JPH11335802A - ガスタービン部品の材料劣化・損傷回復処理方法及び本処理を施したガスタービン部品 - Google Patents
ガスタービン部品の材料劣化・損傷回復処理方法及び本処理を施したガスタービン部品Info
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- JPH11335802A JPH11335802A JP14488198A JP14488198A JPH11335802A JP H11335802 A JPH11335802 A JP H11335802A JP 14488198 A JP14488198 A JP 14488198A JP 14488198 A JP14488198 A JP 14488198A JP H11335802 A JPH11335802 A JP H11335802A
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Abstract
ビン部品を対象として、局部溶解による欠陥がなく、か
つγ′相が完全に固溶し、製造時の組織状態に回復させ
ることを可能にし、新材と同等またはそれ以上の材料特
性を有する部品とすることができるようにする。 【解決手段】析出強化型の合金により構成され、高温下
の使用により材料の劣化または損傷が生じたガスタービ
ン部品の回復処理方法であって、部品に高圧下で熱処理
を施す回復熱処理工程2と、非加圧下で熱処理を施す容
体化熱処理工程3および時効熱処理工程4とを備える。
Description
回復技術に係るものであり、特に運転中に高温下に曝さ
れることにより熱劣化、クリープ損傷、疲労損傷、酸
化、腐食、エロージョン、または飛来異物との衝突によ
る損傷等を受けたガスターピンの高温部品を回復させる
ための、ガスタービン部品の材料劣化・損傷回復処理方
法および本処理を施したガスタービン部品本方法に関す
る。
ービンと同軸に設けられた圧縮機の駆動にって圧縮され
た圧縮空気を燃焼器に案内して燃焼を行わせ、これによ
り発生する高温燃焼ガスをトランジションピースおよび
静翼を経てガスタービンの動翼に案内し、この動翼を回
転駆動させてガスタービンで仕事をさせ、発電機にて発
電を行わせるようになっている。
燃焼器ライナ、トランジションピース、静翼および動翼
には耐熱超合金が用いられ、特に高温強度が要求される
動翼にはNi基超合金が使用されるようになっている。
このNi基超合金は析出強化型合金であり、一般にγ′
相と呼ばれるNi3 (Al,Τi)の金属間化合物をΝ
iマトリックスに析出させることで高温強度を得てい
る。しかし、このようなNi基超合金性のガスタービン
部品については、ガスタービンの運転とともに種々の損
傷または欠陥(以下、単に損傷という)が見られる。す
なわち、動翼等のガスタービン部品は高温の燃焼雰囲気
に晒されるため、腐食や酸化その他の材質劣化が生じる
とともに、運転時の遠心応力によってクリープ損傷が蓄
積する。また、ガスタービンの起動あるいは停止時に
は、その熱履歴に遠心応力が重畳した熱疲労が生じ、さ
らに損傷が蓄積する。
合には廃却されている。廃却となる時間は、表面に耐酸
化・耐腐食コーティングを有している初段動翼の場合に
は、1100℃級ガスタービンのベースロード仕様の例
で48000時問であり、リコーティングを施して使用
する場合は、コーティング層の耐久性にもよるが、運転
後24000時間でリコーテイングし、その後4800
0時間使用して廃却となっている。この場合、リコーテ
ィング時に施す熱処理には、母材の寿命回復は見込まれ
ていない。
焼器ライナ、トランジションピース等に、き裂や摩耗部
等が生じた場合には、溶接補修を施し、継続して使用し
ている。これらの補修の際、必要に応じて溶接時の熱影
響及び残留応力除去のための熱処理を実施している。
に静翼あるいはライナ、トランジションピースも、動翼
と類似した高強度のNi基合金を用いるようになり、補
修および回復処理が困難になっている。
品に用いられている材料の問題点は、鋳造時に凝固する
過程でデンドライト境界部に融点を下げる元素が偏析し
やすく、特に、これらの元素が極度に偏析したデンドラ
イト境界部では融点が極度に低下する傾向がある。この
場合、主強化析出相であるγ′相が固溶する温度に近づ
くことから、これらの材料は工業的には通常、このよう
