JP2002256887A - ガスタービン部品の表面劣化抑制方法および本方法を使用したガスタービン部品 - Google Patents
ガスタービン部品の表面劣化抑制方法および本方法を使用したガスタービン部品Info
- Publication number
- JP2002256887A JP2002256887A JP2001057019A JP2001057019A JP2002256887A JP 2002256887 A JP2002256887 A JP 2002256887A JP 2001057019 A JP2001057019 A JP 2001057019A JP 2001057019 A JP2001057019 A JP 2001057019A JP 2002256887 A JP2002256887 A JP 2002256887A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- concentration
- gas turbine
- pressurized medium
- surface deterioration
- turbine component
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Turbine Rotor Nozzle Sealing (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】酸化・腐食、エロージョン、飛来異物損傷等を
受けた動翼の再生処理を施す際に、熱間等方加圧処理工
程での表面劣化を抑制したガスタービン部品の表面劣化
抑制方法および本方法を使用したガスタービン部品を提
供する。 【解決手段】析出強化型の合金により構成され、高温下
の使用により材料の劣化および損傷が生じたガスタービ
ン部品の表面劣化抑制方法であって、不活性ガスを加圧
媒体として部品に熱間等方加圧処理を施す熱間等方加圧
処理工程S3と、非加圧下で熱処理を施す溶体化熱処理
工程S4および時効熱処理工程S5とを備え、熱間等方
加圧処理工程S3において不活性ガスに含有される不純
物の濃度を制御することにより部品の表面劣化を抑制す
ることを特徴とする。
受けた動翼の再生処理を施す際に、熱間等方加圧処理工
程での表面劣化を抑制したガスタービン部品の表面劣化
抑制方法および本方法を使用したガスタービン部品を提
供する。 【解決手段】析出強化型の合金により構成され、高温下
の使用により材料の劣化および損傷が生じたガスタービ
ン部品の表面劣化抑制方法であって、不活性ガスを加圧
媒体として部品に熱間等方加圧処理を施す熱間等方加圧
処理工程S3と、非加圧下で熱処理を施す溶体化熱処理
工程S4および時効熱処理工程S5とを備え、熱間等方
加圧処理工程S3において不活性ガスに含有される不純
物の濃度を制御することにより部品の表面劣化を抑制す
ることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、劣化および損傷し
たガスタービン高温部品の補修および再生処理技術に係
り、特に、補修および再生処理時の表面劣化を抑制した
ガスタービン部品の表面劣化抑制方法および本方法を使
用したガスタービン部品に関する。
たガスタービン高温部品の補修および再生処理技術に係
り、特に、補修および再生処理時の表面劣化を抑制した
ガスタービン部品の表面劣化抑制方法および本方法を使
用したガスタービン部品に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスタービン発電プラントは、ガスター
ビンと同軸に設けられた圧縮機の駆動により空気を圧縮
し、この圧縮空気を燃焼器内に案内して燃焼器ライナで
圧縮空気と燃料とにより燃焼する。燃焼により生じた高
温の燃焼ガスは、トランジションピースおよび静翼を経
て動翼に案内され、動翼を回転駆動させてガスタービン
に仕事をさせる。
ビンと同軸に設けられた圧縮機の駆動により空気を圧縮
し、この圧縮空気を燃焼器内に案内して燃焼器ライナで
圧縮空気と燃料とにより燃焼する。燃焼により生じた高
温の燃焼ガスは、トランジションピースおよび静翼を経
て動翼に案内され、動翼を回転駆動させてガスタービン
に仕事をさせる。
【0003】この種のガスタービン高温部品である燃焼
器ライナ、トランジションピース、静翼および動翼に
は、耐熱超合金が用いられている。特に、静翼および動
翼を構成する材料には、高温強度、高温腐食に優れたN
i基超合金などの耐熱超合金が適用されている。
器ライナ、トランジションピース、静翼および動翼に
は、耐熱超合金が用いられている。特に、静翼および動
翼を構成する材料には、高温強度、高温腐食に優れたN
i基超合金などの耐熱超合金が適用されている。
【0004】ガスタービンは運転に伴い、以下に示すよ
うな種々の損傷がガスタービン部品に生じてくる。具体
的には、高温の燃焼ガス雰囲気下においてガスタービン
は運転されるため、ガスタービン部品に材料劣化が生じ
るとともに、高速回転に起因する遠心応力によるクリー
プ損傷が蓄積する。さらに、ガスタービンの起動時には
比較的低温環境域から高温環境域に、停止時には逆に高
温環境域から低温環境域に推移する段階で熱疲労が生じ
ることから、ガスタービン部品に疲労損傷が蓄積し、こ
れらの傷が重畳して蓄積する。
うな種々の損傷がガスタービン部品に生じてくる。具体
的には、高温の燃焼ガス雰囲気下においてガスタービン
は運転されるため、ガスタービン部品に材料劣化が生じ
るとともに、高速回転に起因する遠心応力によるクリー
プ損傷が蓄積する。さらに、ガスタービンの起動時には
比較的低温環境域から高温環境域に、停止時には逆に高
温環境域から低温環境域に推移する段階で熱疲労が生じ
ることから、ガスタービン部品に疲労損傷が蓄積し、こ
れらの傷が重畳して蓄積する。
【0005】そこで、ガスタービンの運転に伴い発生す
る高温部品の劣化、損傷などの診断を効率的に精度良く
予測する保守管理方法が開発されている。例えば、特開
平10−293049号公報に、その方法が掲載されて
いる。これによれば、ガスタービンの動翼を含めた高温
部品の保守管理は、機器の設計段階で決まるクリープあ
るいは疲労寿命と実機の運転、立地上の環境により設定
される寿命をもとに同一機種あるいは同一運転形態をと
るガスタービンを分類し、分類された各グループの先行
機の実績を用いて設計寿命を補正し、後続機の保守管理
を行っている。
る高温部品の劣化、損傷などの診断を効率的に精度良く
予測する保守管理方法が開発されている。例えば、特開
平10−293049号公報に、その方法が掲載されて
いる。これによれば、ガスタービンの動翼を含めた高温
部品の保守管理は、機器の設計段階で決まるクリープあ
るいは疲労寿命と実機の運転、立地上の環境により設定
される寿命をもとに同一機種あるいは同一運転形態をと
るガスタービンを分類し、分類された各グループの先行
機の実績を用いて設計寿命を補正し、後続機の保守管理
を行っている。
【0006】しかし、上記保守管理方法により高温部品
の劣化、損傷診断を効率的に精度良く予測できるもの
の、ガスタービン高温部品、特に、動翼は運転時間の経
過とともに材料劣化・損傷が蓄積し、設計上の管理寿命
に達すると動翼はいずれも廃却されて新品の動翼と交換
するか、あるいは、廃却品に再生処理を施して再使用で
きるようにする必要があった。廃却品を新品の動翼とに
交換すると、動翼を構成する材料は非常に高価であるこ
とから、コスト上昇につながる。このため、廃却品を再
生処理して再使用することが望ましい。
の劣化、損傷診断を効率的に精度良く予測できるもの
の、ガスタービン高温部品、特に、動翼は運転時間の経
過とともに材料劣化・損傷が蓄積し、設計上の管理寿命
に達すると動翼はいずれも廃却されて新品の動翼と交換
するか、あるいは、廃却品に再生処理を施して再使用で
きるようにする必要があった。廃却品を新品の動翼とに
交換すると、動翼を構成する材料は非常に高価であるこ
とから、コスト上昇につながる。このため、廃却品を再
生処理して再使用することが望ましい。
【0007】そこで、近年、寿命に達し廃却品となった
ガスタービン部品を再生処理する方法が開発されてい
る。例えば、特開平11−335802号公報には、ガ
スタービンの運転により生じた材質劣化とともに蓄積し
たクリープ損傷、疲労損傷を再生処理する方法が掲載さ
