JPH11342283A - 下糸糸巻き装置付きミシン - Google Patents

下糸糸巻き装置付きミシン

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JPH11342283A
JPH11342283A JP15299998A JP15299998A JPH11342283A JP H11342283 A JPH11342283 A JP H11342283A JP 15299998 A JP15299998 A JP 15299998A JP 15299998 A JP15299998 A JP 15299998A JP H11342283 A JPH11342283 A JP H11342283A
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JP
Japan
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thread
bobbin
sewing
winding
sewing machine
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JP15299998A
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English (en)
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Minoru Hayashi
稔 林
Kiyoshi Matsuzawa
清志 松沢
Fumio Wada
文夫 和田
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Juki Corp
Original Assignee
Juki Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 釜からボビンを取り外すことなく糸巻き動作
を安全かつ適正に行うことのできる下糸糸巻き装置付き
ミシンを提供すること。 【解決手段】 針3を上下動させるミシンモータ23
5と、針3と協働して刺繍縫いを行うため縫製物Sを保
持する刺繍枠239をXY方向に移動するXモータ24
0BおよびYモータ240Aを備えたミシン1におい
て、ボビン22に巻回された下糸DSの有無を検出する
下糸検出手段214と、下糸検出手段214が縫製動作
の実行中に下糸DSが無くなったのを検出した場合、ミ
シンモータ235を制御して縫製物Sの上方で針3を停
止し、少なくともXモータ240BまたはYモータ24
0Aを制御して刺繍枠239を少なくともボビン22に
残っている下糸DSの残り糸を下糸張力手段25から引
き出すように最終縫目と針3との間を所定距離LL離間
するように移動することを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、釜からボビンを取
り外すことなくボビンに下糸を巻回することのできる下
糸糸巻き装置付きミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から釜からボビンを取り外すことな
くボビンに下糸を巻回することのできる各種の下糸糸巻
き装置付きミシンが提案されている。
【0003】これらの従来例としては、特公昭60−4
2745号公報あるいは特公平3−27230号公報に
記載されているものなどがある。そして、特公昭60−
42745号公報あるいは特公平3−27230号公報
に記載されている水平釜用の下糸糸巻き装置付きミシン
は、何れも上糸のみをボビンに巻回される下糸として用
いるとともに、ボビンに上糸を巻回する糸巻き動作時
に、外釜の剣先にすくわれ内釜を回る上糸を、下糸張力
ばねに案内してボビンの回転によりボビンの切欠きに糸
を捕捉させて巻き取るようにされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年におい
ては、各種の製品において操作性や安全性の向上が常に
図られており、下糸糸巻き装置付きミシンにおいても操
作性や安全性の向上を図るため、糸巻き動作を安全かつ
適正に行うものが求められている。
【0005】また、前述した従来の下糸糸巻き装置付き
ミシンにおいては、外釜の剣先を用いて糸をボビンの切
欠きに案内する構成とされているので、縫製動作時には
糸をボビンの切欠きに入らないようにする必要があり、
構成が複雑になるという問題点や、糸掛けされている上
糸のみをボビンに巻き取ることしかできず、刺繍縫いな
どの上糸と下糸とを異なる糸を用いて縫製するる場合に
は、使用する下糸を上糸として掛け直す必要があり、糸
巻き動作時に多大な労力と時間を要するという問題点な
どの多種多様の問題点があった。
【0006】本発明はこれらの点に鑑みてなされたもの
であり、釜からボビンを取り外すことなく糸巻き動作を
安全かつ適正に行うことのできる下糸糸巻き装置付きミ
シンを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ため特許請求の範囲の請求項1に記載の本発明の下糸糸
巻き装置付きミシンの特徴は、針を上下動させるミシン
モータと、前記針と協働して刺繍縫いを行うため縫製物
を保持する刺繍枠をXY方向に移動するXモータおよび
Yモータを備えたミシンにおいて、ボビンに巻回された
下糸の有無を検出する下糸検出手段と、前記下糸検出手
段が縫製動作の実行中に下糸が無くなったのを検出した
場合、ミシンモータを制御して縫製物の上方で針を停止
し、少なくともXモータまたはYモータを制御して前記
刺繍枠を少なくとも前記ボビンに残っている下糸の残り
糸を下糸張力手段から引き出すように最終縫目と針との
間を所定距離離間するように移動する点にある。そし
て、このような構成を採用したことにより、下糸検出手
段は、刺繍枠をXY方向に移動して縫製物に刺繍縫いを
行う縫製動作の実行中に下糸が無くなったのを容易に検
出することができる。さらに、下糸検出手段が縫製動作
の実行中に下糸が無くなったのを検出した場合、ミシン
モータは、針が縫製物の上方で停止するように制御さ
れ、少なくともXモータまたはYモータは、刺繍枠が最
終縫目と針との間を所定距離離間するように移動するよ
うに制御されるので、ボビンに残っている下糸の残り糸
を下糸張力手段から引き出すことができるので、ボビン
に残っている下糸の残り糸をボビンから確実かつ適正に
引き出すことができる。さらにまた、縫製動作中に下糸
が無くなった場合にボビンに残っている下糸の残り糸を
ボビンから確実かつ適正に引き出すことができるので、
糸巻き動作時に、ボビンに残っている下糸と新たにボビ
ンに巻回される下糸とが干渉して糸が絡むという不都合
を確実に防止することができ、その結果、糸巻き動作を
安全かつ適正に実行することができる。
【0008】また、請求項2に記載の本発明の下糸糸巻
き装置付きミシンの特徴は、請求項1において、上糸へ
上糸張力を付与する上糸張力付与手段と、前記刺繍枠を
移動させて前記ボビンに残っている下糸の残り糸を引き
出す際に前記上糸張力付与手段が上糸へ付与する上糸張
力を制御する下糸引出時上糸張力制御部とを有し、前記
刺繍枠を移動させて前記ボビンに残っている下糸の残り
糸を引き出す際に、前記下糸引出時上糸張力制御部が上
糸に付与されている上糸張力を解放するように形成した
点にある。ここでいう上糸張力を解放するとは、上糸張
力を完全に解放することであっても、上糸の張力を縫製
時より弱くすることであってもどちらでもよく、具体的
には、上糸張力付与手段による上糸の保持力を零あるい
は縫製時より弱くすることにより達成することができ
る。そして、このような構成を採用したことにより、下
糸引出時上糸張力制御部は、ボビンに残っている下糸の
残り糸を刺繍枠で引き出す際に、上糸に付与されている
上糸張力を解放することができるので、下糸とともに上
糸を容易に引き出すことができ、その結果、下糸の残り
糸を刺繍枠で安全かつ適正に引き出すことができる。
【0009】また、請求項3に記載の本発明の下糸糸巻
き装置付きミシンの特徴は、釜からボビンを取り外すこ
となくボビンに下糸を巻回することのできる下糸糸巻き
装置付きミシンにおいて、少なくとも糸巻き動作時に前
記ボビンに巻回される上糸の糸端近傍を捕捉可能とさ
れ、常時は先端部が前記外釜の外周面近傍の退避位置に
位置し、糸巻き動作時には先端部が前記ボビンの上方に
進入可能に形成した糸保持部材と、上糸へ上糸張力を付
与する上糸張力付与手段と、糸巻き動作時の上糸張力を
制御する糸巻き時上糸張力制御部とを有し、上糸の糸巻
き動作時に、前記糸巻き時上糸張力制御部が上糸に付与
されている上糸張力を解放した状態でミシンを駆動し、
天秤が天秤上死点を通過した後に上糸に所定の上糸張力
を付与し、前記糸保持部材による上糸の捕捉に必要な設
定糸量を繰り出すように形成した点にある。ここでいう
上糸張力を解放するとは、上糸張力を完全に解放するこ
とであっても、上糸の張力を縫製時より弱くすることで
あってもどちらでもよく、具体的には、上糸張力付与手
段による上糸の保持力を零あるいは縫製時より弱くする
ことにより達成することができる。そして、このような
構成を採用したことにより、糸巻き時上糸張力制御部
は、ボビンに上糸を巻回する糸巻き動作時に、ミシンが
停止した際の天秤位置、すなわちミシン停止時のミシン
位相、詳しくは上軸の位相がどこであっても、天秤が上
昇するのに必要な糸量を上糸糸駒から容易に引き出すこ
とができるので、上糸の上糸張力付与手段から糸端まで
の長さを一定長さとすることができる。その後、上糸張
力付与手段により設定糸量を繰り出すことにより、糸保
持部材による上糸の捕捉に必要な糸量を確実に確保する
ことができ、その結果、ボビンに上糸を巻回する場合の
糸巻き動作を安全かつ適正に実行することができる。
【0010】また、請求項4に記載の本発明の下糸糸巻
き装置付きミシンの特徴は、釜からボビンを取り外すこ
となくボビンに下糸を巻回することのできる下糸糸巻き
装置付きミシンにおいて、少なくとも糸巻き動作時に前
記ボビンに巻回される下糸専用糸の糸端近傍を保持可能
とされ、常時は先端部が前記外釜の外周面近傍の退避位
置に位置する糸保持部材と、前記糸保持部材が退避位置
に位置するのを検出する退避位置検出手段と、糸巻き動
作の開始を指示する糸巻きスイッチと、縫製動作の開始
を指示する縫製スイッチと、前記糸巻きスイッチおよび
前記縫製スイッチによる指示の有効無効を制御するスイ
ッチ制御部とを有し、前記退避位置検出手段が前記糸保
持部材が退避位置に位置するのを検出した場合にのみ前
記スイッチ制御部が前記糸巻きスイッチおよび前記縫製
スイッチによる糸巻き動作あるいは縫製動作の開始の指
示を有効とするように形成した点にある。そして、この
ような構成を採用したことにより、スイッチ制御部は、
糸保持部材が退避位置に位置するのを退避位置検出手段
が検出している場合にのみ糸巻きスイッチによる糸巻き
動作の開始および縫製スイッチによる縫製動作の開始を
有効とすることができる。言い替えると、スイッチ制御
部は、退避位置以外の位置に糸保持部材が位置した場合
には、糸巻きスイッチによる糸巻き動作の開始および縫
製スイッチによる縫製動作の開始を無効として糸巻き動
作および縫製動作を開始させないので、作業者の誤操作
による誤動作を確実に防止して、高い安全性を確実に確
保することができる。
【0011】また、請求項5に記載の本発明の下糸糸巻
き装置付きミシンの特徴は、釜からボビンを取り外すこ
となくボビンに下糸を巻回することのできる下糸糸巻き
装置付きミシンにおいて、先端部に針が取着され縫製動
作時に前記針を上軸に連動して上下方向へ往復運動させ
る針棒を糸巻き動作時に上軸の回転から切外して停止さ
せ前記針を上方に保持可能な針棒切外し機構と、前記ボ
ビンを自由回転可能に収納する内釜、およびこの内釜を
内方で非回転支持するとともに上軸と同期して回転し、
上糸を捕捉する剣先を設けた外釜を具備する水平釜と、
少なくとも糸巻き動作時に前記ボビンに巻回される下糸
専用糸の糸端近傍を保持可能とされ、常時は先端部が前
記外釜の外周面近傍の退避位置に位置し、糸巻き動作時
には先端部が前記ボビンの上方に進入可能に形成した糸
保持部材と、前記下糸専用糸の糸巻き動作時の前記糸保
持部材の進入動作タイミングを制御する糸保持部材進入
タイミング制御部とを有し、前記下糸専用糸の糸巻き動
作時に前記糸保持部材進入タイミング制御部が前記針棒
切外し機構による針棒切外し実行後の上糸が前記内釜か
ら離間した後に前記糸保持部材を前記ボビンの上方に進
入するように形成した点にある。そして、このような構
成を採用したことにより、糸保持部材進入タイミング制
御部は、針棒切外し実行後の上糸が内釜から離間した後
に糸保持部材をボビンの上方に進入させるので、糸保持
部材が上糸に絡まないタイミングでボビンの上方に進入
させることができ、その結果、ボビンに下糸専用糸を巻
回する場合の糸巻き動作を安全かつ適正に実行すること
ができる。
【0012】また、請求項6に記載の本発明の下糸糸巻
き装置付きミシンの特徴は、釜からボビンを取り外すこ
となくボビンに下糸を巻回することのできる下糸糸巻き
装置付きミシンにおいて、先端部に針が取着され縫製動
作時に前記針を上軸に連動して上下方向へ往復運動させ
る針棒を糸巻き動作時に上軸の回転から切外して停止さ
せ前記針を上方に保持可能な針棒切外し機構と、前記ボ
ビンを自由回転可能に収納する内釜、およびこの内釜を
内方で非回転支持するとともに上軸と同期して回転し、
上糸を捕捉する剣先を設けた外釜を具備する水平釜と、
糸巻き動作時に前記ボビンを回転駆動するボビン駆動部
材と、少なくとも糸巻き動作時に前記ボビンに巻回され
る上糸の糸端近傍を捕捉可能とされ、常時は先端部が前
記外釜の外周面近傍の退避位置に位置し、糸巻き動作時
には先端部が前記ボビンの上方に進入可能に形成した糸
保持部材と、前記ボビンと前記ボビン駆動部材とを接離
可能な回転伝動機構と、前記上糸の糸巻き動作時の前記
針棒切外し機構による針棒切り外しの動作タイミングお
よび前記回転伝動機構による前記ボビンと前記ボビン駆
動部材との接続による連結の動作タイミングを制御する
針棒切外し・回転接続動作タイミング制御部とを有し、
上糸の糸巻き動作時に、前記針棒切外し・回転接続動作
タイミング制御部が針棒の切り外しを前記糸保持部材が
前記ボビンの上方に進入した進入位置に位置した後に前
記剣先が上糸を捕捉する位置を通過して前記剣先が上糸
を捕捉した状態で再度前記剣先が上糸を捕捉する位置を
通過するまでに実行し、前記回転伝動機構による前記ボ
ビンと前記ボビン駆動部材との接続を前記剣先に捕捉さ
れ前記内釜の底を通過する上糸が前記ボビン駆動部材に
設けられた前記回転伝動機構を通過した後に実行するよ
うに形成した点にある。ここでいう、前記ボビンと前記
ボビン駆動部材とを接離可能な回転伝動機構とは、ボビ
ン駆動部材の回転を糸巻き動作時にボビンへ伝達すると
いうことであり、具体的には、ボビン駆動部材をボビン
に対して接離動作させるボビン駆動部材移動手段を設
け、このボビン駆動部材移動手段により、糸巻き動作時
にボビン駆動部材およびボビンの回転伝動機構、例えば
ボビン駆動部材に設けたボビン駆動ギアとボビンに設け
たボビン従動ギアとを噛合させることにより達成でき
る。そして、このような構成を採用したことにより、針
棒切外し・回転接続動作タイミング制御部は、糸保持部
材がボビンの上方に進入した進入位置に位置した後にミ
シン駆動して剣先が上糸を捕捉する位置を通過して剣先
が上糸を捕捉した状態で再度剣先が上糸を捕捉する位置
を通過するまでに針棒の切外しを実行し、剣先に捕捉さ
れ内釜の底を通過する上糸がボビン駆動部材に設けられ
た回転伝動機構を通過した後に回転伝動機構によるボビ
ンとボビン駆動部材との接続を実行するので、剣先が上
糸を捕捉した状態で上糸を再度捕捉してしまうという糸
がらみの発生を確実に防止することができるとともに、
剣先に捕捉された上糸が内釜を通過する前にボビンとボ
ビン駆動部材とが接続されて剣先に捕捉された上糸が回
転伝動機構に絡まるという不都合を確実に防止すること
ができ、その結果、ボビンに上糸を巻回する場合の糸巻
き動作を安全かつ適正に実行することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施形
態により説明する。
【0014】図1から図29は本発明に係る下糸糸巻き
装置付きミシンの実施形態の一例を示すものであり、図
1は要部の外観斜視図、図2は水平釜近傍の要部の構成
を示す斜視図、図3は水平釜近傍の要部の構成を示す一
部切断断面図、図4は外釜近傍の要部の構成を示す分解
図、図5は下糸張力手段を示す斜視図、図6は内釜の底
部近傍を示す平面図、図7はボビンを示す縦断面図、図
8は図7の平面図、図9は糸保持部材の要部を示す平面
図、図10は図9の正面図、図11は図9の一部拡大平
面図、図12は退避位置センサの取着状態の要部を示す
拡大図、図13は退避位置センサが糸保持部材が退避位
置に位置するのを検出する状態を説明する説明図、図1
4は糸保持部材表出手段の要部を示す斜視図、図15は
針板近傍の要部を示す斜視図、図16はボビン駆動部材
移動手段の要部を示す斜視図、図17は回転伝動機構の
他例の構成を示す説明図、図18は専用下糸繰出機構の
一例の要部の構成を示す説明図、図19は上糸繰出機構
の一例の要部の構成を示す説明図、図20は針棒切外し
機構の一例の要部の構成を示す分解斜視図、図21は糸
巻き径検出手段の一例の要部の構成を示す斜視図、図2
2は図21の平面図、図23は操作部の一例の要部の構
成を示す説明図、図24は専用下糸保持検出手段の一例
の要部の構成を示す正面図、図25は図24のY−Y線
に沿った側断面図、図26は図24のZ−Z線に沿った
側断面図、図27は制御手段の要部の構成を示すブロッ
ク図、図28は下糸の糸巻き量を示す説明図、図29は
下糸の限界糸巻き回数を示す説明図である。
【0015】本実施形態の下糸糸巻き装置付きミシン
は、刺繍縫いを行うミシンに用いたものであり、糸巻き
動作時に、ボビンに巻回される下糸として下糸専用糸あ
るいは上糸を選択することができるようにされている。
【0016】図1に示すように、本実施形態の下糸糸巻
き装置付きミシン1のミシン本体1aは、下部にミシン
ベッド1bが配設され、上部にミシンベッド1bと平行
にしてミシンアーム1cが配設されており、ミシンベッ
ド1bとミシンアーム1cとは、図1右方に示すミシン
脚柱部1dにより接続されて、全体として正面ほぼコ字
形状に形成されている。そして、ミシンベッド1bに
は、所定の縫い模様を形成するのに必要な補助部品とし
ての平面ほぼU字形状とされた着脱可能な公知の刺繍装
置240が装着されており、ミシンベット1bに装着し
た刺繍装置240の可動部としての刺繍枠239に縫製
物Sをセットした状態で刺繍枠239を縦横(XY)方
向へ移動させながら後述する針3と協働して所定の形状
縫い(刺繍縫い)を行うことができるようになされてい
る。すなわち、ミシンベット1bに刺繍装置240を装
着することにより、図示しない公知の布送り機構が後述
するミシンモータ235の回転から切り離されて、図示
しない公知の送り歯が後述する針板5から下方に下降す
るようになっている。この刺繍装置240の着脱状態
は、後述する刺繍装置センサ217(図27)によって
制御手段93へ送出可能になっている。このような下糸
糸巻き装置付きミシン1においては、図1手前側に示す
前面側が操作側とされて設置されるのが一般的である。
【0017】前記ミシン本体1aのミシンベッド1bの
ミシン脚柱部1dの左方に近接した操作側位置には、後
述する下糸専用糸EDSを巻回した下糸糸駒111が着
脱自在に装着可能な下糸糸駒装着部168が設けられて
おり、この下糸糸駒装着部168には、下糸糸駒111
を回転自在に支持するための下糸立棒117がその先端
を上方に向けて立設されている。そして、下糸糸駒装着
部168は、前記刺繍枠239が移動した際に下糸専用
糸EDSを巻回した下糸糸駒111と前記刺繍枠239
とが干渉しない位置に設けられている。つまり、下糸専
用糸EDSが巻回された下糸糸駒111は、ミシン本体
1aの操作側の所定の縫い模様を形成するのに必要な補
助部品としての刺繍装置240を装着した場合にこの刺
繍装置240の刺繍枠239と干渉しない位置に着脱可
能に設置されている。この下糸糸駒装着部168の形成
位置、詳しくは、下糸糸駒111のミシン本体1aへの
配置位置としては、少なくとも刺繍装置240の刺繍枠
239を着脱せずに下糸糸駒111の着脱(交換)を行
うことができる位置が好ましく、ミシン外部から刺繍枠
239を着脱せずに下糸糸駒111の着脱を操作側から
できる位置が最も好ましい。また、下糸糸駒111は、
図示しない下糸糸駒カバーによって下糸糸駒111をミ
シンフレーム1fの内部に配置する構成でも、下糸糸駒
111をミシンフレーム1fの外部に露出配置する構成
でも、下糸糸駒111の一部がミシンフレーム1fの外
部に露出配置する構成でも何れであってもよい。
【0018】なお、下糸糸駒111の配設位置として
は、刺繍装置240の刺繍枠239をミシン脚注部1d
から最も離間した図1左方に示す後退位置に位置した際
に、刺繍装置240の刺繍枠239を着脱せずに下糸糸
駒111の着脱(交換)を行うことができる位置であっ
てもよく、この場合でもミシン外部から刺繍枠239を
着脱せずに下糸糸駒111の着脱を操作側からできる位
置が好ましい。
【0019】前記ミシンアーム1cの図1左方に示すミ
シンアーム1cの頭部と称される自由端部に位置するミ
シンヘッド1eの下部の所望の位置には、縫製動作時に
縫製物Sを上方から押さえる公知の布押え208が配設
されており、この布押え208は、図示しない公知の押
え機構によって上下移動可能とされている。このミシン
アーム1cの下部には、ミシンヘッド1e側からミシン
脚柱部1dに向かって縫製動作の開始、本実施形態にお
いては縫製動作のON/OFFを指示する縫製スイッチ
としての縫製スタート/ストップスイッチ238、返し
縫いの開始を指示する返し縫いスイッチ301、縫製動
作を終了した後に縫製物Sに連なる糸の切断を行う図示
しない公知の糸切断装置による糸切り動作の開始を指示
する糸切りスイッチ302、縫製動作時における縫製速
度を制御する縫製速度調整ボリュームスイッチ303な
どが配設されている。これらの縫製スイッチ238、返
し縫いスイッチ301、糸切りスイッチ302および縫
製速度調整ボリューム303スイッチは、後述する制御
手段93に電気的に接続されている。また、ミシン脚柱
部1dの前面側には、操作部170が配設されている。
この操作部170の詳しい構成については後述する。
【0020】図2および図3に示すように、本実施形態
の下糸糸巻き装置付きミシン1は、ミシンヘッド1e
(図1)の内部に配設された公知の針棒機構により、縫
製動作時に後述するミシンモータ235により駆動可能
とされた上軸(共に図示せず)に連動して上下方向へ往
復運動する針棒2の先端部に取着された針3の前方に配
設された釜たる水平釜4を有している。この水平釜4
は、ミシンベット1bの一部を構成する図3上方に示す
針板5、詳しくは針板5の一部を構成する着脱自在とさ
れた釜カバー204の下方に位置するようにしてミシン
本体1a(図1)を構成するミシン機枠と称せられるミ
シンフレーム1fの内部、詳しくは、ミシンベッド1b
の内部に配設されており、縫製動作時に図示しない公知
の針棒機構および天秤機構などと協働して所望の縫い目
を形成するようにされている。なお、縫製動作時におい
て針3を上軸に連動して上下方向へ往復運動させる針棒
2の上下方向への往復運動は、後述する針棒切外し機構
140(図20)によって、糸巻き動作時に上軸の回転
から切外して針3の上下方向への往復運動を停止させ針
3を上方に保持可能とされている。
【0021】また、刺繍装置240を用いない縫製動作
時には、図示しない公知の布送り機構の送り歯により縫
製物Sを移動させることができるようになっている。
【0022】前記水平釜4は、縫製動作時に、図示しな
い公知の下軸に連動して図2矢印Aにて示す上方から見
て反時計方向へ正回転する外釜7を有している。この外
釜7は、図3に示すように、上部が大径の大径部7aと
され下部が小径の小径部7bとされた2段のほぼ筒状に
形成されている。そして、外釜7の小径部7bには、下
軸に固定されたねじギア(図示せず)と噛合するねじギ
ア8が固定されており、外釜7は、このねじギア8によ
って上軸に連動して回転駆動する下軸の回転運動に連動
して回転可能に形成されている。すなわち、水平釜4の
外釜7は、上軸と同期して回転するようになっている。
【0023】前記外釜7の軸心部には、図3および図4
に示すように、ほぼ円筒形状に形成された釜軸9が前記
ねじギア8の軸心部を貫通するようにして配設されてお
り、この釜軸9の下端部は、図3下方に示す釜取付台1
0に図示しないねじなどにより固定されている。この釜
取付台10は、ミシンフレーム1fのミシンベッド1b
内部に固定されたベースフレーム33に取着されてい
る。そして、釜軸9の軸心部には、図3および図4に示
すように、上下両端部が釜軸9の上下両端から突出する
ボビン駆動部材11が回転可能かつ軸方向に移動可能に
して配設されており、ボビン駆動部材11の下部の外周
面に配設されたボビン駆動部材付勢ばね12の上端を前
記釜軸9あるいは釜取付台10の下端面に当接するとと
もに、ボビン駆動部材付勢ばね12の下端部をボビン駆
動部材11の下端部近傍に取着した止め輪13の上面に
当接させることにより、ボビン駆動部材11は常時は下
方に向けて付勢されている。
【0024】前記ボビン駆動部材11の上端部には、図
4に詳示するように、ボビン駆動ギア14が設けられて
いる。このボビン駆動ギア14は、外釜7の大径部7a
と小径部7bとをつなぐ段部7cの内部、詳しくは大径
部7aの内部底部たる外釜底部7eに外釜7と同軸で回
転可能に配設された外釜底板16の軸心部に板厚方向に
貫通するようにして設けられたボビン駆動ギア14と同
一形状のギア孔17に常に嵌合されている。そして、外
釜底板16は、前記ギア孔17を軸心部に有するほぼ円
盤状の基部16aと、この基部16aの外周面下方から
径方向外側に向かって延出された平板状の複数、本実施
形態においては4つの等角度分配置された係合突起16
bを有している。そして、外釜底板16の上部には環状
に形成された圧接部材としての磁性体(マグネット)3
32が配設されている。この磁性体332の内周面に
は、前記外釜底板16の基部16aが嵌合されており、
磁性部体332の下面には、複数、本実施形態において
は4つの係合溝332aが等角度分配置されており、こ
れらの係合溝332aには前記外釜底板16の係合突起
16bがそれぞれ係合されている。
【0025】すなわち、磁性体332は、その磁力によ
り外釜底板16を間に挟んで外釜7の外釜底部7eに吸
着可能(圧接可能)とされており、その結果、外釜7の
回転が磁性体332に伝達して磁性体332を外釜7と
同一方向へ回転させ、この磁性体332の回転は、磁性
体332の係合溝332aに係合する係合突起16bを
介して外釜底板16に伝達して外釜底板16を外釜7と
同一方向へ回転させ、この外釜底板16の回転は、外釜
底板16の軸心部に形成されたギア孔17に噛合された
ボビン駆動ギア14を介してボビン駆動部材11を外釜
7と同一方向へ回転させるようになされており、ボビン
駆動部材11は、外釜7と回転中心が同軸上に位置する
ようにして一体回転するようになされている。
【0026】前記外釜底板16および圧接部材としての
前記磁性体332により本実施形態の圧接部材を備え、
この圧接部材により外釜7に摺動可能に係止して外釜7
の回転をボビン駆動部材11に伝達する駆動力伝達手段
330が構成されている。
【0027】なお、駆動力伝達手段330としては、圧
接部材により外釜7に摺動可能に係止して外釜7の回転
をボビン駆動部材11に伝達することのできるもの、例
えば外釜底板16および磁性体332を一体形成したも
の、具体的には磁性素材により円板状の磁性体を形成し
その軸心部にギア孔17を設けたものや、前記外釜底板
16に磁性体を固定あるいは固着したものや、前記外釜
底板16を弾圧するように前記外釜7の外釜底部7eに
板ばねを設けたものなどでもよく、特に、本実施形態の
形状および構成に限定されるものではない。
【0028】図3に示すように、前記外釜7の大径部7
aの内部には、上部が開口のほぼカップ状に形成された
内釜18が配設されており、この内釜18の内部には、
後述するボビン22が自由回転可能に収納可能とされて
いる。この内釜18は、例えば樹脂により形成されてお
り、内釜18の外釜底部7eと対向する面には、磁力に
よって吸引される素材、例えば、鋼材によりほぼU字状
に形成された吸着体18aが固着されている。そして、
内釜18は、外釜7の大径部7aの内周面の上部に形成
されたレース面7dにより回転自在に支持されている。
さらに、本実施形態の内釜18は、外釜7に装着される
と前記磁性体332の磁力によって外釜7、詳しくは外
釜7の外釜底部7eに向かって付勢されているので、内
釜18は、外釜7の所定位置に回転可能に支持した状態
を容易に保持することができ、その結果、外釜7から内
釜18が不必要に飛び出すのを確実に防止するととも
に、ボビン暴れを確実に防止することができるようにな
っている。そして、内釜18は、縫製動作時において外
釜7が正回転した際に、外釜7との摩擦により外釜7と
ともに正回転するが、この内釜18の回転は、外釜7の
上端より上方に位置する内釜18の外周面に設けた突起
19(図2)をミシンフレーム1fに固定された内釜回
り止め20(図2)に当接させることにより停止させる
ことができるようになっている。また、外釜7が逆回転
した際の内釜18の逆回転は、ミシンフレーム1fに固
定された弾性を有する内釜逆転止め21(図2)により
停止させることができるようになっている。すなわち、
外釜7は、その内方で内釜18を非回転支持するように
されている。さらに、内釜18の内部には、後述するボ
ビン22を内部に収納するためのほぼ円柱状に形成され
たボビン収納穴23が凹設されている。このボビン収納
穴23の軸心は、前記外釜7の軸心に対して布送り方向
上流側から見て左方にずらして配設されている。すなわ
ち、前記ボビン駆動部材11と前記外釜7とは、それぞ
れの回転中心が同軸上に位置するように形成されてお
り、前記内釜18、詳しくはボビン収納穴23に収納さ
れたボビン22と前記外釜7とは、それぞれの回転中心
がそれぞれの回転中心の延長線上で相互に平行に位置す
るように形成されている。このボビン収納穴23の軸心
を外釜7の軸心に対してずらして配設した水平釜4、つ
まり、内釜18の回転中心を外釜7の回転中心に対して
ずらした異心軸となる水平釜4は、縫製動作時のヒッチ
ステッチを容易に防止して縫製品質を向上させることが
できるとともに、図示しない糸切り装置や下糸繰出装置
などを配設するスペースを容易に確保することができる
ようになっている。そして、ボビン収納穴23の周面の
一部には、ボビン収納穴23に対するボビン22の着脱
を容易に行うため上部が開口のボビン着脱用凹溝24が
形成されている。このボビン着脱用凹溝24は、ミシン
脚柱部1d側からミシンヘッド1eに向かって形成され
たミシンアーム1cの長手方向にほぼ沿うようにして配
設されている。さらに、ボビン収納穴23の上部の周方
向の一部には、ボビン収納穴23の一部を兼ねた下糸張
力手段25(図5)が配設されている。
【0029】前記下糸張力手段25は、ボビン22に下
糸DSを巻回した後に、縫製動作時において下糸DSに
適正な張力(下糸張力)を付与するためのものであり、
図5に示すように、円弧状に形成された基板26を有し
ている。この基板26の内周面は、前記ボビン収納穴2
3の内面の一部を形成するようにボビン収納穴23の内
径寸法とほぼ同一の曲率かあるいはボビン収納穴23の
内径寸法より僅かに大きな曲率で形成されている。そし
て、基板26の上端縁には、前記外釜7が逆回転した際
に、内釜18の上面に沿って図5右方から左方へ移動す
る下糸DSが入り込む糸導入口27が形成されており、
この糸導入口27には、下糸DSが通過可能な幅で板厚
方向に貫通する糸導入溝28の先端部が接続されてい
る。そして、糸導入溝28の後端部は、基板26の糸導
入口27より図5左方下方に形成された板厚方向に貫通
するほぼ円形の糸係止孔29に接続されている。さら
に、糸係止孔29より図5左方に位置する基板26の上
端縁には、溝状の糸出口30が凹設されている。また、
基板26の外周面には、糸係止孔29から糸出口30へ
至る下糸DSを押さえるため図5に想像線にて示す下糸
押さえ板ばね31が密着配置されており、ボビン22に
巻回された下糸DSは、図5に示すように、糸係止孔2
9と糸出口30との間で下糸押さえ板ばね31によって
所定の張力を付与された状態で縫い目につながるように
されている。そして、下糸押さえ板ばね31と基板26
とは、下糸押さえ板ばね31を基板26の外周面に重ね
たうえで取付ねじ32により前記内釜18に固定されて
いる。
【0030】前記ボビン収納穴23の図3下方に示す底
部23aには、図6に示すように、ボビン収納穴23の
軸心と一致するボビン22の軸心と、外釜7の軸心とを
含むように板厚方向に貫通する内釜貫通孔34が形成さ
れており、この内釜貫通孔34には、前記ボビン駆動部
材11がボビン駆動部材付勢ばね12の付勢力に抗して
上昇した際に、ボビン駆動部材11の上端部に設けられ
ているボビン駆動ギア14が進入可能とされている。そ
して、ボビン駆動ギア14が内釜貫通孔34に進入する
と、このボビン駆動ギア14は、糸巻き動作時にのみ後
述するボビン22に形成されたボビン従動ギア35に噛
合可能とされている。
【0031】図7に示すように、前記ボビン22は、下
糸DSが外周面に巻回されるボビン中心軸36を有して
おり、このボビン中心軸36の両端部には相互に対向す
るようにして上フランジ37および下フランジ38が配
設されている。すなわち、ボビン中心軸36の上端部に
は上フランジ37が、下端部には下フランジ38が配設
されている。そして、下フランジ38の図7下方に示す
下端面38aには、前記ボビン駆動部材11がボビン駆
動部材付勢ばね12の付勢力に抗して上昇した際に、ボ
ビン駆動部材11の上端部に設けられているボビン駆動
ギア14と噛合可能なボビン従動ギア35がその軸心を
下フランジ38、すなわち、ボビン22の軸心と同一に
して配設されている。また、上フランジ37には、図8
に示すように、外周縁に開口39aを備えたスリット3
9が形成されている。さらに、上フランジ37と下フラ
ンジ38とは、ボビン中心軸36により間隔を隔てて相
互に対向するように平行に配設されている。さらにま
た、ボビン中心軸36の上フランジ37との接続部位に
は、図7に示すように、径方向外側に突出するほぼ環状
の壁部40が形成されており、この壁部40の上面と上
フランジ37の下面との間に糸捕捉部としての凹溝41
が形成されており、この糸捕捉部としての凹溝41に
は、前記スリット39の根本であるスリット底部39b
(図8)が接続されている。このスリット底部39b
は、ボビン22の回転中心から離れた位置に形成されて
いる。また、スリット39の開口39aが形成された上
フランジ37の外周縁には、鋭角な鋭角部39aaと、
鈍角な鈍角部39abとが形成されている。つまり、図
8に矢印にて示す糸巻き動作時のボビン22の回転方向
の先頭側に位置するスリット39の開口39aが形成さ
れた上フランジ37の外周縁には、鋭角な鋭角部39a
aが形成されており、その下方に位置する図8に矢印に
て示す糸巻き動作時のボビン22の回転方向の末尾側に
位置するスリット39の開口39aが形成された上フラ
ンジ37の外周縁には、鈍角な鈍角部39abが形成さ
れており、糸巻き動作時に巻回される下糸DSを確実か
つ容易に捕捉することができるようになっている。
【0032】なお、糸捕捉部としては、スリット39の
底部39bが接続されているボビン中心軸36の上フラ
ンジ37との接続部位にV字形状の溝を設ける構成や、
スリット39の底部39bが接続されているボビン中心
軸36の上フランジ37との接続部位に糸を捕捉しやす
い摩擦係数の大きい凹凸を溶射やブラストなどによって
設けた構成などの糸巻き動作時に巻回される下糸DSの
糸端部分を確実かつ容易に捕捉することができる構成で
あればよい。
【0033】図8に示すように、上フランジ37の上面
には、ボビン回転被検出部としての図8に白抜きにて示
す高反射率部210aと図8に斜線にて示す低反射率部
210bとを所定間隔で交互に繰返し配置した反射テー
プ210が貼着されている。そして、ボビン22が回転
した際の反射テープ210の回転は、針板5の下面、詳
しくは針板5の一部を構成する針板5に装着された釜カ
バー204の下面にボビン22と対向するように配設さ
れた光りセンサなどからなる反射型光センサ211(図
3)により検出することができるようになっている。こ
の反射型光センサ211は、後述する制御手段93に電
気的に接続されており(図27)、ボビン22の回転の
有無やボビン22の回転状態などを制御手段93へ送出
することができるようにされている。
【0034】すなわち、本実施形態の反射テープ210
および反射型光センサ211は、後述するように、ボビ
ン22に巻回された下糸DSの有無をボビン22の回転
の有無により検出する機能と、ボビン22の回転状態を
検出する機能との両者を併せもっている。
【0035】前記反射テープ210および反射型光セン
サ211により、本実施形態のボビン22に巻回された
下糸DSの有無を検出する下糸検出手段214としての
ボビン回転状態検出手段215が構成されている。
【0036】なお、ボビン回転被検出部としては、反射
テープ210のかわりに、上フランジ37の上面に、高
反射率部210aと低反射率部210bとを直接形成す
る構成であってもよい。
【0037】図2に戻って、前記外釜7の大径部7aの
外周面には、縫製動作時に縫い目を形成するため上糸ル
ープを捕捉する剣先42、糸巻き動作後の供給側に位置
する下糸DSの切断のための切断刃43およびさそい込
み部44が配設されている。さらに、前記外釜7が逆回
転した場合に切断刃43に隣接する切断刃43の図2左
方に示す回転方向手前側には、開口部45が形成されて
いる。また、図3および図6に示すように、前記外釜7
の大径部7aの外周面には、糸巻き動作後にボビン22
に巻回された下糸DSを捕捉する平面ほぼコ字形状とさ
れたフック部46a(図6)を外釜7が逆回転した際に
回転方向に対して正対するように設けた糸捕捉フック4
6が突設されている。この糸捕捉フック46のフック部
46aの背面には、図6に示すように、外釜7が正回転
した際に、外釜7の外周面の近傍に位置する下糸DSを
外釜7から離間する方向へ移動可能な糸離間用傾斜面4
7が形成されている。また、前記切断刃43は、前記外
釜7の外周面にほぼ接線方向で前記剣先42と対向する
向きに固定されており、前記糸捕捉フック46と前記切
断刃43とは、糸捕捉フック46が下糸張力手段25に
下糸DSの糸掛けを終了するまでは糸捕捉フック46か
ら前記糸保持部材48へ至る下糸DSの外釜7の外周面
に巻き付いている部位から切断刃43が離間した状態を
保持し、糸捕捉フック46が下糸張力手段25に下糸D
Sの糸掛けを終了した後に糸捕捉フック46から糸保持
部材48へ至る下糸DSの外釜7の外周面に巻き付いて
いる部位に切断刃43が当接するように位置関係が設定
されている。
【0038】図2に示すように、前記水平釜4の図2右
方には、糸保持部材48が配設されている。この糸保持
部材48は、糸巻き動作時に、ボビン22に巻回される
下糸DSとして下糸専用糸EDSあるいは上糸USのど
ちらを選択した場合であっても、糸巻き動作時に下糸D
Sとなる何れか一方の糸端近傍を保持または捕捉、詳し
くはボビン22に巻回される下糸DSとして下糸専用糸
EDSを選択した場合には下糸専用糸EDSの糸端近傍
を保持し、ボビン22に巻回される下糸DSとして上糸
USを選択した場合には上糸USの糸端近傍を捕捉する
ことができるようになっている。そして、糸保持部材4
8は、図2左方に示すほぼ平板状の糸保持捕捉部49
と、この糸保持捕捉部49の図2右方に示す後端部から
図2手前側下方に向けて延出された取付部50とを有し
ている。そして、取付部50の先端には、糸保持捕捉部
49の板厚方向に平行に延在する取付面50aが設けら
れており、この取付面50aには、糸保持捕捉部49に
対してほぼ平行に位置するようにして前後1対とされた
前取付ピン51および後取付ピン52が所望の間隔をお
いて糸保持捕捉部49から離間するように図2手前側に
向かって突設されている。この前後1対の各取付ピン5
1,52は、後述する糸保持部材移動手段53によって
移動可能に支持されるようになっている。
【0039】図9および図10に示すように、糸保持部
材48を構成する前記糸保持捕捉部49の図9下方に示
す前端縁の図9左右に示す長手方向のほぼ中央部には、
糸巻き動作時にボビン22に巻回される下糸DSとして
上糸USを選択した際の下糸DSが通過するほぼ鋸刃状
の掛け溝54が形成されている。この掛け溝54の図9
左方に示す先端側に隣位する位置には、図9下方に示す
手前側に向けて突出するとともに、図10に示すよう
に、下方に向けて傾斜するようにして折曲延出された後
舌片55が形成されている。
【0040】前記後舌片55の図9左方に示す先端側に
は、上方に向かって延在する直立部61が形成されてお
り、この直立部61の上端には、先端側に向かって水平
方向に延長された水平部62が形成されている。そし
て、水平部62は、図9左方に位置し図9上方に示す奥
端縁が直線状に形成され糸保持捕捉部49の先端側に位
置する幅の狭い平面ほぼ長方形状の前水平部62aと、
この前水平部62aと前記直立部61の上端とを接続す
る幅の広い平面ほぼ長方形状の後水平部62bとから形
成されている。さらに、後水平部62bの図10左方下
方に示す角部には斜めの面取りが施されている。また、
前水平部62aの先端は、糸保持捕捉先端63とされて
おり、この糸保持捕捉先端63は、図11に詳示するよ
うに、前水平部62aの先端部から図11下方に示す前
端縁が直線状に連なるようにして幅狭く延出された接続
部63aと、この接続部63aの先端から図11上方に
示す奥側に向けてほぼ直角に折曲延出された折曲部63
bと、この折曲部63bの先端から図11右方に示す後
端部側に向けて延出されるとともに、図10に示すよう
に、下方に向けて傾斜するようにして前記接続部の先端
近傍の部位に対して間隔をおいてほぼ平行に延在するよ
うに折曲延出された折曲先部63cとを有している。そ
して、折曲部63bの図11右方に示す後端部側の端縁
には、糸巻き動作時に、ボビン22に巻回される上糸U
Sの糸端を糸巻き動作時の前記ボビン22の回転によっ
て切断するための糸端切断刃56が形成されている。さ
らに、糸保持捕捉先端63の接続部63aと折曲部63
bと折曲先部63cとにより囲まれた空間は、糸巻き動
作時に、ボビン22に巻回される上糸USの糸端をさそ
い込むさそい込み開口63dとされている。
【0041】図9に示すように、前記糸保持捕捉部49
の後舌片55より図9右方に示す後端側の上面の幅方向
ほぼ中央部には、糸巻き動作時にボビン22に巻回され
る下糸DSとして下糸専用糸EDSを選択した際に、下
糸専用糸EDSのガイドとなるほぼ横L字状の糸ガイド
舌片65が、その自由端を図9下方に示す手前側に向け
て上方に突出形成されている。なお、糸ガイド舌片65
は、設計コンセプトなどの必要に応じて設ければよい。
【0042】図9および図10に示すように、前記糸保
持捕捉部49の先端側の上面には、糸保持板ばね66が
ねじ67(図9)により密着配置されている。この糸保
持板ばね66には、糸保持捕捉部49に形成された掛け
溝54と平面同一形状の上掛け溝68が形成されてお
り、この上掛け溝68の図9左方に示す先端側には、前
記後舌片55の上方に位置するようにして、図9下方に
示す手前側に向けて突出するとともに、図10に示すよ
うに、上方に向けて傾斜するようにして折曲延出された
上後舌片69が形成されている。そして、上後舌片69
と後舌片55との当接部の根本の内側が、糸巻き動作時
にボビン22に巻回される下糸DSとして上糸USを選
択した際の上糸USを後述する糸位置規制部58の供給
側で保持する上糸用後方保持部70とされている。
【0043】前記糸保持板ばね66の上掛け溝68の図
9上方に示す奥端縁には、上掛け溝68とほぼ同様の掛
け凹溝71が形成されており、この掛け凹溝71の右方
には、図9上方に示す奥側に向けて突出するとともに、
図10に示すように、上方に向けて傾斜するようにして
折曲延出された糸掛舌片72が隣設形成されている。こ
の糸掛舌片72は、糸巻き動作時に前記ボビン22に巻
回される下糸専用糸EDSに張力を付与するための専用
糸張力付与手段296として機能する。そして、糸掛舌
片72と糸保持捕捉部49の上面との当接部の根本の内
側が、糸巻き動作時にボビン22に巻回される下糸DS
として下糸専用糸EDSを選択した際の下糸専用糸ED
Sを後述する糸位置規制部58の供給側で保持する専用
下糸用後方保持部73とされている。
【0044】前記糸保持板ばね66の上後舌片69の図
9左方には、図9下方に示す手前側に向けて突出すると
ともに、図10に示すように、上方に向けて傾斜するよ
うにして折曲延出された前舌片57が前記上後舌片69
とほぼ平行にして適宜な間隔を隔てて形成されている。
そして、前舌片57の根本の下面の図9上方に示す奥側
の部位が、糸巻き動作時に、後述する上方糸保持部59
および上方糸係止部60より供給側に位置する下糸専用
糸EDSあるいは上糸USを前記ボビン22の上フラン
ジ37に当接可能に位置させる糸位置規制部58とされ
ている。
【0045】前記糸保持板ばね66の図9左方に示す先
端側は、図9下方に示す前端縁が直線状の正面ほぼ横L
字状に形成されており、図9左方下方に示す角部が糸保
持板ばね先端74とされている。そして、糸保持板ばね
66の図9左方に示す先端縁は、図9に示すように、糸
保持板ばね先端74から図9上方に示す奥端縁に向けて
図9右方に示す後端縁側に向かって斜めに傾斜して形成
されているとともに、その途中の糸保持捕捉部49の前
水平部62aと重なった部位には、図9上方に向けて凸
の凸状部75が形成されている。また、糸保持板ばね先
端74から凸状部75までの先端側部位は、図10に示
すように先端側上方に向けて傾斜するようにして折曲延
出されている。そして、糸保持板ばね66の図9下方に
示す下端縁と糸保持捕捉部49の先端縁との交叉部が、
糸巻き動作時において後述する進入位置に位置した際
に、ボビン22に巻回される上糸USを前記ボビン22
の上フランジ37の上方に位置するように捕捉して係止
可能な上方糸係止部60とされ、糸保持板ばね66の凸
状部75と糸保持捕捉部49の上面との当接部が、糸巻
き動作時において後述する進入位置に位置した際に、ボ
ビン22に巻回される下糸専用糸EDSを前記ボビン2
2の上フランジ37の上方に位置するように保持可能な
上方糸保持部59とされている。
【0046】なお、本実施形態においては、ボビン22
に巻回される下糸DSとして下糸専用糸EDSあるいは
上糸USの何れを選択した場合においても保持あるいは
捕捉可能な糸保持部材48を用いる構成としたが、ボビ
ン22に巻回される下糸DSとして下糸専用糸EDSの
みを使用する場合においては、前記糸位置規制部58、
上方糸保持部59および専用下糸用後方保持部73のみ
を有する構成としてもよい。また、ボビン22に巻回さ
れる下糸DSとして上糸USのみを使用する場合におい
ては、前記糸位置規制部58、上方糸係止部60、上糸
用後方保持部70および専用糸張力付与手段296のみ
を有する構成としてもよい。
【0047】図2に戻って、前記糸保持部材移動手段5
3は、少なくとも糸保持部材48の先端部を退避位置と
進入位置との間を進退させるものであり、前記糸保持部
材48の取付面50aに突設された前取付ピン51およ
び後取付ピン52が挿通される移動溝76を有してい
る。この移動溝76は、前記ベースフレーム33に固定
された断面ほぼL字状の機構台77の立設部77aの上
部近傍に形成されており、図2左方に示す長手方向をほ
ぼ水平にして形成された長孔形状の水平部76aと、こ
の水平部76aの図2右方に示す後端側に、上下方向に
位置する長手方向のほぼ中央部が接続され後端側に向け
て凸のほぼ円弧状に形成された上下部76bとから形成
されている。そして、移動溝76に前取付ピン51およ
び後取付ピン52の先端を手前側に向けて突出するよう
にして挿通したうえで、前取付ピン51および後取付ピ
ン52の先端に止め輪78をそれぞれ取着することによ
り、糸保持部材48が機構台77に取着されている。つ
まり、移動溝76によって糸保持部材48の移動軌跡を
規制することができるようになっている。また、上下部
76bは、後述する下糸専用糸FDSの糸掛け動作時に
おいて、糸保持部材表出手段261による少なくとも糸
保持部材48の糸保持部分を退避位置と、ミシン外部に
表出、本実施形態においては突出させた糸掛け位置との
間を進退させる際の移動軌跡を規制することができるよ
うになっている。
【0048】前記糸保持部材48の図2右方に示す後端
側には、前記糸保持部材48が退避位置に位置するのを
検出する退避位置検出手段としての退避位置センサ29
0が配設されている。この退避位置センサ290は、後
述する制御手段93(図27)に電気的に接続されてお
り、糸保持部材48が退避位置に位置した場合にのみ、
糸保持部材48が退避位置に位置するのを検出した検出
信号を制御手段93に対してから送出するようにされて
いる。
【0049】前記退避位置センサ290は、本実施形態
においてはリミットスイッチにより形成されており、図
12に詳示するように、センサ止めねじ291によりセ
ンサ取付台292の一側面に固着されている。この退避
位置センサ290の図12下方に示す下端面側には、検
出子としてのほぼ平板状の可動レバー293が配設され
ており、この可動レバー293は、図12左方に示す先
端部が退避位置センサ290の図12下方に示す下端面
から離間するように付勢されており、常時は、図12に
鎖線にて示すように、退避位置センサ290の図12下
方に示す下端面に配設されたスイッチ部294から離間
するようになっている。そして、退避位置センサ290
は、図12に実線にて示すように、図12左方に示す可
動レバー293の先端部が退避位置センサ290の図1
2下方に示す下端面に接近した場合に、スイッチ部29
4を押し込むようになっている。すなわち、本実施形態
の退避位置センサ290は、図13に示すように、糸保
持部材48が退避位置に位置する場合に、糸保持部材4
8の取付部50に当接して、前記可動レバー293の先
端部が退避位置センサ290の図12下方に示す下端面
に接近してスイッチ部294を押し込むように形成され
ており、糸保持部材48が退避位置に位置するのを検出
してその検出信号を制御手段93に送出することができ
るようになっている。また、前記センサ取付台292
は、センサ取付台止めねじ295によって前記ベースプ
レート33に固着されている。
【0050】なお、退避位置センサ290としては、糸
保持部材48が退避位置に位置するのを検出することの
できるもの、例えば近接スイッチなどでもよく、特に、
本実施形態のリミットスイッチに限定されるものではな
い。また、退避位置センサ290の配設位置としては、
糸保持部材48が退避位置に位置するのを検出すること
のできる位置であればよく、糸保持部材48の移動に連
動する部品、例えば後述する糸保持部材表出駆動手段と
しての突出部277などにより可動レバー293を動作
可能な位置に退避位置センサ290を配設すればよい。
【0051】図2に戻って、前記機構台77の立設部7
7aの図2手前側右下には、平板状の駆動板下79が適
宜な間隔をおいて平行に配設されており、この駆動板下
79は、駆動板下79の図2奥側に示す裏面に突設した
前後1対のガイドピン80(一方のみ図示)の先端を、
前記機構台77の移動溝76の下方に移動溝76の水平
部76aに対して平行に延在するようにして形成したガ
イド溝81を貫通するようにして挿通したうえでガイド
ピン80の先端に止め輪82をそれぞれ公知の如く取着
することによりガイド溝81に沿って移動自在に支持さ
れている。
【0052】また、前記機構台77の立設部77aの図
2手前側右上には、平板状の駆動板上83が適宜な間隔
をおいて平行に配設されており、この駆動板上83の下
端部は、前記駆動板下79の上端縁の右側に配設された
ガイドロッド84に挿通されるとともに、ガイドロッド
84の図2右方に示す後端側の外周面に装着された付勢
ばね85により、常時は図2左方に示す先端側に向けて
付勢されている。そして、駆動板上83の下端縁には、
係止溝86が形成されており、この係止溝86に対して
駆動板下79の上端縁のガイドロッド84の右方に上方
に向けて突設した係止ピン87を嵌合することにより、
駆動板上83がガイドロッド84を中心として回転する
のを防止することができるようになっている。さらに、
駆動板上83には、前記後取付ピン52を上下動させる
ことにより、糸保持部材48の先端を外釜7の大径部7
aに沿って上下動させるためのカム面88を形成するた
め、図2左方が開口の左斜め上方から右斜め下方に向か
うカム溝89が形成されており、このカム溝89には、
前記後取付ピン52の先端部が嵌合可能に形成されてい
る。また、駆動板下79の下端縁には、駆動モータ91
の出力軸に取着されたピニオン92と噛合するラック9
0が形成されており、駆動モータ91の回転により、駆
動板下79がガイド溝81に沿って移動可能とされてお
り、その結果、糸保持部材48が進退自在になされてい
る。
【0053】また、前記糸保持部材移動手段53の駆動
モータ91は、図2に示すように、後述する制御手段9
3に電気的に接続されており、制御手段93から送出さ
れる制御指令に基づいて所定のタイミングで駆動される
ようにされている。
【0054】前記機構台77の立設部77aの図2奥側
に示す裏面には、軸251が固定されており、この軸2
51には、ねじりコイルばね252の胴部が取着されて
いる。また、軸251の先端部は、ねじりコイルばね2
52の胴部が取着される部位よりその外径寸法が大きく
形成されており、ねじりコイルばね252が軸215か
ら脱落するのを防止する抜け止めになっている。さら
に、ねじりコイルばね252の図2左方に示す一方の腕
252aの先端部は、機構台77の立設部77aに形成
された板厚方向に貫通する貫通孔253に掛けられて回
り止めとなっており、ねじりコイルばね252の図2右
方に示す他方の腕252bの先端部は、糸保持部材48
の取付部50の裏面に所定の付勢力をもって当接してい
る。つまり、図2に示すように、糸保持部材48は、常
時はねじりコイルばね252の付勢力をもって前取付ピ
ン51を中心として図2反時計方向へ回転するように付
勢されており、糸保持部材48の先端部は、外釜7外周
面近傍の下方の退避位置に位置するように形成されてい
る。
【0055】前記機構台77の立設部77aの上端縁の
長手方向ほぼ中央部は、図2に示すように、上方に向か
って突出するように突出取付部260が突設されてお
り、この突出取付部260の裏面には、図14に示す糸
保持部材表出手段261が配設されている。この糸保持
部材表出手段261は、図14に示すように、前記突出
取付部260の裏面に固定された固定軸262を有して
おり、この固定軸262には、従動リンク体263が1
対の止め輪265(一方のみ図示)によって軸方向への
位置決めがされた状態で回転可能に取着されている。ま
た、固定軸262には、ねじりコイルばね264の胴部
が取着されている。そして、ねじりコイルばね264の
図14下方に示す一方の腕264aの先端部は、機構台
77の立設部77aの上端縁に掛けられて回り止めとな
っており、ねじりコイルばね264の図14上方に示す
他方の腕264bの先端部は、従動リンク体263に所
定の付勢力をもって当接している。つまり、従動リンク
体263は、ねじりコイルばね264の付勢力によっ
て、常時は固定軸262を中心として図14反時計方向
へ回転するように付勢されており、従動リンク体263
の図14左方に示す従動腕263aを左斜め上方に位置
させ、従動リンク体263の図14右方に示す作動腕2
63bをほぼ水平に位置させるようになっている。ま
た、従動腕263aの先端部は、後述する開閉カバー2
71の突出部277(図15)の移動軌跡上に位置して
おり、作動腕263bの先端部下部は、常時は糸保持部
材48の取付部50に対して上方から当接可能にして上
方に離間した位置に位置している。
【0056】なお、作動腕263bの先端部下部を糸保
持部材48の取付部50に対して上方から軽い当接力、
すなわち、糸保持部材48を図2反時計方向へ回転する
ように付勢しているねじりコイルばね252の付勢力よ
り弱い力で当接させる構成としてもよい。
【0057】図15に示すように、前記針板5の所望の
位置には、針3が上下動するための板厚方向に貫通する
針穴などと称される針通過孔272およびボビン22を
ミシン内部から抜き取るための板厚方向に貫通するボビ
ン抜取用貫通孔273が形成されている。このボビン抜
取用貫通孔273には、釜カバー204(図1)が装着
されている。そして、ミシンベッド1bの一部を構成す
る針板5の糸保持部材48の上方に位置する部位には、
下糸専用糸EDSを前記糸保持部材48の少なくとも先
端部側に位置する糸保持部分へ糸掛けする下糸専用糸E
DSの糸保持部材48への糸掛け動作時に用いるほぼ長
方形の開口部274が設けられており、この開口部27
4には、開口部274を開閉するため進退自在にスライ
ド移動可能に形成された開閉カバー271が配設されて
いる。この開閉カバー371の上面は、前記針板5の上
面とほぼ面一に形成されている。そして、開閉カバー2
71の図15左方に示す先端部近傍には、作業者が開閉
カバー271を進退操作してスライド移動するための指
掛け275が形成されている。さらに、針板5の開閉カ
バー271の図15右方に示す後部には、開閉カバー2
71を図15右方にスライドさせて後退させて開口部2
74を開状態とした際に、開閉カバー271を下方から
支持する凹部276が形成されている。また、開閉カバ
ー271の図15左方下方に示す角部の下方には、開閉
カバー271を後退させた際に、前記糸保持部材表出手
段261の従動リンク体263の従動腕263aを駆動
させる糸保持部材表出駆動手段としての突出部277が
形成されている。さらにまた、針板5の図15に示す開
閉カバー271の閉状態における後端部近傍には、下糸
専用糸EDSが巻回された下糸糸駒111(図1参照)
から繰り出される下糸専用糸EDSを開口部274の内
部に導くための糸掛け溝たる溝部278が開口部274
の長手方向に対して直交する方向に沿って形成されてい
る。
【0058】すなわち、本実施形態においては、開口部
274を開閉可能な開閉カバー271の開閉動作に連動
して糸保持部材表出駆動手段としての突出部277が糸
保持部材表出手段261を駆動させることができるよう
になっている。
【0059】さらに説明すると、開口部274を開状態
とするために、開閉カバー271を開閉カバー271の
開動作である図15右方に後退させる途中で突出部27
7が従動腕263aに当接し、ねじりコイルばね264
の付勢力によって固定軸262を中心として反時計方向
へ付勢されている従動リンク体263をねじりコイルば
ね264の付勢力に抗して時計方向へ回動させ、従動リ
ンク体263の作動腕263bの先端部下部が所定のタ
イミングで糸保持部材48の取付部50に対して上方か
ら当接し、前取付ピン51を中心として反時計方向へ回
転するように付勢されている糸保持部材48をねじりコ
イルばね252の付勢力に抗して時計方向へ回動させ、
その結果、糸保持部材48の先端部側に設けられている
糸保持部分を開口部274を通過させてミシン外部に突
出した糸掛け位置に位置させることができるようになっ
ている。
【0060】なお、糸保持部材48の先端部の移動軌跡
は、前述したように、移動溝76の上下部76bによっ
て規制されるようになっている。
【0061】また、糸掛け位置としては、作業者が指で
下糸専用糸EDSを前記糸保持部材48の糸保持部分へ
糸掛けすることのできる開口部274近傍の位置であれ
ば、例えば、開口部274の内部位置や、開口部274
の針板5表面と同一面位置などでもよく、特に、本実施
形態の糸掛け位置に限定されるものではない。この糸掛
け位置は、設計コンセプトなどの必要に応じて選択する
とよい。
【0062】図3に示すように、前記ボビン駆動部材1
1の下方には、ボビン駆動部材移動手段94が配設され
ている。このボビン駆動部材移動手段94は、ボビン駆
動部材11の下方に位置する平面ほぼL字状に形成され
た作動板95を有している。この作動板95の図3右方
に示す後端部には、図2、図3および図16に示すよう
に、ギア連結リンク96が連設されている。このギア連
結リンク96の長手方向のほぼ中央部には、前記機構台
77の図2左方下方の角部近傍に立設されたリンク支持
ピン97が図2手前側に突出するようにして挿通されて
おり、このリンク支持ピン97の先端側に取着された止
め輪98によって、ギア連結リンク96はリンク支持ピ
ン97を中心として回転可能に支持されるようにして機
構台77に取着されている。さらに、作動板95は、図
16に示すように、一端が作動板95に係止され他端が
ベースフレーム33に係止されたばね6により、常時は
リンク支持ピン97を中心として反時計方向へ付勢され
ているとともに、作動板95のリンク支持ピン97を中
心とした反時計方向への回転は、機構台77に突設され
た位置決めピン99にギア連結リンク96の下端面が当
接した位置で保持されており、その結果、作動板95
は、常時はボビン駆動部材11の下方に離間し、ボビン
駆動部材11の上端に配設されたボビン駆動ギア14が
外釜底板16のギア孔17と噛合し、かつ、ボビン駆動
ギア14がボビン従動ギア35から離間した離間位置を
保持することができるようになっている。
【0063】図16に示すように、ギア連結リンク96
の右方下方には、上に凸の円弧状溝部100が形成され
ており、この円弧状溝部100の左側下方には、ほぼ上
下方向に向けて延在する当接縁100Aが形成されてい
る。この当接縁100Aには、前記機構台77のリンク
支持ピン97の右方下方に立設された支持ピン101に
止め輪102によって回動可能に取着されたほぼベルク
ランク状のストッパ103の作動腕104に板厚方向に
貫通するようにして配設されたストッパピン105が当
接可能とされている。そして、ストッパ103の図16
左方に示す駆動腕106には、一端が駆動腕106に係
止され他端がベースフレーム33に係止されたばね10
7が配設されており、ストッパピン105は、常時はば
ね107の付勢力をもって反時計方向へ付勢された状態
で円弧状溝部100の左方下方にほぼ上下方向に向けて
形成された当接縁100Aに向けて付勢されている。ま
た、ギア連結リンク96の上端縁の図16右方には、図
2に示す前記駆動板下79の裏面に突設された作動ピン
108が駆動板下79の進退運動に連動して接離可能な
傾斜カム面109が形成されており、前記駆動板下79
が図2左方に示す前進側に向かって前進する途中で作動
ピン108が傾斜カム面109に当接し、リンク支持ピ
ン97を中心として反時計方向へ付勢されているギア連
結リンク96をばね6の付勢力に抗して時計方向へ回動
させ、その結果、作動板95の先端を所定のタイミング
で上昇させて前記ボビン駆動部材11と当接させて前記
ボビン駆動部材11を上昇させ、ボビン駆動部材11の
上端に配設されボビン駆動ギア14を上昇させ、外釜底
板16のギア孔17と噛合しているボビン駆動ギア14
を外釜底板16のギア孔17とボビン従動ギア35との
両者に噛合させて、ボビン駆動部材11とボビン22を
連結させた連結位置に位置させることができるようにな
っている。
【0064】また、前記駆動板下79が図2左方に示す
前進側に向かって前進する途中で作動ピン108が傾斜
カム面109に当接し、リンク支持ピン97を中心とし
て反時計方向へ付勢されているギア連結リンク96をば
ね6の付勢力に抗して時計方向へ回動させると、ばね1
07の付勢力をもって反時計方向へ付勢されたストッパ
ピン105が円弧状溝部100の溝底100aに嵌合し
て係合するようになっている。さらにまた、円弧状溝部
100の溝底100aに嵌合したストッパピン105
は、駆動板下79が図2左方に示す前進端から図2右方
に示す後退端に移動する途中で、駆動板下79の先端部
から突出するように配設されたほぼ倒立L字状のストッ
パピン作動腕159と当接することにより、円弧状溝部
100の溝底100aから離間し、作動ピン108が傾
斜カム面109から離間してばね6の付勢力によって反
時計方向へ付勢されているギア連結リンク96の反時計
方向への回動により、円弧状溝部100の左方下方に形
成された当接縁100Aに対向するようになっている。
【0065】したがって、本実施形態におけるストッパ
ピン105は、図2に示す駆動板下79が図2右方に示
す後退端に位置した場合、円弧状溝部100から離間し
た状態を保持してボビン駆動部材11とボビン22を離
間位置に保持することができ、図2に示す駆動板下79
が図2左方に示す前進端に位置した場合、円弧状溝部1
00の溝底100aに嵌合した状態を保持してボビン駆
動部材11とボビン22を連結位置に保持することがで
きるようになっている。
【0066】すなわち、ボビン駆動部材移動手段94
は、前記糸保持部材移動手段53に連動して動作するよ
うに形成されている。
【0067】なお、ボビン駆動部材移動手段94を独立
した他の駆動モータにより駆動させる構成としてもよ
い。
【0068】前記ボビン駆動ギア14およびボビン従動
ギア35により、本実施形態のボビン駆動部材11とボ
ビン22とを接離可能に接続する回転伝動機構340が
構成されている。
【0069】なお、ボビン駆動ギア14およびボビン従
動ギア35により形成された回転伝動機構340のかわ
りに、図17に示すように、ほぼ円錐形状のボビン駆動
摩擦車14Aおよびボビン従動摩擦車35Aにより形成
された回転伝動機構340であってもよい。この場合の
外釜底板16の軸心部には、ギア孔17を形成するかわ
りに、ボビン駆動摩擦車14Aとボビン従動摩擦車35
Aとが接続した状態で外釜底板16の回転をボビン駆動
摩擦車14Aに伝達可能な板厚方向に貫通する伝達孔1
7Aを形成すればよい。
【0070】すなわち、回転伝動機構340としては、
ボビン駆動部材11とボビン22とを異心軸で結合可能
な各種の構成のものから、設計コンセプトなどの必要に
応じて選択して用いればよい。
【0071】つぎに、ボビンに下糸専用糸を巻回する場
合に用いる専用下糸繰出機構の一例について図18によ
り説明する。
【0072】本実施形態の専用下糸繰出機構110は、
ボビン22に下糸専用糸EDSを巻回する糸巻き動作時
において、ボビン22に巻回される下糸専用糸EDSに
適正な張力を付与するためのものである。そして、少な
くとも糸巻き動作を開始する前には、下糸専用糸EDS
が巻回された下糸糸駒111を、図1に示すように、ミ
シンベッド1bのミシン脚柱部1dの左方前方に近接し
た位置に下糸糸駒111が収納可能な下糸糸駒装着部1
68の内部に、先端が上方を向くようにして立設した下
糸立棒117に回転自在に支持し、糸巻き動作の開始時
においては、図18に示すように、糸巻き動作時に図1
に示す下糸立棒117に回転自在に支持された下糸糸駒
111から繰り出される下糸専用糸EDSは、図1に示
す下糸糸案内118および糸掛け溝たる溝部278と、
図18に示す供給側に位置する専用下糸繰出機構110
を介して前記糸保持部材48に糸端側が保持されるよう
に糸掛けされる。
【0073】なお、下糸糸駒111を配設する下糸糸駒
装着部168は、前記刺繍装置240の刺繍枠239
が、図1左方に示すミシン脚柱部1dから最も離間した
退避位置に位置した場合、ミシン外部から下糸糸駒11
1の着脱を可能な位置、言い替えれば、少なくとも刺繍
装置240の刺繍枠239を着脱せずに下糸糸駒111
の着脱(交換)を行うことができる位置であれば、ミシ
ン内部でも、ミシン外部でも、一部がミシン外部に表出
した位置であってもよい。
【0074】図18に示すように、専用下糸繰出機構1
10は、図示しない取付ステーに支持された下糸調子ピ
ン112を有しており、この下糸調子ピン112の外周
面には可動皿113が下糸調子ピン112に沿って移動
自在に配設されている。そして、下糸調子ピン112の
下端部には固定皿114が可動皿113と相互に対向す
るようにして配設されている。さらに、下糸調子ピン1
12の外周面には、下糸調子ばね115が外挿されてお
り、この下糸調子ばね115の下端を可動皿113の上
面に当接させるとともに、下糸調子ばね115の上端を
下糸調子ピン112の上端近傍に取着した止め輪116
の下面に当接させることにより、常に可動皿113を固
定皿114に向けて付勢することができるようになって
いる。すなわち、下糸専用糸EDSは、下糸調子ばね1
15の付勢力をもって固定皿114と可動皿113との
間に挟持されるようになっている。
【0075】つぎに、ボビンに上糸を巻回する場合に用
いる上糸繰出機構の一例について図19により説明す
る。
【0076】本実施形態の上糸繰出機構120は、縫製
動作時およびボビン22に上糸USを巻回する糸巻き動
作時において、上糸糸駒121から繰り出される上糸U
Sに適正な上糸張力を付与するとともに、縫製動作時に
おいては縫い目を形成するのに必要な分だけの上糸US
を繰り出した後に図示しない公知の天秤機構による天秤
糸締め時に適正なタイミングで上糸USを保持し、糸巻
き動作時においては前記糸保持部材48に上糸USを係
止するのに必要な分だけの上糸USを繰り出した後に図
示しない公知の天秤機構による天秤糸締め時に適正なタ
イミングで上糸USを保持するとともに、糸巻き動作の
開始時においては保持された上糸USを適正なタイミン
グで解放するものである。
【0077】図19に示すように、上糸繰出機構120
は、取付板122の上面に立設された駆動ローラ支持軸
123によって回転自在に支持された駆動ローラ124
を有している。そして、補助張力付与装置119を介し
て図示しない上糸立棒に回転自在に支持された上糸糸駒
121から繰り出された上糸USが駆動ローラ124の
外周面の一部に巻き付くように当接されている。この駆
動ローラ124の下端部には、取付板122の下面に取
着されたステッピングモータなどからなる駆動モータ1
25の取付板122の上方へ先端部が突出する出力軸1
25aの先端部に固着された駆動ギア126と噛合する
従動ギア127が同軸状に形成されており、その結果、
駆動ローラ124は、駆動モータ125の回転によって
回転可能とされている。
【0078】前記駆動ローラ124の外周面には、駆動
ローラ124の外周面の一部に巻き付けられて当接して
いる上糸USを介して駆動ローラ124の外周面に接離
する1対の従動ローラ128が間隔をおいて平行に配設
されている。これら各従動ローラ128は、取付板12
2の上方に配設された移動板129の上面に立設された
従動ローラ支持軸130によってそれそれ回転自在に支
持されている。そして、移動板129には、前記駆動ロ
ーラ124が嵌合可能な板厚方向に貫通する長孔131
が形成されており、この長孔131を駆動ローラ124
の外周面に外嵌することにより、移動板129の下面が
従動ギア127の上面に支持されている。また、移動板
129の図19左方に示す左端部近傍には、ほぼベルク
ランク状に形成され長手方向のほほ中央部が取付板12
2の上面に立設されたリンク支持ピン132によって回
動可能に支持された移動板駆動リンク133の図19下
方に示す一端が連結ピン134によって回動自在に取着
されており、移動板駆動リンク133のリンク支持ピン
132を中心とする回動動作にともなって、前記移動板
129が駆動ローラ124の外周面に外嵌する長孔13
1によって移動軌跡を規制された状態で進退運動し、そ
の結果、各従動ローラ128が上糸USを介して駆動ロ
ーラ124の外周面に接離するようにされている。
【0079】さらに、前記移動板駆動リンク133の図
19上方に示す他端近傍には、付勢ばね135の一端が
係止されており、この付勢ばね135の付勢力は、常時
は移動板駆動リンク133をリンク支持ピン132を中
心として反時計方向へ付勢して移動板129を図19右
方へ前進させ、各従動ローラ128を駆動ローラ124
に対して所定の当接力をもって当接させるようになって
おり、その結果、上糸USに対して所定の上糸張力を付
与することができるようになっている。また、駆動モー
タ125は、図19に破線にて示すように、後述する制
御手段93に電気的に接続されており、制御手段93か
ら送出される制御指令に基づいて所定のタイミングで駆
動ローラ124を回転駆動して上糸USを設定量だけ繰
り出すようにされている。
【0080】すなわち、駆動モータ125を回転駆動さ
せずに、各従動ローラ128を駆動ローラ124に対し
て当接させることにより、上糸USが保持された保持状
態とされ、この保持状態で駆動モータ125を回転駆動
することにより、所定の上糸張力が付与された状態で上
糸USを設定量だけ繰り出すことができるようになって
いる。
【0081】前記移動板駆動リンク133の図19上方
に示す他端近傍には、図示しない支持ステーに取着され
たソレノイド136の進退自在な出力軸136aに一端
が取着された駆動ロッド137の他端が係止されてい
る。そして、ソレノイド136の出力軸136aは、常
時は前記付勢ばね135の付勢力によって各従動ローラ
128が駆動ローラ124に対して当接して上糸USに
対して所定の上糸張力を付与する状態を保持可能な前進
位置に位置している。そして、ソレノイド136は、図
19に破線にて示すように、後述する制御手段93に電
気的に接続されており、制御手段93から送出される制
御指令に基づいて所定のタイミングでソレノイド136
の出力軸136aを前進位置から後退位置に位置させる
ことにより、付勢ばね135を伸張させて各従動ローラ
128を駆動ローラ124から離間させ、前記保持状態
とされた上糸USを解放して上糸張力を完全に解放した
り、各従動ローラ128を駆動ローラ124からわずか
に離間させて上糸張力を縫製時より弱くしたりすること
ができるようになっている。
【0082】前記ソレノイド136および駆動ロッド1
37により、本実施形態のボビン22に上糸USを巻回
する糸巻き動作の開始時において保持された上糸USを
適正なタイミングで解放する糸ゆるめ手段138が構成
されてる。この糸ゆるめ手段138は、上糸張力解放手
段としても機能する。
【0083】すなわち、本実施形態の上糸繰出機構12
0は、所定のタイミングで上糸USに適正な上糸張力を
付与する上糸張力付与手段224として機能するととも
に、所定のタイミングで上糸USに付与する上糸張力を
制御することができるようになっている。この上糸US
に対する上糸張力の付与および解放のタイミングなど
は、制御手段93から送出される制御指令に基づいて行
われる。
【0084】また、ボビン22に巻回される上糸US
は、上糸糸駒121と上糸繰出機構120との間で、補
助張力付与装置119により適正な張力が付与され、上
糸糸駒121から上糸繰出機構120に入るときの糸の
暴れが取り除かれるようになっている。
【0085】前記上糸繰出機構120から繰り出される
上糸USは、図19に示すように、上糸経路に配設され
たそれぞれ公知の糸案内305、糸係止溝306、糸取
りばね220、天秤307を介して針3に至るように形
成されている。この糸取りばね220は、上糸USの有
無を検出する上糸検出手段221の一部を構成するほぼ
扇形状の遮蔽板222を連動動作するように形成されて
いる。そして、上糸検出手段221は、縫製動作が行わ
れている場合、上糸USに付与される上糸張力によって
たわまされる糸取りばね220に連動する遮蔽板222
が光りセンサ(フォトインタラプタ)223を遮蔽、解
放することにより上糸USの有無を検出することができ
るようになっている。
【0086】前記遮蔽板222および光りセンサ223
により、本実施形態の上糸検出手段221が構成されて
る。
【0087】なお、上糸張力付与手段224としては、
制御手段93から送出される制御指令により上糸張力を
付与および解放可能な公知の図示しない糸調子皿を具備
する自動上糸調子機構を用いてもよい。
【0088】つぎに、針棒切外し機構の一例について図
20により説明する。
【0089】本実施形態の針棒切外し機構は、特開昭5
8−183191号公報に記載されたものを利用したも
のであり、構成の詳細な説明は省略し要部のみについて
説明する。
【0090】図20に示すように、本実施形態の針棒切
外し機構140においては、針棒2は針棒ゲート141
内を上下方向に往復運動するように支持されており、針
棒ゲート141はミシンヘッド1e(図1)内部に装着
されたブラケット142の上部の球形ソケット部143
へ、針棒ゲート141の上部軸受144が係合し、針棒
ゲート141の下部は針棒2が溝孔145に沿って横方
向にジグザク往復揺動し得るように形成されている。そ
して、糸巻き動作時において、図示しない上軸に連動し
て上下方向へ往復運動させる針棒2の上下方向への往復
運動を上軸の回転から切外す場合には、後述する制御手
段93から所定のタイミングで送出される制御指令に基
づいて、針棒ゲート141の頂端部のブラケット146
の指片147を図示しないソレノイドなどにより駆動
し、細長い薄板金属部材148、針棒キャリア149に
取着された掛止部材150の楔151、カム指片15
2、駆動スタッド153および駆動スタッドヒンジピン
154などを介して楔151を駆動スタッドヒンジピン
154内の切欠き155から外し、針棒2が駆動スタッ
ド153から離れれば、引張りばね156が針棒2をそ
の最上位置に引き上げるように形成されている。
【0091】なお、針棒切外し機構140としては、針
3を上軸に連動して上下方向へ往復運動させる針棒2の
上下方向への往復運動を糸巻き動作時に上軸の回転から
切外して針3の上下方向への往復運動を停止させ針3を
上方に保持可能なもの、例えば実公平2−36455号
公報に記載されたものなどを用いてもよい。
【0092】また、針棒2を上軸に連動して上下方向へ
往復運動させる針棒機構については、従来公知のもので
ありその説明は省略する。
【0093】つぎに、糸巻き径検出手段の一例について
図21および図22により説明する。
【0094】本実施形態の糸巻き径検出手段160は、
前記ボビン22に巻回される下糸DSの最大糸巻き径を
検出するためのものである。
【0095】図21および図22に示すように、本実施
形態の糸巻き径検出手段160は、外釜7の大径部7a
の上端近傍に相互に対向するようにして配設された発光
素子161と受光素子162とを有している。そして、
発光素子161から受光素子162へ至る光路163
は、外釜7の上方に位置しており、ボビン22の上フラ
ンジ37と下フランジ38との間で、図22に破線にて
示す下糸DSの最大糸巻き径164を検出し得るように
されている。さらに、内釜18には、内釜18が内釜回
り止め20に当接した状態で、前記光路163と一致す
る図示しない光路孔が形成されており、外釜7の大径部
7aの外周面には、特定の位相で光路163と一致する
図示しない光路貫通孔が形成されている。
【0096】ここでいう特定の位相とは、内釜18に形
成された図示しない光路孔と、外釜7の大径部7aの外
周面に形成された図示しない光路貫通孔が、光路163
と直線的に一致する位相をいう。つまり、この特定の位
相区間のみ光路163が開かれる。そして、ボビン22
に巻かれる糸径がこの光路163を遮らないうちは、こ
の特定の位相区間で受光素子162はONする。糸が巻
かれてゆき、糸径が光路163を遮ると受光素子はOF
Fする。光路163は、糸径の最大位置に配設してある
ので、前記受光素子162の信号の変化により最大糸巻
き径164を検出することができる。
【0097】なお、本実施形態においては、下糸UDの
有無を検出する下糸検出手段214として、ボビン回転
状態検出手段215により行ったが、このボビン回転状
態検出手段215に代えて、例えば、糸巻き径検出手段
160として用いた発光素子161と受光素子162を
用い、発光素子161から受光素子162へ至る光路が
前記ボビン22のボビン中心軸36の外周よりわずか外
側になるように発光素子161および受光素子162を
配置して下糸検出手段としてもよく、このような構成と
すれば、前記ボビン22に巻回された下糸USが無くな
った時、受光素子162が発光素子161からの光りを
検知してONし、このON信号を下糸無しの検出信号と
して用いることができる。
【0098】つぎに、操作部の一例について図1および
図23により説明する。
【0099】本実施形態の操作部170は、図1に示す
ように、ミシン脚柱部1dの操作側たる前面側に配設さ
れており、図23に示すように、後述する制御手段93
に記憶されている複数の縫いデータを簡便な模様と番号
で表示する模様表示画面171が図23右下に配置され
ており、この模様表示画面171の上方には、模様表示
画面171に表示された模様の番号を選択することによ
り複数の模様縫いデータから所望の模様縫いデータを選
択する模様選択手段としての模様選択スイッチ172が
配置されている。そして、模様表示画面171の左方に
は、糸巻き動作時にボビン22に巻回される下糸DSと
して下糸専用糸EDSあるいは上糸USを選択する巻き
糸選択手段としての巻き糸設定スイッチ173が配置さ
れており、その上方には、糸巻き動作時にボビン22に
巻回される下糸DSの糸巻き量を大、中、小の3段階に
設定する糸巻き量設定手段としての糸巻き量設定スイッ
チ174が配置されている。さらに、糸巻き量設定スイ
ッチ174の上方には、各種のメッセージや設定状態な
どを表示する警告手段175および縫製動作の再スター
トを表示する再スタート告知手段225を兼ねた表示画
面176が配置されており、その左側には、糸巻き動作
の開始、本実施形態においては糸巻き動作のON/OF
Fを指示する糸巻きスイッチとしての糸巻きスタート/
ストップスイッチ177が配置されている。さらに、操
作部170には、自動的に糸巻き動作を開始する自動糸
巻きモードと作業者の操作により糸巻き動作を開始する
手動糸巻きモードとを切り換える糸巻きモード切替スイ
ッチ226(図27)や、ボビン22への下糸DSの巻
回を終了した場合、自動的に縫製動作を再スタートする
自動再スタートモードと作業者の操作により縫製動作を
再スタートする手動再スタートモードとを切り換える再
スタートモード切替スイッチ227(図27)なども配
設されている。そして、これらの模様表示画面171、
模様選択スイッチ172、巻き糸設定スイッチ173、
糸巻き量設定スイッチ174、警告手段175および再
スタート告知手段225を兼ねた表示画面176、糸巻
きスタート/ストップスイッチ177、糸巻きモード切
替スイッチ226、再スタートモード切替スイッチ22
7などは、タッチパネルとされており、後述する制御手
段93に電気的に接続されている。
【0100】なお、操作部170の構成は、糸巻き動作
にかかわる部位についてのみを説明したものであり、操
作部170には、縫製動作にかかわる公知の各種のスイ
ッチおよび各種の状態を表示する表示画面(共に図示せ
ず)なども当然配置されている。
【0101】また、糸巻き動作時にボビン22に巻回さ
れる下糸DSとして下糸専用糸EDSあるいは上糸US
の何れか一方のみを用いる場合には、巻き糸設定スイッ
チ173を設ける必要はない。
【0102】さらに、再スタート告知手段225として
は、表示画面176への表示だけでなく、ブザーあるい
はパトライトのような安全灯などからなる安全確保手段
228(図27)を付加する構成としてもよい。このよ
うな安全確保手段228は、作業者が表示画面176へ
のメッセージの表示を見落とすのを確実に防止すること
ができるとともに、作業者以外の周囲の人々への警告を
行うことができる。なお、安全確保手段228は、下糸
糸巻き装置付きミシン1に付設してもよいし、外部に個
別に設置してもよい。
【0103】つぎに、専用下糸保持検出手段の一例につ
いて図18および図24から図26により説明する。
【0104】図18に示すように、本実施形態の専用下
糸保持検出手段180は、糸保持部材48と専用下糸繰
出機構110との間に配設されている。この専用下糸保
持検出手段180は、図24から図26に示すように、
ほぼ横長の長方体状に形成された本体181を有してお
り、この本体181には、下糸専用糸EDSの糸経路に
沿うようにして凹設された糸溝182が形成されてい
る。この糸溝182には、糸溝182内を通過する下糸
専用糸EDSを糸溝底部183(図25、図26)へ案
内するほぼ三角板状の左右1対のガイドリブ184が間
隔をおいて形成されている。そして、本体181の図2
4左右方向に示す長手方向の中央部には、糸溝底部18
3の直近を通過する下糸専用糸EDSと直交するように
上下方向に貫通する貫通孔185(図24、図26)が
形成されており、この貫通孔185の上部には、発光素
子186が配設されている。また、貫通孔185の下部
には受光素子187、例えばソーラーセルが配設されて
いる。そして、発光素子186および受光素子187
は、後述する制御手段93に電気的に接続されており、
糸溝底部182の直近を通過する下糸専用糸EDSの有
無の検出データを制御手段93へ送出することができる
ようになっている。
【0105】つぎに、制御手段の一例について図27に
より説明する。
【0106】図27に示すように、前記制御手段93
は、少なくともCPU190および適宜な容量のRO
M、RAMなどにより形成されたメモリ191を有して
おり、この制御手段93には、前記操作部170に配設
された模様表示画面171、模様選択スイッチ172、
巻き糸設定スイッチ173、糸巻き量設定スイッチ17
4、警告手段および再スタート告知手段225を兼ねた
表示画面176、糸巻きスタート/ストップスイッチ1
77、専用下糸保持検出手段180の発光素子186お
よび受光素子187、糸巻きモード切替スイッチ22
6、再スタートモード切替スイッチ227、縫製スター
ト/ストップスイッチ238、主軸センサ218、ボビ
ン回転状態検出手段215を兼ねた下糸検出手段214
の反射型光センサ211、上糸検出手段221の光りセ
ンサ223、選択された模様を形成するのに必要な補助
部品としての刺繍装置240の着脱状態を検出する刺繍
装置センサ217、返し縫いスイッチ301、糸切りス
イッチ302、縫製速度調整ボリュームスイッチ30
3、退避位置センサ290、ブザーや安全灯などの安全
確保手段228、糸保持部材移動手段53の駆動モータ
91、上糸繰出機構120の駆動モータ125およびソ
レノイド136、図示しない押え機構に装着されている
布押えが208の高さ位置から縫製物Sの厚さを検出す
る布厚センサ231、ミシンモータ235、針振りモー
タ236、刺繍装置240のステッピングモータなどか
らなる縦送り用のYモータ240Aおよび横送り用のX
モータ240B、図示しない布送りモータや、電源スイ
ッチや縫製動作にかかわる公知の各種のスイッチ類など
が電気的に接続されている。また、反射型光センサ21
1は、A/D変換器233を介して接続されており、糸
保持部材移動手段53の駆動モータ91、上糸繰出機構
120の駆動モータ125およびソレノイド136、ミ
シンモータ235、針振りモータ236、刺繍装置24
0用の駆動モータ240A,240Bなどは、それぞれ
を駆動するためのコントローラとも称される駆動回路9
1a、120a、235a、236a、240a、32
7aを介して接続されている。
【0107】また、CPU190は、少なくとも選択さ
れた模様縫いデータを判別する模様縫いデータ判別手段
229としても機能する。
【0108】前記メモリ191は、少なくとも縫製中断
動作制御部281と、下糸引出時上糸張力制御部282
と、糸巻き時上糸張力制御部283と、スイッチ制御部
284と、糸保持部材進入タイミング制御部285と、
針棒切外し・回転接続動作タイミング制御部286と、
その他の動作制御を行うプログラムやデータを格納した
格納部287とを有している。
【0109】前記縫製中断動作制御部281には、前記
刺繍装置240の少なくともXモータ240BまたはY
モータ240Aを駆動して刺繍枠239をXY方向に移
動して縫製物Sに刺繍縫いを行う縫製動作の実行中に、
前記下糸検出手段214が下糸無しを検出した場合、ミ
シンモータ235を制御して縫製物Sの上方で針3を停
止し、少なくともXモータまたはYモータを制御して前
記刺繍枠239を最終縫目と針3との間を所定距離LL
離間するように移動して、ボビン22に残っている下糸
DSの残り糸を下糸張力手段25から引き出してボビン
22に残っている下糸DSの残り糸を引き出すプログラ
ムが格納されている。このプログラムによる具体的な動
作例については後述する。
【0110】前記下糸引出時上糸張力制御部282に
は、前記刺繍装置240の刺繍枠239を移動させてボ
ビン22に残っている下糸DSの残り糸を引き出す際
に、上糸USに付与されている上糸張力を解放するプロ
グラムが格納されている。ここでいう上糸張力を解放す
るとは、上糸張力を完全に解放することであっても、上
糸の張力を縫製時より弱くすることであってもどちらで
もよく、具体的には、上糸張力付与手段224による上
糸USの保持力を零(保持解放)とすることでも、上糸
張力付与手段224による上糸USの保持力を縫製時よ
り弱くすることでもどちらであってもよい。このプログ
ラムによる具体的な動作例については後述する。
【0111】前記糸巻き時上糸張力制御部283には、
ボビン22に上糸USを巻回する糸巻き動作時に、上糸
USに付与されている上糸張力を解放した状態でミシン
を駆動し、天秤307が天秤上死点を通過した後に上糸
USに所定の上糸張力を付与し、前記糸保持部材48に
よる上糸USの捕捉に必要な設定糸量を繰り出すプログ
ラムが格納されている。ここでいう上糸張力を解放する
とは、上糸張力を完全に解放することであっても、上糸
の張力を縫製時より弱くすることであってもどちらでも
よく、具体的には、上糸張力付与手段224による上糸
USの保持力を零(保持解放)とすることでも、上糸張
力付与手段224による上糸USの保持力を縫製時より
弱くすることでもどちらであってもよい。
【0112】前記スイッチ制御部284には、前記退避
位置検出手段としての退避位置センサ290が前記糸保
持部材48が退避位置に位置するのを検出した場合にの
み前記糸巻きスイッチとしての糸巻きスタート/ストッ
プスイッチ177および前記縫製スイッチとしての縫製
スタート/ストップスイッチ238による糸巻き動作あ
るいは縫製動作の開始の指示を有効とするプログラムが
格納されている。
【0113】前記糸保持部材進入タイミング制御部28
5には、下糸専用糸EDSの糸巻き動作時に前記針棒切
外し機構140による針棒切外し実行後の上糸USが前
記内釜18から離間した後に前記糸保持部材48を前記
ボビン22の上方に進入させるプログラムが格納されて
いる。このプログラムによる具体的な動作例については
後述する。
【0114】前記針棒切外し・回転接続動作タイミング
制御部286には、上糸USの糸巻き動作時に前記針棒
切外し機構140による針棒2の切り外しを前記糸保持
部材48がボビン22の上方に進入した進入位置に位置
した後に前記剣先42が上糸USを捕捉する位置を通過
して剣先42が上糸USを捕捉した状態で再度剣先42
が上糸USを捕捉する位置を通過するまでに実行し、前
記回転伝動機構340によるボビン22とボビン駆動部
材11との接続(連結)を剣先42に捕捉され内釜18
の底を通過する上糸USが前記ボビン駆動部材11に設
けられた回転伝動機構340を通過した後に実行するプ
ログラムが格納されている。このプログラムによる具体
的な動作例については後述する。
【0115】ここで、前記格納部287に格納されてい
るプログラムやデータの要部について以下に説明する。
【0116】前記格納部287には、下糸専用糸EDS
の糸巻き動作を行うため、糸巻き動作時に、下糸専用糸
EDSをボビン22に巻回する下糸DSとして選択した
際に、上方糸保持部59と糸位置規制部58との間に連
なる下糸専用糸EDSをスリット39に入り込ませて下
糸専用糸EDSをボビン22に巻き取るように針棒切外
し機構140、水平釜4、ボビン駆動部材移動手段94
および糸保持部材移動手段53を動作させるプログラム
が格納されている。このプログラムの具体例としては、
ミシン回転スタート後、針棒2の上下方向への往復運動
を上軸の回転から切外して針3の上下方向への往復運動
を停止させ針3を上方に保持させた後の上糸USが内釜
18から離間した後に、糸保持部材48を進入位置に位
置させて上方糸保持部59と糸位置規制部58との間に
連なる下糸専用糸EDSをボビン22の上フランジ37
の少なくとも外周縁に当接させ、ボビン駆動部材11を
連結位置に位置させボビン22を回転させて上方糸保持
部59と糸位置規制部58との間に連なる下糸専用糸E
DSをスリット39に入り込ませて下糸専用糸EDSを
ボビン22に巻き取るように針棒切外し機構140、水
平釜4、ボビン駆動部材移動手段94および糸保持部材
移動手段53を動作させる構成とするとよい。なお、本
実施形態における糸保持部材48を進入位置に位置させ
るタイミングは、糸保持部材進入タイミング制御部28
5に格納したプログラムによって制御する。また、針棒
2を上軸の回転から切り外して針3を上方で保持するタ
イミング、糸保持部材48を進入位置に位置させるタイ
ミング、ボビン駆動部材11を連結位置に位置させるタ
イミングおよび外釜7を回転させるタイミングなどは、
設計コンセプトなどの必要により、前後関係を決定すれ
ばよい。
【0117】また、前記格納部287には、上糸USの
糸巻き動作を行うため、糸巻き動作時に、上糸USをボ
ビン22に巻回する下糸DSとして選択した際に、下糸
糸巻き装置付きミシン1を駆動させて針3を上下動させ
て上糸USのループを外釜7の剣先42により内釜18
の上下に分けて回し、内釜18の上を通る上糸USを糸
保持部材48の上方糸係止部60および糸位置規制部5
8により捕捉させ、その後、上方糸係止部60と糸位置
規制部58との間に連なる上糸USをスリット39に入
り込ませて上糸USをボビン22に巻回するように針棒
切外し機構140、水平釜4、ボビン駆動部材移動手段
94および糸保持部材移動手段53を動作させるプログ
ラムが格納されている。このプログラムの具体例として
は、糸巻き動作時に、上糸USをボビン22に巻回する
下糸DSとして選択した際に、糸保持部材48を進入位
置に位置させた後に下糸糸巻き装置付きミシン1を駆動
させて針3を上下方向へ1往復動作させて上糸USのル
ープを外釜7の剣先42により内釜18の上下に分けて
回し、内釜18の上を通る上糸USを糸保持部材48の
上方糸係止部60および糸位置規制部58により捕捉さ
せ、その後再度剣先42が上糸USを捕捉する位置を通
過する前に針棒2の上下方向への往復運動を上軸の回転
から切外して針3の上下方向への往復運動を停止させ針
3を上方に保持させ、剣先42に捕捉され内釜18の底
を通過する上糸USが前記ボビン駆動部材11に設けら
れた回転伝動機構340を通過した後に、ボビン駆動部
材11を連結位置に位置させ、ボビン22を回転させて
上方糸係止部60と糸位置規制部58との間に連なる上
糸USをスリット39に入り込ませて上糸USをボビン
22に巻回するように針棒切外し機構140、水平釜
4、ボビン駆動部材移動手段94および糸保持部材移動
手段53を動作させる構成とするとよい。なお、本実施
形態における針棒切り外しの動作タイミング、および、
ボビン駆動部材11を連結位置に位置させる動作タイミ
ングは、針棒切外し・回転接続動作タイミング制御部2
86に格納したプログラムによって制御する。また、針
棒2を上軸の回転から切り外して針3を上方で保持する
タイミング、ボビン22に上糸USを巻回する糸巻き動
作時の糸保持部材48を進入位置に位置させるタイミン
グ、ボビン駆動部材11を連結位置に位置させるタイミ
ングおよび外釜7を回転させるタイミングなどは、設計
コンセプトなどの必要により、前後関係を決定すればよ
い。
【0118】なお、ボビン22に巻回する下糸DSとし
て下糸専用糸EDSのみを用いる場合には、下糸専用糸
EDSの糸巻き動作を行うプログラムのみを格納し、上
糸USのみを用いる場合には、上糸USの糸巻き動作を
行うプログラムのみを格納する構成であってもよい。
【0119】また、前記格納部287には、下糸再保持
動作を行うため、糸巻き動作時に下糸専用糸EDSをボ
ビン22に巻回する下糸DSとして選択した際の糸巻き
動作終了後に、糸保持部材48を糸捕捉位置に位置させ
た後に、外釜7を回転させて外釜7の外周面の近傍に位
置する下糸専用糸EDSを外釜7から離間する方向へ移
動させて糸保持部材48の上方糸保持部59に保持させ
た後、前記糸保持部材48を退避位置へ移動させるよう
に水平釜4、糸保持部材移動手段53を動作させるプロ
グラムが格納されている。
【0120】また、前記格納部287には、上糸USの
制御を行うため、上糸繰出装置120から繰り出される
上糸USの繰り出し量を所定量とするとともに、ボビン
22が上糸USを巻回する際に糸ゆるめ手段138が上
糸USを解放するように動作させるプログラムが格納さ
れている。なお、ボビン22に巻回する下糸DSとして
下糸専用糸EDSのみを用いる場合には、上糸繰出装置
120としては、従来公知の図示しない糸調子皿を具備
する自動上糸調子機構を用いてもよい。
【0121】また、前記格納部287には、糸巻き動作
後の下糸USへ下糸張力を付与するため、糸巻き動作終
了後に、ボビン22に連なる外釜7の近傍に位置する糸
を外釜7の外周面の上面より下方に位置するように退避
位置に位置させて、糸捕捉フック46でボビン22に連
なる外釜7の近傍に位置する糸を捕捉可能とした後に、
外釜7を逆回転させて、ボビン22に連なる外釜7の近
傍に位置する糸を糸導入口27に入り込ませるように、
糸保持部材48および外釜7を動作させるプログラムが
格納されている。
【0122】また、前記格納部287には、外釜7を逆
回転させるための外釜逆回転機構205として、ミシン
モータ235の回転方向を制御することにより外釜7を
逆回転させるプログラムが格納されている。
【0123】また、前記格納部287には、糸巻き量を
制御するため、糸巻き量設定手段としての糸巻き量設定
スイッチ174により下糸DSの糸巻き量が最大設定値
(大)とされた場合には、糸巻き径検出手段160が最
大糸巻き径を検出するか、あるいは、糸巻き数計測手段
206が限界糸巻き回数設定部(図示せず)により設定
された限界糸巻き回数を検出するまで糸巻き動作を行
い、糸巻き量設定スイッチ174により設定される糸巻
き量が最大設定値より少ない場合には、糸巻き量設定ス
イッチ174により設定された糸巻き量に応じてボビン
22の糸巻き回転数を設定し、糸巻き数計測手段206
が設定されたボビン22の糸巻き回転数を検出するまで
糸巻き動作を行うプログラムが格納されている。この糸
巻き量を制御するプログラムには、糸巻き数計測手段2
06として、ボビン22が糸巻き動作を開始してからの
ボビン22の回転数を反射型光りセンサ211で検出す
ることによりボビン22の糸巻き回転数を検出するプロ
グラムも格納されている。すなわち、反射型光りセンサ
211は、糸巻き数計測手段206としても機能する。
なお、糸巻き数計測手段206としては、ボビン22が
糸巻き動作を開始してからのミシンモータ235の回転
数を図示しない光センサで検出し、この時のミシンモー
タ235の回転数を予め記憶した換算テーブルと比較す
ることによりボビン22の糸巻き回転数を検出するもの
であってもよい。
【0124】なお、糸巻き量の制御に限界糸巻き回数を
用いない場合には、糸巻き量設定手段としての糸巻き量
設定スイッチ174により下糸DSの糸巻き量が最大設
定値(大)とされた場合には、糸巻き径検出手段160
がボビン22に巻回される下糸DSの最大糸巻き径16
4を検出するまで糸巻き動作を行い、糸巻き量設定スイ
ッチ174により設定される糸巻き量が最大設定値より
少ない場合には、糸巻き量設定スイッチ174により設
定された糸巻き量に応じてボビン22の糸巻き回転数を
設定し後述する糸巻き数計測手段206が設定されたボ
ビン22の糸巻き回転数を検出するまで糸巻き動作を行
うプログラムを格納すればよい。
【0125】前記糸巻き量設定スイッチ174により設
定される下糸DSの糸巻き量は、中位の糸を基準として
設定されている。つまり、図28に示すように、ボビン
22に巻回した糸がボビンからはみださない量とし、ボ
ビン22に巻回した糸の直径で管理する。これを最大糸
巻き径(大)164とし、この最大糸巻き径164を前
記糸巻き径検出手段160で検出するまで糸巻きを実行
するようになっている。そして、最大糸巻き径(大)1
64より少ない糸巻き量(中),(小)では、ボビンの
回転数で管理する。図28に中で示す中位の太さの糸で
最大糸巻き径164まで巻回するための糸巻き回数nに
対して、糸巻き量(中)は糸巻き回数(2/3)n、糸
巻き量(小)は糸巻き回数(1/3)nのように少なく
なる。このため、糸巻き量(大)における最大糸巻き径
164は糸の太さにかかわらず糸の巻き径が同一径とな
るが、糸巻き量(中)および糸巻き量(小)において
は、糸の太さによって実際の糸の巻き径が異なることと
なる。本来下糸DSの糸巻き量は糸の長さによって管理
するのが理想ではあるが、下糸DSの糸巻き量を糸の長
さで管理するのは複雑かつ高価な装置を必要とするなど
の理由により困難であり、下糸DSの糸巻き量を糸巻き
回数で管理することにより容易に理想に近いものとする
ことができる。
【0126】なお、図28および図29における符号n
aは細糸を最大糸巻き径164まで巻いた場合の巻き回
数を示し、符号nbは太糸を最大糸巻き径164まで巻
いた場合の巻き回数を示す。
【0127】また、中位の糸を基準として下糸DSの糸
巻き量を設定せずに、細糸、中位の糸、太糸などの糸の
太さ毎に糸巻き量を設定するようにしてもよい、この場
合には、操作部170に図示しない糸に太さの選択手段
を設けるとよい。
【0128】前記限界糸巻き回数Nについて説明する
と、細糸を用いた場合には、ボビン22に最大糸巻き径
164まで下糸DSを巻回すると、ボビン22に巻回し
た糸量が多くなり、特に家庭用ミシンなどにおいては下
糸DSを使い切れない状態となる。そこで、図29に示
すように、限界糸巻き回数N(n<N<na)を設定
し、最大糸巻き径164に到達しなくても限界糸巻き回
数Nで糸巻きを終了するようになっている。なお、細
糸、中位の糸、太糸などの糸の太さ毎に限界糸巻き回数
を設定するようにしてもよい。
【0129】また、前記格納部287には、複数の模様
縫いデータ、例えば、実用縫いと称される分類に区分さ
れる直線縫い、ジグザグ縫い、ボタンホール縫いなどに
用いる多種多様の縫い模様の模様縫いデータや、形状縫
いと称される分類に区分される刺繍装置240を用いた
刺繍縫いなどに用いる多種多様の縫い模様の模様縫いデ
ータが格納されるとともに、これら縫い模様による縫い
目を形成するための布送りピッチ、針振りピッチ、針振
り幅などの動作時のデータや、縫い模様に応じて用いる
上糸USおよび下糸DSの種類や、糸巻き動作時におけ
るボビン22に巻回される下糸DSの種類、糸巻き量、
限界糸巻き回数などの各種のデータも格納されている。
【0130】また、前記格納部287には、前記操作部
170の模様選択手段としての模様選択スイッチ172
により選択された模様データに応じてボビン22に巻回
される下糸DSの選択、すなわち、ボビン22に巻回さ
れる下糸DSとして下糸専用糸EDSを用いるのかそれ
とも上糸USを用いるのかの選択、および/または、ボ
ビン22に巻回される下糸DSの糸巻き量を自動的に設
定するプログラムが格納されている。すなわち、前記操
作部170の模様選択手段としての模様選択スイッチ1
72により選択された模様データに応じて、各種の設定
を自動設定することができるとともに、各種の設定を手
動設定することもできるようにされている。なお、糸巻
き動作時に、ボビン22に巻回される下糸USとして上
糸USあるいは下糸専用糸EDSの何れか一方のみを用
いる場合には、ボビン22に巻回される下糸DSの選択
にかかわる部分を除いた部分の各種の設定を自動設定す
ることができるプログラムを格納するとよい。
【0131】また、前記格納部287には、誤巻き取り
動作を防止するため、設定状態と下糸糸巻き装置付きミ
シン1の状態とが合致しているか否かを判定し、設定状
態と下糸糸巻き装置付きミシン1の状態とが合致してい
ない場合、すなわち、専用下糸保持検出手段180が下
糸専用糸EDSを検出した際には上糸USの糸巻き動作
を、専用下糸保持検出手段180が下糸専用糸EDSを
検出しない際には下糸専用糸EDSの糸巻き動作をそれ
ぞれ無効とするプログラムが格納されている。また、糸
巻き動作を無効とした場合には、操作部170の表示画
面176に警告をメッセージなどで画面表示したり、ブ
ザー、安全灯などからなる安全確保手段228を駆動す
るプログラムも格納されている。
【0132】また、前記格納部287には、縫製動作時
に上糸USおよび下糸DSの何れが無くなったのかを判
別するため、縫製動作時に、上糸検出手段221の上糸
センサ223および下糸検出手段214の反射型光セン
サ211から送出される検出信号に基づいて上糸USお
よび下糸DSの有無を監視し、下糸検出手段214の反
射型光センサ211による下糸無しの検出信号が上糸検
出手段221の光りセンサ223による上糸無しの検出
信号より先に送出された場合には下糸無しと判別し、上
糸検出手段221の光りセンサ223による上糸無しの
検出信号が下糸検出手段214の反射型光センサ211
による下糸無しの検出信号より先に送出された場合には
上糸無しと判別するプログラムが格納されている。この
ようなプログラムは、上糸USおよび下糸DSのそれぞ
れの有無を同時に監視することができるとともに、上糸
USおよび下糸DSの何れが無くなったのかを確実かつ
容易に判別することができる。さらに、このようなプロ
グラムによって下糸無しと判断した場合、糸巻き動作を
容易に開始することができる。
【0133】また、前記格納部287には、縫製動作の
実行中に下糸USが無くなった際に、縫製動作を中断し
た時の針位置を制御するため、縫製動作時に、下糸検出
手段214の反射型光センサ211から下糸無しの検出
信号が送出された場合、下糸無しの検出信号を検出した
時点における縫製位置から複数針運針した後で下糸糸巻
き装置付きミシン1を停止するプログラムが格納されて
いる。このようなプログラムは、下糸DSの残り糸を確
実に消費することができるとともに、下糸DSの残り糸
を確実に消費した後に、糸巻き動作を開始することがで
き、その結果、糸巻き動作の自動化を容易に行うことが
できる。
【0134】また、前記格納部287には、中断した縫
製動作を再開する際の針位置を制御するため、糸巻き動
作によってボビン22に下糸DSを巻回した後に、下糸
無しの検出信号を検出した時点における縫製位置から複
数針戻した位置から縫製動作を再スタートさせるプログ
ラムが格納されている。このようなプログラムは、ボビ
ン22に下糸DSを巻回した後に、下糸無しの検出信号
を検出した時点における縫製位置へ自動的に戻って縫製
動作を再開することができ、その結果、作業性を確実に
向上させることができるとともに、ほつれのない縫い目
を確実に形成することができる。
【0135】また、前記格納部287には、糸巻きモー
ドを判別するため、糸巻きモード切替スイッチ226の
設定状態に基づいて自動的に糸巻き動作を行うか否かを
判別するプログラムが格納されている。このようなプロ
グラムは、作業者の操作による糸巻きモード切替スイッ
チ226の設定状態に応じて、糸巻き動作のモードを容
易に選択することができる。さらに、糸巻きモード切替
スイッチ226により設定されたモードで糸巻き動作を
容易に開始することができる。
【0136】また、前記格納部287には、糸巻きモー
ドを自動設定するため、模様選択手段としての模様選択
スイッチ172により選択された模様縫いデータおよび
/または選択された模様を形成するのに必要な補助部品
である刺繍装置240の着脱状態を検出する刺繍装置セ
ンサ217から送出される検出信号に基づいて自動的に
下糸DSの糸巻き動作を開始する自動糸巻きモードある
いは作業者の操作により下糸DSの糸巻き動作を開始す
る手動糸巻きモードを自動的に設定するプログラムが格
納されている。このようなプログラムは、選択された模
様縫いデータおよび/または選択された模様を形成する
のに必要な補助部品240の着脱状態に基づいて、糸巻
き動作のモードを自動的に選択することができ、その結
果、直線縫い、ジグザグ縫い、ボタンホール縫いなどの
実用縫いを行う場合には、糸巻きモード切替スイッチ2
26の設定状態によって、下糸DSの種類の変更や、下
糸DSの巻き量の微妙な調整に好適な手動糸巻きモード
を容易に選択することができ、刺繍縫いを行う場合に
は、糸巻きモード切替スイッチ226の設定状態によっ
て、一般的に一種類の下糸DSを用いるのに好適な自動
糸巻きモードを容易に選択することができる。さらに、
このようなプログラムは、糸巻きモード切替スイッチ2
26により設定されたモードで糸巻き動作を容易に開始
することができる。
【0137】また、前記格納部287には、縫製動作の
再スタートを制御するため、糸巻き動作によってボビン
22への下糸DSの巻回を終了した場合、縫製動作を自
動的に再スタートするプログラムが格納されている。こ
のようなプログラムは、糸巻き動作が終了した後に、縫
製動作を自動的に再スタートすることができるので、作
業性を確実に向上させることができる。
【0138】また、前記格納部287には、縫製動作の
再スタート動作を制御するため、再スタートモード切替
スイッチ227の設定状態に基づいて自動的に再スター
トするか否かを判別するプログラムが格納されている。
このようなプログラムは、再スタートモード切替スイッ
チ227の設定状態に基づいて、縫製動作を再スタート
する際のモードを容易に選択することができる。さら
に、このようなプログラムによれば、糸巻き動作が終了
した後に、再スタートモード切替スイッチ227により
設定されたモードで縫製動作を容易に再スタートするこ
とができるので、作業性を確実により向上させることが
できる。
【0139】また、前記格納部287には、縫製動作の
再スタートを告知するため、糸巻き動作によってボビン
22への下糸DSの巻回を終了して縫製動作を再スター
トする前に、再スタート告知手段225が動作するよう
に制御するプログラムが格納されている。なお、再スタ
ート告知手段225に安全確保手段228を付加する構
成の場合には、再スタート告知手段225および安全確
保手段228の両者を動作させるようになっている。こ
のようなプログラムは、糸巻き動作を終了した後の縫製
動作を再スタートする前に再スタート告知手段225お
よび安全確保手段228の両者を容易かつ確実に動作さ
せることができ、その結果、再スタートすることを作業
者あるいは周囲の人々に容易かつ確実に認識させること
ができ、その結果、縫製動作が再スタートすることを作
業者あるいは周囲の人々に容易かつ確実に認識させるこ
とができるので、縫製動作の再スタートを行う場合にお
ける安全性を高めることができる。さらにまた、このよ
うなプログラムは、特に、再スタートを自動的に行う場
合における安全性を高めることができる。
【0140】また、前記格納部287には、動作状態を
判別するため、ボビン回転状態検出手段215から送出
される検出信号に基づいて、縫製動作時には縫製状態が
正常か否かを判断し、糸巻き動作時には糸巻きが正常か
否かを判断するプログラムが格納されている。
【0141】また、前記格納部287には、誤動作を防
止するため、縫製動作中における糸巻き動作を無効とす
るプログラムが格納されている。このようなプログラム
は、縫製状態および糸巻き状態のそれぞれの正常と異常
とを確実かつ容易に判断することができるとともに、縫
製動作および糸巻き動作の異常を検出した場合にミシン
停止することができ、その結果、安全性を高めることが
できる。また、このようなプログラムは、縫製動作中に
おける糸巻き動作のスタートを確実に防止することがで
き、その結果、高い安全性を確実に確保することができ
る。
【0142】なお、本実施形態の下糸糸巻き装置付きミ
シン1の下糸検出手段214は、ボビン回転状態を検出
するボビン回転状態検出手段215としても機能する。
【0143】また、本実施形態の下糸糸巻き装置付きミ
シン1においては、ボビン22に巻回される下糸DSと
して下糸専用糸EDSおよび上糸USを選択可能とした
が、ボビン22に巻回される下糸DSとしては、下糸専
用糸EDSあるいは上糸USの何れか一方のみを用いる
構成としてもよい。
【0144】さらに、本実施形態の下糸糸巻き装置付き
ミシン1においては、開口部274および開閉カバー2
71を針板5に配設したが、糸掛け時に、糸保持部材4
8を水平方向などのミシンベッド1bの一部を構成する
針板5以外の場所でミシン1外部へ突出させる構成、す
なわち、開口部274および開閉カバー271を針板5
以外のミシンベッド1bに設ける構成としてもよい。
【0145】またさらに、本実施形態の下糸糸巻き装置
付きミシン1においては、開閉カバー271に糸保持部
材表出駆動手段としての突出部277を配設し、開閉カ
バー271の開閉動作に連動して突出部277を糸保持
部材表出手段261の従動腕263aに接離させること
により、糸保持部材表出手段261を連動駆動したが、
糸保持部材表出手段261の従動腕263aを往復動シ
リンダなどのアクチェータにより駆動可能とするととも
に、開閉カバー271の移動による開口部274の開閉
状態を光りセンサ、近接スイッチなどからなるセンサで
検出し、このセンサの検出信号に基づいてアクチェータ
を駆動することにより、糸保持部材表出手段261を開
閉カバー271の開閉動作に連動して駆動する構成とし
てもよい。
【0146】さらに、本実施形態の下糸糸巻き装置付き
ミシン1においては、糸巻き動作終了後に、外釜7に設
けた切断刃43により、供給側の糸を切断する構成とし
たが、外釜7の外周に巻き付いた糸を捕捉して切断する
構成としてもよい。
【0147】また、本実施形態の下糸糸巻き装置付きミ
シン1においては、糸掛け位置として、糸保持部材48
の糸保持部分を針板5より突出させた位置に移動する構
成としたが、この糸掛け位置は、糸保持部分が針板表面
近傍の糸掛け位置に移動する構成としてもよく、下糸D
Sを開口部274から指で係止できる位置ならばよい。
そして、この場合、開口部274は、四角状の指が入る
大きさの開口部274でなくとも、例えば、U字状、V
字状の案内長孔で構成してもよい。
【0148】また、本実施形態の下糸糸巻き装置付きミ
シン1においては、糸保持部材移動手段53の駆動モー
タ91を駆動することにより糸保持部材48を移動させ
る構成としたが、糸保持部材48を手動で移動させる構
成としてもよい。
【0149】さらに、本実施形態の下糸糸巻き装置付き
ミシン1においては、下糸DSの保持状態を検出する専
用下糸保持検出手段180として発光素子186と受光
素子187とにより検出させる構成としたが、専用下糸
保持検出手段180としては、下糸DSの張力を検出す
る構成としてもよい。
【0150】なお、本実施形態の下糸糸巻き装置付きミ
シン1においては、針棒2の上下動は上軸の回転と連結
されており、針棒切外し機構140は、上軸と針棒2を
切り離す構成となっているが、針棒2の上下動が独立し
た駆動源を有し、針棒2のみ停止させることができる構
成であってもよい。
【0151】さらにまた、下糸糸駒111の配設位置と
して、刺繍装置240の刺繍枠239をミシン脚注部1
dから最も離間した図1左方に示す後退位置に位置した
際に、刺繍装置240の刺繍枠239を着脱せずに下糸
糸駒111の着脱(交換)を行うことができる位置とし
た場合には、前記格納部287に、刺繍装置240を駆
動して縫製物Sに刺繍縫いを行う縫製動作の実行中に下
糸DSの糸巻き動作を行う場合、前記刺繍装置240の
刺繍枠239を単に停止状態に保持するだけでなく、前
記刺繍装置240の刺繍枠239を後退位置に位置させ
た後に停止状態に保持するプログラムを格納するとよ
い。
【0152】つぎに、前述した構成からなる本実施形態
の作用について説明する。
【0153】本実施形態の下糸糸巻き装置付きミシン1
による糸巻き動作は、縫製動作の途中で下糸DSがなく
なった場合、あるいは、縫製準備のため空のボビン22
を内釜18にセットして空のボビン22に下糸DSを巻
回する場合に行う。
【0154】ここで、縫製動作の途中で下糸がなくなっ
た場合の下糸の残り糸の引き出しについて図30により
説明する。
【0155】図30は本発明に係る下糸糸巻き装置付き
ミシンの縫製動作の実行中にボビンに巻回された下糸が
残り少なくなった状態を示す説明図である。
【0156】前記ボビン22は内釜18に自由回転可能
に収納されているので、縫製動作の実行中にボビン中心
軸36に下糸DSが巻き付いていれば下糸DSの消費に
よりボビン22は回転する。しかしながら、ボビン22
に巻回された下糸DSが残り少なくなると、図30に示
すように、ボビン中心軸36(図7参照)に巻き付いて
いた下糸DSが弛んでボビン中心軸36の周囲に下糸D
Sの弛み部Tが形成されてしまい、この弛み部Tは下糸
張力手段25を通過して針板5の針穴と称される針通過
孔272を経て縫い模様「AB」へつながるので、下糸
DSを消費してもボビン22が回転しなくなる。このボ
ビン22の回転停止が設定針数以上継続すると下糸検出
手段214が下糸無しを検出する。この下糸検出手段2
14による下糸無しの検出の詳しい説明については後述
する。この下糸DSに弛み部Tが形成された状態で下糸
検出手段214が下糸無しを検出すると、下糸DSが長
く残っていることに加えて、下糸DSが下糸張力手段2
5に保持されているので、ボビン22を回転して糸巻き
動作を実行すると、上糸USおよび下糸専用糸EDSの
いずれの糸巻き動作時において糸絡みなどの不都合を生
じる。
【0157】そこで、このような糸巻き動作時の糸絡み
を防止するため、格納部287に格納したプログラムに
より、縫製動作時に、下糸検出手段214の反射型光セ
ンサ211から下糸無しの検出信号が送出された場合、
下糸無しの検出信号を検出した時点における縫製位置か
ら複数針運針して下糸DSの残り糸を消費した後で下糸
糸巻き装置付きミシン1を停止するようになっている
が、刺繍装置240の刺繍枠239を駆動して縫製物S
に刺繍縫いを行う縫製動作の実行中に下糸検出手段21
4が下糸無しを検出した場合には、より簡単かつ確実に
ボビン22に残っている下糸DSの残り糸を引き出すこ
とができる。
【0158】ここで、刺繍装置の刺繍枠を駆動して縫製
物に刺繍縫いを行う縫製動作の実行中に下糸検出手段が
下糸無しを検出した場合における下糸の残り糸の引き出
しについて図30および図31により説明する。
【0159】図31は本発明に係る下糸糸巻き装置付き
ミシンの刺繍装置の刺繍枠を駆動して縫製物に刺繍縫い
を行う縫製動作の実行中に下糸検出手段が下糸無しを検
出してミシン停止した場合の刺繍枠の状態を示す説明図
である。
【0160】図30に示すように、ボビン22に巻回さ
れた下糸DSが残り少なくなると、ボビン中心軸36
(図7参照)に巻き付いていた下糸DSが弛んでボビン
中心軸36の周囲に下糸DSの弛み部Tが形成される。
この弛み部Tは下糸張力手段25を通過して針板5の針
通過孔272を経て縫い模様「AB」へつながるので、
刺繍枠239が移動して下糸DSが繰り出されてもボビ
ン22が回転しなくなる。このボビン22の回転停止が
設定針数以上継続すると下糸検出手段214が下糸無し
を検出する。そして、下糸検出手段214が下糸無しを
検出すると、制御手段93のメモリ191の縫製中断動
作制御部281から送出される制御指令により、図31
に示すように、縫い模様「AB」の途中の図31に符号
Xにて示す針落ち点で刺繍縫いを中断する。この時、縫
製中断動作制御部281に格納されたプログラムは、ま
ず、縫製物Sの上方に針3を移動してからミシンモータ
235を停止させてミシン停止して実行中の縫製動作を
停止(中断)する。ついで、縫製中断動作制御部281
に格納されたプログラムは、最終縫目の針落ち点Xと針
3との間の間隔を少なくともボビン22に残っている下
糸DSの残り糸の糸端を下糸張力手段25から引き抜く
だけの図31に2点鎖線の円にて示す位置までの所定距
離LLまで、刺繍装置240のYモータ240Aおよび
/またはXモータ240Bを駆動して刺繍枠239を移
動する。これにより、縫い目の裏側から下糸張力手段2
5につながる下糸DSの残り糸は、縫い目に引かれて残
り糸の糸端が下糸張力手段25から引き抜かれる。ま
た、本実施形態においては、刺繍枠239を移動してボ
ビン22から下糸DSの残り糸を引き出した後に、刺繍
枠を縫製動作を中断した際の位置に復帰させ、その後、
糸巻き動作を行うようになっている。
【0161】このように、本実施形態によれば、刺繍縫
いを行っている縫製動作の途中で下糸DSが無くなった
場合に、縫製物Sの上方に針3を移動してから少なくと
も縫い目の裏側から下糸張力手段25につながる下糸D
Sの残り糸を引き出す構成とすることにより、ボビン2
2に残っている下糸DSの残り糸をボビン22から確実
かつ適正に引き出すことができるので、糸巻き動作時
に、ボビン22に残っている下糸DSと新たにボビン2
2に巻回される下糸DSとが干渉して糸が絡むという不
都合を確実に防止することができ、その結果、糸巻き動
作を安全かつ適正に実行することができる。
【0162】なお、刺繍枠239の移動距離LLとして
は、下糸DSの残り糸の糸端を針板5の針通過孔272
から完全に引き出すように設定してもよい。また、刺繍
枠239を移動させる方向は任意の方向から設計コンセ
プトなどの必要に応じて設定すればよいが、残り糸を引
き出す方向とすることが肝要である。
【0163】また、本実施形態においては、刺繍装置2
40のYモータ240Aおよび/またはXモータ240
Bを駆動して刺繍枠239を移動するように形成した
が、図示しない1つのXYモータで刺繍枠239を移動
する構成としてもよい。
【0164】ところで、刺繍縫いを行う縫製動作を中断
した際の針落ち点Xが刺繍枠239の近傍であった場
合、刺繍枠239を移動距離LLだけ移動できない方向
があるが、刺繍縫いを行う縫製動作時においては、刺繍
枠239の位置、詳しくは刺繍枠239のXY(横縦)
方向の座標位置と針落ち点Xとの関係は、制御手段93
により常に把握されているので、例えば刺繍枠239の
座標位置と刺繍枠239の大きさを比較して残り糸を引
き出すように刺繍枠239の移動可能な方向へ刺繍枠2
39を所定距離LLだけ移動することにより、縫い目の
裏側から下糸張力手段25につながる下糸DSの残り糸
を引き出すとよい。
【0165】また、刺繍枠239を所定距離LL移動さ
せ時、下糸DSだけでなく上糸DSも引き出すことにな
る。そこで、本実施形態においては、制御手段93のメ
モリ191の下糸引出時上糸張力制御部282から上糸
USに付与されている上糸張力を解放する制御指令が上
糸張力手段224、本実施形態においては上糸繰出機構
120に送出されるようになっている。
【0166】したがって、ボビン22に残っている下糸
DSの残り糸を刺繍枠239で引き出す際に、上糸US
に付与されている上糸張力を解放することができるの
で、下糸DSとともに上糸USを容易に引き出すことが
でき、その結果、下糸DSの残り糸を刺繍枠239で安
全かつ適正に引き出すことができる。
【0167】なお、下糸引出時上糸張力制御部282に
よる上糸張力の解放の具体的な方法としては、本実施形
態においては上糸繰出機構120のソレノイド136を
動作させて、ソレノイド136の出力軸136aを前進
位置から後退位置に位置させることにより、付勢ばね1
35を伸張させて各従動ローラ128を駆動ローラ12
4から離間させ、保持状態とされた上糸USを解放して
上糸張力を完全に解放することであっても、上糸繰出機
構120の駆動ローラ124を回転駆動して上糸USを
所定距離LL分繰り出すことであっても、ミシン上停止
での天秤位置よりも天秤307を下げる方向にミシン駆
動させて上糸USを弛ませることでも何れであってもよ
い。ここでいう上糸張力を解放するとは、上糸張力を完
全に解放することであっても、上糸USの張力を縫製時
より弱くすることであってもどちらでもよく、設計コン
セプトなどの必要に応じて選択するとよい。
【0168】さらにまた、刺繍枠239を所定距離LL
移動させて下糸DSの残り糸を引き出した後に刺繍枠2
39をもとの位置に戻すと、上糸USが余って弛んでし
まうが、この上糸USの余りは、上糸繰出機構120の
駆動ローラ124を逆回転駆動させて上糸USを上糸糸
駒121側に引き戻すか、つぎの縫製動作の開始時に上
糸USの余りを消費するまで上糸USを繰り出さないよ
うに上糸USの繰出量を補正することで容易に取り除く
ことができる。また、天秤307を下げて上糸USを弛
ませた場合には、天秤307をもとの位置に戻すと上糸
USの余りが自動的に取り除かれる。
【0169】また、上糸張力付与手段224として制御
手段93から送出される制御指令により上糸張力を付与
および解放可能な公知の図示しない糸調子皿を具備する
自動上糸調子機構を用いる場合においては、糸調子皿の
解放により上糸張力を解放すればよい。
【0170】またさらに、上糸張力を2段テンションと
した場合には弱い方のテンションを解放する構成として
もよい。
【0171】つぎに、本実施形態の下糸糸巻き装置付き
ミシン1における糸巻きスタート/ストップスイッチ1
77の操作によるボビン22への下糸DSの糸巻き動作
について説明する。
【0172】本実施形態の下糸糸巻き装置付きミシン1
による糸巻き動作は、操作部170の模様選択スイッチ
172(図23)を操作して模様を選択することにより
開始する。そして、模様選択スイッチ172を操作して
模様を選択することにより、格納部287に格納された
プログラムによって格納部287に格納された各種のデ
ータから模様選択スイッチ172により選択された模様
に応じて下糸DSの糸巻き量、巻き糸、糸巻き動作など
を自動的に設定する。例えば、刺繍縫いであれば、糸巻
き量は(大)で巻き糸は下糸専用糸EDSなどと設定
し、直線縫いであれば、糸巻き量は(中)で巻き糸は上
糸USなどというように設定する。この時、制御手段9
3は、選択された巻き糸の種類に応じた糸巻き動作を選
択するとともに、糸巻き動作に関連する各種動作および
動作順序も設定する。
【0173】このように、本実施形態の下糸糸巻き装置
付きミシン1によれば、縫製条件に応じてボビン22に
巻き取る下糸DSの巻取り量を選択することができる。
さらに、縫製動作時の縫い模様に応じて下糸DSの選択
およびこの下糸DSの糸巻き量を自動的に設定すること
ができるので、糸巻き動作にかかわる操作を容易にする
ことができる。
【0174】なお、糸巻き量や巻き糸などは、前記巻き
糸設定スイッチ173、糸巻き量設定スイッチ174な
どを操作することにより手動操作にて変更することも可
能、すなわち手動操作による設定も可能である。
【0175】前記自動設定あるいは手動操作による設定
を行った際には、前記格納部287に格納されたプログ
ラムによって設定状態と下糸糸巻き装置付きミシン1の
状態とが合致しているか否かを判定し、設定状態と下糸
糸巻き装置付きミシン1の状態とが合致していない場
合、すなわち、専用下糸保持検出手段180が下糸専用
糸EDSを検出した際には上糸USの糸巻き動作を、専
用下糸保持検出手段180が下糸専用糸EDSを検出し
ない際には下糸専用糸EDSの糸巻き動作をそれぞれ無
効とし、警告手段175として機能する操作部170の
表示画面176に警告を画面表示したり、安全確保手段
228を駆動する。その結果、誤巻き取り動作防止部2
02は誤動作を未然に防止し、警告手段175は、操作
者に各種の警告を容易に認識させることができる。
【0176】また、各種の設定が終了し、前記格納部2
87に格納されたプログラムによって設定状態と下糸糸
巻き装置付きミシン1の状態とが合致していると判断し
た場合には、糸巻きスタート/ストップスイッチ177
を操作して糸巻きを開始する。
【0177】このように、本実施形態の下糸糸巻き装置
付きミシン1によれば、糸巻き動作の設定状態とミシン
の状態とを合致させることができるので、下糸専用糸E
DSをボビン22に巻回する場合の下糸専用糸EDSの
糸保持部材48に対する糸掛け忘れなどを確実に防止す
ることができるとともに誤動作を未然に防止することが
できる。
【0178】なお、自動糸巻きの場合には、縫製動作の
途中で上糸検出手段214の上糸センサ223および下
糸検出手段214の反射型光センサ211から送出され
る検出信号に基づいて前記格納部287に格納されたプ
ログラムによって下糸DSの有無が判別され、下糸無し
と判別した場合には下糸糸巻き装置付きミシン1を停止
し、その後、予め設定された条件で下糸DSの糸巻き動
作を開始する。
【0179】本実施形態の下糸糸巻き装置付きミシン1
は、ボビン22に巻回される下糸DSとして糸巻き動作
時に既に糸掛けされている上糸USと下糸専用糸EDS
の何れか一方を選択して用いることができるようになっ
ており、上糸USをボビン22に巻回する場合には、糸
保持部材48には糸掛けせず、糸保持部材48に糸を持
たせない状態としておく。また、下糸専用糸EDSをボ
ビン22に巻回する場合には、予め図16に示すように
下糸専用糸EDSを専用下糸繰出装置110を介して糸
保持部材48に糸掛けしておく。
【0180】ここで、下糸専用糸の糸保持部材への糸掛
け動作について図15、図18、図32から図35によ
り説明する。
【0181】図32は本発明に係る下糸糸巻き装置付き
ミシンの初期状態を示す要部の正面図、図33は本発明
に係る下糸糸巻き装置付きミシンの糸保持部材がミシン
外部に突出した状態を示す要部の斜視図、図34は本発
明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの糸保持部材がミシ
ン外部に突出した状態を示す要部の正面図、図35は本
発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの糸保持部材がミ
シン外部に突出した状態における退避位置センサを示す
要部の斜視図である。
【0182】図15および図32に示すように、本実施
形態の下糸糸巻き装置付きミシン1の縫製動作時あるい
は停止時の初期状態においては、針板5に設けられた開
口部274は、開閉カバー271によって塞がれてお
り、糸保持部材48は、開閉カバー271の下方のミシ
ン内部に位置している。すなわち、図15および図32
に示すように、開閉カバー271の突出部277と、糸
保持部材表出手段261の従動リンク体263の従動腕
263aとは離間しており、従動リンク体263は、ね
じりコイルばね264の付勢力によって、固定軸262
を中心として反時計方向へ回転するように付勢されてお
り、従動リンク体263の従動腕263aは左斜め上方
に位置し、従動リンク体263の作動腕263bをほぼ
水平に位置している。また、糸保持部材48は、糸保持
部材移動手段53により、糸保持部材48の長手方向先
端部が外釜7の外周面近傍の下方の退避位置に位置して
いる。すなわち、図15および図32に示すように、糸
保持部材移動手段53の駆動板下79および駆動板上8
3が右方に示す後退端に位置し、糸保持部材48の後取
付ピン52は、糸保持部材移動手段53の移動溝76の
上下部76bの上方に位置した状態でその先端部がカム
溝89のカム面88の先端近傍により上方から当接して
いる。さらに、図32に示すように、ボビン駆動部材1
1は、ボビン駆動部材移動手段94により、ボビン22
と切り離されボビン22を非回転状態とする離間位置に
位置している。つまり、駆動板下79が後退端に位置す
ることにより、ボビン駆動部材移動手段94の作動ピン
108が傾斜カム面109から離間し、ばね6(図1
6)の付勢力によってギア連結リンク96がリンク支持
ピン97を中心として反時計方向へ付勢され、作動板9
5がボビン駆動部材11の下端の下方に離間し、ボビン
駆動部材11は、ボビン駆動部材付勢ばね12の付勢力
によって下方に向けて付勢され、ボビン駆動部材11の
上端部に設けられたボビン駆動ギア14が、ボビン従動
ギア35から下方へ離間して回転伝動機構340が切り
離された状態となり、ボビン22は回転しない、なお、
ボビン駆動ギア14は、外釜底板16のギア孔17に嵌
合されて外釜7と一体で回転する。また、ストッパピン
105は、ストッパピン作動腕159と当接して円弧状
溝部100の左方下方に形成された当接縁100Aに対
向している。
【0183】また、糸保持部材48の長手方向先端部が
外釜7の外周面近傍の下方の退避位置に位置している場
合には、図13に示すように、退避位置センサ290の
可動レバー293が糸保持部材48の取付部50に当接
して上方へ移動され、退避位置センサ290の可動レバ
ー293の先端部が退避位置センサ290の下端面に接
近してスイッチ部294を押し込んでおり、退避位置セ
ンサ290から糸保持部材48が退避位置に位置すると
いう検出信号を制御手段93へ送出している。この退避
位置センサ290から制御手段93へ送出している検出
信号により、制御手段93のメモリ191のスイッチ制
御部284は、前記糸巻きスイッチとしての糸巻きスタ
ート/ストップスイッチ177および前記縫製スイッチ
としての縫製スタート/ストップスイッチ238による
糸巻き動作あるいは縫製動作の開始の指示を有効として
いる。
【0184】ここで作業者が開閉カバー271を操作す
ることにより、下糸専用糸EDSの糸保持部材48への
糸掛け動作を開始する。すなわち、作業者が開閉カバー
271の指掛け275に指を掛けて開閉カバー271を
図15および図32において右方に向かって後退操作す
ることにより、下糸専用糸EDSの糸保持部材48への
糸掛け動作を開始する。
【0185】そして、作業者が開閉カバー271の指掛
け275に指を掛けて開閉カバー271の開動作として
開閉カバー271を後退操作すると、開閉カバー271
が図15および図32右方に向かってスライド移動し、
針板5に設けられ開閉カバー271によって塞がれた開
口部274が左方側から徐々に開放される。そして、開
閉カバー271が後退移動して後退端に到達する途中
で、開閉カバー271に設けられた糸保持部材表出駆動
手段としての突出部277が、糸保持部材表出手段26
1の従動リンク体263の従動腕263aに当接し、初
期状態においてねじりコイルばね264の付勢力によっ
て固定軸262を中心として反時計方向へ回転するよう
に付勢されている従動リンク体263は、ねじりコイル
ばね264の付勢力に抗して付勢方向と反対の時計方向
へ回転を開始し、従動リンク体263の作動腕263b
の先端部下部が所定のタイミングで糸保持部材48の取
付部50に対して上方から当接し、移動溝76の上下部
76bによって移動軌跡を規制されている糸保持部材4
8の後取付ピン52は、移動溝76の上下部76bを上
方から下方へ向かって移動を開始し、その結果、前取付
ピン51を中心として反時計方向へ回転するように付勢
されている糸保持部材48は、ねじりコイルばね252
の付勢力に抗して付勢方向と反対の時計方向へ回転を開
始する。
【0186】ついで、開閉カバー271がさらに後退移
動して後退端に到達すると、図15および図32に示す
各部は、図33および図34に示すように、開閉カバー
271によって塞がれていた開口部274が全開となっ
て開状態になるとともに、開閉カバー271の糸保持部
材表出駆動手段としての突出部277が、最も後退した
後退端に位置する。そして、突出部277の後退端への
移動は、従動リンク体263を時計方向へ回転し、従動
リンク体263の作動腕263bの先端部下部が糸保持
部材48の取付部50を押し下げ、糸保持部材48が前
取付ピン51を中心として時計方向へ回転し、糸保持部
材48の先端が針板5に設けた開口部274を通過して
針板5の上部のミシン外部に突出し、糸保持部材48の
糸保持部分が開口部274を通過してミシン外部に突出
した糸掛け位置を保持するようになっている。
【0187】そして、糸保持部材48が糸掛け位置に位
置すると、図35に示すように、糸保持部材48の取付
部50が退避位置センサ290の可動レバー293から
離間し、退避位置センサ290の可動レバー293の先
端部が退避位置センサ290の下端面から離れてスイッ
チ部294から離間しており、退避位置センサ290か
ら糸保持部材48が退避位置に位置するという検出信号
が制御手段93へ送出されない。言い替えると、退避位
置センサ290は、糸保持部材48が退避位置に位置す
る場合以外においては制御手段93へ検出信号を送出せ
ず、制御手段93のメモリ191のスイッチ制御部28
4は、前記糸巻きスイッチとしての糸巻きスタート/ス
トップスイッチ177および前記縫製スイッチとしての
縫製スタート/ストップスイッチ238による糸巻き動
作あるいは縫製動作の開始の指示を無効とするようにな
っている。
【0188】すなわち、本実施形態の下糸糸巻き装置付
きミシン1においては、スイッチ制御部284により、
糸保持部材48が退避位置に位置するのを退避位置検出
手段としての退避位置センサ290が検出している場合
にのみ糸巻きスイッチとしての糸巻きスタート/ストッ
プスイッチ177による糸巻き動作の開始および縫製ス
イッチとしての縫製スタート/ストップスイッチ238
による縫製動作の開始を有効とすることができる。言い
替えると、スイッチ制御部284は、退避位置以外の位
置に糸保持部材48が位置した場合には、糸巻きスター
ト/ストップスイッチ177のON操作による糸巻き動
作の開始および縫製スタート/ストップスイッチ238
のON操作による縫製動作の開始を無効として糸巻き動
作および縫製動作を開始させないので、作業者の誤操作
による誤動作を確実に防止して、高い安全性を確実に確
保することができる。さらに説明すると、糸巻きスター
ト/ストップスイッチ177および縫製スタート/スト
ップスイッチ238がON操作された場合、糸保持部材
48が退避位置に位置しない場合には、操作を無効と
し、表示画面176に糸保持部材48が退避位置に位置
しないというエラーメッセージを表示したり、安全確保
手段228を動作させて作業者に認識させることができ
る。
【0189】ついで、予め専用下糸保持検出手段180
まで糸掛けされた下糸専用糸EDSの糸端側を図18に
示すように糸保持部材48に糸掛けすることにより、下
糸専用糸EDSの糸保持部材48への糸掛け動作が終了
する。この時、下糸専用糸EDSは、針板5に形成され
た溝部278を介して開口部274に入り込むようにし
て糸保持部材48へ糸掛けされる。
【0190】そして、下糸専用糸EDSの糸保持部材4
8への糸掛けを終了したら、開閉カバー271の閉動作
として開閉カバー271を開口部274を塞ぐように前
進操作させると、図32から図35に示す各部は、糸保
持部材48が下糸専用糸EDSの糸端側を保持した状態
で各部が逆動作して図13および図15ならびに図32
に示すもとの初期状態に復帰し、下糸専用糸EDSがい
つでもボビン22に巻回可能な状態となる。
【0191】このように、本実施形態によれば、開閉カ
バー271の開動作に連動して糸保持部材48の少なく
とも糸保持部分をミシン外部に表出、本実施形態におい
て突出させることができるので、1回の操作によって下
糸専用糸EDSの糸保持部材48への糸掛けを可能な状
態とすることができる。また、糸保持部材48の少なく
とも糸保持部分がミシン外部に表出するので、下糸専用
糸EDSの糸保持部材48への糸掛けを容易に行うこと
ができる。つまり、糸保持部材48の少なくとも糸保持
部分がミシン外部に表出するので、糸掛けの作業性およ
び操作性に優れ、その結果、下糸専用糸EDSの糸保持
部材48への糸掛け動作時の労力および時間を確実に低
減することができる。
【0192】なお、糸保持部材表出手段261を開閉カ
バー271の開閉動作にかかわりなく単独で駆動可能に
形成する構成としてもよい。
【0193】つぎに、下糸専用糸の糸巻き動作を図32
および図36から図39により説明する。
【0194】図36から図39は下糸専用糸の糸巻き動
作を示すものであり、図36は前進開始前状態を示す図
32と同様の図、図37は前進状態を示す図32と同様
の図、図38は図37の平面図、図39は糸巻き可能状
態を示す図32と同様の図である。
【0195】図32に示すように、本実施形態の下糸糸
巻き装置付きミシン1の縫製動作時あるいは停止時の初
期状態においては、糸保持部材48は、糸保持部材移動
手段53により、糸保持部材48の長手方向先端部が外
釜7の外周面近傍の下方の退避位置に位置している。す
なわち、糸保持部材移動手段53の駆動板下79および
駆動板上83が図32右方に示す後退端に位置し、糸保
持部材48の後取付ピン52は、糸保持部材移動手段5
3の移動溝76の上下部76bの上方に位置した状態で
その先端部がカム溝89のカム面88の先端近傍により
上方から当接している。また、ボビン駆動部材11は、
ボビン駆動部材移動手段94により、ボビン22と切り
離されボビン22を非回転状態とする離間位置に位置し
ている。すなわち、駆動板下79が後退端に位置するこ
とにより、ボビン駆動部材移動手段94の作動ピン10
8が傾斜カム面109から離間し、ばね6の付勢力によ
ってギア連結リンク96がリンク支持ピン97を中心と
して反時計方向へ付勢され、作動板95がボビン駆動部
材11の下端の下方に離間し、ボビン駆動部材11は、
ボビン駆動部材付勢ばね12の付勢力によって下方に向
けて付勢され、ボビン駆動部材11の上端部に設けられ
たボビン駆動ギア14が、ボビン従動ギア35から下方
へ離間し、外釜底板16のギア孔17に嵌合されて外釜
7と一体で回転する。さらに、ストッパピン105は、
ストッパピン作動腕159と当接して円弧状溝部100
の左方下方に形成された当接縁100Aに対向してい
る。そして、縫製動作時においては、内釜18を回る上
糸USは、内釜18の底面とボビン駆動ギア14の上面
とで形成する隙間を通過する。
【0196】ついで、糸巻きスタート/ストップスイッ
チ177の操作による手動糸巻きモード、あるいは、糸
巻き信号による自動糸巻きモードにより糸巻き動作を開
始する。なお、自動糸巻きモードについては後述する。
この時、退避位置検出手段としての退避位置センサ29
0が糸保持部材48が退避位置に位置するのを検出した
場合にのみ糸巻き動作が有効とされる。
【0197】そして、制御手段93から糸巻き開始指示
の制御指令が各部に送出されると、まず、専用下糸保持
検出手段180が糸保持部材48に下糸専用糸EDSが
保持されているか否かを検出し、この検出結果は制御手
段93に送出され、制御手段93の格納部287に格納
されたプログラムによって、設定状態と下糸糸巻き装置
付きミシン1の状態とが合致しているか否かが判定さ
れ、専用下糸保持検出手段180が下糸専用糸EDSを
検出しない場合には、糸巻き動作を行わずに、警告手段
175としても機能する操作部170の表示画面176
に警告をメッセージなどで表示したり、ブザー、安全灯
などからなる安全確保手段228を動作してエラー処理
して終了する。これにより、糸巻き動作の誤動作を容易
かつ確実に防止することができる。
【0198】また、専用下糸保持検出手段180が下糸
専用糸EDSを検出した場合には、刺繍装置240を駆
動して縫製物Sに刺繍縫いを行う縫製動作の実行中に下
糸DSの糸巻き動作を行う場合、刺繍枠239が移動し
て縫い目形成動作が進行するのを防止するため、格納部
287に収納されたプログラムなどによって刺繍装置2
40の刺繍枠239を停止状態に保持する、詳しくは前
記刺繍装置240のYモータ240AおよびXモータ2
40Bを停止する。
【0199】なお、刺繍装置240を用いずに図示しな
い布送り機構を駆動した縫製動作の実行中に下糸DSの
糸巻き動作を行う場合には、糸巻き動作を実行中に縫製
物Sが送られるのを防止するため、糸巻き動作時に図示
しない送り歯の上下送り運動および/または水平送り運
動を停止するように制御する。
【0200】ついで、制御手段93から送出される制御
指令に基づいて、糸保持部材移動手段53の駆動モータ
91が駆動し、糸保持部材移動手段53の駆動板下79
が機構台77のガイド溝81に沿って図32左方に示す
水平釜4に接近する方向へ前進移動する。この、駆動板
下79の前進移動は、付勢ばね85を介して駆動板上8
3に伝達し、駆動板上83が駆動板下79と一体で前進
する。すると、駆動板上83のカム溝89が前進して、
糸保持部材48の後取付ピン52は、カム溝89のカム
面88によって下方に向けて押し下げられ、その結果、
後取付ピン52は、移動溝76の上下部76bの上方か
ら下方に向けて移動する。そして、後取付ピン52と前
取付ピン51との中心間距離は、移動溝76の円弧状に
形成された上下部76bの曲率半径と同一とされている
ので、糸保持部材48は後取付ピン52を中心として図
32において時計方向へ回転し、図32に示す各部は図
36に示すように、糸保持部材48の長手方向先端部が
外釜7の外周面に沿って上方に位置し前進可能な前進開
始前状態となる。また、ストッパピン105は、ストッ
パピン作動腕159と当接した状態で当接縁100Aに
当接する。
【0201】つぎに、駆動モータ91のさらなる駆動に
よって駆動板下79がさらに前進移動すると、糸保持部
材48が移動溝76に沿って前進移動し、図36に示す
各部は図37および図38に示すように、前取付ピン5
1が移動溝76の図37左方に示す先端に当接し、糸保
持部材48の前進移動は、糸保持部材48の先端部がミ
シン脚柱部1d側から内釜18の内部、詳しくはボビン
22の上方に進入した進入位置で停止し前進状態とな
る。この時、ボビン駆動部材移動手段94の作動ピン1
08が傾斜カム面109と当接する。また、ストッパピ
ン105は、ストッパピン作動腕159から離間した状
態で当接縁100Aに当接する。なお、糸保持部材48
の先端部を進入位置に進入させるタイミングについての
詳しい説明は後述する。
【0202】つぎに、駆動モータ91がさらに駆動する
と、駆動板下79がさらに前進移動し、図37および図
38に示す各部は図39に示すように、ボビン駆動部材
移動手段94の作動ピン108が傾斜カム面109を押
し下げ、ギア連結リンク96が時計方向へ回転し、作動
板95がボビン駆動部材11の下端に当接してボビン駆
動部材11をボビン駆動部材付勢ばね12の付勢力に抗
して上昇させ、ボビン駆動部材11の上端部に設けられ
たボビン駆動ギア14が、外釜底板16のギア孔17と
ボビン従動ギア35との両者と噛合して回転伝動機構3
40を構成するボビン駆動部材11とボビン22とを連
結し、ボビン22を回転状態とする連結位置に位置し、
駆動板下79が前進端に位置し糸巻き可能状態となる。
この時、同時に、ストッパ103がばね107(図1
6)の付勢力によって反時計方向へ回転し、ストッパピ
ン105がギア連結リンク96の円弧状溝部100の溝
底100aに嵌合する。また、駆動板下79は前進移動
するが、付勢ばね85が軸方向に収縮して駆動板上83
の移動は停止状態を保持し、その結果、糸保持部材48
は、糸保持部材48の先端部が内釜18の内部上方に進
入した進入位置を保持する。
【0203】また、糸巻き可能状態におけるボビン22
と糸保持部材48の位置関係は、図10に示すように、
糸保持部材48の上方糸保持部59と糸位置規制部58
との間に斜めに連なる下糸専用糸EDSをボビン22の
上フランジ37の外周縁に押し付けている。
【0204】このように、糸保持部材48の先端部がミ
シン脚柱部1d側から内釜18の上方、詳しくは内釜1
8の内部に収納されたボビン22の上フランジ37の上
方に進入した進入位置に位置することにより、糸保持部
材48は、下糸DSのボビン22への捕捉をより容易か
つ確実にすることができるようになっている。その後、
下糸糸巻き装置付きミシン1を駆動して糸巻き動作を継
続する。
【0205】ここで、糸保持部材の先端部を進入位置に
位置させるタイミングについて図40から図42により
説明する。
【0206】図40はミシン回転位相に対する針棒と天
秤と釜の動作を説明する説明図、図41は下糸専用糸の
糸巻き動作における糸保持部材の先端部を進入位置に位
置させるタイミングの一例を説明する説明図、図42は
下糸専用糸の糸巻き動作における糸保持部材の先端部を
進入位置に位置させるタイミングの他例を説明する説明
図である。
【0207】本実施形態の下糸糸巻き装置付きミシン1
においては、内釜18を上下に分けて回る上糸US、詳
しくは上糸ループは、図40に示すように、ミシン回転
位相(ミシン位相)がほぼ210度で外釜7の剣先42
に捕捉され、内釜18を上下に分けて回る上糸USはミ
シン回転位相がほぼ350度で内釜18から離れるよう
に形成されている。また、ミシン停止時におけるミシン
回転位相(上軸の位相)は、任意の角度で停止してい
る。
【0208】そこで、糸巻き開始前におけるミシン回転
位相が210度を越え290度以下の範囲の場合には、
図41に示すように、糸巻き開始指示によってミシンモ
ータ235が駆動してミシン回転開始し、ミシン回転位
相がほぼ290度を超えたタイミングで針棒切外し機構
140による針棒切り外し、詳しくは針棒切外し機構1
40が針棒2の上下方向への往復運動を上軸の回転から
切外して針3の上下方向への往復運動を停止させ針3を
上方に保持する動作を実行し、その後、ミシン回転位相
がほぼ350度の位置で上糸USが内釜18から離れ
る。そして、糸保持部材進入タイミング制御部285に
格納されたプログラムによって、上糸USが内釜18か
ら離れたミシン回転位相がほぼ350度以降のミシン回
転位相、例えばミシン回転位相がほぼ110度の位置で
糸保持部材48の先端部が進入位置へ進入するととも
に、ボビン22が連結位置に位置するように形成されて
いる。このような構成とすることにより、外釜7の剣先
42に上糸USが一度も捕捉されることなく針棒切り外
しが実行される。
【0209】また、糸巻き開始前におけるミシン回転位
相が前記角度を除く角度範囲の場合、すなわち、ミシン
回転位相が0度から210度以下、および290度を越
え360度以下(290度を越え210度以下)の範囲
の場合には、図42に示すように、糸巻き開始指示によ
ってミシンモータ235が駆動してミシン回転開始し、
ミシン回転位相がほぼ210度の位置で外釜7の剣先4
2に上糸USが捕捉されてから、ミシン回転位相が最初
にほぼ290度を超えたタイミングで前記と同様の針棒
切外し機構140による針棒切り外しを実行し、その
後、糸保持部材進入タイミング制御部285に格納され
たプログラムによって、ミシン回転位相が上糸USが内
釜18から離れた以降で外釜7の剣先42により捕捉さ
れるまでの間に位置するタイミング、例えばミシン回転
位相がほぼ110度の位置で糸保持部材48の先端部が
進入位置へ進入するとともに、ボビン22が連結位置に
位置するように形成されている。このような構成とする
ことにより、上糸USが外釜7の剣先42に捕捉された
後に針棒切り外しが行われ、その後、剣先42に捕捉さ
れた上糸USが内釜18から離れた後に糸保持部材48
の進入位置への進入が行われる。
【0210】したがって、本実施形態によれば、上糸U
Sが内釜18を回っている途中で糸保持部材48が進入
位置に進入することと、糸保持部材48が進入位置に位
置した後に上糸USが外釜7の剣先42に捕捉されてし
まうこととを防止することができるので、糸保持部材4
8が上糸USに絡まないタイミングでボビン22の上方
に進入させることができ、その結果、ボビン22に下糸
専用糸EDSを巻回する場合の糸巻き動作を安全かつ適
正に実行することができる。
【0211】ここで、前記糸巻き動作の説明に戻る。
【0212】前記糸保持部材48の先端部がボビン22
の上方に進入した進入位置を保持した状態で下糸糸巻き
装置付きミシン1が駆動すると、外釜7が正回転し、こ
の外釜7の回転は、駆動力伝達手段330、詳しくは外
釜7の外釜底部7e(図3)に磁力によって吸着してい
る磁性体332、外釜底板16をこの順に介してボビン
駆動部材11の上端のボビン駆動ギア14を正回転さ
せ、その結果、ボビン駆動ギア14と噛合しているボビ
ン従動ギア35を外釜7の回転方向と反対方向へ逆回転
させ、ボビン22が外釜7の回転方向と反対方向へ逆回
転する。
【0213】この時、駆動力伝達手段330の磁性体3
32は、磁性体332の磁力によって外釜7に吸引(圧
接)されて外釜7と一体回転するので、糸巻き動作時に
ボビン22を容易に回転させることができる。一方、駆
動力伝達手段332は、糸巻き動作時に、供給側に位置
する下糸DSに過負荷が加わった場合、すなわち、下糸
DSの供給経路で下糸DSの引っ掛かりなどのトラブル
の発生などによりボビン22の回転が停止した場合、駆
動力伝達手段330と外釜7との一体回転を磁性体33
2の磁力による駆動力伝達手段332と外釜7との吸着
力(圧接力)を越えた時点でスリップさせて駆動力伝達
手段332の回転を容易に停止することができ、その結
果、糸巻き動作時に下糸DSの供給経路で下糸DSの引
っ掛かりなどのトラブルが生じた場合の駆動力伝達手段
332の一部の破損やボビン暴れを確実に防止できるの
で、安全性を高めることができる。
【0214】また、駆動力伝達手段332の磁性体33
2は、内釜18を外釜7に吸引するので、内釜18を外
釜7のレース面7dに支持した状態を容易かつ確実に保
持することができ、その結果、外釜7から内釜18が不
必要に飛び出すのを確実に防止することができる。
【0215】そして、ボビン22の逆回転により、ボビ
ン22の上フランジ37の外周縁に押し付けられた糸保
持部材48の上方糸保持部59と糸位置規制部58との
間に斜めに連なる下糸専用糸EDSが、ボビン22のス
リット39の開口39aに容易に捕捉され、ボビン中心
軸36に形成された糸捕捉部としての凹溝41内に供給
側、すなわち下糸糸駒111側の下糸専用糸EDSが導
かれてしっかりと巻かれる。したがって、ボビン22に
下糸DSを容易かつ確実に巻回させることができるとと
もに、縫製動作によって下糸専用糸EDSが消費される
場合、下糸DSが完全に消費されるまでボビン22を確
実に回転させることもできる。
【0216】そして、ボビン22の回転により凹溝41
内に下糸専用糸EDSが巻回されると、下糸専用糸ED
Sは壁部40を図7下方へ乗り越えてボビン中心軸36
の外周面に巻き付き、ボビン22の回転の継続により糸
巻きがさらに行われる。また、糸保持部材48の上方糸
保持部59に保持された糸端側の下糸専用糸EDSは、
ボビン22の回転に多少引かれて短くなり、スリット3
9から飛び出た状態となる。この時、ボビン22に巻回
される下糸専用糸EDSには、図18に示すように、糸
保持部材48の糸保持ばね66に一体形成された専用糸
張力付与手段296により適正な張力を容易に付与する
ことができるので、ボビン22に下糸専用糸EDSを適
正な状態でしっかりと巻回することができる。
【0217】そして、ボビン22に対する下糸専用糸E
DSの巻回は、前記格納部287に格納されたプログラ
ムによって設定された糸巻き量に到達するまで行われ、
ボビン22に対する下糸専用糸EDSの巻回が予め設定
された糸巻き量に到達すると下糸糸巻き装置付きミシン
1が停止する。この時、針棒切外し機構140が針棒2
の上下方向への往復運動を上軸の回転から切外して針3
の上下方向への往復運動を停止させ針3を上方に保持し
た状態を保持している。
【0218】また、ボビン22に巻かれた下糸専用糸E
DSは、凹溝41内にしっかりと巻回されるので、縫製
動作によって下糸専用糸EDSが消費される場合、下糸
専用糸EDSは、ボビン中心軸36の外周面側から消費
され最後に糸捕捉部としての凹溝41内にしっかりと巻
き付いた糸端側が消費されるので、下糸専用糸EDSが
完全に消費されるまでボビン22を確実に回転させるこ
ともできる。
【0219】さらにまた、糸巻き動作の実行中に、前記
専用下糸保持検出手段180が糸巻き動作時に巻回され
る下糸専用糸EDSの糸無しを検出した場合には、下糸
糸駒111に巻回されている下糸専用糸EDSがなくな
ったか、何らかのトラブルによる下糸専用糸EDSの糸
切れであるので、格納部287に格納されたプログラム
によって、実行中の糸巻き動作を停止して、警告手段1
75および再スタート告知手段225としても機能する
前記糸無し告知手段178としての表示画面176に警
告をメッセージなどで画面表示したり、ブザー、安全灯
などからなる安全確保手段228を駆動することができ
る。
【0220】つぎに、下糸専用糸の下糸張力手段への糸
掛け動作および下糸専用糸の切断動作について図43か
ら図47により説明する。
【0221】図43から図47は下糸専用糸の下糸張力
手段への糸掛け動作および下糸専用糸の切断動作を示す
ものであり、図43は下糸捕捉可能状態を示す図32と
同様の図、図44は糸捕捉フックと下糸専用糸との位置
関係を示す要部の説明図、図45は糸掛け動作および切
断動作における途中経過を示す要部の斜視図、図46は
図45につづく途中経過を示す図45と同様の図、図4
7は図46につづく途中経過を示す図45と同様の図で
ある。
【0222】この下糸専用糸EDSの下糸張力手段25
への糸掛けは、縫製動作を行う際に必要な下糸張力を、
ボビン22に巻回した下糸DSに付与するためのもので
ある。
【0223】前記糸巻きが終了した後に、制御手段93
から送出される制御指令により、駆動モータ91が逆回
転駆動し、駆動板下79が後退移動する。そして、駆動
板下79の後退移動は、図43に示すように、糸保持部
材48の長手方向先端部が、外釜7の外周面近傍の下方
の退避位置の若干上方、すなわち、糸捕捉フック46の
回転軌跡の下方に位置した糸捕捉位置で停止し下糸捕捉
可能状態となる。この時、ボビン駆動部材移動手段94
の作動ピン108は傾斜カム面109から離間するが、
ストッパピン105がギア連結リンク96の円弧状溝部
100の溝底100aに嵌合した状態を保持するので、
ボビン駆動部材11は上昇した状態を保持し、ボビン駆
動部材11の上端部に設けられたボビン駆動ギア14は
外釜底板16のギア孔17とボビン従動ギア35との両
者と噛合してボビン駆動部材11とボビン22とを連結
しボビン22を回転状態とする連結位置を保持する。そ
して、図43に示すように、ボビン22に巻回された下
糸専用糸EDSの供給側は、糸保持部材48の糸捕捉位
置への移動によって糸保持部材48に引かれて外釜7の
外周角で下方に屈曲し、糸保持部材48の上方糸保持部
59に保持されずに、糸保持部材48の糸保持板ばね6
6の先端縁と糸保持捕捉部49の先端縁との交叉部にお
いて係止される。
【0224】また、つぎの下糸専用糸EDSによる糸巻
き動作を行うためには、糸保持部材48の上方糸保持部
59に下糸専用糸EDSの糸端を保持させることによ
り、糸保持部材48への下糸専用糸EDSの糸掛け動作
を省略して操作を容易とすることができる。
【0225】そこで、図43に示す下糸捕捉可能状態
で、制御手段93から送出される制御指令により、図示
しない上軸が1回転する分だけミシン、詳しくは下糸糸
巻き装置付きミシン1のミシンモータ235を駆動す
る。すると、外釜7が正回転し、外釜7の外周面に配設
された糸捕捉フック46の糸離間用傾斜面47が前記外
釜7の外周角で下方に屈曲した部分の下糸専用糸EDS
を外釜7の外周面から離れる方向に押し出し、ボビン2
2に巻回された下糸専用糸EDSの供給側が糸保持部材
48の上方糸保持部59に押し込まれ、その結果、下糸
専用糸EDSを上方糸保持部59に保持することができ
る。
【0226】つぎに、制御手段93から送出される制御
指令により、駆動モータ91がさらに逆回転駆動し、駆
動板下79が後退端に達すると、図43に示す下糸捕捉
可能状態の各部は図32に示す初期状態に復帰する。こ
の時、糸保持部材48の先端部は、外釜7の外周面に沿
って下方に移動するため、ボビン22と糸保持部材48
の上方糸保持部59との間に連なる下糸専用糸EDSは
張られる。また、同時に、駆動板下の79のストッパピ
ン作動腕159によって、ストッパ103のストッパピ
ン105が支持ピン101を中心として時計方向に回転
して、ストッパピン105をギア連結リンク96の円弧
状溝部100から切り離す。そして、ストッパピン10
5がギア連結リンク96の円弧状溝部100の溝底10
0aから離間され、ギア連結リンク96は、ばね6の付
勢力によりリンク支持ピン97を中心として反時計方向
へ回転して作動板95がボビン駆動部材11の下方へ離
間し、その結果、ボビン駆動部材11は、ボビン22と
切り離されボビン22を非回転状態とする離間位置に復
帰し、ボビン22は、回転自在なフリー状態となる。
【0227】つぎに、制御手段93から送出される制御
指令により、ミシン、詳しくは下糸糸巻き装置付きミシ
ン1のミシンモータ235を逆回転駆動すると、外釜7
が逆回転し、糸捕捉フック46のフック部46aが外釜
7の外周近傍に位置する前記ボビン22と糸保持部材4
8の上方糸保持部59との間に位置する下糸専用糸ED
Sを捕捉する。そして、糸捕捉フック46のフック部4
6aが下糸専用糸EDSを捕捉した状態で逆回転し、図
44下方に示す位置に到達すると、ボビン22から出た
下糸専用糸EDSは、図45に示すように、下糸張力手
段25の基板26の上端縁に乗り上げ、内釜18の突起
19と内釜回り止め20との間の隙間を通過する。ま
た、糸捕捉フック46のフック部46aの下方から出た
下糸専用糸EDSは、外釜7の大径部7aの外周に巻き
付いて糸保持部材48の上方糸保持部59へつながる。
【0228】つぎに、外釜7のさらなる逆回転により、
下糸張力手段25の基板26の上端縁に乗り上げた下糸
専用糸EDSは、基板26の上端を滑って図44左斜め
下方に示す位置に到達すると、下糸張力手段25の基板
26の上端縁に形成されている糸道入口27へ誘い込ま
れ、その結果、図46に示すように、下糸専用糸EDS
は糸導入溝28に進入する(図5参照)。
【0229】つぎに、外釜7のよりさらなる逆回転によ
り、糸導入溝28に進入した下糸専用糸EDSは、図4
4左方および図47に示す位置に到達すると、図5に示
す下糸張力手段25の糸係止孔29と糸出口30との間
に下糸押さえ板ばね31の付勢力をもって付勢された状
態で配置され、その結果、縫製動作時に必要な適正な下
糸張力を下糸専用糸EDSに確実に付与することができ
る。
【0230】このように、内釜17の回転中心、すなわ
ち、ボビン22の回転中心を外釜7の回転中心に対して
ずらすとともに、糸巻き動作時にのみボビン22を外釜
7の回転方向に対して逆回転させることにより、糸巻き
動作時にボビン22のスリット39への下糸DS(下糸
専用糸EDSあるいは上糸US)を容易に捕捉させるこ
とができるとともに、下糸張力手段25への下糸UD
(下糸専用糸EDSあるいは上糸US)の糸掛けを容易
により適正かつ確実に行うことができる。また、このよ
うな構成は、縫製動作時のヒッチステッチを容易に防止
して縫製品質を向上させることや、図示しない糸切り装
置や下糸繰出装置などを配設するスペースを容易に確保
することもできる。さらに、糸巻き終了後に、外釜7を
逆回転させるという動作で下糸張力手段25への糸掛け
を行う本実施形態の構成は、下糸張力手段25からの糸
出口30を内釜18上に設けることができ、従来の糸巻
き後のボビンから縫製物への下糸経路が釜の下を通るの
で糸道屈曲抵抗が大きくなるなどの下糸DSの張力不安
定の要因を確実に除去し、下糸DSに適正な下糸張力を
容易に付与することができる。
【0231】そして、前記下糸専用糸EDSが図44左
方に位置すると、外釜7に配設された切断刃43の刃先
が、図44に符号Bにて示す上方糸保持部59から出た
下糸専用糸EDSが外釜7の外周面に巻き付き始まる接
点付近に位置するので、外釜7の外周面に巻き付いた下
糸専用糸EDSは、図2に示すさそい込み部44の斜面
を乗り越えて切断刃44に押し付けられて切断される。
そして、この位置でボビン22から糸保持部材48の上
方糸保持部59へ連なる下糸専用糸EDSを切断するこ
とにより、縫い目の結束に必要な下糸張力手段25から
の下糸DSの長さを十分に確保することができるととも
に、糸保持部材48の上方糸保持部59から出る糸端側
の糸残りを少なくすることができる。
【0232】ついで、制御手段93から送出される制御
指令により、外釜7の逆回転を停止するとともに、針棒
切外し機構140が上軸の回転運動から切り離した針棒
2の上下方向への往復運動を上軸の回転に連結すること
により、下糸糸巻き装置付きミシン1の各部が初期状態
に復帰し、下糸専用糸EDSの糸巻き動作が終了する。
【0233】また、下糸専用糸EDSをボビン22に巻
回する場合には、糸巻き動作終了後に、下糸専用糸ED
Sの糸端を糸保持部材48に容易に保持させることがで
きるので、下糸糸駒111から下糸専用糸EDSがなく
なるまでは、糸巻き動作を繰り返し容易に行うことがで
きる。
【0234】つぎに、上糸の糸巻き動作を図9、図1
0、図32、図34から図39、図48および図49に
より説明する。なお前述した下糸専用糸EDSの糸巻き
動作と同様の部分については説明を省略する。
【0235】図48は本発明に係る下糸糸巻き装置付き
ミシンの糸保持部材が上糸を捕捉した上糸捕捉状態を示
す説明図、図49は本発明に係る下糸糸巻き装置付きミ
シンの糸保持部材が捕捉した上糸の糸端の切断動作を示
す説明図である。
【0236】本実施形態の下糸糸巻き装置付きミシン1
による上糸USの糸巻き動作は、糸保持部材48に糸掛
けしない状態で、糸巻きスタート/ストップスイッチ1
77の操作による手動糸巻きモード、あるいは、糸巻き
信号による自動糸巻きモードにより糸巻き動作を開始す
る。なお、自動糸巻きモードについては後述する。ま
た、糸巻き動作の開始は、前述したように、糸保持部材
48が退避位置に位置するのを退避位置検出手段として
の退避位置センサ290が検出した場合にのみ有効とさ
れる。この糸巻き動作の有効または無効の判断は、メモ
リの191のスイッチ制御部284に格納されたプログ
ラムとCPU190などにより行う。
【0237】そして、制御手段93から糸巻き開始指示
の制御指令が各部に送出されると、まず、専用下糸保持
検出手段180が糸保持部材48に下糸専用糸EDSが
保持されているか否かを検出し、この検出結果は制御手
段93に送出され、制御手段93の格納部287に格納
されたプログラムによって、設定状態と下糸糸巻き装置
付きミシン1の状態とが合致しているか否かが判定さ
れ、専用下糸保持検出手段180が下糸専用糸EDSを
検出した場合には、糸巻き動作を行わずに、警告手段1
75としても機能する操作部170の表示画面176に
警告をメッセージなどで表示したり、安全確保手段22
8を駆動して終了する。これにより、誤動作を確実に防
止することができる。
【0238】また、専用下糸保持検出手段180が下糸
専用糸EDSを検出しない場合には、下糸専用糸EDS
の糸巻き動作と同様に、刺繍装置240を駆動して縫製
物Sに刺繍縫いを行う縫製動作の実行中に下糸DSの糸
巻き動作を行う場合、刺繍枠239が移動して縫い目形
成動作が進行するのを防止ため、刺繍枠239を停止状
態に保持、詳しくは前記刺繍装置240のYモータ24
0AおよびXモータ240Bを停止する。
【0239】なお、刺繍装置240を用いずに図示しな
い布送り機構を駆動した縫製動作の実行中に下糸DSの
糸巻き動作を行う場合には、糸巻き動作を実行中に縫製
物Sが送られるのを防止するため、糸巻き動作時に図示
しない送り歯の上下送り運動および/または水平送り運
動を停止するように制御する。
【0240】ついで、制御手段93の糸巻き時上糸張力
制御部283から送出される制御指令により上糸張力付
与手段224として機能する上糸繰出機構120のソレ
ノイド136を駆動して上糸張力を解放する。なお、上
糸張力の解放は、上糸張力付与手段224による上糸U
Sの保持力を零(保持解放)とすることでも、上糸張力
付与手段224による上糸USの保持力を縫製時より弱
くすることでもどちらであってもよく、設計コンセプト
などの必要に応じて選択するとよい。
【0241】ついで、制御手段93から送出される制御
指令に基づいて、ミシン、詳しくは下糸糸巻き装置付き
ミシン1のミシンモータ235を駆動してから、糸保持
部材移動手段53の駆動モータ91を駆動し、前述した
下糸専用糸EDSの糸巻き動作と同様に、図32に示す
初期状態に位置する糸保持部材48は、図36に示す前
進開始前状態を介して図37および図38に示す前進状
態に位置する。そして、糸保持部材48が図37および
図38に示す前進状態に位置して、糸保持部材48の先
端部がボビン22の上方に進入した進入位置で停止する
と、制御手段93から送出される制御指令に基づいて、
駆動モータ91が停止する。なお、糸保持部材48の先
端部を進入位置に進入させるタイミングについての詳し
い説明は後述する。
【0242】つぎに、下糸糸巻き装置付きミシン1が図
37および図38に示す前進状態で停止すると、制御手
段93の糸巻き時上糸張力制御部283から送出される
制御指令により、上糸張力付与手段224として機能す
る上糸繰出機構120のソレノイド136を駆動して上
糸張力を付与したもとの状態に戻し、その後上糸繰出機
構120の駆動モータ125を駆動して上糸USを糸保
持部材48による上糸USの捕捉に必要な設定糸量を繰
り出す。ついで、上糸繰出機構120によって繰り出さ
れ針3の針穴から出た上糸ループは、正回転する外釜7
の剣先42により捕捉されて内釜18を回る。この時、
剣先42により、内釜18を回る上糸USは、内釜18
の上下に分けられて、布などの縫製物側の上糸USが内
釜18の上を通り、針側の上糸USが内釜18の底面と
ボビン駆動ギア14の上面とで形成する隙間を通過す
る。なお、縫製動作の途中で上糸USの糸巻きを行う場
合には、図5に示すように、上糸USの一端が布などの
縫製物Sの縫い目につながっているので何ら差し障りは
ないが、それ以外の場合には、上糸USの糸端を手など
で保持してからミシン、詳しくは下糸糸巻き装置付きミ
シン1のミシンモータ235を駆動することが肝要であ
る。
【0243】そして、内釜18の上面を回る上糸US
は、図37および図38に示すように、糸保持部材48
の先端部が内釜18の内部上方に進入した進入位置で停
止しているので、図9に詳示する糸保持板ばね66の先
端縁と糸保持捕捉部49の先端縁との交叉部により形成
される上方糸係止部60が形成する開口部位にさそい込
まれる。そして剣先42のさらなる回転により、内釜1
8の突起19と内釜回り止め20との間の隙間を通過し
た後に、糸位置規制部58を介して図9に詳示する糸保
持板ばね66の上後舌片69と糸保持捕捉部49の後舌
片55により形成される上糸用後方保持部70が形成す
る開口部位にさそい込まれ、その後、内釜18から上糸
USが抜けて、図48に示すように、上糸USが糸保持
部材48に捕捉され上糸捕捉状態となる。この時、上糸
USは図48に示すように、前記上方糸保持部59には
保持されず、上方糸係止部60に係止されており、上方
糸係止部60と上糸用後方保持部70との間に連なる部
位は、図10に示す前記下糸専用糸EDSとほほ同様に
糸位置規制部58に位置するように張られる。
【0244】なお、縫製動作時における上糸USは、図
19に示す上糸繰出機構120により、1針毎に、制御
手段93から送出される制御指令にしたがって駆動され
る駆動モータ125により縫い目に必要な糸量のみが繰
り出され、糸締め時には駆動モータ125が停止して駆
動ローラ124と従動ローラ128との間で上糸USが
糸保持され適正な糸調子を得ることができる。
【0245】また、糸巻き動作時における上糸USは、
糸巻き動作を開始した直後の水平釜4が駆動する第1針
目では縫製動作に必要な縫い目に必要な糸量は不要であ
るが、図48に示す糸経路分の糸量が必要となる。ま
た、上糸USを糸保持部材48に確実に捕捉させるため
上糸USに適正な張力も必要である。そこで、制御手段
93の糸巻き時上糸張力制御部283から送出される制
御指令にしたがって、上糸繰出機構120により、図4
8に示す糸経路に必要な糸量とほぼ同等あるいは若干少
な目の上糸USを繰り出した後に、図示しない天秤機構
による糸締め時において、駆動モータ125を停止させ
て駆動ローラ124と従動ローラ128との間で上糸U
Sを保持することにより、上糸USを糸保持部材48に
確実に捕捉することができる。
【0246】また、下糸糸巻き装置付きミシン1が図3
5および図36に示す前進状態で停止した状態において
は、ボビン駆動ギア14がボビン従動ギア35から下方
へ離間している。
【0247】つぎに、前述したように、制御手段93か
ら送出される制御指令により、針棒切外し機構140が
針棒2の上下方向への往復運動を上軸の回転から切外し
て針3の上下方向への往復運動を停止させ針3を上方に
保持し、その後、下糸糸巻き装置付きミシン1を駆動す
る。
【0248】つぎに、糸保持部材48が上糸USを捕捉
した後に、駆動モータ91のさらなる駆動によって前述
したように、図37および図38に示す各部は図39に
示す糸巻き可能状態となる。
【0249】また、糸巻き可能状態におけるボビン22
と糸保持部材48の位置関係は、図10に示すように、
糸保持部材48の上方糸係止部64と糸位置規制部58
との間に斜めに連なる上糸USをボビン22の上フラン
ジ37の外周縁に押し付けている。
【0250】このように、糸保持部材48の先端部がミ
シン脚柱部1d側から内釜18の上方、詳しくは内釜1
8の内部に収納されたボビン22の上フランジ37の上
方に進入した進入位置に位置することにより、糸保持部
材48は、下糸DSのボビン22への捕捉をより容易か
つ確実にすることができるようになっている。その後、
下糸糸巻き装置付きミシン1を駆動して糸巻き動作を継
続する。
【0251】ここで、糸保持部材の先端部を進入位置に
位置させるタイミングおよび針棒切り外しのタイミング
について図40、図50から図52により説明する。
【0252】図50は縫製途中で縫製物がある場合の上
糸捕捉状態での上糸経路を説明する説明図、図51は天
秤が天秤上死点より下に位置する状態における針と縫い
目との間の上糸経路を示す説明図、図52は上糸の糸巻
き動作における糸保持部材の先端部を進入位置に位置さ
せるタイミングおよび針棒切り外しのタイミングの一例
の要部を説明する説明図である。
【0253】本実施形態の下糸糸巻き装置付きミシン1
において、ミシン回転により天秤307は上下動し、上
昇時に上糸USを張り、下降時に上糸USをたるませ
る。そして、図19に示すように、天秤307が天秤上
死点に位置する状態においては、天秤307の上昇によ
り上糸USは張られ縫い目が引き締められ糸取りばね2
20は糸係止溝306の上端まで撓まされている。縫製
時には、上糸繰出機構120が1針毎に縫い目に必要な
上糸USの長さを繰り出すことにより天秤上死点では常
に縫い目は引き締められる。このように、縫製動作の実
行中である縫製途中は、上糸繰出機構120の出口から
縫い目までの上糸USの長さは一定しており、縫製途中
の上糸USの糸巻きであれば、図50に示すように、上
糸USが糸保持部材48に捕捉された場合の上糸経路の
増加分の上糸USを繰り出すことで上糸USの過不足が
なく上糸捕捉できる。そして、縫製途中での上糸USの
糸巻きの場合、針落ち点で針が縫製物を貫通した状態で
上糸US、詳しくは上糸ループが外釜7の剣先42に捕
捉されるため、針3と縫い目との間の上糸経路は、図5
0に示すように、上糸USの針3からの上方の針3から
の上糸USは縫製物Sを貫通し糸保持部材48に捕捉さ
れ縫い目に至る経路となる。そして、縫製途中以外で縫
製物がない場合の針3と縫い目との間の上糸経路は、図
48に示すような経路となる。したがって、図19に示
す針3から縫い目につながる上糸経路に対して、図48
および図50に示すように、縫製物Sの裏側または針板
5の上面より下側の経路分が増えることになる。また、
図51に示すように、天秤307が天秤上死点より下に
位置する状態においては、上糸繰出機構120から針
3、詳しくは針穴3aに至る経路の上糸USは少なくな
っている。縫製途中であれば少なくなった上糸USは針
3の針穴3aから先に移動しており内釜18を回るため
の糸となっており、天秤上昇時には内釜18を回り終わ
った糸が引き上げられ図19に示す状態に戻る。
【0254】ミシンの使用開始時などで上糸USの糸巻
きを実行する場合、ミシンの停止位相により、図51に
示すように、上糸繰出機構120から針3までの上糸U
Sが少ない状態から上糸USの糸巻きを開始することが
ある。この場合、糸巻きを実行するため、針3の針穴3
aからでた上糸USは手で保持するか、図示しない保持
部に保持し、この状態から図48に示すように上糸US
を糸保持部材48によって捕捉するには、天秤307が
上昇し図19の状態になるために不足している糸量と、
図48に示す上糸捕捉による上糸経路増加分の糸量が不
足する。この時、上糸経路増加分は一定値となるが、天
秤307の上昇に必要な糸量は天秤307の位置により
異なり、天秤位置はミシン回転位相で決まるため不足す
る糸量を求めるには停止中のミシン回転位相の検出が必
要となる。この停止中のミシン回転位相の検出には、数
多くのセンサが必要であり、非常に高価な装置となって
しまう。
【0255】本実施形態の下糸糸巻き装置付きミシン1
においては、内釜18を上下に分けて回る上糸US、詳
しくは上糸ループは、図40に示すように、ミシン回転
位相(ミシン位相)がほぼ210度で外釜7の剣先42
に捕捉され、内釜18を上下に分けて回る上糸USはミ
シン回転位相がほぼ350度で内釜18から離れるよう
に形成されている。また、ミシン停止時におけるミシン
回転位相(上軸の位相)は、任意の角度で停止してい
る。
【0256】そこで、本実施形態の下糸糸巻き装置付き
ミシン1においては、図52に示すように、糸巻き開始
指示されると、糸巻き時上糸張力制御部283に格納さ
れたプログラムによって、上糸張力付与手段224とし
て機能する上糸繰出機構120のソレノイド136を駆
動して上糸張力を解放してからミシンモータ235が駆
動してミシン回転開始する。そして、ミシン回転開始時
のミシン回転位相にかかわらず、天秤307が天秤上死
点(ミシン回転位相65度程度)を通過させるため、ミ
シン回転位相のほぼ25度を検出した後のミシン回転位
相がほぼ110度の位置で糸保持部材48をボビン22
の上方の進入位置へ進入させる。この時、ミシン回転開
始のミシン回転位相が26度 から210度の場合に
は、ミシン回転位相がほぼ210度の位置で外釜7の剣
先42に上糸USが捕捉されるが、最初の25度を検出
する前のミシン回転位相がほぼ350度で上糸USが内
釜18から離れるため不都合はない。
【0257】ついで、ミシン回転位相がほぼ110度の
位置で糸保持部材48をボビン22の上方の進入位置へ
進入させた後に、上糸張力付与手段224として機能す
る上糸繰出機構120のソレノイド136を駆動して上
糸張力を元に戻してから、糸繰出機構120の駆動モー
タ125を駆動して上糸捕捉に必要な設定糸量を繰り出
す。その後、ミシン回転位相がほぼ210度の位置で外
釜7の剣先42に上糸USが捕捉されてから、ミシン回
転位相がほぼ290度を超えたタイミングで針棒切外し
・回転接続動作タイミング制御部286に格納されたプ
ログラムによって、針棒切外し機構140による針棒切
り外しを実行し、その後、ミシン回転位相がほぼ350
度の位置で上糸USが内釜18から離れる。そして、針
棒切外し・回転接続動作タイミング制御部286に格納
されたプログラムによって、上糸USが内釜18から離
れたミシン回転位相がほぼ350度以降のミシン回転位
相、例えばミシン回転位相がほぼ110度の位置でボビ
ン22が連結位置に位置するとともに、上糸張力付与手
段224として機能する上糸繰出機構120のソレノイ
ド136を駆動して上糸張力を解放するように形成され
ている。このような構成とすることにより、糸巻き開始
指示された際のミシン回転位相にかかわらず、糸保持部
材48の進入位置への進入と針棒切り外しの実行とが適
正なタイミングで行われる。
【0258】なお、上糸張力の制御にかかわる動作は、
糸巻き時上糸張力制御部283に格納されたプログラム
によって行われ、針棒切り外しおよび糸保持部材48の
進入位置への進入の実行は針棒切外し・回転接続動作タ
イミング制御部286に格納されたプログラムによって
行われる。また、糸保持部材48の進入位置への進入
は、格納部287に格納されたプログラムによって行わ
れる。
【0259】したがって、本実施形態によれば、上糸捕
捉に必要な糸量を安定して確保でき、糸保持部材48が
上糸US捕捉後、再度捕捉されてしまうことを防止で
き、捕捉され内釜底18を通過する上糸USがボビン駆
動部材11に絡まることを防止できる。
【0260】ここで、前記糸巻き動作の説明に戻る。
【0261】前記糸保持部材48の先端部がボビン22
の上方に進入した進入位置を保持した状態で下糸糸巻き
装置付きミシン1が駆動すると、前述したように、外釜
7が正回転し、この外釜7の回転は、ボビン駆動ギア1
4を正回転させ、その結果、ボビン22が外釜7の回転
方向と反対方向へ逆回転する。
【0262】そして、ボビン22の逆回転により、ボビ
ン22の上フランジ37の外周縁に押し付けられた糸保
持部材48の上方糸係止部64と糸位置規制部58との
間に斜めに連なる上糸USが、ボビン22のスリット3
9の開口39aに捕捉され、ボビン中心軸36に形成さ
れた凹溝41内に供給側たる針側、すなわち上糸糸駒1
21側の上糸USが導かれる。そして、ボビン22の回
転により凹溝41内に上糸USが巻回されると、また、
上糸USがボビン22のスリット39の開口39aに捕
捉されると、糸ゆるめ手段138の一部を構成するソレ
ノイド136が駆動され、各従動ローラ128が駆動ロ
ーラ124から離間して解放され、ボビン22の回転の
継続により上糸USは上糸糸駒121から引き出されて
糸巻きがさらに行われる。
【0263】このように、上糸USをボビン22に巻回
する糸巻き動作時において、糸ゆるめ手段138が各従
動ローラ128と駆動ローラ124との間に保持された
上糸USの保持状態を解放するので、上糸USに無理な
力が加わらずに円滑な糸巻き動作を容易に行うことがで
きる。
【0264】なお、ボビン22のスリット39からでて
縫製物Sの縫い目へつながる上糸USの糸端側は、図4
9に示すように、スリット39の底部39bがボビン2
2の回転中心からずれているので、図49に破線の円に
て示すように回転するため、スリット39の底部39b
から出た上糸USは、ボビン22の図49時計方向への
回転にともなって糸保持部材48の糸保持捕捉先端63
に一体形成されたさそい込み開口63dに誘い込まれ、
その後のさらなるボビン22の回転により、折曲部63
bの図11右方に示す後端部側の端縁に設けられた糸端
切断刃56によってボビン22の直ぐ近くで容易かつ確
実に直接切断され、その結果、ボビン22から突出する
上糸USの糸端を短くすることができる。つまり、糸端
切断刃56は、糸巻き動作時にボビン22に巻回される
上糸USの糸端近傍を確実かつ容易に切断することがで
きる。
【0265】そして、ボビン22に対する上糸USの巻
回は、前記格納部287に格納されたプログラムによっ
て設定された糸巻き量に到達するまで行われ、ボビン2
2に対する上糸USの巻回が予め設定された糸巻き量に
到達すると下糸糸巻き装置付きミシン1が停止する。こ
の時、針棒切外し機構140が針棒2の上下方向への往
復運動を上軸の回転から切外して針3の上下方向への往
復運動を停止させ針3を上方に保持した状態を保持して
いる。
【0266】なお、本実施形態においては、糸巻き動作
を強制的に停止するプログラムがメモリ191の格納部
287に格納されており、糸巻き動作の実行中の前記縫
製スタート/ストップスイッチ238あるいは前記糸巻
きスタート/ストップスイッチ177の操作、詳しくは
OFF操作により、糸巻き動作を強制的に停止すること
ができるようになっており、その結果、ボビン22への
下糸DSの供給を安全かつ適正に行うことができる。
【0267】つぎに、ボビンに巻回された上糸の下糸張
力手段への糸掛け動作および上糸の切断動作について図
44から図47により説明する。
【0268】このボビン22に巻回された上糸USの下
糸張力手段25への糸掛けは、縫製動作を行う際に必要
な下糸張力をボビン22に供給した下糸DSに付与する
ためのものである。
【0269】前記糸巻きが終了した後に、制御手段93
から送出される制御指令により、駆動モータ91が逆回
転駆動し、駆動板下79を後退移動して、図39に示す
各部を図32に示す初期状態まで復帰する。そして、ボ
ビン22に巻回された上糸USの下糸張力手段25への
糸掛け動作は、下糸専用糸EDSの下糸張力手段25へ
の糸掛け動作と異なり、糸保持部材48の上方糸保持部
59に糸端を保持させる必要がないので、ボビン22か
ら出た上糸USは、初期状態において図44に符号Cに
て示す糸経路とほぼ同様となる。この初期状態から、前
述した下糸専用糸EDSの下糸張力手段25への糸掛け
動作と同様に、制御手段93から送出される制御指令に
より、ミシン、詳しくは下糸糸巻き装置付きミシン1の
ミシンモータ235を逆回転駆動すると、外釜7が逆回
転し、糸捕捉フック46のフック部46aが外釜7の外
周近傍に位置する前記ボビン22と糸保持部材48の上
方糸係止部60との間に位置する上糸USを捕捉し、糸
捕捉フック46のフック部46aが上糸USを捕捉した
状態で逆回転し、ボビン22から出た上糸USは、下糸
張力手段25の基板26の上端縁に形成されている糸道
入口27へ誘い込まれて糸導入溝28に進入し、外釜7
のよりさらなる逆回転により、糸導入溝28に進入した
上糸USは、下糸張力手段25の糸係止孔29と糸出口
30との間に下糸押さえ板ばね31の付勢力をもって付
勢された状態で配置され、その結果、縫製動作時に必要
な適正な下糸張力を上糸USに確実に付与することがで
きるようになっている。
【0270】また、ボビン22に巻回される上糸US
は、前記下糸専用糸EDSと同様に、外釜7に配設され
た切断刃43の刃先により切断され、針側の糸残りとし
て縫い目の結束に必要な長さを十分に確保することがで
きる。
【0271】ついで、制御手段93から送出される制御
指令により、外釜の逆回転を停止するとともに、針棒切
外し機構140が上軸の回転運動から切り離した針棒2
の上下方向への往復運動を上軸の回転に連結することに
より、下糸糸巻き装置付きミシン1の各部が初期状態に
復帰し、ボビン22への上糸USの糸巻き動作が終了す
る。
【0272】以上の説明は、糸巻きスタート/ストップ
スイッチ177の操作による手動糸巻きモードにおける
糸巻き動作であるが、以下に、自動化についての説明を
行う。
【0273】まず、ボビンの回転状態および下糸無しの
検出動作について図7、図8、図53および図54によ
り説明する。
【0274】図53は本発明に係る下糸糸巻き装置付き
ミシンの下糸検出手段の要部の構成を示す一部透視平面
図、図54は反射型光センサのセンサ出力および主軸セ
ンサの出力信号を示す線図である。
【0275】前記ボビン22に下糸DSが巻回された状
態で縫製が行われると、ボビン22が回転し、図3およ
び図53に示すように、反射型光センサ211の下方を
上フランジ37の上面に設けられた反射テープ210の
図8に白抜きにて示す高反射率部210aと図8に斜線
にて示す低反射率部210bとが交互に通過する。そし
て、反射テープ210の高反射率部210aが反射型光
センサ211と対向すると反射型光センサ211は電流
を多く流し、反射テープ210の低反射率部210bが
反射型光センサ211と対向すると反射型光センサ21
1は電流が少なくなる。そこで、負荷抵抗に前記電流を
通電すると、図54に示すように、ほぼパルス状のセン
サ出力を得ることができる。また、ボビン22から下糸
DSが消費され、ボビン中心軸36から下糸DSの糸端
が離れると、ボビン22の回転が無くなり、反射型光セ
ンサ211のセンサ出力はほぼ一定のレベルとなり、図
54に示すように、ほぼフラット状のセンサ出力を得る
ことができる。なお、図54に、主軸センサ218の出
力信号(主軸信号)を合わせて示す。この主軸信号は、
1サイクルが1針(ミシン1針分)を示す。
【0276】前記反射型光センサ211のセンサ出力
は、図27に示すように、制御手段93のA/D変換器
233を介してCPU190に出力される。そして、C
PU190は、A/D変換器233から送出される出力
を、図54に示す主軸センサ218の出力信号により得
られる所定の針数Nの間に所定数のサンプリングを行い
その間のセンサ出力の値をメモり191に記憶する。そ
して、得られたセンサ出力の最大値と最小値を算出し、
得られたセンサ出力の最大値と最小値の差が所定の閾値
(所定の電圧値)以上であればボビン回転と判別し、得
られたセンサ出力の最大値と最小値の差が所定の閾値
(所定の電圧値)以下であればその状態が所定針数分続
いたと判断してボビン22から下糸DSが無くなってボ
ビン22の回転が停止したと判別する。
【0277】ここで、センサ出力の最大値と最小値の差
が所定の閾値(所定の電圧値)以下の状態を複数針みる
理由は、糸の消費量が少ない模様を縫製している場合
や、ボビン22に下糸DSが多く巻かれている場合など
においては、ボビン22の回転角度が小さいため針数が
1、2針では、反射型光センサ211の下方を高反射率
部210aと低反射率部210bとが通過しないからで
ある。
【0278】このように、本実施形態の下糸糸巻き装置
付きミシン1によれば、ボビン22の回転状態とボビン
22に巻回された下糸DSの有無を確実かつ容易に判別
することができる。
【0279】前記ボビンの回転状態とボビンに巻回され
た下糸の有無の判別について図55に示すフローチャー
トにより説明する。
【0280】図55は本発明に係る下糸糸巻き装置付き
ミシンのボビンの回転状態とボビンに巻回された下糸の
有無の判別を説明するフローチャートである。
【0281】前記ボビン22の回転状態とボビン22に
巻回された下糸DSの有無の判別は、図55に示すよう
に、まず、ステップST100 において反射型光センサ2
11の出力を読み込み、つぎのステップST101 におい
て読み込んだ値をメモリ191に記憶し、つぎのステッ
プST102 においてタイマー処理を行い、つぎのステッ
プST103 において主軸信号により針数をカウントし、
つぎのステップST104 に進行する。
【0282】ついで、ステップST104 において針数を
N針みたか判断し、ステップST104 の判断がNO(N
針より少ない)の場合には、前記ステップST100 へ戻
り、ステップST104 の判断がYES(N針と等しい)
の場合には、つぎのステップST105 に進行し、ステッ
プST105 においてセンサ出力の最大値と最小値を算出
し、つぎのステップST106 に進行する。
【0283】ついで、ステップST106 において、得ら
れたセンサ出力の最大値と最小値の差が所定の閾値(所
定の電圧値V)より小さいか否かを判断し、ステップS
T106 の判断がNO(閾値より大きい)場合には、ボビ
ン22が回転状態にあると判別して前記ステップST10
0 へ戻る。
【0284】前記ステップST106 の判断がYES(閾
値より小さい)場合には、つぎのステップST107 へ進
行して、その状態が所定針数分続いたと判断してボビン
22から下糸DSが無くなってボビン22の回転が停止
したと判別し終了する。
【0285】なお、ボビン22の回転状態とボビン22
に巻回された下糸DSの有無の判別は、メモリ191の
格納部287に格納したプログラムとCPU190など
により行う。
【0286】つぎに、残り糸の消費について説明する。
【0287】前記下糸DSは、ボビン22の回転が停止
しても下糸張力手段25に挟まれた状態で残っており、
この状態では、新たな下糸DSをボビン22に巻回する
ことができない。そこで、制御手段93から送出される
制御指令によって、この残り糸を模様として複数針縫っ
て完全に消費した後、すなわち、前記下糸検出手段21
4から下糸無しの検出信号が送出された場合、下糸無し
の検出信号を検出した時点における縫製位置から複数針
運針した後で下糸糸巻き装置付きミシン1を停止し、そ
の後に、自動糸巻きスタート処理を行う。ここでの針数
は、ボビン22が停止した後の残り糸量は、前記ボビン
22構造により糸の種類、糸の太さによる差が少なく、
釜近傍の糸道経路によって決定されほぼ一定の長さなの
で、残り糸量を予めメモリ191の一部を構成するRO
Mに記憶しておく、そしてミシンが刺繍枠239をXモ
ータ240BおよびYモータ240Aにより駆動するも
のは、針3を上下動するミシンモータ235を停止した
状態で、少なくともXモータ240BまたはYモータ2
40Aを駆動して刺繍枠239を所定距離LL移動し
て、下糸端が下糸張力手段25から引き抜かれるように
する。また、ミシンが送り歯により布送りするものは、
縫製中に下糸検出手段214から下糸無しの検出信号が
送出された場合にはそのまま縫製を継続して、残り糸を
引き出す動作を行う。
【0288】以下、送り歯を用いたミシンについて残り
糸の消費の作用を説明する。
【0289】この残り糸量は、ボビン22が停止した後
の1針毎の下糸消費量で減算して行き判断する。前記下
糸消費量は、上糸消費量とほぼ一致するので、上糸消費
量を算出することによって容易に推測できる。また、上
糸消費量は、公知の自動糸調子ミシンに見るように、布
厚と布送り量と針振り量とから容易に算出することがで
きる。
【0290】つぎに、残り糸の消費について図56に示
すフローチャートによりさらに説明する。
【0291】図56は本発明に係る下糸糸巻き装置付き
ミシンの残り糸の消費を説明するフローチャートであ
る。
【0292】前記残り糸の消費は、図56に示すよう
に、まず、ステップST200 において、ボビン22が停
止した後の残り糸量”L”をメモリ191の一部を構成
するROMから読み込む。
【0293】ついで、ステップST201 において、主軸
信号のON/OFFを判断し、主軸信号がOFFの場合
には、主軸信号がONになるまで待機し、主軸信号がO
Nの場合には、つぎのステップST201 において、布厚
と布送り量と針振り量とから1針毎の下糸消費量”l”
を算出し、つぎのステップST202 において、前記残り
糸量Lから下糸消費量lを減算した値を新たな残り糸
量”L”に設定してつぎのステップST204 に進行す
る。
【0294】ついで、ステップST204 において、残り
糸量”L”が0より小さいか否かを判断し、ステップS
T204 の判断がNO(残り糸がある)の場合には、前記
ステップST201 に戻り、ステップST204 の判断がY
ES(残り糸無し)の場合には、つぎのステップST20
5 に進行し、ミシン停止、すなわち、下糸無しの検出信
号を検出した時点における縫製位置から複数針運針した
後でミシンを停止、詳しくは、下糸糸巻き装置付きミシ
ン1のミシンモータ235を停止し、つぎのステップS
T106 において下糸巻き制御、すなわち、自動糸巻きス
タート処理を行い終了する。
【0295】なお、残り糸の消費は、メモリ191の格
納部287に格納したプログラムとCPU190などに
より行う。
【0296】このように、本実施形態の下糸糸巻き装置
付きミシン1によれば、残り糸の消費およびその判別を
確実かつ適正に行うことができるので、下糸DSの残り
糸を確実に消費した後に、ボビン22に下糸DSを巻回
する糸巻き動作を開始することができ、その結果、糸巻
き動作の自動化を容易に行うことができる。
【0297】つぎに、上糸無しと下糸無しとの判別につ
いて説明する。
【0298】本実施形態の下糸糸巻き装置付きミシン1
は、縫製動作中に上糸切れと称される上糸USが無くな
った場合においても、下糸DSに張力が発生しなくな
り、ボビン22の回転が停止する。そこで、上糸無しと
下糸無しとの判別は、図19に示す前記上糸検出手段2
21を利用する。この上糸検出手段221は、図19に
示すように、上糸USが有り、正常に縫製動作が行われ
ている場合には、上糸USに張力が発生し、上糸経路に
配設されている上糸張力ばね220をたわませ、この上
糸張力ばね220と連動する遮蔽板222が光りセンサ
(フォトインタラプタ)223を遮蔽、解放する公知の
ものである。そして、縫製動作中に上糸USが無くなっ
た場合は、すぐに上糸USに張力が発生しなくなり、光
りセンサ223の出力状態で上糸USが無くなったこと
を検出することができる。しかし、上糸USが無くなっ
た場合、下糸DSは、布などの縫製物Sに縫い目を形成
しているため、縫製物Sが送られると下糸DSが引っ張
られるので、ボビン22は回転する。逆に、正常に下糸
DSが消費された場合、ボビン22の回転は停止する
が、残り糸があるため上糸張力が発生し、上糸検出手段
221は動作しない。したがって、どちらが先にその状
態になったかを判定することにより、上糸無しと下糸無
しとを判別することができる。すなわち、ボビン22の
回転状態と上糸USの有無とをほぼ同時に監視し、先に
無い状態を検出した方を優先して判断する。
【0299】つぎに、上糸無しと下糸無しとの判別につ
いて図57に示すフローチャートによりさらに説明す
る。
【0300】図57は本発明に係る下糸糸巻き装置付き
ミシンの上糸無しと下糸無しとの判別を説明するフロー
チャートである。
【0301】前記上糸無しと下糸無しとの判別は、図5
7に示すように、まず、ステップST300 において、下
糸検出手段214を兼ねたボビン回転状態検出手段21
5の一部を構成する反射型光センサ211の出力状態に
より、ボビン22の回転の有無を判断し、ステップST
300 の判断が無し(ボビン停止状態)の場合には、つぎ
のステップST301 において、上糸検出手段221の一
部を構成する光りセンサ223の出力状態により、上糸
USの有無を判断し、ステップST301 の判断が有り
(上糸有り)の場合には、つぎのステップST302 にお
いて下糸無しと判断して終了する。また、ステップST
301 の判断が無し(上糸無し)の場合には、つぎのステ
ップST303 において異常(異常動作)と判断して終了
する。
【0302】前記ステップST300 の判断が有り(ボビ
ン回転状態)の場合には、つぎのステップST304 にお
いて、上糸検出手段221の一部を構成する光りセンサ
223の出力状態により、上糸USの有無を判断し、ス
テップST304 の判断が無し(上糸無し)の場合には、
つぎのステップST305 において上糸無しと判断して終
了する。また、ステップST304 の判断が有り(上糸有
り)の場合には、つぎのステップST306 において正常
(正常動作)と判断して終了する。
【0303】このように、上糸USおよび下糸DSのそ
れぞれの有無を監視することにより、上糸USおよび下
糸DSの何れが無くなったのかを確実かつ容易に判別す
ることができる。
【0304】なお、上糸無しと下糸無しとの判別は、メ
モリ191の格納部287に格納されたプログラムとC
PU190などにより行う。
【0305】つぎに、自動糸巻きスタートについて説明
する。
【0306】本実施形態の下糸糸巻き装置付きミシン1
によれば、前述したように、下糸DSの残り糸を完全に
消費したと判断した後に、糸巻きスタート/ストップス
イッチ177の設定状態にかかわらずを糸巻きスタート
を自動的に行うことができる。
【0307】つぎに、自動糸巻きモードと手動糸巻きモ
ードの選択について図58および図59により説明す
る。
【0308】図58は本発明に係る下糸糸巻き装置付き
ミシンの自動糸巻きモードと手動糸巻きモードの選択の
一例を説明するフローチャート、図59は本発明に係る
下糸糸巻き装置付きミシンの自動糸巻きモードモードと
手動糸巻きモードの選択の他例を説明するフローチャー
トである。
【0309】前記自動糸巻きモードと手動糸巻きモード
の選択の一例としては、図58に示すように、ステップ
ST400 において、糸巻きモード切替スイッチ226
(図58においてスイッチAと記す)の設定状態、すな
わち、糸巻きモード切替スイッチ226のON/OFF
を判断し、ステップST400 の判断がON(自動糸巻き
モード)の場合には、つぎのステップST401 におい
て、下糸糸巻き装置付きミシン1を自動糸巻きモードに
設定して終了する。
【0310】前記ステップST400 の判断がOFF(手
動糸巻きモード)の場合には、つぎのステップST402
において、下糸糸巻き装置付きミシン1を手動糸巻きモ
ードに設定して終了する。
【0311】すなわち、本実施形態においては、糸巻き
モード切替スイッチ226の設定状態に応じて、自動糸
巻きモードと手動糸巻きモードの選択を行うことができ
るようになっている。そして、糸巻きモード切替スイッ
チ226の設定が自動糸巻きモードに設定された場合
は、自動的に糸巻き動作をし、糸巻きモード切替スイッ
チ226の設定が手動糸巻きモードに設定された場合
は、糸巻きスタート/ストップスイッチ177をON操
作することにより糸巻き動作をする。
【0312】なお、自動糸巻きモードと手動糸巻きモー
ドの選択は、メモリ191の格納部287に格納された
プログラムとCPU190などにより行う。
【0313】前記自動糸巻きモードと手動糸巻きモード
の選択の他例としては、図59に示すように、ステップ
ST500 において、模様選択処理、すなわち、模様選択
スイッチ172の操作により、複数の模様縫いデータか
ら所望の模様縫いデータを選択し、つぎのステップST
501 に進行する。
【0314】ついで、ステップST501 において、模様
の種類の判断、すなわち、選択された縫い模様が直線縫
い、ジグザグ縫い、ボタンホール縫いなどに用いる実用
縫いと称される分類に区分される実用模様か、それと
も、刺繍縫いと称される分類に区分される刺繍模様かを
判断し、ステップST501 の判断が刺繍模様の場合は、
つぎのステップST502 において、下糸糸巻き装置付き
ミシン1を自動糸巻きモードに設定して終了する。
【0315】なお、模様の種類の区分は、前記縫いデー
タ記憶部200に記憶した模様縫いデータ毎に模様の種
類の区分を表示するデータをもたせることができるの
で、模様選択スイッチ172の操作により選択された模
様縫いデータの模様の種類の区分は、CPU190によ
り容易に認識することができる。つまり、CPU190
は、模様選択手段としての模様選択スイッチ172によ
り選択された模様縫いデータを判別する模様縫いデータ
判別手段229としても機能する。
【0316】また、模様選択スイッチ172の操作によ
り複数の模様縫いデータから選択された所望の模様縫い
データに基づいて行うかわりに、選択された模様を形成
するのに必要な補助部品の着脱状態、つまり、刺繍縫い
を行う際の刺繍装置240の着脱状態を検出する刺繍装
置センサ217から送出される検出信号によってもCP
U190により容易に認識することができる。
【0317】前記ステップST501 の判断が実用模様の
場合には、つぎのステップST503において、下糸糸巻
き装置付きミシン1を手動糸巻きモードに設定して終了
する。
【0318】すなわち、本実施形態においては、選択さ
れた模様縫いデータおよび/または選択された模様を形
成するのに必要な補助部品の着脱状態に応じて、自動糸
巻きモードと手動糸巻きモードの選択を行うことができ
るようになっている。そして、下糸糸巻き装置付きミシ
ン1が自動糸巻きモードに設定された場合は、自動的に
糸巻き動作をし、下糸糸巻き装置付きミシン1が手動糸
巻きモードに設定された場合は、糸巻きスタート/スト
ップスイッチ177をON操作することにより糸巻き動
作をする。
【0319】なお、模様の種類の区分についてはCPU
190により行い、自動糸巻きモードと手動糸巻きモー
ドの選択は、メモリ191の格納部287に格納された
プログラムとCPU190などにより行う。
【0320】つぎに、ボビンへ下糸を巻回する糸巻き動
作の実行中における糸巻き動作の停止について説明す
る。
【0321】本実施形態の下糸糸巻き装置付きミシン1
においては、前記メモリ191の格納部287に格納さ
れたプログラムとCPU190などにより、糸巻き動作
の実行中に縫製動作のON/OFFを制御する縫製スタ
ート/ストップスイッチ238(図1)あるいは糸巻き
動作のON/OFFを制御する糸巻きスタート/ストッ
プスイッチ177を作業者が操作することで糸巻き動作
を強制的に停止することができる。
【0322】つぎに、ボビンへ下糸を巻回する糸巻き動
作が終了したあとの縫製動作の自動再スタートについて
説明する。
【0323】前記ボビン22へ下糸DSを巻回する糸巻
き動作が終了したあとの縫製動作の再スタートは、以下
に示す2通りの方法で行うことができる。
【0324】前記縫製動作の再スタートの第1の方法に
おいては、糸巻き動作が終了すると、CPU190は糸
巻き動作の終了を表示画面176および/または安全確
保手段228により作業者に知らせる。そして、作業者
は、表示画面176および/または安全確保手段228
により、糸巻き動作の終了を確認した後に、重ね縫いを
するために、返し縫いスイッチ301を操作して縫製物
Sを何針か前に戻してから縫製動作のON/OFFを行
う縫製スタート/ストップスイッチ238をON操作し
てミシンスタートして縫製動作を再スタートする。
【0325】前記縫製動作の再スタートの第2の方法に
おいては、糸巻き動作が終了すると、CPU190は糸
巻き動作の終了を表示画面176および/または安全確
保手段228により作業者に知らせた後に、自動的に何
針か前に戻し、自動的にミシンスタートして縫製動作を
再スタートする。これは特に、刺繍装置240を用いた
刺繍縫いを行う場合に有効である。針位置に対して相対
的に刺繍装置240の刺繍枠239を移動させて、刺繍
模様を形成する自動刺繍機であれば、正確に何針でも前
に戻ることができる。この再スタートする時点で、表示
画面176および/または安全確保手段228からなる
再スタート告知手段225を動作して、再スタートする
ことを、作業者あるいは周囲の人々に容易かつ確実に認
識させることができるので、特に、再スタートを自動的
に行う場合における安全性を高めることができる。
【0326】なお、自動的な縫製動作の再スタートは、
メモリ191の格納部287に格納されたプログラムと
CPU190などにより行う。さらに、何針か前に戻す
のは、メモリ191の格納部287に格納されたプログ
ラムとCPU190などにより行う。またさらに、再ス
タート告知手段225の動作は、メモリ191の格納部
287に格納されたプログラムとCPU190などによ
り行う。
【0327】つぎに、自動再スタートモードと手動再ス
タートモードの選択について図60により説明する。
【0328】図60は本発明に係る下糸糸巻き装置付き
ミシンの自動再スタートモードと手動再スタートモード
の選択を説明するフローチャートである。
【0329】前記縫製動作を再スタートする際の自動再
スタートモードと手動再スタートモードの選択は、図6
0に示すように、まず、ステップST600 において、再
スタートモード切替スイッチ227(図60においてス
イッチBと記す)の設定状態、すなわち、再スタートモ
ード切替スイッチ227のON/OFFを判断し、前記
ステップST600 の判断がOFF(手動再スタートモー
ド)の場合には、つぎのステップST601 において、下
糸糸巻き装置付きミシン1を手動再スタートモードに設
定して終了する。なお、下糸糸巻き装置付きミシン1を
手動再スタートモードに設定した場合には、縫製動作の
再スタートは、縫製スタート/ストップスイッチ238
をON操作することにより開始する。
【0330】前記ステップST600 の判断がON(自動
再スタートモード)の場合には、つぎのステップST60
2 において、前記図45のステップST501 と同様に、
模様の種類が実用模様か、それとも、刺繍模様かを判断
し、ステップST602 の判断が実用模様の場合には、ス
テップST601 に進行し、下糸糸巻き装置付きミシン1
を手動再スタートモードに設定して終了する。
【0331】前記ステップST602 の判断が刺繍模様の
場合には、つぎのステップST603に進行して下糸糸巻
き装置付きミシン1を自動再スタートモードに設定し、
つぎのステップST604 に進行して縫製位置を何針か前
に戻し、つぎのステップST605 に進行して再スタート
告知手段225を動作して再スタートの告知を作業者あ
るいは周囲の人々に行い、つぎのステップST606 に進
行してミシンスタートして縫製動作を再開し終了する。
【0332】すなわち、再スタートモード切替スイッチ
の設定状態、模様選択スイッチ172の操作により選択
された模様縫いデータの模様の種類、選択された模様を
形成するのに必要な補助部品の着脱状態、つまり、刺繍
縫いを行う際の刺繍装置240の着脱状態を検出する刺
繍装置センサ217から送出される検出信号などを単独
もしくは組み合わせることによって、縫製動作を再スタ
ートする際の自動再スタートモードと手動再スタートモ
ードの選択を行う。
【0333】なお、再スタートモード切替スイッチ22
7の設定状態に応じて自動的に縫製動作の再スタートを
行うか否かを判別するのは、メモリ191の格納部28
7に格納したプログラムとCPU190などにより行
う。さらに、ステップST604における縫製位置を何針
か前に戻すのは、メモリ191の格納部287に格納さ
れたプログラムとCPU190などにより行うととも
に、戻す針数は、メモリ191の格納部287に格納さ
れたプログラムとCPU190などにより、前記残り糸
の消費を行う際に運針した針数分と同一とする。またさ
らに、再スタート告知手段225の動作は、メモリ19
1の格納部287に格納されたプログラムとCPU19
0などにより行う。
【0334】つぎに、縫製動作時の異常検出について図
61に示すフローチャートにより説明する。
【0335】図61は本発明に係る下糸糸巻き装置付き
ミシンの異常検出を説明するフローチャートである。
【0336】本実施形態のボビン回転状態検出手段21
5を兼ねた下糸検出手段214は、前述したように、ボ
ビン22の回転の有無と、縫製動作中におけるボビン2
2に巻回されている下糸DSの下糸無しを検出すること
ができるが、縫製動作の開始後または糸巻き動作開始後
のそれぞれのボビン22の回転の有無を検出して、ボビ
ン22の回転が無い場合には、糸掛け異常または糸巻き
異常と判断して再スタート告知手段225を動作させ
て、下糸糸巻き装置付きミシン1の動作を停止すること
ができる。
【0337】すなわち、図61に示すように、ステップ
ST700 において、ボビン回転状態検出手段215の反
射型光センサ211から送出されるセンサ出力によって
縫製開始後のボビン回転の有無を判断し、ステップST
700 の判断がNO(ボビン停止状態)の場合には、つぎ
のステップST701 において糸掛け異常としてミシン停
止し、つぎのステップST702 で作業者は必要なエラー
処理を行う。なお、ミシン停止する際には、再スタート
告知手段225を動作させて異常の表示および/または
警告を行うことが作業効率を向上するうえで好ましい。
【0338】前記ステップST700 の判断がYES(ボ
ビン回転状態)の場合には、つぎのステップST703 に
おいて正常運転を行い、つぎのステップST704 におい
てボビン回転の有無を判断し、ステップST704 の判断
がYES(ボビン回転状態)の場合には、運転状態を保
持する。
【0339】前記ステップ704 の判断がNO(ボビン停
止状態)の場合には、つぎのステップST705 において
ボビン22から下糸DSが無くなったと判断して前述し
た残り糸の消費処理を行い、つぎのステップST706 に
おいて前述した糸巻き動作処理を行い、つぎのステップ
ST707 において糸巻き開始後のボビン回転の有無を判
断する。
【0340】前記ステップST707 の判断がNO(ボビ
ン停止状態)の場合には、つぎのステップST708 にお
いて糸巻き異常としてミシン停止し、つぎのステップS
T709 で作業者は必要なエラー処理を行う。なお、ミシ
ン停止する際には、再スタート告知手段225を動作さ
せて異常の表示および/または警告を行うことが作業効
率を向上するうえで好ましい。
【0341】前記ステップST707 の判断がYES(ボ
ビン回転状態)の場合には、つぎのステップST710 に
進行して、糸巻きが終了したか否かを判断し、ステップ
ST710 の判断がNO(所定量の糸巻きが終わっていな
い)場合には、ステップST706 に戻って所定量の糸巻
きが終了するまで糸巻き動作処理を行う。
【0342】前記ステップST710 の判断がYES(糸
巻き終了)の場合には、つぎのステップST711 におい
て前述した再スタート告知処理を行い、つぎのステップ
ST712 において前述した再スタート処理を行い、ステ
ップST704 に戻って縫製動作が終了するまで繰り返
す。
【0343】なお、縫製動作時および糸巻き動作時の正
常か否かの判断は、メモリ191の格納部287に格納
されたプログラムとCPU190などにより行う。
【0344】したがって、本実施形態の下糸糸巻き装置
付きミシン1のボビン22のフランジ37に設けられた
高反射率部210aと低反射率部210bとを交互に繰
返し配置してなるボビン回転被検出部210と、このボ
ビン回転被検出部210を検出する反射型光センサ21
1からなる下糸検出手段214は、反射型光センサ21
1により、ボビン22の回転状態とボビン22の停止状
態とを確実かつ適正に検出することができるとともに、
縫製動作中におけるボビン22の回転状態からボビン2
2の停止状態への変化によって、ボビン22から下糸D
Sが無くなったことを容易かつ確実に検出することがで
きる。さらに、下糸検出手段214は、糸掛けや、糸巻
き動作の異常を容易に検出することもできる。つぎに、
縫製動作中における糸巻き動作の防止について説明す
る。
【0345】本実施形態の下糸糸巻き装置付きミシン1
においては、前記メモリ191の格納部287に格納さ
れたプログラムとCPU190などにより、縫製動作中
における糸巻きスタート/ストップスイッチ177のO
N操作による糸巻きスタートを確実に禁止することがで
きる。
【0346】したがって、本実施形態の下糸糸巻き装置
付きミシン1によれば、使用中の上糸USを外さず、か
つ、水平釜4からボビン22を取り外すことなくボビン
22に刺繍縫いなどに用いる下糸専用糸EDSあるいは
上糸USを容易に選択して巻回することができる。
【0347】また、本実施形態の下糸糸巻き装置付きミ
シン1によれば、下糸専用糸EDSが巻回された下糸糸
駒111をミシン本体1aに設置できるので、ミシンの
大型化や設置スペースが大きくなるのを防止することが
できる。さらに、下糸専用糸EDSが巻回された下糸糸
駒111をミシン本体1aに設置できるので、下糸専用
糸EDSを糸保持部材48に糸掛けした状態でミシンケ
ースに収納することもできる。また、下糸専用糸FDE
が巻回された下糸糸駒111をミシン本体1aの操作側
に設置できるので、下糸専用糸EDSを糸保持部材48
に糸掛けする際の作業性が向上するとともに、下糸糸駒
111に巻回された下糸専用糸EDSの視認性が向上す
るので、糸が無くなったことを気付きやすい。
【0348】さらに、本実施形態の下糸糸巻き装置付き
ミシン1の専用下糸保持検出手段180は、糸巻き動作
の実行中にボビン22に巻回される下糸専用糸EDSの
糸無しを確実に検出することができる。
【0349】また、本実施形態の下糸糸巻き装置付きミ
シン1の縫製中断動作制御部281によれば、刺繍装置
240の刺繍枠239を駆動して縫製物Sに刺繍縫いを
行う縫製動作の実行中に下糸検出手段214が下糸無し
を検出した場合、縫製物Sの上方に針3を移動してから
実行中の縫製動作を停止し、その後前記刺繍枠239を
移動、詳しくは、前記刺繍装置240のYモータ240
AおよびXモータ240Bを駆動して刺繍枠239を移
動させてボビン22に残っている下糸DSの残り糸を引
き出すことができるので、ボビン22に残っている下糸
DSの残り糸をボビン22から確実かつ適正に引き出す
ことができる。そして、糸巻き動作時に、ボビン22に
残っている下糸DSと新たにボビン22に巻回する下糸
DSとが干渉して糸が絡むという不都合を確実に防止す
ることができ、その結果、糸巻き動作を安全かつ適正に
実行することができる。
【0350】また、本実施形態の下糸糸巻き装置付きミ
シン1の糸引出時上糸張力制御部282によれば、刺繍
装置240の刺繍枠239を移動させてボビン22に残
っている下糸DSの残り糸を引き出す際に、上糸USに
付与されている上糸張力を解放することができるので、
下糸DSとともに上糸USを容易に引き出すことがで
き、その結果、下糸DSの残り糸を刺繍枠239で安全
かつ適正に引き出すことができる。
【0351】また、本実施形態の下糸糸巻き装置付きミ
シン1の糸巻き時上糸張力制御部283によれば、糸巻
き動作時にボビン22に上糸USを巻回する場合、上糸
USに付与されている上糸張力を解放した状態でミシン
を駆動し、天秤307が天秤上死点を通過した後に上糸
USに所定の上糸張力を付与し、前記糸保持部材48に
よる上糸USの捕捉に必要な設定糸量を繰り出すことが
できるので、ボビン22に上糸USを巻回する糸巻き動
作時に、ミシンが停止した際の天秤位置、すなわちミシ
ン停止時のミシン位相(ミシン回転位相)、詳しくは上
軸の位相がどこであっても、天秤307が上昇するのに
必要な糸量を上糸糸駒121から容易に引き出すことが
できるので、上糸USの上糸張力付与手段224から糸
端までの長さを一定長さとすることができる。その後、
上糸張力付与手段224により設定糸量を繰り出すこと
により、糸保持部材48による上糸USの捕捉に必要な
糸量を確実に確保することができ、その結果、ボビン2
2に上糸USを巻回する場合の糸巻き動作を安全かつ適
正に実行することができる。
【0352】また、本実施形態の下糸糸巻き装置付きミ
シン1のスイッチ制御部284によれば、退避位置検出
手段としての退避位置センサ290が糸保持部材48が
退避位置に位置するのを検出した場合にのみ糸巻きスイ
ッチとしての糸巻きスタート/ストップスイッチ177
および縫製スイッチとしての縫製スタート/ストップス
イッチ238による糸巻き動作あるいは縫製動作の開始
の指示を有効とすることができる、言い替えると、スイ
ッチ制御部284は、退避位置以外の位置に糸保持部材
48が位置した場合には、糸巻きスイッチとしての糸巻
きスタート/ストップスイッチ177による糸巻き動作
の開始および縫製スイッチとしての縫製スタート/スト
ップスイッチ238による縫製動作の開始を無効として
糸巻き動作および縫製動作を開始させないので、作業者
の誤操作による誤動作を確実に防止して、高い安全性を
確実に確保することができる。
【0353】また、本実施形態の下糸糸巻き装置付きミ
シン1の糸保持部材進入タイミング制御部285によれ
ば、糸巻き動作時に針棒切外し機構140による針棒切
外し実行後の上糸USが内釜18から離間した後に糸保
持部材48をボビン22の上方に進入させることができ
るので、針棒切外し実行後の上糸USが内釜18から離
間した後に糸保持部材48をボビン22の上方に進入さ
せるので、糸保持部材48が上糸に絡まないタイミング
でボビン22の上方に進入させることができ、その結
果、ボビン22に下糸専用糸EDSを巻回する場合の糸
巻き動作を安全かつ適正に実行することができる。
【0354】また、本実施形態の下糸糸巻き装置付きミ
シン1の針棒切外し・回転接続動作タイミング制御部2
86によれば、糸巻き動作時に針棒切外し機構140に
よる針棒2の切り外しを糸保持部材48がボビン22の
上方に進入した進入位置に位置した後に剣先42が上糸
USを捕捉する位置を通過して剣先42が上糸USを捕
捉した状態で再度剣先42が上糸USを捕捉する位置を
通過するまでに実行し、回転伝動機構340によるボビ
ン22とボビン駆動部材11との接続(連結)を剣先4
2に捕捉され内釜18の底を通過する上糸USがボビン
駆動部材11に設けられた回転伝動機構340を通過し
た後に実行することができるので、糸保持部材48がボ
ビン22の上方に進入した進入位置に位置した後に剣先
42が上糸USを捕捉する位置を通過して剣先42が上
糸USを捕捉した状態で再度剣先42が上糸USを捕捉
する位置を通過するまでに針棒2の切外しを実行し、剣
先42に捕捉され内釜18の底を通過する上糸USがボ
ビン駆動部材11に設けられた回転伝動機構340を通
過した後に回転伝動機構340によるボビン22とボビ
ン駆動部材11との接続を実行するので、剣先42が上
糸USを捕捉した状態で上糸USを再度捕捉してしまう
という糸がらみの発生を確実に防止することができると
ともに、剣先42に捕捉された上糸USが内釜18を通
過する前にボビン22とボビン駆動部材11とが接続さ
れて剣先42に捕捉された上糸USが回転伝動機構34
0に絡まるという不都合を確実に防止することができ、
その結果、ボビン22に上糸USを巻回する場合の糸巻
き動作を安全かつ適正に実行することができる。
【0355】また、本実施形態の下糸糸巻き装置付きミ
シン1の巻き糸選択手段としての巻き糸設定スイッチ1
73は、ボビン22に巻回される上糸USおよび下糸専
用糸EDSの何れかを確実に選択することができる。す
なわち、縫い模様に応じてボビン22に巻回される下糸
DSの種類を容易に選択することができる。
【0356】また、本実施形態の下糸糸巻き装置付きミ
シン1における前記糸巻き量設定手段としての糸巻き量
設定スイッチ174、糸巻き径検出手段160、糸巻き
数計測手段206は、ボビン22に巻回する下糸DUの
量を適正かつ容易に制御することができるものであり、
本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシン1だけでなく、
従来からある各種の下糸糸巻き装置付きミシンにも適用
することができる。
【0357】なお、本発明は、前記実施形態に限定され
るものではなく、必要に応じて変更することができる。
【0358】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の本
発明の下糸糸巻き装置付きミシンによれば、下糸検出手
段は、刺繍装置の刺繍枠を駆動して縫製物に刺繍縫いを
行う縫製動作の実行中に下糸が無くなったのを容易に検
出することができる。さらに、下糸検出手段が縫製動作
の実行中に下糸が無くなったのを検出した場合、ミシン
モータは、針が縫製物の上方で停止するように制御さ
れ、少なくともXモータまたはYモータは、刺繍枠が最
終縫目と針との間を所定距離離間するように移動するよ
うに制御されるので、ボビンに残っている下糸の残り糸
を下糸張力手段から引き出すことができるので、ボビン
に残っている下糸の残り糸をボビンから確実かつ適正に
引き出すことができる。さらにまた、縫製動作中に下糸
が無くなった場合にボビンに残っている下糸の残り糸を
ボビンから確実かつ適正に引き出すことができるので、
糸巻き動作時に、ボビンに残っている下糸と新たにボビ
ンに巻回される下糸とが干渉して糸が絡むという不都合
を確実に防止することができ、その結果、糸巻き動作を
安全かつ適正に実行することができるなどの極めて優れ
た効果を奏する。
【0359】また、請求項2に記載の本発明の下糸糸巻
き装置付きミシンによれば、下糸引出時上糸張力制御部
は、ボビンに残っている下糸の残り糸を刺繍枠で引き出
す際に、上糸に付与されている上糸張力を解放すること
ができるので、下糸とともに上糸を容易に引き出すこと
ができ、その結果、下糸の残り糸を刺繍枠で安全かつ適
正に引き出すことができるなどの極めて優れた効果を奏
する。
【0360】また、請求項3に記載の本発明の下糸糸巻
き装置付きミシンによれば、糸巻き時上糸張力制御部
は、ボビンに上糸を巻回する糸巻き動作時に、ミシンが
停止した際の天秤位置、すなわちミシン停止時のミシン
位相、詳しくは上軸の位相がどこであっても、天秤が上
昇するのに必要な糸量を上糸糸駒から容易に引き出すこ
とができるので、上糸の上糸張力付与手段から糸端まで
の長さを一定とすることができる。その後、上糸張力付
与手段により設定糸量を繰り出すことにより、糸保持部
材による上糸の捕捉に必要な糸量を確実に確保すること
ができ、その結果、ボビンに上糸を巻回する場合の糸巻
き動作を安全かつ適正に実行することができるなどの極
めて優れた効果を奏する。
【0361】また、請求項4に記載の本発明の下糸糸巻
き装置付きミシンによれば、スイッチ制御部は、糸保持
部材が退避位置に位置するのを退避位置検出手段が検出
している場合にのみ糸巻きスイッチによる糸巻き動作の
開始および縫製スイッチによる縫製動作の開始を有効と
することができる。言い替えると、スイッチ制御部は、
退避位置以外の位置に糸保持部材が位置した場合には、
糸巻きスイッチによる糸巻き動作の開始および縫製スイ
ッチによる縫製動作の開始を無効として糸巻き動作およ
び縫製動作を開始させないので、作業者の誤操作による
誤動作を確実に防止して、高い安全性を確実に確保する
ことができるなどの極めて優れた効果を奏する。
【0362】また、請求項5に記載の本発明の下糸糸巻
き装置付きミシンによれば、糸保持部材進入タイミング
制御部は、針棒切外し実行後の上糸が内釜から離間した
後に糸保持部材をボビンの上方に進入させるので、糸保
持部材が上糸に絡まないタイミングでボビンの上方に進
入させることができ、その結果、ボビンに下糸専用糸を
巻回する場合の糸巻き動作を安全かつ適正に実行するこ
とができるなどの極めて優れた効果を奏する。
【0363】また、請求項6に記載の本発明の下糸糸巻
き装置付きミシンによれば、針棒切外し・回転接続動作
タイミング制御部は、糸保持部材がボビンの上方に進入
した進入位置に位置した後にミシン駆動して剣先が上糸
を捕捉する位置を通過して剣先が上糸を捕捉した状態で
再度剣先が上糸を捕捉する位置を通過するまでに針棒の
切外しを実行し、剣先に捕捉され内釜の底を通過する上
糸がボビン駆動部材に設けられた回転伝動機構を通過し
た後に回転伝動機構によるボビンとボビン駆動部材との
接続を実行するので、剣先が上糸を捕捉した状態で上糸
を再度捕捉してしまうという糸がらみの発生を確実に防
止することができるとともに、剣先に捕捉された上糸が
内釜を通過する前にボビンとボビン駆動部材とが接続さ
れて剣先に捕捉された上糸が回転伝動機構に絡まるとい
う不都合を確実に防止することができ、その結果、ボビ
ンに上糸を巻回する場合の糸巻き動作を安全かつ適正に
実行することができるなどの極めて優れた効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの実
施形態の一例の要部を示す外観斜視図
【図2】 水平釜近傍の要部の構成を示す斜視図
【図3】 水平釜近傍の要部の構成を示す一部切断断面
【図4】 外釜近傍の要部の構成を示す分解図
【図5】 下糸張力手段を示す斜視図
【図6】 内釜の底部近傍を示す平面図
【図7】 ボビンを示す縦断面図
【図8】 図7の平面図
【図9】 糸保持部材の要部を示す平面図
【図10】 図9の正面図
【図11】 図9の一部拡大平面図
【図12】 退避位置センサの取着状態の要部を示す拡
大図
【図13】 退避位置センサが糸保持部材が退避位置に
位置するのを検出する状態を説明する説明図
【図14】 糸保持部材表出手段の要部を示す斜視図
【図15】 針板近傍の要部を示す斜視図
【図16】 ボビン駆動部材移動手段の要部を示す斜視
【図17】 回転伝動機構の他例の構成を示す説明図
【図18】 専用下糸繰出機構の一例および糸保持部材
に対する下糸専用糸の保持状態を示す説明図
【図19】 上糸繰出機構の一例の要部の構成を示す説
明図
【図20】 針棒切外し機構の一例の要部の構成を示す
分解斜視図
【図21】 糸巻き径検出手段の一例の要部の構成を示
す斜視図
【図22】 図21の平面図
【図23】 操作部の一例の要部の構成を示す説明図
【図24】 専用下糸保持検出手段の一例の要部の構成
を示す正面図
【図25】 図24のY−Y線に沿った側断面図
【図26】 図24のZ−Z線に沿った側断面図
【図27】 制御手段の要部の構成の一例を示すブロッ
ク図
【図28】 下糸の糸巻き量を示す説明図
【図29】 下糸の限界糸巻き回数を示す説明図
【図30】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
縫製動作の実行中にボビンに巻回された下糸が残り少な
くなった状態を示す説明図
【図31】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
刺繍装置の刺繍枠を駆動して縫製物に刺繍縫いを行う縫
製動作の実行中に下糸検出手段が下糸無しを検出してミ
シン停止した場合の刺繍枠の状態を示す説明図
【図32】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
初期状態を示す要部の正面図
【図33】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
糸保持部材がミシン外部に突出した状態を示す要部の斜
視図
【図34】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
糸保持部材がミシン外部に突出した状態を示す要部の正
面図
【図35】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
糸保持部材がミシン外部に突出した状態における退避位
置センサを示す要部の斜視図
【図36】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
下糸専用糸の糸巻き動作の前進開始前状態を示す図32
と同様の図
【図37】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
図36につづく前進状態を示す図32と同様の図
【図38】 図37の平面図
【図39】 図37につづく糸巻き可能状態を示す図3
2と同様の図
【図40】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
ミシン回転位相に対する針棒と天秤と釜の動作を説明す
る説明図
【図41】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
下糸専用糸の糸巻き動作における糸保持部材の先端部を
進入位置に位置させるタイミングの一例を説明する説明
【図42】 下糸専用糸の糸巻き動作における糸保持部
材の先端部を進入位置に位置させるタイミングの他例を
説明する説明図
【図43】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
図39につづく下糸捕捉可能状態を示す図32と同様の
【図44】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
糸巻き動作終了後の下糸専用糸の下糸張力手段への糸掛
け動作および下糸専用糸の切断動作の糸捕捉フックと下
糸専用糸との位置関係を示す要部の説明図
【図45】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
糸掛け動作および切断動作における途中経過を示す要部
の斜視図
【図46】 図45につづく途中経過を示す図45と同
様の図
【図47】 図46につづく途中経過を示す図45と同
様の図
【図48】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
糸保持部材が上糸を捕捉した上糸捕捉状態を示す説明図
【図49】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
糸保持部材が捕捉した上糸の糸端の切断動作を示す説明
【図50】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
縫製途中で縫製物がある場合の上糸捕捉状態での上糸経
路を説明する説明図
【図51】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
天秤が天秤上死点より下に位置する状態における針と縫
い目との間の上糸経路を示す説明図
【図52】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
上糸の糸巻き動作における糸保持部材の先端部を進入位
置に位置させるタイミングおよび針棒切り外しのタイミ
ングの一例の要部を説明する説明図
【図53】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
下糸検出手段の要部の構成を示す一部透視平面図
【図54】 下糸検出手段の反射型光センサのセンサ出
力および主軸センサの出力信号を示す線図
【図55】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
ボビンの回転状態とボビンに巻回された下糸の有無の判
別を説明するフローチャート
【図56】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
残り糸の消費を説明するフローチャート
【図57】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
上糸無しと下糸無しとの判別を説明するフローチャート
【図58】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
自動糸巻きモードと手動糸巻きモードの選択の一例を説
明するフローチャート
【図59】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
自動糸巻きモードモードと手動糸巻きモードの選択の他
例を説明するフローチャート
【図60】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
自動再スタートモードと手動再スタートモードの選択を
説明するフローチャート
【図61】 本発明に係る下糸糸巻き装置付きミシンの
異常検出を説明するフローチャート
【符号の説明】
1 下糸糸巻き装置付きミシン 2 針棒 3 針 4 (釜としての)水平釜 7 外釜 11 ボビン駆動部材 14 ボビン駆動ギア 16 外釜底板 17 ギア孔 18 内釜 22 ボビン 25 下糸張力手段 27 糸導入口 35 ボビン従動ギア 36 ボビン中心軸 37 上フランジ 38 下フランジ 39 スリット 42 剣先 48 糸保持部材 53 糸保持部材移動手段 56 糸端切断刃 58 糸位置規制部 59 上方糸保持部 60 上方糸係止部 63 糸保持捕捉先端 70 上糸用後方保持部 73 専用下糸用後方保持部 93 制御手段 94 ボビン駆動部材移動手段 110 専用下糸繰出機構 111 下糸糸駒 119 補助張力付与装置 120 上糸繰出機構 121 上糸糸駒 138 糸ゆるめ手段 140 針棒切外し機構 160 糸巻き径検出手段 170 操作部 171 模様表示画面 172 模様選択スイッチ 173 (巻き糸選択手段としての)巻き糸設定スイッ
チ 174 (糸巻き量設定手段としての)糸巻き量設定ス
イッチ 175 警告手段 176 表示画面 177 (糸巻きスイッチとしての)糸巻きスタート/
ストップスイッチ 180 専用下糸保持検出手段 190 CPU 191 メモリ 210 (ボビン回転被検出部としての)反射テープ 211 反射型光センサ 214 下糸検出手段 215 ボビン回転状態検出手段 217 刺繍装置センサ 221 上糸検出手段 224 上糸張力付与手段 228 安全確保手段 229 模様縫いデータ判別手段 235 ミシンモータ 238 (縫製スイッチとしての)縫製スタート/スト
ップスイッチ 239 刺繍枠 240 刺繍装置 261 糸保持部材表出手段 277 (糸保持部材表出駆動手段としての)突出部 281 縫製中断動作制御部 282 下糸引出時上糸張力制御部 283 糸巻き時上糸張力制御部 284 スイッチ制御部 285 糸保持部材進入タイミング制御部 286 針棒切外し・回転接続動作タイミング制御部 287 格納部 290 (退避位置検出手段としての)退避位置センサ 296 専用糸張力付与手段 330 駆動力伝達手段 340 回転伝動機構 S 縫製物 US 上糸 DS 下糸 EDS 下糸専用糸

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 針を上下動させるミシンモータと、前記
    針と協働して刺繍縫いを行うため縫製物を保持する刺繍
    枠をXY方向に移動するXモータおよびYモータを備え
    たミシンにおいて、 ボビンに巻回された下糸の有無を検出する下糸検出手段
    と、 前記下糸検出手段が縫製動作の実行中に下糸が無くなっ
    たのを検出した場合、ミシンモータを制御して縫製物の
    上方で針を停止し、少なくともXモータまたはYモータ
    を制御して前記刺繍枠を少なくとも前記ボビンに残って
    いる下糸の残り糸を下糸張力手段から引き出すように最
    終縫目と針との間を所定距離離間するように移動するこ
    とを特徴とする下糸糸巻き装置付きミシン。
  2. 【請求項2】 上糸へ上糸張力を付与する上糸張力付与
    手段と、 前記刺繍枠を移動させて前記ボビンに残っている下糸の
    残り糸を引き出す際に前記上糸張力付与手段が上糸へ付
    与する上糸張力を制御する下糸引出時上糸張力制御部と
    を有し、 前記刺繍枠を移動させて前記ボビンに残っている下糸の
    残り糸を引き出す際に、前記下糸引出時上糸張力制御部
    が上糸に付与されている上糸張力を解放するように形成
    したことを特徴とする請求項1に記載の下糸糸巻き装置
    付きミシン。
  3. 【請求項3】 釜からボビンを取り外すことなくボビン
    に下糸を巻回することのできる下糸糸巻き装置付きミシ
    ンにおいて、 少なくとも糸巻き動作時に前記ボビンに巻回される上糸
    の糸端近傍を捕捉可能とされ、常時は先端部が前記外釜
    の外周面近傍の退避位置に位置し、糸巻き動作時には先
    端部が前記ボビンの上方に進入可能に形成した糸保持部
    材と、 上糸へ上糸張力を付与する上糸張力付与手段と、 糸巻き動作時の上糸張力を制御する糸巻き時上糸張力制
    御部とを有し、 上糸の糸巻き動作時に、前記糸巻き時上糸張力制御部が
    上糸に付与されている上糸張力を解放した状態でミシン
    を駆動し、天秤が天秤上死点を通過した後に上糸に所定
    の上糸張力を付与し、前記糸保持部材による上糸の捕捉
    に必要な設定糸量を繰り出すように形成したことを特徴
    とする下糸糸巻き装置付きミシン。
  4. 【請求項4】 釜からボビンを取り外すことなくボビン
    に下糸を巻回することのできる下糸糸巻き装置付きミシ
    ンにおいて、 少なくとも糸巻き動作時に前記ボビンに巻回される下糸
    専用糸の糸端近傍を保持可能とされ、常時は先端部が前
    記外釜の外周面近傍の退避位置に位置する糸保持部材
    と、 前記糸保持部材が退避位置に位置するのを検出する退避
    位置検出手段と、 糸巻き動作の開始を指示する糸巻きスイッチと、 縫製動作の開始を指示する縫製スイッチと、 前記糸巻きスイッチおよび前記縫製スイッチによる指示
    の有効無効を制御するスイッチ制御部とを有し、 前記退避位置検出手段が前記糸保持部材が退避位置に位
    置するのを検出した場合にのみ前記スイッチ制御部が前
    記糸巻きスイッチおよび前記縫製スイッチによる糸巻き
    動作あるいは縫製動作の開始の指示を有効とするように
    形成したことを特徴とする下糸糸巻き装置付きミシン。
  5. 【請求項5】 釜からボビンを取り外すことなくボビン
    に下糸を巻回することのできる下糸糸巻き装置付きミシ
    ンにおいて、 先端部に針が取着され縫製動作時に前記針を上軸に連動
    して上下方向へ往復運動させる針棒を糸巻き動作時に上
    軸の回転から切外して停止させ前記針を上方に保持可能
    な針棒切外し機構と、 前記ボビンを自由回転可能に収納する内釜、およびこの
    内釜を内方で非回転支持するとともに上軸と同期して回
    転し、上糸を捕捉する剣先を設けた外釜を具備する水平
    釜と、 少なくとも糸巻き動作時に前記ボビンに巻回される下糸
    専用糸の糸端近傍を保持可能とされ、常時は先端部が前
    記外釜の外周面近傍の退避位置に位置し、糸巻き動作時
    には先端部が前記ボビンの上方に進入可能に形成した糸
    保持部材と、 前記下糸専用糸の糸巻き動作時の前記糸保持部材の進入
    動作タイミングを制御する糸保持部材進入タイミング制
    御部とを有し、 前記下糸専用糸の糸巻き動作時に前記糸保持部材進入タ
    イミング制御部が前記針棒切外し機構による針棒切外し
    実行後の上糸が前記内釜から離間した後に前記糸保持部
    材を前記ボビンの上方に進入するように形成したことを
    特徴とする下糸糸巻き装置付きミシン。
  6. 【請求項6】 釜からボビンを取り外すことなくボビン
    に下糸を巻回することのできる下糸糸巻き装置付きミシ
    ンにおいて、 先端部に針が取着され縫製動作時に前記針を上軸に連動
    して上下方向へ往復運動させる針棒を糸巻き動作時に上
    軸の回転から切外して停止させ前記針を上方に保持可能
    な針棒切外し機構と、 前記ボビンを自由回転可能に収納する内釜、およびこの
    内釜を内方で非回転支持するとともに上軸と同期して回
    転し、上糸を捕捉する剣先を設けた外釜を具備する水平
    釜と、 糸巻き動作時に前記ボビンを回転駆動するボビン駆動部
    材と、 少なくとも糸巻き動作時に前記ボビンに巻回される上糸
    の糸端近傍を捕捉可能とされ、常時は先端部が前記外釜
    の外周面近傍の退避位置に位置し、糸巻き動作時には先
    端部が前記ボビンの上方に進入可能に形成した糸保持部
    材と、 前記ボビンと前記ボビン駆動部材とを接離可能な回転伝
    動機構と、 前記上糸の糸巻き動作時の前記針棒切外し機構による針
    棒切り外しの動作タイミングおよび前記回転伝動機構に
    よる前記ボビンと前記ボビン駆動部材との接続による連
    結の動作タイミングを制御する針棒切外し・回転接続動
    作タイミング制御部とを有し、 上糸の糸巻き動作時に、前記針棒切外し・回転接続動作
    タイミング制御部が針棒の切り外しを前記糸保持部材が
    前記ボビンの上方に進入した進入位置に位置した後に前
    記剣先が上糸を捕捉する位置を通過して前記剣先が上糸
    を捕捉した状態で再度前記剣先が上糸を捕捉する位置を
    通過するまでに実行し、前記回転伝動機構による前記ボ
    ビンと前記ボビン駆動部材との接続を前記剣先に捕捉さ
    れ前記内釜の底を通過する上糸が前記ボビン駆動部材に
    設けられた前記回転伝動機構を通過した後に実行するよ
    うに形成したことを特徴とする下糸糸巻き装置付きミシ
    ン。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002301290A (ja) * 2001-04-09 2002-10-15 Juki Corp ボビンの下糸センサー
JP2002355476A (ja) * 2001-05-31 2002-12-10 Juki Corp 下糸糸巻き装置付き刺繍ミシン

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