JPH11345404A - 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法

Info

Publication number
JPH11345404A
JPH11345404A JP14989798A JP14989798A JPH11345404A JP H11345404 A JPH11345404 A JP H11345404A JP 14989798 A JP14989798 A JP 14989798A JP 14989798 A JP14989798 A JP 14989798A JP H11345404 A JPH11345404 A JP H11345404A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
thin
coil
magnetic head
insulating film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP14989798A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3424905B2 (ja
Inventor
Yoshitaka Sasaki
芳高 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP14989798A priority Critical patent/JP3424905B2/ja
Priority to US09/149,135 priority patent/US6204997B1/en
Publication of JPH11345404A publication Critical patent/JPH11345404A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3424905B2 publication Critical patent/JP3424905B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Heads (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 書き込み用の誘導型磁気変換素子を有する薄
膜磁気ヘッドにおいて、コイル束幅の縮小による磁路長
の短縮化によって各種特性を改善すると共に、製造工程
でのボイド発生を抑制して経時変化によるコイル断線を
防止する。 【解決手段】 第1のコイル12aの巻線体間領域であ
る螺旋状溝の内面に絶縁層13およびシード層31を順
次積層して形成すると共に、螺旋状溝の側面部分のシー
ド層31のみを覆うようにして絶縁膜側壁32aを形成
し、螺旋状溝の底部のシード層31からめっき成長を行
わせて第2のコイル14aを形成する。絶縁膜側壁32
aは、螺旋状溝の側面部分のシード層31からのめっき
成長を阻止する。シード層31および絶縁膜側壁32a
によって覆われた螺旋状溝の内部に第2のコイル14a
が埋め込まれるようにして形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも書き込
み用の誘導型磁気変換素子を有する薄膜磁気ヘッドおよ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ハードディスク装置の面記録密度
の向上に伴って、薄膜磁気ヘッドの性能向上が求められ
ている。薄膜磁気ヘッドとしては、書き込み用の誘導型
磁気変換素子を有する記録ヘッドと読み出し用の磁気抵
抗(以下、MR(Magneto Resistive )と記す。)素子
を有する再生ヘッドとを積層した構造の複合型薄膜磁気
ヘッドが広く用いられている。MR素子としては、異方
性磁気抵抗(以下、AMR(Anisotropic Magneto Resi
stive )と記す。)効果を用いたAMR素子と、巨大磁
気抵抗(以下、GMR(Giant Magneto Resistive )と
記す。)効果を用いたGMR素子とがある。AMR素子
を用いた再生ヘッドはAMRヘッドあるいは単にMRヘ
ッドと呼ばれ、GMR素子を用いた再生ヘッドはGMR
ヘッドと呼ばれる。AMRヘッドは、面記録密度が1ギ
ガビット/(インチ)2 を超える再生ヘッドとして利用
され、GMRヘッドは、面記録密度が3ギガビット/
(インチ)2 を超える再生ヘッドとして利用されてい
る。
【0003】AMRヘッドは、AMR効果を有するAM
R膜を備えている。GMRヘッドは、AMR膜を、GM
R効果を有するGMR膜に置き換えたもので、構造上は
AMRヘッドと同様である。ただし、GMR膜は、AM
R膜よりも、同じ外部磁界を加えたときに大きな抵抗変
化を示す。このため、GMRヘッドは、AMRヘッドよ
りも、再生出力を3〜5倍程度大きくすることができる
と言われている。
【0004】再生ヘッドの性能を向上させる方法として
は、MR膜を変える方法がある。一般的に、AMR膜
は、MR効果を示す磁性体を膜としたもので、単層構造
になっている。これに対して、多くのGMR膜は、複数
の膜を組み合わせた多層構造になっている。GMR効果
が発生するメカニズムにはいくつかの種類があり、その
メカニズムによってGMR膜の層構造が変わる。GMR
膜としては、超格子GMR膜、グラニュラ膜、スピンバ
ルブ膜等が提案されているが、比較的構成が単純で、弱
い磁界でも大きな抵抗変化を示し、量産を前提とするG
MR膜としては、スピンバルブ膜が有力である。このよ
うに、再生ヘッドは、例えば、MR膜をAMR膜からG
MR膜等の磁気抵抗感度の優れた材料に変えることで、
容易に、性能を向上するという目的を達せられる。
【0005】再生ヘッドの性能を決定する要因として
は、上述のような材料の選択の他に、パターン幅、特
に、MRハイトがある。このMRハイトとは、MR素子
のエアベアリング面側の端部から反対側の端部までの長
さ(高さ)をいい、エアベアリング面の加工の際の研磨
量によって制御されるものである。なお、ここにいうエ
アベアリング面は、薄膜磁気ヘッドの、磁気記録媒体と
対向する面であり、トラック面とも呼ばれる。
【0006】一方、再生ヘッドの性能向上に伴って、記
録ヘッドの性能向上も求められている。記録ヘッドの性
能のうち、記録密度を高めるには、磁気記録媒体におけ
るトラック密度を上げる必要がある。このためには、記
録ギャップ(write gap)を挟んでその上下に形成された
下部磁極(ボトムポール)および上部磁極(トップポー
ル)のエアベアリング面での幅を数ミクロンからサブミ
クロンオーダーまで狭くした狭トラック構造の記録ヘッ
ドを実現する必要があり、これを達成するために半導体
加工技術が利用されている。
【0007】記録ヘッドの性能を決定するその他の要因
としては、スロートハイト(ThroatHeight :TH)があ
る。スロートハイトは、エアベアリング面から、磁束発
生用の薄膜コイルを電気的に分離する絶縁層のエッジま
での磁極部分の長さ(高さ)を言う。記録ヘッドの性能
向上のためには、スロートハイトの縮小化が望まれてい
る。このスロートハイトも、エアベアリング面の加工の
際の研磨量によって制御される。
【0008】さらに、記録ヘッドの性能を向上させるた
めに、下部磁極および上部磁極の、薄膜コイルを挟む部
分の長さ(以下、磁路長という。)を短くすることが提
案されている。
【0009】このように、薄膜磁気ヘッドの性能の向上
のためには、記録ヘッドおよび再生ヘッドをバランスよ
く形成することが重要である。
【0010】以下、上記した磁路長の決定要因である薄
膜コイルの構造および形成方法を、図面を参照して説明
する。
【0011】図28〜図35は、従来の標準的な複合型
薄膜磁気ヘッドの一例として、MR素子を有する複合型
薄膜磁気ヘッドの製造工程の主要部を表すものである。
これらの図は、各工程における中間生成体の要部をエア
ベアリング面に垂直な平面で切ったときの断面を示す。
なお、ここでは、磁気抵抗効果型の再生用薄膜磁気ヘッ
ドの上に誘導型の記録用薄膜磁気ヘッドを積層した複合
型薄膜磁気ヘッドの場合について例示する。
【0012】まず、図28に示したように、例えばアル
ティック(Al2 3 ・TiC)からなる基体101の
上に、例えばアルミナ(Al2 3 )からなる絶縁層1
02を約5〜10μmの厚みに堆積する。この絶縁層1
02の上に、再生ヘッドのMR素子(後述するMR膜1
05)を外部磁界の影響から保護する磁気シールド層を
構成する下部シールド層103を3〜4μmの厚みで形
成する。次に、下部シールド層103上に、例えばアル
ミナを100〜200nmの厚みでスパッタ堆積し、シ
ールドギャップ膜104を形成したのち、その上に、再
生ヘッドのMR素子を構成するためのMR膜105を数
十nmの厚みに形成し、高精度のフォトリソグラフィで
所望の形状とする。次に、シールドギャップ膜104お
よびMR層105上にシールドギャップ膜106を形成
して、MR膜105をシールドギャップ膜104,10
6内に埋設する。次に、シールドギャップ膜106上
に、パーマロイ(NiFe)よりなる磁性層107を3
〜4μmの膜厚に形成する。この磁性層107は、上述
した下部シールド層103と共に再生ヘッドのGMR素
子を磁気遮蔽する上部シールド層の機能を有するだけで
なく、記録ヘッドの下部磁極としての機能をも有するも
のである。ここでは、説明の便宜上、磁性層107が記
録ヘッドを構成する一方の磁性層であることに注目し
て、以下、単に下部磁極107と記すものとする。
【0013】次に、図29に示したように、下部磁極1
07の上に、例えばアルミナ等の非磁性材料からなる記
録ギャップ層109を約200nmの膜厚に形成し、後
に磁極部分を構成する部分を除いて、記録ギャップ層1
09の上にスロートハイトの基準位置を決定するフォト
レジスト110を形成し、さらに表面全体に、銅(C
u)等からなる厚さ100nm程度の薄いシード層11
1をスパッタにより形成する。このシード層111は、
後に電気めっきによって薄膜コイルを形成するときのシ
ード(seed)となるものである。次に、シード層111の
上に3〜4μmの厚いフォトレジスト112を形成し、
フォトリソグラフィ法により、フォトレジスト112に
シード層111まで達する螺旋状の開口113を形成す
る。この開口113の深さは膜厚に等しく、幅は2μm
程度である。開口113により形成される螺旋状のフォ
トレジストパターンの幅もまた2μm程度である。
【0014】次に、図30に示したように、硫酸銅のめ
っき液を用いて銅の電気めっき処理を行い、フォトレジ
スト112の開口113内に第1層目の薄膜コイルを構
成するコイル状体114を形成する。このコイル状体1
14の膜厚は、開口113の深さよりも小さくするのが
好適であり、例えば2〜3μmとする。
【0015】次に、図31に示したように、フォトレジ
スト112を除去した後、図32に示したように、アル
ゴンイオンビームIBによるミリング(以下、イオンミ
リングという。)を施して、シード層111を除去して
コイル状体114の巻線体間を相互に分離し、第1層目
のコイル114aを形成する。このイオンミリングの際
には、コイル状体114の巻線体間の底部にあるシード
層111が薄膜コイルよりも外方に突出して残るのを抑
止するために、イオンミリングは5〜10°の角度を以
て行なう。このようにイオンミリングを垂直に近い角度
で行うと、シード層111を構成する材料がイオンビー
ムの衝撃によって飛散して再付着し、巻線体間を完全に
分離することができなくなることがあるので、コイル状
体114の巻線体間隔を比較的広くする必要がある。こ
の点については後述する。
【0016】次に、図33に示したように、第1層目の
コイル114aおよびフォトレジスト110を覆うよう
にフォトレジスト115を形成したのち、第1層目のコ
イル114aの平坦化および後述するエイペックス・ア
ングルの決定等を目的として、例えば250°Cの温度
で熱処理を行う。次に、同図に示したように、図29〜
図32に示した工程と同様の工程により、フォトレジス
ト115上に、シード層116を含む第2層目のコイル
117aを形成し、さらにフォトレジスト118を形成
する。次に、図34に示したように、コイル114a,
117aよりも後方(図34における右側)の位置にお
いて、磁路形成のために、記録ギャップ層109を選択
的にエッチングしたのち、パーマロイ等からなる上部磁
極119を3〜5μmの膜厚に形成する。この上部磁極
119は、コイル114a,117aよりも後方の位置
において、下部磁極107と接触し、磁気的に連結して
いる。
