JP2017213786A - 酸素吸収性フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】良好なヒートシール性を維持しつつ、酸素欠損を有する酸化セリウムの色及び/又は酸素吸収前後の色差を隠蔽して包装体に良好な外観を与えることができる、酸素吸収性フィルムを提供する。
【解決手段】ヒートシール性隠蔽層10、及び酸素吸収層20をこの順で具備しており、ヒートシール性隠蔽層が、鱗片状アルミニウム粒子12、及び第1の熱可塑性樹脂14を含有しており、かつ酸素吸収層が、酸素欠損を有する酸化セリウム22、及び第2の熱可塑性樹脂24を含有している、酸素吸収性フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸素吸収性フィルムに関する。
食品、薬剤、医薬品、化粧品、電子部品等のための包装材料には、包装体内の酸素による酸化によって内容物の品質が低下しないよう、酸素吸収性フィルムが用いられている。この酸素吸収性フィルムとしては、種々の態様のものが提案されている。
特許文献1では、内層、酸素吸収層及び外層を有する、酸素吸収性積層体が開示されている。特許文献1では、この内層は、ヒートシール性を有しており、かつ酸素吸収層の酸素吸収剤による着色から隠蔽する目的で、二酸化チタン等の白色顔料を含有している。
特許文献2では、酸素透過層、酸素吸収層、及びガスバリア層をこの順で有する酸素吸収多層フィルムが開示されている。この酸素透過層は、無着色層と着色隠蔽層との2層からなり、なおかつ無着色層が表面層を形成している。この着色隠蔽層は、酸素吸収層に配合された脱酸素剤である鉄粉や添加物の色を隠蔽するため、白色や黒色顔料を含有している。
特許文献3では、外層から内層に向かって、少なくもガスバリア層、酸素吸収層、ヒートシール層とをこの順に積層した酸素吸収性フィルムと、ガスバリア性剥離層とからなる酸素吸収性積層体が開示されている。特許文献3では、酸素吸収剤として、酸素欠損を有する酸化セリウムを用いるとしている。また、特許文献3では、ヒートシール層を顔料や染料を含有する着色層と含まない層とに分離し、着色層を、例えば、白色顔料や染料を混練して遮光性に優れる白色樹脂層などとすることができることも開示されている。
特開2002−144464号公報 特開平11−123794号公報 特開2012−35514号公報
鉄や酸化セリウムなどを酸素吸収剤とした酸素吸収性フィルムは、酸素吸収剤由来の色が付く。そのため、これらの酸素吸収剤を有する酸素吸収性フィルムを単純にアルミニウム箔等のガスバリア層と積層させて包装用積層体とし、この積層体を用いて酸素吸収性フィルムが内側になるようにして製袋品とした場合には、袋内部から酸素吸収剤由来の色が視認でき、外観が悪い。
また、酸素欠損を有する酸化セリウムは、鉄系酸素吸収剤と比較して、水を用いることなく酸素吸収が可能であること等の利点を有する一方で、色が濃く、また酸素吸収前後における色差が大きい。
この酸化セリウムの色及び/又は色差を隠蔽するために、特許文献1に記載されているように、白色顔料を有する隠蔽層を用いた場合、多量の顔料を用いる必要があり、それによってフィルムに種々のデメリット、例えばヒートシール性の低減等をもたらすこととなる。
この低減したヒートシール性を補うためには、特許文献2及び3に開示されているように、ヒートシール性を有する層を別途積層させる必要が生じるため、余分な工程が生じることとなる。
また、アルミニウム箔を含むガスバリア層と酸素吸収性フィルムとを積層させた積層体と、アルミニウム箔を含むガスバリア層とポリエチレン等の一般のヒートシール層とを積層させた積層体と、を対向させて包装袋とした場合、包装袋内面から見ると、一方の壁(積層体)は隠蔽層の色(白色)に見え、他方の壁(積層体)はアルミニウム箔の色(銀色)に見えるため、両面で色が異なることにより違和感を抱かれ、不良品と勘違いされる恐れがある。
そこで、良好なヒートシール性を維持しつつ、酸素欠損を有する酸化セリウムの色及び/又は酸素吸収前後の色差を隠蔽して包装体に良好な外観を与えることができ、かつアルミニウム箔を含むガスバリア層と一般のヒートシール層を積層させた積層体と組み合わせて包装袋とした場合にも、同様の色に見える、酸素吸収性フィルムを提供する必要性が存在する。
本発明者らは、鋭意検討したところ、以下の手段により上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、下記のとおりである:
