JP2011252228A - 改良された高温強度を有する耐酸化性部品及び関連する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温強度を有する耐酸化性部品及びかかる部品を創成する。
【解決手段】改変された母材金属は2種以上の強化用添加剤を母材金属20に添加することにより形成され得、この母材金属はニッケルとコバルトを実質的に含まず、約1重量%〜約27重量%のクロムを含む。次に、改変された母材金属を部品22に形成し得、アルミニウムを含有するスラリーを部品24の表面に設け得る。次いで、部品を加熱してアルミニウムを部品26中に拡散させてそこにアルミニウム拡散表面層10を形成し得る。
【選択図】図5
【解決手段】改変された母材金属は2種以上の強化用添加剤を母材金属20に添加することにより形成され得、この母材金属はニッケルとコバルトを実質的に含まず、約1重量%〜約27重量%のクロムを含む。次に、改変された母材金属を部品22に形成し得、アルミニウムを含有するスラリーを部品24の表面に設け得る。次いで、部品を加熱してアルミニウムを部品26中に拡散させてそこにアルミニウム拡散表面層10を形成し得る。
【選択図】図5
Description
本発明の主題は、一般に高温部品に関し、特に改良された高温強度を有する耐酸化性部品及びかかる部品を創成する方法に関する。
ガスタービンエンジン内の作動環境は熱的及び化学的の両方の意味で過酷である。例えば、タービンエンジン内の作動温度は使用するガスタービンの型に応じて約1200°F〜約2200°F(約650℃〜約1200℃)の範囲になり得る。かかる高温がガスタービンの酸化性の環境と相俟って、一般に、タービン内で許容できる作動寿命をもつほどに充分な高温強度と耐酸化性を有するニッケル又はコバルトを含有する合金から作成されたタービン部品を使用することが必要となる。従って、タービン部品は通例、ニッケル合金鋼、ニッケル基若しくはコバルト基超合金、又はその他の特殊合金から形成されている。
特殊合金の高温特性を変えるには、高温曝露中の母材金属の結晶格子内における転位の移動を低減することによりかかる合金の強度(例えば、耐力及び最大引張強度)を改良する強化機構が一般に知られている。例えば、固溶体強化は、母材金属の結晶格子にタングステンのような1種の元素の原子を添加することにより超合金の強度を改良するのに使用し得る。特に、これらの原子は、母材金属のマトリックス中に拡散して、母材金属の強度を増大する固溶体を形成し得る。また、析出強化は、結晶格子内の転位の移動を妨げる微細粒子を母材金属内に生成することにより超合金の強度を増大するのに使用し得る。
また、合金を酸化、高温腐食、等から保護することができる耐酸化性の環境皮膜を使用することによって、かかる特殊合金の高温能力の大きな進歩が達成されている。例えば、アルミニウムを含有する皮膜、特にアルミナイド皮膜が、ニッケル基及びコバルト基超合金のガスタービンエンジン部品上の環境皮膜として使用されている。空気中での高温曝露の間、アルミナイド皮膜は、皮膜及びその下にある基材の酸化を抑制する保護性の酸化アルミニウム(アルミナ)スケールを形成する。
超合金基材上の拡散皮膜は、通例、主として被覆された基材の元の表面の上にある外側皮膜又は付加層と元の表面の下に創成された拡散ゾーンとを有するものとして特徴付けられる。拡散皮膜の外側皮膜は主として金属間相MAlを含有しており、ここで、Mは通例ニッケル又はコバルトである。例えば、ニッケル基超合金の場合、金属の表面上にアルミニウムとして形成された、主としてNiAlからなる外側皮膜は、金属基材から外へ拡散するニッケルと結合する。拡散皮膜の拡散ゾーンは、一般に、皮膜反応中に基本的な溶解度の勾配及び変化の結果として生成する硬く脆い金属間相により特徴付けられる。従って、ニッケル基超合金の場合、拡散ゾーンは、内へ向かうアルミニウムの拡散と外へ向かうニッケルの拡散とに起因して創成され、アルミニウムの濃度は外側皮膜からの距離が増大するにつれて次第に低下し、ニッケルの濃度は外側皮膜からの距離が増大するにつれて次第に増大する。
アルミナイド拡散皮膜は、通例、パックセメンテーション若しくは気相アルミナイゼーション(VPA)法のような拡散プロセスによるか、又は化学蒸着(CVD)若しくはスラリー塗装で付着させたアルミニウムを拡散させることにより形成される。例えば、スラリー塗装拡散プロセスの場合、アルミニウムを含有するスラリーを調製し、被覆しようとする超合金基材の表面に塗布する。次に、このスラリーを1400°F(約760℃)超のような高温に加熱し、アルミニウムが超合金内に拡散することが可能なように充分な持続時間の間かかる温度に維持する。一般に、この処理温度により、拡散皮膜が外方型又は内方型のどちらに特徴付けられるかが決まり、外方型の拡散はより高い処理温度(例えば、被覆される合金の溶体化温度又はその付近)で起こる。ニッケル基超合金の場合、外方型拡散は、母材金属から外へ向かい、設けられたアルミニウム層(例えば、アルミニウムを含有するスラリーコーティング)内に入って外側皮膜を形成するニッケルの拡散を促進する一方で、設けられたアルミニウム層からアルミニウムが内に向かって拡散するのを低減し、結果として比較的厚い外側皮膜が基材の元の表面の上に形成される。逆に、より低い処理温度は設けられたアルミニウム層から基材内へ向かうアルミニウムの拡散を促進し、基材の表面の下まで延びる可能性がある外側皮膜により特徴付けられる内方型拡散皮膜が生成する。