な溶解の生じない範囲の温度で、最適な組織が得られる
温度で熱処理を行っている。このため、主強化析出相で
あるγ′相を完全に固溶し、再析出することにより組織
の完全回復を図ることができず、逆に析出相の凝集粗大
化を来し、強度あるいは寿命の低下を来たす場合も生じ
ていた。
ものであり、運用により材料劣化・損傷等が生じたガス
タービン部品を対象として、局部溶解による欠陥がな
く、かつγ′相が完全に固溶し、製造時の組織状態に回
復させることを可能にし、新材と同等またはそれ以上の
材料特性を有する部品とすることができるガスタービン
部品の材料劣化・損傷回復処理方法及び本処理を施した
ガスタービン部品を提供することを目的とする。
強化型合金からなるガスタービン部品は、析出物の析出
・成長および凝集粗大化が進み、その形状が変化すると
ともに、新たな析出相の析出あるいはその析出に伴い、
強化析出相の消失等が生じ、本来の材料特性、特にクリ
ープ寿命あるいは延・靭性の低下が生じるとともに、遠
心応力あるいは熱応力等によるクリープ、起動・停止の
熱・歪み履歴による熱疲労、あるいは高・低サイクル疲
労による損傷を受けるている。
せるためには、特開平8−271501号公報(特に実
施例1)に示されているように、γ′相の固溶温度以上
で熱処理する必要がある。しかし、この公知例に示され
た合金のように、γ′相のγ相中への固溶温度が、局部
溶解開始温度と工業的意味においてほぼ同等か、それよ
りも高い合金は、γ′相固溶温度以上で、かつ局部溶解
開始温度以下で熱処理することにより回復が可能であ
る。
で熱処理(部分溶体化処理)を施す合金においては、
γ′相の固溶温度以上で回復のための熱処理を施すこと
は、逆に局部的な溶解を生じ強度低下を来す。また、局
部溶解開始温度以下の温度では、逆に熱劣化が進行し回
復することはできない。
り構成され、高温下の使用により材料の劣化または損傷
が生じたガスタービン部品に、高圧下で熱処理を施す回
復熱処理工程と、非加圧下で熱処理を施す容体化熱処理
工程および時効熱処理工程とををなえる方法を提供す
る。特にB,Ζr,Hf,C等の粒界強化元素を添加し
たことにより凝固時、デンドライト境界にこれらの元素
が偏析し局部溶解開始温度がγ′相の固溶温度とほとん
ど同等かあるいはより低くなった合金に対し、加圧しな
がらγ′相の固溶温度以上の温度で熱処理することによ
り、γ′相の完全な母材(γ相)への固溶を図るととも
に、高圧下で加熱することにより、溶解温度の低下を来
たす要因となった元素の拡散を加速させ、局部溶解開始
温度の上昇を図るとともに、例え局部的に溶解しても高
圧により圧着させることにより、局部溶解による強度低
下を生じることなく部品の回復を図り、新材と同等以上
に特性および寿命を得ることを可能としている。
高圧下における熱処理は、容器中に加熱装置を配備した
圧力容器と不活性ガスタンクおよび不活性ガスを圧縮し
容器中に送り込む圧縮装置、使用した不活性ガスを回収
する排気・ガス回収装置および加熱装置内に配備した本
回復処理を行う部品を保持する容器からなる装置を用
い、この容器中に部品をセットした後、一旦容器内を排
気した後、不活性ガスを封入し、加圧しながら昇温し、
所定の温度および圧力でγ′相の母材への完全固溶を図
るとともに、不可避的に生じた局部溶解による欠陥ある
いは使用時に生じたクリープあるいは疲労による損傷を
回復させるものである。
を鋳造・凝固した状態に等しいことから、その後、その
合金の通常の熱処理(一例:部分溶体化処理と時効処
理)を施すことが望ましい。しかし、本高圧下における
熱処理を施す装置がガス冷却装置を装備し、毎分40℃
以上で冷却可能な装置を装備している場合、γ′相を固
溶させる熱処理を施した後、本来の本合金の溶体化処理
温度(特に部分溶体化処理温度)で一旦保持した後、急
冷することで溶体化処理を兼ねることもできる。
より析出物が固溶する温度以上である。しかし、過度の
温度を上げることは、温度が高くなるにつれて部品の強
度が低下し、自重により変形を生じることから、回復処
理時に設計上問題を生じるような変形を生じない強度を
有する温度以下にする必要がある。
に局所に偏析した元素の拡散を加速し、かつ不可避的に
生じた局部の溶解あるいは運転時に生じたクリープある
いは疲労による損傷(欠陥)をその処理温度で回復させ
るのに十分な圧力であり、かつ回復処理時に設計上問題
を生じるような変形を生じさせない圧力以下である必要
がある。
