JPH1134203A - 易開封性の脱酸素多層体 - Google Patents

易開封性の脱酸素多層体

Info

Publication number
JPH1134203A
JPH1134203A JP19127197A JP19127197A JPH1134203A JP H1134203 A JPH1134203 A JP H1134203A JP 19127197 A JP19127197 A JP 19127197A JP 19127197 A JP19127197 A JP 19127197A JP H1134203 A JPH1134203 A JP H1134203A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
oxygen
resin
oxygen permeability
deoxidizing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP19127197A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3856056B2 (ja
Inventor
Masukazu Hirata
益一 平田
Hiroshi Hasegawa
浩 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Gas Chemical Co Inc filed Critical Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority to JP19127197A priority Critical patent/JP3856056B2/ja
Publication of JPH1134203A publication Critical patent/JPH1134203A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3856056B2 publication Critical patent/JP3856056B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Packages (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Bag Frames (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 片側吸収型の脱酸素体において、高酸素吸収
速度と易開封性とを両立させる。 【解決手段】 易開封性で高い酸素透過率の無孔性の樹
脂からなる酸素透過性層、脱酸素成分を含む樹脂からな
る無孔性または多孔性の脱酸素層、低い酸素透過性の材
料からなるバリヤ層の少なくとも3種の層を含む多層構
造。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脱酸素機能を有する
フィルム状またはシート状の脱酸素多層体に関する。詳
しくは、脱酸素性能に優れ、かつ易開封性を備えた片側
吸収型の脱酸素多層体に関する。本発明の脱酸素多層体
は、食品、医薬品や金属製品などの、酸素の影響を受け
て変質し易い各種製品の酸化を防止する目的を持つ容器
および包装体を構成するために使用される。
【0002】
【従来の技術】食品や医薬品、金属製品に代表される、
酸素の影響を受けて変質し易い各種製品の酸化を防止す
る目的で、これらを収納した包装容器や包装袋内の酸素
除去を行う脱酸素剤が従来より使用されている。この脱
酸素剤として初期に開発され現在も多く使用されている
形態は、粒状または粉状の脱酸素成分を小袋に詰めたも
のである。また、より取扱いが容易で適用範囲が広く、
誤食などの問題のない安全な脱酸素体として、フィルム
またはシート(以下、まとめてフィルムとする)の形状
のものがあり、これにより包装容器や包装袋自体に脱酸
素機能を持たせることができる。
【0003】フィルム形状の脱酸素体自体の内部構造と
しては、脱酸素成分を含む樹脂からなる脱酸素層と、そ
の脱酸素層の外気側の面に酸素のさらなる透過流入を阻
止するバリヤ層とが必須である。また、脱酸素成分によ
る前記各種製品への汚染を防止するために、脱酸素層の