〈1〉 ヒートシール性隠蔽層、及び酸素吸収層をこの順で具備しており、
上記ヒートシール性隠蔽層が、鱗片状アルミニウム粒子、及び第1の熱可塑性樹脂を含有しており、かつ
上記酸素吸収層が、酸素欠損を有する酸化セリウム、及び第2の熱可塑性樹脂を含有している、
酸素吸収性フィルム。
〈2〉 上記アルミニウム粒子の含有量が、上記ヒートシール性隠蔽層全体の質量に対して、0.50質量%以上である、上記〈1〉項に記載の酸素吸収性フィルム。
〈3〉 上記アルミニウム粒子の含有量が、上記ヒートシール性隠蔽層全体の質量に対して、0.50質量%以上である、上記〈2〉項に記載の酸素吸収性フィルム。
〈4〉 上記アルミニウム粒子の含有量が、上記ヒートシール性隠蔽層全体の質量に対して、2.0質量%以下である、上記〈1〉〜〈3〉項のいずれか一項に記載の酸素吸収性フィルム。
〈5〉 上記アルミニウム粒子の平均粒子径が0.5〜30.0μmであり、かつアスペクト比が5〜100である、上記〈1〉〜〈4〉項のいずれか一項に記載の酸素吸収性フィルム。
〈6〉 上記酸素吸収性フィルムの一方又は両方の面に積層されているスキン層を更に有する、上記〈1〉〜〈5〉項のいずれか一項に記載の酸素吸収性フィルム。
〈7〉 上記ヒートシール性隠蔽層側から見たときに、酸素吸収前後の、JIS Z 8781に準拠するL表色系における色差ΔEabの値が、15以下である、上記〈1〉〜〈6〉項のいずれか一項に記載の酸素吸収性フィルム。
〈8〉 上記ヒートシール性隠蔽層側から見たときに、酸素吸収前後の、JIS Z 8781に準拠するL表色系における色差ΔEabの値が、6.5以下である、上記〈7〉項に記載の酸素吸収性フィルム。
〈9〉 上記〈1〉〜〈8〉項のいずれか一項に記載の酸素吸収性フィルム、及び上記酸素吸収性フィルムに積層されている基材を具備しており、かつ上記酸素吸収性フィルムが、上記基材側から順に、上記ヒートシール性隠蔽層及び上記酸素吸収層を有している、包装用積層体。
〈10〉 上記基材が、アルミニウム箔を有している、上記〈9〉項に記載の包装用積層体。
〈11〉 少なくとも一部が上記〈9〉又は〈10〉項に記載の包装用積層体で構成されており、かつ上記包装用積層体の上記ヒートシール性隠蔽層が、容器内面側に配置されている、包装容器。
〈12〉 上記〈11〉項に記載の包装容器、及び上記包装容器に収容されている内容物を具備しており、かつ上記包装用積層体の上記ヒートシール性隠蔽層が、上記内容物と接触する側に配置されている、包装体。
本発明によれば、良好なヒートシール性を維持しつつ、酸素欠損を有する酸化セリウムの色及び/又は酸素吸収前後の色差を隠蔽して包装体に良好な外観を与えることができる、酸素吸収性フィルムを提供することができる。
図1は、本発明の酸素吸収性フィルムの概略断面図である。 図2は、本発明の包装用積層体の概略断面図である。
《酸素吸収性フィルム》
図1に示すように、本発明の酸素吸収性フィルム(100)は、ヒートシール性隠蔽層(10)、酸素吸収層(20)、及び随意のスキン層(30)をこの順で具備している。また、本発明の酸素吸収性フィルムは、ヒートシール性隠蔽層側に更にスキン層を有していてもよい。
ヒートシール性隠蔽層(10)は、鱗片状アルミニウム粒子(12)、及び第1の熱可塑性樹脂(14)を含有しており、酸素吸収層(20)は、酸素欠損を有する酸化セリウム(22)、及び第2の熱可塑性樹脂(24)を含有している。
本発明者らは、ヒートシール性隠蔽層に鱗片状アルミニウム粒子を用いることにより、少量の鱗片状アルミニウム粒子により、酸素吸収前後における酸素吸収性フィルムの色を隠蔽でき、その結果良好なヒートシール性を維持できることを見出した。理論に拘束されることを望まないが、これは、ヒートシール性隠蔽層中で、リーフィング特性、すなわち鱗片状アルミニウム粒子が積層面に対して平行に配向する特性が生じること、及びアルミニウム粒子が金属色で光反射性があることに起因すると考えられる。
本発明の酸素吸収性フィルムは、ヒートシール性隠蔽層側から見たときに、酸素吸収前後の色差ΔEabが15.0以下、10.0以下、8.0以下、6.5以下、5.0以下、3.0以下、1.0以下、又は0.5以下であってよい。
ここで、本発明において、色差ΔEabは、JIS Z 8781に準拠するL表色系における色差ΔEabの値である。
特に、色差ΔEabの値が6.5以下であることは、一般に、酸素吸収前後における酸素吸収性フィルムが、少なくとも印象レベルで同色であると扱える範囲であることを意味する。