れている。具体的には、Ni基超合金から構成される動
翼を再生処理する際に、主強化相である[Ni3(A
l,Ti)]が固溶する温度以上で、かつ、動翼が溶融
しない温度以下において熱間等方加圧処理を施し、熱間
等方加圧処理後に溶体化熱処理および時効熱処理を順に
施している。これにより、ガスタービン部品の再使用が
可能になり、寿命延伸を図っている。
ガスタービン部品を再生処理する方法が開発されてい
る。例えば、特開平11−335802号公報には、ガ
スタービンの運転により生じた材質劣化とともに蓄積し
たクリープ損傷、疲労損傷を再生処理する方法が掲載さ
れている。具体的には、Ni基超合金から構成される動
翼を再生処理する際に、主強化相である[Ni3(A
l,Ti)]が固溶する温度以上で、かつ、動翼が溶融
しない温度以下において熱間等方加圧処理を施し、熱間
等方加圧処理後に溶体化熱処理および時効熱処理を順に
施している。これにより、ガスタービン部品の再使用が
可能になり、寿命延伸を図っている。
【0008】このような方法の熱間等方加圧処理工程で
は、運転時に生じたクリープもしくは疲労による損傷、
または局部的な溶解部を回復し得る温度および圧力で行
う必要がある。詳述すると、動翼材として精密鋳造材を
用いると、鋳造時に凝固する過程でデンドライト境界部
に融点を下げる元素が偏析しやすい傾向にある。デンド
ライト境界部は局部的に融点が下がり、主強化析出相で
あるγ´相の固溶温度に近づくことから、これらの材料
は工業的に通常局部溶解の生じない範囲で、最適な組織
が得られる熱処理を行っている。このため、再生を図る
際、一般的な熱処理では、主強化相であるγ´相を完全
に固溶させて、再析出させるだけではデンドライト境界
部に空孔が生じ、組織の完全な回復を図ることができ
ず、かえって強度あるいは寿命の低下を来す場合も生じ
る。このため、局部溶解による欠陥がなく、かつ凝集粗
大化して劣化したγ´相を完全に固溶させ、たとえ内部
に欠陥が生じたとしても加圧下で消滅できるため、熱間
等方加圧処理を施す方法が採用されている。
は、運転時に生じたクリープもしくは疲労による損傷、
または局部的な溶解部を回復し得る温度および圧力で行
う必要がある。詳述すると、動翼材として精密鋳造材を
用いると、鋳造時に凝固する過程でデンドライト境界部
に融点を下げる元素が偏析しやすい傾向にある。デンド
ライト境界部は局部的に融点が下がり、主強化析出相で
あるγ´相の固溶温度に近づくことから、これらの材料
は工業的に通常局部溶解の生じない範囲で、最適な組織
が得られる熱処理を行っている。このため、再生を図る
際、一般的な熱処理では、主強化相であるγ´相を完全
に固溶させて、再析出させるだけではデンドライト境界
部に空孔が生じ、組織の完全な回復を図ることができ
ず、かえって強度あるいは寿命の低下を来す場合も生じ
る。このため、局部溶解による欠陥がなく、かつ凝集粗
大化して劣化したγ´相を完全に固溶させ、たとえ内部
に欠陥が生じたとしても加圧下で消滅できるため、熱間
等方加圧処理を施す方法が採用されている。
【0009】このような熱間等方加圧処理においては、
一般的に、高純度のアルゴンまたはヘリウムなどの不活
性ガス、または処理後のガスを再度使用する再生ガスを
加圧媒体として適用している。
一般的に、高純度のアルゴンまたはヘリウムなどの不活
性ガス、または処理後のガスを再度使用する再生ガスを
加圧媒体として適用している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、再生ガ
スなどを加圧媒体として適用した場合には、熱間等方加
圧処理工程時に、加圧媒体中に含まれる不純物等の影響
により高温部品表面が劣化し、再生処理を施すことによ
り高温部品のクリープ強度、引張強度および疲労強度が
低下するという問題を有していた。
スなどを加圧媒体として適用した場合には、熱間等方加
圧処理工程時に、加圧媒体中に含まれる不純物等の影響
により高温部品表面が劣化し、再生処理を施すことによ
り高温部品のクリープ強度、引張強度および疲労強度が
低下するという問題を有していた。
【0011】再生ガス中には、処理中に生成した水素、
一酸化炭素および二酸化炭素等の不純物が含まれるが、
アルゴンガスまたはヘリウムガスの不活性ガスを高純度
とした場合であっても、酸素、窒素、水素、メタンなど
の不純物が含有されており、不活性ガス中に含まれる不
純物量次第によっては、高温部品の表面劣化が生じる。
一酸化炭素および二酸化炭素等の不純物が含まれるが、
アルゴンガスまたはヘリウムガスの不活性ガスを高純度
とした場合であっても、酸素、窒素、水素、メタンなど
の不純物が含有されており、不活性ガス中に含まれる不
純物量次第によっては、高温部品の表面劣化が生じる。
【0012】特に、酸素、窒素、水素およびメタンは、
高温部品の表面劣化を生じさせる元素であり、本元素濃
度によって高温部品表面に形成される劣化層の厚さまた
は表面粗さが異なってくる。
高温部品の表面劣化を生じさせる元素であり、本元素濃
度によって高温部品表面に形成される劣化層の厚さまた
は表面粗さが異なってくる。
【0013】高温部品の表面に形成される劣化層が厚く
なると、応力を負担する有効断面積が減少し、高温部品
のクリープ強度が低下するだけでなく、疲労強度が低下
するという問題を有していた。
なると、応力を負担する有効断面積が減少し、高温部品
のクリープ強度が低下するだけでなく、疲労強度が低下
するという問題を有していた。
【0014】また、再生処理を施した高温部品の表面粗
さが大きくなると、高温部品の疲労強度が低下するとい
う問題を有していた。
さが大きくなると、高温部品の疲労強度が低下するとい
う問題を有していた。
【0015】本発明は、上述した問題を解決するために
なされたものであり、熱間等方加圧処理時におけるクリ
ープ強度および疲労強度の低下を防止したガスタービン
部品の表面劣化抑制方法および本方法を使用したガスタ
ービン部品を提供することを目的とする。
なされたものであり、熱間等方加圧処理時におけるクリ
ープ強度および疲労強度の低下を防止したガスタービン
部品の表面劣化抑制方法および本方法を使用したガスタ
ービン部品を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく種々研究した結果、熱間等方加圧処理時の
加圧媒体中のガス濃度を調整することにより、運転中に
高温下に曝されることによる熱劣化、クリープ損傷、疲
労損傷あるいは酸化・腐食、エロージョン、飛来異物損
傷等を受けた動翼の再生処理時の熱間等方加圧処理にお
ける表面劣化を抑制できるガスタービン部品の表面劣化
抑制方法および本方法を使用したガスタービン部品を得
られることを見出し、本発明を完成させたものである。
を達成すべく種々研究した結果、熱間等方加圧処理時の
加圧媒体中のガス濃度を調整することにより、運転中に
高温下に曝されることによる熱劣化、クリープ損傷、疲
労損傷あるいは酸化・腐食、エロージョン、飛来異物損
傷等を受けた動翼の再生処理時の熱間等方加圧処理にお
ける表面劣化を抑制できるガスタービン部品の表面劣化
抑制方法および本方法を使用したガスタービン部品を得
られることを見出し、本発明を完成させたものである。
【0017】すなわち、本発明は、析出強化型の合金に
より構成され、高温下の使用により材料の劣化および損
傷が生じたガスタービン部品の表面劣化抑制方法であっ
て、不活性ガスを加圧媒体として前記部品に熱間等方加
圧処理を施す熱間等方加圧処理工程と、非加圧下で熱処
理を施す溶体化熱処理工程および時効熱処理工程とを備
え、前記熱間等方加圧処理工程において不活性ガスに含
有される不純物の濃度を制御することにより前記部品の
表面劣化を抑制することを特徴とする。そして、不活性
ガスは、アルゴンガスまたはヘリウムガスであり、この
不活性ガス中に含有され濃度制御の対象となる不純物
は、酸素、窒素、水素またはメタンのいずれか一種以上
である。
より構成され、高温下の使用により材料の劣化および損
傷が生じたガスタービン部品の表面劣化抑制方法であっ
て、不活性ガスを加圧媒体として前記部品に熱間等方加
圧処理を施す熱間等方加圧処理工程と、非加圧下で熱処
理を施す溶体化熱処理工程および時効熱処理工程とを備
え、前記熱間等方加圧処理工程において不活性ガスに含
有される不純物の濃度を制御することにより前記部品の
表面劣化を抑制することを特徴とする。そして、不活性