外気側とは逆の面に樹脂層を配置することが一般的であ
り、その樹脂層に高い酸素透過性があることが望まし
い。さらに、これらバリヤ層、脱酸素層、酸素透過性層
の3種の層以外に、フィルムとしての強度の発現、製造
の容易さ、脱酸素性能の向上などの要請により、各種の
層を追加することになる。以上を反映した脱酸素体自体
の内部構造の例として、特公平4−13147や特願平
8−347786などがある。
【0004】このフィルムを包装容器や包装袋に用いる
場合には、上記の脱酸素機能に関する内部構造の最適化
と共に、包装容器や包装袋としての各種機能の付与が必
要である。この機能のひとつとして易開封性がある。こ
れは、器具を用いることなく適度な強度で容器や袋を開
封できる機能である。通常の脱酸素機能のない包装容器
や包装袋への易開封性の付与は、すでに種々の方法によ
り実現されている。それらの方法のうち、容器や袋の構
造が最も単純となるのは、包装容器や包装袋を構成する
フィルムの、相互に融着する側の層に易開封性を付与す
る方法であり、さらには、その層に易開封性の樹脂など
を用いる方法である。そして、包装容器や包装袋を、易
開封性を付与した層を含む側と、易開封性を付与せず易
開封される側(相手側)とに分けて捉えると、易開封さ
れる側の材質として、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ
塩化ビニルなどの樹脂、各種のガラス、各種の金属など
があり、これらの各材質に対応して易開封性を付与した
層の樹脂などが選択される。これらの例として、特公昭
46−35513、特公昭47−35876、特公昭5
2−46150、特公平5−64593、特公平5−8
2818、特公平7−110532、特開平8−263
40などがある。
【0005】以上のように、易開封性を付与した脱酸素
機能のないフィルムはすでに存在している。しかし、易
開封性と高い脱酸素性能とを両立させた脱酸素多層体は
存在していなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の問題点を解決して、脱酸素性能に優れ、かつ
易開封性のある脱酸素多層体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、鋭意検討を
重ねた結果、易開封性を有することが知られている樹脂
のうちの一部の樹脂または樹脂混合物について酸素透過
性も高いことを見い出し、これを酸素透過性層に用いる
ことで、高い脱酸素性能と易開封性とを両立させた脱酸
素多層体を得て、本発明を完成した。
【0008】本発明は、複数の樹脂の層が積層された脱
酸素機能を有する脱酸素多層体において、脱酸素成分を
含む樹脂からなる無孔性または多孔性の脱酸素層Aと、
高い酸素透過率の無孔性の樹脂からなる酸素透過性層B
と、低い酸素透過性の材料からなるバリヤ層Cとを備
え、前記脱酸素層Aの一方の面に少なくとも前記酸素透
過性層Bを、他方の面に少なくとも前記バリヤ層Cを積
層し、かつ該酸素透過性層Bが他の樹脂層又はガラス層
に融着及び融着後の剥離が容易にできることを特徴とす
る脱酸素多層体に関する。
【0009】ここで、前記脱酸素多層体を他の樹脂層又
はガラス層に融着させた後に剥離させる場合において、
前記酸素透過性層Bの剥離強度が幅1cm当たり1〜20
N であることが好ましい。
【0010】また、前記酸素透過性層Bの酸素透過率が
1×10-11 〜6×10-9[cm3 /cm2 ・sec ・Pa]で
あることが好ましい。
【0011】また、前記バリヤ層Cの酸素透過率が1×
10-12 [cm3 /cm2 ・sec ・Pa]以下であることが好
ましい。
【0012】さらに、フィルムとしての強度の発現、製
造の容易さ、脱酸素性能のさらなる向上などの要請によ
り、前記3層以外に各種の層を追加することも可能であ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明による片側吸収型の脱酸素
多層体の層構成例が図面に示される。図1はバリヤ層C
/脱酸素層A/酸素透過性層Bからなる構成例を示す。
ここで、脱酸素層Aは無孔質または多孔質である。ま
た、図2はバリヤ層C/中間層2/脱酸素層A/中間層
1/酸素透過性層Bからなる構成例を示す。ここで、脱