ここで、JIS Z 8781において、L値は明度を示しており、a値及びb値は彩度を示している。
ここで、酸素吸収前の酸素吸収性フィルムのL値、a値及びb値をそれぞれL 、a 及びb とし、かつ酸素吸収後の酸素吸収性フィルムのL値、a値及びb値をそれぞれL 、a 及びb とすると、酸素吸収前後における酸素吸収性フィルムの色差ΔEabの値は、以下の式で表される。
Figure 2017213786
以下では、本発明の酸素吸収性フィルムの各構成要素について説明する。
〈ヒートシール性隠蔽層〉
ヒートシール性隠蔽層は、鱗片状アルミニウム粒子、及び第1の熱可塑性樹脂を含有している。
ヒートシール性隠蔽層における鱗片状アルミニウム粒子の含有率は、酸素吸収前後における酸素吸収性フィルムの色を良好に隠蔽する観点から、ヒートシール性隠蔽層の質量を基準として、0.30質量%以上、0.40質量%以上、0.50質量%以上、0.60質量%以上、0.70質量%以上、又は1.0質量%以上であることが好ましく、5質量%以下、4質量%以下、又は3質量%以下とすることができる。また良好なヒートシール性を確保する観点から、ヒートシール性隠蔽層の質量を基準として、2.0質量%以下、1.8質量%以下、又は1.5質量%以下であることが好ましい。
ヒートシール性隠蔽層の厚さは、3μm以上、5μm以上、7μm以上、又は10μm以上であることができ、また100μm以下、50μm以下、30μm以下、又は20μm以下であることができる。
{鱗片状アルミニウム粒子}
鱗片状アルミニウム粒子としては、純アルミニウム、アルミニウム合金、酸化アルミニウムなどが使用できる。また、アルミニウム粒子に脂肪酸や樹脂などによるコーティング処理がなされているものを用いてもよい。
鱗片状アルミニウム粒子の平均粒子径は、隠蔽性を良好なものとする観点から、0.3μm以上、0.5μm以上、又は0.7μm以上であることが好ましく、またフィルムの突起となることを防止し、それによってフィルムが破断することを防止する観点から、30μm以下、20μm以下、又は10μm以下であることが好ましい。更に、平均粒子径が上記の範囲内であることにより、粒子形状が鱗片状であることから粒子が積層面に対して平行配向する、リーフィング特性により高い隠蔽効果を得ることができるため好ましい。
この平均粒子径は、D50;体積ベースのメディアン径を意味するものである。平均粒子径の測定は、例えば、日機装株式会社製のレーザー回折・散乱式粒度分析計「マイクロトラックHRA(X−100)」により、金属粒子を芳香族系炭化水素に分散させた状態で行うことができる。
鱗片状アルミニウム粒子のアスペクト比(粒子の平均粒子径/粒子の厚さ)は、100以下、70以下、50以下、又は30以下であることができ、また5以上、10以上、又は15以上であることができる。
{第1の熱可塑性樹脂}
第1の熱可塑性樹脂としては、酸素透過性を有する熱可塑性樹脂を用いることができる。このような熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。
本発明に関して、ポリオレフィン系樹脂は、エチレン、プロピレン等のオレフィン系モノマーを有するポリマーを意味するものであり、したがってオレフィン系モノマーのみからなるポリマー(ポリオレフィン)だけでなく、オレフィン系モノマーと、(メタ)アクリル酸、アクリレートモノマー、酢酸ビニル等の他のモノマーから構成されるポリマーも意味する。また、ポリオレフィン系樹脂は、酸変性されていても、酸変性されていなくてもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、特にポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂が挙げられる。ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、カルボン酸変性ポリエチレン、アイオノマー、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。また、ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレン(PP)ホモポリマー、ランダムポリプロピレン(ランダムPP)、ブロックポリプロピレン(ブロックPP)、塩素化ポリプロピレン、カルボン酸変性ポリプロピレン、及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。