アルミニウムが拡散したニッケル基又はコバルト基超合金のようなアルミニウムが拡散した特殊合金が優れた耐酸化性と共に充分な高温強度を提供することは充分に理解されているが、これらを高温部品の母材金属として使用するのには少なくとも1つの弱点がある。特に、特殊合金は製造するのが非常に高価となる可能性があり、材料費だけでより低いグレード/合金鋼より著しく高い。さらに、これらの材料費の増大に、その高温強度を改良し、及び/又は必要な皮膜を設けるための特殊合金の処理/加工に通例伴うコストが加わる。このように、最初から最後まで、高温特殊合金部品を製造するためのコストが極めて重要になる可能性がある。
耐酸化性のより低級グレード/合金鋼の開発によって、高温部品における特殊合金の使用に取って代わろうとする努力がなされて来ている。例えば、試みは、多くの低価格鋼における合金の添加により高アルミニウム合金を創成することに集中している。しかし、かかる低級グレード/合金鋼の溶融中に高アルミニウム合金を実現することは困難で問題があることが分かっている。また、これらの低級グレード/合金鋼の高温強度は通例最適にはほど遠く、従ってかかる鋼を全ての高温用途にわたって広範に使用することが妨げられている。
従って、アルミナイドで被覆された特殊合金、例えばニッケル基及びコバルト基超合金と同様な高温強度と耐酸化性を示す比較的低コストの鋼があれば当技術分野で歓迎されるであろう。
本発明の局面と利点は、一部は以下の説明に記載され、又は以下の記載から明らかになるか、又は本発明の実施を通じて分かるであろう。
1つの局面において、高温強度を有する耐酸化性部品を創成するための方法が広く開示される。この方法は、母材金属の溶融中に2種以上の強化用添加剤を加えて改変された母材金属を形成し、この改変された母材金属から部品を形成し、この部品の表面にスラリーコーティングを設け、部品を加熱して、アルミニウムをスラリーコーティングから部品中に拡散させることで部品内にアルミニウム拡散表面層を形成することを含み得る。
別の局面において、高温強度を有する耐酸化性部品が広く開示される。この部品は、部品として構成された改変された母材金属を含み得、この改変された母材金属は少なくとも部分的に、ニッケルとコバルトを両方とも実質的に含まないが約1重量%〜約27重量%のクロムを含む母材金属に2種以上の強化用添加剤を加えることにより形成される。また、この部品は改変された母材金属の表面の下に延びるアルミニウム拡散表面層を含む。このアルミニウム拡散表面層は約50μm超の厚さを有する金属間鉄−クロム−アルミニウム相により特徴付けられる。
本発明の上記及びその他の特徴、局面及び利点は以下の説明及び添付の特許請求の範囲を参照することでより良好に理解されるであろう。本明細書に組み込まれておりその一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、以下の説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
当業者に向けた、本発明の最良の形態を含めて十分で実施可能にする開示を、添付の図を参照して本明細書に記載する。
ここで、本発明の実施形態を詳細に説明するが、その1以上の例を図面に示す。各々の例は本発明の説明のために挙げるものであり、本発明を限定するものではない。実際、当業者には明らかなように、本発明の範囲又は思想から逸脱することなく本発明の様々な修正と変形をなすことができる。例えば、1つの実施形態の一部として例示又は記載した特徴を別の実施形態と共に使用してさらに別の実施形態とすることができる。従って、本発明は、かかる修正及び変形を、特許請求の範囲及びその等価物内に入るものとして包含するものである。
本発明の主題は、一般に、改良された高温強度を有する耐酸化性部品及びかかる部品を創成する方法に関する。特に、ガスタービンの環境のような様々な高温酸化性の環境で使用するのに適した低コスト部品が開示される。1つの実施形態において、この部品は、通例タービン部品を形成するのに使用されるニッケル基又はコバルト基の超合金のような特殊合金よりずっと安価な改変された低グレード/合金鋼から形成されたタービン部品からなり得る。また、本発明の主題は改良された高温強度を有する耐酸化性部品を創成する方法を開示する。この方法は一般に、2種以上の強化用添加剤を母材金属に加えて改変された母材金属を形成し、この改変された母材金属からタービン部品を形成し、アルミニウムを含有するスラリーをタービン部品の表面に塗装し、タービン部品を加熱して、スラリー内のアルミニウムがタービン部品中に拡散するのを可能にすることを含んでいる。