酸素層Aと中間層1とは多孔質であり、中間層1と中間
層2は脱酸素層中の脱酸素成分粒子の凹凸などからそれ
ぞれ酸素透過性層Bとバリヤ層Cとを保護するための層
である。
【0014】脱酸素層の脱酸素成分としては、種々の組
成物が知られているが、中でも鉄粉、アルミニウム粉、
ケイ素粉などの金属粉、第一鉄塩などの無機塩類、アス
コルビン酸とその塩類、カテコール、グリセリンなどの
アルコールまたはフェノール類などの各種有機化合物が
好ましく、特に鉄粉を主成分とするものが適当である。
さらに、鉄粉と各種塩類、特にハロゲン化金属を添加し
たもの、中でも鉄粉の表面をハロゲン化金属で被覆した
ものが好ましい。
【0015】脱酸素層の脱酸素成分以外の樹脂成分とし
ては、通常知られている各種の樹脂、すなわち、単独の
モノマー種から重合された高分子のみでなく、各種の共
重合体、樹脂の混合体が使用可能である。具体的な樹脂
の例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4
−メチル−1−ペンテンなどのオレフィン類の単独重合
体および共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポ
リブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン
共重合体とその水素添加物、各種シリコン樹脂、などが
あり、さらにこれらの変成物、グラフト体、混合物など
でもよい。
【0016】バリヤ層を構成する材料としては、低酸素
透過性の樹脂では、ポリエチレンテレフタレートなどの
ポリエステル類、ナイロン6、ナイロンMXDなどのポ
リアミド類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなど
の塩素含有樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体
などと、それらのコート品、金属では、アルミニウムな
どの箔または樹脂への蒸着品、無機化合物では、ケイ素
酸化物などの樹脂への蒸着品などの通常知られたものが
ある。
【0017】酸素透過性層に用いる樹脂としては、脱酸
素層の樹脂成分として示したような各種の樹脂のうち、
易開封性と高い酸素透過性とを満たす樹脂を選択する。
これらについては以下のようになる。2つの層(少なく
とも一方は樹脂からなる層)の間における易開封性は、
それら2つの層の間における広い意味での結合力を変化
させることで実現される。この結合力を樹脂の材質で変
化させる手法として、相溶性のある2つの層の少なくと
も一方に相溶性の無い樹脂を混合(逆に見れば、相溶性
の無い2つの層の少なくとも一方に相溶性のある樹脂を
混合)するものや、相溶性の無い2つの層の少なくとも
一方に接着性のある樹脂を混合するものなどがあり、本
発明でもこれらの手法を用いる。なお、ここでの相溶性
の証明は熱力学的に厳密である必要はなく、例えば、両
者の熱融着が可能であればよい。
【0018】酸素透過性層に要求される酸素透過性の程
度は次のように計算される。すなわち、面積Aの膜の両
面の圧力差がpのとき、体積Vの気体を透過させるのに
時間tを要する場合、その定義より気体透過率(P/
X、Pは気体透過係数、Xは膜の厚さ)は、P/X=V
/Aptとなる。ただし、これは圧力差が一定の場合で
あり、ここで対象とする有限の体積を持つ系からの脱酸
素では、酸素の圧力が脱酸素に伴って低下するので、圧
力差が低下していくことを考慮する必要がある。これを
考慮すると、酸素濃度の変化は直線的な減少ではなく、
ほぼ指数関数的な減少となる。そのため、例えば、空気
(酸素濃度20.6[vol %])を含む対象系からの脱酸素
で、酸素濃度0.1 [vol %]を脱酸素状態と判定するな
ら、前式で計算される値のlogee 20.6/0.1 )=5倍程
度の透過率があればよい。さらに、空気の体積Va (V
=0.206 Va )、空気の圧力pa (p=0.206 pa )よ
り、係数0.206 は相殺されて、結局、P/X=5Va
Apa tとなる。以上より、脱酸素フィルムおよびシー
トの無孔質層に要求される酸素透過率を計算すると、p
a =1.013 ×105 [Pa](常圧)において、Va /A=
