JP2020037899A - ガスタービン静翼の補修方法および高強度化ガスタービン静翼の製造方法 - Google Patents

ガスタービン静翼の補修方法および高強度化ガスタービン静翼の製造方法 Download PDF

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斎藤 大蔵
Daizo Saito
大蔵 斎藤
日野 武久
Takehisa Hino
武久 日野
功 田尻
Isao Tajiri
功 田尻
昭博 坂本
Akihiro Sakamoto
昭博 坂本
北山 和弘
Kazuhiro Kitayama
和弘 北山
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Abstract

【課題】損傷が補修されると共に強度向上が達成されたガスタービン静翼を提供する。【解決手段】ガスタービン静翼に生じた損傷を補修する工程と、ガスタービン静翼を、当該ガスタービン静翼の構成材料の析出物の固溶温度以上、構成材料の局部溶融する温度を超えない温度範囲内に、少なくとも30分間保持することからなる高強度化熱処理工程とを含むガスタービン静翼の補修方法、及びガスタービン静翼を用意し、当該ガスタービン静翼の構成材料の析出物の固溶温度以上、構成材料の局部溶融する温度を超えない温度範囲内に、少なくとも30分間保持することからなる高強度化熱処理工程を含む高強度化ガスタービン静翼の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、ガスタービン静翼の補修方法および高強度化ガスタービン静翼の製造方法に関する。
一般に、ガスタービン発電プラントでは、ガスタービンと同軸にある圧縮機で得た圧縮空気を燃焼器に案内して燃焼器ライナで燃料とともに燃焼させることがなされている。このとき、燃焼による高温の燃焼ガスは、トランジションピースおよび静翼を経て動翼に案内され、この動翼が植込まれたシャフトを回転駆動させて、同軸の発電機にて発電が行われる。
この種のガスタービンの高温静翼である燃焼器ライナ、トランジションピース、静翼および動翼には、一般的に、Ni基、Co基またはNi−Fe基超合金が用いられているが、ガスタービンの運転とともに種々の損傷が発生する。まず、高温の燃焼ガス雰囲気に曝されるため、材質劣化が生じるとともに、動翼については高速回転により遠心応力でクリープ損傷が蓄積する。静翼などの静止部品においては、ガスタービンの起動時には、比較的低温環境域から高温環境域に推移する段階で、また、ガスタービンの停止時には、逆に高温環境域から低温環境域に推移する段階で、熱応力が生じ、熱疲労による損傷が蓄積する。なお、これらの損傷は重畳して蓄積する。
ところで、ガスタービン高温部品の保守管理は、機器の設計段階で決まるクリープあるいは疲労寿命と、実機の運転、立地上の環境により設定される寿命とをもとにして、同一機種あるいは同一運転形態をとるガスタービンを分類し、その分類された各グループの先行機の実績を参照して設計寿命を補正して、後続機の保守管理を行なわれることがある。
そして、近年では、ガスタービンの高温静翼の劣化、損傷診断を効率的に精度良く予測する保守管理方法がなされつつある。
いずれの保守管理方法にしても、通常、必要に応じて定検毎に補修を繰返して管理寿命に到達した後、一律に廃却となり、非常に高価な新品と交換している。ここで、ガスタービン静翼の定検毎の補修においては、使用によりき裂が発生した場合はき裂周辺を除去し、溶接補修することで再使用が可能となっている。また、溶接補修の他にろう付け補修する方法もある。
下記に溶接補修またはろう付けによる手法の公知例を示す。
特開平11−117705号公報 特開平6−234066号公報 特開平6−344129号公報 特開2006−46147号公報 以上に記載したいずれの補修においても、溶接によるき裂を防止することを目的とした熱処理、実機運転により低下した強度や延性の回復を目的とした熱処理が行なわれている。この熱処理は、表面酸化を抑制するために真空雰囲気中で昇温、温度を保持し、その後冷却している。その結果、延性や強度が回復し、溶接性の改善および静翼の再使用を可能なものにしている。