一般的に、本発明の主題の発明者は、様々なアルミニウム拡散皮膜を有する高合金ステンレス鋼(例えば304グレード及び310グレードのステンレス鋼)及び他の特殊合金(例えばニッケル基及びコバルト基超合金)のような特殊合金で見られる高温特性の多くが、ニッケルとコバルトを両方とも実質的に含まない鋼のような低グレード/合金鋼でも示され得ることを発見した。特に、様々な低価格鋼を強化用添加剤で改変し、アルミニウムを拡散させて、改良された高温強度と耐酸化性をもたらすことにより、かかる鋼から形成されたタービン部品が約1800°Fまでの温度に耐えることができるようにし得ると考えられる。こうして、1つの実施形態において、模造の高合金ステンレス鋼を比較的に安価な材料から創成することができる。
例えば、本発明の主題の範囲内と考えられる低グレード/合金鋼は、2種以上の強化用添加剤を含むように改変して、こうして改変される母材金属の降伏及び最大引張強度を高めるために固溶体強化、析出強化又はこれら両方を提供し得る。特に、これらの強化機構により、通例かかる鋼の強度が有意に低下し始める温度である1000°Fより十分高い温度で多くの低グレード/合金鋼が許容できる荷重負担強度を有することができよう。
また、アルミニウムをこれら低価格の改変された母材金属中に拡散させて、高温酸化剤への曝露中金属の酸化を防ぐアルミニウム拡散表面層を形成し得る。殊に、低グレード/合金鋼内にアルミニウム拡散表面層が創成され得、この拡散表面層は、この拡散層内のアルミニウムが鋼の酸化を抑制する保護性の酸化アルミニウム(アルミナ)スケールを形成するので、高温で長時間にわたり極めて耐酸化性であることが、酸化試験によって確認された。すなわち、例えば、アルミニウム拡散表面層は、低グレードの10Cr合金鋼(すなわち、クロム含有量が約8重量%〜約11重量%である合金鋼)内に形成され得る。酸化試験によって示されるように、10Cr合金鋼にかかる表面層が形成されると、この鋼は、少なくとも約1800°Fの温度の酸化性の環境におよそ5000時間の間耐えることができ、酸化の兆しはない。通例であれば、この10Cr合金鋼はおよそ1000°Fを越える温度で急速に酸化するであろう。
また、本発明の主題の発明者は、ニッケルとコバルトを実質的に含まない母材金属にアルミニウム拡散プロセスを適用することにより、この母材金属内(すなわち、母材金属の元の表面より下)に単一のアルミニウム拡散表面層が形成され得ることも発見した。特に、低グレード/合金鋼のアルミニウム拡散の結果、鋼の母材金属の元の表面の上を覆う外側皮膜が生じるのではなく、冶金学的に母材金属の一部である強固な金属間アルミニウム含有相により特徴付けられる拡散した表面層が生成することが判明した。また、多くの低グレード/合金鋼内に創成されるアルミニウム拡散表面層は比較的延性であり、そのため鋼の表面の欠け(chipping)、引っ掻き(scratching)及び/又は割れ(cracking)の可能性が低減することが判明している。さらに、この内方に拡散する表面層は広範囲の拡散温度(例えば、約1500°F〜約2100°F)にわたって形成され得、その結果使用する特定の拡散温度に応じて変化する均一の厚さの母材金属内に表面層が創成され得る。また、かかる処理温度は改変される母材金属内の析出強化も促進し得、それにより鋼の高温強度を増強し得るとも考えられる。
本明細書では、一般に、本発明の主題を、ガスタービン内に使用するタービン部品に関して説明する。しかし、本発明の主題の応用はガスタービン部品に限られる必要はなく、一般に任意の高温部品に適用できることが了解されるであろう。特に、本発明の主題は様々な高温の産業用途に使用される改良された高温強度を有する低価格の耐酸化性部品を形成するのに利用することができる。
ガスタービン用途に関して、本発明の主題によると、低グレード/合金鋼の溶融中に様々な強化用添加剤を添加してその母材金属の組成を改変することにより、その後かかる改変された母材金属から形成されるタービン部品の高温強度を改良し得る。この新たに形成されたタービン部品を次いでアルミニウム拡散プロセスに付して、そのタービン部品の改変された母材金属内に極めて耐酸化性のアルミニウム拡散表面層を創成し得る。従って、一般にガスタービン部品を形成するのに様々な特殊合金を使用することに伴う高いコストを回避し得る。例えば、本発明の主題で考えられる改変された低グレード/合金鋼を利用して、1800°Fまでの作動温度で充分な荷重負担強度及び耐酸化性を有するタービン部品を形成し得る。従って、本発明の主題は、主として利用されるガスタービンの作動温度に応じて、ガスタービンの様々な部分(例えば、その圧縮機及びタービン部分)に使用されるタービン部品に適用可能であるものと了解されたい。例えば、様々な実施形態において、本明細書に開示されている改変された低価格鋼は、限定されることはないがタービンシュラウド、圧縮機ベーン及びブレード、並びに多くのタービン動翼及びノズルを包含し得るタービン部品を形成するのに使用し得る。