0.1 〜5 [cm3 /cm2]、t=0.5 〜5 [day ]より、
a /At=0.02〜10[cm3 /cm2 ・day ]、P/X=
1 ×10-11 〜6 ×10-9 [cm3 /cm2 ・sec ・Pa]とな
る。
【0019】本発明では、前述したような各種の樹脂か
ら、易開封性と同時に高酸素透過性を与える樹脂または
樹脂混合物を選択して、酸素透過性層に用いる。その酸
素透過率P/Xの下限値は1×10-11 [cm3 /cm2
sec ・Pa]であり、樹脂そのものに要求される酸素透過
係数Pは、酸素透過性層の厚さXにより、変化する。例
えば、X=0.001cmであれば、P=1×10
-14 [cm3 ・cm/cm2 ・sec・Pa]以上の樹脂を選択す
ればよい。実際の選択に当たっては、この酸素透過係数
と、易開封性で重要となる剥離強度、さらに他の層との
積層の容易さ、などを考慮することになる。これらよ
り、酸素透過性層に用いる具体的な樹脂として、易開封
される側(相手側)がポリプロピレンである場合には、
エチレンープロピレン共重合体と直鎖状低密度ポリエチ
レンとの混合物、エチレンープロピレン共重合体とエチ
レンー酢酸ビニル共重合体との混合物、エチレンープロ
ピレン共重合体とポリエチレンを主体に改質した易開封
性の特殊樹脂との混合物、などがあり、また、易開封さ
れる側がポリエステル、ポリカーボネート、エポキシ樹
脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、各種ガラスである
場合には、エチレンープロピレン共重合体とポリエチレ
ンを主体に改質し反応性の官能基も導入した易開封性の
特殊樹脂および/またはポリエチレンを主体に反応性の
官能基を導入した接着性の特殊樹脂との混合物など、が
ある。
【0020】多数の層の積層には、共押し出し、押し出
しラミネート、押し出しコーティングなどの公知の方法
を用いることができる。また、バリヤ層を後から加える
場合には、同層を熱ラミネート、ドライラミネート、押
し出しコーティングなどの公知の方法により接着または
融着して、最終的な多層構造とすることができる。易開
封される側(相手側)の材質については、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオ
レフィン類、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポ
リエステル類、ポリ塩化ビニルなどの塩素含有樹脂、ポ
リカーボネート類、ポリスチレン、各種硬化系のエポキ
シ樹脂類、などの樹脂、各種ガラス、各種金属などのよ
うな多くの種類がある。ただし、これは少なくとも表面
の材質を規定するものであり、一般的には、易開封され
る側が多層構造を持ち、その内部の材質が異なっていて
も、もちろんよい。
【0021】本発明の脱酸素多層体は、脱酸素包装材料
として包装袋や包装容器の一部または全部に種々の形で
使用される。図3と図4は、脱酸素多層体をそれぞれ包
装用容器の蓋材、または、包装容器の一部に使用した例
である。
【0022】
【実施例】以下、実施例と比較例を用いて本発明をさら
に詳しく説明するが、本発明はこれによって限定される
ものではない。なお、説明中に共通の事項は次の通りで
ある。脱酸素成分として、平均粒径約35μm (最大粒
径約100μm )の鉄粉に塩化カルシウム水溶液を噴霧
し加熱乾燥させてコーティングしたものを用いた(以
下、これを単に鉄粉と呼ぶ)。比率は鉄粉100重量部
に対して塩化カルシウム2重量部である。また、難水溶
性フィラーとして、合成シリカ(( 株) 龍森製、商品名
CRYSTALITE VXS2 、平均粒径5μm )を用いた。
【0023】用いた樹脂は以下である。 エチレン−プロピレン共重合体:三井石油化学工業(
株) 製、商品名TAFMER P-0680 、エチレン成分のmol 分
率は約0.75、メルトフローレート0.4g/10min
(190℃) 、25℃における酸素透過係数1.4×10
-12 [cm3 ・cm/cm 2 ・sec ・Pa]。 直鎖状低密度ポリエチレン:三井石油化学工業( 株)
製、商品名ULTZEX 2520F、ポリエチレンであるが実際は
他のα−オレフィンを若干含む共重合体、メルトフロー
