JP2011144733A - ガスタービンの高温部品の損傷補修方法およびガスタービンの高温部品 - Google Patents

ガスタービンの高温部品の損傷補修方法およびガスタービンの高温部品 Download PDF

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Abstract

【課題】高温部品の異なる個所に生じた複数の損傷を同時に補修し、補修部の機械的強度を母材のそれと同等に維持するガスタービンの高温部品の損傷補修方法およびガスタービンの高温部品を提供する。
【解決手段】き裂の損傷補修方法は、(1)重力方向上方側の上面にき裂が生じている場合、き裂を囲うように上面に保持部材を配設し、き裂が及ぶ他の表面におけるき裂を覆うように保持部材を配設する工程と、保持部材で囲まれたき裂に、ろう付け補修材を配設する工程と、(2)重力方向に沿う側面にき裂が生じている場合、き裂を覆うように側面にろう付け補修材を配設する工程と、上方側のみを開口してろう付け補修材を保持するように保持部材を配設し、き裂が及ぶ他の表面のき裂を覆うように保持部材を配設する工程と、(1)および(2)の工程の後、拡散熱処理してき裂をろう付け補修する工程とを備える。
【選択図】図14

Description

本発明は、ガスタービンの静翼、動翼などのような高温部品に生じたき裂などの損傷を補修する、ガスタービンの高温部品の損傷補修方法、およびこの損傷補修方法により補修されたガスタービンの高温部品に関する。
ガスタービン発電プラントでは、ガスタービンと同軸に設けられた圧縮機の駆動によって圧縮された圧縮空気、および燃料を燃焼器に導入し、これらを燃焼器ライナの燃焼室内で燃焼させる。燃焼により発生した高温の燃焼ガスは、トランジションピースを経て、静翼および動翼からなるタービン部へ導入され、膨張して動翼を回転駆動させる。ガスタービン発電プラントでは、この回転駆動による運動エネルギを利用して、発電機などが回転駆動して発電を行っている。
この種のガスタービンの高温部品である、燃焼器ライナ、トランジションピース、静翼および動翼は、Ni基、Co基、またはNi−Fe基の耐熱超合金などで形成されているが、ガスタービンの運転に伴って種々の損傷が発生する。まず、これらの高温部品は、高温の燃焼ガス雰囲気に曝されるため材質劣化が生じる。さらに、動翼については、高速回転により生ずる遠心応力の作用により、クリープ損傷が蓄積する。また、ガスタービンの高温部品は、起動時においては、低温環境域から高温環境域に、停止時においては、高温環境域から低温環境域にそれぞれ推移する段階で熱疲労が生じ、疲労損傷が蓄積する。これらの損傷(材質劣化、クリープ損傷、疲労損傷)は重畳して蓄積する。
ところで、ガスタービンの高温部品の保守管理は、機器の設計段階で決まるクリープあるいは疲労寿命と、実機の運転、立地上の環境により設定される設計寿命とに基づいて、同一機種あるいは同一運転形態をとるガスタービンを分類し、分類された各グループの先行機の実績を用いて設計寿命を補正し、後続機の保守管理を行っている。近年では、ガスタービンの高温部品の劣化、損傷診断を効率的に精度良く予測する保守管理方法が実施されつつある。いずれの保守管理方法においても、ガスタービンの高温部品は、必要に応じて定検毎に補修が繰り返えされ、管理寿命に到達した後に一律に廃却となり、高価な新品と交換される。
例えば、ガスタービンの静翼の定検毎の補修において、き裂が発生していた場合には、き裂周辺を除去し、溶接補修することで再使用が可能となる。また、溶接補修の他に、ろう付け補修する方法もある。
例えば、発電用ガスタービンの静翼の精密鋳造時に生じた欠陥あるいは使用中に生じたき裂の補修方法として、クリープ特性、耐熱疲労特性および耐腐食性に優れたCo基合金の材料を用いた溶接方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、高温金属(合金)部品に発生した、高温腐食生成物で充満したき裂の補修方法として、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウム水溶液に浸漬して高温腐食生成物を除去した後、Niろう材またはCoろう材によりき裂を補修する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、き裂が生じたジェットエンジンの静翼を水素雰囲気中に曝露して酸化物を還元し、アクリルレジンとろう材を補修材としてき裂に塗布して、高温、真空中でろう付け補修する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
また、ガスタービンの静翼におけるき裂が発生している表面部位の酸化層を、き裂が一部残存するように削り、この削り部内に補修材を充填し、不活性ガスによる加圧下での熱処理によって、ろう材を溶融させてき裂を補修する技術が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開平11−117705号公報 特開平6−234066号公報 特開平6−344129号公報 特開2006−46147号公報