面およびその直下におけるき裂、腐食・酸化あるいはエ
ロージョン、異物衝突等による表面損傷あるいは欠陥
等、表面に露出した欠陥がある場合、逆にその欠陥サイ
ズを大きくする可能性があることから、少なくとも部品
表面に達した欠陥は表面上欠陥のない状態にTIG溶接
等による溶接補修あるいはプラズマ溶射(真空プラズマ
溶射)、ガス溶射、ロウ付け(真空ロウ付け)等のコー
ティングを施し、表面の損傷あるいは欠陥を無くする前
処理が必要である。また、高温高圧下の処理であるた
め、処理前に表面は、アルミナ粒子等によりブラスト
し、部品との反応の可能性のある汚れは除去した後で行
う必要がある。特に、コーティングを施している部品の
場合、基材に拡散することにより合金本来の特性を損な
い、あるいは寿命の低下を来す場合は、コーティング層
を除去した後に処理することが望ましい。
のNi基の合金であり、γ′相[Ni3 (Al,T
i)]を主強化析出相とする部品を対象としている。こ
の中でも特に本発明は、鋳造合金であり、等軸晶あるい
は一方向凝固材の場合、また単結晶合金においても粒界
強化元素等、局所的に偏析し融点を下げる元素を添加し
ている場合、鋳造後行う熱処理の最高温度が主強化析出
相のγ′相あるいはγ″[Nl3 Nb]相の固溶温度と
工業的レベルでほとんど同等となり、γ相の固溶温度以
上で局部溶解開始温度以下の温度を狙って熱処理するこ
とができないか、あるいは局部溶融開始温度の方が低い
材料に対し有効な処理方法である。
スされる機器としては、ガスターピンの高温部品であ
り、特に前述した材料によって製造されているガスター
ピン動翼、静翼あるいは燃焼器ライナ、トランジション
ピース等が挙げられる。
の使用により析出物の析出・成長および凝集粗大化が進
み、その形状が変化するとともに、新たな析出相の析出
あるいはその析出に伴い、強化析出相の消失等が生じ、
本来の材料特性、特にクリープ寿命あるいは延・靭性の
低下が生じる。また、遠心応力あるいは熱応力等による
クリープ、起動・停止の熱・歪み履歴による熱疲労、あ
るいは高・低サイクル疲労による損傷を受けている。こ
のような部品にはNi基の鋳造合金が多く用いられてい
るが、高温強度を出すために多くの元素を添加してお
り、特に結晶粒界あるいは小傾角粒界の粒界結合力を増
すために添加するC,B,Ζr,Hf等の粒界強化元素
を添加する合金においては、これらの元素が凝固時、偏
析の生じやすいデンドライト境界部に偏析し、局部的に
融点の低い領域を形成する。このような材料では、局部
溶解開始温度がγ′相の固溶温度と同等近くまで下がる
か、あるいは以下となることから、従来の方法では逆に
強度低下さえも引き起こしていた。このような高温部品
における回復処理方法を手順を追って説明する。
合金のγ′相固の溶温度および局部溶解開始温度を示差
熱分析により概略の温度を求めるとともに、その温度前
後の温度に保持した後、急冷した試料の組織観察によ
り、正確にその製品の鋳造による部品の局部溶解開始温
度を求める。この分析によるγ′相の固溶温度および局
部溶解開始温度から、回復処理の温度条件を設定する。
また、高温にて引張試験を行い、圧力を耐力から設定す
る。
以前の部品については、目視検査、寸法検査等の非破壊
検査を行い、検査結果に基づき使用可能な部品を選定す
る。この検査にて部品表面およびその直下におけるき
裂、腐食・酸化あるいはエロージョン、異物衝突等によ
る損傷があり、そのままでは回復処理を施しても再使用
できない部品については損傷部の補修を行う。また、外
表面にコーティングが施されている部品では、コーティ
ング層を除去することが望ましい。損傷部の補修あるい
はコーティング層を除去した部品については、回復処理
前に再度、目視検査、寸法検査等の非破壊検査を行い、
修復できていることを確認する。
より、溶解温度の低下を来す要因となったB,Ζr,H
f,C等の元素の拡散を低い温度でも生じ易くなる。本
発明では、処理炉に部品を装填するにあたり、高圧下で
高温処理するため、部品が自重により変形しないように
配列する。なお、部品の装填は炉の均熱帯に配列するこ
とが望ましい。炉に部品を装填した時点では雰囲気が大
気であり、Arガス雰囲気で処理するために、まず圧力
容器の真空引きを行い、続いてArガスを注入する。こ
の真空引きとArガスを注入する置換操作は、2〜3回
行うことが望ましい。続いて、圧縮機にて高圧のArガ