レート2.3g/10min 、融点118℃、25℃における
酸素透過係数3.0×10-13 [cm3 ・cm/cm2 ・sec
・Pa]。 エチレン−酢酸ビニル共重合体:三菱化学( 株) 製、商
品名LV350 、酢酸ビニル成分の重量分率は0.11、メ
ルトフローレート3.5g/10min 、25℃における酸素
透過係数5.0×10-13 [cm3 ・cm/cm2 ・sec ・P
a]。 ポリエチレンを主体に改質した特殊樹脂:三菱化学(
株) 製、商品名VMX Y-02、メルトフローレート8.0g/
10min (190℃)、25℃における酸素透過係数2.
7×10-13 [cm3 ・cm/cm2 ・sec ・Pa]。 ポリエチレンを主体に改質し反応性の官能基も導入した
特殊樹脂:三菱化学(株) 製、商品名VMX Z120F 、メル
トフローレート8.0g/10min 、25℃における酸素透
過係数3.0×10-13 [cm3 ・cm/cm2 ・sec ・P
a]。 ポリエチレンを主体に反応性の官能基を導入した接着性
樹脂:三菱化学( 株)製、商品名MODIC-AP F504 、メル
トフローレート3.5g/10min 。
【0024】脱酸素成分または難水溶性フィラーと樹脂
との混合、または複数の樹脂の混合では、それらを所定
の重量比でドライブレンド後、30mm径2軸押し出し機
にて混練、ストランドダイより押し出し、冷却、ペレタ
イザーで切断して、混合物ペレットとした。多層フィル
ムの作製では、上記の混合物ペレットを含めた各層の材
料ペレットを用いて、バリヤ層以外の複数の層を共押し
出しまたは押し出しコーティングにて積層し、その後、
アルミニウム(7μm )/ポリエチレンテレフタレート
(25μm )の2層からなるバリヤフィルムをドライラ
ミネート用接着剤で接着して、バリヤ層とした。
【0025】脱酸素性能の測定は、所定面積の脱酸素多
層フィルムと所定量の空気、さらに加湿用の水を含ませ
た脱脂綿を、アルミニウム層を含む酸素バリヤ性の袋に
入れて、25℃における酸素濃度の経時変化をガスクロ
マトグラフ(( 株) 島津製作所、GC-14B)で追跡するこ
とで行った。測定用の試料として15cm×20cmで切り
出したフィルムを用い、空気量を300cm3 または50
cm3 とした。そして、脱酸素速度を酸素濃度0.1vol
%に達するまでの時間で示した。融着強度の測定では、
まず、脱酸素フィルムと剥離される側の各材質のシート
とを、表1の各温度に調節した熱板を用いて、圧力1.
0kgf/cm2 で、3秒間加熱して融着させた。そして、こ
の融着品から幅15mmの試料を切り出し、そのシートの
融着していない面を両面テープで台に固定してから、脱
酸素フィルム側を引っ張り、剥離時の強度を測定した。
その際、剥離の速度を300mm/min、角度を135度と
した。また、測定を3回以上行い、その平均を強度の値
とした。
【0026】実施例1 酸素透過性層Bとしてエチレン−プロピレン共重合体
(TAFMER P-0680 )70wt%と直鎖状低密度ポリエチレ
ン(ULTZEX 2520F)30wt%との混合物(25℃におけ
る酸素透過係数8.2×10-13 [cm3 ・cm/cm2 ・se
c ・Pa])、中間層1の前段階の難水溶性フィラー含有
層として直鎖状低密度ポリエチレン(同)50wt%と合
成シリカ50wt%の混合物、脱酸素層Aとして直鎖状低
密度ポリエチレン(同)30wt%と鉄粉70wt%の混合
物、中間層2として直鎖状低密度ポリエチレン(同)の
計4層を、酸素透過性層(40μm )/難水溶性フィラ
ー含有層(100μm )/脱酸素層(100μm )/中
間層2(200μm )、の構成と各厚さで、共押し出し
により積層した。この4層品を温度100℃、倍率4倍
で1軸延伸して、酸素透過性層を含めた全体を薄くし、
同時に、脱酸素層と難水溶性フィラー含有層とを連続多
孔化した。延伸後の4層全体の厚さは約140μm であ
った。この多層品の中間層2側を3.6kJ/m2 でコロナ
放電処理した後、バリヤ層Cとするためにバリヤフィル
ムを接着して、酸素透過性層B/中間層1/脱酸素層A
/中間層2/接着層/バリヤ層Cからなる脱酸素フィル
ムとした。酸素透過性層の厚さを10μm として、その
酸素透過率は8.2×10-10 [cm3 /cm2 ・sec ・P