近年、世界規模で地球温暖化を抑制するCO排出量削減を目指すために火力発電効率の向上、それとともに発電コストの削減という大きな流れがある。コンバインドサイクル発電に用いているガスタービンにおいては、使用環境が非常に厳しいことからき裂、高温酸化による減肉、摩耗などの損傷を定期的に補修しているが、その補修コストの削減や定検間隔の延伸によるメンテナンスコストの削減といったニーズが高まっている。定期検診間隔の延伸においては、補修時に出来るだけ強度を高めて、使用による熱応力や疲労に耐える強度が必要である。しかしながら、現状の材料特性を鑑みれば、強度や延性、靱性、溶接性などの特性をバランス良く兼ね備えるための条件で熱処理を行っており、必ずしも強度に着目した条件に限られていないようである。
上記のような補修にて実施している従来の熱処理は、強度や延性、靱性および溶接性などの特性をバランス良く兼ね備えるための条件にて行っており、必ずしも高温強度を向上させるための条件に限られていない。
本発明は、静翼の定期検診間隔の延伸、さらには交換間隔の延伸を目的に補修時に実施している熱処理を高温強度の視点から最適化したプロセスで実施できるガスタービン静翼の補修方法、およびガスタービン静翼の強度向上方法を提供することを目的とする。
したがって、本発明の実施形態によるガスタービン静翼の補修方法は、ガスタービン静翼に生じた損傷を補修する工程と、ガスタービン静翼を、当該ガスタービン静翼の構成材料の析出物の固溶温度以上、構成材料の局部溶融する温度を超えない温度範囲内に、少なくとも30分間保持することからなる高強度化熱処理工程とを含むこと、を特徴とするものである。
そして、本発明の実施形態による高強度化ガスタービン静翼の製造方法は、ガスタービン静翼を、当該ガスタービン静翼の構成材料の析出物の固溶温度以上、構成材料の局部溶融する温度を超えない温度範囲内に、少なくとも30分間保持することからなる高強度化熱処理工程を含むこと、を特徴とするものである。
ここで、上記の本発明の実施形態による「ガスタービン静翼の補修方法」は、「補修されたガスタービン静翼の製造方法」を意味する。また、上記の本発明の実施形態による「高強度化ガスタービン静翼の製造方法」は、「ガスタービン静翼の高強度化方法」を意味する。
本発明の実施形態によるガスタービン静翼の補修方法によれば、損傷が補修されかつ強度が向上したガスタービン静翼を得ることができる。
そして、本発明の実施形態による高強度化ガスタービン静翼の製造方法によれば、所定の高強度化熱処理工程を実施することによって、ガスタービン静翼の強度を効果的に向上させることができ、例えばクリープ強度および低サイクル疲労強度などの高温強度が向上したガスタービン静翼を得ることができる。
このようなことから、本発明の実施形態によるガスタービン静翼の補修方法ならびに高強度化ガスタービン静翼の製造方法によれば、例えば、補修されたガスタービンの強度および耐久性の向上、補修作業の低減化、定期点検の頻度の減少(定期点検の間隔の延伸)ならびに補修費用の低減等を図ることができる。
本発明の好ましいガスタービン静翼の補修方法の作業工程図。 本発明の好ましい補修方法が適用されたガスタービン静翼のクリープ試験結果。 本発明の好ましい補修方法が適用されたガスタービン静翼の低サイクル疲労試験結果。 本発明の好ましいガスタービン静翼の強度向上方法が適用された高強度材の金属組織写真。 本発明の好ましい補修方法が適用されたガスタービン静翼のクリープ試験結果。 本発明の好ましい補修方法が適用されたガスタービン静翼の低サイクル疲労試験結果。
発明の実施の形態
〔ガスタービン静翼の補修方法〕
本発明の実施形態によるガスタービン静翼の補修方法は、
ガスタービン静翼に生じた損傷を補修する工程と、
ガスタービン静翼を、当該ガスタービン静翼の構成材料の析出物の固溶温度以上、構成材料の局部溶融する温度を超えない温度範囲内に、少なくとも30分間保持することからなる高強度化熱処理工程と