【0017】次に、図35に示したように、上部磁極1
19の磁極部分119aをマスクとして記録ギャップ層
109および下部磁極107を約0.5μm程度エッチ
ングして後述するトリム構造を形成したのち、図34に
示したように、全体を覆うようにして、例えばアルミナ
から成るオーバーコート層120を形成する。なお、図
35は、図34における積層構造を、MR層105を通
りエアベアリング面122に平行な面で切った状態を表
すものである。この図では、MR膜105を他の層と電
気的に絶縁するとともに磁気的に遮蔽するシールドギャ
ップ層104,106を分離して表すと共に、MR膜1
05に対する電気接続を行なうための導電層からなるリ
ード層121aおよび121bをも図示している。但
し、オーバーコート層120の図示を省略している。
【0018】最後に、スライダの機械加工を行って、図
34に示したように記録ヘッドおよび再生ヘッドのエア
ベアリング面122を形成して、薄膜磁気ヘッドが完成
する。
【0019】図34において、THはスロートハイトを
表し、MR−HはMRハイトを表している。これらのス
ロートハイトやMRハイト等の他に、薄膜磁気ヘッドの
性能を決定する要因として、図34においてθで示した
エイペックスアングル(ApexAngle)がある。このエイ
ペックスアングルは、フォトレジスト層110,11
5,118のエアベアリング面側の側面の角部を結ぶ直
線Sと上部磁極119の上面とのなす角度である。
【0020】図35において、P2Wは磁極幅を表して
いる。この図に示したように、上部磁極119の磁極部
分119a、記録ギャップ層109および下部磁極10
7の一部107aの各側壁が垂直に自己整合的に形成さ
れた構造は、トリム(Trim)構造と呼ばれる。このトリ
ム構造によれば、狭トラックの書き込み時に発生する磁
束の広がりによる実効トラック幅の増加を防止すること
ができる。
【0021】なお、実際の薄膜磁気ヘッドの製造におい
ては、上述した構造を多数形成したウェファを多数の薄
膜磁気ヘッドが配列されたバーに分割し、このバーの側
面を研磨してエアベアリング面122(図34)を得る
ようにしている。このエアベアリング面122の形成過
程においてMR膜105も研磨され、所望のスロートハ
イトおよびMRハイトを有する複合型薄膜磁気ヘッドが
得られる。さらに、実際の薄膜磁気ヘッドにおいては、
薄膜コイル114a,117aおよびMR膜105に対
する電気的接続を行なうための接点パッドが形成されて
いるが、以上説明した図では図示を省略してある。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにして形成
された従来の複合型薄膜磁気ヘッドにおいては、特に記
録ヘッドの微細化の点で以下のような問題がある。
【0023】一般に、磁路長LMを短くすることによっ
て、誘導型薄膜磁気ヘッドの磁束立ち上がり時間(Flux
Rise Time) や非線形トランジションシフト(Non-line
ar Transition Shift:NLTS) 特性や重ね書き(Over Writ
e)特性等を改善できることが知られている。ここで、磁
路長LMとは、図34に示したように、第1層目のコイ
ル114aおよび第2層目のコイル117aを囲む部分
における下部磁極107および上部磁極119の長さ
(すなわち、エアベアリング面から記録ギャップ層10
9に形成された開口までの距離)である。また、磁束立
ち上がり時間は、第1層目のコイル114aおよび第2
層目のコイル117aからなる薄膜コイルに電流を流し
てから、下部磁極107および上部磁極119からなる
磁気回路における磁束密度が所定レベルに達するまでの
時間であり、記録時における高周波特性を左右するもの
である。また、非線形トランジションシフトは、データ
記録時において、直前に記録した磁区からの磁束が記録
ヘッドの磁束と相互作用を起こし、新たに記録しようと
するトランジション(磁化方向が反転している部分)の
位置をシフトさせる現象をいい、データ記録位置の正確
さ、ひいては記録時における面密度特性を左右するもの
である。
【0024】磁路長LMを短くするためには、下部磁極
107および上部磁極119によって囲まれた第1層目
のコイル114aおよび第2層目のコイル117aのコ
イル束幅LCを短くする必要がある。このコイル束幅L
Cを短くするためには、第1層目のコイル114aおよ
び第2層目のコイル117a(以下、特に断わらない限
り、単に薄膜コイルという。)の各巻線体幅を小さくす
るか、あるいは各巻線体間隔を狭くする必要がある。し
かしながら、従来の薄膜磁気ヘッドでは、以下のような
理由から、薄膜コイルの巻線体幅または巻線体間隔を現
状よりも狭くするのは困難であった。
【0025】まず、薄膜コイルの電気抵抗を小さくする
必要があることから、巻線体幅を短くすることにはおの
ずから制限がある。たとえ、薄膜コイルの抵抗値を低く
するために導電率の高い銅を用いたとしても、薄膜コイ
ルの断面積の確保のために2〜3μm程度の高さは必要
なので、薄膜コイルの巻線体幅を1.5μm以下と狭く
形成するのは形状安定性の点で問題だからである。した
がって、薄膜コイルの巻線体幅をこれよりも狭くするこ
とは困難であった。
【0026】一方、薄膜コイルの巻線体間隔を狭くする
ことは次の2つの理由から困難であった。
【0027】第1の理由は次の通りである。すなわち、
従来より、薄膜コイルの形成は、図30において説明し
たように電気めっき法により行っているが、その際、フ
ォトレジスト112に形成した開口113内にウェファ
全体に亘って均一に銅を堆積させるために、予め薄いシ
ード層111を形成するようにしている。そのため、電
気めっき処理によって開口113内にコイル状体114
を形成したのち、その巻線体間を分離するために開口1
13内のシード層111を選択的に除去する必要があ
る。このシード層111の除去は、図32で説明したよ
うに、コイル状体114をマスクとして例えばアルゴン
を用いるイオンミリングによって行われる。ここで、イ
オンミリングは基本的には基体表面に対してほぼ垂直な
方向から行なうのが良いが、このようにすると、エッチ
ングされた銅の再付着が発生して、薄膜コイルの巻線体
間がショートして絶縁不良が起こりやすくなるので、そ
のような不都合を避けるために、基板の垂線に対してあ
る程度の角度を保ってイオンミリングを行う必要があ
る。一般には、例えば40〜45度という大きな角度を
もってイオンミリングを行うようにすれば、エッチング
材の再付着がほとんど発生しない。ところが、このよう
な大きな角度でイオンミリングを行うと、コイル状体1
14の影の部分にはイオンが十分に照射されず、開口1
13内のシード層111が大きく残ってしまう。したが
って、図32で説明したように、一般には5〜10度の
角度を以てイオンミリングを行うようにしている。しか
しながら、薄膜コイルの巻線体間隔をさらに狭くしよう
としたときには、5〜10度という小さな角度であって
もコイル状体114の影の部分にはイオンが十分に照射
されず、シード層111が部分的に残ってしまい、巻線
体間のショートの原因となる。上記した5〜10度以下
の角度でイオンミリングを行うと、上記したように、エ
ッチング材の再付着によってやはり巻線体間のショート
が発生する。したがって、薄膜コイルの巻線体間隔を2
〜3μm以下とすることは困難であった。
【0028】第2の理由は次の通りである。すなわち、
コイル状体114の巻線体間隔を1μm以下と狭くする
ためには、図29に示したように、フォトレジスト11
2の螺旋状パターンの線幅(壁厚)を狭く(薄く)する
必要がある。その一方、上記したように薄膜コイルの高
さを2〜3μmとするためには、開口113の深さ、す
なわちフォトレジスト112の膜厚を3〜4μmとする
必要がある。ところが、図30において説明したように
電気めっき法によって薄膜コイルを形成する際には、形
成膜厚の均一性を確保するために硫酸銅等の電解メッキ
液を攪拌する必要がある。このため、コイル状体114
の巻線体間隔を狭くするためにフォトレジスト112の
螺旋状パターンの線幅(壁厚)をあまりに薄くすると、
電解めっき液の攪拌によってこの薄い壁が倒壊してしま
い、薄膜コイルを正確に形成することができない。した
がって、薄膜コイルの巻線体間隔を狭くすることは困難
であった。
【0029】以上のことから、薄膜コイルの巻線体幅お
よび巻線体間隔を現状よりも狭くすることは容易でな
く、その結果、コイル束幅LCを短くすることは困難で
あった。
【0030】また、記録ヘッドの上記NLTS特性を向
上するために、薄膜コイルのコイル巻回数を多くするこ
とが考えられる。しかし、コイル束幅LCを増加させる
ことなく、かつ、薄膜コイルの巻線体幅および巻線体間
隔を縮小することなく、コイル巻回数を多くするには、
薄膜コイル層の層数を4層、5層と多くする必要があ
る。ところが、薄膜コイル層の層数を増加すると、上記
したアペックスアングルθが大きくなってしまい、狭ト
ラック幅(図34における磁極幅P2Wの狭小化)を達
成することができなくなる。アペックスアングルを所定
の範囲に収めるためには、薄膜コイル層の層数は3層以
下、好適には2層以下とするのが望ましいが、これでは
コイル巻回数を多くすることはできず、結局、NLTS
特性を改善することが困難である。
【0031】このような問題点を解決すべく、本出願人
は、螺旋状に形成された第1の薄膜コイルの巻線体間領
域である螺旋状溝の少なくとも底面および側面を覆うよ
うに絶縁膜を形成すると共に、この絶縁膜により覆われ
た螺旋状溝の少なくとも内部に、絶縁膜に直接接触する
ようにして第2の薄膜コイルを埋め込み形成するように
した薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法を提案してい
る。この薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法によれば、
薄膜コイル部を構成する第1の薄膜コイルおよび第2の
薄膜コイルが絶縁膜を介して同一階層に属することとな
ることから、各薄膜コイルの巻線体幅および巻線体間隔
を現状よりも特段に狭くしなくても、薄膜コイル部の単
一階層当たりの巻線体ピッチを縮小することができる。
したがって、コイル束幅LCを短くすることができる結
果、磁路長LMの短縮化が可能となる。
【0032】さらに、この薄膜磁気ヘッドの製造方法の
具体例として、本出願人は、第2の薄膜コイルの形成を
設備コストのあまりかからない電気めっき法により行う
ことを提案している。具体的には、上記の絶縁膜を覆う
ようにして薄い導電膜を形成し、この導電膜をシード層
として電気めっき処理によるめっき成長を行わせること
で、絶縁膜により覆われた螺旋状溝の内部を第2の薄膜
コイルとなる導電層で埋め込むようにすることを提案し
ている。
【0033】しかしながら、上記のように、電気めっき
法によって第2の薄膜コイルを形成しようとした場合に
は、螺旋状溝の底部に形成されたシード層のみならず、
螺旋状溝の側面に形成されたシード層からもめっき成長
が進行する。このとき、一般に、溝の底部からのめっき
成長速度よりも溝の側面からのめっき成長速度の方が速
いため、狭い螺旋状溝の内部に、キーホール(key hole)
と呼ばれるボイド(void;空隙部)が発生する場合があ
る。電気めっき法において、例えば銅(Cu)をめっき
成長させる場合には、通常、めっき液(電解溶液)とし
て硫酸銅が用いられるが、上記したように、螺旋状溝の
内部にボイドが発生すると、そのボイド部にめっき液が
残留することとなる。この残留めっき液は、薄膜磁気ヘ
ッドの製造後において、薄膜コイルを腐食させて断線さ
せる原因となる可能性がある。
【0034】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、コイル束幅の狭小化による磁路長の
短縮化によって各種特性を改善することができると共
に、製造工程におけるボイドの発生を抑制して経時変化
によるコイル断線を防止することができる薄膜磁気ヘッ
ドおよびその製造方法を提供することにある。
【0035】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜磁気ヘッド
は、磁気的に連結され、かつ記録媒体に対向する側の一
部がギャップ層を介して対向する2つの磁極を含む少な
くとも2つの磁性層と、この少なくとも2つの磁性層あ
るいはこれらに連結された他の磁性層の間に配設された
薄膜コイル部とを有する薄膜磁気ヘッドであって、薄膜
コイル部が、螺旋状に形成された第1の薄膜コイルと、
第1の薄膜コイルの巻線体間領域である螺旋状溝の少な
