JPH11345563A - 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法 - Google Patents

電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法

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JPH11345563A
JPH11345563A JP15086898A JP15086898A JPH11345563A JP H11345563 A JPH11345563 A JP H11345563A JP 15086898 A JP15086898 A JP 15086898A JP 15086898 A JP15086898 A JP 15086898A JP H11345563 A JPH11345563 A JP H11345563A
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electron
conductive film
crack
emitting device
voltage
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JP15086898A
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Hideyuki Sugioka
秀行 杉岡
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像形成装置の電子ビーム源として好適な優
れた電子放出特性を有する電子放出素子を安定して得ら
れるようにする。 【解決手段】 素子電極2,3間に跨がる導電性膜4へ
の亀裂形成時または亀裂形成直後に、急冷手段31から
液体33を噴射することによって導電性膜4を冷却する
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子、該
電子放出素子を多数個配置してなる電子源、該電子源を
用いて構成した表示装置や露光装置等の画像形成装置、
及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子には大別して熱電子
放出素子と冷陰極電子放出素子の2種類が知られてい
る。冷陰極電子放出素子には電界放出型(以下、「FE
型」と称す。)、金属/絶縁層/金属型(以下、「MI
M型」と称す。)や表面伝導型電子放出素子等が有る。
【0003】FE型の例としては、W.P. Dyke
and W.W. Dolan,“Field Em
ission”, Advance in Elect
ron Physics, 8,89(1956)ある
いはC.A. Spindt, “Physical
Properties of thin−filmfi
eld emission cathodes wit
h molybdenum cones”, J. A
ppl. Phys. ,47,5248(1976)
等に開示されたものが知られている。
【0004】MIM型の例としては、C.A. Mea
d, “Operation ofTunnel−Em
ission Devices”, J. Appl.
Phys., 32,646(1961)等に開示され
たものが知られている。表面伝導型電子放出素子の例と
しては、M.I. Elinson, Radio E
ng. Electron Phys., 10,12
90(1965)等に開示されたものがある。
【0005】表面伝導型電子放出素子は、絶縁性基板上
に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流す
ことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものであ
る。この表面伝導型電子放出素子としては、前記エリン
ソン等によるSnO2 薄膜を用いたもの、Au薄膜によ
るもの[G.Dittmer:“Thin Solid
Films”, 9,317(1972)]、In2
3 /SnO2 薄膜によるもの[M.Hartwell
and C.G. Fonstad:“IEEE T
rans. ED Conf.”, 519(197
5)]、カーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、
第26巻、第1号、22頁(1983)]等が報告され
ている。
【0006】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な例として、前述のM.ハートウェルの素子構成を図1
7に模式的に示す。同図において1は基板である。4は
導電性膜で、H型形状のパターンに形成された金属酸化
物薄膜等からなり、後述の通電フォーミングと呼ばれる
通電処理により電子放出部5が形成される。尚、図中の
素子電極間隔Lは、0.5〜1mm、W’は、0.1m
mで設定されている。
【0007】これらの表面伝導型電子放出素子において
は、電子放出を行う前に導電性膜4を予め通電フォーミ
ングと呼ばれる通電処理によって電子放出部5を形成す
るのが一般的である。即ち、通電フォーミングとは、前
記導電性膜4の両端に電圧を印加通電し、導電性膜4を
局所的に破壊、変形もしくは変質させて構造を変化さ
せ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部5を形成する処
理である。尚、電子放出部5では導電性膜4の一部に亀
裂が発生しており、その亀裂付近から電子放出が行われ
る。
【0008】上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が
単純であることから、大面積に亙って多数素子を配列形
成できる利点がある。そこで、この特徴を活かすための
種々の応用が研究されている。例えば、荷電ビーム源、
表示装置等の画像形成装置への利用が挙げられる。
【0009】従来、多数の表面伝導型電子放出素子を配
列形成した例としては、並列に表面伝導型電子放出素子
を配列し、個々の表面伝導型電子放出素子の両端(両素
子電極)を配線(共通配線とも呼ぶ)にて夫々結線した
行を多数行配列(梯子型配置とも呼ぶ)した電子源が挙
げられる(例えば、特開昭64−31332号公報、特
開平1−283749号公報、同2−257552号公
報)。
【0010】また、特に表示装置においては、液晶を用
いた表示装置と同様の平板型表示装置とすることが可能
で、しかもバックライトが不要な自発光型の表示装置と
して、表面伝導型電子放出素子を多数配置した電子源
と、この電子源からの電子線の照射により可視光を発光
する蛍光体とを組み合わせた表示装置が提案されている
(アメリカ特許第5066883号明細書)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の表面伝導型電子放出素子においては、フォーミン
グ時の亀裂の制御が困難であった。すなわち、亀裂形成
時における表面拡散等による膜の凝集過程速度が温度に
対して急激な増加関数であるため、亀裂幅が所望の幅よ
り拡大するのを制御することが困難であった。このた
め、必要以上に亀裂幅が増大し、電子放出特性に優れた
電子放出素子を必ずしも得られていない。
【0012】本発明の目的は、上記問題点を解決し、電
子放出特性の改善を図った電子放出素子を安定して得ら
れるようにすることにある。本発明の別の目的は、高輝
度で高品位画像を形成し得る画像形成装置を安定して提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
成された本発明の構成は、以下の通りである。
【0014】即ち、本発明の第1は、基体上に形成され
た一対の電極間に跨がる導電性膜に電子放出部を有する
電子放出素子の製造方法において、導電性膜への亀裂形
成時または亀裂形成直後に、該導電性膜を急冷すること
を特徴とする電子放出素子の製造方法にある。
【0015】本発明の第1によれば、導電性膜への亀裂
形成時における表面拡散等の凝集過程を抑制・制御し、
亀裂幅が所望の幅よりも拡大するのを防止することがで
きるものである。
【0016】上記本発明の第1は、さらにその特徴とし
て、「「前記導電性膜の急冷を、液体を該導電性膜に噴
射することによって行う」こと、「前記液体の噴射を、
該液体を急加熱し発泡させることによって行う」こと、
「前記導電性膜の急冷を、気体を該導電性膜に噴射する
ことによって行う」こと、「前記導電性膜を加熱し、該
導電性膜の凝集によって亀裂を発生させる」こと、「前
記導電性膜に亀裂が発生するのを検知し、この検知結果
に基づいて該導電性膜を急冷する」こと、「前記導電性
膜に亀裂を形成する処理操作と該導電性膜の急冷処理操
作とを、それぞれ適当な期間をおいて同期させて行う」
こと、「前記電子放出素子が、表面伝導型電子放出素子
