JPH11336133A - 建設機械の旋回系油圧回路のキャビテーション防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 建設機械の旋回系油圧回路に於いて、方向制
御弁を中立位置にして旋回モ−タを停止させるときに、
駆動用油路にキャビテ−ションが発生するのを防止す
る。 【解決手段】 建設機械の旋回系油圧回路で可変容量型
の油圧ポンプ１と旋回モ−タ２との間に方向制御弁３を
設ける。該方向制御弁３が中立位置３ｃにあるときは、
該油圧ポンプ１の吐出油は、該方向制御弁３を通過して
センタ−バイパス油路７へ導出され、後方の絞り４若し
くはネガティブコントロ−ルリリ−フ弁５を通過してタ
ンク１１に連通する。該絞り４の上流から分岐したネガ
ティブコントロ−ル信号油路６により、該絞り４で発生
した圧力が該油圧ポンプ１に伝達され、該油圧ポンプ１
の吐出量がネガティブコントロ−ル制御される。また、
該センタ−バイパス油路７の該絞り４の上流で旋回メイ
クアップ油路２０を分岐し、該旋回メイクアップ油路２
０の他端を分岐して、その両側に介装された逆流防止用
のチェック弁２１、２２から該旋回モ−タ２の吸入側及
び排出側の夫々の該駆動用油路１５、１６に接続する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、建設機械の旋回
系油圧回路のキャビテーション防止装置に関するもので
あり、特に、ネガティブコントロール制御により油圧ポ
ンプの吐出油量を制御するように構成された建設機械の
旋回系油圧回路のキャビテーション防止装置に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来の此種、建設機械の旋回系油圧回路
を図２に従って説明する。図に於いて１は可変容量型の
油圧ポンプであり、該油圧ポンプ１と旋回モータ２との
間に方向制御弁３が設けられている。該方向制御弁３が
中立位置３ｃにあるときは、該油圧ポンプ１は、該方向
制御弁３の下流に介装された絞り４及びネガティブコン
トロールリリーフ弁５に接続される。該絞り４で発生し
た圧力は、該絞り４の上流から分岐したネガティブコン
トロール信号油路６によって、該油圧ポンプ１のレギュ
レータ（図示せず）に伝達され、該油圧ポンプ１が最小
流量の油を吐出するようにネガティブコントロール制御
される。センターバイパス油路７に介装された該絞り４
の下流は、リターン油路８ａ、リターン油路８ｂ及びメ
イクアップ油路９に分岐されている。

【０００３】一方の該リターン油路８ａは、抵抗付きチ
ェック弁１０を介してタンク１１へ接続されており、他
方の該リターン油路８ｂはオイルクーラ１２を介して該
タンク１１へ接続されている。また、該メイクアップ油
路９は、逆流防止用のチェック弁１３、１４を介して該
旋回モータ２の夫々の駆動用油路１５、１６に接続さ
れ、且つ、該メイクアップ油路９は、アンロード弁１
７、１８を介して該旋回モータ２の夫々の該駆動用油路
１５、１６に接続されている。斯くして、該駆動用油路
１５、１６が所定の圧力を超過すると、夫々該アンロー
ド弁１７、１８を介して該メイクアップ油路９に油が流
入する。

【０００４】ここで、該方向制御弁３を駆動位置３ａに
切り替えると、該油圧ポンプ１の吐出油が一方の該駆動
用油路１５から該旋回モータ２へ供給されて上部旋回体
（図示せず）が旋回する。

【０００５】そして、旋回している上部旋回体を停止す
るために、該方向制御弁３を駆動位置３ａから中立位置
３ｃに切り替えると、該駆動用油路１５、１６が閉止状
態になり、該油圧ポンプ１の吐出油が該旋回モータ２へ
供給されなくなるが、慣性力によって該旋回モータ２は
回転を続けようとし、排出側の該駆動用油路１６の圧力
が上昇する。