くとも底面および側面を覆うように形成された絶縁膜
と、この絶縁膜により覆われた螺旋状溝の少なくとも底
面および側面を覆うように形成された導電膜と、導電膜
のうち、螺旋状溝の側面部分の導電膜のみを覆うように
形成された絶縁膜側壁と、導電膜および絶縁膜側壁によ
って覆われた螺旋状溝の少なくとも内部を埋め込むよう
にして形成された第2の薄膜コイルとを含むように構成
したものである。
【0036】本発明の薄膜磁気ヘッドでは、第1の薄膜
コイルの巻線体間領域である螺旋状溝の少なくとも内部
を埋め込むようにして形成された第2の薄膜コイルは、
絶縁膜によって第1の薄膜コイルから絶縁分離される。
この構造により、第1の薄膜コイルおよび第2の薄膜コ
イルが絶縁膜を介して同一階層に属することとなり、薄
膜コイル部における単一階層当たりの巻線体ピッチが縮
小される。また、螺旋状溝内の絶縁膜は所定の機能を有
する導電膜で覆われているが、螺旋状溝の側面部分の導
電膜は、絶縁膜側壁によって覆われることにより、その
機能が抑止される。
【0037】また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、上記
の導電膜が、例えば第2の薄膜コイルの形成の際に用い
られる下地導電膜として機能するものであるようにする
ことが可能である。具体的には、上記の導電膜が、例え
ば、第2の薄膜コイルを成長させるためのシード層とし
て機能するものであるようにすることが可能である。こ
の場合、絶縁膜側壁は、螺旋状溝の側面部分の導電膜を
シード層として第2の薄膜コイルが成長形成されるのを
阻止するという役割を果たし、螺旋状溝の底面部分に露
出した導電膜のみをシード層として、第2の薄膜コイル
が例えばめっき成長により形成されるようにすることが
可能である。
【0038】また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、上記
の絶縁膜が第1の薄膜コイルの頂部にまで達するように
形成されるようにしてもよい。この場合には、さらに、
第2の薄膜コイルが、絶縁膜を介して第1の薄膜コイル
の頂部の一部をも覆うようにして形成されるようにする
ことが可能である。
【0039】また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、上記
の薄膜コイル部が、さらに、層間絶縁膜を介して第1の
薄膜コイルおよび第2の薄膜コイルとは別層として形成
されると共に第1の薄膜コイルの内周端と第2の薄膜コ
イルの外周端との間または第1の薄膜コイルの外周端と
第2の薄膜コイルの内周端との間を接続する第3の薄膜
コイルを含むようにしてもよい。
【0040】また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、第1
の薄膜コイルが、薄い下地導電膜と、この下地導電膜を
シード層として形成された導電めっき層とを含んで構成
されるようにしてもよい。
【0041】また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、上記
の絶縁膜が無機絶縁膜であるようにしてもよい。この場
合において、無機絶縁膜としては酸化アルミニウムを用
いることができる。
【0042】また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、上記
の絶縁膜側壁が無機絶縁膜であるようにしてもよい。こ
の場合において、無機絶縁膜としては酸化アルミニウム
を用いることができる。
【0043】また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、上記
の絶縁膜は、それが第1の薄膜コイルの巻線体間領域で
ある螺旋状溝の少なくとも底面および側面を覆った状態
においても螺旋状溝に対応した溝形状が残存し得る程度
の膜厚を有するように形成されるのが好適である。
【0044】また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、薄膜
コイル部が、層間絶縁膜を介して階層的に複数形成され
るようにしてもよい。
【0045】また、本発明の薄膜磁気ヘッドでは、さら
に、読み出し用の磁気抵抗素子を有していてもよい。
【0046】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法
は、磁気的に連結され、かつ記録媒体に対向する側の一
部がギャップ層を介して対向する2つの磁極を含む少な
くとも2つの磁性層と、この少なくとも2つの磁性層あ
るいはこれらに連結された他の磁性層の間に配設された
薄膜コイル部とを有する薄膜磁気ヘッドの製造方法であ
って、薄膜コイル部の形成工程が、螺旋状の第1の薄膜
コイルを形成する工程と、第1の薄膜コイルの巻線体間
領域である螺旋状溝の少なくとも底面および側面を覆う
ように絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜により覆われた
螺旋状溝の少なくとも底面および側面を覆うように導電
膜を形成する工程と、導電膜のうち、螺旋状溝の側面部
分の導電膜のみを覆うように絶縁膜側壁を形成する工程
と、導電膜および絶縁膜側壁によって覆われた螺旋状溝
の少なくとも内部を埋め込むようにして第2の薄膜コイ
ルを形成する工程とを含むようにしたものである。
【0047】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法で
は、上記の導電膜が、例えば第2の薄膜コイルの形成の
際に用いられる下地導電膜として機能するものであるよ
うにすることが可能である。具体的には、上記の導電膜
が、第2の薄膜コイルを成長させるためのシード層とし
て機能するものであるようにすることが可能である。こ
の場合、絶縁膜側壁は、螺旋状溝の側面部分の導電膜を
シード層として第2の薄膜コイルが成長形成されるのを
阻止するという役割を果たし、螺旋状溝の底面部分に露
出した導電膜のみをシード層として、第2の薄膜コイル
が例えばめっき成長により形成されるようにすることが
可能である。
【0048】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法で
は、上記の絶縁膜が第1の薄膜コイルの頂部にまで達す
るようにしてもよい。この場合には、第2の薄膜コイル
が、絶縁膜を介して第1の薄膜コイルの頂部の一部をも
覆うようにすることが可能である。
【0049】また、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法では、さらに、第1の薄膜コイルの内周端と第2の
薄膜コイルの外周端との間または第1の薄膜コイルの外
周端と第2の薄膜コイルの内周端との間を接続するため
の第3の薄膜コイルを、層間絶縁膜を介して、第1の薄
膜コイルおよび第2の薄膜コイルとは別層として形成す
る工程を含むようにしてもよい。
【0050】また、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法では、第1の薄膜コイルの形成工程が、薄い下地導
電膜を形成する工程と、下地導電膜をシード層として選
択的にめっき成長を行わせる工程とを含むようにしても
よい。
【0051】また、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法では、上記の絶縁膜が無機絶縁膜であるようにして
もよい。この場合において、無機絶縁膜としては酸化ア
ルミニウムを用いることができる。
【0052】また、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法では、上記の絶縁膜側壁が無機絶縁膜であるように
してもよい。この場合において、無機絶縁膜としては酸
化アルミニウムを用いることができる。
【0053】また、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法では、絶縁膜は、それが第1の薄膜コイルの巻線体
間領域である螺旋状溝の少なくとも底面および側面を覆
った状態においても螺旋状溝に対応した溝形状が残存し
得る程度の膜厚を有するように形成されるのが好適であ
る。
【0054】また、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法では、薄膜コイル部が、層間絶縁膜を介して階層的
に複数形成されるようにしてもよい。
【0055】また、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの製造
方法では、さらに、読み出し用の磁気抵抗素子を形成す
る工程を含むようにしてもよい。
【0056】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0057】図1ないし図14は本発明の一実施の形態
に係る薄膜磁気ヘッドの製造方法としての複合型薄膜磁
気ヘッドの各製造工程を表すものである。これらの図に
おいて、それぞれ、(a)はエアベアリング面に垂直な
断面を示し、(b)は磁極部分のエアベアリング面に平
行な断面を示している。なお、本発明の実施の形態に係
る薄膜磁気ヘッドは本実施の形態に係る薄膜磁気ヘッド
の製造方法によって具現化されるので、以下、併せて説
明する。
【0058】本実施の形態に係る製造方法では、まず図
1に示したように、例えばアルティック(Al2 3
TiC)からなる基板1上に、例えばアルミナ(Al2
3;酸化アルミニウム)からなる絶縁層2を、約5μ
m程度の厚みで堆積する。次に、図2に示したように、
絶縁層2上に、フォトレジスト膜(図示せず)をマスク
として、めっき法にて、パーマロイ(NiFe)を約2
〜3μmの厚みで選択的に形成して、再生ヘッド用の下
部シールド層3を形成する。
【0059】次に、図3に示したように、下部シールド
層3上に、例えばアルミナを100〜200nmの厚み
でスパッタ堆積し、シールドギャップ膜4を形成する。
次に、シールドギャップ膜4上に、再生用のMR素子を
構成するためのMR膜5を数十nm程度の厚みに形成
し、高精度のフォトリソグラフィで所望の形状とする。
次に、シールドギャップ膜4およびMR膜5上に、シー
ルドギャップ膜6を形成して、MR膜5をシールドギャ
ップ膜4,6内に埋設する。なお、図示していないが、
MR膜5に対する電気的な接続を行なうための一対のリ
ード層も選択的に形成する。ここで、MR膜5が本発明
における「読み出し用の磁気抵抗素子」に対応する。
【0060】次に、図4に示したように、シールドギャ
ップ膜6上に、例えばめっき法により、パーマロイ等か
らなる上部シールド兼下部磁極(以下、下部磁極と記
す。)7を、約3〜4μmの厚みで選択的に形成する。
ここで、下部磁極7が本発明における「2つの磁性層」
の一方に対応する。
【0061】次に、下部磁極7上に、無機系絶縁膜、例
えばシリコン酸化膜(SiO2 )を約1〜2μmの厚み
で形成した後、テーパエッチングを施して、選択的にパ
ターニングして、エイペックスアングルおよびスロート
ハイトを規定するための絶縁層8を形成する。このとき
のエッチングは、ドライエッチング、特にRIE(反応
性イオンエッチング)法により行う。この場合、例えば
BCl3 (三塩化ボロン),Cl2 (塩素),CF
4 (四フッ化炭素),またはSF6 (六フッ化硫黄)等
のガスを用いて、RIE法により行うことが望ましい。
なお、絶縁層8としては、シリコン酸化膜に限らず、ア
ルミナ膜や、シリコンチッ化膜(SiN)等の他の無機
系絶縁膜を用いてもよい。さらには、絶縁層8としてフ
ォトレジスト層を用いてもよい。
【0062】次に、図5に示したように、絶縁層8およ
び下部磁極7を覆うようにして、例えばアルミナや窒化
アルミニウム等の非磁性材料からなる記録ギャップ層9
を約100〜300nmの膜厚に形成したのち、下部磁
極7と後述する上部磁極とを接続する領域(図5の右側
領域)に開口20を形成する。
【0063】次に、同図に示したように、例えばパーマ
ロイ等から成る磁性層を3〜4μm程度の膜厚に形成し
たのち、これをエッチングによってパターニングして、
上部磁極片10a,10bを形成する。このとき、上部
磁極片10aは、エアベアリング面となる側から絶縁層
8の一方のテーパ部を経て絶縁層8上のエアベアリング
面側の一部にまで延びるように形成され、上部磁極片1
0bは、上記した記録ギャップ層9の開口20を覆うと
共に絶縁層8の他方のテーパ部を経て絶縁層8上のエア
ベアリング面でない側の一部にまで延びるように形成さ
れる。これにより、上部磁極片10bは、上記の記録ギ
ャップ層9の開口20を介して下部磁極7と接触し、磁