である」こと、をも含むものである。
【0017】また、本発明の第2は、上記本発明の第1
の方法により製造されたことを特徴とする電子放出素子
にある。
【0018】また、本発明の第3は、基体上に、一対の
電極間に跨がる導電性膜に電子放出部を有する電子放出
素子が複数配列された電子源の製造方法において、これ
らの電子放出素子を上記本発明の第1の方法により製造
することを特徴とする電子源の製造方法にある。
【0019】また、本発明の第4は、上記本発明の第3
の方法により製造されたことを特徴とする電子源にあ
る。
【0020】上記本発明の第4は、さらにその特徴とし
て、「前記複数の電子放出素子が、マトリクス状に配線
されている」こと、「前記複数の電子放出素子が、梯子
状に配線されている」こと、をも含むものである。
【0021】また、本発明の第5は、基体上に複数の電
子放出素子が配列された電子源と、該電子源から放出さ
れる電子線の照射により画像を形成する画像形成部材と
を有する画像形成装置の製造方法において、該電子源を
上記本発明の第3の方法により製造することを特徴とす
る画像形成装置の製造方法にある。
【0022】さらに、本発明の第6は、基体上に複数の
電子放出素子が配列された電子源と、該電子源から放出
される電子線の照射により画像を形成する画像形成部材
とを有する画像形成装置において、該電子源が、上記本
発明の第4の電子源であることを特徴とする画像形成装
置にある。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の電子放出素子の基本的構
成には大別して、平面型及び垂直型の2つがある。先
ず、平面型の電子放出素子について説明する。
【0024】図1は、本発明の平面型の電子放出素子の
一構成例を示す模式図であり、図1(a)は縦断面図、
図1(b)は平面図である。図1において、1は基板、
2と3は電極(素子電極)、4は導電性膜、5は電子放
出部である。
【0025】基板1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青板ガラ
スにスパッタ法等によりSiO2 を積層した積層体、ア
ルミナ等のセラミックス及びSi基板等を用いることが
できる。
【0026】対向する素子電極2,3の材料としては、
一般的な導体材料を用いることができ、例えばNi、C
r、Au、Mo、W、Pt、Ti、Al、Cu、Pd等
の金属或は合金及びPd、Ag、Au、RuO2 、Pd
−Ag等の金属或は金属酸化物とガラス等から構成され
る印刷導体、In23 −SnO2 等の透明導電体及び
ポリシリコン等の半導体導体材料等から適宜選択され
る。
【0027】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
膜4の形状等は、応用される形態等を考慮して、設計さ
れる。素子電極間隔Lは、好ましくは、数百nmから数
百μmの範囲とすることができ、より好ましくは、素子
電極間に印加する電圧等を考慮して数μmから数十μm
の範囲とすることができる。素子電極長さWは、電極の
抵抗値、電子放出特性を考慮して、数μmから数百μm
の範囲とすることができる。素子電極2,3の膜厚d
は、数十nmから数μmの範囲とすることができる。
【0028】尚、図1に示した構成とは別に、基板1上
に、導電性膜4、素子電極2,3の順に形成した構成と
することもできる。
【0029】導電性膜4を構成する材料は、例えばP
d,Pt,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,C
r,Fe,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属、Pd
O,SnO2 ,In23 ,PbO,Sb23 等の酸
化物、HfB2 ,ZrB2 ,LaB6 ,CeB6 ,YB
4 ,GdB4 等の硼化物、TiC,ZrC,HfC,T
aC,SiC,WCなどの炭化物、TiN,ZrN,H
fN等の窒化物、Si,Ge等の半導体、カーボン等の
中から選ばれる。
【0030】導電性膜4には、良好な電子放出特性を得
るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好
ましい。その膜厚は、素子電極2,3へのステップカバ
レージ、素子電極2,3間の抵抗値等を考慮して適宜設
定されるが、通常は、数Å〜数百nmの範囲とするのが
好ましく、より好ましくは1nm〜50nmの範囲とす
るのが良い。その抵抗値は、Rsが102 Ωから107
Ωの値であるのが好ましい。なお、Rsは、幅がwで長
さがlの薄膜の長さ方向に測定した抵抗Rを、R=Rs
(l/w)と置いたときに現れる値である。
【0031】ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子
が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に
分散配置した状態のみならず、微粒子が互いに隣接、あ
るいは重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、
全体として島状構造を形成している場合も含む)をとっ
ている。微粒子の粒径は、数Å〜数百nmの範囲、好ま
しくは、1nm〜20nmの範囲である。
【0032】なお、本明細書では頻繁に「微粒子」とい
う言葉を用いるので、その意味について説明する。
【0033】小さな粒子を「微粒子」と呼び、これより
も小さなものを「超微粒子」と呼ぶ。「超微粒子」より
もさらに小さく、原子の数が数百個程度以下のものを
「クラスター」と呼ぶことは広く行われている。
【0034】しかしながら、それぞれの境は厳密なもの
ではなく、どの様な性質に注目して分類するかにより変
化する。また「微粒子」と「超微粒子」を一括して「微
粒子」と呼ぶ場合もあり、本明細書中での記述はこれに
沿ったものである。
【0035】例えば、「実験物理学講座14 表面・微
粒子」(木下是雄 編、共立出版1986年9月1日発
行)では、「本稿で微粒子と言うときにはその直径がだ
いたい2〜3μm程度から10nm程度までとし、特に
超微粒子というときは粒径が10nm程度から2〜3n
m程度までを意味することにする。両者を一括して単に
微粒子と書くこともあってけっして厳密なものではな
く、だいたいの目安である。粒子を構成する原子の数が
2個から数十〜数百個程度の場合はクラスターと呼
ぶ。」(195ページ 22〜26行目)と記述されて
いる。
【0036】付言すると、新技術開発事業団の“林・超
微粒子プロジェクト”での「超微粒子」の定義は、粒径
の下限はさらに小さく、次のようなものであった。
【0037】「創造科学技術推進制度の“超微粒子プロ
ジェクト”(1981〜1986)では、粒子の大きさ
(径)がおよそ1〜100nmの範囲のものを“超微粒
子”(ultra fine particle)と呼
ぶことにした。すると1個の超微粒子はおよそ100〜
108 個くらいの原子の集合体という事になる。原子の
尺度でみれば超微粒子は大〜巨大粒子である。」(「超
微粒子−創造科学技術」林主税、上田良二、田崎明
編;三田出版 1988年 2ページ1〜4行目)/
「超微粒子よりさらに小さいもの、すなわち原子が数個
〜数百個で構成される1個の粒子は、ふつうクラスター
と呼ばれる」(同書2ページ12〜13行目)。
【0038】上記のような一般的な呼び方をふまえて、
本明細書において「微粒子」とは多数の原子・分子の集
合体で、粒径の下限は数Å〜1nm程度、上限は数μm
程度のものを指すこととする。
【0039】電子放出部5は、導電性膜4の一部に形成
された高抵抗の亀裂により構成され、導電性膜4の膜
厚、膜質、材料及び後述するフォーミング等の手法等に
依存したものとなる。電子放出部5の内部には、数Åか
ら数十nmの範囲の粒径の導電性微粒子が存在する場合
もある。この導電性微粒子は、導電性膜4を構成する材
料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有するものと
なる。また、電子放出部5及びその近傍の導電性膜4に
は、後述の活性化工程によって形成される炭素あるいは
炭素化合物を有することもできる。
【0040】次に、垂直型の電子放出素子について説明
する。
【0041】図2は、本発明の垂直型の電子放出素子の
一構成例を示す模式図であり、図1に示した部位と同じ
部位には図1に付した符号と同一の符号を付している。
21は段差形成部である。基板1、素子電極2,3、導
電性膜4及び電子放出部5は、前述した平面型の電子放
出素子の場合と同様の材料で構成することができる。段
差形成部21は、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等で
形成されたSiO2 等の絶縁性材料で構成することがで
きる。段差形成部21の膜厚は、先に述べた平面型の電
子放出素子の素子電極間隔Lに対応し、数百nmから数