前述のように、母材金属の高温特性を改良するために強化用添加剤の添加により改変される母材金属には、様々な低グレード/合金鋼組成物が含まれ得る。特に、母材金属は一般に、ニッケルとコバルトのいずれも実質的に含まないがクロム含有量が約1重量%〜約27重量%であるあらゆる基材鋼組成物からなり得る。例えば、幾つかの実施形態において、母材金属としては、限定されることはないが、クロム含有量が約11重量%〜約27重量%の範囲であるフェライトステンレス鋼、クロム含有量が約11重量%〜約18重量%の範囲であるマルテンサイトステンレス鋼、クロム含有量が約8重量%〜約11重量%の範囲である10Cr合金鋼、又はクロム含有量が約1重量%〜約8重量%の範囲である低クロム合金鋼を挙げることができる。ニッケルとコバルトの両方を実質的に含まないとは、その母材金属が一般に微量のニッケル又はコバルト、例えば約0.75重量%未満のニッケル又はコバルトを含むことを意味しているものと了解されたい。
本発明の主題の幾つかの実施形態によると、母材金属の溶融中、改良された高温特性を有する改変された母材金属を形成するために、様々な強化用添加剤を母材金属に添加し得る。本明細書で使用する場合、用語「強化用添加剤」は一般に、得られる鋼の強度をその鋼の結晶格子内の転位の移動を低減することにより改良するために基材鋼組成物に添加されるニッケル又はコバルト以外のあらゆる元素を意味する。従って、適切な強化用添加剤として、強化用添加剤の原子を母材金属の結晶格子に添加することにより固溶体強化を提供することが知られている元素を挙げることができる。かかる強化用添加剤としては、限定されることはないが、窒素、炭素、銅、タングステン、モリブデン及びこれらの混合物を挙げることができる。同様に、適切な強化用添加剤として、母材金属内に、鋼の結晶格子内の転位の移動を妨げる微細粒子(例えばナノサイズの粒子)を生成することにより鋼における析出強化を提供することが知られている元素も挙げることができる。かかる強化用添加剤としては、限定されることはないが、ニオブ、窒素、ホウ素、銅、マンガン、バナジウム、炭素、イットリウム、アルミニウム、チタン及びこれらの混合物を挙げることができる。幾つかの実施形態において、上記のような母材金属は、強化用添加剤として添加されるものと同じ元素の1種以上をある初期濃度で含み得ることが了解されるであろう。かかる場合、強化用添加剤は初期濃度に加えて添加されるかかる元素の量を構成する。
上記強化用添加剤の組合せを低価格の低グレード/合金鋼に添加することにより、かかる鋼の高温強度を1000°Fを越える温度で改良することができる。図1と2は、典型的な低グレード10Cr合金鋼(すなわち、クロム含有量が約8重量%〜約11重量%)の降伏及び最大引張強度を、2つの高合金ステンレス鋼、特に304グレード及び310グレードのステンレス鋼の強度と共に示すグラフである。図に示されているように、10Cr合金の降伏及び最大引張強度は一般に約1000°Fより低い温度では高合金ステンレス鋼よりずっと高い。しかし、10Cr合金の強度は1000°Fを越える温度で著しく低下し始める。特に、約1400°F〜約1700°Fの範囲の温度では、10Cr合金の降伏及び最大引張強度は高合金ステンレス鋼より低くなる。同様な強度曲線が様々な公知の低グレード/合金鋼で一般的であり、強度は特定の高温範囲内で高合金ステンレス鋼より低くなる。しかし、強化用添加剤を添加して鋼内で固溶体強化及び/又は析出強化を引き起こすことで、10Cr合金鋼のような低グレード/合金鋼の降伏及び最大引張強度が、約1800°Fの温度まで上昇しても、多くの高合金ステンレス鋼又はその他の特殊合金の強度以上に維持され得ると考えられる。
一般に、母材金属内で固溶体強化及び/又は析出強化を促進するためには、2種以上の強化用添加剤の組合せを添加して母材金属を改変しなければならない。一例として、一般にクロム、炭素及び残部の鉄を含む組成を有する母材金属では、様々な組合せの強化用添加剤を含ませて母材金属の高温特性を改変し得る。1つの実施形態において、炭素、モリブデン、バナジウム、窒素、ニオブ及びホウ素の組合せを母材金属に添加し得る。別の実施形態においては、炭素、ニオブ、バナジウム、窒素、ホウ素及びチタンの組合せを使用して母材金属を改変し得る。また、さらに別の実施形態においては、マンガン、タングステン、モリブデン、窒素及びホウ素の組合せを使用し得る。また、さらに別の実施形態においては、炭素、マンガン、銅、タングステン、窒素、チタン、及びアルミニウムの組合せを母材金属中に溶融混入し得る。しかし、母材金属を改変するのに使用する強化用添加剤の特定の組合せは一般に、母材金属中に存在する炭素の量のような母材金属の個々の組成、及び改変された母材金属の所望の高温特性に応じて変化し得ることが了解されるであろう。