上記した従来の、き裂のろう付け補修では、補修すべき製品が複雑な形状で、かつ様々な部位にき裂が生じている場合、ろう付けが可能な姿勢で数回に分けて補修しなければならなかった。そのため、補修に長時間を要し、補修コストが増大するという問題があった。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、高温部品の異なる個所に生じた複数の損傷を同時に補修することができるとともに、補修部における機械的強度を高温部品の母材のそれと同等に維持することができるガスタービンの高温部品の損傷補修方法、およびこの損傷補修方法により補修されたガスタービンの高温部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、ガスタービンを構成する高温部品に生じた複数の損傷を補修するガスタービンの高温部品の損傷補修方法であって、(1)前記高温部品の重力方向上方側の表面に前記損傷が生じている場合において、前記損傷を囲うように、前記高温部品の重力方向上方側の表面に保持部材を配設し、かつ当該損傷が及ぶ前記高温部品の他の表面における損傷を覆うように前記保持部材を配設する保持部材配設工程と、前記保持部材で囲まれた前記損傷に、ろう付け補修材を配設する補修材配設工程と、(2)前記高温部品の重力方向に沿う側面に前記損傷が生じている場合において、前記損傷を覆うように、前記高温部品の重力方向に沿う側面にろう付け補修材を配設する補修材配設工程と、重力方向上方側のみを開口して、前記配設されたろう付け補修材を保持するように、前記高温部品の重力方向に沿う側面に保持部材を配設するとともに、前記損傷が及ぶ前記高温部品の他の表面における損傷を覆うように前記保持部材を配設する保持部材配設工程と、前記(1)および/または前記(2)の工程の後、前記高温部品および前記ろう付け補修材を拡散熱処理して、複数の前記損傷をろう付け補修する熱処理工程とを具備することを特徴とするガスタービンの高温部品の損傷補修方法が提供される。
また、本発明の一態様によれば、上記したガスタービンの高温部品の損傷補修方法によって、損傷が補修されたことを特徴とするガスタービンの高温部品が提供される。
本発明のガスタービンの高温部品の損傷補修方法およびガスタービンの高温部品によれば、高温部品の異なる個所に生じた複数の損傷を同時に補修することができるとともに、補修部における機械的強度を高温部品の母材のそれと同等に維持することができる。
本発明に係る一実施の形態のガスタービンの高温部品の損傷補修方法が適用されるガスタービンの一部の構成の子午断面を示した図である。 ガスタービンの静翼の斜視図である。 本発明に係る一実施の形態のガスタービンの高温部品の損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程における試験材の断面が示されている。 本発明に係る一実施の形態のガスタービンの高温部品の損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程における試験材の断面が示されている。 図4の天面を上方から見たときの平面図である。 本発明に係る一実施の形態のガスタービンの高温部品の損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程における試験材の断面が示されている。 図6の天面を上方から見たときの平面図である。 本発明に係る一実施の形態のガスタービンの高温部品の損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程における試験材の断面が示されている。 本発明に係る一実施の形態のガスタービンの高温部品の損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程における試験材の断面が示されている。 損傷(き裂)の補修がされた試験材の補修部分の断面を模式的に示した図である。 本発明に係る一実施の形態のガスタービンの高温部品(静翼)の損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程における静翼の、タービンロータの中心軸方向に直交する断面を示す図である。 本発明に係る一実施の形態のガスタービンの高温部品(静翼)の損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程における静翼の、タービンロータの中心軸方向に直交する断面を示す図である。 本発明に係る一実施の形態のガスタービンの高温部品(静翼)の損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程における静翼の、タービンロータの中心軸方向に直交する断面を示す図である。 本発明に係る一実施の形態のガスタービンの高温部品(静翼)の損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程における静翼の、タービンロータの中心軸方向に直交する断面を示す図である。 本発明に係る一実施の形態のガスタービンの高温部品(静翼)の損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程における静翼の、タービンロータの中心軸方向に直交する断面を示す図である。 クリープ破断試験の結果を示す図である。 低サイクル疲労試験の結果を示す図である。 翼本体、インナーサイドウォールおよびアウターサイドウォールの厚さ方向に貫通しないき裂が生じた静翼の、タービンロータの中心軸方向に直交する断面を示す図である。 クリープ破断試験の結果を示す図である。 低サイクル疲労試験の結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る一実施の形態のガスタービン10の高温部品の損傷補修方法が適用されるガスタービン10の一部の構成の子午断面を示した図である。
図1に示すように、ガスタービン10は、ケーシング11内に、複数のロータディスク12を軸方向に有し、各ロータディスク12の周囲に動翼13が複数枚植設されたタービンロータ14が貫設されている。また、動翼13の前方には静翼15が配置されて、静翼15と動翼13とにより1つのタービン段落を構成する。また、静翼15は、シュラウドセグメント16、リテイニングリング17、サポートリング18を介してケーシング11に支持されている。このタービン段落は、燃焼ガスの流れ方向(図1の矢印方向)の上流側から下流側へ向かって、第1段落、第2段落、第3段落と称される。
このような構成を備えるガスタービン10において、図示しない圧縮機からの圧縮空気と燃料とが図示しないに燃料器ライナの燃焼室内で混合され燃焼して燃焼ガスとなる。この燃焼ガスは、図示しないトランジションピースを介して、静翼15および動翼13からなる複数のタービン段落を備えるタービン部に導入される。タービン部に導入された燃焼ガスは、タービン部で膨張し、動翼13が植設されたタービンロータ14を回転させる。このタービンロータ14の回転を利用して、発電機などを回転駆動して発電を行う。
上記したガスタービン10において、高温部品として、例えば、静翼15、動翼13などが例示される。以下において、高温部品として、主に静翼15を例示して説明する。
図2は、ガスタービン10の静翼15の斜視図である。図2に示すように、静翼15は、インナーサイドウォール20とアウターサイドウォール21に2連の翼本体22が一体化されて形成される。この翼本体22間に燃焼ガスが流れる。
ここで、静翼15は、例えば、Co基超合金などの耐熱超合金で構成されるが、高温の燃焼ガスに曝されるなどの原因により損傷を受けやすい。例えば、複雑な形状を有する、静翼15の、翼本体22、インナーサイドウォール20およびアウターサイドウォール21にはき裂が生じやすい。
図2には、翼本体22、インナーサイドウォール20およびアウターサイドウォール21に生じたき裂30を示している。静翼15は、上記したような高価な耐熱超合金にて構成されているため、損傷が致命的である場合を除いて、き裂30などの損傷を補修して再使用される。なお、ここでは、静翼15に生じる損傷として、き裂を例示して説明するが、損傷には、例えば、酸化またはエロージョンによって様々な方向に窪んだ減肉部も含まれる。この減肉部に対しても、き裂に対する補修と同様の補修を行うことができる。
なお、動翼13は、例えば、Ni基超合金などの耐熱超合金で構成され、静翼15と同様に、高温の燃焼ガスに曝されるなどの原因により損傷を受けやすい。そのため、動翼13においても、静翼15と同様にき裂30などの損傷が生じ、この損傷を補修して再使用される。
次に、本発明に係る一実施の形態のガスタービン10の高温部品の損傷補修方法について説明する。
まず、静翼15と同一材料で構成された試験材40を用いて、この試験材40に形成された、き裂を模擬した溝41a、41b、41cを補修する場合について説明する。なお、補修前処理工程については、実プラントの静翼15に対する場合と異なるが、他の工程については同様である。
ここで、表1は、試験材40を構成するCo基超合金FSX414の組成成分を質量%で示している。
Figure 2011144733
図3〜図4、図6および図8〜図9は、本発明に係る一実施の形態のガスタービン10の高温部品の損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程における試験材40の断面が示されている。図5は、図4の天面42を上方から見たときの平面図である。図7は、図6の天面42を上方から見たときの平面図である。
図3に示すように、実プラントの静翼15の様々な深さ方向に延びるき裂30を模擬するために、試験材40の、天面42、左側面43および右側面44には、ワイヤカット加工によって、溝41a、41b、41cが形成されている。ここで、天面42は、重力方向上方側の表面に相当し、左側面43および右側面44は、重力方向に沿う側面に相当する。
なお、溝41a、41b、41cを加工する際の油を除去するために、試験材40全体が、例えばアセトンなどを用いて、事前に脱脂洗浄されている。
まず、図4および図5に示すように、天面42に形成された溝41aに対しては、溝41aを囲うように、天面42に保持部材45aを配設し、かつ溝41aが及ぶ試験材40の他の表面における開口50を保持部材45aで覆って封止する(天面の保持部材配設工程)。ここで、溝41aが及ぶ試験材40の他の表面における開口50とは、図4において溝41aの、紙面に垂直な方向の両端部の開口50をいう。すなわち、溝41aを囲うように保持部材45aの上方は開口され、図5に示すように、溝41aの両端部の開口50は、封止されている。
一方、左側面43および右側面44に形成された溝41b、41cに対しては、図4に示すように、ろう付け補修材46b、46cで溝41b、41cを覆う(側面の補修材配設工程)。
続いて、天面42において、図6に示すように、保持部材45aで囲まれた、天面42に形成された溝41aに、ろう付け補修材46aを充填する(天面の補修材配設工程)。
一方、左側面43および右側面44において、図6および図7に示すように、溝41b、41cを覆うろう付け補修材46b、46cを、重力方向上方側のみを開口51するように、保持部材45b、45cで覆って、ろう付け補修材46b、46cを保持するとともに、溝41b、41cが及ぶ試験材40の他の表面における開口52を保持部材45b、45cで覆って封止する(側面の保持部材配設工程)。
ここで、溝41b、41cが及ぶ試験材40の他の表面における開口52とは、図6において溝41b、41cの、紙面に垂直な方向の両端部の開口52をいう。すなわち、図7に示すように、溝41b、41cの両端部の開口52は、封止されている。
なお、ここでは、天面の保持部材配設工程、側面の補修材配設工程、天面の補修材配設工程、側面の保持部材配設工程の順に補修工程を説明したが、この順に限られるものではない。例えば、天面における工程と、側面における工程を同時に行っても、いずれか一方を先に行ってもよい。但し、天面における工程においては、天面の保持部材配設工程を先に行うのが好ましく、側面における工程においては、側面の補修材配設工程を先に行うのが好ましい。
ここで、このろう付け補修材46a、46b、46cは、Co基非溶融合金粉末と、このCo基非溶融合金粉末よりも融点の低いNi基溶融合金粉末とを配合して構成される粉体、またはこれらの配合粉体に、有機バインダを混合したペーストで構成される。特に、左側面43および右側面44に形成された溝41b、41cを、ろう付け補修材46b、46cで覆う場合には、上記したペースト状のものが使用される。また、天面42に形成された溝41aに対しては、粉体またはペーストのいずれのろう付け補修材も使用することができる。
Co基非溶融合金粉末は、Co−Ni−Cr系の合金粉末であり、試験材40の組成成分と同等の組成成分で構成されることが好ましい。また、Co基非溶融合金粉末は、熱処理工程において溶融しない。一方、Ni基溶融合金粉末は、Ni−Cr−Co−Si−B系の合金粉末であり、熱処理工程において溶融状態となり、ろう材として機能する。Ni基溶融合金粉末として、実機における使用環境下を考慮すると、例えば融点が1000℃以上の材料を使用することが好ましい。ろう付け補修材46a、46b、46cとして具体的には、例えば、JIS Z 3265などのろう付け補修材を使用することができる。
このように、ろう材として機能する材料よりも融点が高く、かつ補修を行う母材(ここでは、試験材40)と同等の組成成分の粉末を含有したろう付け補修材46a、46b、46cを使用することで、拡散熱処理後において、補修部が母材と同等レベルの機械的強度を有する。
なお、動翼13または動翼13と同一材料で構成された試験材を補修する場合には、ろう付け補修材は、Ni基非溶融合金粉末と、このNi基非溶融合金粉末よりも融点の低いNi基溶融合金粉末とを配合して構成される粉体、またはこれらの配合粉体に、有機バインダを混合したペーストで構成される。また、Ni基非溶融合金粉末は、Ni−Cr−Co−Al−Ti系の合金粉末であり、動翼13の組成成分と同等の組成成分で構成されることが好ましい。また、Ni基非溶融合金粉末は、熱処理工程において溶融しない。一方、Ni基溶融合金粉末は、Ni−Cr−Co−Si−B系の合金粉末であり、熱処理工程において溶融状態となり、ろう材として機能する。Ni基溶融合金粉末として、実機における使用環境下を考慮すると、例えば融点が1000℃以上の材料を使用することが好ましい。ろう付け補修材として具体的には、例えば、JIS Z 3265などのろう付け補修材を使用することができる。
保持部材45a、45b、45cは、アルミナ系、ジルコニア系、ジルコニア−シリカ系のセラミックス接着剤などで構成されている。このセラミックス接着剤は、例えば、上記セラミックスの粉体、無機バインダ、溶媒の水を主な組成成分として、ペースト状に構成されている。セラミックス接着剤は、例えば1200℃程度の高温で安定なものが好ましい。
また、保持部材45a、45b、45cとして、保持部材45a、45b、45cが設けられる高温部品の線膨張係数と同等の線膨張係数を有するものを使用することが好ましい。双方の線膨張係数の差が大きい場合には、熱処理工程で、保持部材45a、45b、45cが高温部品の表面から剥離し、溶融したろう付け補修材が外部に流出するからである。
また、ペースト状の保持部材45a、45b、45cを使用することで、試験材40の表面に容易に固着できるとともに、除去する際も容易に除去することができ、補修の作業性を向上させることができる。
続いて、上記工程を経た試験材40を真空熱処理炉内に配置し、例えば温度が1200℃の条件で、試験材40およびろう付け補修材46a、46b、46cに拡散熱処理を、各溝41a、41b、41cに対して同時に施す(熱処理工程、図8参照)。このときの加熱温度は、ろう付け補修材46a、46b、46cのNi基溶融合金粉末を溶融させ、かつろう付け補修材46a、46b、46cのCo基非溶融合金粉末を溶融させない温度である。
この溶融状態のNi基溶融合金と、非溶融状態のCo基非溶融合金粉末および試験材40の母材とが拡散反応により固着されて、各溝41a、41b、41cが同時にろう付け補修される。なお、左側面43および右側面44に形成された溝41b、41cを覆うろう付け補修材46b、46cは、保持部材45b、45cによって流下を防止されながら、溶融して溝41b、41c内に充填される。なお、左側面43および右側面44に形成された溝41b、41cは、溝41b、41cを充填するのに十分な量のろう付け補修材46b、46cで覆われている。
ここで、溝41aにおいて、ろう付け補修材46aが溶融した場合(ろう付け補修材46aのうちNi基溶融合金が溶融した状態、以下に同じ)でも、図5に示すように、溝41aの両端部の開口50は、保持部材45aによって封止されているため、ろう付け補修材46aが外部に流出することはない。さらに、天面42においては、図5に示すように、溝41aを囲うように保持部材45aが配設されているので、溶融したろう付け補修材46aは、保持部材45aを超えて天面42上に広がることはない。
また、溝41b、41cにおいて、ろう付け補修材46b、46cが溶融した場合でも、図7に示すように、溝41b、41cの両端部の開口52は、保持部材45b、45cによって封止されているため、ろう付け補修材46b、46cが外部に流出することはない。さらに、溝41b、41cの入口において、ろう付け補修材46b、46cは、上方を除いて、保持部材45b、45cによって覆われているため、溶融したろう付け補修材46b、46cが下方(重力方向)に流下することはない。
また、ろう付け補修材46a、46b、46cが溶融して溝41a、41b、41cに充填される際、溝41a、41b、41c内の気体が気泡となって存在することがあるが、保持部材45a、45b、45cの上方は、開口されているため、この気泡は外部に排出される。このように、気泡を外部に排出することができるので、補修部におけるボイド(隙間)の発生を抑制することができる。
この熱処理工程後の表面仕上げ工程(図9参照)では、試験材40の、天面42、左側面43、右側面44から保持部材45a、45b、45cを取り除くとともに、各面から突出したろう付け補修材46a、46b、46cを取り除き、図9に示すように、これらの補修部分の表面を仕上げ加工する。
以上の工程を経て損傷の補修が完了する。
ここで、上記した補修工程により、損傷(き裂)の補修がされた試験材40の補修部分の断面を、光学顕微鏡により観察した。図10は、損傷(き裂)の補修がされた試験材40の補修部分の断面を模式的に示した図である。
試験材40の天面42、左側面43、右側面44のそれぞれに形成された各溝41a、41b、41c内において、図10に示すように、Co基非溶融合金粉末65と、溶融したNi基溶融合金66が、ボイド(隙間)を有することなく装填されていた。そのため、補修部分の高温強度は、試験材40の非補修部分と同等レベルを示すものと推定される。
上記したように、保持部材45a、45b、45cを備えることで、溶融したろう付け補修材46a、46b、46cを外部に流出させずに、溝41a、41b、41c内に充填することができる。さらに、保持部材45a、45b、45cの上方を開口することで、熱処理工程において、溝41a、41b、41c内の気泡を外部に排出することができるので、補修部におけるボイド(隙間)の発生を抑制することができる。
また、異なる個所に生じたき裂を熱処理工程において同時に処理することができるので、補修時間を短縮することができる。
次に、実プラントにおいて、6年程度溶接補修を繰り返して使用されてきた静翼15(例えば、第1段静翼)を対象とした損傷補修工程について説明する。
図11〜図15は、本発明に係る一実施の形態のガスタービン10の高温部品(静翼15)の損傷補修方法の工程を説明するための図であり、各工程における静翼15の、タービンロータ14の中心軸方向に直交する断面を示す図である。なお、図11〜図15の断面は、静翼15の後縁に近い部分における断面を示している。
この静翼15は、試験材40と同様に、表1に示す組成と同等の組成のCo基超合金にて構成されている。また、この静翼15には、図11に示すように、翼本体22、インナーサイドウォール20およびアウターサイドウォール21の厚さ方向に貫通したき裂30a、30b、30cが生じている。
この静翼15に対して、次のように損傷補修を行う。
実プラントの静翼15に対する補修前処理工程において、補修すべきき裂30a、30b、30cの表面に生成された酸化皮膜を、水素雰囲気中で熱処理を実施することで除去する。このように酸化皮膜を除去することで、き裂30a、30b、30cの表面とろう付け補修材とのなじみ(接着)が良好になる。
まず、図12に示すように、重力方向上方側の表面にき裂が生じているインナーサイドウォール20およびアウターサイドウォール21において、重力方向上方側の表面(以下、それぞれ上面20b、21bという)のき裂30a、30cを囲うように、上面20b、21bに保持部材60aを配設する。また、重力方向下方側の表面(以下、それぞれ下面20a、21aという)のき裂30a、30cを保持部材60a、60cで覆って封止する。さらに、インナーサイドウォール20およびアウターサイドウォール21の下面20a、21aおよび上面20b、21bを除く他の表面に、き裂30a、30cが及んでいる場合には、上記した試験材40の場合と同様に、その他の表面のき裂30a、30cを保持部材60a、60cで覆って封止する。ここで、インナーサイドウォール20およびアウターサイドウォール21の下面20a、21aおよび上面20b、21bを除く他の表面として、例えば、図12において紙面に垂直な方向の、インナーサイドウォール20およびアウターサイドウォール21の両端面などが例示できる。
これらの上面の保持部材配設工程によって、上面20b、21bのき裂30a、30cを囲う保持部材60a、60cの上方は開口され、上面20b、21bのき裂30a、30c以外は封止されている。
一方、重力方向に沿う側面に相当する、翼本体22に形成されたき裂30bに対しては、図12に示すように、翼本体22の一方の側面(ここでは、左の側面22a)のき裂30bを、ろう付け補修材61bで覆う(側面の補修材配設工程)。
続いて、上面20b、21bにおいて、図13に示すように、保持部材60a、60cで囲まれた、き裂30a、30cに、ろう付け補修材61a、61cを充填する(上面の補修材配設工程)。
一方、翼本体22の側面22aにおいて、図13に示すように、き裂30bを覆うろう付け補修材61bを、重力方向上方側のみを開口70するように、保持部材60bで覆って、ろう付け補修材61bを保持する。また、翼本体22の他方の側面22bのき裂30bを保持部材60bで覆って封止する。さらに、翼本体22の側面22a、22bを除く他の側面(例えば、後縁など)に、き裂30bが及んでいる場合には、上記した試験材40の場合と同様に、他の表面に及ぶき裂30bを保持部材60bで覆って封止する。これらの側面の保持部材配設工程によって、側面22aのき裂30bを覆う保持部材60bの上方は開口され、側面22aのき裂30b以外は封止される。
なお、ここでは、上面の保持部材配設工程、側面の補修材配設工程、上面の補修材配設工程、側面の保持部材配設工程の順に補修工程を説明したが、この順に限られるものではない。例えば、上面における工程と、側面における工程を同時に行っても、いずれか一方を先に行ってもよい。但し、上面における工程においては、上面の保持部材配設工程を先に行うのが好ましく、側面における工程においては、側面の補修材配設工程を先に行うのが好ましい。
なお、ろう付け補修材61a、61b、61cおよび保持部材60a、60b、60cは、前述した、ろう付け補修材46a、46b、46cおよび保持部材45a、45b、45cと同じ材料で構成される。
続いて、上記工程を経た静翼15を真空熱処理炉内に配置し、例えば温度が1200℃の条件で、静翼15およびろう付け補修材61a、61b、61cに拡散熱処理を、各き裂30a、30b、30cに対して同時に施す(熱処理工程、図14参照)。このときの加熱温度は、ろう付け補修材61a、61b、61cのNi基溶融合金粉末を溶融させ、かつろう付け補修材61a、61b、61cのCo基非溶融合金粉末を溶融させない温度である。
この溶融状態のNi基溶融合金と、非溶融状態のCo基非溶融合金粉末および静翼15の母材とが拡散反応により固着されて、各き裂30a、30b、30cが同時にろう付け補修される。なお、翼本体22の側面22aに生じたき裂30bを覆うろう付け補修材61bは、保持部材60bによって流下を防止されながら、溶融してき裂30b内に充填される。なお、翼本体22の側面22aに生じたき裂30bは、き裂30bを充填するのに十分な量のろう付け補修材61bで覆われている。
ここで、ろう付け補修材61a、61cが溶融した場合でも、上面21b、20b以外に生じるき裂30a、30cは、封止されているので、ろう付け補修材61aが外部に流出することはない。さらに、上面21b、20bにおいては、き裂30a、30cを囲うように保持部材60a、60cが配設されているので、溶融したろう付け補修材61a、61cは、保持部材60a、60cを超えて上面21b、20b上に広がることはない。
また、ろう付け補修材61bが溶融した場合でも、側面22a以外に生じるき裂30bは、封止されているので、ろう付け補修材61bが外部に流出することはない。さらに、側面22aにおけるき裂30bの入口において、ろう付け補修材61bは、上方を除いて、保持部材60bによって覆われているため、溶融したろう付け補修材61bが下方(重力方向)に流下することはない。
また、ろう付け補修材61a、61b、61cが溶融して、き裂30a、30b、30cに充填される際、き裂30a、30b、30c内の気体が気泡となって存在することがあるが、保持部材60a、60b、60cの上方は、開口されているため、この気泡は外部に排出される。このように、気泡を外部に排出することができるので、補修部におけるボイド(隙間)の発生を抑制することができる。
この熱処理工程後の表面仕上げ工程(図15参照)では、静翼15の、上面20b、21b、下面20a、21a、側面22a、22bから保持部材60a、60b、60cを取り除くとともに、各面から突出したろう付け補修材61a、61b、61cを取り除き、図15に示すように、これらの補修部分の表面を仕上げ加工する。
以上の工程を経て静翼15の損傷の補修が完了する。
ここで、上記した損傷補修方法において補修した静翼15から採取した補修部を含む試験片1、上記した損傷補修方法において保持部材を備えずに補修した静翼15から採取した補修部を含む試験片2、および補修した静翼15のき裂が生じていない部位から採取した試験片3を用いて、クリープ破断試験および低サイクル疲労試験を行った。また、試験片1および試験片2については、補修部の断面を光学顕微鏡で観察した。
ここで、ろう付け補修材61a、61b、61cには、Co基非溶融合金粉末とNi基溶融合金粉末とを、質量比で1:1〜1.5:1に配合し、この配合された粉末と有機バインダを混合してペースト状にして使用した。また、Co基非溶融合金粉末の組成成分は、質量%で、Niが10〜25、Crが15〜45、Taが6〜8、Wが0.1以下、Cが0.05以下、残部がCoからなる材料を使用し、Ni基溶融合金粉末の組成成分は、質量%で、Cが0.001〜0.05、Siが2〜5、Crが10〜25、Coが15〜25、Bが1〜5、残部がNiからなる材料を使用した。
保持部材45a、45b、45cには、ジルコニア−シリカ系のペースト状のセラミックス接着剤を使用した。
熱処理は、真空熱処理炉で、1200℃の温度で20分加熱した。
クリープ破断試験は、JIS Z 2271に基づいて、各試験片において同じ温度および同じ応力で行った。また、低サイクル疲労試験は、JIS Z 2279に基づいて、各試験片において行った。なお、各試験片をそれぞれ2個用意し、この2個に対してそれぞれクリープ破断試験および低サイクル疲労試験を行った。
図16は、クリープ破断試験の結果を示す図である。図17は、低サイクル疲労試験の結果を示す図である。なお、図16および図17には、各試験片において2個の試験片における結果が示されている。
まず、試験片1および試験片2における補修部の断面の観察結果について説明する。試験片1における補修部の断面において、図10に示した場合と同様に、Co基非溶融合金粉末65と、溶融したNi基溶融合金66が、ボイド(隙間)を有することなく装填されていた。なお、試験片1のいずれの補修部においても、同様の結果が得られた。
一方、試験片2における補修部の断面においては、Co基非溶融合金粉末65および溶融したNi基溶融合金66は確認できたが、複数のボイド(隙間)が確認された。なお、試験片2のいずれの補修部においても、同様の結果が得られた。これは、保持部材を備えていない試験片2では、ろう付け補修材が外部に流出し、ろう付け補修材の適正な充填が行われなったことが原因と考えられる。
次に、図16および図17に示すように、試験片1は、試験片3すなわち母材と同等のクリープ強度および低サイクル疲労強度が得られた。一方、試験片2では、試験片1や試験片3に比べて、クリープ強度および低サイクル疲労強度が低かった。
以上のことから、一実施の形態のガスタービン10の高温部品の損傷補修方法によれば、保持部材を備えることで、拡散熱処理において、溶融したろう付け補修材(Ni基溶融合金)が外部に流出することを防止して、溶融したろう付け補修材をき裂内に確実に充填することができる。また、深さ方向の異なる複数のき裂が生じている場合でも、複数のき裂を同時に補修することができるため、補修を迅速に行うことができる。
また、保持部材の上方を開口することで、溶融したろう付け補修材を充填する際、き裂内の気体が気泡となって存在することがあるが、保持部材の上方の開口から気泡を外部に排出することができる。そのため、補修部におけるボイド(隙間)の発生を抑制することができる。これによって、補修部においても、高温部品を構成する母材と同程度の機械的強度を得ることができる。
さらに、補修をろう付けによって行うことで、溶接による補修の場合に比べ、高温部品の補修による変形の発生を防止することができる。
保持部材配設工程および補修材配設工程後の、複数の高温部品を真空熱処理炉に投入して、バッチ処理にて拡散熱処理を実施するので、補修時間を短縮することができ、効率的な補修を実現することができる。
なお、ここでは、図11に示すように、翼本体22、インナーサイドウォール20およびアウターサイドウォール21の厚さ方向に貫通したき裂30a、30b、30cが生じた静翼15における損傷補修方法を例示して説明したが、き裂が貫通していない場合でも、本発明に係る高温部品の損傷補修方法を適用することができる。
図18は、翼本体22、インナーサイドウォール20およびアウターサイドウォール21の厚さ方向に貫通しないき裂80a、80b、80cが生じた静翼15の、タービンロータ14の中心軸方向に直交する断面を示す図である。なお、図18の断面は、静翼15の後縁に近い部分における断面を示している。
このように、インナーサイドウォール20およびアウターサイドウォール21の上面20b、21bにき裂80a、80cが生じている場合や、翼本体22の側面にき裂80bが生じている場合においても、本発明に係る高温部品の損傷補修方法を適用することができる。
なお、この場合には、インナーサイドウォール20およびアウターサイドウォール21において、下面20a、21aに保持部材を備える必要はない。さらに、き裂80bが生じた、翼本体22の側面と対向する側面に保持部材を備える必要はない。他の工程は、上記した損傷補修方法と同様である。
図18に示した静翼15について、損傷補修を行った後、クリープ破断試験、低サイクル疲労試験、および補修部の断面の観察を行った。なお、補修方法や各試験条件は、前述した図15の損傷補修後の静翼15に対して行った補修方法や各試験条件と同じである。また、各試験片をそれぞれ2個用意し、この2個に対してそれぞれクリープ破断試験および低サイクル疲労試験を行った。
ここで、上記した損傷補修方法において補修した静翼15から採取した補修部を含む試験片を試験片4、上記した損傷補修方法において保持部材を備えずに補修した静翼15から採取した補修部を含む試験片を試験片5、および補修した静翼15のき裂が生じていない部位から採取した試験片を試験片6とする。
図19は、クリープ破断試験の結果を示す図である。図20は、低サイクル疲労試験の結果を示す図である。なお、図19および図20には、各試験片において2個の試験片における結果が示されている。