気的に連結する。
【0064】次に、図5(b)に示したように、上部磁
極片10aをマスクとして記録ギャップ層9および下部
磁極7を約0.5μm程度エッチングし、トリム構造を
形成する。
【0065】次に、図6に示したように、例えば銅から
なる厚さ約50〜100nm程度の薄いシード層11を
スパッタリング等により全面に形成したのち、従来と同
様のフォトリソグラフを利用するプロセスによってシー
ド層11の上に選択的に銅を電気めっき法によって形成
し、コイル状体12を形成する。ここで、シード層11
が本発明(請求項8および請求項23)における「下地
導電膜」に対応し、コイル状体12が本発明における
「導電めっき層」に対応する。
【0066】具体的には、シード層11の上に3.0〜
4.0μmの厚いフォトレジスト(図示せず)を形成
し、フォトリソグラフィ法により、フォトレジストにシ
ード層11まで達する螺旋状の開口(図示せず)を形成
する。この開口の深さはフォトレジストの膜厚に等し
く、開口の幅は1.5〜2.0μm程度である。開口に
より画成される螺旋状のフォトレジストパターンの幅は
1.5〜2.5μm程度である。次に、このようなフォ
トレジストパターンをマスクとして、硫酸銅のめっき液
を用いて銅の電気めっき処理を行い、フォトレジストの
開口内に、第1のコイルを構成することとなるコイル状
体12を形成する。これにより、コイル状体12の巻線
体幅は1.5〜2.0μm程度となり、巻線体間隔は
1.5〜2.5μm程度となる。また、コイル状体12
の膜厚は、フォトレジストの開口の深さよりも小さく、
例えば2.5〜3.0μmとする。
【0067】この場合、選択的電気めっきに用いるフォ
トレジストのパターン幅(ここでは、1.5〜2.5μ
m)は、その膜厚(ここでは3.0〜4.0μm)の約
2分の1と比較的大きくて形状が安定しているので、電
気めっき処理においてめっき液を攪拌してもフォトレジ
ストが倒壊するおそれは非常に少ない。
【0068】次に、選択的電気めっきに用いた上記フォ
トレジストを除去したのち、図7に示したように、例え
ばアルゴンイオンビームIBによるイオンミリングを施
して、コイル状体12の巻線体間(凹部)の底部のシー
ド層11を除去し、コイル状体12の巻線体間を相互に
分離して、第1のコイル12aを形成する。このイオン
ミリングは、例えば5度〜10度の角度を以て行なう。
このようにイオンミリングを垂直に近い角度で行うと、
シード層11を構成する材料がイオンビームの衝撃によ
って飛散して再付着するおそれがあるが、本実施の形態
では上記したようにコイル状体12の巻線体間隔は1.
5〜2.5μm程度と比較的大きいので、飛散したシー
ド層構成材料の再付着によって、巻線体間がショートす
るおそれは少なく、完全に分離することが可能である。
また、コイル状体12の巻線体間隔が大きいことから、
イオンミリングの角度を上記した角度(5度〜10度)
以上にしても、コイル状体12の影の部分にまでイオン
が十分に照射されるため、シード層11が部分的に残っ
てしまうということがない。ここで、第1のコイル12
aが本発明における「第1の薄膜コイル」に対応する。
【0069】次に、図8に示したように、第1のコイル
12aの形成後の凹凸形状に沿ってこれを覆うようにし
て、例えばアルミナからなる厚さ300〜500nm程
度の絶縁膜13を全面に形成したのち、さらに、この絶
縁膜13を覆うようにして、例えば銅からなる厚さ約5
0〜70nmの薄いシード層31をスパッタリング等に
より全面に形成する。但し、絶縁膜13は、アルミナ以
外に、例えばシリコン酸化膜や窒化アルミナ膜等の無機
絶縁膜を用いて形成してもよい。ここで、絶縁膜13
は、第1のコイル12aと後述する第2のコイル14a
とを絶縁分離するためのもので、本発明における「絶縁
膜」に対応する。また、シード層31は本発明における
「導電膜」に対応する。
【0070】次に、同図に示したように、シード層31
を覆うようにして、例えばアルミナからなる厚さ約10
0〜300nm程度の絶縁膜32を形成する。この絶縁
膜32は、アルミナ以外に、例えばシリコン酸化膜や窒
化アルミナ膜等の無機絶縁膜、あるいはフォトレジスト
膜等の有機絶縁膜を用いて形成してもよい。
【0071】次に、図9に示したように、例えばRIE
等の異方性エッチング法により、絶縁膜32をエッチン
グして、シード層31によって覆われた螺旋状溝22a
の側面に絶縁膜側壁32aを形成する。このとき、螺旋
状溝22aの底部および螺旋状陵部22b上においては
絶縁膜32が除去されてシード層31が露出する。な
お、図9(b)に示したように、上部磁極片10a、記
録ギャップ層9および下部磁極7の一部からなるトリム
構造の側面にも、シード層31を介して絶縁膜側壁32
bが形成される。
【0072】次に、図10に示したように、第1のコイ
ル12aが形成された領域以外の領域にフォトレジスト
層33を選択的に形成し、このフォトレジスト層33を
マスクとして、硫酸銅等のめっき液中でシード層31を
基にめっき成長を行わせる選択的電気めっき処理を行
い、第1のコイル12aが形成された領域に、銅からな
る厚さ2.0〜3.0μm程度のめっき層14を形成す
る。このとき、螺旋状溝22aの側面を覆う絶縁膜側壁
32aの存在により、この溝側面部分のシード層31か
らのめっき成長が阻止され、螺旋状溝22aの底部に露
出しているシード層31からのめっき成長のみが許容さ
れる。このため、螺旋状溝22aの内部に埋め込まれる
ようにして形成されるめっき層14の内部にボイドが発
生することが抑制され、螺旋状溝22aの内部はめっき
層14によって完全に埋め尽くされる。ここで、絶縁膜
側壁32aが本発明における「絶縁膜側壁」に対応す
る。
【0073】次に、図11に示したように、表面の平坦
化のために、全面に、例えばアルミナからなる絶縁層3
5を3.0〜5.0μm程度の厚さに形成する。
【0074】次に、図12に示したように、例えばCM
P(化学機械研磨)法により、全面を所定量だけ研磨す
る。このときの研磨量は、図示のように、第1のコイル
12aの巻線体上の絶縁膜13およびシード層31、な
らびに上部磁極片10a,10bの上の一部の絶縁膜1
3およびシード層31が除去されて、第1のコイル12
aの巻線体および上部磁極片10a,10bの上面の一
部が露出する程度とする。これにより、めっき層14
が、第1のコイル12aの螺旋状溝22a間で相互に分
離され、この螺旋状溝22aの内部を埋め込む形での第
2のコイル14aが形成される。この第2のコイル14
aは、絶縁膜13によって第1のコイル12aと絶縁さ
れている。ここで、第2のコイル14aが本発明におけ
る「第2の薄膜コイル」に対応する。
【0075】次に、図13に示したようにフォトリソグ
ラフィ法により、第1のコイル12aおよび第2のコイ
ル14aを含む薄膜コイル部の領域に、2.0〜3.0
μm程度の膜厚のフォトレジスト層16を選択的に形成
したのち、その上に、例えばめっき法により、パーマロ
イ等からなる厚さ3.0〜4.0μm程度の上部磁極1
7を選択的に形成する。この上部磁極17は、絶縁層8
の前端部領域において上部磁極片10aと接触して磁気
的に連結すると共に、絶縁層8の後端部領域において上
部磁極片10bと接触して磁気的に連結する。こうし
て、上部磁極片10a、上部磁極17、上部磁極片10
bおよび下部磁極7によって磁路が形成される。ここ
で、上部磁極片10aが本発明における「2つの磁性
層」のうちの他方に対応し、上部磁極17が本発明にお
ける「他の磁性層」に対応する。
【0076】次に、図14に示したように、全面を覆う
ようにして、例えばアルミナからなるオーバーコート層
18を20〜40μm程度の厚さに形成する。最後に、
スライダの機械加工を行って、記録ヘッドおよび再生ヘ
ッドのエアベアリング面を形成して、複合型薄膜磁気ヘ
ッドが完成する。
【0077】図15は、本実施の形態に係る製造方法に
よって製造される複合型薄膜磁気ヘッドの平面図であ
る。なお、この図では、主要な層のみを図示し、オーバ
ーコート層18やその他の層の図示を省略している。こ
の図において、符号THは、絶縁層8のエアベアリング
面側の端縁によって規定されるスロートハイトを表して
いる。下部磁極7と上部磁極17との間は、記録ギャッ
プ層9(本図では図示せず)に形成された開口20(図
5参照)を介して連結されている。
【0078】図16は第1のコイル12aおよび第2の
コイル14aの巻回方向および接続の態様を線図的に簡
略化して表すものである。なお、実際の薄膜磁気ヘッド
においては、これらのコイル12a,14aは、下部磁
極7と上部磁極17とを連結する部分(図13に示した
開口20)を囲むように形成されているが、その部分の
図示を省略している。この図に示したように、第1のコ
イル12aおよび第2のコイル14aは、互いに組み合
わされるようにして形成されている。各コイルの巻線体
の巻回半径が減少する方向を基準としたときの各コイル
の巻回方向は必ず同一のものとなるが、ここでは、この
巻回方向を右巻きと呼ぶことにする。
【0079】図16において、第1のコイル12aの外
側端に形成した接点パッドP1は、図示しないリードに
よって第1の外部端子(図示せず)に接続されている。
この第1のコイル12aの内側端に形成した接点パッド
P2は、第1のコイル12aおよび第2のコイル14a
とは別の階層に選択的に形成された直線状の中継リード
21によって、第2のコイル14aの外側端に形成した
接点パッドP3に接続されている。この第2のコイル1
4aの内側端に形成した接点パッドP4は、図示しない
他のリードによって第2の外部端子(図示せず)に接続
されている。すなわち、第1のコイル12aおよび第2
のコイル14aは、中継リード21を介して、共に右巻
きとなるように直列に接続されている。そして、上記し
た第1および第2の外部端子間に電圧を印加することに
より、第1のコイル12aおよび第2のコイル14aに
同じ方向に電流を流すことができる。これにより、上部
磁極片10a、上部磁極17、上部磁極片10bおよび
下部磁極7からなる磁路中に磁束が発生し、記録ギャッ
プ層9を挟んで対向する上部磁極片10aと下部磁極7
との間に発生する磁束によって、図示しない記録媒体へ
の磁気記録が行われる。
【0080】以上説明したように、本実施の形態によれ
ば、第1のコイル12aの螺旋状溝22aの内部にめっ
き成長によってめっき層14を形成する際に、この螺旋
状溝22aの内面に形成されためっき下地としてのシー
ド層31のうち、溝側面部分のシード層31を絶縁膜側
壁32aによって覆うようにしたので、溝側面部分から
のめっき成長を阻止することができ、螺旋状溝22aの
内部をめっき層14で埋め込む際のボイドの発生を抑制
することができる。これにより、このめっき層14を螺
旋状溝22a間で分離して得られる第2のコイル14a
に経時的に腐食が発生することを効果的に防止すること
ができる。したがって、長期間の使用にも耐え得る信頼
性の高い薄膜磁気ヘッドを得ることができる。
【0081】また、シード層31および絶縁膜側壁32
aによって覆われた第1のコイル12aの螺旋状溝22
aの内部に、第2のコイル14aを埋め込むようにした
ので、第1のコイル12aの形成工程における加工精度
を特段に高めなくても、薄膜コイルの巻線体ピッチを縮
小することが可能となる。但し、ここでいう「薄膜コイ
ルの巻線体ピッチ」とは、単一の階層に着目した場合に
おける巻線体ピッチ、すなわち、単層当たりの巻線体ピ
ッチを意味するものとする。すなわち、従来において
は、図34に示したように、薄膜コイルの巻回数を多く
するために、第1層目のコイル114aと第2層目のコ
イル117aとをそれぞれ別の階層として形成している
が、これを単一の階層として形成しようとすると、第2
層目のコイル117aを第1層目のコイル114aの横
方向に並べる形となるので、コイル束幅LCは相当長く
なり、この結果、磁路長LMもまた、長くなってしま
う。この場合、上記した単層当たりの巻線体ピッチは、
図34に示したように、第1層目のコイル114aまた
は第2層目のコイル117a自体の形成ピッチであるC
P1である。これに対し、本実施の形態では、図14に
示したように、第2のコイル14aが、第1のコイル1
2aの螺旋状溝22aの内部に埋め込まれた形で形成さ
れているので、上記した「薄膜コイルの巻線体ピッ
チ」、すなわち、第1のコイル12aおよび第2のコイ
ル14aの双方を含めた薄膜コイルの単層当たりの巻線
体ピッチCP2は、従来(図34)の単層当たりの巻線
体ピッチCP1の約2分の1となる。このため、薄膜コ
イルの階層数を増やすことなく、かつ、コイル束幅LC