ビニル系樹脂としては、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、例えばナイロン(登録商標)6、ナイロンMXD6等のナイロン等が挙げられる。
〈酸素吸収層〉
酸素吸収層は、酸素欠損を有する酸化セリウム、及び第2の熱可塑性樹脂を含有している。
酸素吸収層中の酸素欠損を有する酸化セリウムの含有量は、酸素吸収層の質量を基準として、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、又は20質量%以上であることができ、また85質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、又は60質量%以下であることができる。酸素吸収層中の酸素欠損を有する酸化セリウムの含有量が上記の範囲内であることにより、酸素吸収能及びフィルムの製膜性を両立させることができる。
酸素吸収層の厚さは、10μm以上、20μm以上、又は30μm以上であることができ、また300μm以下、200μm以下、100μm以下、80μm以下、又は50μm以下であることができる。
{酸素欠損を有する酸化セリウム}
酸素吸収層に含有される酸化セリウムは、酸素欠損を有する酸化セリウムである。
ここで、酸化セリウムの酸素欠損は、強還元雰囲気下での還元処理によって、以下の式(1)で表されるように、酸化セリウムの結晶格子中から酸素が強制的に引き抜かれて酸素欠損状態(CeO2−x、0<x<2)となることによりもたらされる。還元処理は、例えば水素ガスなどの還元性雰囲気下、1000℃などの高温で熱処理すること等により行うことができる。
CeO+xH→CeO2−x+xHO ・・・(1)
そして、以下の式(2)に示すように、酸素が欠損した部分が、酸素と反応することにより、酸素吸収剤としての効果が発揮される。
CeO2−x+(x/2)O→CeO ・・・(2)
上記のxの値は、1.0以下の正数であることができ、中でも0.7以下の正数であることが好ましい。上記の式(2)に示すように、酸化セリウムは酸素との反応において雰囲気中に水が存在することは必要とされない。したがって、本発明の酸素吸収性フィルムは、水分を嫌う内容物に特に有効である。
{第2の熱可塑性樹脂}
第2の熱可塑性樹脂としては、第1の熱可塑性樹脂に関して挙げた熱可塑性樹脂を用いることができる。また、第2の熱可塑性樹脂を構成する熱可塑性樹脂は、第1の熱可塑性樹脂を構成する熱可塑性樹脂と同種であっても異なっていてもよい。
〈スキン層〉
本発明の酸素吸収性フィルムは、一方又は両方の面に積層されているスキン層を更に有していてもよい。本発明の酸素吸収性フィルムがスキン層を有することにより、酸素吸収剤の脱落を防止すること、及び酸素吸収性フィルムの表面を平滑化させることができる。
スキン層は、熱可塑性樹脂で構成されていてよい。熱可塑性樹脂としては、第1の熱可塑性樹脂に関して挙げた熱可塑性樹脂を用いることができる。スキン層を構成する熱可塑性樹脂は、第1及び第2の熱可塑性樹脂を構成する熱可塑性樹脂と同種であっても異なっていてもよい。
スキン層の厚さは、3μm以上、5μm以上、7μm以上、又は10μm以上であることができ、また100μm以下、50μm以下、30μm以下、又は20μm以下であることができる。
《包装用積層体》
図2(a)に示すように、本発明の包装用積層体(200)は、酸素吸収性フィルム(100)及び基材(40)を具備しており、かつ酸素吸収性フィルムは基材(40)側から順に酸素吸収層(20)及びヒートシール性隠蔽層(10)を有している。
基材と本発明の酸素吸収性フィルムとの積層は、ヒートシールにより行ってもよく、又は接着層を介して行ってもよい。接着層としては、例えば、ドライラミネート接着剤、ホットメルト接着剤、水溶性接着剤、エマルション接着剤、及び押出ラミネート用の熱可塑性樹脂等を用いることができる。
〈基材〉
基材は、酸素吸収性フィルムに積層されている基材である。この基材は、酸素吸収性フィルムに適度なコシ及び外部からの水分や酸素等の浸入を防止するバリア性を付与できることが好ましい。例えば、図2(b)に示すように、この基材(40)は、バリア層(42)及び樹脂フィルム(44)で構成されていてよい。
{バリア層}