さらに、母材金属を改変するのに使用する特定の強化用添加剤の個々の濃度もまた、母材金属の組成、改変された母材金属の所望の高温特性、並びに特定の強化用添加剤と組み合わせて使用される他の強化用添加剤の種類及び量に応じて変化することが了解されるであろう。しかし、一般に、改変された母材金属内の強化特性を有する特定の元素の総濃度(母材金属内の元素の初期濃度と強化用添加剤として添加される量とを含む)は、炭素が約0.15重量%〜約0.3重量%、ニオブが2重量%以下(例えば、2重量%までの正の量)、窒素が約0.01重量%〜約0.4重量%、ホウ素が約0.05重量%〜約0.15重量%、銅が2重量%以下(例えば、2重量%までの正の量)、タングステンが4重量%以下(例えば、4重量%までの正の量)、マンガンが4重量%以下(例えば、4重量%までの正の量)、モリブデンが3重量%以下(例えば、3重量%までの正の量)、バナジウムが1重量%以下(例えば、1重量%までの正の量)、イットリウムが0.2重量%以下(例えば、0.2重量%までの正の量)、アルミニウムが3重量%以下(例えば、3重量%までの正の量)、及びチタンが0.1重量%以下(例えば、0.1重量%までの正の量)と規定される範囲であり得る。
母材金属を改変して2種以上の強化用添加剤を含ませた後、この改変された母材金属は次にタービン部品のような高温部品に形成し得る。一般に、改変された母材金属は当技術分野で一般に知られているいかなる方法又は手段でも部品に形成することができる。例えば、1つの実施形態において、改変された母材金属を鋳造プロセスで使用して鋳造タービン部品を形成し得る。別の実施形態において、改変された母材金属を鍛造して鍛造タービン部品を形成してもよい。
改変された母材金属の組成、及び特に使用した強化用添加剤の種類と量に応じて、固溶体強化及び/又は析出強化のために、改変された母材金属の充分な強化が部品の形成中に起こり得ると考えられる。例えば、炭化物析出物は一般に溶融中に生成し得、従って鋳造プロセス又はその他任意の適切なプロセスにより形成されるタービン部品内で析出強化を提供し得る。また、鍛造されたタービン部品の熱間加工及び焼き鈍しは、部品の改変された母材金属内の微細な析出物の成長及び配置をさらに促進し得る。また、以下に記載するアルミニウム拡散プロセスの高い処理温度も、改変された母材金属内の析出物の成長を促進することによりさらなる強化を提供し得ると考えられる。しかし、他の実施形態において、充分な高温特性を達成することが可能になるように二次熱処理を実行してもよい。例えば、1つの実施形態において、形成された部品を、様々な公知の時効硬化処理又は、焼き鈍しのような他の適切な熱処理にかけて、改良された高温強度を提供し得る。 本発明の主題の様々な実施形態に従って、改変された母材金属から創成された部品をアルミニウム拡散プロセスに付して高い耐酸化性をその部品に付与することもできる。特に、アルミニウム拡散表面層は、アルミニウムが部品の表面に付着し、その部品中に拡散するというスラリー塗装拡散法により部品の改変された母材金属内に形成され得る。このスラリー塗装プロセスではアルミニウムを含有するスラリーを使用するが、その組成には金属アルミニウムを含有するドナー材料、ハロゲン化物活性化剤、及びバインダーが含まれる。特に、スラリー組成物の成分には、拡散プロセス中に粒子が焼結し易い不活性酸化物材料(例えば酸化アルミニウム)のような不活性充填材が含まれない。また、本発明の主題は一般にスラリー塗装拡散法に関して記載するが、アルミニウム拡散表面層は、パックセメンテーション、VPA及びCVDプロセスのような様々な他の公知の拡散プロセスにより、実質的にニッケルとコバルトを含まないタービン部品内に形成し得ると予測できる。
スラリー塗装用組成物に適したドナー材料には、一般に、およそ1220°F(660℃)の融点を有するアルミニウムより高い溶融温度のアルミニウム合金が包含され得る。例えば、ドナー材料として、限定されることはないが、クロム、コバルト及び/又は鉄と合金化された金属アルミニウムの合金を挙げることができる。拡散プロセス中に付着することはないが、その代わりにドナー材料のアルミニウムに対する不活性担体として役立つように充分に高い融点を有する他の適切な合金化剤は、当業者には明らかであろう。好ましい実施形態において、ドナー材料はクロム−アルミニウム合金からなる。特に、合金56Cr−44Al(44重量%のアルミニウムを含み、残部がクロム及び付随する不純物)は、本発明の主題により考えられる広範囲の拡散温度にわたって実施される拡散プロセスに適切であることが判明している。
1つの実施形態において、ドナー材料は、タービン部品の裂け目、内部の通路などにドナー材料が留まったり捕捉されたりする可能性を低減するために微細な粉末の形態であり得る。例えば、特定の実施形態において、ドナー材料の粒径は−200メッシュ(最大直径が74μm以下)以下であり得る。しかし、より大きいメッシュサイズの粉末も本発明の主題の範囲内で使用し得ると了解されたい。例えば、100メッシュ(最大直径が149μm以下)以上のメッシュサイズを有する粉末を使用してもよいと予測できる。