を含むこと、を特徴とするものである。
<補修工程>
本発明の実施形態によるガスタービン静翼の補修方法は、運転に使用されて、静翼の翼部、インナーウォール部あるいはアウターウォール部に生じた一個または複数個の損傷(例えば、き裂や、破断、あるいは摩耗ないし減肉)を補修する際に、適用することができる。
そして、本発明の実施形態によるガスタービン静翼の補修方法は、各種の金属材料からなるガスタービン静翼を補修する際に、適用することができる。特に、Ni基またはCo基の合金からなるガスタービン静翼を補修する際に、適用することができる。特に好ましくは、Cr28.5〜30.5%、C0.2〜0.3%、Ni9.5〜11.5%、W6.5〜7.5%およびB0.005〜0.01%を含むCo基合金材料からなるガスタービン静翼、あるいはCo18〜20%、W1.5〜2.5%、Cr20〜24%、Al1.0〜1.5%、Ta0.8〜1.2%、Nb0.6〜1.0%、Hf0〜0.2%、Ti2.0〜2.5%、Mo0〜0.2%、C0.05〜0.15%、Zr0.002〜0.05%およびB0.01〜0.02%を含むNi基合金材料からなるガスタービン静翼を補修する際に、採用することができる。なお、ガスタービン静翼は、単一の金属材料のみから形成されていてもよく、異なる金属材料または非金属材料からなる数種の部品が組み合わせからなるものでもよい。
損傷箇所の補修は、溶接、拡散ろう付け、またはこれらを併用して行なうことができる。この中では、製品の変形防止という観点から、拡散ろう付けが好ましい。前記の拡散ろう付けを、Ni基溶融合金粉末材料およびCo基非溶融合金粉末材料の混合粉末からなるろう材を用いて実施することが特に好ましい。ここで、「Ni基溶融合金粉末材料」とは、拡散ろう付けに付される前の条件(例えば、常温条件)では粉末状であるが、拡散ろう付けが行われる温度条件下において、溶融状態になるNi基合金粉末材料をいう。また、「Co基非溶融合金粉末材料」とは、拡散ろう付けに付される前の条件(例えば、常温条件)で粉末状であり、かつ拡散ろう付けが行われる条件下においても非溶融状態であるCo基合金粉末材料をいう。
ここで、Ni基溶融合金粉末材料の特に好ましい具体例としては、例えば、Ni−Cr−Co−Si−B系の合金粉末材料(溶融温度1060〜1100℃、特に1070〜1090℃)を挙げることができ、一方、Co基非溶融合金粉末材料の特に好ましい具体例としては、例えば、Co−Ni−Cr系の合金粉末材料(溶融温度1400〜1440℃、特に1410〜1430℃)を挙げることができる。このようなNi基溶融合金粉末材料およびCo基非溶融合金粉末材料からなるろう材を用いる場合、補修は、上記のろう材を損傷部(例えば、き裂や、破断、あるいは摩耗ないし減肉部)に、充填ないし付着させ、その後に、Ni基合金粉末材料が溶融しかつCo基金粉末材料が溶融しない温度範囲内、好ましくは1060〜1400℃、特に好ましくは1060〜1250℃、の温度範囲内に、加熱することによって、行うことができる。
拡散ろう付けに用いられる前記の混合粉末材料において、Ni基溶融合金粉末材料とCo基非溶融合金粉末材料との混合割合(重量割合)は、Ni基溶融合金粉末材料:Co基非溶融合金粉末材料で表して、好ましくは20〜80:80〜20、特に好ましくは30〜70:70〜30、である。
補修は、溶接、拡散ろう付け、またはこれらを併用して行なう場合も含め、空気中で行うことも可能であるが、場合により、不活性ガス等の非酸化性ガス雰囲気中あるいは真空中で行うこともできる。
補修されたガスタービン静翼は、そのまま、あるいは必要に応じて、補修部の表面形状ないし性状を整える修正作業や、洗浄処理、表面ブラスト等の処理に付した後に、高強度化熱処理工程に付すことができる。
<他の処理工程>
本発明の実施形態によるガスタービン静翼の補修方法においては、上記の補修工程に先だって、必要に応じて、他の処理工程を実施することができる。そのような他の処理工程としては、例えば、酸化ないし腐食物の除去処理、溶体化処理、溶接および拡散ろう付け等を挙げることができる。ここで、酸化ないし腐食物の除去処理とは、具体的には、損傷を補修する前に、ガスタービン静翼の表面に存在している酸化物および腐食物を含む層を除去する処理工程である。この除去工程は、例えば、微粒子を吹き付けることからなるブラスト法、グラインダーによる研磨法等による機械的研磨や、還元性ガス(例えば水素ガスまたはフッ化水素)等による還元処理によって行うことができる。この除去処理工程を実施することによって、ろう材の流れ性や浸透性の向上、ろう付け強度や溶接強度等を向上させることができる。また、溶体化処理とは、具体的には、損傷を補修する前に、ガスタービン静翼を溶体化温度に加熱して、ガスタービン静翼を形成している金属組織の均一化ならびに改質を行うことができる。この溶体化処理を実施することによって、溶接性が改善されたものとすることができる。溶体化処理の処理温度は、好ましくは1150〜1190℃、特に好ましくは1160〜1180℃であり、処理時間は、好ましくは30〜480分、特に好ましくは120〜240分である。
<高強度化熱処理工程>
本発明の実施形態によるガスタービン静翼の補修方法における高強度化熱処理工程は、ガスタービン静翼を、当該ガスタービン静翼の構成材料の析出物の固溶温度以上、構成材料の局部溶融する温度を超えない温度範囲内に、少なくとも30分間保持することからなる工程である。
この高強度化熱処理工程において、固溶温度とは、ガスタービン静翼の構成材料の強化に寄与する析出物が均一の相になる温度をいう。固溶温度未満である場合、析出物が未固溶となり、一方、局部的にでも構成材料の溶融が生じる温度で加熱された場合には、局部的に溶融することから、好ましくない。
高強度化熱処理工程を実施する際の温度は、主として構成材料の種類に応じて異なってくるが、1180℃を超え、1250℃温度を超えない温度範囲内で実施することができる。高強度化熱処理工程を実施する際の温度は、Co基合金材料である場合は、1190〜1250℃、好ましくは1220〜1240℃、であり、Ni基合金材料である場合は、1100〜1150℃、好ましくは1110〜1130℃、である。高強度化熱処理工程の温度は、上記温度範囲内の所定の温度で一定であることが好ましいが、上記温度範囲で変動してもよい。
なお、常温のガスタービン静翼を、上記の高強度化熱処理工程の温度に加熱する際の加熱速度は、3〜10℃/分以上であることが好ましく、好ましくは4〜6℃/分である。
高強度化熱処理工程の実施時間は、具体的には、ガスタービン静翼の構成材料ならびに温度などによって最適時間が異なってくるが、一般に、30分間以上、480分間以下、好ましくは120分間以上、240分間以下、である。高強度化熱処理工程の実施時間が十分でない場合は、製品全体の析出物が未固溶となり、一方、実施時間が長すぎる場合は、無駄な電力の浪費となることから、好ましくない。
高強度化熱処理工程は、好ましくは、不活性ガス等の非酸化性ガス雰囲気中で、特に好ましくは真空中で行うことができる。
高強度化熱処理工程終了後、ガスタービン静翼を真空中あるいは不活性ガス等の非酸化性ガス雰囲気中で放置、あるいは不活性ガスの吹きつけ等によって、常温まで冷却することができる。この時の冷却速度は、3℃/分以上であることが好ましく、好ましくは4〜6℃/分、である。
本発明の実施形態によるガスタービン静翼の補修方法では、補修工程と高強度化熱処理工程とを連続して実施することができる。また、補修工程のうちの少なくとも一過程と、高強度化熱処理工程のうちの少なくとも一過程とを同時に実施することができる。例えば、ガスタービン静翼の損傷箇所(例えば、き裂や、破断、あるいは摩耗ないし減肉部)にろう材を適用後に加熱して、ろう材を流動状態にして補修する工程を実施しつつ、温度を連続的に変化させて、所定の条件(即ち、ガスタービン静翼の構成材料の局部溶融する温度を超えない温度範囲内で、少なくとも30分間保持する)からなる高強度化熱処理工程を実施することができる。
〔高強度化ガスタービン静翼の製造方法〕
本発明の実施形態による高強度化ガスタービン静翼の製造方法は、ガスタービン静翼を、当該ガスタービン静翼の構成材料の析出物の固溶温度以上、構成材料の局部溶融する温度を超えない温度範囲内に、少なくとも30分間保持することからなる高強度化熱処理工程を含むこと、を特徴とする。
この高強度化ガスタービン静翼の製造方法における高強度化熱処理工程は、前記した本発明の実施形態によるガスタービン静翼の補修方法における高強度化熱処理工程と、実質的に同様なものである。
したがって、本発明の実施形態によるガスタービン静翼の強度向上方法の高強度化熱処理工程は、1180℃を超え、1250℃温度を超えない温度範囲内で実施することができる。
高強度化熱処理工程を実施する際の温度は、Co基合金材料である場合は、1190〜1250℃、好ましくは1220〜1240℃、であり、Ni基合金材料である場合は、1100〜1150℃、好ましくは1110〜1130℃、である。高強度化熱処理工程の温度は、上記温度範囲内の所定の温度で一定であることが好ましいが、上記温度範囲で変動してもよい。
なお、常温のガスタービン静翼を、上記の高強度化熱処理工程の温度に加熱する際の加熱速度は、3〜10℃/分であることが好ましく、好ましくは4〜6℃/分、である。
高強度化熱処理工程の実施時間は、具体的には、ガスタービン静翼の構成材料ならびに温度などによって最適時間が異なってくるが、一般に、30分間以上、480分間以下、好ましくは120分間以上、240分間以下、である。高強度化熱処理工程の実施時間が十分でない場合は、製品全体の析出物が未固溶となり、一方、実施時間が長すぎる場合は、無駄な電力の浪費となることから、好ましくない。
高強度化熱処理工程は、好ましくは、不活性ガス等の非酸化性ガス雰囲気中で、特に好ましくは真空中で行うことができる。
高強度化熱処理工程終了後、ガスタービン静翼を真空中あるいは不活性ガス等の非酸化性ガス雰囲気中で放置、あるいは不活性ガスの吹きつけ等によって、常温まで冷却することができる。この時の冷却速度は、3℃/分であることが好ましく、好ましくは4〜6℃/分、である。
上記のような本発明の実施形態による高強度化ガスタービン静翼の製造方法によれば、特定の高強度化熱処理工程を実施されることによって強度が向上する。例えば、クリープ破断試験によるクリープ破断時間ならびに低サイクル疲労試験による破断繰り返し回数によって評価される強度は、特定の強度化熱処理工程を実施されない場合を100%とした場合、クリープ破断時間については、おおよそ2倍以上、低サイクル疲労試験による破断繰り返し回数については、おおよそ2倍以上、という評価結果を得ることも可能である。
<実施例1>
以下、本発明に係るガスタービン静翼の補修方法およびその静翼の実施例について、必要に応じて図面を参照して説明する。以下の実施例は、上記した実施形態の好ましい幾つかの代表例について、より詳細に示すものである。従って、下記に示された実施例に具体的に開示された技術的範囲内のみに限定されることはない。
図1は、本実施形態による高強度化補修の流れを模式的に示している。 図1に示される本実施形態によるガスタービン静翼の補修方法は、溶接または拡散ろう付けによる補修工程と高強度化熱処理とを具備してなるものであって、補修工程に先だって、受入れ検査、酸化・腐食層の除去および溶体化処理を行い、そして、高強度化熱処理の後に、組み立ておよび出荷前検査を行うものである。
実施例1では実機静翼と同じ材料を用いて実験室的に材料強度に関する実験を行った。ここでは試験材を用いているため、図1に示している受入れ検査、酸化・腐食層の除去、溶体化処理、溶接または拡散ろう付け、組立て、出荷前検査は省略している。なお、ここで用いた材料は、表1に示されるCo基超合金FSX414である。