バリア層としては、外部からの水分や酸素等が酸素吸収層へと透過することを抑制することができる材料を用いることができる。樹脂フィルムが十分な水蒸気バリア性及びガスバリア性を有する場合には、バリア層は必要ないが、樹脂フィルムが十分なバリア性を有しない場合には、バリア層を設ける方が好ましい。例えば、これに限られないが、アルミニウム箔、若しくはアルミニウム合金等の金属箔、アルミニウム蒸着膜、シリカ蒸着膜、アルミナ蒸着膜、若しくはシリカ・アルミナ二元蒸着膜等の無機物蒸着膜、又はポリ塩化ビニリデンコーティング膜、若しくはポリフッ化ビニリデンコーティング膜等の有機物コーティング膜を用いることができるが、アルミニウム箔を用いることが、包装用積層体の両面の色の差異をなくし、その結果、外観を良好にする観点から好ましい。
バリア層の厚さは、1μm以上、3μm以上、5μm以上、又は7μm以上であることができ、また70μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、又は10μm以下であることができる。
{樹脂フィルム}
樹脂フィルムとしては、耐衝撃性、耐摩耗性等に優れた熱可塑性樹脂、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂等を単独で、又は2種類以上組み合わせて複層で使用することができる。この樹脂フィルムは、延伸フィルムであっても、無延伸フィルムであってもよい。
ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリアミド系樹脂としては、第1及び第2の熱可塑性樹脂に関して挙げたもののみならず、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)、PVA(ポリビニルアルコール)、PAN(ポリアクリロニトリル)等のガスバリア性を有する樹脂も用いることができる。
フッ素系樹脂としては、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等が挙げられる。
樹脂フィルムの厚さは、3μm以上、5μm以上、7μm以上、10μm以上、又は12μm以上であることができ、また120μm以下、100μm以下、80μm以下、60μm以下、50μm以下、40μm以下、30μm以下、又は20μm以下であることができる。
《包装容器》
本発明の包装容器は、少なくとも一部が本発明の包装用積層体で構成されている。本発明の包装容器においては、包装用積層体のヒートシール用積層体が、容器内面側に配置されている。
本発明の包装容器では、本発明の包装用積層体は、ヒートシール用積層体が容器内面側に配置されるようにして、例えばヒートシール性隠蔽層が互いに対向してヒートシールされていてもよく、又は他の包装用の層若しくは積層体と対向させてヒートシールされていてもよい。
包装容器の形態としては、袋、チューブ、ブリスター容器等の他、カップ容器等の密封できる成形容器が挙げられる。
《包装体》
本発明の包装体は、本発明の包装容器、及び包装容器に収容されている内容物を具備しており、かつ包装用積層体のヒートシール性隠蔽層が、内容物と接触する側に配置されている。
本発明の包装体では、本発明の包装用積層体は、内容物を収容するようにして、例えばヒートシール性隠蔽層が互いに対向してヒートシールされていてもよく、又は他の包装用の層若しくは積層体と対向させてヒートシールされていてもよい。
〈内容物〉
本発明の包装体の内容物としては、随意の内容物であってよいが、食品、薬剤、医薬品、化粧品、電子部品等の酸素による劣化を防止することが望ましい内容物である場合に、本発明の包装体が特に有用となる。
《酸素吸収性フィルムの製造方法》
本発明の酸素吸収性フィルムの製造方法は、酸素吸収層用樹脂組成物及びヒートシール性隠蔽層用樹脂組成物の作製工程、並びに製膜工程を含む。
酸素吸収層用樹脂組成物の作製は、上記の酸素吸収剤及び第2の熱可塑性樹脂を混練して行うことができる。混練は、例えば、ニーダー、ミキシングロールコニカルミキサー等のバッチ式混練機、2軸混練機等の連続混練機、単軸押出機、二本ロール混練機、三本ロール混練機等が用いられる。この際には、使用する材料に応じて、80℃以上、100℃以上、120℃以上、又は140℃以上で、かつ220℃以下、200℃以下、又は180℃以下の温度で混練することができる。
ヒートシール性隠蔽層用樹脂組成物の作製は、上記と同様にして、鱗片状アルミニウム粒子、及び第1の熱可塑性樹脂を混練することにより行うことができる。