スを注入すると同時に、所定の温度まで昇温する。圧力
は温度が所定に達した後、最終的に圧縮機により所定の
値に調整する。所定の圧力に達した後、温度および圧力
を保持し、冷却する。冷却後は部品に用いられている材
料の通常の熱処理を施す。
検査等の非破壊検査を行う。コーティングを施す場合は
通常の熱処理の間に行い、その後に非破壊検査を行う。
以上のように、本発明の材料劣化・損傷回復処理方法に
より、ガスタービン部品を再生することが可能となる。
部品の材料劣化・損傷回復処理方法及び本処理を施した
ガスタービン部品の実施形態について説明する。
ている。この図1に示すように、本実例では、まず処理
対象となるガスタービン部品について目視等による回復
前検査工程1を行い、次に高圧下で熱処理を施す回復熱
処理工程2を行う。次いで、非加圧下で熱処理を施す容
体化熱処理工程3および時効熱処理工程4を行い、その
後、回復後検査工程5を行った。
翼に用いられるNi基超合金であるIN738LC材を
試験材として用い、本発明の正当性を示すため、再生処
理の実験を行った。IN738LC材は、下記の表1に
示すように、C、Cr、Co、W、Mo、Ti、Al、
Nb、Ta、B、Zr、Niを含む化学組成を有するも
のであり、かつ鋳造後に、主強化析出相であるγ′相を
その母材であるγ相に部分的に固溶させる熱処理を施し
たものである。
γ′相固溶温度、局部溶解開始温度および融点を示差熱
分析により求めた。その結果、下記の表2に示すよう
に、γ′相固溶温度は1160〜1175℃であり、局
部溶解介し温度は1240〜1250℃であった。ま
た、溶融温度(融点)は1270〜1375℃であっ
た。なお、下記の試験材を加熱し、加熱後に断面の組織
観察を行ったところ、γ′相の局部溶解は1220℃以
上でみられ、示差熱分析の結果より低目であった。
験材として、900℃で30kgf/mm2 の条件で、
あらかじめクリープ損傷を与えたクリープ中断材12本
(試験材1〜12(同一種類のもの1対ずる、計6種
類))を作成した。そして、下記の表3に示すように、
試験材1,2については熱処理を行わず、試験材3,4
については容体化熱処理(γ′相固溶温度以上)および
時効熱処理(通常の温度、以下同様)を行い、試験材
5,6については容体化熱処理(γ′相固溶温度以下)
および時効熱処理を行った。また、試験材7,8につい
ては容体化熱処理(γ′相固溶温度以上)のみを行い、
試験材9,10については容体化熱処理(γ′相固溶温
度以下)のみを行った。さらに、試験材11,12につ
いては容体化熱処理(γ′相固溶温度以上)の後、容体
化熱処理(γ′相固溶温度以下)を行い、さらに時効熱
処理を行った。その後、組織観察およびクリープ試験を
行った。
材の組織観察結果を図2(a)〜(g)に模式的に示
す。図2中、6はγ相を示し、7〜13はγ′相を示
し、6aはγ−γ′共晶を示している。また、これらに
それぞれ対応する試験材2,4,6,8,10,12お
よび新材のクリープ試験結果を図3に示している。
示すように、本合金のクリープ損傷を受けた組織特有の
γ′相7のラフト化が認められた。試験材3では図2
(b)に示すように、新材(図2(g))の組織とは異
なり、微細なγ′相8のみがみられた。試験材5でも、
γ′相13が整列して析出している新材の組織と異な
り、図2(c)に示すように、γ′相9はランダムに析
出し、その形状は金平糖状であった。試験材7では図2
(d)に示すように、微細なγ′相10のみがみられ、
試験材9では図2(e)に示すように、γ′相11が試
験材7より若干粗大化しており、いずれも新材とは異な
る組織であった。試験材11では図2(f)に示すよう
に、γ′相12が整列して析出し、新材と同等の組織を
呈していた。
に、試験材11の組織に対応する試験材12について、
ほぼ新材のクリープ破断時間と同等であり、組織の完全
回復によりクリープ強度が回復したことが認められた。
ったIN738LC合金のガスタービンの第2段動翼に
再生処理した事例について述べる。なお、新材で形成し
た翼(新品翼)から小片を切り出し、これを加熱し、加
熱後に断面の組織観察を行ったところ、実翼の局部溶解
温度はγ′相の固溶温度の上限に近い1180℃から生
じていた。再生処理は図1に示す工程に従って実施し、
回復熱処理温度は実施例1にて示した試験材11、試験
材12にて実施した温度と同じである。その後は本合金
の通常の熱処理条件にて実施した。
