JPH11343558A - 耐クラック性及び耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
耐クラック性及び耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法Info
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- JPH11343558A JPH11343558A JP16618798A JP16618798A JPH11343558A JP H11343558 A JPH11343558 A JP H11343558A JP 16618798 A JP16618798 A JP 16618798A JP 16618798 A JP16618798 A JP 16618798A JP H11343558 A JPH11343558 A JP H11343558A
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Abstract
な元素を添加することなく、耐クラック性と耐食性に優
れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板を安定して製造す
る。 【解決手段】 連続式溶融めっき設備において鋼板を焼
鈍し、引き続きAlを20〜95重量%含む溶融Al−
Zn系めっき浴中で溶融めっきを施す溶融Al−Zn系
合金めっき鋼板の製造方法において、製造すべきめっき
鋼板の片面当たりのめっき付着量[CW](g/m2)
に応じて、0.25CW+40≧AL≧0.25CW+
34.5(但し、45≧CW≧10)を満足する浴中A
l濃度[AL](wt%)のめっき浴で溶融めっきを施
すことを特徴とし、この製造法で得られためっき鋼板は
めっき付着量を低減させたことにより優れた耐クラック
性を有するとともに、Znによる犠牲防食作用とAlに
よる錆安定化作用がバランスよく発揮されるため優れた
耐食性を有する。
Description
Alを20〜95重量%含有する溶融Al−Zn系合金
めっき鋼板の製造方法に関するものである。
含有する溶融Al−Zn系合金めっき鋼板は、特公昭4
6−7161号に示されているように通常の溶融亜鉛め
っき鋼板に比べて優れた耐食性を示すことから、近年そ
の需要が増大しつつある。一般に、この溶融Al−Zn
系合金めっき鋼板は化成処理或いは塗装を施された後、
プレス成形、ロール成形、曲げなどの加工が施され、建
材、家電などの分野で使用されている。この溶融Al−
Zn系合金めっき鋼板は、連続式溶融めっき設備におい
て鋼板を焼鈍し、引き続きAlを20〜95重量%含む
溶融Al−Zn系めっき浴中でめっきを施すことにより
製造される。
き鋼板は、厳しい曲げ加工を施した場合に加工部にクラ
ックが発生しやすく、このクラックにより外観が損なわ
れるという欠点がある。従来、このような加工部でのク
ラックの発生を防止するために、めっき付着量を低減さ
せる方法(特開平5−271895号)や、めっき後の
製品に対して熱処理を施す方法(特公昭61−2874
8号)などが提案されている。
前者の方法では耐食性の低下が、また、後者の方法では
製造工程が増加することによる製造コストの増加が問題
となる。また、めっき付着量の低減化による耐食性の劣
化を防止するために浴中にミッシュメタル、Mg、Mn
などを添加する方法(特公昭64−10593号)も提
案されているが、素材コストの上昇を招くため好ましく
ない。
来技術の課題を解決し、製造工程を増加させたり、めっ
き浴中に特別な元素を添加することなく、耐クラック性
と耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板を安
定して製造することができる溶融Al−Zn系合金めっ
き鋼板の製造方法を提供することにある。
課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下のような
事実を知見した。 (1) めっき皮膜中にAlを20〜95重量%含有する溶
融Al−Zn系合金めっき鋼板では、めっき付着量を少
なくしていくと厳しい加工を施した部分でのクラックの
発生状態が変化してクラックの開口幅が減少し、外観上
クラックがほとんど認識できないような状態となる。
5重量%含有する溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の耐
食性に関しては、片面当たりのめっき付着量が10g/
m2以上であれば、めっき鋼板の非加工部についてはこ
のめっき皮膜特有の優れた耐食性が発揮されるが、厳し
い加工が施された部分では点状の赤錆が発生し、これを
起点として腐食が進行する。
いて調査、検討を行った結果、以下のような事実が判明
した。 (3) 従来一般に製造されている片面当たりのめっき付着
量が75g/m2前後の溶融Al−Zn系合金めっき鋼