上記の混練した酸素吸収層用樹脂組成物、ヒートシール性隠蔽層用樹脂組成物、及び例えば随意のポリエチレンを、それぞれ酸素吸収層、ヒートシール性隠蔽層及び随意のスキン層に成形して、これを積層させて本発明の酸素吸収性フィルムを得ることができる。例えば、上記の混練した樹脂組成物を、インフレーション法、Tダイ法、キャスト法等の押出成型又は射出成型等することによりフィルム状に成形することができる。また、多層インフレーション法、又は多層Tダイ法等の共押出法により成形及び積層を共に行うこともできる。
実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
《酸素吸収性フィルムの作製》
〈実施例1〜5〉
酸素欠損を有する酸化セリウムCeO2−x(x=約0.5)75質量部と、低密度ポリエチレン(ペトロセン342、東ソー株式会社)25質量部とを、窒素雰囲気下で二軸押出機(PCM−30、株式会社池貝)を用いて混練し、ペレット状に押し出して酸素吸収層用マスターバッチを作製した。
ヒートシール性隠蔽層としては、直鎖状低密度ポリエチレン(エボリューSP2520、プライムポリマー株式会社)に、アルミニウム粒子(32質量%)と、低密度ポリエチレン(残部)とからなるアルミニウムマスターバッチ(PEX 496 Silver AL、東京インキ株式会社)を、粒子含有量が表1に示す値となるように添加した組成物を用いた。
このマスターバッチ中のアルミニウム粒子は、粒子径(D50)1μm、粒子の厚み0.05μm、アスペクト比20の鱗片状アルミニウム粒子であった。
スキン層としては、直鎖状低密度ポリエチレン(エボリューSP2520、プライムポリマー株式会社)を用いた。
上記の材料を、3種3層フィルムのインフレーション成形機(TUL−600R、株式会社プラコー)による共押出成形で、樹脂温度170℃の条件で、スキン層10μm/酸素吸収層30μm/ヒートシール性隠蔽層10μmとなるように製膜して、実施例1〜5の酸素吸収性フィルムを作製した。
〈比較例1〜5〉
ヒートシール性隠蔽層において、アルミニウムマスターバッチの代わりに、白色顔料である二酸化チタン(60質量%)と、低密度ポリエチレン(残部)とからなる二酸化チタンマスターバッチ(PEX6800WHITE A、東京インキ株式会社)を、粒子含有量が表1に示す値となる量で用いたことを除き、実施例1〜5と同様にして、比較例1〜5の酸素吸収性フィルムを作製した。
〈比較例6〉
ヒートシール性隠蔽層の代わりに、直鎖状低密度ポリエチレン(エボリューSP2520、プライムポリマー株式会社)のみからなるヒートシール層を用いたことを除き、実施例1〜5と同様にして、比較例6の酸素吸収性フィルムを作製した。
《評価》
〈色差〉
分光測色計(NF555、日本電色工業株式会社)を用い、視野角2°、光源Cの条件で、製膜直後(酸素吸収前)の各実施例及び各比較例のフィルムのL値、a値及びb値をヒートシール性隠蔽層側から測定した。
次いで、各実施例及び各比較例のフィルムを、常温で1月間大気曝露させて酸素吸収能力を無くした状態(酸素吸収後)で、上記と同様にして各実施例及び各比較例のフィルムのL値、a値及びb値をヒートシール性隠蔽層側から測定した。
各実施例及び各比較例のフィルムの、酸素吸収前後における測定したL値、a値及びb値を用い、色差ΔEabの値を算出した。
〈ヒートシール強さ〉
色差試験の結果、色差ΔEabの値がほぼ同じであり、かつその値が6.5を下回っており、酸素吸収前後における酸素吸収性フィルムが、少なくとも印象レベルで同色として扱えると判断された実施例2及び比較例4について、ヒートシール性を比較するため、以下の手順でヒートシール強さを測定した。また、ヒートシール性隠蔽層に粒子を含有させていない比較例6の酸素吸収性フィルムについても、同様にしてヒートシール強さを測定した。
PETとアルミニウム箔とをドライラミネートした基材のアルミニウム箔面に、各例の酸素吸収性フィルムをドライラミネートし、同じ酸素吸収性フィルムのヒートシール性隠蔽層同士を合わせて、110℃、0.15MPa、0.6secの条件でヒートシールした。ヒートシール部分の15mm幅の接着強度(ヒートシール強さ)を、JIS Z 0238に基づきT型剥離試験で測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2017213786
表1から、アルミニウム粒子を含有している実施例1〜4の酸素吸収性フィルムは、ヒートシール性隠蔽層に粒子を含有させていない比較例6と比較して、酸素吸収前後における色差が小さい。これは、酸素吸収前後における酸化セリウムの色を良好に隠蔽できていることを意味している。中でも、粒子含有量が0.50質量%以上である実施例1及び2は、色差が6.5を下回っているため、酸素吸収前後における酸素吸収性フィルムが、少なくとも印象レベルで同色であると扱えるものであることが理解できよう。