十μmの範囲とすることができる。この膜厚は、段差形
成部21の製法、及び、素子電極2,3間に印加する電
圧を考慮して設定されるが、数十nmから数μmの範囲
が好ましい。
【0042】本発明の電子放出素子の製造方法としては
様々な方法があるが、図1に示したような電子放出素子
を例に挙げて、その製造方法の一例を説明する。
【0043】1)基板1を洗剤、純水及び有機溶剤等を
用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等により
素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー技
術を用いて基板1上に素子電極2,3を形成する。
【0044】2)素子電極2,3を設けた基板1上に、
有機金属溶液を塗布して、有機金属膜を形成する。有機
金属溶液には、前述の導電性膜の材料の金属を主元素と
する有機化合物の溶液を用いることができる。この有機
金属膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等に
よりパターニングし、導電性膜4を形成する。ここで
は、有機金属溶液の塗布法を挙げて説明したが、導電性
膜4の形成法はこれに限られるものではなく、真空蒸着
法、スパッタ法、化学的気相堆積法、分散塗布法、ディ
ッピング法、スピンナー法等を用いることもできる。
【0045】3)次に、フォーミング工程を施す。この
フォーミング工程の方法の一例として通電処理による方
法を説明する。
【0046】本発明の最大の特徴は、このフォーミング
工程において導電性膜4に亀裂を形成する際に、導電性
膜4を急冷する点にある。本工程を図3を参照して具体
的に説明する。なお、図3において、図1に示した部位
と同一の部位には同一の符号を付しており、31は急冷
手段、32は急冷手段31の駆動手段、33は急冷手段
31から噴射する液体、34は通電処理用の電圧源、3
5は通電処理時の電流をモニターするための電流検出手
段であると同時に亀裂の形成を検知する亀裂検知手段で
ある。
【0047】素子電極2,3間に通電を行うと、導電性
膜4の部位に亀裂からなる電子放出部5が形成される。
かかる亀裂は、導電性膜4を局所的に破壊、変形もしく
は変質せしめ、構造の変化した部位である。
【0048】導電性膜4への亀裂発生は、通電処理時の
電流をモニターすることによって検知できる(詳しくは
実施例において説明する。)。そして、この亀裂形成時
または亀裂形成直後に、急冷手段31を駆動手段32に
よって駆動し、急冷手段31から液体33を導電性膜4
に滴下し、これを急冷する。このようにして導電性膜4
を急冷することにより、導電性膜4の表面拡散等の凝集
過程を抑制・制御し、亀裂幅が所望の幅よりも拡大する
のを防止することができる。
【0049】通電フォーミングの電圧波形の例を図4に
示す。
【0050】電圧波形は、特にパルス波形が好ましい。
これにはパルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に
印加する図4(a)に示した手法と、パルス波高値を増
加させながらパルスを印加する図4(b)に示した手法
がある。
【0051】まず、パルス波高値を定電圧とした場合に
ついて図4(a)で説明する。図4(a)におけるT1
及びT2 は電圧波形のパルス幅とパルス間隔である。三
角波の波高値(ピーク電圧)は、電子放出素子の形態に
応じて適宜選択される。このような条件のもと、例え
ば、数秒から数十分間電圧を印加する。パルス波形は、
三角波に限定されるものではなく、矩形波等の所望の波
形を採用することができる。
【0052】次に、パルス波高値を増加させながら電圧
パルスを印加する場合について図4(b)で説明する。
図4(b)におけるT1 及びT2 は、図4(a)に示し
たのと同様とすることができる。三角波の波高値(ピー
ク電圧)は、例えば0.1Vステップ程度づつ、増加さ
せることができる。
【0053】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2 中に、導電性膜4を局所的に破壊,変形しない程
度の電圧を印加し、電流を測定して検知することができ
る。例えば0.1V程度の電圧印加により流れる電流を
測定し、抵抗値を求めて、1MΩ以上の抵抗を示した
時、通電フォーミングを終了させる。
【0054】4)フォーミングを終えた素子には活性化
工程と呼ばれる処理を施すのが好ましい。活性化工程と
は、この工程により、素子電流If 、放出電流Ie が、
著しく変化する工程である。
【0055】活性化工程は、例えば、有機物質のガスを
含有する雰囲気下で、通電フォーミングと同様に、素子
電極2,3間にパルス電圧の印加を繰り返すことで行う
ことができる。
【0056】この雰囲気は、例えば油拡散ポンプやロー
タリーポンプなどを用いて真空容器内を排気した場合に
雰囲気内で残留する有機ガスを利用して形成することが
できる他、イオンポンプなどにより一旦十分に排気した
真空中に適当な有機物質のガスを導入することによって
も得られる。このときの好ましい有機物質のガス圧は、
前述の素子の形態、真空容器の形状や、有機物質の種類
などにより異なるため場合に応じ適宜設定される。適当
な有機物質としては、アルカン、アルケン、アルキンの
脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、
アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カル
ボン、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることが出来、
具体的には、メタン、エタン、プロパンなどCn2n+2
で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレン、アセ
チレンなどCn2nやCn2n-2等の組成式で表される
不飽和炭化水素、ベンゼン、メタノール、エタノール、
ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノ
ール、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等が使用できる。この
活性化処理により、雰囲気中に存在する有機物質から、
炭素或は炭素化合物が素子上に堆積し、素子電流If
放出電流Ie が著しく変化するようになる。
【0057】ここで、炭素及び炭素化合物とは、例えば
グラファイト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含す
るもので、HOPGはほぼ完全なグラファイト結晶構
造、PGは結晶粒が200Å程度で結晶構造がやや乱れ
たもの、GCは結晶粒が20Å程度になり結晶構造の乱
れがさらに大きくなったものを指す。)、非晶質カーボ
ン(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボン
と前記グラファイトの微結晶の混合物を指す。)であ
り、その膜厚は、50nm以下の範囲とするのが好まし
く、30nm以下の範囲とすることがより好ましい。
【0058】活性化工程の終了判定は、素子電流If
測定しながら、適宜行うことができる。
【0059】5)このような工程を経て得られた電子放
出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程
は、電子放出素子が配置された真空容器内の有機物質を
排気する工程である。真空容器を排気する真空排気装置
は、装置から発生するオイルが素子の特性に影響を与え
ないように、オイルを使用しないものを用いるのが好ま
しい。具体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ
等の真空排気装置を挙げることが出来る。真空容器内の
有機成分の分圧は、上記炭素あるいは炭素化合物がほぼ
新たに堆積しない分圧で1.3×10-6Pa以下が好ま
しく、さらには1.3×10-8Pa以下が特に好まし
い。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全
体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着し
た有機物質分子を排気し易くするのが好ましい。このと
きの加熱条件は、80℃以上、好ましくは150℃以上
で、できるだけ長時間処理するのが望ましいが、特にこ
の条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、
電子放出素子の構成などの諸条件により適宜選ばれる条
件により行う。真空容器内の圧力は極力低くすることが
必要で、1.3×10-5Pa以下が好ましく、さらには
1.3×10-6Pa以下が特に好ましい。
【0060】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、真空度自体は多少低下しても十分安定な
特性を維持することが出来る。このような真空雰囲気を
採用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の
堆積を抑制でき、結果として素子電流If ,放出電流I
e が安定する。
【0061】上述した工程を経て得られた本発明の電子
放出素子の基本特性について、図5及び図6を参照しな
がら説明する。
【0062】図5は、真空処理装置の一例を示す模式図
であり、この真空処理装置は測定評価装置としての機能
をも兼ね備えている。図5においても、図1に示した部
位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付し
ている。
【0063】図5において、55は真空容器であり、5
6は排気ポンプである。真空容器55内には電子放出素
子が配されている。また、51は電子放出素子に素子電
圧Vfを印加するための電源、50は素子電極2,3間
を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、54は
素子の電子放出部5より放出される放出電流Ieを捕捉
するためのアノード電極、53はアノード電極54に電
圧を印加するための高圧電源、52は電子放出部5より
放出される放出電流Ieを測定するための電流計であ
る。一例として、アノード電極54の電圧を1kV〜1
0kVの範囲とし、アノード電極54と電子放出素子と
の距離Hを2mm〜8mmの範囲として測定を行うこと
ができる。
【0064】真空容器55内には、不図示の真空計等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになって
いる。
【0065】排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロータ
リーポンプ等からなる通常の高真空装置系と、イオンポ
ンプ等からなる超高真空装置系とにより構成されてい
る。ここに示した電子放出素子基板を配した真空処理装
置の全体は、不図示のヒーターにより加熱できる。
【0066】図6は、図5に示した真空処理装置を用い
て測定された放出電流Ie 及び素子電流If と、素子電
圧Vf との関係を模式的に示した図である。図6におい
ては、放出電流Ie が素子電流If に比べて著しく小さ
いので、任意単位で示している。尚、縦・横軸ともリニ
アスケールである。
【0067】図6からも明らかなように、本発明の電子
放出素子は、放出電流Ie に関して次の3つの特徴的性
質を有する。
【0068】即ち、第1に、本素子はある電圧(閾値電
圧と呼ぶ;図6中のVth)以上の素子電圧を印加すると
急激に放出電流Ie が増加し、一方閾値電圧Vth以下で
は放出電流Ie が殆ど検出されない。つまり、放出電流
e に対する明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子で
ある。
【0069】第2に、放出電流Ie が素子電圧Vf に単
調増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vf で制
御できる。
【0070】第3に、アノード電極54(図5参照)に
捕捉される放出電荷は、素子電圧Vf を印加する時間に
依存する。つまり、アノード電極54に捕捉される電荷
量は、素子電圧Vf を印加する時間により制御できる。
【0071】以上の説明より理解されるように、本発明
の電子放出素子は、入力信号に応じて、電子放出特性を
容易に制御できることになる。この性質を利用すると複
数の電子放出素子を配して構成した電子源、画像形成装
置等、多方面への応用が可能となる。
【0072】図6においては、素子電流If が素子電圧
f に対して単調増加する(MI特性)例を示したが、
素子電流If が素子電圧Vf に対して電圧制御型負性抵
抗特性(VCNR特性)を示す場合もある(不図示)。
これらの特性は、前述の工程を制御することで制御でき
る。
【0073】次に、本発明の電子放出素子の応用例につ
いて以下に述べる。本発明の電子放出素子を複数個基板
上に配列し、例えば電子源や画像形成装置が構成でき
る。
【0074】電子放出素子の配列については、種々のも
のが採用できる。一例として、並列に配置した多数の電
子放出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を
多数個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向
(列方向と呼ぶ)で、該電子放出素子の上方に配した制
御電極(グリッドとも呼ぶ)により、電子放出素子から
の電子を制御駆動する梯子状配置のものがある。これと
は別に、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複
数個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の電極
の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に配さ
れた複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の配線
に共通に接続するものが挙げられる。このようなものは
所謂単純マトリクス配置である。まず単純マトリクス配
置について以下に詳述する。
【0075】本発明の電子放出素子については、前述し
た通り3つの特性がある。即ち、表面伝導型電子放出素
子からの放出電子は、閾値電圧以上では、対向する素子
電極間に印加するパルス状電圧の波高値と幅で制御でき
る。一方、閾値電圧以下では、殆ど放出されない。この
特性によれば、多数の電子放出素子を配置した場合にお
いても、個々の素子にパルス状電圧を適宜印加すれば、
入力信号に応じて、表面伝導型電子放出素子を選択して
電子放出量を制御できる。
【0076】以下この原理に基づき、本発明の電子放出
素子を複数配して得られる電子源基板について、図7を
用いて説明する。図7において、71は電子源基板、7
2はX方向配線、73はY方向配線である。74は電子
放出素子、75は結線である。
【0077】m本のX方向配線72は、Dx1,Dx2,…
…,Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等
を用いて形成された導電性金属等で構成することができ
る。配線の材料、膜厚、幅は適宜設計される。Y方向配
線73は、Dy1,Dy2,……,Dynのn本の配線よりな
り、X方向配線72と同様に形成される。これらm本の
X方向配線72とn本のY方向配線73との間には、不
図示の層間絶縁層が設けられており、両者を電気的に分
離している(m,nは、共に正の整数)。
【0078】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成
される。例えば、X方向配線72を形成した基板71の
全面或は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配
線72とY方向配線73の交差部の電位差に耐え得るよ
うに、膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向配線
72とY方向配線73は、それぞれ外部端子として引き
出されている。
【0079】電子放出素子74を構成する一対の素子電
極(不図示)は、それぞれm本のX方向配線72とn本
のY方向配線73に、導電性金属等からなる結線75に
よって電気的に接続されている。
【0080】配線72と配線73を構成する材料、結線
75を構成する材料及び一対の素子電極を構成する材料
は、その構成元素の一部あるいは全部が同一であって
も、また夫々異なってもよい。これらの材料は、例えば
前述の素子電極の材料より適宜選択される。素子電極を
構成する材料と配線材料が同一である場合には、素子電
極に接続した配線は素子電極ということもできる。
【0081】X方向配線72には、X方向に配列した電
子放出素子74の行を選択するための走査信号を印加す
る不図示の走査信号印加手段が接続される。一方、Y方
向配線73には、Y方向に配列した電子放出素子74の
各列を入力信号に応じて変調するための、不図示の変調
信号発生手段が接続される。各電子放出素子に印加され
る駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信
号の差電圧として供給される。
【0082】上記構成においては、単純なマトリクス配
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
【0083】このような単純マトリクス配置の電子源を
用いて構成した画像形成装置について、図8と図9及び
図10を用いて説明する。図8は、画像形成装置の表示
パネルの一例を示す模式図であり、図9は、図8の画像
形成装置に使用される蛍光膜の模式図である。図10
は、NTSC方式のテレビ信号に応じて表示を行うため
の駆動回路の一例を示すブロック図である。
【0084】図8において、71は電子放出素子を複数
配した電子源基板、81は電子源基板71を固定したリ
アプレート、86はガラス基板83の内面に蛍光膜84
とメタルバック85等が形成されたフェースプレートで
ある。82は支持枠であり、該支持枠82には、リアプ
レート81、フェースプレート86がフリットガラス等
を用いて接続されている。88は外囲器であり、例えば
大気中あるいは窒素中で、400〜500℃の温度範囲
で10分間以上焼成することで、封着して構成される。
【0085】74は、図1に示したような電子放出素子
である。72,73は、表面伝導型電子放出素子の一対
の素子電極と接続されたX方向配線及びY方向配線あ
る。
【0086】外囲器88は、上述の如く、フェースプレ
ート86、支持枠82、リアプレート81で構成され
る。リアプレート81は主に基板71の強度を補強する
目的で設けられるため、基板71自体で十分な強度を持
つ場合は別体のリアプレート81は不要とすることがで
きる。即ち、基板71に直接支持枠82を封着し、フェ
ースプレート86、支持枠82及び基板71で外囲器8
8を構成してもよい。一方、フェースプレート86とリ
アプレート81の間に、スぺーサーと呼ばれる不図示の
支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強
度をもつ外囲器88を構成することもできる。
【0087】図9は、蛍光膜を示す模式図である。蛍光
膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみで構成する
ことができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列
により、ブラックストライプ(図9(a))あるいはブ
ラックマトリクス(図9(b))等と呼ばれる黒色導電
材91と蛍光体92とから構成することができる。ブラ
ックストライプ、ブラックマトリクスを設ける目的は、
カラー表示の場合、必要となる三原色蛍光体の各蛍光体
92間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たな
くすることと、蛍光膜84における外光反射によるコン
トラストの低下を抑制することにある。黒色導電材91
の材料としては、通常用いられている黒鉛を主成分とす
る材料の他、導電性があり、光の透過及び反射が少ない
材料を用いることができる。
【0088】ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法
は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法や印刷法等
が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタルバ
ック85が設けられる。メタルバックを設ける目的は、
蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート8
6側へ鏡面反射することにより輝度を向上させること、
電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用さ
せること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダ
メージから蛍光体を保護すること等である。メタルバッ
クは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理
(通常、「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、その
後Alを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製でき
る。
【0089】フェースプレート86には、更に蛍光膜8
4の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
【0090】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、十分
な位置合わせが不可欠となる。
【0091】図8に示した画像形成装置は、例えば以下
のようにして製造される。
【0092】外囲器88内は、前述の安定化工程と同様
に、適宜加熱しながら、イオンポンプ、ソープションポ
ンプ等のオイルを使用しない排気装置により不図示の排
気管を通じて排気し、10-5Pa程度の真空度の有機物
質の十分に少ない雰囲気にした後、封止が成される。外
囲器88の封止後の真空度を維持するために、ゲッター
処理を行うこともできる。これは、外囲器88の封止を
行う直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加
熱等を用いた加熱により、外囲器88内の所定の位置に
配置されたゲッター(不図示)を加熱し、蒸着膜を形成
する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であ
り、該蒸着膜の吸着作用により、例えば1×10-5Pa
以上の真空度を維持するものである。ここで、電子放出
素子のフォーミング処理以降の工程は適宜設定できる。
【0093】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例
について、図10を用いて説明する。図10において、
101は画像表示パネル、102は走査回路、103は
制御回路、104はシフトレジスタ、105はラインメ
モリ、106は同期信号分離回路、107は変調信号発
生器、Vx及びVaは直流電圧源である。
【0094】表示パネル101は、端子Dox1 乃至D
oxm 、端子Doy1 乃至Doyn 及び高圧端子87を介して
外部の電気回路と接続している。端子Dox1 乃至Doxm
には、表示パネル101内に設けられている電子源、即
ち、m行n列の行列状にマトリクス配線された電子放出
素子群を1行(n素子)づつ順次駆動する為の走査信号
が印加される。端子Doy1 乃至Doyn には、前記走査信
号により選択された1行の電子放出素子の各素子の出力
電子ビームを制御する為の変調信号が印加される。高圧
端子87には、直流電圧源Vaより、例えば10kVの
直流電圧が供給されるが、これは電子放出素子から放出
される電子ビームに、蛍光体を励起するのに十分なエネ
ルギーを付与する為の加速電圧である。
【0095】走査回路102について説明する。同回路
は、内部にm個のスイッチング素子(図中、S1 乃至S
m で模式的に示している)を備えたものである。各スイ
ッチング素子は、直流電圧電源Vxの出力電圧もしくは
0[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、
表示パネル101の端子Dox1 乃至Doxm と電気的に接
続される。各スイッチング素子S1 乃至Sm は、制御回
路103が出力する制御信号Tscanに基づいて動作する
ものであり、例えばFETのようなスイッチング素子を
組み合わせることにより構成することができる。
【0096】直流電圧源Vxは、本例の場合には電子放
出素子の特性(電子放出閾値電圧)に基づき、走査され
ていない素子に印加される駆動電圧が電子放出閾値電圧
以下となるような一定電圧を出力するよう設定されてい
る。
【0097】制御回路103は、外部より入力される画
像信号に基づいて適切な表示が行われるように、各部の
動作を整合させる機能を有する。制御回路103は、同
期信号分離回路106より送られる同期信号Tsyncに基
づいて、各部に対してTscan,Tsft 及びTmry の各制
御信号を発生する。
【0098】同期信号分離回路106は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分とを分離するための回路で、一般的な周波
数分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期
信号分離回路106により分離された同期信号は、垂直
同期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便
宜上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から分
離された画像の輝度信号成分は、便宜上DATA信号と
表した。このDATA信号は、シフトレジスタ104に
入力される。
【0099】シフトレジスタ104は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路103より送られる制御信号Tsft に基づいて動
作する(即ち、制御信号Tsft は、シフトレジスタ10
4のシフトクロックであると言い換えてもよい。)。シ