板のめっき皮膜構造は、図4に示すようにAlベースの
デンドライト部と、Alベースに亜鉛が多量に析出した
インターデンドライト部と、鋼板との界面に形成された
界面合金層とからなり、インターデンドライト部の一部
にはZnの凝集部が存在している。このようなめっき皮
膜に厳しい加工が施されることによってめっき皮膜にク
ラックが形成されると、先ず凝集したZnの犠牲防食作
用により腐食生成物がクラックを覆い、時間の経過とと
もにAlが溶解して安定な錆に変化し、防食能力が持続
する。
せるためにめっき付着量を低減させると、上記のような
インターデンドライト部内のZnの凝集部が消失して、
めっき皮膜構造が過飽和にZnを含有したAlへと変化
し、上述した犠牲防食作用が失われる結果、厳しい加工
が施された部分において点状の赤錆が発生しやすくな
る。
た場合であっても、厳しい加工が施された部分において
上述したZnによる犠牲防食作用とAlによる錆安定化
作用をバランスよく発揮させるためには、めっき皮膜構
造をAlベースのデンドライト部と、Alベースであっ
てZnの凝集部を適度な割合で有するインターデンドラ
イト部と、界面合金層とからなる構造とすることが必要
であり、具体的には、インターデンドライト部中にZn
の凝集部がめっき皮膜断面(任意のめっき皮膜断面)で
の面積率で1〜30%程度存在していることが必要であ
る。 (6) このようなめっき皮膜構造は、製造されるめっき鋼
板のめっき付着量に応じて、所定のAl濃度を有するめ
っき浴で溶融めっきを施すことにより得ることができ
る。
たもので、以下のような構成を有することを特徴とす
る。 [1] 連続式溶融めっき設備において鋼板を焼鈍し、引き
続きAlを20〜95重量%含む溶融Al−Zn系めっ
き浴中で溶融めっきを施す溶融Al−Zn系合金めっき
鋼板の製造方法において、製造すべきめっき鋼板の片面
当たりのめっき付着量[CW](g/m2)に応じて、
下記(1)式を満足する浴中Al濃度[AL](wt%)
のめっき浴で溶融めっきを施すことを特徴とする耐クラ
ック性及び耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき
鋼板の製造方法。 0.25CW+40≧AL≧0.25CW+34.5 …(1) 但し、45≧CW≧10
れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の表面に化成処理
を施すことを特徴とする耐クラック性及び耐食性に優れ
た溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法。 [3] 上記[1]の製造方法において、製造された溶融Al
−Zn系合金めっき鋼板の表面に塗装を施すことを特徴
とする耐クラック性及び耐食性に優れた溶融Al−Zn
系合金めっき鋼板の製造方法。 [4] 上記[1]の製造方法において、製造された溶融Al
−Zn系合金めっき鋼板の表面に化成処理を施した後、
その上層に塗装を施すことを特徴とする耐クラック性及
び耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製
造方法。
本発明の製造方法は、連続式溶融めっき設備において鋼
板を焼鈍し、引き続きAlを20〜95重量%含む溶融
Al−Zn系めっき浴中で溶融めっきを施すことにより
溶融Al−Zn系合金めっき鋼板を製造する方法であ
る。溶融Al−Zn系めっき浴中のAl濃度を変えて種
々のめっき付着量のめっき鋼板を製造し、めっき浴中の
Al濃度と製品めっき鋼板の片面当たりのめっき付着量
が、製品めっき鋼板の耐食性(耐赤錆性)に及ぼす影響
を調べた。
曲げ加工し、この加工部の耐赤錆性を以下の観点から調
査した。 赤錆の発生しやすさ(初期赤錆発生傾向):屋外で
の大気暴露試験(内陸住宅地域6ヶ月)を実施し、試験
後の加工部の赤錆発生状況を目視検査により調査した。 腐食の進行速度(腐食生成物の安定性):JIS−
K5621に規定する複合サイクル試験(300サイク
ル)を実施し、試験後の加工部の赤錆発生状況を目視検
査により調査した。
は、めっき鋼板の片面当たりのめっき付着量[CW]
(g/m2)に応じてめっき浴中のAl濃度[AL]に
最適範囲が存在し、めっき浴中のAl濃度[AL]がめ
っき付着量[CW]との関係で0.25CW+40を超
える範囲では、厳しい加工を施した部分に大気暴露環境
で短期間のうちに赤錆が発生しやすく、一方、0.25
CW+34.5未満の範囲では腐食促進環境下での長期
的な防錆効果が安定的に得られない。これはめっき浴中
のAl濃度[AL]が0.25CW+40を超えるとZ
nの犠牲防食作用が不足するため、また、めっき浴中の
Al濃度[AL]が0.25CW+34.5を下回ると
Alによる錆安定化作用が不足するため、いずれも耐食
性(耐赤錆性)が劣化するものと考えられる。
するために製品めっき鋼板の片面当たりめっき付着量
[CW](g/m2)に応じて下記(1)式を満足するAl
濃度[AL](wt%)のめっき浴で溶融めっきを施す
ことを条件とする。 0.25CW+40≧AL≧0.25CW+34.5 …(1)
いては、鋼板片面当たりのめっき付着量[CW]が10
g/m2では平面部の耐食性が劣る。一方、鋼板片面当
たりのめっき付着量[CW]の上限は耐クラック性の観
点から規定される。図2は、めっき皮膜中にAlを20
〜95重量%含有する溶融Al−Zn系合金めっき鋼板
の片面当たりのめっき付着量[CW]と耐クラック性
(めっき鋼板を0T曲げした際の加工部におけるクラッ
ク開口幅の平均値)との関係を示したもので、めっき付
着量が減少するにしたがって厳しい加工を施した部分で
のクラックの開口幅が減少し、片面当たりめっき付着量
[CW]が45g/m2以下においてクラック開口幅の
平均値が30μmを下回り、外観上クラックがほとんど
認識できないような状態となる。
片面当たりの付着量[CW]を10〜45g/m2とす
る。このようにして製造されるめっき鋼板のめっき皮膜
構造は、図3に示すようにAlベースのデンドライト部
と、AlベースであってZnの凝集部を適度な割合(任
意のめっき皮膜断面での面積率で1〜30%程度)で有
するインターデンドライト部と、界面合金層とからなる
構造となる。
ては特別な制約はなく、一般には、常法で鋳造されたス
ラブを熱間圧延した後、酸洗脱スケールした熱延鋼板、
或いはこれをさらに冷間圧延して得られた冷延鋼板を連
続式溶融めっき設備に装入し、この連続式溶融めっき設
備において鋼板を焼鈍し、引き続き溶融Al−Zn系め
っき浴中で上述した条件で溶融めっきを施し、めっき付
着量の調整後、冷却して製品めっき鋼板とする。
合金めっき鋼板は、めっき皮膜中にAlを20〜95重
量%含有するもので、所謂溶融55%Al−Zn系合金
めっき鋼板に代表されるめっき鋼板である。この溶融A
l−Zn系合金めっき鋼板のめっき皮膜中には、通常、
Al及びZn以外にSi:0.3〜3.0重量%程度
(Siは脆い界面合金層の成長を抑制するためにめっき
浴中に添加される)が含有され、また、これ以外に適量
のFe、Ti、Sr、V、Cr、Mg、Mn等の1種以
上、その他不可避的不純物が含有される場合がある。な
お、本発明法により製造される溶融Al−Zn系合金め
っき鋼板は、板厚に拘りなく優れた耐クラック性を有す
るが、切断端部の耐食性の観点からは板厚を1.2mm
以下(より好ましくは0.7mm)とした方が好まし
い。
系合金めっき鋼板には、そのめっき面にリン酸塩処理や
クロメート処理等の化成処理を施すか、若しくはめっき
面または前記化成処理皮膜面に塗装を施すことができ
る。溶融Al−Zn系合金めっき鋼板は、例えば屋外で
放置され、結露や雨により鋼板表面が濡れた状態に長期
間置かれると、表面が黒く変色(所謂黒変現象)する場
合がある。これを防止するためには、めっき鋼板をクロ
メート処理することによりめっき皮膜表面にクロメート
皮膜を形成することが好ましい。
とを含み、Cr付着量(金属クロム換算の付着量)を3
〜80mg/m2、より望ましくは10〜50mg/m2
とすることが好ましい。このようなクロメート皮膜を形
成することにより黒変が効果的に防止できる。Cr付着
量が3mg/m2未満では黒変防止効果が十分に得られ
ず、一方、Cr付着量が80mg/m2を超えても付着
量に見合う効果が得られず、却ってCrが溶解しやすく
なるため好ましくない。
にクロム酸を含むクロメート処理液を塗布し乾燥するこ
とにより形成されるが、クロメート処理液中に含まれる
クロム酸は6価Cr/全Crの重量比が0.3〜1.0
であることが好ましく、6価Cr/全Crの重量比が
0.3未満では耐黒変性が低下する恐れがある。これ
は、めっき皮膜表面のクロメート皮膜による不働態化作
用が低下することによるものと考えられる。また、以上
の観点からクロム酸中の6価Cr/全Crの重量比は
0.4〜1.0、特に0.5〜1.0の範囲が好まし
い。なお、クロメート処理を施す前に、湯洗、水洗、或
いはアルカリ系溶液によるめっき面の洗浄を行うことも
可能である。
膜中には、例えば、水に分散可能な有機樹脂、シリカ、
鉱酸等のアニオン、フッ化物等を添加することができ
る。これらのうち、有機樹脂の添加により加工時等にお
ける耐傷付き性を付与することが可能であり、また、シ
リカの添加により耐食性の向上を図ることができる。ま
た、アニオンやフッ化物を添加することにより、クロメ
ート皮膜の着色を抑制したり、或いはめっき皮膜との反
応性を調整することができる。但し、これらの添加剤
は、その種類や添加量によっては耐黒変性を低下させる
場合があるため、その種類や添加量は適宜選択する必要
がある。
漬、ロールコーター等によりめっき皮膜表面に処理液を
塗布し、板温60〜250℃程度の範囲で乾燥すること
により形成される。このとき処理液中の一部の6価Cr
がめっき表面で反応し、3価Crが生成されるため、仮
に3価Crを含まない処理液を用いても皮膜中には3価
Crが含まれる。また、クロメート皮膜の上層には0.
1〜5μm程度の膜厚の有機樹脂皮膜を形成することも
可能である。
−Zn系合金めっき鋼板は塗装材の下地鋼板としても使
用することができる。塗装材を加工する際、厳しい加工
部で塗膜にクラックが発生することがあり、このような
クラックも前述したと同様に外観を害する。このような
クラックの発生原因の1つに下地めっき皮膜のクラック
があり、本発明法により製造される耐クラック性に優れ
た溶融Al−Zn系合金めっき鋼板を下地鋼板として利
用すれば、塗装鋼板自体の加工性(耐クラック性)も改
善される。また、加工部の耐食性も塗装を施すことによ
り格段に向上する。
系合金めっき鋼板を塗装鋼板として利用する場合、通
常、塗装を施す前に脱脂処理を施し、必要に応じてさら
に酸洗を施した後、クロメート処理やリン酸塩処理等の
化成処理を施すことが好ましい。クロメート処理につい
ては上述した通りであり、特にクロメート皮膜中に水性
樹脂を添加することにより加工性(耐クラック性)を向
上させることができる。
ることも可能であるが、加工性と耐白錆性をさらに向上
させるためには、塗装鋼板に通常用いられている下塗り
塗料(所謂プライマー)を塗装して焼き付けた上に塗装
すること、すなわち、下塗り塗膜とその上層の上塗り塗
膜とからなる塗膜構成とすることが望ましい。下塗り塗
料用樹脂としては、加工性と耐白錆性の点からエポキシ
樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシで変性したポリエス
テル樹脂、ポリエステルで変性したエポキシ樹脂等を主
剤とするものが好ましい。また、硬化剤としては、メラ
ミン、イソシアネート等の1種以上を使用することがで
きる。
合は、下塗り塗料中に防錆顔料としてクロム酸塩系化合
物を添加することが好ましい。このクロム酸塩系化合物
としては、ジンククロメート、ストロンチウムクロメー
ト、カルシウムクロメート、バリウムクロメート等が好
適であり、その含有量は塗料中の固形分の割合で1〜6
0重量%とすることが適当である。また、下塗り塗膜の
塗膜厚は、上述した効果を得るために5〜20μm程度
とすることが好ましい。
料、フッ素樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、塩ビ塗料、シ
リコーン塗料等の通常の塗料が使用できる。上塗り塗膜
の塗膜厚は加工性と耐白錆性の観点から5〜40μmが
好ましい。塗膜厚が5μm未満では塗膜の耐候性が低下
し(紫外線透過性が高まる)、且つ塗膜の白錆露出を抑
える能力も低下するので好ましくない。一方、40μm
を超えると塗装作業性の低下や塗膜外観の低下を招き、
また、コストも上昇するため好ましくない。
じて着色顔料、体質顔料、傷つき防止剤等の添加剤を配
合することができる。着色顔料としては、例えば、酸化
チタン、カーボンブラック、酸化鉄、クロム酸鉛、金属
粉末、焼成顔料、パール顔料等が挙げられる。体質顔料
としては、例えば、炭酸カルシウム、クレイ、タルク、
三酸化アンチモン、硫酸バリウム、カオリン等が挙げら
れる。傷付き防止剤としては、シリカ、アルミナ等のセ
ラミックスビーズ、ガラスビーズ、ガラス繊維、樹脂ビ
ーズ、フッ素ビーズ等が加工性の観点から好ましい。
る溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、セロソルブ系溶剤、メチルイソブチ
ルケトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、
イソホロン、シクロヘキサノン等が挙げられる。また、
塗料中には添加剤として、例えば、消泡剤、顔料分散
剤、たれ防止剤等を添加することができる。
く、従来一般に行われているロールコーター法、カーテ
ンフローコーター法、スプレー塗装、はけ塗り等の塗装
法を適用できるが、塗装鋼板の塗装においてはロールコ
ーター法が最も一般的である。ロールコーター法を使用
した場合、塗料を塗布した後の焼付処理は、通常、20
〜180秒間加熱して板温を150℃以上に到達させる
ことによって行われる。焼付時間が20秒未満では樹脂
成分の溶融硬化が不十分であり、一方、180秒を超え
ると下塗り塗料成分を含めた熱劣化が始まり、いずれの
場合にも塗料本来の性能が発揮されなくなるため好まし
くない。焼付処理の加熱方法についても特別な制限はな
く、熱風加熱方式、高周波加熱方式等の方法を適用でき
る。
洗および冷間圧延して得られた冷延鋼板(板厚0.3〜
1.8mm)を連続式溶融めっき設備に装入し、種々の
浴中Al濃度の溶融めっき浴を用いてめっきを行い、溶
融Al−Zn系合金めっき鋼板を製造した。
合金めっき鋼板について、加工性(耐クラック性)と耐
食性を下記の試験方法で評価した。 (1) 加工性(耐クラック性) 試験片を0T曲げ加工し、この加工部を目視観察してク
ラックの発生状況を下記により評価した。 ◎:肉眼ではクラックは認められず ○:僅かにクラックが発生 △:明瞭なクラックが少量発生 ×:明瞭なクラックが大量発生
JIS−K5621に規定する複合サイクル試験(15
0サイクル)と屋外での大気暴露試験(海岸地域3ヶ
月)を実施し、試験後の試験片表面の白錆発生面積率で
評価した。その評価基準は以下の通りである。 ◎:白錆発生面積率0% ○:白錆発生面積率1%以上、25%未満、 △:白錆発生面積率25%以上、50%未満 ×:白錆発生面積率50%以上
この試験片を0T曲げ加工した後、JIS−K5621
に規定する複合サイクル試験(300サイクル)を実施
し、試験後の試験片表面の赤錆発生状況で評価した。そ
の評価基準は以下の通りである。 ◎ :変色、赤錆発生なし ○+:僅かに変色発生 ○ :点錆少量発生 △ :点錆発生 × :赤錆発生
この試験片を0T曲げ加工した後、屋外での大気暴露試
験(内陸住宅地域6ヶ月)を実施し、試験後の試験片表
面の赤錆発生状況で評価した。その評価基準は以下の通
りである。 ◎ :変色、赤錆発生なし ○+:僅かに変色発生 ○ :点錆少量発生 △ :点錆発生 × :赤錆発生
辺のみをシールしない試験片について、大気暴露試験
(内陸住宅地域6ヶ月)を実施し、試験後の試験片切断
端部での赤錆発生状況を評価した。その評価基準は以下
の通りである。 ◎ :変色、赤錆発生なし ○+:僅かに変色発生 ○ :変色発生 △ :点錆発生 × :赤錆発生
使用しためっき浴中のAl及びSi濃度、めっき付着量
及び上記(1)式の上下限値とともに表1〜表4に示す。
これによれば、本発明条件に従うことにより耐食性と耐
クラック性がともに優れためっき鋼板が製造できること
が判る。また、切断端部の耐食性は、板厚1.2mm超
のめっき鋼板に較べて板厚1.2mm以下(特に、板厚
0.7mm以下)のめっき鋼板のほうが良好である。
の溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の一部に塗布型クロ
メート処理(処理液のクロム酸中の6価Cr/全Crの
重量比:0.5,液温:50℃,塗布方法:スプレー
法)を施し、直ちに乾燥させてクロメート皮膜(Cr付
着量:20mg/m2)を形成し、クロメート処理溶融
Al−Zn系合金めっき鋼板を得た。これらクロメート
処理溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の耐黒変性を下記
の試験方法で評価した。
g/cm2の面圧でスタック状態とし、60℃、98%
RH以上の湿潤環境下に240時間放置した後の外観表
面の変化を下記評価基準にて目視評価した。 5:全く変化なし 4:1〜5%の面積で若干変化(黒変)あり 3:1〜5%の面積で明らかな黒変あり 2:6〜25%の面積で明らかな黒変あり 1:26%以上の面積で明らかな黒変あり これらの試験結果を表5及び表6に示すが、いずれの場
合も良好な耐黒変性が得られている。
酸洗および冷間圧延して得られた冷延鋼板(板厚0.2
8〜1.8mm)を連続式溶融めっき設備に装入し、種
々の浴中Al濃度の溶融めっき浴を用いてめっきを行
い、溶融Al−Zn系合金めっき鋼板を製造した。これ
らの溶融Al−Zn系合金めっき鋼板に塗布型クロメー
ト処理を施してCr付着量が30mg/m2のクロメー
ト皮膜を形成し、次いで下塗り塗料としてエポキシ・メ
ラミン樹脂系塗料を乾燥塗膜厚が5μmになるように塗
布した後、約200℃で60秒間焼き付け、さらに上塗
り塗料としてポリエステル樹脂塗料を乾燥塗膜厚が20
μmになるよう塗布した後、約250℃で60秒間焼き
付け、引き続き水冷して塗装鋼板を得た。
性)と切断端部の耐赤錆性を下記の試験方法で評価し
た。 (1) 塗膜加工性(耐クラック性) 試験片に対して20℃の室内にて180°の折り曲げ加
工を行い、その折り曲げ加工部を30倍のルーペで観察
してクラックを生じていない最少の板はさみ枚数で評価
した。 ◎:0T ○:1T △:2T ×:3T以上
露試験(内陸住宅地域2年)を実施し、試験後の試験片
切断端部での赤錆発生状況を評価した。その評価基準は
以下の通りである。 ◎ :変色、赤錆発生なし ○+:僅かに変色発生 ○ :変色発生 △ :点錆発生 × :赤錆発生
使用しためっき浴中のAl及びSi濃度、めっき付着量
及び上記(1)式の上下限値とともに表7に示す。これに
よれば本発明例の塗装鋼板は、比較例の塗装鋼板に較べ
て塗膜の耐クラック性が大幅に改善されている。また、
切断端部の耐食性は、板厚1.2mm超のめっき鋼板に
較べて板厚1.2mm以下(特に、板厚0.7mm以
下)のめっき鋼板のほうが良好である。
食性と耐クラック性がともに優れた溶融Al−Zn系合
金めっき鋼板を安定して製造することができる。
当たりのめっき付着量が、製品めっき鋼板の耐食性に及
ぼす影響を示すグラフ
ラック性との関係を示すグラフ
皮膜構造を示す説明図
膜構造を示す説明図
Claims (4)
- 【請求項1】 連続式溶融めっき設備において鋼板を焼
鈍し、引き続きAlを20〜95重量%含む溶融Al−
Zn系めっき浴中で溶融めっきを施す溶融Al−Zn系
合金めっき鋼板の製造方法において、 製造すべきめっき鋼板の片面当たりのめっき付着量[C
W](g/m2)に応じて、下記(1)式を満足する浴中A
l濃度[AL](wt%)のめっき浴で溶融めっきを施
すことを特徴とする耐クラック性及び耐食性に優れた溶
融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法。 0.25CW+40≧AL≧0.25CW+34.5 …(1) 但し、45≧CW≧10 - 【請求項2】 製造された溶融Al−Zn系合金めっき
鋼板の表面に化成処理を施すことを特徴とする請求項1
に記載の耐クラック性及び耐食性に優れた溶融Al−Z
n系合金めっき鋼板の製造方法。 - 【請求項3】 製造された溶融Al−Zn系合金めっき
鋼板の表面に塗装を施すことを特徴とする請求項1に記
載の耐クラック性及び耐食性に優れた溶融Al−Zn系
合金めっき鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 製造された溶融Al−Zn系合金めっき
鋼板の表面に化成処理を施した後、その上層に塗装を施
すことを特徴とする請求項1に記載の耐クラック性及び
耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16618798A JP3603601B2 (ja) | 1998-05-30 | 1998-05-30 | 耐クラック性及び耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16618798A JP3603601B2 (ja) | 1998-05-30 | 1998-05-30 | 耐クラック性及び耐食性に優れた溶融Al−Zn系合金めっき鋼板の製造方法 |
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