を、新翼および廃却翼と対比して模式的に示す。図4
中、14はγ相を示し、15,16,17はγ′相を示
し、18はγ−γ′共晶を示している。この図4(b)
に示すように、廃却翼のγ′相16が凝集粗大化してい
るのに対し、図4(c)に示す再生処理翼は、図4
(a)に示す新品翼の組織とほぼ同等の状態まで回復し
ていた。なお、回復熱処理温度が局部溶解温度に近いこ
とから、処理中に局部溶解が生じたと考えられるが、高
圧で処理したため、この部分は圧着していた。
よるクリープ破断時間を示す。廃却翼は極度のクリープ
強度の低下が生じていたのに対し、再生処理翼は新品翼
と同様に、クリープ強度の完全回復が図られていた。
738LC材を用いた初段動翼(コーティング付き)に
ついて説明する。本実施例の動翼は24000時間の時
点でリコーティングしたものである。リコーティング時
は回復熱処理は実施せず、通常の熱処理のみを施し、そ
の後24000時間使用した。ここでは、表面のコーテ
ィングを除去せず、図1の再生処理工程に従い、再生処
理を施した。
却翼と比較して示している。図4中、14はγ相を示
し、15,16,17はγ′相を示し、18はγ−γ′
共晶を示している。この図6(b)に示すように、廃却
翼のγ′相16は凝集粗大化していた。しかし、図6
(c)に示すように、再生処理翼は、図6(a)に示す
新翼とほぼ同一組織まで回復していた。
クリープ破断時問を示している。廃却翼では極度のクリ
ープ強度の低下が生じていたのに対し、再生処理翼では
組織と同様にクリープ強度の完全回復が図られていた。
との境界近傍の組織を観察すると、図8(a)〜(c)
に示すように、回復熱処理およびその後実施した通常の
熱処理により、コーティング層19の構成元素と母材2
0の構成元素が相互拡散し、翼の強度に寄与しない拡散
層21の幅が大きくなり、かつ拡散層21の劣化相22
の粗大化もみられた。したがって、コーティング翼の回
復処理は回復熱処理前にコーティングを除去することが
望ましい。
タービンの動翼材であるNi基合金のU500材、Re
ne80材、Rene80の一方向凝固材およびこれら
の材料からなる第3段動翼に対しても、本発明の回復処
理方法を施したところ、クリープ寿命および組織の完全
回復が図れることが確認できた。
た燃焼器ライナ、トランジションピースおよび静翼に対
しても本回復処理法によって材料劣化・損傷を回復でき
ることが認められた。
ば、運用により材料劣化・損傷等が生じたガスタービン
部品を対象として、局部溶解による欠陥がなく、かつ
γ′相が完全に固溶し、製造時の組織状態に回復させる
ことを可能にし、新材と同等またはそれ以上の材料特性
を有する部品とすることができ、それにより再使用によ
る寿命延伸が可能となる。
卜。
果を示す図。
験結果を示す図。
す図。
試験結果を示す図。
す図。
試験結果を示す図。
ングと母材界面近傍の組織を示す図。
γ′相 6a,18 γ−γ″共晶 15 コーティング 20 母材 21 拡散層 22 拡散層内の劣化相
Claims (15)
- 【請求項1】 析出強化型の合金により構成され、高温
下の使用により材料の劣化または損傷が生じたガスター
ビン部品の回復処理方法であって、前記部品に高圧下で
熱処理を施す回復熱処理工程と、非加圧下で熱処理を施
す容体化熱処理工程および時効熱処理工程とを備えるこ
とを特徴とするガスタービン部品の材料劣化・損傷回復
処理方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の方法において、処理対象
となるガスタービン部品は、高温下での使用により析出
物の析出形態もしくは相の変化を生じるか、クリープま
たは疲労による損傷を受けたものであり、回復熱処理工
程では、析出相の固溶もしくは再析出、またはクリー
プ、疲労に起因する損傷の回復、あるいは局部的に溶解
した部位の回復を行わせることを特徴とするガスタービ
ン部品の材料劣化・損傷回復処理方法。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の方法において、
回復熱処理工程の温度条件は、処理対象となる高温部品
の析出物が固溶する温度以上で、かつ前記高温部品の形
状を一定に保持し得る温度以下であることを特徴とする
ガスタービン部品の材料劣化・損傷回復処理方法。 - 【請求項4】 請求項1から3までのいずれかに記載の
方法において、回復熱処理工程で施す圧力条件は、ガス
タービンの高温部品に運転時に生じたクリープもしくは
疲労による損傷、または局部的な溶解部を回復し得る圧
力以上で、かつ前記高温部品の形状を一定に保持し得る
圧力以下であることを特徴とするガスタービン部品の材
料劣化・損傷回復処理方法。 - 【請求項5】 請求項1から4までのいずれかに記載の
方法において、回復熱処理工程の前に、高温部品の表面
もしくはその直下におけるき裂、腐食、酸化、エロージ
ョン、または異物衝突による表面損傷もしくは欠陥を、
少なくとも部品表面に露出した欠陥のない状態まで補修
する表面補修工程を行うことを特徴とするガスタービン
部品の材料劣化・損傷回復処理方法。 - 【請求項6】 請求項5記載の方法において、表面補修
工程では、溶接、溶射、ロウ付けその他の加熱溶融手法
により、高温部品の表面の損傷もしくは欠陥を除去し、
設計条件を満たす表面状態および寸法に修復することを
特徴とするガスタービン部品の材料劣化・損傷回復処理
方法。 - 【請求項7】 請求項1から6までのいずれかに記載の
方法において、処理対象となる高温部品を構成する析出
強化型合金はNi基合金であり、γ′相またはγ″相が
主強化析出相であることを特徴とするガスタービン部品
の材料劣化・損傷回復処理方法。 - 【請求項8】 請求項1から6までのいずれかに記載の
方法において、処理対象となる高温部品を構成する析出
強化型合金はNi基の鋳造合金であり、かつ鋳造後に、
主強化析出相であるγ′相がその母材であるγ相に固溶
する固溶温度よりも低い温度を最高温度として熱処理が
施されたものであることを特徴とするガスタービン部品
の材料劣化・損傷回復処理方法。 - 【請求項9】 請求項1から6までのいずれかに記載の
方法において、処理対象となる高温部品を構成する析出
強化型合金はNi基の鋳造合金であり、かつ鋳造後に、
主強化析出相であるγ′相をその母材であるγ相に部分
的に固溶させる熱処理を施したものであることを特徴と
するガスタービン部品の材料劣化・損傷回復処理方法。 - 【請求項10】 請求項1から9までのいずれかに記載
の方法において、回復熱処理工程では、加圧力を制御す
ることにより処理炉を均熱にし、かつ被処理物も均熱に
することを特徴とするガスタービン部品の材料劣化・損
傷回復処理方法。 - 【請求項11】 請求項1から9までのいずれかに記載
の方法において、処理対象となる高温部品回は少なくと
もB,Ζr,Hf,Cのいずれかの元素を含み、回復熱
処理工程では、前記元素の拡散を低温度でも生じ易くす
るために加圧することを特徴とするガスタービン部品の
材料劣化・損傷回復処理方法。 - 【請求項12】 請求項1から9までのいずれかに記載
の方法において、処理対象となる高温部品回は少なくと
もB,Ζr,Hf,Cのいずれかの元素を含み、回復熱
処理工程では、前記元素の添加により局部溶解が生じた
場合でも、欠陥を圧着するために加圧することを特徴と
するガスタービン部品の材料劣化・損傷回復処理方法。 - 【請求項13】 請求項1から9までのいずれかに記載
の方法において、処理対象となる高温部品である析出強
化型合金は、少なくともB,Ζr,Ηf,Cのいずれか
の粒界強化元素を含み、かつ製造時における凝固の際に
デンドライト境界に前記元素のいずれかが偏析し、局部
溶解開始温度がγ′相の固溶温度とほぼ同等もしくはこ
れ以下のNi基の普通鋳造合金、一方向凝固あるいは単
結晶合金であることを特徴とするガスタービン部品の材
料劣化・損傷回復処理方法。 - 【請求項14】 請求項1から13までのいずれかに記
載の方法により処理されたことを特徴とするガスタービ
ン部品。 - 【請求項15】 請求項1から13までのいずれかに記
載の方法により処理されたことを特徴とするガスタービ
ン動翼、ガスタービン静翼、ガスタービン燃焼器ライナ
またはトランジションピース。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14488198A JP3559709B2 (ja) | 1998-05-26 | 1998-05-26 | ガスタービン部品の材料劣化回復処理方法及び本処理を施したガスタービン部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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