様々なハロゲン化物活性化剤をスラリー塗装用組成物内に使用し得る。特に適切なハロゲン化物活性化剤としては、塩化アンモニウム(NH4Cl)、フッ化アンモニウム(NH4F)、臭化アンモニウム(NH4Br)及びこれらの混合物のようなハロゲン化アンモニウムを挙げることができる。しかし、その他のハロゲン化物活性化剤を本発明の主題の範囲内で使用し得ることが了解されよう。一般に、適切なハロゲン化物活性化剤は、ドナー材料中に含まれるアルミニウムと反応して揮発性のハロゲン化アルミニウム(例えば AlCl3、AlF3)を形成することができ、このハロゲン化アルミニウムがタービン部品の表面で反応し、部品内に拡散して金属間鉄−クロム−アルミニウム相を形成する。また、スラリー中に使用するために、ハロゲン化物活性化剤は微細な粉末であり得る。さらに、幾つかの実施形態において、ハロゲン化物活性化剤粉末は、水系のバインダーを利用する場合などに湿気の吸収を抑制するためにカプセル内に封入してもよい。
スラリー塗装用組成物中に含まれる適切なバインダーには、一般に有機ポリマーが包含され得る。例えば、1つの実施形態において、バインダーとして、様々なアルコール系有機ポリマー、水系有機ポリマー又はこれらの混合物を挙げることができる。従って、バインダーは、ハロゲン化物活性化剤を気化させ反応させるのに必要とされる温度より低い温度で完全かつきれいに燃え尽きることができ、残る残渣は本質的に灰分の形態であり、例えば、拡散プロセスの後に部品の表面上に空気のようなガスを通すことにより容易に除去することができる。適切な水系の有機ポリマー性バインダーの商業的な例としては、VITTA CORPORATION(Bethel,CT)からBRAZ−BINDER GELという名称で入手可能なポリマー性ゲルがある。適切なアルコール系のバインダーは、ポリビニルアルコール(PVA)のような低分子量ポリアルコール(ポリオール)であることができる。さらに、1つの実施形態において、バインダーはまた、次亜リン酸ナトリウムのような硬化触媒又は促進剤を含んでいてもよい。本発明の主題の範囲内で様々な他のアルコール系又は水系のバインダーを使用し得ることが了解されよう。また、無機ポリマー性バインダーも、本発明の主題の範囲内で使用するのに適している可能性があると予測される。
適切なスラリー組成物は、一般に、約10重量%〜約80重量%の固形分充填率(ドナー材料及び活性化剤)を有し、残部はバインダーである。より特定的には、適切なスラリー組成物は、約35重量%〜約65重量%の範囲、例えば約45重量%〜約60重量%及びその間のあらゆる部分範囲のドナー材料粉末、約25重量%〜約60重量%の範囲、例えば約25重量%〜約50重量%及びその間のあらゆる部分範囲のバインダー、並びに約1重量%〜約25重量%の範囲、例えば約5重量%〜約25重量%及びその間のあらゆる部分範囲のハロゲン化物活性化剤を含有し得る。特定の実施形態において、スラリー組成物は約50重量%のドナー材料粉末、約10重量%のハロゲン化物活性化剤、及び残部のバインダーからなり得る。上記範囲内で、スラリー組成物は、噴霧、浸漬、ブラシ塗り、注入、等を含めて種々様々な方法でタービン部品に塗布することができるような粘稠度を有し得ることと了解されたい。
本発明の主題のスラリー組成物は、不均一なグリーン状態厚さ(すなわち未乾燥厚さ)を有し、それでも非常に均一な厚さのアルミニウム拡散表面層を生成するように塗布することができることが判明した。また、鋳造タービン部品をアルミニウム拡散プロセスに付す際、スラリー組成物を部品の鋳造したままの表面に直接塗布し得ることが判明した。従って、鋳造部品内に保護性のアルミニウム拡散表面層を形成するのに、鋳造表面の事前の機械加工は必要とされない。さらに、開示されたスラリー組成物は、広範囲の拡散温度にわたって、一般に約1500°F〜約2100°F(約815℃〜約1150℃)の範囲、例えば約1800°F〜約2000°F(約980℃〜約1090℃)及びその間のあらゆる部分範囲で、内方に拡散したアルミニウムに富む表面層を生成することができることも判明している。
鍛造又は鋳造タービン部品のような形成されたタービン部品の表面にスラリーを塗布した後、その部品を皮膜チャンバー又はレトルトに入れて拡散プロセスを実施し得る。追加のスラリーコーティング又は活性化剤材料がレトルト内に存在する必要はない。次に、このレトルトを排気し、−40°Fの露点が達成されるまで不活性又は還元性雰囲気(例えばアルゴン又は水素)を再充填し得る。次いで、レトルト内の温度をバインダーが燃え尽きるのに充分な温度、例えば約300°F〜約400°F(約150℃〜約200℃)に上昇させ、さらに加熱して上記所望の拡散温度、約1500°F〜約2100°Fにし得、この間にハロゲン化物活性化剤が揮発し、ハロゲン化アルミニウムが形成され、アルミニウムが部品の表面上に付着する。この部品を次にかかる拡散温度に約2時間〜約12時間、例えば約2時間〜約4時間の持続時間の間保持して、アルミニウムが部品の表面中に拡散することができるようにする。