a]となる。このフィルムによる空気量300cm3 から
の脱酸素は1.7日であった。また、剥離される側に厚
さ1mmのポリプロピレン(三菱化学( 株) 、EA9 )のシ
ートを用いた場合の剥離強度は表1の通りであった。
【0027】実施例2 酸素透過性層Bとしてエチレン−プロピレン共重合体
(TAFMER P-0680 )50wt%とエチレン−酢酸ビニル共
重合体(LV350 )50wt%との混合物(25℃における
酸素透過係数9.4×10-13 [cm3 ・cm/cm2 ・sec
・Pa])を用いた以外は実施例1と同様にして、脱酸素
フィルムを作製した。酸素透過性層の厚さを10μm と
して、その酸素透過率は9.4×10-10 [cm3 /cm2
・sec ・Pa]となる。このフィルムによる空気量300
cm3 からの脱酸素は1.5日であった。また、剥離され
る側に実施例1と同じポリプロピレンのシートを用いた
場合の剥離強度は表1の通りであった。
【0028】実施例3 酸素透過性層Bとしてエチレン−プロピレン共重合体
(TAFMER P-0680 )70wt%と易開封用樹脂(VMX Y-0
2)30wt%との混合物(25℃における酸素透過係数
8.1×10-13 [cm3 ・cm/cm2 ・sec ・Pa])を用
いた以外は実施例1と同様にして、脱酸素フィルムを作
製した。酸素透過性層の厚さを10μm として、その酸
素透過率は8.1×10-10 [cm3 /cm2 ・sec ・Pa]
となる。このフィルムによる空気量300cm3 からの脱
酸素は1.8日であった。また、剥離される側に実施例
1と同じポリプロピレンのシートを用いた場合の剥離強
度は表1の通りであった。
【0029】実施例4〜9 酸素透過性層Bとしてエチレン−プロピレン共重合体
(TAFMER P-0680 )20wt%と易開封用樹脂(VMX Z120
F )50wt%と接着性樹脂(MODIC-AP F504 )30wt%
の混合物(25℃における酸素透過係数5.0×10
-13 [cm3 ・cm/cm 2 ・sec ・Pa])を用いた以外は実
施例1と同様にして、脱酸素フィルムを作製した。酸素
透過性層の厚さを10μm として、その酸素透過率は
5.0×10-1 0 [cm3 /cm2 ・sec ・Pa]となる。こ
のフィルムによる空気量300cm3 からの脱酸素は2.
9日であった。また、剥離される側にポリエチレンテレ
フタレート(厚さ200μm )、ポリエチレンナフタレ
ート(厚さ100μm )、ポリブチレンテレフタレート
(厚さ100μm )、ポリカーボネート(ジオール成分
はビスフェノール−A、厚さ500μm )、エポキシ樹
脂(ジシアンジアミド硬化型、電子回路用積層板の樹脂
表面、厚さ500μm )、鉄に表面コーティングされた
エポキシ樹脂(厚さ10μm 前後の水溶性エポキシ樹脂
の硬化物、飲料水の缶、鉄部分の厚さ200μm 程度)
を用いた場合のそれぞれの剥離強度は表1の通りであっ
た。
【0030】実施例10〜14 エチレン−プロピレン共重合体(TAFMER P-0680 )20
wt%と易開封用樹脂(VMX Z120F )50wt%と接着性樹
脂(MODIC-AP F504 )30wt%の混合物を用いて単層フ
ィルムを作製し、その片側に、直鎖状低密度ポリエチレ
ン(ULTZEX 2520F)40wt%と鉄粉60wt%の混合物、
直鎖状低密度ポリエチレン(同)を押し出しコーティン
グにより順に積層して、酸素透過性層B(50μm )/
脱酸素層A(150μm )/中間層2(50μm )の構
成と各厚さとした。さらに、中間層2側に実施例1と同
様にしてバリヤ層を接着した。酸素透過性層の酸素透過
率は1.0×10-10 [cm3 /cm2 ・sec ・Pa]とな
る。このフィルムによる空気量50cm3 からの脱酸素は
2.4日であった。また、剥離される側にポリスチレン
(厚さ200μm )、ポリ塩化ビニル(厚さ500μm
)、ソーダガラス(厚さ2mm)、ホウケイ酸ガラス
(厚さ2mm)、アルミノケイ酸ガラス(厚さ2mm)を用
いた場合のそれぞれの剥離強度は表1の通りであった。
ここで、3種のガラスは予めアルカリ水溶液に浸漬、洗
浄して表面を親水化しておいた。
【0031】
【表1】
【0032】比較例1 実施例1と同じ脱酸素フィルムを用いて、剥離される側
にポリエチレンテレフタレート(厚さ200μm )、ポ
リエチレンナフタレート(厚さ100μm )、ポリブチ
レンテレフタレート(厚さ100μm )、ポリカーボネ
ート(ジオール成分はビスフェノール−A、厚さ500
μm )、エポキシ樹脂(ジシアンジアミド硬化型、電子
回路用積層板の樹脂表面、厚さ500μm )、鉄に表面
コーティングされたエポキシ樹脂(厚さ10μm 前後の
水溶性エポキシ樹脂の硬化物、飲料水の缶、鉄部分の厚
さ200μm 程度)、ポリスチレン(厚さ200μm
)、ポリ塩化ビニル(厚さ500μm )、ソーダガラ
ス(厚さ2mm)、ホウケイ酸ガラス(厚さ2mm)、アル
ミノケイ酸ガラス(厚さ2mm)を用いて、融着を試み
た。いずれも融着されなかった。
【0033】
【発明の効果】本発明の脱酸素多層体は、高酸素吸収速
度、脱酸素成分による汚染の防止性に加えて易開封性を
合わせ持つ、新規な脱酸素体であり、従来の脱酸素剤の
主な対象であった液体成分の少ない系だけでなく、各種
液体成分が多量に含まれる系に対しても適用可能であっ
て、食品、医薬品や金属製品などの、酸素の影響を受け
て変質し易い各種製品の酸化を防止する目的を持つ容器
および包装体を構成するために用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱酸素多層体の構成例の断面図
【図2】脱酸素多層体の構成例の断面図
【図3】脱酸素多層体を蓋材に使用した包装容器の断面
【図4】脱酸素多層体を容器本体に使用した包装容器の
断面図
【符号の説明】
1 酸素透過性無孔質層 2 脱酸素層 3 バリヤ層 4 中間層1(多孔質) 5 中間層2(無孔質) 10 片側吸収型の脱酸素多層体 20 バリヤ性のある容器本体(単層または多層) 30 脱酸素機能のない一般のバリヤフィルム(単層ま
たは多層)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の樹脂の層が積層された脱酸素機能
    を有する脱酸素多層体において、脱酸素成分を含む樹脂
    からなる無孔性または多孔性の脱酸素層Aと、高い酸素
    透過率の無孔性の樹脂からなる酸素透過性層Bと、低い
    酸素透過性の材料からなるバリヤ層Cとを備え、前記脱
    酸素層Aの一方の面に少なくとも前記酸素透過性層B
    を、他方の面に少なくとも前記バリヤ層Cを積層し、か
    つ該酸素透過性層Bが他の樹脂層又はガラス層に融着及
    び融着後の剥離が容易にできることを特徴とする脱酸素
    多層体。
  2. 【請求項2】 前記脱酸素多層体を他の樹脂層又はガラ
    ス層に融着させた後に剥離させる場合において、前記酸
    素透過性層Bの剥離強度が幅1cm当たり1〜20N であ
    ることを特徴とする請求項1記載の脱酸素多層体。
  3. 【請求項3】 前記酸素透過性層Bの酸素透過率が1×
    10-11 〜6×10 -9[cm3 /cm2 ・sec ・Pa]である
    ことを特徴とする請求項1記載の脱酸素多層体。
  4. 【請求項4】 前記バリヤ層Cの酸素透過率が1×10
    -12 [cm3 /cm2 ・sec ・Pa]以下であることを特徴と
    する請求項1記載の脱酸素多層体。
JP19127197A 1997-07-16 1997-07-16 易開封性の脱酸素多層体 Expired - Lifetime JP3856056B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19127197A JP3856056B2 (ja) 1997-07-16 1997-07-16 易開封性の脱酸素多層体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19127197A JP3856056B2 (ja) 1997-07-16 1997-07-16 易開封性の脱酸素多層体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1134203A true JPH1134203A (ja) 1999-02-09
JP3856056B2 JP3856056B2 (ja) 2006-12-13