ガスは、アルゴンガスまたはヘリウムガスであり、この
不活性ガス中に含有され濃度制御の対象となる不純物
は、酸素、窒素、水素またはメタンのいずれか一種以上
である。
【0018】本発明は、析出強化型のNi基の合金であ
り、γ´相[Ni3(Al,Ti)]を主強化析出相と
している部材を対象としており、本再生処理によりメン
テナンスされる機器はガスタービンの高温部品であり、
特に、前記した材料によって製造されているガスタービ
ン部品であるガスタービン動翼、静翼あるいは燃焼器ラ
イナ、トランジションピースに対して施すものである。
り、γ´相[Ni3(Al,Ti)]を主強化析出相と
している部材を対象としており、本再生処理によりメン
テナンスされる機器はガスタービンの高温部品であり、
特に、前記した材料によって製造されているガスタービ
ン部品であるガスタービン動翼、静翼あるいは燃焼器ラ
イナ、トランジションピースに対して施すものである。
【0019】また、ガスタービン部品の表面劣化抑制方
法において、表面劣化により材料のクリープ強度低下を
防止し得る加圧媒体中の酸素分圧または窒素分圧から加
圧媒体中の酸素濃度および窒素濃度を求め、この酸素濃
度および窒素濃度とした加圧媒体を用いて熱間等方加圧
処理を施すことが望ましい。
法において、表面劣化により材料のクリープ強度低下を
防止し得る加圧媒体中の酸素分圧または窒素分圧から加
圧媒体中の酸素濃度および窒素濃度を求め、この酸素濃
度および窒素濃度とした加圧媒体を用いて熱間等方加圧
処理を施すことが望ましい。
【0020】高温下で使用されるガスタービン高温部品
は、高温部品の材料が析出強化型の合金である場合、運
転時間の経過とともに析出物の析出・成長すなわち凝集
粗大化が進み、析出強化相としての形態の変化ととも
に、本来の材料特性、特に、クリープ寿命あるいは延性
・靱性の低下が生じる。また、遠心応力あるいは熱応力
等によるクリープ、起動・停止の熱履歴による熱疲労、
高・低サイクル疲労による損傷を受けており、さらに、
き裂なども発生する。このような劣化と損傷を受けた高
温部品の材料特性を再生させるためには、局部溶解によ
る欠陥をなくし、かつ凝集粗大化により劣化したγ´相
を完全に固溶させるために、γ´相の固溶温度以上で熱
間等方加圧処理する必要がある。この熱間等方加圧処理
ではアルゴンまたはヘリウム等の不活性ガスを加圧媒体
として用いる。これらの不活性ガス中には、不純物とし
て酸素、窒素、水素、メタン等が含有されており、不純
物の量次第によっては、被処理物の表面では表面劣化が
生じる。特に、酸素、窒素、水素およびメタンは表面劣
化に寄与する元素であり、本元素濃度により劣化層厚さ
または表面粗さが異なり、劣化層が厚くなると応力を負
担する有効断面積の減少に伴いクリープ強度が低下し、
また、表面粗さの増加に伴い疲労強度が低下してしま
う。
は、高温部品の材料が析出強化型の合金である場合、運
転時間の経過とともに析出物の析出・成長すなわち凝集
粗大化が進み、析出強化相としての形態の変化ととも
に、本来の材料特性、特に、クリープ寿命あるいは延性
・靱性の低下が生じる。また、遠心応力あるいは熱応力
等によるクリープ、起動・停止の熱履歴による熱疲労、
高・低サイクル疲労による損傷を受けており、さらに、
き裂なども発生する。このような劣化と損傷を受けた高
温部品の材料特性を再生させるためには、局部溶解によ
る欠陥をなくし、かつ凝集粗大化により劣化したγ´相
を完全に固溶させるために、γ´相の固溶温度以上で熱
間等方加圧処理する必要がある。この熱間等方加圧処理
ではアルゴンまたはヘリウム等の不活性ガスを加圧媒体
として用いる。これらの不活性ガス中には、不純物とし
て酸素、窒素、水素、メタン等が含有されており、不純
物の量次第によっては、被処理物の表面では表面劣化が
生じる。特に、酸素、窒素、水素およびメタンは表面劣
化に寄与する元素であり、本元素濃度により劣化層厚さ
または表面粗さが異なり、劣化層が厚くなると応力を負
担する有効断面積の減少に伴いクリープ強度が低下し、
また、表面粗さの増加に伴い疲労強度が低下してしま
う。
【0021】従って、本発明において、劣化と損傷を受
けた部材を熱間等方加圧処理する際に、クリープ強度の
低下を防止するため、加圧媒体中の酸素濃度および窒素
濃度を規定することにより、ガスタービン部品の表面劣
化を抑制したものである。以下において、同様の理由に
基づき加圧媒体中の不純物濃度を規定した。
けた部材を熱間等方加圧処理する際に、クリープ強度の
低下を防止するため、加圧媒体中の酸素濃度および窒素
濃度を規定することにより、ガスタービン部品の表面劣
化を抑制したものである。以下において、同様の理由に
基づき加圧媒体中の不純物濃度を規定した。
【0022】ガスタービン部品の表面劣化抑制方法にお
いて、表面劣化による材料の疲労強度低下を防止し得る
加圧媒体中の窒素分圧および水素分圧から加圧媒体中の
窒素濃度および水素濃度を求めて、この窒素濃度および
水素濃度とした加圧媒体を用いて熱間等方加圧処理を施
すことを特徴とする。
いて、表面劣化による材料の疲労強度低下を防止し得る
加圧媒体中の窒素分圧および水素分圧から加圧媒体中の
窒素濃度および水素濃度を求めて、この窒素濃度および
水素濃度とした加圧媒体を用いて熱間等方加圧処理を施
すことを特徴とする。
【0023】また、表面劣化による材料の疲労強度低下
を防止し得る加圧媒体中の水素分圧から加圧媒体中の水
素濃度を求めて、この水素濃度とした加圧媒体を用いて
熱間等方加圧処理を施すことを特徴とする。
を防止し得る加圧媒体中の水素分圧から加圧媒体中の水
素濃度を求めて、この水素濃度とした加圧媒体を用いて
熱間等方加圧処理を施すことを特徴とする。
【0024】さらに、表面劣化による材料の引張延性低
下を防止し得る加圧媒体中の水素分圧から加圧媒体の水
素濃度を求めて、この水素濃度とした加圧媒体を用いて
熱間等方加圧処理を施すことを特徴とする。
下を防止し得る加圧媒体中の水素分圧から加圧媒体の水
素濃度を求めて、この水素濃度とした加圧媒体を用いて
熱間等方加圧処理を施すことを特徴とする。
【0025】なお、本発明における熱間等方加圧処理
は、加熱装置を配備した圧力容器と不活性ガスタンクお
よび不活性ガスを圧縮し容器中に送り込む圧縮装置、使
用した不活性ガスを回収する排気・ガス回収装置および
加熱装置内に配備した部品を保持する容器からなる装置
を用い、この容器中に部品をセットした後、一旦圧力容
器内を排気した後、不活性ガスを封入し、加圧しながら
昇温し、所定の温度および圧力で熱処理を行った後、所
定の冷却速度で冷却することによって凝集粗大化したγ
´相をγ相(母材)へ完全に固溶させるとともに、不可
避的に生じたクリープあるいは疲労による損傷を回復・
再生させるものである。
は、加熱装置を配備した圧力容器と不活性ガスタンクお
よび不活性ガスを圧縮し容器中に送り込む圧縮装置、使
用した不活性ガスを回収する排気・ガス回収装置および
加熱装置内に配備した部品を保持する容器からなる装置
を用い、この容器中に部品をセットした後、一旦圧力容
器内を排気した後、不活性ガスを封入し、加圧しながら
昇温し、所定の温度および圧力で熱処理を行った後、所
定の冷却速度で冷却することによって凝集粗大化したγ
´相をγ相(母材)へ完全に固溶させるとともに、不可
避的に生じたクリープあるいは疲労による損傷を回復・
再生させるものである。
【0026】そして、加圧媒体中の不純物濃度について
は、具体的に、酸素濃度については30ppm以下、窒
素濃度については60ppm以下、水素濃度については
150ppm以下、メタン濃度については30ppm以
下とすることが望ましい。
は、具体的に、酸素濃度については30ppm以下、窒
素濃度については60ppm以下、水素濃度については
150ppm以下、メタン濃度については30ppm以
下とすることが望ましい。
【0027】詳述すると、熱間等方加圧処理中の表面劣
化としては、酸化、窒化および水素脆化があり、これら
の劣化現象が重畳して表面粗さが増す。
化としては、酸化、窒化および水素脆化があり、これら
の劣化現象が重畳して表面粗さが増す。
【0028】酸化は、加圧媒体中の酸素と金属が反応
し、金属表面にスケールが生成すると同時に、酸素と親
和力が強い合金に添加されているAl、Ti等と反応
し、金属表面近傍に反応層が生成する。金属が析出強化
型のNi基の合金であり、γ´相[Ni3(Al,T
i)]を主強化析出相としている部材では、表面近傍に