ここでは、試験材に対して種々の高強度化熱処理を施し、クリープ試験および低サイクル疲労試験を行い、強度に及ぼす温度の影響を評価した。試験材に施した温度は1180℃、1200℃、1220℃、1240℃とし、保持時間は4時間である。図2に4種類の熱処理材のクリープ破断時間を示す。1180℃で熱処理した材料のクリープ破断時間に対して、温度を上げるとその破断時間は上昇した。
一方、低サイクル試験による破損繰返し数は、図3に示すように温度が高くなるに従い上昇したが、1200℃以上ではほぼ一定の値を示した。
以上の結果から、高強度化としての温度は1200℃以上が望ましい。
これらの実験とは別に、局部溶解を把握するための実験を行った。
上記の熱処理材と同様に各温度での熱処理材を作成して、断面観察を行い、局部溶解の有無を確認した。その結果、局部溶解が開始する温度は1250℃であった。
従って、高強度化熱処理の温度の上限は1250℃を超えない温度とすることが望ましい。
図4には、熱処理温度が1180℃、1200℃および1240℃の光学顕微鏡を用いた金属組織写真を示す。デンドライト境界または結晶粒界の周辺に炭化物がネットワーク状または粒状に認められる。これらの炭化物は、熱処理温度が高くなるとマトリックスに固溶したため、減少していた。
この炭化物の固溶と炭化物の析出形態の違いが低サイクル疲労強度およびクリープ強度の差に表れたものと考えられる。
<実施例2>
ここでは、実プラントで使用した静翼で表1に示す材料と同等であるCo基超合金のガスタービン第1段静翼を試験材として実施した例を示す。ここでの補修方法は、図1の手順で行った。
本第1段静翼は長時間使用したことから、表面は酸化または腐食による皮膜が生成しており、この状態では後工程で実施する溶接で酸化物の巻き込みによる溶接不良を防止するためのアルミナ粒子を用いたブラスト法にて、酸化または腐食生成物を除去した。また、き裂となった表面も酸化しているため、砥石が取り付けられているグラインダーにて除去した。
その後、溶接性を改善するために溶体化処理を行い、き裂を除去した部位を溶接にて肉盛補修を行った。次に、1180℃、1220℃および1240℃の3つの温度条件にて高強度化熱処理を行った。ここでの温度の保持時間は4時間とした。実機で再使用する場合は組立て、出荷前検査を行うが、ここでは高強度化熱処理の効果を確認するために切断して、強度試験用の試験片を採取した。強度試験としてクリープ破断試験および低サイクル疲労試験を行った。得られた結果を図5および図6に示す。
クリープ破断時間および破損繰返し数とも温度が1180℃である材料に対し、1220℃および1240℃で高い値を示した。
本実施例2によれば、1220℃および1240℃で熱処理を行うことにより、より高温強度な材料、静翼に回復することが検証できた。
<実施例3>
ここでは実プラントで使用した静翼で表1に示す材料と同等であるCo基超合金のガスタービン第1段静翼を用い、き裂の補修方法としては拡散ろう付けを適用した例を示す。ここでの補修方法は図1の手順で行った。
本第1段静翼は長時間使用したことから、表面およびき裂となった表面は酸化または腐食による皮膜が生成しており、この状態では後工程で実施する拡散ろう付けでろう材のぬれ性が確保できないため、水素雰囲気中で熱処理し、酸化物を除去した。その後、き裂部にろう付け補修材を装填した。ろう付け補修材にはNi基溶融合金粉末とCo基非溶融合金粉末とを配合したものを用いた。
Ni基溶融合金粉末は、Ni−Cr−Co−Si−B系で、Co基非溶融合金粉末はCo−Ni−Cr系である。次に、真空熱処理炉に装入し、1200℃の保持時間が8時間の条件で拡散熱処理を行った。ここでの拡散ろう付けでの拡散熱処理は高強度化熱処理と兼ねることができるため、その後は組立て、出荷前検査を行った。
ここでの材料強度の検証は完了していないが、実施例1または実施例2で得られた結果と同等であるとみなすことができると考えられる。また、拡散熱処理の温度は局部溶融する温度を超えない1250℃未満であれば、同じ効果が得られる。
本実施例3によれば、1200℃もしくは1250℃未満で熱処理を行うことにより、より高温強度な材料、静翼に回復することが検証できた。
[発明の効果]
以上の通り、本発明の実施形態に係るガスタービン静翼の補修方法およびその静翼において、き裂および減肉などの損傷部の補修に併せて高強度化熱処理を行うことによって、クリープ強度および低サイクル疲労強度などの高温強度が向上した静翼の補修が達成できた。
1…1180℃熱処理材、2…1200℃熱処理材、3…1220℃熱処理材、4…1240℃熱処理材、5…1180℃熱処理材、6…1200℃熱処理材、7…1240℃熱処理材、8…1180℃熱処理材、9…1220℃熱処理材、10…1240℃熱処理材

Claims (12)

  1. ガスタービン静翼に生じた損傷を補修する工程と、
    ガスタービン静翼を、当該ガスタービン静翼の構成材料の析出物の固溶温度以上、構成材料の局部溶融する温度を超えない温度範囲内に、少なくとも30分間保持することからなる高強度化熱処理工程と
    を含むことを特徴とする、ガスタービン静翼の補修方法。
  2. 前記の高強度化熱処理工程が、真空雰囲気中で実施される、請求項1に記載のガスタービン静翼の補修方法。
  3. 前記の高強度化熱処理工程が、1180℃を超え、1250℃温度を超えない温度範囲内で実施される、請求項1または2に記載のガスタービン静翼の補修方法。
  4. 前記の高強度化熱処理工程における保持時間が、240分以上、480分以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスタービン静翼の補修方法。
  5. 前記の損傷の補修が、溶接、拡散ろう付け、またはこれらを併用して行なわれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスタービン静翼の補修方法。
  6. 前記の拡散ろう付けを、Ni基溶融合金粉末材料およびCo基非溶融合金粉末材料の混合粉末からなるろう材を用いて実施する、請求項5に記載のガスタービン静翼の補修方法。
  7. 前記の補修工程のうちの少なくとも一過程と、前記の高強度化熱処理工程のうちの少なくとも一過程とを同時に実施する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスタービン静翼の補修方法。
  8. 前記の補修工程の後に、前記の高強度化熱処理工程を実施する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスタービン静翼の補修方法。
  9. 前記の補修工程に先だって、酸化物および腐食物の除去処理、および(または)ガスタービン静翼の構成材料の溶体化処理を実施する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のガスタービン静翼の補修方法。
  10. 前記のガスタービン静翼が、Cr28.5〜30.5%、C0.2〜0.3%、Ni9.5〜11.5%、W6.5〜7.5%およびB0.005〜0.01%を含むCo基合金材料からなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のガスタービン静翼の補修方法。
  11. 前記のガスタービン静翼が、Co18〜20%、W1.5〜2.5%、Cr20〜24%、Al1.0〜1.5%、Ta0.8〜1.2%、Nb0.6〜1.0%、Hf0〜0.2%、Ti2.0〜2.5%、Mo0〜0.2%、C0.05〜0.15%、Zr0.002〜0.05%およびB0.01〜0.02%を含むNi基合金材料からなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のガスタービン静翼の補修方法。
  12. ガスタービン静翼を用意し、当該ガスタービン静翼の構成材料の析出物の固溶温度以上、構成材料の局部溶融する温度を超えない温度範囲内に、少なくとも30分間保持することからなる高強度化熱処理工程を含むことを特徴とする、高強度化ガスタービン静翼の製造方法。
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