拡散プロセスの後、部品をレトルトチャンバーから取り出し、部品内及び/又は部品上に残っているあらゆる残渣を取り除くことができる。かかる残渣は本質的にバインダーの灰分様の残渣及びドナー材料粒子の残渣に限定され、この後者は主としてドナー材料のアルミニウム以外の金属性構成成分であることが判明した。これらの残渣は、ワイヤーブラシ処理、ガラスビーズ若しくは酸化物グリットバニッシング、高圧水ジェット、又は他の固く付着した残渣を除去するための固体若しくは液体との物理的接触を伴うような方法などのようなより強力な除去技術を使用することなく、例えば強制ガス流を使用して容易に除去し得る。
タービン部品内のアルミニウム拡散表面層の厚さは、主として拡散処理の拡散温度及び持続時間に依存して変わり得る。しかし、一般に、厚さは、タービン部品の表面から、改変された母材金属内のアルミニウム濃度が0%である位置までで測定して、約25μm〜約400μm、例えば約100μm〜約400μm又は、約225μm〜約350μmの範囲、及びその間のあらゆる部分範囲であり得る。いかなる特定の理論にも縛られるつもりはないが、かかる比較的深い表面層、特に約200μm超の厚さは、利用する特定のアルミニウム拡散プロセス並びに母材金属内のニッケルとコバルトの欠如に起因して達成することができると考えられる。
また、アルミニウム拡散表面層のアルミニウム含有量も、限定されることはないが処理の拡散温度及び持続時間に応じて変化し得る。一般に、タービン部品の表面におけるアルミニウム含有量は約10重量%〜約14重量%、例えば約12重量%〜約14重量%の範囲、及びその間のあらゆる部分範囲であり得、このアルミニウム含有量はアルミニウム拡散表面層と非拡散の改変された母材金属との境界面で0%に低下することが判明している。従って、表面層は、部品の表面からその厚さにより減少するアルミニウム濃度を有する傾斜層であり得る。なお、タービン部品の表面におけるアルミニウム含有量は、異なる拡散温度及び持続時間並びにスラリー組成物内のアルミニウム含有量の異なるパーセンテージを考えると14重量%より大きいことがあり得ると予測できる。
また、改変された低グレード/合金鋼内に形成されたアルミニウム拡散表面層は比較的延性で展性であることも判明した。一般に、この表面層の硬さはRockwell Bスケール内であり得る。特に、表面層の硬さの値は、約70HRB〜約95HRB又は約75HRB〜約90HRB及びその間のあらゆる部分範囲のように中央〜上方のRockwell Bスケールの範囲であり得る。従って、本発明の主題により考えられる改変された母材金属から形成され、記載したスラリー塗装拡散法に付されたタービン部品は設置又は作動中に欠けたり、引っ掻き傷が付いたり、又は割れたりする可能性が少なくなり得る。本明細書に記載する硬さの値は全て、Knoop硬さ試験を用いて測定し、Rockwell Bスケールに変換されたものであることに留意されたい。具体的には、所定の材料の切断面にピラミッド状のダイアモンドを圧入し、生じた凹みを顕微鏡を用いて測定した。
さらに、アルミニウム拡散表面層の硬さ、並びに表面層の他の機械的及び耐酸化特性は、非拡散の改変された母材金属の熱処理により影響を受けないままであることが判明した。従って、アルミニウム拡散プロセス後、部品の改変された母材金属を熱処理して任意の所望の機械的特性を得ることができることが了解されよう。前述のように、1つの実施形態において、改変された母材金属に対して二次熱処理を行って、固溶体強化及び/又は析出強化をさらに促進することによりその高温強度を改良するのが望ましいことがある。例えば、タービン部品は、アルミニウム拡散表面層の特性を変えることなく焼き鈍し、又は急冷し、及び焼き戻すことができる。さらに、望ましい場合には、例えば制御された雰囲気中で部品を酸化剤に曝露してその表面上に保護性のアルミナスケールを形成するといったように、部品を予備的酸化処理にかけてもよいことが了解されよう。
図3と4は、上記アルミニウム拡散プロセスに付した後の2つの低グレード/合金鋼の顕微鏡写真である。特に、図3は、クロム含有量が約9重量%の鍛造された低グレード10Cr合金鋼の顕微鏡写真である。これから分かるように、アルミニウム拡散表面層10が、10Cr合金内で、鋼の元の表面12と非拡散母材金属14との間に形成されていた。表面層10は一般に金属間鉄−クロム−アルミニウム相からなり、アルミニウム含有量は元の表面12において約14重量%であり、表面層10と非拡散母材金属14との境界面において0重量%に低減していることが分かった。また、表面層10の厚さはおよそ305μm(0.012インチ)と測定された。同様に、図4は、クロム含有量が約12重量%の鋳造された低グレード410ステンレス鋼の顕微鏡写真である。図3で見られたのと同様に、アルミニウム拡散表面層10が、鋼の元の表面12と非拡散母材金属14との間に形成されていた。この表面層10は金属間鉄−クロム−アルミニウム相により特徴付けられた。また、表面層10の厚さはおよそ200μm(0.008インチ)と測定された。図3と4に示した鋼はいずれも、50重量%のクロムアルミニウム(56Cr−44Al)、10重量%の塩化アンモニウムを含有し、残部がVITTA BRAZ−BINDER GELであるスラリー組成物を被覆し、レトルト内で拡散温度2000°Fに持続時間4時間の間加熱したものであることに留意されたい。