リアル/パラレル変換された画像1ライン分のデータ
(電子放出素子n素子分の駆動データに相当)は、Id1
乃至Idnのn個の並列信号として前記シフトレジスタ1
04より出力される。
【0100】ラインメモリ105は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路103より送られる制御信号Tmry に従っ
て適宜Idi乃至Idnの内容を記憶する。記憶された内容
は、Id'1 乃至Id'n として出力され、変調信号発生器
107に入力される。
【0101】変調信号発生器107は、画像データI
d'1 乃至Id'n の各々に応じて、電子放出素子の各々を
適切に駆動変調する為の信号源であり、その出力信号
は、端子Doy1 乃至Doyn を通じて表示パネル101内
の電子放出素子に印加される。
【0102】前述したように、本発明の電子放出素子は
放出電流Ie に関して以下の基本特性を有している。即
ち、電子放出には明確な閾値電圧Vthがあり、Vth以上
の電圧が印加された時のみ電子放出が生じる。電子放出
閾値以上の電圧に対しては、素子への印加電圧の変化に
応じて放出電流も変化する。このことから、本素子にパ
ルス状の電圧を印加する場合、例えば電子放出閾値電圧
以下の電圧を印加しても電子放出は生じないが、電子放
出閾値電圧以上の電圧を印加する場合には電子ビームが
出力される。その際、パルスの波高値Vmを変化させる
ことにより、出力電子ビームの強度を制御することが可
能である。また、パルスの幅Pwを変化させることによ
り、出力される電子ビームの電荷の総量を制御すること
が可能である。
【0103】従って、入力信号に応じて電子放出素子を
変調する方式としては、電圧変調方式とパルス幅変調方
式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器107としては、一定長さの電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パル
スの波高値を変調できるような電圧変調方式の回路を用
いることができる。パルス幅変調方式を実施するに際し
ては、変調信号発生器107として、一定の波高値の電
圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧
パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を
用いることができる。
【0104】シフトレジスタ104やラインメモリ10
5は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のもの
でも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や
記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0105】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要があるが、これには同期信号分離回路106の
出力部にA/D変換器を設ければ良い。これに関連して
ラインメモリ105の出力信号がデジタル信号かアナロ
グ信号かにより、変調信号発生器107に用いられる回
路が若干異なったものとなる。即ち、デジタル信号を用
いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器107には、
例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等
を付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器
107には、例えば高速の発振器及び発振器の出力する
波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出力値
と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレー
タ)を組み合わせた回路を用いる。必要に応じて、比較
器の出力するパルス幅変調された変調信号を電子放出素
子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加す
ることもできる。
【0106】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器107には、例えばオペアンプ等を
用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト
回路等を付加することもできる。パルス幅変調方式の場
合には、例えば電圧制御型発振回路(VCO)を採用で
き、必要に応じて電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増
幅するための増幅器を付加することもできる。
【0107】このような構成をとり得る本発明の画像形
成装置においては、各電子放出素子に、容器外端子D
ox1 乃至Doxm 、Doy1 乃至Doyn を介して電圧を印加
することにより、電子放出が生じる。高圧端子87を介
してメタルバック85あるいは透明電極(不図示)に高
圧を印加し、電子ビームを加速する。加速された電子
は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が形成され
る。
【0108】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明の画像形成装置の一例であり、本発明の技術思想に基
づいて種々の変形が可能である。入力信号についてはN
TSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限られるもの
ではなく、PAL、SECAM方式等の他、これらより
も多数の走査線からなるTV信号(例えば、MUSE方
式をはじめとする高品位TV)方式をも採用できる。
【0109】次に、前述の梯子型配置の電子源及び画像
形成装置について、図11及び図12を用いて説明す
る。
【0110】図11は、梯子型配置の電子源の一例を示
す模式図である。図11において、110は電子源基
板、111は電子放出素子である。112は、電子放出
素子111を接続するための共通配線Dx1〜Dx10 であ
り、これらは外部端子として引き出されている。電子放
出素子111は、基板110上に、X方向に並列に複数
個配置されている(これを素子行と呼ぶ)。この素子行
が複数個配置されて、電子源を構成している。各素子行
の共通配線間に駆動電圧を印加することで、各素子行を
独立に駆動させることができる。即ち、電子ビームを放
出させたい素子行には、電子放出閾値以上の電圧を印加
し、電子ビームを放出させたくない素子行には、電子放
出閾値以下の電圧を印加する。各素子行間に位置する共
通配線Dx2〜Dx9は、例えばDx2とDx3、Dx4とDx5
x6とDx7、Dx8とDx9とを夫々一体の同一配線とする
こともできる。
【0111】図12は、梯子型配置の電子源を備えた画
像形成装置におけるパネル構造の一例を示す模式図であ
る。120はグリッド電極、121は電子が通過するた
めの開口、Dox1 乃至Doxm は容器外端子、G1 乃至G
n はグリッド電極120と接続された容器外端子であ
る。110は各素子行間の共通配線を同一配線とした電
子源基板である。図12においては、図8、図11に示
した部位と同じ部位には、これらの図に付したのと同一
の符号を付している。ここに示した画像形成装置と、図
8に示した単純マトリクス配置の画像形成装置との大き
な違いは、電子源基板110とフェースプレート86の
間にグリッド電極120を備えているか否かである。
【0112】図12においては、基板110とフェース
プレート86の間には、グリッド電極120が設けられ
ている。グリッド電極120は、電子放出素子111か
ら放出された電子ビームを変調するためのものであり、
梯子型配置の素子行と直交して設けられたストライプ状
の電極に電子ビームを通過させるため、各素子に対応し
て1個ずつ円形の開口121が設けられている。グリッ
ド電極の形状や配置位置は、図12に示したものに限定
されるものではない。例えば、開口としてメッシュ状に
多数の通過口を設けることもでき、グリッド電極を電子
放出素子の周囲や近傍に設けることもできる。
【0113】容器外端子Dox1 乃至Doxm 及びグリッド
容器外端子G1 乃至Gn は、不図示の制御回路と電気的
に接続されている。
【0114】本例の画像形成装置では、素子行を1列ず
つ順次駆動(走査)して行くのと同期してグリッド電極
列に画像1ライン分の変調信号を同時に印加する。これ
により、各電子ビームの蛍光体への照射を制御し、画像
を1ラインずつ表示することができる。
【0115】以上説明した本発明の画像形成装置は、テ
レビジョン放送の表示装置、テレビ会議システムやコン
ピューター等の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて
構成された光プリンターとしての画像形成装置等として
も用いることができる。
【0116】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
なく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素の置
換や設計変更がなされたものをも包含する。
【0117】[実施例1]本実施例は、電子放出素子の
製造工程における導電性膜への亀裂形成時に、導電性膜
の冷却に液体を用いるものである。
【0118】具体的には、図3に示したように、急冷手
段31として、液体33を噴射する急冷手段を用いるこ
とにより、導電性膜4に発生する亀裂部の温度が局部的
に高いような場合にも、この高温部に液体33が接触し
突発的な蒸発が起きる際に液体33の蒸発に必要な潜熱
を奪う効果により、効果的に冷却できる。
【0119】ここで、液体33としては、アルコール
類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、
カルボン、スルホン酸等の有機酸類等の有機物または、
その混合液や水または有機物または無機物を含む水溶液
等を用いることができる。
【0120】図13は、素子電極2,3を介して単発パ
ルスを導電性膜4に印加した時に、亀裂検知手段35で
検知される素子電流If の時間応答を模式的に示した図
である。
【0121】図13中、131は導電性膜4の凝集変化
による表面被覆率の低下を反映した抵抗の増大の始期を
示すものであり、亀裂形成の兆候を示す電流変化とし
て、亀裂発生の検出に利用できる。すなわち、亀裂検出
手段35は、例えば、素子電流If の減少を検知し、こ
の検知結果に基づきトリガー信号を駆動手段32に送り
冷却手段31を駆動することによって、亀裂形成直後に
導電性膜4を急冷することができる。
【0122】また、図13中、132は電流が急増する
始期を示すものであり、例えば導電性膜4としてPdO
等の酸化物を用いた場合に、導電性膜が金属に還元され
ることによって抵抗率が低下することが顕著に見られる
電流増加部であり、これも亀裂形成の兆候を示す電流変
化として、亀裂発生の検出に利用できる。すなわち、亀
裂検出手段35は、例えば、ある適当な期間における素
子電流If の急激な増加を検知し、この検知結果に基づ
きトリガー信号を駆動手段32に送り冷却手段31を駆
動することによって、亀裂形成直後に導電性膜4を急冷
することができる。
【0123】導電性膜4の冷却に液体を用いる別の急冷
手段の実施例を、図14に示す。図14は、細管141
とその内壁に配置したヒーター142を有し、このヒー
ター142で細管141内の液体143を急加熱し、発
泡させることにより、液体143を管外へ噴射する急冷
手段31の例であり、同図において、144は液体14
3の急加熱によって発生する気泡であり、145はヒー
ター142の駆動手段であり、146は液体を保持する
タンクであり、147は液体を細管141に供給する供
給管である。
【0124】いま、図3において、基板1をガラス基
板、素子電極2,3の材料を白金(Pt)とし、電極の
厚さを100nm、電極幅を100μm、導電性膜4の
材料を酸化パラジウム(PdO)、その厚さを10nm
とし、液体33を水とするとき、電圧源34を用いて、
例えばパルス高10V、パルス幅5msecの矩形パル
スを素子電極2,3間に印加すると、約1msec後に
図13の131に相当する電流ピークが亀裂検知手段3
5によって検出でき、トリガーパルスを図14に示した
急冷手段31の駆動手段(図3中の駆動手段32)に送
り、急冷手段31を駆動し細管141内の液体142を
発泡(144)させることにより、水の液滴を亀裂部5
に噴射し、導電性膜4全体の温度を急激に低下させるこ
とができる。
【0125】ここで、亀裂形成時に亀裂幅を増加させて
しまう要因となる表面拡散等による膜の凝集過程速度
が、温度に対して急激な増加関数であるために、膜の温
度の低下によって、膜の凝集速度が急激に抑制される。
【0126】例えば、表面拡散に対する拡散係数Dは次
に示すアレニウス型、 D ∝ exp(−ΔE/T) で表わされ、温度の上昇に対して、指数関数的に増加す
る。ここで、ΔEは表面拡散に対する活性化エネルギー
である。すなわち、亀裂形成直後に膜の温度が低下する
と、表面拡散等による膜の凝集速度が急激に抑制され、
電子放出素子にとって、好ましくない亀裂幅の増大を抑
制できる。
【0127】[比較例]実施例1とほぼ同じ条件で、急
冷手段31を駆動しない場合には、図13の131に相
当する電流ピークが亀裂検知手段35によって検出さ
れ、その後、電流値が低下し、膜が電気的に切れた状態
になるが、膜の温度はしばらく保持され、その間に亀裂
部の凝集が進行してしまう。
【0128】本発明による実施例1の素子及び比較例の
素子の素子特性を、図5の測定評価系にて測定したとこ
ろ、本発明の素子では素子電流If 、放出電流Ie は、
それぞれ2mA、1.8μAであった。一方、比較例の
素子では素子電流If 、放出電流Ie は、それぞれ0.
9mA、0.07μAであった。このように、電子放出
部の作成方法に依存して、本発明の素子では、素子特性
が改善されていることがわかる。
【0129】[実施例2]本実施例は、電子放出素子の
製造工程における導電性膜への亀裂形成時に、導電性膜
の冷却に気体を用いるものである。
【0130】図15は実施例2の特徴をよく表わす図で
ある。ここで、実施例2は気体153を噴射することを
特徴とする急冷手段31’を用いること、及び、加熱手
段151を有し、該加熱手段151により導電性膜4を
加熱し、膜の凝集によって発生する亀裂を検知手段35
で検知して急冷することを除いては、実施例1と同様で
ある。
【0131】気体153を噴射する急冷手段31’は、
例えば加熱気体と電磁弁を有するノズルから構成され、
亀裂検知手段35から送られるトリガー信号により、駆
動回路32によって該ノズルの電磁弁が開放状態にさ
れ、気体153を亀裂部5に発射し、亀裂部を冷却す
る。
【0132】ここで、気体153としては、空気また
は、乾燥空気、あるいは、He,Ne,Ar,Kr,X
e等の不活性ガス、あるいは窒素ガス等、多種の材料を
用いることができる。
【0133】また、152は加熱手段であるところのヒ
ーター付き加熱プレート151を駆動する手段であり、
急冷手段31’の駆動と同期して停止するものであり、
通電処理用の電圧源34はここでは電流をモニターする
ために微小電圧を印加する手段として使われる。
【0134】今、例えば、微小電圧0.1Vを電圧源3
4により、素子電極2,3間に印加し、この時の素子電
流を亀裂検知手段35でモニターしながら、加熱プレー
ト151を室温から200℃〜300℃程度の温度に上
昇させると、導電性膜4の凝集が徐々に進行し、表面の
被覆率の低下に伴って、膜の抵抗が増加することに対応
して電流が減少し、これを亀裂検知手段35が検出しト
リガーパルスを急冷装置駆動回路32に送り、急冷手段
31’を駆動し、気体153を亀裂部5に噴射するとと
もに、加熱手段駆動回路152により加熱プレート15
1の加熱を停止し、膜全体の温度を低下させることによ
り、表面拡散による薄膜形状の変化を抑制する。
【0135】ここでは、表面拡散による凝集により、導
電性膜4全体の被覆率を均一に低下させることにより亀
裂を形成させるため、亀裂幅が特定のところばかり広が
ることが防止できると同時に、急冷によって、亀裂形成
後に、膜の凝集が進行し、亀裂形成が変化することを抑
制できる。
【0136】なお、急冷手段として、実施例1の液体噴
射による急冷手段31を用い、本実施例で用いた加熱手
段151(図15参照)により、導電性膜4を加熱し、
膜の凝集によって発生する亀裂を検知手段35で検知し
て、急冷してもよい。
【0137】[実施例3]図16は実施例3の特徴をよ
く表わす図である。
【0138】実施例3は、亀裂形成に関する処理操作、
例えば、通電処理や加熱処理操作と急冷手段31の駆動
をそれぞれ適当な期間をおいて同期させて駆動し、導電
性膜4の亀裂形成時または亀裂形成直後に急冷手段31
を用いて急冷することを除いて実施例1及び実施例2と
同様である。
【0139】同図で、161は亀裂形成に関する処理操
作と急冷手段31の駆動をそれぞれ適当な期間ΔTをお
いて同期させて駆動するトリガー発生装置であり、急冷
手段31の駆動回路32に送られるトリガー信号は、電
圧源34に送られるトリガー信号に比べて、ある適当な
期間ΔTだけ遅れて発生させられる。
【0140】ここで、期間ΔTを適当に選ぶことによ
り、導電性膜4の亀裂形成時または亀裂形成直後に急冷
することができ、亀裂形成後の膜の凝集を抑制し亀裂幅
が所望の幅より拡大するのを防止できると同時に、亀裂
発生検知前に急冷手段31の駆動準備ができるため、急
冷手段31の駆動準備期間が長い場合にも亀裂形成直後
の極めて近い期間に急冷できる効果がある。
【0141】
【発明の効果】以上説明した如く、導電性膜の亀裂形成
時または亀裂形成直後に急冷することにより、亀裂形成
後の表面拡散等による膜の凝集変化を抑制し亀裂幅が所
望の幅より拡大するのを防止でき、電子放出特性の改善
効果がある。
【0142】また、多数の電子放出素子を配列形成し、
入力信号に応じて電子を放出する電子源においては、各
電子放出素子の電子放出特性の改善が図られる。更に、
かかる電子源を用いた画像形成装置においては、高輝度
で高品位な画像形成装置、例えばカラーフラットテレビ
が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る平面型の電子放出素子の一例を示
す模式図である。
【図2】本発明に係る垂直型の電子放出素子の一例を示
す模式図である。
【図3】本発明の電子放出素子の製造方法を説明するた
めの模式図である。
【図4】本発明の電子放出素子の製造に際して採用でき
る通電処理における電圧波形の一例を示す模式図であ
る。
【図5】本発明の電子放出素子の製造に用いることので
きる真空処理装置(測定評価装置)の一例を示す概略構
成図である。
【図6】本発明に係る電子放出素子の電子放出特性を示
す図である。
【図7】本発明の単純マトリクス配置の電子源の一例を
示す模式図である。
【図8】本発明の画像形成装置の表示パネルの一例を示
す模式図である。
【図9】表示パネルにおける蛍光膜の一例を示す模式図
である。
【図10】本発明の画像形成装置にNTSC方式のテレ
ビ信号に応じて表示を行うための駆動回路の一例を示す
ブロック図である。
【図11】本発明の梯子型配置の電子源の一例を示す模
式図である。
【図12】本発明の画像形成装置の表示パネルの一例を
示す模式図である。
【図13】本発明の実施例1における亀裂形成時の導電
性膜の電流応答の模式図である。
【図14】本発明の実施例1に関連する液体噴射型急冷
装置の概略図である。
【図15】本発明の実施例2における急冷装置の概略図
である。
【図16】本発明の実施例3における急冷装置の概略図
である。
【図17】従来例の表面伝導型電子放出素子の模式図で
ある。
【符号の説明】
1 基板 2,3 素子電極 4 導電性膜 5 亀裂を含む電子放出部 21 段差形成部材 31,31’ 急冷手段 32 急冷手段の駆動回路 33 液体 34 電圧源 35 亀裂検知手段 50 素子電流If を測定するための電流計 51 電子放出素子に素子電圧Vf を印加するための電
源 52 電子放出部5より放出される放出電流Ie を測定
するための電流計 53 アノード電極54に電圧を印加するための高圧電
源 54 電子放出部5より放出される電子を捕捉するため
のアノード電極 55 真空容器 56 排気ポンプ 71 電子源基板 72 X方向配線 73 Y方向配線 74 電子放出素子 75 結線 81 リアプレート 82 支持枠 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 87 高圧端子 88 外囲器 91 黒色導電材 92 蛍光体 101 表示パネル 102 走査回路 103 制御回路 104 シフトレジスタ 105 ラインメモリ 106 同期信号分離回路 107 変調信号発生器 Vx,Va 直流電圧源 110 電子源基板 111 電子放出素子 112 電子放出素子を配線するための共通配線 120 グリッド電極 121 電子が通過するための開口 131 第1の亀裂形成情報 132 第2の亀裂形成情報 141 細管 142 ヒーター 143 液体 144 発泡 145 ヒーターの駆動回路 146 液体保持タンク 147 供給管 151 加熱手段 152 加熱手段の駆動回路 153 気体 161 トリガー発生回路

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に形成された一対の電極間に跨が
    る導電性膜に電子放出部を有する電子放出素子の製造方
    法において、 導電性膜への亀裂形成時または亀裂形成直後に、該導電
    性膜を急冷することを特徴とする電子放出素子の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記導電性膜の急冷を、液体を該導電性
    膜に噴射することによって行うことを特徴とする請求項
    1に記載の電子放出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記液体の噴射を、該液体を急加熱し発
    泡させることによって行うことを特徴とする請求項2に
    記載の電子放出素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記導電性膜の急冷を、気体を該導電性
    膜に噴射することによって行うことを特徴とする請求項
    1に記載の電子放出素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記導電性膜を加熱し、該導電性膜の凝
    集によって亀裂を発生させることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記導電性膜に亀裂が発生するのを検知
    し、この検知結果に基づいて該導電性膜を急冷すること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子放出
    素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記導電性膜に亀裂を形成する処理操作
    と該導電性膜の急冷処理操作とを、それぞれ適当な期間
    をおいて同期させて行うことを特徴とする請求項1〜5
    のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記電子放出素子が、表面伝導型電子放
    出素子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
    に記載の電子放出素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の方法に
    より製造されたことを特徴とする電子放出素子。
  10. 【請求項10】 基体上に、一対の電極間に跨がる導電
    性膜に電子放出部を有する電子放出素子が複数配列され
    た電子源の製造方法において、これらの電子放出素子を
    請求項1〜8のいずれかに記載の方法により製造するこ
    とを特徴とする電子源の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の方法により製造さ
    れたことを特徴とする電子源。
  12. 【請求項12】 前記複数の電子放出素子が、マトリク
    ス状に配線されていることを特徴とする請求項11に記
    載の電子源。
  13. 【請求項13】 前記複数の電子放出素子が、梯子状に
    配線されていることを特徴とする請求項11に記載の電
    子源。
  14. 【請求項14】 基体上に複数の電子放出素子が配列さ
    れた電子源と、該電子源から放出される電子線の照射に
    より画像を形成する画像形成部材とを有する画像形成装
    置の製造方法において、該電子源を請求項10に記載の
    方法により製造することを特徴とする画像形成装置の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 基体上に複数の電子放出素子が配列さ
    れた電子源と、該電子源から放出される電子線の照射に
    より画像を形成する画像形成部材とを有する画像形成装
    置において、該電子源が、請求項11〜13のいずれか
    に記載の電子源であることを特徴とする画像形成装置。
JP15086898A 1998-06-01 1998-06-01 電子放出素子、電子源、画像形成装置及びそれらの製造方法 Withdrawn JPH11345563A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006222408A (ja) * 2005-01-14 2006-08-24 Ricoh Co Ltd 導体配線構造体、及びその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006222408A (ja) * 2005-01-14 2006-08-24 Ricoh Co Ltd 導体配線構造体、及びその製造方法
JP4675144B2 (ja) * 2005-01-14 2011-04-20 株式会社リコー 導体配線構造体の製造方法

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