を増やすことなく、巻線体の巻回数を増やすことが可能
となる。言い換えると、薄膜コイルの階層数および巻線
体の巻回数が同じという条件の下では、第1のコイル1
2aおよび第2のコイル14a自体の各巻線体間隔を縮
小しなくてもコイル束幅LCをより縮小することが可能
である。このコイル束幅LCの縮小は、磁路長LMを縮
小できることを意味し、この結果、記録ヘッドの磁束立
ち上がり時間、非線形トランジションシフト(NLT
S)特性および重ね書き特性等を改善することが可能で
ある。また、磁路長LMの縮小によって薄膜磁気ヘッド
自体のサイズをコンパクト化することも可能である。ま
た、巻線体の巻回数およびコイル束幅LCが同じという
条件の下では、薄膜コイルの階層数をより少なくするこ
とができるので、エイペックスアングルθをより小さく
すことができる。このため、狭トラックの書き込み時に
発生する磁束の広がりによる実効トラック幅の増加を防
止することが可能である。
【0082】また、本実施の形態では、図6でも説明し
たように、第1のコイル12aの巻線体間隔を大きくし
てよいので、選択的めっきに使用するフォトレジストパ
ターンの加工が容易であり、しかも、フォトレジストパ
ターンにおけるレジスト高さに対するレジスト幅の比率
を大きくできるので、電気めっき液中でフォトレジスト
パターンが倒壊するおそれが少ない。さらに、第1のコ
イル12aの巻線体間隔を大きくできることから、電気
めっき処理による成膜後にイオンミリングによって巻線
体間のシード層を除去する際に、イオンビームの照射角
度を比較的大きくすることができるので、巻線体の陰と
なって除去できないシード層部分が生ずるというおそれ
が少なく、しかも、イオンミリングにより飛散したシー
ド層材料の再付着が生じにくい。このため、第1のコイ
ル12aの巻線体間におけるショートの発生を回避する
ことができる。
【0083】また、従来の薄膜磁気ヘッドにおいては、
図34に示したように、フォトレジスト110によって
スロートハイトTHが規定されているが、このフォトレ
ジスト110は、図32に示したようにシード層111
をエッチングにより除去する際にエッチングされてその
前端縁(図32では左端)が後退してしまい、完成した
薄膜磁気ヘッドにおいて正確に設計値通りのスロートハ
イトを得ることができなかった。これに対して、本実施
の形態では、スロートハイトを規定する絶縁層8を無機
系絶縁膜で形成したので、図7に示したシード層11の
エッチングの際における絶縁層8の端縁の位置変動(パ
ターンシフト)が生じることがない。そのため、スロー
トハイトの正確な制御が可能になる。さらに、MRハイ
トの正確な制御や、エイペックスアングルの正確な制御
も可能となる。
【0084】このようにして、本実施の形態によれば、
長期間の使用にも耐え得る高い信頼性を有すると共に、
磁極幅、スロートハイト、MRハイトおよびエイペック
スアングルが正確に制御され、かつ狭トラック化を実現
できる高性能の薄膜磁気ヘッドを製造することが可能と
なる。
【0085】なお、本実施の形態では、図14に示した
ように、上部磁極片10a,10bの上にシード層31
が残存しているが、これに対し、図17に示したよう
に、上部磁極片10a,10bの上にシード層31が残
存しないようにしてもよい。そのためには、図8におい
て、シード層31を形成したのち、フォトリソグラフィ
によって上部磁極片10a,10b上のシード層31を
選択的に除去し、しかるのちに絶縁膜側壁32aを形成
するようにすればよい。こうすることにより、エアベア
リング面の形成のための研磨工程の際にシード層31が
研磨面に露出してエアベアリング面におけるリセス(凹
部)発生の原因となるという可能性を排除することがで
きる。
【0086】また、本実施の形態では、第1のコイル1
2aおよび第2のコイル14aからなる単一階層の薄膜
コイル部を形成するようにしたが、本発明はこれに限定
されるものではなく、例えば図18に示したように、さ
らに、第3のコイル24および第4のコイル28からな
る他の階層の薄膜コイルを形成するようにしてもよい。
この場合の第3および第4のコイル24,28の形成工
程は、それぞれ、第1および第2のコイル12a,14
aの形成工程と同様である。この場合には、第1および
第2のコイル12a,14aからなる薄膜コイル部の上
にフォトレジスト層16を選択的に形成し、その上に、
第2階層の薄膜コイル部を構成する第3および第4のコ
イル24,28を順次形成する。この第2階層における
薄膜コイル部の前後には、上部磁極片10a,10bと
それぞれ磁気的に連結する上部磁極片17a,17cを
選択的に形成する。また、上部磁極片10aの上部の第
2階層部分には、絶縁層18aを形成する。次に、第3
および第4のコイル24,28からなる薄膜コイル部を
覆うようにしてフォトレジスト層25を選択的に形成
し、さらにその上に、上部磁極片17a,17cと磁気
的に連結する上部磁極17bを選択的に形成する。最後
に、オーバーコート層18bを形成する。なお、図18
において、フォトレジスト層16が本発明(請求項14
および請求項29)における「層間絶縁膜」に対応す
る。
【0087】本変形例では、図19に示したように、第
1のコイル12aの外側端に形成した接点パッドP1
を、図示しない第1の外部端子に接続すると共に、第1
のコイル12aの内側端の接点パッドP2と第3のコイ
ル24の内側端の接点パッドP2′との間を接続する。
また、この第3のコイル24の外側端の接点パッドP
3′と第2のコイル14aの外側端の接点パッドP3の
間を接続すると共に、この第2のコイル14aの内側端
の接点パッドP4を第4のコイル28の内側端の接点パ
ッドP4′に接続する。この第4のコイル28の外側端
の接点パッドP5は、図示しない第2の外部端子に接続
する。なお、図19(a)は第1のコイル12aおよび
第2のコイル14aの巻回方向および接続の態様を、同
図(b)は第3のコイル24および第4のコイル28の
巻回方向および接続の態様を、それぞれ線図的に簡略化
して表すものである。これらの図に示したように、第1
のコイル12a、第3のコイル24、第2のコイル14
aおよび第4のコイル28は、この順で直列に接続さ
れ、しかも、その巻き方向はすべて右巻きとなる。この
ため、上記した第1および第2の外部端子間に電圧を印
加することにより、これらのコイルに同じ巻き方向に電
流を流すことができる。より具体的には、P1−P2−
P2′−P3′−P3−P4−P4′−P5という順
序、あるいはその逆の順序で電流が流れる。したがっ
て、コイル束幅LCが等しいという条件の下では、上記
実施の形態(図14)の場合よりも薄膜コイルの巻回数
をさらに増加させることができる。逆に、薄膜コイルの
巻回数が等しいという条件の下では、コイル束幅LCを
さらに短縮することが可能である。
【0088】図20は、従来の薄膜磁気ヘッドおよび本
発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドにおける磁路
長を比較して表すものである。この図の(a)は、図3
4に示した従来の薄膜磁気ヘッドの平面構成を表し、
(b)は図18に示した本発明の一実施の形態に係る薄
膜磁気ヘッドの平面構成を表す。これらの薄膜ヘッド
は、いずれも、図34および図18に示したように2階
層構造として形成されたものであり、また、各コイルの
巻線体間隔はほぼ等しく形成されているが、2階層分の
すべてのコイルを考慮した場合における薄膜コイルの巻
線体ピッチCPは、本発明の実施の形態では従来の2分
の1以下に縮小されている。このため、本発明の実施の
形態に係る薄膜磁気ヘッドの磁路長LM2(図20
(b))は、従来の薄膜磁気ヘッドの磁路長LM1(同
図(a))の約3分の2程度に縮小されており、これに
より、本発明の実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドでは、
従来に比べて、磁束立ち上がり時間やNLTSや重ね書
き特性等の諸特性が一段と向上している。
【0089】また、上記の図14に示した実施の形態で
は、第2のコイル14aが第1のコイル12aの螺旋状
溝22aの内部に過不足なく埋め込まれた形となってい
るが、このほか、例えば図23に示したように、第2の
コイル14aを、第1のコイル12aの螺旋状溝22a
の内部のみならず第1のコイル12aの螺旋状陵部22
b上の一部にまで差しかかるように形成し、その断面形
状がT字型となるようにしてもよい。この場合の製造工
程は例えば次の通りである。
【0090】すなわち、上記の図9に示した工程におい
て絶縁膜側壁32aを形成したのち、図21に示したよ
うに、フォトリソグラフィ法により、上部磁極片10
a,10b上にフォトレジスト層33を形成すると共
に、第1のコイル12aの巻線体の上にも螺旋状のフォ
トレジストパターン15を形成する。このフォトレジス
トパターン15の線幅は、第1のコイル12aの巻線
体、絶縁膜13、シード層31および絶縁膜側壁32a
からなる螺旋状陵部22bの幅よりも狭く形成する。次
に、フォトレジスト層33およびフォトレジストパター
ン15をマスクとして、螺旋状溝22aの底部のシード
層31をシードとして選択的にめっき層14′を成長さ
せる。このとき、めっき層14′の上面が螺旋状陵部2
2bの上面よりも高くなるようにする。次に、図22に
示したように、フォトレジスト層33およびフォトレジ
ストパターン15を除去したのち、イオンミリングまた
はスパッタエッチングにより、めっき層14′をマスク
として、上部磁極片10a,10b上および螺旋状陵部
22b上に露出しているシード層31を除去し、めっき
層14′の相互間を分離する。これにより、第1のコイ
ル12aの螺旋状溝22aの内部から螺旋状陵部22b
上にかけて、T字型の断面形状を有する第2のコイル1
4a′が形成される。その後の工程は、上記の図14で
説明したものと同様であり、図23に示したように、第
1のコイル12aおよび第2のコイル14a′からなる
薄膜コイル部上にフォトレジスト層16を選択的に形成
したのち、その上に、上部磁極片10a,10bと接触
して磁気的に連結する上部磁極17を選択的に形成し、
さらに、全面を覆うようにして、オーバーコート層18
を形成する。
【0091】この変形例によれば、第2のコイル14
a′が、第1のコイル12aの螺旋状溝22aの内部の
みならず、螺旋状陵部22b上の一部にまで差し掛かっ
て、その断面形状がT字型となっているので、第2のコ
イル14a′の断面積を大きくすることができ、薄膜コ
イル部全体としての電気抵抗を小さくすることができ
る。
【0092】図23に示した例では、第1のコイル12
aおよびT字型の第2のコイル14a′によって薄膜コ
イル部を構成しているが、さらに、図24に示したよう
に、第2のコイル14a′の巻線体間隙(すなわち、第
1のコイル12aの巻線体等からなる螺旋状陵部22b
の上部空間)である螺旋状溝38を利用して、T字型の
第3のコイル39を形成するようにしてもよい。この第
3のコイル39の形成工程は、第2のコイル14a′の
形成工程と同様であり、第2のコイル14a′の形成後
における凹凸形状を覆うようにして絶縁膜およびシード
層を形成したのち、螺旋状溝38の内部側面に絶縁膜側
壁を形成した上で、めっき法により螺旋状溝38の底部
のシード層を成長させて、第3のコイル39を形成す
る。ここで、第3のコイル39が本発明(請求項7およ
び請求項22)における「第3の薄膜コイル」に対応す
る。
【0093】さらに、図示はしないが、第3のコイル3
9の巻線体間隙を利用して、第4のコイルを形成するこ
とも可能である。以下、同様にして、奇数番目のコイル
と偶数番目のコイルとを順次互い違いに形成することが
可能である。このようにすることにより、第2のコイル
14a′以降のすべてのコイルをT字型の断面形状に形
成することができ、コイル断面積を大きく確保して薄膜
コイル部全体としての電気抵抗を低減することができ
る。また、上記の図18に示した変形例では、第1およ
び第2のコイル、第3および第4のコイル、…というよ
うに、奇数番目のコイルと偶数番目のコイルとを1組と
して1つの階層の薄膜コイル部を構成しているので、各
階層間を絶縁分離するための層間絶縁膜(図18ではフ
ォトレジスト層16)が必要であるが、図24に示した
変形例では、そのような層間絶縁膜は不要であり、各コ
イル間は比較的薄い絶縁膜13等のみによって絶縁分離
される。したがって、多くのコイルを積層する場合であ
っても、薄膜コイル部全体としての高さがあまり高くな
らずに済み、この結果、エイペックスアングルを小さく
することが可能となる。
【0094】図24に示した例では、第1のコイル12