γ´相が消失した変質層が生成する。
し、金属表面にスケールが生成すると同時に、酸素と親
和力が強い合金に添加されているAl、Ti等と反応
し、金属表面近傍に反応層が生成する。金属が析出強化
型のNi基の合金であり、γ´相[Ni3(Al,T
i)]を主強化析出相としている部材では、表面近傍に
γ´相が消失した変質層が生成する。
【0029】窒化は、加圧媒体中の窒素と金属または合
金元素、特に窒素と親和力が強いAl、Cr、V、Ti
等と反応し、脆い窒化物が生成する。金属が前記合金と
同一である部材では、表面近傍にγ´相が消失した消失
層とともにAlまたはTiの窒化物が生成する。これら
のγ´相が消失することにより有効断面積が減少し、ク
リープ強度の低下が生じる。そのためアルゴンまたはヘ
リウムの加圧媒体中に含まれる酸素濃度は30ppm以
下であること、窒素濃度は60ppm以下であることが
望ましい。
金元素、特に窒素と親和力が強いAl、Cr、V、Ti
等と反応し、脆い窒化物が生成する。金属が前記合金と
同一である部材では、表面近傍にγ´相が消失した消失
層とともにAlまたはTiの窒化物が生成する。これら
のγ´相が消失することにより有効断面積が減少し、ク
リープ強度の低下が生じる。そのためアルゴンまたはヘ
リウムの加圧媒体中に含まれる酸素濃度は30ppm以
下であること、窒素濃度は60ppm以下であることが
望ましい。
【0030】水素脆化は、加圧媒体中の窒素またはメタ
ンが金属または合金中に吸収され、特に炭化物と反応
し、メタンを生成、微細な割れまたは空孔が生じる。微
細な割れまたは空孔が生じることにより靭性が低下す
る。そのためアルゴンまたはヘリウムの加圧媒体中に含
まれる水素濃度は150ppm以下、メタン濃度は30
ppm以下であることが望ましい。
ンが金属または合金中に吸収され、特に炭化物と反応
し、メタンを生成、微細な割れまたは空孔が生じる。微
細な割れまたは空孔が生じることにより靭性が低下す
る。そのためアルゴンまたはヘリウムの加圧媒体中に含
まれる水素濃度は150ppm以下、メタン濃度は30
ppm以下であることが望ましい。
【0031】なお、高圧下での熱間等方加圧処理後の状
態は、新材を鋳造・凝固した状態に等しいことから、そ
の後、適切な熱処理(一例:溶体化処理と時効処理)を
施すことが望ましい。しかし、本高圧下における熱処理
を施す装置がガス冷却装置を装備し、毎分40℃以上で
冷却可能な装置を装備している場合、γ´相を固溶させ
る熱処理を施した後、本来の本合金の溶体化処理温度で
一旦保持した後、急冷することで溶体化処理を兼ねるこ
ともできる。
態は、新材を鋳造・凝固した状態に等しいことから、そ
の後、適切な熱処理(一例:溶体化処理と時効処理)を
施すことが望ましい。しかし、本高圧下における熱処理
を施す装置がガス冷却装置を装備し、毎分40℃以上で
冷却可能な装置を装備している場合、γ´相を固溶させ
る熱処理を施した後、本来の本合金の溶体化処理温度で
一旦保持した後、急冷することで溶体化処理を兼ねるこ
ともできる。
【0032】本高温高圧下の処理においては、翼表面は
アルミナ粒子等によりブラストし、部材との反応の可能
性のある汚れは除去後、行う必要がある。特に、コーテ
ィングを施している部品の場合、コーティング元素が基
材に拡散することにより合金本来の特性を損なう、ある
いは寿命の低下を来す場合は、コーティング層を除去し
て処理することが望ましい。
アルミナ粒子等によりブラストし、部材との反応の可能
性のある汚れは除去後、行う必要がある。特に、コーテ
ィングを施している部品の場合、コーティング元素が基
材に拡散することにより合金本来の特性を損なう、ある
いは寿命の低下を来す場合は、コーティング層を除去し
て処理することが望ましい。
【0033】このようなガスタービン部品における熱間
等方加圧処理での表面劣化抑制方法について、手順を追
って説明する。
等方加圧処理での表面劣化抑制方法について、手順を追
って説明する。
【0034】まず、加圧媒体に含有している不純物の酸
素、窒素、水素、メタン等の許容濃度を求めるにあた
り、再生処理する部品に用いられている合金のクリープ
強度または疲労強度に及ぼす表面劣化の影響を把握す
る。クリープ強度に及ぼす酸素による表面劣化に関して
は、種々の温度で種々の酸素分圧下で加熱材を作成し、
表面劣化材のクリープ試験を行う。これらの試験から表
面劣化の影響を示す酸素分圧と温度の相関を求め、熱間
等方加圧処理の温度から表面劣化の影響を示さない酸素
分圧を求め、加圧媒体中の許容酸素濃度を規定する。そ
の他、窒素についても同様にして許容窒素濃度を規定す
る。一方、水素およびメタンガスによる水素脆化につい
ては強度よりむしろ延靭性に大きく影響を及ぼすため引
張試験を行い、引張伸びおよび絞りに着目して許容濃度
を求める。
素、窒素、水素、メタン等の許容濃度を求めるにあた
り、再生処理する部品に用いられている合金のクリープ
強度または疲労強度に及ぼす表面劣化の影響を把握す
る。クリープ強度に及ぼす酸素による表面劣化に関して
は、種々の温度で種々の酸素分圧下で加熱材を作成し、
表面劣化材のクリープ試験を行う。これらの試験から表
面劣化の影響を示す酸素分圧と温度の相関を求め、熱間
等方加圧処理の温度から表面劣化の影響を示さない酸素
分圧を求め、加圧媒体中の許容酸素濃度を規定する。そ
の他、窒素についても同様にして許容窒素濃度を規定す
る。一方、水素およびメタンガスによる水素脆化につい
ては強度よりむしろ延靭性に大きく影響を及ぼすため引
張試験を行い、引張伸びおよび絞りに着目して許容濃度
を求める。
【0035】また、疲労強度に及ぼす表面劣化の影響に
ついては、上述の試験にて求めた許容ガス濃度をもとに
許容値内の加圧媒体と許容値を外れる加圧媒体を人工的
に作成し、試験材に熱間等方加圧処理を施す。その後、
試験材の表面近傍の断面観察と疲労試験にて疲労強度と
表面粗さの相関を検証する。
ついては、上述の試験にて求めた許容ガス濃度をもとに
許容値内の加圧媒体と許容値を外れる加圧媒体を人工的
に作成し、試験材に熱間等方加圧処理を施す。その後、
試験材の表面近傍の断面観察と疲労試験にて疲労強度と
表面粗さの相関を検証する。
【0036】一方、管理寿命に達した部品あるいはそれ
以前の部品は、目視検査、寸法検査等の非破壊検査を行
い、検査結果に基づき使用可能な部品を選定する。この
検査にて部品表面およびその直下にき裂、腐食・酸化あ
るいはエロージョン、異物衝突による損傷がある部材に
ついては、再生処理しても再利用できないために損傷部
の補修を事前に行う。また、外表面にコーティングが施
されている部品ではコーティング層を除去することが望
ましい。損傷部の補修あるいはコーティング層を除去し
た部材は以下に述べる再生処理前に再度、前記した非破
壊検査を実施し、修復できていることを確認する。
以前の部品は、目視検査、寸法検査等の非破壊検査を行
い、検査結果に基づき使用可能な部品を選定する。この
検査にて部品表面およびその直下にき裂、腐食・酸化あ
るいはエロージョン、異物衝突による損傷がある部材に
ついては、再生処理しても再利用できないために損傷部
の補修を事前に行う。また、外表面にコーティングが施
されている部品ではコーティング層を除去することが望
ましい。損傷部の補修あるいはコーティング層を除去し
た部材は以下に述べる再生処理前に再度、前記した非破
壊検査を実施し、修復できていることを確認する。
【0037】次に、高圧下で熱処理を施すが、加圧媒体
の分析を行い、上記の試験にて求めた許容濃度内にある
ことを事前に確認する。圧力容器には部品を装填する
が、高圧下で熱処理するため、部品が自重により変形し
ないように配列する。なお、部品の装填は炉の均熱帯に
配列することが望ましい。炉に部品を装填した時点では
雰囲気が大気であり、Ar雰囲気で処理するためにま
ず、圧力容器の真空引きを行う。続いて、Arガスを注
入する。この真空引きとArガス注入するArガスの置
換操作は2〜3回行うことが望ましい。続いて、圧縮機
にて高圧のArガスを注入すると同時に所定の温度まで
昇温する。圧力は温度が所定に達した後、最終的に圧縮
機により所定の値に調整する。所定の圧力に達した後、
温度および圧力を保持し、冷却する。冷却後は部品に用
いられている材料の通常の熱処理を施す。この回復処理
を施した後、目視検査、寸法検査等の非破壊検査を行
う。コーティングを施す場合は通常の熱処理の前後に行
い、その後に非破壊検査を行う。
の分析を行い、上記の試験にて求めた許容濃度内にある
ことを事前に確認する。圧力容器には部品を装填する
が、高圧下で熱処理するため、部品が自重により変形し
ないように配列する。なお、部品の装填は炉の均熱帯に
配列することが望ましい。炉に部品を装填した時点では
雰囲気が大気であり、Ar雰囲気で処理するためにま
ず、圧力容器の真空引きを行う。続いて、Arガスを注
入する。この真空引きとArガス注入するArガスの置
換操作は2〜3回行うことが望ましい。続いて、圧縮機
にて高圧のArガスを注入すると同時に所定の温度まで
昇温する。圧力は温度が所定に達した後、最終的に圧縮
機により所定の値に調整する。所定の圧力に達した後、
温度および圧力を保持し、冷却する。冷却後は部品に用
いられている材料の通常の熱処理を施す。この回復処理
を施した後、目視検査、寸法検査等の非破壊検査を行
う。コーティングを施す場合は通常の熱処理の前後に行
い、その後に非破壊検査を行う。
【0038】以上のように、本発明の表面劣化の抑制法
により、ガスタービン高温部品の劣化と損傷を受けた部
材の材料特性を回復させることが可能となる。
により、ガスタービン高温部品の劣化と損傷を受けた部
材の材料特性を回復させることが可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るガスタービン
部品の表面劣化抑制方法および本方法を使用したガスタ
ービン部品の実施形態について、ガスタービン動翼を例
に挙げて説明する。
部品の表面劣化抑制方法および本方法を使用したガスタ
ービン部品の実施形態について、ガスタービン動翼を例
に挙げて説明する。
【0040】まず、ガスタービン動翼の表面劣化抑制方
法の手順について、図1に示すフロチャートを用いて説
明する。
法の手順について、図1に示すフロチャートを用いて説
明する。
【0041】図1に示すように、まず、処理対象となる
動翼について目視等による再生処理前検査を行い(S
1)、次に、翼表面にアルミナブラスト処理により汚れ
を除去する前処理を行った(S2)。さらに、高温高圧
下で熱処理を施す熱間等方加圧処理を行う(S3)。次
いで、非加圧下で熱処理を施す溶体化熱処理および時効
熱処理を行い(S4、S5)、その後、再生処理後検査
を行った(S6)。
動翼について目視等による再生処理前検査を行い(S
1)、次に、翼表面にアルミナブラスト処理により汚れ
を除去する前処理を行った(S2)。さらに、高温高圧
下で熱処理を施す熱間等方加圧処理を行う(S3)。次
いで、非加圧下で熱処理を施す溶体化熱処理および時効
熱処理を行い(S4、S5)、その後、再生処理後検査
を行った(S6)。
【0042】なお、本実施形態では、実プラントで設計
寿命に達し、廃却となったNi基超合金であるIN73
8LC合金から構成されるガスタービンの第2段動翼の
廃却翼を用いて、動翼の表面劣化抑制方法を適用したも
のである。実際に、ガスタービンの第2段動翼の廃却翼
に表面劣化抑制方法を適用する前に、本発明の正当性を
示すため、IN738LC合金からなる試験材を用い
て、本発明に係る表面劣化抑制方法を実施例1において
実施した。
寿命に達し、廃却となったNi基超合金であるIN73
8LC合金から構成されるガスタービンの第2段動翼の
廃却翼を用いて、動翼の表面劣化抑制方法を適用したも
のである。実際に、ガスタービンの第2段動翼の廃却翼
に表面劣化抑制方法を適用する前に、本発明の正当性を
示すため、IN738LC合金からなる試験材を用い
て、本発明に係る表面劣化抑制方法を実施例1において
実施した。
【0043】実施例1(表1〜表3、図2〜図5) 本実施例では、IN738LCからなる試験材を用い
て、本発明に係る表面劣化抑制方法における熱間等方加
圧処理工程S3でのクリープ強度、延靭性および疲労強
度に及ぼす表面劣化の影響を把握するために、以下に示
す実験を実施した。本実施例で適用した試験材の化学組
成を表1に示す。
て、本発明に係る表面劣化抑制方法における熱間等方加
圧処理工程S3でのクリープ強度、延靭性および疲労強
度に及ぼす表面劣化の影響を把握するために、以下に示
す実験を実施した。本実施例で適用した試験材の化学組
成を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】表1に示す試験材を用いて、まず、熱間等
方加圧処理工程S3でのクリープ強度に及ぼす表面劣化
の影響を調査した。
方加圧処理工程S3でのクリープ強度に及ぼす表面劣化
の影響を調査した。
【0046】試験材にアルゴンガス中で熱間等方加圧処
理し、28種の加熱材を作製した。なお、熱間等方加圧
処理(S3)の処理条件は、表2に示すように、加熱温
度を700℃から1300℃までの温度範囲で変化させ
たものであり、また、アルゴンガス中の酸素分圧を0か
ら58.8MPaまでの範囲で変化させて、表2に示す
28種類の加熱材を作製したものである。
理し、28種の加熱材を作製した。なお、熱間等方加圧
処理(S3)の処理条件は、表2に示すように、加熱温
度を700℃から1300℃までの温度範囲で変化させ
たものであり、また、アルゴンガス中の酸素分圧を0か
ら58.8MPaまでの範囲で変化させて、表2に示す
28種類の加熱材を作製したものである。
【0047】
【表2】
【0048】熱間等方加圧処理を施して得られた28種
の各加熱材を900℃の温度に保持し、これに約2.9
4MPaの荷重を加えて、試験時間の経過とともに変化
するひずみを測定するクリープ試験を行った。そして、
このクリープ試験結果に基づいて各加熱材のクリープ強
度を求め、その結果を図2に示した。図2に示す縦軸に
は加熱温度を示し、横軸には酸素分圧を示し、クリープ
強度の低下が認められた加熱材を黒丸●で示し、クリー
プ強度の低下が認められなかった加熱材を白丸○で示し
た。そして、クリープ強度の低下が認められた加熱材●
と、クリープ強度の低下が認められなかった加熱材○と
の境目にクリープ強度の低下を防止し得る酸素分圧−加
熱温度曲線aを作成した。その後、熱間等方加圧処理S
3において許容される加熱温度の範囲を求め、許容され
る加熱温度から図2に示す縦軸の加熱温度に対応する酸
素分圧−加熱温度曲線aから該当する横軸の酸素分圧を
求めた。このようにして得られた酸素分圧に基づいてア
ルゴンガス中の許容酸素濃度を算出し、熱間等方加圧処
理S3において許容される加熱温度範囲からアルゴンガ
ス中の酸素濃度を算出したところ、30ppm〜50p
pmであった。従って、アルゴンガス中の許容酸素濃度
は30ppm以下であることが判った。
の各加熱材を900℃の温度に保持し、これに約2.9
4MPaの荷重を加えて、試験時間の経過とともに変化
するひずみを測定するクリープ試験を行った。そして、
このクリープ試験結果に基づいて各加熱材のクリープ強
度を求め、その結果を図2に示した。図2に示す縦軸に
は加熱温度を示し、横軸には酸素分圧を示し、クリープ
強度の低下が認められた加熱材を黒丸●で示し、クリー
プ強度の低下が認められなかった加熱材を白丸○で示し
た。そして、クリープ強度の低下が認められた加熱材●
と、クリープ強度の低下が認められなかった加熱材○と
の境目にクリープ強度の低下を防止し得る酸素分圧−加
熱温度曲線aを作成した。その後、熱間等方加圧処理S
3において許容される加熱温度の範囲を求め、許容され
る加熱温度から図2に示す縦軸の加熱温度に対応する酸
素分圧−加熱温度曲線aから該当する横軸の酸素分圧を
求めた。このようにして得られた酸素分圧に基づいてア
ルゴンガス中の許容酸素濃度を算出し、熱間等方加圧処
理S3において許容される加熱温度範囲からアルゴンガ
ス中の酸素濃度を算出したところ、30ppm〜50p
pmであった。従って、アルゴンガス中の許容酸素濃度
は30ppm以下であることが判った。
【0049】また、図には示さないが、上述した許容酸
素濃度と同様の方法を用いて、アルゴンガス中の許容窒
素濃度を求めた。熱間等方加圧処理S3において許容さ
れる加熱温度範囲からアルゴンガス中の窒素濃度を算出
したところ、60ppm〜75ppmであった。従っ
て、アルゴンガス中の許容窒素濃度は60ppm以下で
あることが判った。
素濃度と同様の方法を用いて、アルゴンガス中の許容窒
素濃度を求めた。熱間等方加圧処理S3において許容さ
れる加熱温度範囲からアルゴンガス中の窒素濃度を算出
したところ、60ppm〜75ppmであった。従っ