また、実施例1〜4の酸素吸収性フィルムと同等の色差を、二酸化チタンの添加により得ようとした場合、約10倍程度の粒子の添加が必要となる。そして、同等の色差を有する実施例2及び比較例4のヒートシール強さを比較すると、粒子の含有量が多い場合に、ヒートシール性の低減がもたらされることが理解できよう。なお、実施例2及び比較例6のヒートシール強さを比較すると、粒子を含有していない比較例6の方が低い値をとっているが、これは有意差ではなく、ばらつきの範囲内であると考えられる。また、他の実施例のフィルムについても、実施例2と同等のヒートシール性があることが確認できている。これらの結果から、本発明の酸素吸収性フィルムは、粒子を含有していない酸素吸収性フィルム(比較例6)と同等のヒートシール性が得られていることが分かった。
10 ヒートシール性隠蔽層
12 鱗片状アルミニウム粒子
14 第1の熱可塑性樹脂
20 酸素吸収層
22 酸素欠損を有する酸化セリウム
24 第2の熱可塑性樹脂
30 スキン層
40 基材層
42 アルミニウム箔
44 樹脂フィルム
100 酸素吸収性フィルム
200 包装用積層体

Claims (12)

  1. ヒートシール性隠蔽層、及び酸素吸収層をこの順で具備しており、
    前記ヒートシール性隠蔽層が、鱗片状アルミニウム粒子、及び第1の熱可塑性樹脂を含有しており、かつ
    前記酸素吸収層が、酸素欠損を有する酸化セリウム、及び第2の熱可塑性樹脂を含有している、
    酸素吸収性フィルム。
  2. 前記アルミニウム粒子の含有量が、前記ヒートシール性隠蔽層全体の質量に対して、0.30質量%以上である、請求項1に記載の酸素吸収性フィルム。
  3. 前記アルミニウム粒子の含有量が、前記ヒートシール性隠蔽層全体の質量に対して、0.50質量%以上である、請求項2に記載の酸素吸収性フィルム。
  4. 前記アルミニウム粒子の含有量が、前記ヒートシール性隠蔽層全体の質量に対して、2.0質量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸素吸収性フィルム。
  5. 前記アルミニウム粒子の平均粒子径が0.5〜30.0μmであり、かつアスペクト比が5〜100である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の酸素吸収性フィルム。
  6. 前記酸素吸収性フィルムの一方又は両方の面に積層されているスキン層を更に有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の酸素吸収性フィルム。
  7. 前記ヒートシール性隠蔽層側から見たときに、酸素吸収前後の、JIS Z 8781に準拠するL表色系における色差ΔEabの値が、15以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の酸素吸収性フィルム。
  8. 前記ヒートシール性隠蔽層側から見たときに、酸素吸収前後の、JIS Z 8781に準拠するL表色系における色差ΔEabの値が、6.5以下である、請求項7に記載の酸素吸収性フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の酸素吸収性フィルム、及び前記酸素吸収性フィルムに積層されている基材を具備しており、かつ前記酸素吸収性フィルムが、前記基材側から順に、前記ヒートシール性隠蔽層及び前記酸素吸収層を有している、包装用積層体。
  10. 前記基材が、アルミニウム箔を有している、請求項9に記載の包装用積層体。
  11. 少なくとも一部が請求項9又は10に記載の包装用積層体で構成されており、かつ前記包装用積層体の前記ヒートシール性隠蔽層が、容器内面側に配置されている、包装容器。
  12. 請求項11に記載の包装容器、及び前記包装容器に収容されている内容物を具備しており、かつ前記包装用積層体の前記ヒートシール性隠蔽層が、前記内容物と接触する側に配置されている、包装体。
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WO2023153521A1 (ja) * 2022-02-14 2023-08-17 凸版印刷株式会社 積層フィルム及び包装袋
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