である。この内部領域25の炭素濃度は、ステップS20において、クロム拡散浸透処理が施される前のシース管810全体の炭素濃度と同じである。つまり、クロム拡散浸透処理前後において、内部領域25における炭素濃度に変化はない。シース管810中のクロムや炭素の濃度は、電子線マイクロアナライザを用いて分析することが可能である。
本実施形態では、上記ステップS10において、シース管810の内側および外側の両方からクロム拡散浸透処理を行う。そのため、図5に示されているように、シース管810には、径方向外側と径方向内側の両側に濃度変化領域20が形成されている。他の実施形態においては、クロム拡散浸透処理をシース管810の径方向外側だけに施すことで、濃度変化領域20をシース管810の径方向外側だけに形成してもよい。ここで、径方向外側、径方向内側と表記したのは、シース管810の径方向に沿った方向を意図して表記している。シース管810の先端部811は、外側に向けて丸く形成されているため、例えば、シース管810の最先端部においては、径方向外側は図1,2の下方向となり、径方向内側は図1,2の上方向となる。
図4のステップS10においてシース管810にクロム拡散浸透処理が施されると、シースヒータ800の作成を行う(ステップS20)。具体的には、シース管810の内側に中軸200と一体化された制御コイル830および発熱コイル820を配置し、シース管810の先端部811の内側に発熱コイル820の先端部821を溶接する。そして、シース管810の内側に、絶縁粉末840を充填し、スウェージング加工等により、シース管810を所定の径に調整する。
シースヒータ800を作成すると、上述したグロープラグ10の組み立てを行う(ステップS30)。具体的には、中軸200の接合されたシースヒータ800を主体金具500の軸孔510に圧入して固定するとともに、主体金具500の後端部分において、Oリング460や絶縁部材410を中軸200に嵌め込み、係合部材100を主体金具500の後端に設けられた雄ネジ部290に螺合させて固定する。
こうしてグロープラグ10が組み立てられると、最後に、グロープラグ10に対してエージング処理が施される(ステップS40)。このエージング処理では、組み立てられたグロープラグ10に通電を行うことにより、シースヒータ800を加熱した状態とする。このエージング処理が行われると、シース管810が高温になるため、その濃度変化領域20の表面において、クロムが酸化される。そうすると、図5(C)に示すように、シース管810の濃度変化領域20よりも表面側に、酸化クロム領域30が形成される。こうして酸化クロム領域30が形成されると、濃度変化領域20が形成されているだけの状態よりも、シース管810の厚みは厚くなる。また、濃度変化領域20の表面側に酸化クロムが形成されるため、濃度変化領域20の最も外側の部分には、クロムの濃度が低下する濃度低下領域40が形成される。酸化クロム領域30における酸化クロムの平均濃度は、濃度変化領域20における酸化クロムの平均濃度よりも高い。なお、上述したステップS40のエージング処理は省略することも可能である。グロープラグ10の出荷後に、グロープラグ10がエンジンに取り付けられて実際に使用されれば、その使用時に酸化クロム領域30が形成されるからである。
以上で説明した本実施形態のグロープラグ10は、シース管810の素材内部から少なくとも径方向外側の表面に向けてクロムの濃度が高くなる濃度変化領域20を有している。このように、径方向外側の表面にクロムの濃度の高い部分が存在すると、シース管810が高温にさらされることで、その表面に酸化クロム領域30が形成されるので、シース管810の耐熱性を向上させることができる。
また、本実施形態では、クロム拡散浸透処理によって基材となる金属に濃度変化領域20を形成するため、クロムの濃度が低い材料をシース管810の素材として採用することができる。よって、グロープラグ10の製造コストを削減することができる。
更に、本実施形態によれば、シース管810の内部領域25のクロムの含有量を少なくすることができるので、内部領域25においてシース管810の主成分(Fe)の濃度が相対的に高くなり、シース管810の熱伝導性が高まる。よって、発熱コイル820で生じた熱をエンジン内に効率的に伝導することが可能になる。なお、シース管810の径方向内側に濃度変化領域20を形成しないこととすれば、シース管810の径方向内側においてもクロムの含有量を少なくすることができるので、発熱コイル820で生じた熱をエンジン内により効率的に伝導することが可能になる。
また、本実施形態では、濃度変化領域20に、クロムの濃度が連続的に上昇している領域が含まれているので、濃度変化領域20中に、ひび割れや剥がれが発生することを抑制することができる。
また、本実施形態では、グロープラグ10の製造工程においてエージング処理が施されるため、シース管810の表面に酸化クロム領域を安定して形成することができる。
図6は、クロムの濃度に応じて形成される酸化被膜の種々の例を示す図である。図6に示されているように、鉄クロム合金において、クロムの濃度を種々調整してその表面に酸化被膜を形成すると、クロムが23%以上存在する場合において、酸化被膜が最も緻密に形成されることが一般に知られている。よって、本実施形態においても、濃度変化領域20に、クロムの濃度が23%以上の部分を形成している。こうすることで、シース管810の消耗が抑制され、耐久性が向上することになる。また、クロムが23%以上存在する部分が厚み方向に50μm以上あれば、グロープラグ10の使用に伴って、シース管810の表面から酸化皮膜が剥がれたとしても、その内側に十分な厚みのクロムが待機していることになるため、酸化被膜を迅速に再生することが可能になる。よって、本実施形態では、クロムの濃度が23%以上である部分が、シース管810の厚み方向に50μm以上存在するように、濃度変化領域20を形成している。こうすることで、クロム含有量の多いSUS310Sを用いてシース管810を形成した場合と同等の耐熱性と耐久性とを実現することができる。