て、アルゴンガス中の許容窒素濃度は60ppm以下で
あることが判った。
【0050】次に、熱間等方加圧処理工程S3における
水素ガスおよびメタンガスによる水素脆化に起因する延
靭性に影響を及ぼす表面劣化の影響を調査した。
水素ガスおよびメタンガスによる水素脆化に起因する延
靭性に影響を及ぼす表面劣化の影響を調査した。
【0051】水素による水素脆化については室温での引
張試験を行い、引張伸びおよび絞りに着目してアルゴン
ガス中の許容水素濃度を求めた。その結果を図3に示
す。
張試験を行い、引張伸びおよび絞りに着目してアルゴン
ガス中の許容水素濃度を求めた。その結果を図3に示
す。
【0052】図3に示すように、引張延性の低下が認め
られた加熱材を黒丸●で示し、引張延性の低下が認めら
れなかった加熱材を白丸○で示したものである。そし
て、引張延性の低下が認められた加熱材●と、引張延性
の低下が認められなかった加熱材○との境目に引張延性
の低下を防止し得る水素分圧−加熱温度曲線bを作成し
た。
られた加熱材を黒丸●で示し、引張延性の低下が認めら
れなかった加熱材を白丸○で示したものである。そし
て、引張延性の低下が認められた加熱材●と、引張延性
の低下が認められなかった加熱材○との境目に引張延性
の低下を防止し得る水素分圧−加熱温度曲線bを作成し
た。
【0053】その後、熱間等方加圧処理S3において許
容される加熱温度の範囲を求め、この許容される加熱温
度から図3に示す縦軸の加熱温度に対応する水素分圧−
加熱温度曲線bから該当する横軸の水素分圧を求めた。
そして、水素分圧に基づいてアルゴンガス中の水素濃度
を算出したところ、150ppm〜180ppmであっ
た。従って、アルゴンガス中の許容酸素濃度は150p
pm以下であった。
容される加熱温度の範囲を求め、この許容される加熱温
度から図3に示す縦軸の加熱温度に対応する水素分圧−
加熱温度曲線bから該当する横軸の水素分圧を求めた。
そして、水素分圧に基づいてアルゴンガス中の水素濃度
を算出したところ、150ppm〜180ppmであっ
た。従って、アルゴンガス中の許容酸素濃度は150p
pm以下であった。
【0054】また、図には示さないが、アルゴンガス中
の許容水素濃度と同様の方法により、熱間等方加圧処理
S3において許容される加熱温度範囲からアルゴンガス
中のメタン濃度を算出したところ、30ppm〜50p
pmであった。従って、アルゴンガス中の許容メタン濃
度は30ppm以下であることが判った。
の許容水素濃度と同様の方法により、熱間等方加圧処理
S3において許容される加熱温度範囲からアルゴンガス
中のメタン濃度を算出したところ、30ppm〜50p
pmであった。従って、アルゴンガス中の許容メタン濃
度は30ppm以下であることが判った。
【0055】このような試験結果から、加熱材につい
て、クリープ強度の低下および引張延性の低下を生じさ
せない熱間等方加圧処理S3でのアルゴンガス中におけ
る不純物成分のガス濃度をそれぞれ、酸素濃度について
は30ppm以下、窒素濃度については60ppm以
下、水素濃度については150ppm以下、メタン濃度
については30ppm以下とすることにより、高温部品
の表面劣化を防止することができる。
て、クリープ強度の低下および引張延性の低下を生じさ
せない熱間等方加圧処理S3でのアルゴンガス中におけ
る不純物成分のガス濃度をそれぞれ、酸素濃度について
は30ppm以下、窒素濃度については60ppm以
下、水素濃度については150ppm以下、メタン濃度
については30ppm以下とすることにより、高温部品
の表面劣化を防止することができる。
【0056】さらに、疲労強度に及ぼす表面劣化の影響
について、以下に示すように調査した。
について、以下に示すように調査した。
【0057】上述した加圧媒体中の酸素、窒素、水素お
よびメタンの許容ガス濃度に基づき、不純物濃度を許容
値内とした加圧媒体と、不純物濃度を許容値外とした加
圧媒体を用いて、試験材に熱間等方圧加圧処理を施し
た。具体的な加圧媒体中の不純物濃度は、表3に示すよ
うに、試験材Aおよび試験材Bはアルゴンガス中の不純
物成分のガス濃度をそれぞれ、酸素濃度については30
ppm以下、窒素濃度については60ppm以下、水素
濃度については150ppm以下、メタン濃度について
は30ppm以下として本発明の許容値内としたもので
あり、試験材Cおよび試験材Dは加圧媒体中の不純物濃
度を本発明の許容値外としたものである。
よびメタンの許容ガス濃度に基づき、不純物濃度を許容
値内とした加圧媒体と、不純物濃度を許容値外とした加
圧媒体を用いて、試験材に熱間等方圧加圧処理を施し
た。具体的な加圧媒体中の不純物濃度は、表3に示すよ
うに、試験材Aおよび試験材Bはアルゴンガス中の不純
物成分のガス濃度をそれぞれ、酸素濃度については30
ppm以下、窒素濃度については60ppm以下、水素
濃度については150ppm以下、メタン濃度について
は30ppm以下として本発明の許容値内としたもので
あり、試験材Cおよび試験材Dは加圧媒体中の不純物濃
度を本発明の許容値外としたものである。
【0058】
【表3】
【0059】各試験材A〜試験材Dに熱間等方加圧処理
を施した後、試験材の表面近傍の断面観察を行った。そ
の結果を図4に示す。
を施した後、試験材の表面近傍の断面観察を行った。そ
の結果を図4に示す。
【0060】図4に示すように、加圧媒体中の不純物濃
度を本発明の許容値内とした試験材Aおよび試験材B
は、不純物濃度を本発明の許容値外とした試験材Cおよ
び試験材Dに比較して表面粗さが小さくなっていた。
度を本発明の許容値内とした試験材Aおよび試験材B
は、不純物濃度を本発明の許容値外とした試験材Cおよ
び試験材Dに比較して表面粗さが小さくなっていた。
【0061】また、各試験材A〜Dに低周波数の振幅を
与えて疲労試験を実施し、その結果を図5に示した。図
5に示すように、試験材Cおよび試験材Dは繰り返し破
損回数が低く、表面粗さが大である試験材では、疲労強
度の顕著な強度低下が生じていた。一方、表面粗さが小
さい試験材Aおよび試験材Bでは新材と同等の疲労強度
を示していた。
与えて疲労試験を実施し、その結果を図5に示した。図
5に示すように、試験材Cおよび試験材Dは繰り返し破
損回数が低く、表面粗さが大である試験材では、疲労強
度の顕著な強度低下が生じていた。一方、表面粗さが小
さい試験材Aおよび試験材Bでは新材と同等の疲労強度
を示していた。
【0062】従って、本実施例によれば、加圧媒体中の
酸素、窒素、水素およびメタンなどの不純物濃度を本発
明の許容範囲内とすることにより、試験材のクリープ強
度、延靭性および疲労強度の各特性の低下を防止できる
ことが判明した。
酸素、窒素、水素およびメタンなどの不純物濃度を本発
明の許容範囲内とすることにより、試験材のクリープ強
度、延靭性および疲労強度の各特性の低下を防止できる
ことが判明した。
【0063】実施例2(図6,図7) 本実施例では、実プラントで設計寿命に達して廃却とな
ったIN738LC材のガスタービンの第2段動翼に、
本発明に係る表面劣化抑制方法を適用して、再生処理を
行った。
ったIN738LC材のガスタービンの第2段動翼に、
本発明に係る表面劣化抑制方法を適用して、再生処理を
行った。
【0064】まず、ガスタービンの第2段動翼外表面に
存在する酸化スケールをアルミナブラストにより除去し
た。その後、熱間等方加圧処理を施すが、この熱間等方
加圧処理工程S3の前に加圧媒体であるアルゴンガスの
分析を行い、酸素、窒素、水素およびメタンの不純物濃
度が本発明の許容値内であることを確認した。なお、ア
ルゴンガス中の不純物濃度が本発明の許容値外である場
合には、酸素濃度30ppm以下、窒素濃度60ppm
以下、水素濃度150ppm以下、メタン濃度30pp
m以下として、アルゴンガス中の各不純物濃度を本発明
の許容値内とした。アルゴンガス中の不純物濃度が本発
明の許容値内であることを確認した後、熱間等方加圧処
理を実施した。その後、加圧を行わずに溶体化熱処理お
よび時効熱処理を実施した。
存在する酸化スケールをアルミナブラストにより除去し
た。その後、熱間等方加圧処理を施すが、この熱間等方
加圧処理工程S3の前に加圧媒体であるアルゴンガスの
分析を行い、酸素、窒素、水素およびメタンの不純物濃
度が本発明の許容値内であることを確認した。なお、ア
ルゴンガス中の不純物濃度が本発明の許容値外である場