ここで図5を参照すると、高温強度を有する耐酸化性部品を創成するための方法の1つの実施形態を示すフローチャートが示されている。20において、2種以上の強化用添加剤を母材金属に添加して改変された母材金属を形成する。さらに、22において、改変された母材金属から部品を形成する。また、24において、部品の表面にスラリーコーティングを設ける。さらに、26に示されているように、部品を加熱してアルミニウムをスラリーコーティングから部品内に拡散させる。
従って、本発明の主題により、一般に、改変された低グレード/合金鋼を用いて製造し得、改良された高温強度を有する耐酸化性のタービン部品が創成される。こうして、一般に特殊合金を使用する場合にかかるコストの何分の一かで高温タービン部品を創成し得る。
本明細書では例を用いて、最良の形態を含めて本発明を開示し、また、当業者が、あらゆる装置又は系を作り使用し、またあらゆる関連する方法を実行することを含めて本発明を実施することができるようにした。本発明の特許性のある範囲は特許請求の範囲に定義されており、当業者には明らかな他の例も包含し得る。かかる他の例は、特許請求の範囲の用語と異ならない構造要素を含むか、又は特許請求の範囲の用語と実質的には異ならない等価構造要素を含む場合、特許請求の範囲内に入るものである。
10 拡散表面層
12 元の表面
14 非拡散母材金属
12 元の表面
14 非拡散母材金属
Claims (15)
- 高温強度を有する耐酸化性部品を創成するための方法であって、
溶融中母材金属(14)に2種以上の強化用添加剤を添加して改変された母材金属(20)を形成し、ここで母材金属(14)はニッケル及びコバルトの両方を実質的に含まず、約1重量%〜約27重量%のクロムを含み、
改変された母材金属(22)から部品を形成し、
部品(24)の表面に、金属アルミニウム合金、ハロゲン活性化剤、及びバインダーを含むスラリーコーティングを設け、
部品を加熱してアルミニウムをスラリーコーティングから部品(26)中に拡散させて部品内にアルミニウム拡散表面層(10)を形成する
ことを含む方法。 - 前記2種以上の強化用添加剤の強化用添加剤が、炭素、ニオブ、窒素、ホウ素、銅、タングステン、マンガン、モリブデン、バナジウム、イットリウム、アルミニウム又はチタンを含む、請求項1記載の方法。
- 2種以上の強化用添加剤が炭素、モリブデン、バナジウム、窒素、ニオブ及びホウ素の組合せを含む、請求項1記載の方法。
- 2種以上の強化用添加剤が炭素、ニオブ、バナジウム、窒素、ホウ素及びチタンの組合せを含む、請求項1記載の方法。
- 2種以上の強化用添加剤が炭素、マンガン、タングステン、モリブデン、窒素及びホウ素の組合せを含む、請求項1記載の方法。
- 部品を形成するか又は部品を加熱することの少なくとも1つが、改変された母材金属内で固溶体強化又は析出強化の少なくとも1つを生ずる、請求項1記載の方法。
- アルミニウム拡散表面層(10)が約25μm〜約400μmの厚さを有する、請求項1記載の方法。
- 母材金属(14)が約8重量%〜約12重量%のクロムを含む、請求項1記載の方法。
- 高温強度を有する耐酸化性部品であって、
部品として構成された改変された母材金属と、
前記改変された母材金属の表面の下に延びるアルミニウム拡散表面層(10)と
を含んでなり、
前記改変された母材金属は少なくとも部分的に2種以上の強化用添加剤を母材金属(14)に添加することにより形成され、前記母材金属(14)はニッケル及びコバルトの両方を実質的に含まず、約1重量%〜約27重量%のクロムを含み、
前記アルミニウム拡散表面層(10)は約50μm超の厚さを有する金属間鉄−クロム−アルミニウム相で特徴付けられる部品。 - 前記2種以上の強化用添加剤の強化用添加剤が炭素、ニオブ、窒素、ホウ素、銅、タングステン、マンガン、モリブデン、バナジウム、イットリウム、アルミニウム又はチタンを含む、請求項9記載の部品。
- 前記2種以上の強化用添加剤が炭素、モリブデン、バナジウム、窒素、ニオブ及びホウ素の組合せを含む、請求項9記載の部品。
- 前記2種以上の強化用添加剤が炭素、ニオブ、バナジウム、窒素、ホウ素及びチタンの組合せを含む、請求項9記載の部品。
- 前記2種以上の強化用添加剤が炭素、マンガン、タングステン、モリブデン、窒素及びホウ素の組合せを含む、請求項9記載の部品。
- 前記アルミニウム拡散表面層(10)が約50μm〜約400μmの厚さを有する、請求項9記載の部品。
- 前記母材金属(14)が約8重量%〜約12重量%のクロムを含む、請求項9記載の部品。
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