まず、試験片4および試験片5における補修部の断面の観察結果について説明する。試験片4における補修部の断面において、図10に示した場合と同様に、Co基非溶融合金粉末65と、溶融したNi基溶融合金66が、ボイド(隙間)を有することなく装填されていた。なお、試験片4のいずれの補修部においても、同様の結果が得られた。
一方、試験片5における補修部の断面においては、Co基非溶融合金粉末65および溶融したNi基溶融合金66は確認できたが、複数のボイド(隙間)が確認された。なお、試験片5のいずれの補修部においても、同様の結果が得られた。これは、保持部材を備えていない試験片5では、ろう付け補修材が外部に流出し、ろう付け補修材の適正な充填が行われなったことが原因と考えられる。
次に、図19および図20に示すように、試験片4は、試験片6すなわち母材と同等のクリープ強度および低サイクル疲労強度が得られた。一方、試験片5では、試験片4や試験片6に比べて、クリープ強度および低サイクル疲労強度が低かった。
以上のことから、き裂が貫通していない場合においても、前述した、き裂が貫通した場合における損傷補修方法における作用効果と同様の作用効果が得られる。
なお、実施の形態において、ガスタービンの高温部品として、主に静翼15を例示して説明したが、ガスタービンの高温部品である動翼などにおいても、本発明に係る損傷補修方法を適用することで、静翼15に、本発明に係る損傷補修方法を適用した場合と同様の作用効果を得ることができる。
また、実施の形態において、損傷としてき裂を例示して説明したが、酸化またはエロージョンによって様々な方向に窪んだ複数の減肉部に対しても、本発明に係る損傷補修方法を適用することができる。また、この場合においても、き裂に、本発明に係る損傷補修方法を適用した場合と同様の作用効果を得ることができる。
以上、本発明を一実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
10…ガスタービン、11…ケーシング、12…ロータディスク、13…動翼、14…タービンロータ、15…静翼、16…シュラウドセグメント、17…リテイニングリング、18…サポートリング、20…インナーサイドウォール、20a…下面、20b、21b…上面、21…アウターサイドウォール、22…翼本体、22a、22b…側面、30、30a、30b、30c、80a、80b、80c…き裂、40…試験材、41a、41b、41c…溝、42…天面、43…左側面、44…右側面、45a、45b、45c、60a、60b、60c…保持部材、46a、46b、46c、61a、61b、61c…ろう付け補修材、50、51、52、70…開口、65…Co基非溶融合金粉末、66…Ni基溶融合金。

Claims (6)

  1. ガスタービンを構成する高温部品に生じた複数の損傷を補修するガスタービンの高温部品の損傷補修方法であって、
    (1)前記高温部品の重力方向上方側の表面に前記損傷が生じている場合において、
    前記損傷を囲うように、前記高温部品の重力方向上方側の表面に保持部材を配設し、かつ当該損傷が及ぶ前記高温部品の他の表面における損傷を覆うように前記保持部材を配設する保持部材配設工程と、
    前記保持部材で囲まれた前記損傷に、ろう付け補修材を配設する補修材配設工程と、
    (2)前記高温部品の重力方向に沿う側面に前記損傷が生じている場合において、
    前記損傷を覆うように、前記高温部品の重力方向に沿う側面にろう付け補修材を配設する補修材配設工程と、
    重力方向上方側のみを開口して、前記配設されたろう付け補修材を保持するように、前記高温部品の重力方向に沿う側面に保持部材を配設するとともに、前記損傷が及ぶ前記高温部品の他の表面における損傷を覆うように前記保持部材を配設する保持部材配設工程と、
    前記(1)および/または前記(2)の工程の後、前記高温部品および前記ろう付け補修材を拡散熱処理して、複数の前記損傷をろう付け補修する熱処理工程と
    を具備することを特徴とするガスタービンの高温部品の損傷補修方法。
  2. 前記損傷が、き裂または減肉部であることを特徴とする請求項1記載のガスタービンの高温部品の損傷補修方法。
  3. 前記損傷がき裂であり、当該き裂が、前記高温部品の重力方向上方側の表面から、この表面に対向する他方の表面に貫通している場合、および/または前記高温部品の重力方向に沿う側面から、この側面に対向する他方の側面に貫通している場合、
    前記保持部材配設工程において、前記他方の表面のき裂および前記他方の側面のき裂を前記保持部材で覆うことを特徴とする請求項2記載のガスタービンの高温部品の損傷補修方法。
  4. 前記保持部材が、セラミックス接着剤であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のガスタービンの高温部品の損傷補修方法。
  5. 前記高温部品が、静翼または動翼であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のガスタービンの高温部品の損傷補修方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項記載のガスタービンの高温部品の損傷補修方法によって、損傷が補修されたことを特徴とするガスタービンの高温部品。
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