合には、酸素濃度30ppm以下、窒素濃度60ppm
以下、水素濃度150ppm以下、メタン濃度30pp
m以下として、アルゴンガス中の各不純物濃度を本発明
の許容値内とした。アルゴンガス中の不純物濃度が本発
明の許容値内であることを確認した後、熱間等方加圧処
理を実施した。その後、加圧を行わずに溶体化熱処理お
よび時効熱処理を実施した。
【0065】得られた再生処理後の動翼から試験片を採
取して、引張試験およびクリープ破段試験を実施した。
引張試験の結果、試験片の引張伸びを図6に示し、クリ
ープ破断時間を図7に示す。
取して、引張試験およびクリープ破段試験を実施した。
引張試験の結果、試験片の引張伸びを図6に示し、クリ
ープ破断時間を図7に示す。
【0066】図6および図7に示すように、再生処理翼
の引張伸びおよびクリープ破断時間は新翼とほぼ同等
か、あるいはそれ以上の値を示しており、本発明の表面
劣化抑制方法を用いて翼の再生処理を施すことにより、
新翼と同程度の引張り伸びおよびクリープ破断時間を示
すことが確認された。
の引張伸びおよびクリープ破断時間は新翼とほぼ同等
か、あるいはそれ以上の値を示しており、本発明の表面
劣化抑制方法を用いて翼の再生処理を施すことにより、
新翼と同程度の引張り伸びおよびクリープ破断時間を示
すことが確認された。
【0067】従って、本実施例によれば、実プラントで
設計寿命に達して廃却となったガスタービンの第2段動
翼に対して、本発明に係る表面劣化抑制方法を適用する
ことにより、熱間等方加圧処理工程3における表面劣化
を防止して、その結果、再生処理して得られた再生翼の
クリープ強度、延靭性および疲労強度の低下を防止でき
ることが判明した。
設計寿命に達して廃却となったガスタービンの第2段動
翼に対して、本発明に係る表面劣化抑制方法を適用する
ことにより、熱間等方加圧処理工程3における表面劣化
を防止して、その結果、再生処理して得られた再生翼の
クリープ強度、延靭性および疲労強度の低下を防止でき
ることが判明した。
【0068】実施例3(表4) 本実施例では、IN738LC材以外のNi基合金から
なる動翼についても同様に表面劣化抑制方法を適用し、
動翼の再生処理を行った。具体的には、表4に示す元素
組成を有するU500材、MarM247材、Rene
80材、CMSX−2材から構成される動翼を用いて、
実施例2と同様の方法を用いて表面劣化抑制方法を適用
した。
なる動翼についても同様に表面劣化抑制方法を適用し、
動翼の再生処理を行った。具体的には、表4に示す元素
組成を有するU500材、MarM247材、Rene
80材、CMSX−2材から構成される動翼を用いて、
実施例2と同様の方法を用いて表面劣化抑制方法を適用
した。
【0069】
【表4】
【0070】各動翼を再生処理して得られた再生翼は、
いずれも表面劣化が抑制されるとともに、材質劣化およ
び損傷の完全回復が図られており、新翼と同程度に動翼
を再生することができた。
いずれも表面劣化が抑制されるとともに、材質劣化およ
び損傷の完全回復が図られており、新翼と同程度に動翼
を再生することができた。
【0071】なお、本実施形態では、ガスタービン部品
として、Ni基合金からなる動翼を適用したが、Ni基
合金から構成されるガスタービン部品であれば、動翼以
外の燃焼器ライナ、トランジションピースおよび静翼な
どのガスタービン部品にも適用することが可能である。
として、Ni基合金からなる動翼を適用したが、Ni基
合金から構成されるガスタービン部品であれば、動翼以
外の燃焼器ライナ、トランジションピースおよび静翼な
どのガスタービン部品にも適用することが可能である。
【0072】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のガスター
ビン部品の表面劣化抑制方法によれば、材質劣化、クリ
ープ損傷、疲労損傷等の劣化・損傷を受けたガスタービ
ン部品であっても、再生処理時の熱間等方加圧処理工程
での表面劣化を防止できるため再使用が可能となり、そ
の結果、大幅なコスト低減を図ることができる。
ビン部品の表面劣化抑制方法によれば、材質劣化、クリ
ープ損傷、疲労損傷等の劣化・損傷を受けたガスタービ
ン部品であっても、再生処理時の熱間等方加圧処理工程
での表面劣化を防止できるため再使用が可能となり、そ
の結果、大幅なコスト低減を図ることができる。
【図1】本発明の実施形態を説明する図で、ガスタービ
ン動翼の表面劣化抑制方法の手順を示すフロチャート
図。
ン動翼の表面劣化抑制方法の手順を示すフロチャート
図。
【図2】本発明の実施例1を説明する図で、熱間等方圧
加熱工程における加熱温度と加圧媒体中の酸素分圧との
相関関係を示す図。
加熱工程における加熱温度と加圧媒体中の酸素分圧との
相関関係を示す図。
【図3】本発明の実施例1を説明する図で、熱間等方圧
加熱工程における加熱温度と加圧媒体中の水素分圧との
相関関係を示す図。
加熱工程における加熱温度と加圧媒体中の水素分圧との
相関関係を示す図。
【図4】本発明の実施例1を説明する図で、各試験材に
熱間等方加圧処理を施した後の、試験材の表面近傍の断
面観察図。
熱間等方加圧処理を施した後の、試験材の表面近傍の断
面観察図。
【図5】本発明の実施例1を説明する図で、各種加熱材
の低サイクル疲労試験結果を示す図。
の低サイクル疲労試験結果を示す図。
【図6】本発明の実施例2を説明する図で、再生処理翼
および新翼の引張伸びを示す図。
および新翼の引張伸びを示す図。
【図7】本発明の実施例2を説明する図で、再生処理翼
および新翼のクリープ破断時間を示す図。
および新翼のクリープ破断時間を示す図。
1…再生処理前検査,2…前処理,3…熱間等方加圧処
理,4…溶体化熱処理,5…時効熱処理,6…再生処理
後検査,7…母材
理,4…溶体化熱処理,5…時効熱処理,6…再生処理
後検査,7…母材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 682 C22F 1/00 682 683 683 (72)発明者 吉岡 洋明 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 前泊 淳一郎 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 池田 一昭 神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 近藤 卓久 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内 Fターム(参考) 3G002 EA04 EA06
Claims (9)
- 【請求項1】 析出強化型の合金により構成され、高温
下の使用により材料の劣化および損傷が生じたガスター
ビン部品の表面劣化抑制方法であって、不活性ガスを加
圧媒体として前記部品に熱間等方加圧処理を施す熱間等
方加圧処理工程と、非加圧下で熱処理を施す溶体化熱処
理工程および時効熱処理工程とを備え、前記熱間等方加
圧処理工程において不活性ガスに含有される不純物の濃
度を制御することにより前記部品の表面劣化を抑制する
ことを特徴とするガスタービン部品の表面劣化抑制方
法。 - 【請求項2】 請求項1記載のガスタービン部品の表面
劣化抑制方法において、不活性ガスとして、アルゴンガ
スまたはヘリウムガスを用い、この不活性ガス中に含有
され濃度制御の対象となる不純物は、酸素、窒素、水素
またはメタンのいずれか一種以上であることを特徴とす
るガスタービン部品の表面劣化抑制方法。 - 【請求項3】 請求項1または2記載のガスタービン部
品の表面劣化抑制方法において、表面劣化により材料の
クリープ強度低下を防止し得る加圧媒体中の酸素分圧か
ら加圧媒体中の酸素濃度を求めて、この酸素濃度とした
加圧媒体を用いて熱間等方加圧処理を施すことを特徴と
するガスタービン部品の表面劣化抑制方法。 - 【請求項4】 請求項1または2記載のガスタービン部
品の表面劣化抑制方法において、表面劣化により材料の
クリープ強度低下を防止し得る加圧媒体中の窒素分圧か
ら加圧媒体中の窒素濃度を求めて、この窒素濃度とした
加圧媒体を用いて熱間等方加圧処理を施すことを特徴と
するガスタービン部品の表面劣化抑制方法。 - 【請求項5】 請求項1または2記載のガスタービン部
品の表面劣化抑制方法において、表面劣化による材料の
疲労強度低下を防止し得る加圧媒体中の窒素分圧から加