【０００６】斯くして、該駆動用油路１６の油が前記ア
ンロード弁１８から前記チェック弁１３を通過して、圧
力の低い吸入側の該駆動用油路１５へ油が補充されると
ともに、該油圧ポンプ１から吐出された油は、該メイク
アップ油路９から該チェック弁１３を介して、圧力の低
下した該駆動用油路１５へ補充される。このため、慣性
力による該旋回モータ２の回転は徐々に停止していく。
従って、吸入側の該駆動用油路１５と排出側の該駆動用
油路１６間の圧力差が減殺され、該油圧ポンプ１の吐出
油は、該メイクアップ油路９へ流入しなくなり、前記タ
ンク１１に連通される。

【０００７】図３は、建設機械の旋回系油圧回路の他の
一例である。尚、図２に示す構成と同一部分については
同一符号を用いてその説明を省略する。同図に於いて、
前記リターン油路８ｂは、抵抗付きのチェック弁１９及
び前記オイルクーラ１２を介して該タンク１１に接続さ
れている。

【０００８】ここで、旋回している上部旋回体を停止す
るために、該方向制御弁３を中立位置３ｃに戻せば、該
旋回モータ２へ油が供給されなくなるが、慣性力により
該旋回モータ２は回転を続けようとし、排出側の該駆動
用油路１６の圧力が上昇する。斯くして、該駆動用油路
１６から前記アンロード弁１８及び前記チェック弁１３
を介して該駆動油路１５へ油が供給されるとともに、前
記メイクアップ油路９から該チェック弁１３を介した油
の供給により、圧力の低下した該駆動用油路１５へ補充
されるため、慣性力による該旋回モータ２の回転は徐々
に停止していく。

【０００９】このとき、該リターン油路８ａ及び該リタ
ーン油路８ｂには夫々抵抗付きの前記チェック弁１０及
びチェック弁１９が介装されているため、該油圧ポンプ
１の該吐出油の大部分は該駆動用油路１５に補充され、
吸入側の該駆動用油路１５と排出側の該駆動用油路１６
間の圧力差が速やかに減殺される。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】前記図２の従来例に於
いては、該旋回モータ２の停止時に該メイクアップ油路
９から該駆動用油路１５へ該油圧ポンプ１の吐出油を補
充している。しかし、該油圧ポンプ１の吐出油は、該メ
イクアップ油路９に流入する油と該リターン油路８ａ若
しくは該リターン油路８ｂを通過して該タンク１１へ流
入する油に分岐されてしまうため、吸入側の該駆動用油
路１５へ流入する油量は、該旋回モータ２の油の自吸性
能に左右されることになり、圧力が低下している該駆動
用油路１５に油の補充が十分されず、キャビテーション
が発生する場合がある。

【００１１】また、前記図３の従来例に於いては、該リ
ターン油路８ｂには、抵抗付の前記チェック弁１９が介
装されているため、該旋回モータ２の停止時に該吐出油
の大部分が該リターン油路８ａ、８ｂへ分岐せず、該メ
イクアップ油路９に流入して、駆動用油路間の圧力差を
減殺する油に使用されるので、速やかにキャビテーショ
ンの防止が計られる。しかし、該チェック弁１９は大型
品のため、該建設機械への搭載は現実的には困難であ
る。

【００１２】そこで、建設機械の旋回系油圧回路に於い
て、方向制御弁を中立位置にして、旋回モータを停止さ
せるときに、駆動用油路にキャビテーションが発生しな
いようにするために解決せらるべき技術的課題が生じて
くるのであり、本発明は該課題を解決することを目的と
する。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために提案されたものであり、建設機械の旋回系
油圧回路で可変容量型の油圧ポンプと旋回モータとの間
に方向制御弁を設け、該方向制御弁が中立位置のときに
該油圧ポンプの吐出油を通過させるセンターバイパス油
路にネガティブコントロールリリーフ弁を介装し、該ネ
ガティブコントロール信号油路を分岐して、該油圧ポン
プのレギュレターへ接続した油圧回路に於いて、該セン
ターバイパス油路の該ネガティブコントロールリリーフ
弁の上流に旋回メイクアップ油路の一端を接続し、該旋
回メイクアップ油路の他端を分岐して、夫々逆流防止用
のチェック弁を介して該旋回モータの吸入側及び排出側
の該駆動用油路に接続したことを特徴とする建設機械の
旋回キャビテーション防止装置を提供するものである。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
１に従って詳述する。尚、説明の都合上、従来と同一構
成部品には同一符号を用いる。

【００１５】図１は、建設機械の旋回系油圧回路を示
し、油圧ポンプ１と旋回モータ２との間に方向制御弁３
を設け、該方向制御弁３が中立位置３ｃのときは、該油
圧ポンプ１の吐出油は、該方向制御弁３の中立位置３ｃ
を通過してセンターバイパス油路７に導出される。更に
該吐出油は、該センターバイパス油路７に介装された絞
り４若しくはネガティブコントロールリリーフ弁５を通
過して、該ネガコンリリーフ弁５の下流で分岐され、一
方はリターン油路８ａ若しくはリターン油路８ｂからタ
ンク１１に連通され、他方はメイクアップ油路９に連通
されている。

【００１６】該メイクアップ油路９は、逆流防止用のチ
ェック弁１３、１４またはアンロード弁１７、１８を介
装して該旋回モータ２の吸入側及び排出側の夫々の駆動
用油路１５、１６に接続されている。一方の該駆動用油
路１５が所定の圧力を超過したときは該駆動用油路１５
の油が該アンロード弁１７を介して該メイクアップ油路
９へ流入し、また、他方の該駆動用油路１６が所定の圧
力を超過したときは該駆動用油路１６の油は該アンロー
ド弁１８を介して該メイクアップ油路９へ流入するよう
に構成されている。

【００１７】また、ネガティブコントロール信号油路６
は、該センターバイパス油路７の該ネガティブコントロ
ールリリーフ弁５の上流から分岐して、該油圧ポンプ１
のレギュレターへ接続されている。該方向制御弁３が中
立位置３ｃのときに前記油圧ポンプ１の吐出油によっ
て、該絞り４で発生した圧力は、該ネガティブコントロ
ール信号油路６から該油圧ポンプ１のレギュレータに伝
達され、該圧力に対応して該油圧ポンプ１の吐出油が調
整され、ネガティブコントロール制御が行われる。

【００１８】また、該センターバイパス油路７の該ネガ
ティブコントロールリリーフ弁５の上流に旋回メイクア
ップ油路２０の一端を接続し、該旋回メイクアップ油路
２０の他端を分岐して、夫々の逆流防止用のチェック弁
２１、２２を介して該旋回モータ２の吸入側及び排出側
の該駆動用油路１５、１６に夫々接続されている。

【００１９】ここで、該旋回モータ２を停止させるため
に、該方向制御弁３を駆動位置３aから中立位置３ｃに
切り替えると、排出側の前記駆動用油路１６の圧力が上
昇し、高圧になった該駆動用油路１６の油が該アンロー
ド弁１８から前記チェック弁１３を介して、低圧になっ
た吸入側の該駆動用油路１５へ流入する。更に、該油圧
ポンプ１の吐出油は、該旋回メイクアップ油路２０から
前記チェック弁２１を介して吸入側の該駆動用油路１５
側へ補充される。且つ、前記メイクアップ油路９からも
該駆動用油路１５に適宜量の油が補充される。

【００２０】これらの該旋回メイクアップ油路２０から
該チェック弁２１を介しての油の流動、及び該メイクア
ップ油路９からの油の流動により、前記絞り４により発
生する該ネガティブコントロール圧力は低下させられ
る。該ネガティブコントロール圧力の低下は前記ネガテ
ィブコントロール信号油路６から該油圧ポンプ１のレギ
ュレタに伝達され、該油圧ポンプ１の吐出量が増大する
ように調整される。

【００２１】斯くして、該油圧ポンプ１は、該ネガティ
ブコントロール圧力の低下がない場合と比較して多量で
あり、且つ、該駆動用油路間の圧力差を減殺するのに十
分な油を吐出する。従って、これらの３経路から十分に
油が補充され、該駆動用油路１５と該駆動用油路１６間
の圧力差は減殺される。