Family

ID=16271778

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19127197A Expired - Lifetime JP3856056B2 (ja) 1997-07-16 1997-07-16 易開封性の脱酸素多層体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3856056B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007181989A (ja) * 2006-01-06 2007-07-19 Idemitsu Unitech Co Ltd 多層シート、多層シートの製造方法、容器および易開封性包装体
JP4552311B2 (ja) * 2000-11-15 2010-09-29 東洋製罐株式会社 包装容器
JP2012076766A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 Dainippon Printing Co Ltd 蓋材及びそれを備えた密封容器
WO2013011656A1 (ja) * 2011-07-20 2013-01-24 三井・デュポンポリケミカル株式会社 感圧型粘着フィルムまたはシート、表面保護フィルムまたはシート、および物品の表面を保護するために使用する方法
WO2015141789A1 (ja) * 2014-03-19 2015-09-24 大日本印刷株式会社 インモールドラベル容器

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4552311B2 (ja) * 2000-11-15 2010-09-29 東洋製罐株式会社 包装容器
JP2007181989A (ja) * 2006-01-06 2007-07-19 Idemitsu Unitech Co Ltd 多層シート、多層シートの製造方法、容器および易開封性包装体
JP2012076766A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 Dainippon Printing Co Ltd 蓋材及びそれを備えた密封容器
WO2013011656A1 (ja) * 2011-07-20 2013-01-24 三井・デュポンポリケミカル株式会社 感圧型粘着フィルムまたはシート、表面保護フィルムまたはシート、および物品の表面を保護するために使用する方法
WO2015141789A1 (ja) * 2014-03-19 2015-09-24 大日本印刷株式会社 インモールドラベル容器
JP2015178378A (ja) * 2014-03-19 2015-10-08 大日本印刷株式会社 インモールドラベル容器
CN106132841A (zh) * 2014-03-19 2016-11-16 大日本印刷株式会社 模内标签容器
CN106132841B (zh) * 2014-03-19 2018-12-25 大日本印刷株式会社 模内标签容器

Also Published As

Publication number Publication date
JP3856056B2 (ja) 2006-12-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5296291A (en) Heat resistant breathable films
KR100274695B1 (ko) 산소흡수 다층막 및 그 제법
US5061534A (en) High oxygen barrier film
JP2967740B2 (ja) 酸素吸収多層フィルムの製造方法
US4935271A (en) Lettuce packaging film
WO1994023949A1 (en) Multilayer film structure
US6117538A (en) Deoxidizing multilayered body and method or manufacturing the same
RU2675568C1 (ru) Вакуумная плотно прилегающая упаковка с легкооткрываемым/повторно закрываемым нижним полотном
JP3856056B2 (ja) 易開封性の脱酸素多層体
JPH09234811A (ja) フィルム状又はシート状の脱酸素多層体とその製造方法
WO2014045964A1 (ja) 薬剤包装用シート、および薬剤包装体
JPS6225101B2 (ja)
JPS591794Y2 (ja) ホウソウヨウセキソウフイルム
JP2005103904A (ja) 共押出多層フィルム及びラミネートフィルム
JP2005153324A (ja) 共押出多層フィルムおよびラミネートフィルム
JPH07304139A (ja) バリヤー性包装材料およびその製造方法
JPH10235773A (ja) 積層体及びそれを用いた袋体の製造方法
JP3019153B2 (ja) 酸素吸収多層フィルム
WO2020008167A1 (en) Multilayer film
JPS62273850A (ja) 保存性食品の長期貯蔵用包装材料
AU627179B2 (en) High oxygen barrier film
JP2004025562A (ja) ポリオレフィン系重合体積層フィルム及び包装体
JP2017202580A (ja) ヒートシール用積層体
JP2017213786A (ja) 酸素吸収性フィルム
JPH10264279A (ja) 片側吸収型脱酸素多層体とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040526

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040526

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060407

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060517

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060710

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060823

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060905

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100922

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100922

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110922

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110922

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120922

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130922

Year of fee payment: 7

EXPY Cancellation because of completion of term