また、本実施形態では、シース管810の内部領域25の炭素濃度を0.1%以下(好ましくは0.08%以下)とした。これは、つまり、クロム拡散浸透処理を施す前の基材の炭素濃度が0.1%以下(好ましくは0.08%以下)であることを意味する。一般的に、クロム拡散浸透処理では、基材に含まれる炭素の濃度によって、拡散浸透領域(濃度変化領域20)の厚みを調整可能であることが知られている。そのため、本実施形態のように、クロム拡散浸透処理を施す前のシース管810の炭素濃度を0.1%以下(好ましくは0.08%以下)とすれば、クロムの濃度が23%となる部分を安定して50μm以上形成することが可能になる。
また、本実施形態では、シース管810の最大の厚みと最小の厚みの差が、最小の厚みの20%以内である。そのため、クロム拡散浸透処理時における熱処理によってシース管810に歪みが生じてしまうことを抑制することができる。
なお、本実施形態では、シース管810は、オーステナイト系ステンレス材料(SUS304)にクロム拡散浸透処理を施すことで形成されている。しかし、シース管810は、他の材料によって形成することも可能である。例えば、フェライト系ステンレス(例えば、SUS430)や、Fe素材(例えば、SPCC)を採用することができる。また、ニッケル系合金に対してクロム拡散浸透処理を施すことでも、シース管810を形成可能である。例えば、ニッケル系合金であるインコロイ(登録商標)800に対してクロム拡散浸透処理を施せば、インコネル(登録商標)601を用いてシース管810を形成するよりも安価にシース管810を製造することができる。なお、シース管810をニッケル系合金で形成する場合には、濃度変化領域20に、クロムの濃度が21%以上である部分が、シース管810の厚み方向に50μm以上存在することが好ましい。また、前述の何れの材料を採用する場合においても、シース管810の内部領域25の炭素濃度は0.1%以下(好ましくは0.08%以下)であることが好ましい。
本実施形態のグロープラグ10は、補助熱源としての機能のみを有しているが、燃焼圧センサ機能を有していても良い。この場合、シースヒータ800を、軸線O方向に移動可能な構造とし、シースヒータ800の変位を検出可能なセンサをグロープラグ10に具備させることで、燃焼圧センサ機能を実現することができる。
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…グロープラグ
20…濃度変化領域
25…内部領域
30…酸化クロム領域
40…濃度低下領域
100…係合部材
200…中軸
210…先端部
290…雄ネジ部
300…リング
410…絶縁部材
460…Oリング
500…主体金具
510…軸孔
520…工具係合部
540…雄ネジ部
600…パッキン
800…シースヒータ
810…シース管
811…先端部
819…後端部
820…発熱コイル
821…先端部
829…後端部
830…制御コイル
831…先端部
839…後端部
840…絶縁粉末
O…軸線

Claims (10)

  1. 軸線方向に延び、先端が閉塞した金属製のシース管と、
    前記シース管の内側に前記軸線方向に沿って配置される発熱体と、
    を備えるグロープラグであって、
    前記シース管は、クロムを含有し、
    前記シース管の素材内部から少なくとも径方向外側の表面に向けて前記クロムの濃度が高くなる濃度変化領域を有することを特徴とするグロープラグ。
  2. 請求項1に記載のグロープラグであって、
    前記濃度変化領域は、前記クロムの濃度が連続的に上昇している部分を含むことを特徴とするグロープラグ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のグロープラグであって、
    前記シース管の前記濃度変化領域よりも前記表面側に、酸化クロム領域が形成されていることを特徴とするグロープラグ。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のグロープラグであって、
    前記シース管は、鉄系またはステンレス系の金属によって形成されていることを特徴とするグロープラグ。
  5. 請求項4に記載のグロープラグであって、
    前記濃度変化領域に、前記クロムの濃度が23%以上である部分が、前記シース管の厚み方向に50μm以上存在することを特徴とするグロープラグ。
  6. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のグロープラグであって、
    前記シース管は、ニッケル系合金によって形成されていることを特徴とするグロープラグ。
  7. 請求項6に記載のグロープラグであって、
    前記濃度変化領域に、前記クロムの濃度が21%以上である部分が、前記シース管の厚み方向に50μm以上存在することを特徴とするグロープラグ。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のグロープラグであって、
    前記シース管は炭素を含有し、
    前記シース管の前記濃度変化領域よりも内部の部分における前記炭素の濃度が0.1%以下であることを特徴とするグロープラグ。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のグロープラグであって、
    前記シース管の最大厚みと最小厚みの差が、最小厚みの20%以内であることを特徴とするグロープラグ。
  10. 軸線方向に延び、先端が閉塞した金属製のシース管と、
    前記シース管の内側に前記軸線方向に沿って配置される発熱体と、
    を有するグロープラグの製造方法であって、
    (a)前記シース管の少なくとも径方向外側の表面に対して、クロム拡散浸透処理を施す工程と、
    (b)前記工程(a)の後に、前記シース管内に前記発熱体を配置する工程と、
    を備える製造方法。
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