a、第2のコイル14a′および第3のコイル39の各
間の接続は、例えば図25に示したようにして行うこと
ができる。なお、図25(a)は第1のコイル12aお
よび第2のコイル14a′の巻回方向および接続の態様
を、同図(b)は第3のコイル39の巻回方向の態様
を、それぞれ線図的に簡略化して表すものである。この
図に示したように、第1のコイル12aの内側端の接点
パッドP2と第3のコイル39の内側端の接点パッドP
2′との間を接続すると共に、この第3のコイル39の
外側端の接点パッドP3′と第2のコイル14a′の外
側端の接点パッドP3の間を接続する。第1のコイル1
2aの外側端に形成した接点パッドP1および第2のコ
イル14a′の内側端に形成した接点パッドP4は、そ
れぞれ、図示しない第1および第2の外部端子に接続す
る。この図に示したように、第1のコイル12aおよび
第2のコイル14a′は、中継リードとしての役割をも
有する第3のコイル39によって直列に接続され、しか
も、その巻き方向はすべて右巻きとなる。このため、上
記した第1および第2の外部端子間に電圧を印加するこ
とにより、第1のコイル12a、第3のコイル39およ
び第2のコイル14a′に同じ巻き方向に電流を流すこ
とができる。より具体的には、P1−P2−P2′−P
3′−P3−P4という順序、あるいはその逆の順序で
電流が流れる。したがって、コイル束幅LCが等しいと
いう条件の下では、上記実施の形態の場合よりも薄膜コ
イルの巻回数をさらに増加させることができる。逆に、
薄膜コイルの巻回数が等しいという条件の下では、コイ
ル束幅LCをさらに短縮することが可能である。なお、
図25に示した例では、第1のコイル12aの内側端の
接点パッドP2と第2のコイル14a′の外側端の接点
パッドP3との間を第3のコイルによって接続するよう
にしたが、そのほか、第1のコイル12aの外側端の接
点パッドP1と第2のコイル14a′の内側端の接点パ
ッドP4との間を第3のコイル39によって接続するよ
うにしてもよい。この場合には、接点パッドP2,P3
をそれぞれ上記第1および第2の外部端子に接続する。
【0095】以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発
明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定さ
れず、種々の変形が可能である。例えば、上記の図18
に示した変形例では、第1のコイル12aおよび第2の
コイル14aを第1の階層に形成し、第3のコイル24
および第4のコイル28をその上の第2の階層に形成し
て、2階層構造としたが、より多くの階層構造としても
よい。この場合、全コイル数を偶数として形成するのが
より効率的であり、好適である。また、図18に示した
例では、第1の階層と第2の階層との間を絶縁分離する
層間絶縁膜を有機膜であるフォトレジスト層16とした
が、すべての階層間の絶縁分離を例えばシリコン酸化膜
等の無機絶縁層によって行うようにしてもよい。
【0096】また、上記各実施の形態およびその変形例
では、基板1および絶縁層2からなる基体の表面を平坦
に形成するものにしたが、このほか、予め基板1または
絶縁層2に凹部を形成してから下部シールド層3ないし
記録ギャップ層9までの各層を積層し、この凹部領域内
に第1のコイル12aおよび第2のコイル14a等の薄
膜コイルを順次形成するようにしてもよい。この場合に
は、エイペックスアングルθをさらに小さくすることが
可能である。
【0097】また、上記実施の形態およびその変形例で
は、基板1および絶縁層2からなる基体の側に下部磁極
7を形成し、記録ギャップ層9を介して上部磁極片10
aを形成する構成としたが、これとは逆に、基体の側に
上記実施の形態における上部磁極と同様の機能を有する
磁性層を形成し、記録ギャップ層9を介して上記実施の
形態における下部磁極と同様の機能を有する磁性層を形
成するようにしてもよい。具体的には、図14(b)に
示したトリム構造において下部磁極7と上部磁極片10
aとを逆転した構造としてもよい。そのためには、例え
ば、基体側に磁極幅P2Wに相当する溝を形成して、こ
の溝に、図14(b)の上部磁極片10aに相当する形
状および機能をもつ下部磁極片を埋め込むようにして形
成すると共に、その上に記録ギャップ層9を介して、図
14(b)の下部磁極7に相当する形状および機能をも
つ上部磁極を形成するようにすればよい。すなわち、主
として下部磁極によって磁極幅P2Wを規定すると共
に、上部磁極の一部および記録ギャップ層を磁極幅がP
2Wとなるように形成するのである。
【0098】また、上記実施の形態およびその変形例で
は、例えば図14に示したように、上側の磁性層をなす
上部磁極片10aと上部磁極17とが基体面とほぼ平行
な平面を境界面として接触して連結しているが、このほ
か、例えば図26に示したように、上部磁極片10a′
の上面のみならずその端面をも上部磁極17′と接触さ
せて、上部磁極17′が上部磁極片10a′をくわえ込
むようにしてもよい。このような構成の場合には、上部
磁極17′と上部磁極片10a′との接触面積をより大
きくすることができ、したがって、この接触部分での磁
束の飽和を抑制することができる。このような効果は、
特に、ポールチップを構成する上部磁極片10aの幅
(すなわち、磁極幅P2W)を例えば1μm以下という
ように小さくした場合にきわめて顕著となり、オーバー
ライト特性を改善することができる。なお、この図26
において、図14に示した構成要素と同一の構成要素に
は同一の符号を付している。この図26に示した例は、
薄膜コイル部が2つの階層からなる場合を表している。
この例では、フォトレジスト層16の形成後に記録ギャ
ップ層9を形成することで、この記録ギャップ層9が第
1階層の薄膜コイルと第2階層の薄膜コイルとの間に配
置される構造としている。
【0099】また、上記実施の形態およびその変形例で
は、例えば図14に示したように、記録ギャップ層9を
介して下部磁極7と対向する上側の磁極が上部磁極17
と上部磁極片10aとに分割形成されたものである場合
について説明したが、本発明はこれに限定されることは
なく、上部磁極全体を一体に形成するようにしてもよ
い。この場合には、例えば図27に示したように、薄膜
コイル部を覆うようにしてフォトレジスト層25を形成
したのち、上部磁極17および上部磁極片10aに代わ
る一体の上部磁極37を選択的に形成すればよい。な
お、この図27では、図14に示した構成要素と同一の
構成要素には同一の符号を付している。この図27に示
した例は、薄膜コイル部が2つの階層からなる場合を表
している。また、この例では、薄膜コイル部の下部の絶
縁層として、図14における無機材料からなる絶縁層8
に代えてフォトレジスト層30を形成すると共に、記録
ギャップ層9の形成をフォトレジスト層30の形成前に
行うようにした構造としている。
【0100】また、上記の実施の形態およびその変形例
では、複合型薄膜磁気ヘッドの製造方法について説明し
たが、本発明は、書き込み用の誘導型磁気変換素子を有
する記録専用の薄膜磁気ヘッドや記録・再生兼用の薄膜
磁気ヘッドにも適用することができる。また、本発明
は、書き込み用の素子と読み出し用の素子の積層の順序
を入れ換えた構造の薄膜磁気ヘッドにも適用することが
できる。
【0101】
【発明の効果】以上説明したように請求項1ないし15
のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドまたは請求項16な
いし30のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法
によれば、第1の薄膜コイルの巻線体間領域である螺旋
状溝の少なくとも底面および側面を覆うように絶縁膜お
よび導電膜を順次積層して形成した場合において、螺旋
状溝の側面部分の導電膜のみを覆うように絶縁膜側壁を
形成し、導電膜および絶縁膜側壁によって覆われた螺旋
状溝の少なくとも内部を埋め込むようにして第2の薄膜
コイルを形成するようにしたので、第1の薄膜コイルお
よび第2の薄膜コイルが絶縁膜を介して同一階層に属す
ることとなり、第1の薄膜コイルの形成工程における加
工精度を特段に高めなくても、薄膜コイル部における単
一階層当たりの巻線体ピッチを縮小することができる。
また、螺旋状溝の側面部分の導電膜を絶縁膜側壁によっ
て覆うようにしたので、この螺旋状溝の側面部分の導電
膜の機能や作用を抑止することができる。
【0102】特に、請求項4記載の薄膜磁気ヘッドまた
は請求項19記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれ
ば、螺旋状溝の側面部分の導電膜が有するシード層とし
ての機能を絶縁膜側壁によって抑止し、螺旋状溝の底面
部分に露出した導電膜のみをシード層としてめっき成長
を行わせて第2の薄膜コイルを形成するようにしたの
で、螺旋状溝の側面部分の導電膜からのめっき成長を阻
止することができ、その結果、めっき成長による第2の
薄膜コイルの形成の際にその内部に空洞部が発生するの
を抑制することができるという効果を奏する。
【0103】また、請求項6記載の薄膜磁気ヘッドまた
は請求項21記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれ
ば、絶縁膜を、第1の薄膜コイルの頂部にまで達するよ
うに形成し、第2の薄膜コイルを、絶縁膜を介して第1
の薄膜コイルの頂部の一部をも覆うようにして形成する
ようにしたので、第2の薄膜コイルの断面積を大きくす
ることができ、薄膜コイル部の電気抵抗を低減すること
ができるという効果を奏する。
【0104】また、請求項7記載の薄膜磁気ヘッドまた
は請求項22記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法によれ
ば、薄膜コイル部が、さらに、第1の薄膜コイルおよび
第2の薄膜コイルとは別層として絶縁層を介して形成さ
れ第1の薄膜コイルの内周端と第2の薄膜コイルの外周
端との間または第1の薄膜コイルの外周端と第2の薄膜
コイルの内周端との間を接続する第3の薄膜コイルを含
むようにしたので、第1の薄膜コイル、第3の薄膜コイ
ルおよび第2の薄膜コイルの順でこれらの薄膜コイルが
直列に接続されると共にすべての薄膜コイルの巻回方向
が同一となり、薄膜コイル部における総巻回数をさらに
増加させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る薄膜磁気ヘッドの
製造方法における一工程を説明するための断面図であ
る。
【図2】図1に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図3】図2に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図4】図3に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図5】図4に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図6】図5に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図7】図6に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図8】図7に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図9】図8に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図10】図9に続く工程を説明するための断面図であ
る。
【図11】図10に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図12】図11に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図13】図12に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図14】図13に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図15】本発明の一実施の形態に係る製造方法によっ
て製造される薄膜磁気ヘッドの平面図である。
【図16】図15に示した薄膜磁気ヘッドの第1のコイ
ルおよび第2のコイルの平面構造および接続関係を簡略
化して表す平面図である。
【図17】本発明の実施の形態の一変形例に係る薄膜磁