【００２２】ここで、一定時間が経過すると、慣性力に
起因する該旋回モータ２の回転が油の抵抗により漸次に
減衰するのに追従して、該駆動用油路１５及び該駆動用
油路１６間の圧力差は徐々に解消されてゆき、該駆動用
油路１５へ流入する油は漸次に減少する。該駆動用油路
１５へ流入する油の減少に連動して、該絞り４に発生す
るネガティブコントロール圧力は次第に増加し、前記ネ
ガコンティブコントロール制御により、該油圧ポンプ１
から吐出される油量は、次第に減少する。従って、該旋
回モータ２の慣性力による回転の低下に伴って、該油圧
ポンプ１から吐出される油量は最小流量となる。

【００２３】また、該駆動用油路１５を吸入側油路とし
該駆動用油路１６を排出側油路として詳述したが、該旋
回モータ２は回動するため、該駆動用油路１５を排出側
油路とし該駆動用油路１６を吸入側油路としてもよい。
この場合も、上記実施の形態と同一の作用効果をを奏す
る。

【００２４】尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない
限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該
改変されたものに及ぶことは当然である。

【００２５】

【発明の効果】本発明は、上記一実施の形態にて詳述し
たように、ネガティブコントロール回路を備えた建設機
械の旋回系油圧回路に於いて、旋回モータを停止させる
ために該方向制御弁を駆動位置から中立位置に切り替え
たときに、油が、旋回メイクアップ油路から旋回モータ
の吸入側の該駆動用油路に供給されるため、吸入側及び
排出側の駆動用油路間の圧力差を減殺するのに十分な油
が、吸入側の該駆動用油路に補充されることになる。

【００２６】このとき、油圧ポンプは、駆動油路間の圧
力差を減殺するために必要な油量に連動して、ネガティ
ブコントロール制御されるため、キャビテーションの発
生の防止が計られ、且つ、ネガティブコントロール制御
の目的である省エネルギーにも寄与している。

【００２７】また、該ネガティブコントロール回路を利
用したキャビテーション防止の油圧回路は構成が簡易
で、且つ、建設機械への搭載も容易である等、正に、著
大なる効果を奏する発明である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態を示し、建設機械の旋回
系油圧回路図。

【図２】従来の建設機械の旋回系油圧回路図。

【図３】他の従来例における建設機械の旋回系油圧回路
図。

【符号の説明】

１ 油圧ポンプ ２ 旋回モータ ３ 方向制御弁 ３ａ 駆動位置 ３ｃ 中立位置 ４ 絞り ５ ネガティブコントロールリリーフ弁 ６ ネガティブコントロール信号油路 ７ センターバイパス油路 ８ａ，８ｂ リターン油路 ９ メイクアップ油路 １０ チェック弁 １１ タンク １２ オイルクーラ １３，１４ チェック弁 １５，１６ 駆動用油路 １７，１８ アンロード弁 １９ チェック弁 ２０ 旋回メイクアップ油路 ２１，２２ チェック弁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建設機械の旋回系油圧回路で可変容量型
   の油圧ポンプと旋回モータとの間に方向制御弁を設け、
   該方向制御弁が中立位置のときに該油圧ポンプの吐出油
   を通過させるセンターバイパス油路にネガティブコント
   ロールリリーフ弁を介装し、該ネガティブコントロール
   リリーフ弁の上流からネガティブコントロール信号油路
   を分岐して該油圧ポンプのレギュレターへ接続した油圧
   回路に於いて、該センターバイパス油路の該ネガティブ
   コントロールリリーフ弁の上流に旋回メイクアップ油路
   の一端を接続し、該旋回メイクアップ油路の他端を分岐
   して、夫々逆流防止用のチェック弁を介して該旋回モー
   タの吸入側及び排出側の該駆動用油路に接続したことを
   特徴とする建設機械の旋回系油圧回路のキャビテーショ
   ン防止装置。