圧媒体中の窒素濃度を求めて、この窒素濃度とした加圧
媒体を用いて熱間等方加圧処理を施すことを特徴とする
ガスタービン部品の表面劣化抑制方法。 - 【請求項6】 請求項1または2記載のガスタービン部
品の表面劣化抑制方法において、表面劣化による材料の
疲労強度低下を防止し得る加圧媒体中の水素分圧から加
圧媒体中の水素濃度を求めて、この水素濃度とした加圧
媒体を用いて熱間等方加圧処理を施すことを特徴とする
ガスタービン部品の表面劣化抑制方法。 - 【請求項7】 請求項1または2記載のガスタービン部
品の表面劣化抑制方法において、表面劣化による材料の
引張延性低下を防止し得る加圧媒体中の水素分圧から加
圧媒体の水素濃度を求めて、この水素濃度とした加圧媒
体を用いて熱間等方加圧処理を施すことを特徴とするガ
スタービン部品の表面劣化抑制方法。 - 【請求項8】 請求項1から7までのいずれかに記載の
ガスタービン部品の表面劣化抑制方法において、酸素濃
度については30ppm以下、窒素濃度については60
ppm以下、水素濃度については150ppm以下、メ
タン濃度については30ppm以下とした加圧媒体を用
いて熱間等方加圧処理を施すことを特徴とするガスター
ビン部品の表面劣化抑制方法。 - 【請求項9】 請求項1から8までのいずれかに記載の
方法により処理されたことを特徴とするガスタービン部
品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001057019A JP2002256887A (ja) | 2001-03-01 | 2001-03-01 | ガスタービン部品の表面劣化抑制方法および本方法を使用したガスタービン部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001057019A JP2002256887A (ja) | 2001-03-01 | 2001-03-01 | ガスタービン部品の表面劣化抑制方法および本方法を使用したガスタービン部品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002256887A true JP2002256887A (ja) | 2002-09-11 |
Family
ID=18916959
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001057019A Pending JP2002256887A (ja) | 2001-03-01 | 2001-03-01 | ガスタービン部品の表面劣化抑制方法および本方法を使用したガスタービン部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002256887A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015092157A (ja) * | 2013-10-30 | 2015-05-14 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | ガスタービンコンポーネントの監視 |
-
2001
- 2001-03-01 JP JP2001057019A patent/JP2002256887A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015092157A (ja) * | 2013-10-30 | 2015-05-14 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | ガスタービンコンポーネントの監視 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1605074B2 (en) | Thermal recovery treatment for a service-degraded component of a gas turbine | |
US6491207B1 (en) | Weld repair of directionally solidified articles | |
US5897801A (en) | Welding of nickel-base superalloys having a nil-ductility range | |
JP4488830B2 (ja) | ガスタービン静翼の再生処理方法 | |
EP3153271A1 (en) | Method of repairing and manufacturing of turbine engine components and turbine engine component repaired or manufactured using the same | |
US20090057275A1 (en) | Method of Repairing Nickel-Based Alloy Articles | |
US20020185198A1 (en) | Repair of single crystal nickel based superalloy article | |
EP1985719B1 (en) | Gas turbine blade and manufacturing method thereof | |
JP3559709B2 (ja) | ガスタービン部品の材料劣化回復処理方法及び本処理を施したガスタービン部品 | |
US7959748B2 (en) | Method of manufacturing Ni-based superalloy component for gas turbine using one-step process of hot isostatic pressing and heat treatment and component manufactured thereby | |
JP3538106B2 (ja) | ガスタービン部品の再生処理方法 | |
JP2001055928A (ja) | ガスタービン高温部品の補修再生処理方法 | |
Kim et al. | Evaluation of welding characteristics for manual overlay and laser cladding materials in gas turbine blades | |
JP2005539139A (ja) | ニッケル超合金のための性質回復方法 | |
Sjöberg et al. | Evaluation of the in 939 alloy for large aircraft engine structures | |
JP2002256887A (ja) | ガスタービン部品の表面劣化抑制方法および本方法を使用したガスタービン部品 | |
JP2003034853A (ja) | Ni基合金の熱処理方法 | |
US11235405B2 (en) | Method of repairing superalloy components using phase agglomeration | |
Wortmann | Improving reliability and lifetime of rejuvenated turbine blades | |
JP3909810B2 (ja) | 原動機部品の材料劣化・損傷回復処理方法 | |
JP2001074245A (ja) | ガスタービン燃焼器ライナの再生方法および再生燃焼器ライナ | |
Yang et al. | Creep performance evaluation considering the operating environment of gas turbine blades with rejuvenation maintenance | |
Yoshioka et al. | Development, reliability evaluation and service experiences of gas turbine blade life regeneration technology | |
JP2006183529A (ja) | タービン動翼の再使用方法及び再使用タービン動翼 | |
JP2020037899A (ja) | ガスタービン静翼の補修方法および高強度化ガスタービン静翼の製造方法 |