気ヘッドの構造を表す断面図である。
【図18】本発明の実施の形態の他の変形例に係る薄膜
磁気ヘッドの構造を表す断面図である。
【図19】図18に示した薄膜磁気ヘッドの第1のコイ
ルないし第4のコイルの平面構造および接続関係を簡略
化して表す平面図である。
【図20】図34に示した従来の薄膜磁気ヘッドの磁路
長と、本発明の一実施の形態に係る図18に示した薄膜
磁気ヘッドの磁路長とを比較して説明するための各薄膜
磁気ヘッドの平面図である。
【図21】本発明の実施の形態のさらに他の変形例に係
る薄膜磁気ヘッドの一製造工程を表す断面図である。
【図22】図21に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図23】図22に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図24】本発明の実施の形態のさらに他の変形例に係
る薄膜磁気ヘッドの構造を表す断面図である。
【図25】図24に示した薄膜磁気ヘッドの第1のコイ
ルないし第3のコイルの平面構造および接続関係を簡略
化して表す平面図である。
【図26】本発明の実施の形態のさらに他の変形例に係
る薄膜磁気ヘッドの断面を表す断面図である。
【図27】本発明の実施の形態のさらに他の変形例に係
る薄膜磁気ヘッドの断面を表す断面図である。
【図28】従来の薄膜磁気ヘッドの製造方法における一
工程を説明するための断面図である。
【図29】図28に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図30】図29に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図31】図30に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図32】図31に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図33】図32に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図34】図33に続く工程を説明するための断面図で
ある。
【図35】図34に示した薄膜磁気ヘッドにおけるエア
ベアリング面に平行な断面を示す断面図である。
【符号の説明】
1…基板、2…絶縁層、3…下部シールド層、4,6…
シールドギャップ膜、5…MR膜、7…下部磁極、8…
絶縁層、9…記録ギャップ層、10a,10a′…上部
磁極片、10b,10b′,17a,17c…上部磁極
片、11,31…シード層、12…コイル状体、12a
…第1のコイル、13…絶縁膜、14,14′…めっき
層、14a,14a′…第2のコイル、15…フォトレ
ジストパターン、16,25,30…フォトレジスト
層、17,17′,17b,37…上部磁極、18…オ
ーバーコート層、21…中継リード、22a,38…螺
旋状溝、22b…螺旋状陵部、24,39…第3のコイ
ル、28…第4のコイル、32a…絶縁膜側壁、33…
フォトレジスト層、35…絶縁層、P1〜P5,P1′
〜P4′…接点パッド。

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気的に連結され、かつ記録媒体に対向
    する側の一部がギャップ層を介して対向する2つの磁極
    を含む少なくとも2つの磁性層と、 この少なくとも2つの磁性層あるいはこれらに連結され
    た他の磁性層の間に配設された薄膜コイル部とを有する
    薄膜磁気ヘッドであって、 前記薄膜コイル部が、 螺旋状に形成された第1の薄膜コイルと、 前記第1の薄膜コイルの巻線体間領域である螺旋状溝の
    少なくとも底面および側面を覆うように形成された絶縁
    膜と、 この絶縁膜により覆われた前記螺旋状溝の少なくとも底
    面および側面を覆うように形成された導電膜と、 前記導電膜のうち、前記螺旋状溝の側面部分の導電膜の
    みを覆うように形成された絶縁膜側壁と、 前記導電膜および絶縁膜側壁によって覆われた螺旋状溝
    の少なくとも内部を埋め込むようにして形成された第2
    の薄膜コイルとを含んで構成されていることを特徴とす
    る薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記導電膜は、前記第2の薄膜コイルの
    形成の際に用いられる下地導電膜として機能するもので
    あることを特徴とする請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記絶縁膜側壁は、前記螺旋状溝の側面
    部分の前記導電膜をシード層として第2の薄膜コイルが
    成長形成されるのを阻止する機能を有するものであるこ
    とを特徴とする請求項2記載の薄膜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記第2の薄膜コイルは、前記螺旋状溝
    の底面部分に露出した導電膜をシード層としてめっき成
    長により形成されたものであることを特徴とする請求項
    1ないし3のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記絶縁膜が、前記第1の薄膜コイルの
    頂部にまで達するように形成されていることを特徴とす
    る請求項1ないし4のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッ
    ド。
  6. 【請求項6】 前記第2の薄膜コイルが、前記絶縁膜を
    介して第1の薄膜コイルの頂部の一部をも覆うようにし
    て形成されていることを特徴とする請求項5記載の薄膜
    磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記薄膜コイル部が、さらに、 層間絶縁膜を介して前記第1の薄膜コイルおよび第2の
    薄膜コイルとは別層として形成されると共に、第1の薄
    膜コイルの内周端と第2の薄膜コイルの外周端との間ま
    たは第1の薄膜コイルの外周端と第2の薄膜コイルの内
    周端との間を接続する第3の薄膜コイルを含むことを特
    徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の薄膜磁気
    ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記第1の薄膜コイルは、 薄い下地導電膜と、 この下地導電膜をシード層として選択的に形成された導
    電めっき層とを含んで構成されていることを特徴とする
    請求項1ないし7のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記絶縁膜が、無機絶縁膜であることを
    特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の薄膜磁
    気ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記無機絶縁膜が、酸化アルミニウム
    からなることを特徴とする請求項9記載の薄膜磁気ヘッ
    ド。
  11. 【請求項11】 前記絶縁膜側壁が、無機絶縁膜である
    ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載
    の薄膜磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】 前記無機絶縁膜が、酸化アルミニウム
    からなることを特徴とする請求項11記載の薄膜磁気ヘ
    ッド。
  13. 【請求項13】 前記絶縁膜は、それが前記第1の薄膜
    コイルの巻線体間領域である螺旋状溝の少なくとも底面
    および側面を覆った状態においても前記螺旋状溝に対応
    した形状が残存し得る程度の膜厚を有するように形成さ
    れていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれ
    かに記載の薄膜磁気ヘッド。
  14. 【請求項14】 前記薄膜コイル部が、層間絶縁膜を介
    して階層的に複数形成されていることを特徴とする請求
    項1ないし13のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  15. 【請求項15】 さらに、読み出し用の磁気抵抗素子を
    有することを特徴とする請求項1ないし14のいずれか
    に記載の薄膜磁気ヘッド。
  16. 【請求項16】 磁気的に連結され、かつ記録媒体に対
    向する側の一部がギャップ層を介して対向する2つの磁
    極を含む少なくとも2つの磁性層と、 この少なくとも2つの磁性層あるいはこれらに連結され
    た他の磁性層の間に配設された薄膜コイル部とを有する
    薄膜磁気ヘッドの製造方法であって、 前記薄膜コイル部の形成工程が、 螺旋状の第1の薄膜コイルを形成する工程と、 前記第1の薄膜コイルの巻線体間領域である螺旋状溝の
    少なくとも底面および側面を覆うように絶縁膜を形成す
    る工程と、 前記絶縁膜により覆われた前記螺旋状溝の少なくとも底
    面および側面を覆うように導電膜を形成する工程と、 前記導電膜のうち、前記螺旋状溝の側面部分の導電膜の
    みを覆うように絶縁膜側壁を形成する工程と、 前記導電膜および絶縁膜側壁によって覆われた前記螺旋
    状溝の少なくとも内部を埋め込むようにして第2の薄膜
    コイルを形成する工程とを含むことを特徴とする薄膜磁
    気ヘッドの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記導電膜が、前記第2の薄膜コイル
    の形成の際の下地導電膜として利用されることを特徴と
    する請求項16記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記絶縁膜側壁が、前記螺旋状溝の側
    面部分の前記導電膜をシード層として第2の薄膜コイル
    が成長形成されるのを阻止すのに利用されることを特徴
    とする請求項17記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  19. 【請求項19】 前記第2の薄膜コイルの形成工程が、
    前記螺旋状溝の底面部分に露出した導電膜をシード層と
    してめっき成長を行わせる工程を含むことを特徴とする
    請求項16ないし18のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッ
    ドの製造方法。
  20. 【請求項20】 前記絶縁膜が、前記第1の薄膜コイル
    の頂部にまで達するように形成されることを特徴とする
    請求項16ないし19のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッ
    ドの製造方法。
  21. 【請求項21】 前記第2の薄膜コイルが、前記絶縁膜
    を介して第1の薄膜コイルの頂部の一部をも覆うように
    して形成されることを特徴とする請求項20記載の薄膜
    磁気ヘッドの製造方法。
  22. 【請求項22】 さらに、 第1の薄膜コイルの内周端と第2の薄膜コイルの外周端
    との間または第1の薄膜コイルの外周端と第2の薄膜コ
    イルの内周端との間を接続するための第3の薄膜コイル
    を、層間絶縁膜を介して、前記第1の薄膜コイルおよび
    第2の薄膜コイルとは別層として形成する工程を含むこ
    とを特徴とする請求項16ないし21のいずれかに記載
    の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  23. 【請求項23】 前記第1の薄膜コイルの形成工程は、 薄い下地導電膜を形成する工程と、 前記下地導電膜をシード層として選択的にめっき成長を
    行わせる工程とを含むことを特徴とする請求項16ない
    し22のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  24. 【請求項24】 前記絶縁膜が、無機絶縁膜であること
    を特徴とする請求項16ないし23のいずれかに記載の
    薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  25. 【請求項25】 前記無機絶縁膜が、酸化アルミニウム
    からなることを特徴とする請求項24記載の薄膜磁気ヘ
    ッドの製造方法。
  26. 【請求項26】 前記絶縁膜側壁が、無機絶縁膜である
    ことを特徴とする請求項16ないし25のいずれかに記
    載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  27. 【請求項27】 前記無機絶縁膜が、酸化アルミニウム
    からなることを特徴とする請求項26記載の薄膜磁気ヘ
    ッドの製造方法。
  28. 【請求項28】 前記絶縁膜は、それが前記第1の薄膜
    コイルの巻線体間領域である螺旋状溝の少なくとも底面
    および側面を覆った状態においても前記螺旋状溝に対応
    した形状が残存し得る程度の膜厚を有するように形成さ
    れることを特徴とする請求項16ないし27のいずれか
    に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  29. 【請求項29】 前記薄膜コイル部が、層間絶縁膜を介
    して階層的に複数形成されることを特徴とする請求項1
    6ないし28のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造
    方法。
  30. 【請求項30】 さらに、読み出し用の磁気抵抗素子を
    形成する工程を含むことを特徴とする請求項16ないし
    29のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
JP14989798A 1998-05-19 1998-05-29 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP3424905B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14989798A JP3424905B2 (ja) 1998-05-29 1998-05-29 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
US09/149,135 US6204997B1 (en) 1998-05-19 1998-09-08 Thin film magnetic head with a plurality of engaged thin-film coils and method of manufacturing the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14989798A JP3424905B2 (ja) 1998-05-29 1998-05-29 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11345404A true JPH11345404A (ja) 1999-12-14
JP3424905B2 JP3424905B2 (ja) 2003-07-07

Family

ID=15485012

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14989798A Expired - Fee Related JP3424905B2 (ja) 1998-05-19 1998-05-29 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3424905B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100382865B1 (ko) * 2000-01-05 2003-05-09 닛본 덴기 가부시끼가이샤 기록헤드, 기록헤드의 제조방법, 복합헤드 및자기기록재생장치
JP2005129219A (ja) * 2003-10-27 2005-05-19 Headway Technologies Inc 磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ハードディスク装置及び磁気ヘッドの製造方法
US7111387B2 (en) 2000-01-24 2006-09-26 Alps Electric Co., Ltd. Method of manufacturing a thin film magnetic head comprising an insulating layer provided between a core and coil
JP2006302486A (ja) * 2005-04-20 2006-11-02 Headway Technol Inc 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法
JP2008293655A (ja) * 2002-02-08 2008-12-04 Headway Technologies Inc 配線パターンおよびその製造方法並びに薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
US7549216B2 (en) 2003-09-30 2009-06-23 Headway Technologies, Inc. Method of manufacturing a thin film magnetic head
JP2016085780A (ja) * 2014-10-24 2016-05-19 ヘッドウェイテクノロジーズ インコーポレイテッド コイルと磁路構成部を含む薄膜磁気ヘッドの製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100382865B1 (ko) * 2000-01-05 2003-05-09 닛본 덴기 가부시끼가이샤 기록헤드, 기록헤드의 제조방법, 복합헤드 및자기기록재생장치
US7111387B2 (en) 2000-01-24 2006-09-26 Alps Electric Co., Ltd. Method of manufacturing a thin film magnetic head comprising an insulating layer provided between a core and coil
JP2008293655A (ja) * 2002-02-08 2008-12-04 Headway Technologies Inc 配線パターンおよびその製造方法並びに薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
JP4633155B2 (ja) * 2002-02-08 2011-02-16 ヘッドウェイテクノロジーズ インコーポレイテッド 薄膜磁気ヘッドの製造方法
US7549216B2 (en) 2003-09-30 2009-06-23 Headway Technologies, Inc. Method of manufacturing a thin film magnetic head
JP2005129219A (ja) * 2003-10-27 2005-05-19 Headway Technologies Inc 磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、ハードディスク装置及び磁気ヘッドの製造方法
JP2006302486A (ja) * 2005-04-20 2006-11-02 Headway Technol Inc 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法
JP2016085780A (ja) * 2014-10-24 2016-05-19 ヘッドウェイテクノロジーズ インコーポレイテッド コイルと磁路構成部を含む薄膜磁気ヘッドの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3424905B2 (ja) 2003-07-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6204997B1 (en) Thin film magnetic head with a plurality of engaged thin-film coils and method of manufacturing the same
US6191916B1 (en) Thin film magnetic head and method of manufacturing the same
JP3530084B2 (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
JP4609981B2 (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
JPH11353616A (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
JP2995170B2 (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
JPH11283216A (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
US6400525B1 (en) Thin-film magnetic head and method of manufacturing same
JP3484343B2 (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
US6452743B1 (en) Thin-film magnetic head having a magnetic layer that defines a throat height and a magnetic layer that defines a track width and method of manufacturing same
JP3523092B2 (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
JP3781399B2 (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
JP3424905B2 (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
US6320726B1 (en) Thin film magnetic head and method of manufacturing the same, and method of forming thin film coil
US6578252B2 (en) Method of manufacturing a thin film magnetic head
JP3522593B2 (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
JP2000113425A (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
US6678942B1 (en) Thin film magnetic head and method of manufacturing the same
JP3839164B2 (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
JP2001084511A (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
JP2000155914A (ja) 薄膜磁気ヘッドの製造方法
JP2001052311A (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
US6598289B1 (en) Method of manufacturing thin-film magnetic head
JP3464379B2 (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法
JP2001093113A (ja) 薄膜磁気ヘッドおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030417

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees