JP5254116B2 - 高温部品の損傷補修方法及び高温部品 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスタービンの静翼のような高温部品に生じたき裂などの損傷を補修する高温部品の損傷補修方法、及び損傷が補修された高温部品に関する。
ガスタ−ビン発電プラントは、ガスタ−ビンと同軸に設けられた圧縮機の駆動によって圧縮された圧縮空気を燃焼器に案内して、燃焼器ライナの燃焼室内で燃料とともに燃焼する。燃焼により発生した高温の燃焼ガスは、トランジションピ−ス及び静翼を経て動翼へ案内され、この動翼を回転駆動させて、ガスタ−ビンの仕事をさせるようになっている。
この種のガスタ−ビンの高温部品である燃焼器ライナ、トランジションピ−ス、静翼及び動翼には、Ni基、Co基、またはNi−Fe基の耐熱超合金が用いられるが、ガスタ−ビンの運転とともに種々の損傷が発生する。まず、これらの高温部品は、高温の燃焼ガス雰囲気に晒されるため材質劣化が生じるとともに、動翼については、高速回転により生ずる遠心応力の作用でクリ−プ損傷が蓄積する。また、ガスタ−ビンの高温部品は、起動時には比較的低温環境域から高温環境域に、停止時には逆に高温環境域から低温環境域にそれぞれ推移する段階で熱疲労が生じ、疲労損傷が蓄積する。これらの損傷(材質劣化、クリ−プ損傷、疲労損傷)は重畳して蓄積する。
ところで、ガスタ−ビンの高温部品の保守管理は、機器の設計段階で決まるクリ−プあるいは疲労寿命と、実機の運転、立地上の環境により設定される設計寿命とを基に、同一機種あるいは同一運転形態をとるガスタ−ビンを分類し、分類された各グル−プの先行機の実績を用いて設計寿命を補正し、後続機の保守管理を行っている。近年では、ガスタ−ビンの高温部品の劣化、損傷診断を効率的に精度良く予測する保守管理方法が実施されつつある。いずれの保守管理方法においても、ガスタ−ビンの高温部品は、必要に応じて定検毎に補修が繰り返えされ、管理寿命に到達した後に一律に廃却となり、非常に高価な新品と交換される。
ガスタ−ビン静翼の定検毎の補修において、使用によりき裂が発生していた場合には、き裂周辺を除去し、溶接補修することで再使用が可能となる。また、溶接補修の他にろう付け補修する方法もある。以下に溶接補修またはろう付け補修の公知例(特許文献)を示す。
特許文献1では、発電用ガスタービン静翼の精密鋳造時に生じた欠陥あるいは使用中に生じたき裂の補修方法として、クリープ特性、耐熱疲労特性及び耐腐食性に優れたCo基合金の材料を用いた溶接方法を提案している。また、特許文献2では、高温金属(合金)部品に発生した、高温腐食生成物で充満したき裂の補修方法として、水酸化ナトリウム及び/または水酸化カリウム水溶液に浸漬して高温腐食生成物を除去した後、Niろう材またはCoろう材によりき裂を補修している。
特許文献3では、き裂が生じたジェットエンジンの静翼を水素雰囲気中に曝露して酸化物を還元し、アクリルレジンとろう材を補修材としてき裂に塗布して、高温、真空中でろう付け補修している。また、特許文献4では、ガスタービン静翼においてき裂が発生している表面部位の酸化層を、き裂が一部残存する形で削り、この削り部内に補修材を充填し、不活性ガスによる加圧下での熱処理によって、ろう材を溶融させてき裂を補修している。
特開平11−117705号公報 特開平6−234066号公報 特開平6−344129号公報 特開2006−46147号公報
ところが、上述の特許文献において、特にき裂のろう付け補修では、補修すべき製品が複雑な形状で様々な部位にき裂が生じている場合に、ろう付けが可能な姿勢で数回に分けて補修しているため、補修に長時間を要し、補修コストが増大するという課題がある。
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、高温部品に生じた複数の損傷を確実且つ迅速に補修できる高温部品の損傷補修方法及び高温部品を提供することにある。
本発明に係る高温部品の損傷補修方法は、高温状態で運転されるエネルギー機関の高温部品に生じた複数の損傷を補修する高温部品の損傷補修方法であって、前記複数の損傷は、異なる深さ方向に延びる複数のき裂、または異なる方向に窪む複数の減肉部であり、前記高温部品の前記複数の損傷内にろう付け補修材を装填する補修材装填工程と、この装填された前記ろう付け補修材の露出部分を保持部材により覆って、このろう付け補修材を保持する補修材保持工程と、前記高温部品及び前記ろう付け補修材を拡散熱処理して、前記複数の損傷をろう付け補修する熱処理工程と、を有し、前記補修材保持工程で用いる前記保持部材が、金属箔またはセラミックス接着剤であることを特徴とするものである。
また、本発明に係る高温部品は、高温状態で運転されるエネルギー機関の高温部品であって、本発明に係る高温部品の損傷補修方法により損傷が補修されて構成されたことを特徴とするものである。
本発明に係る高温部品の損傷補修方法及び高温部品によれば、高温部品に生じた複数の損傷(異なる深さ方向に延びる複数のき裂、または異なる方向に窪む複数の減肉部)内に装填されたろう付け補修材を保持部材により保持した後に、拡散熱処理を実施して複数の損傷をろう付け補修するので、拡散熱処理において溶融したろう付け補修材が損傷内から流出することを防止できる。この結果、高温部品に生じた複数の損傷を確実且つ迅速に補修できる。
本発明に係る高温部材の損傷補修方法における第1の実施の形態であるガスタービン静翼の損傷補修方法が適用されるガスタービンの一部を示す部分断面図。 図1のガスタービンの静翼を示す斜視図。 (A)〜(E)は、第1の実施の形態における静翼の損傷補修手順を示す工程図。 図2の静翼と同一材料の実験材に対し模擬的に形成されたき裂(つまり溝)を補修した後の断面図。 図4の補修部分を示す拡大断面図。 図2の静翼に生じたき裂を補修する際の熱処理工程直前状態を示す静翼の断面図。 図6で補修を完了した後の補修部分を示す拡大断面図。 図3(C)の金属箔を用いないでき裂の補修を完了した場合における補修部分を示す断面図。 第1の実施の形態における補修部分のクリープ破断試験結果を、母材などの場合と比較して示すグラフ。 本発明に係る高温部品の損傷補修方法における第2の実施の形態であるガスタービン静翼の損傷補修方法を適用して、静翼に生じたき裂を補修する際の熱処理工程直前状態を示す静翼の断面図。 図10で補修を完了した後の補修部分を拡大して示す断面図。 第2の実施の形態における補修部分のクリープ破断試験結果を、母材の場合と比較して示すグラフ。 本発明に係る高温部品の損傷補修方法における第3の実施の形態であるガスタービン静翼の損傷補修方法を適用して、静翼に生じたき裂を補修する際の熱処理工程直前状態を示す静翼の断面図。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。
[A]第1の実施の形態(図1〜図9)
図1は、本発明に係る高温部材の損傷補修方法における第1の実施の形態であるガスタービン静翼の損傷補修方法が適用されるガスタービンの一部を示す部分断面図である。
この図1に示すガスタービン10は、高温状態で運転されるエネルギー機関の一例であり、図示しない圧縮機からの圧縮空気と燃料とが図示しないに燃料器ライナの燃焼室内で混合され燃焼して燃焼ガスとなり、この燃焼ガスがトランジションピース(不図示)及び静翼11に案内されて動翼12へ導入され、この動翼12が植設されたタービンロータ13を回転させる。このタービンロータ13の回転により、発電機などが回転駆動される。
タービンロータ13は、複数のロータディスク14が軸方向に結合されて構成され、各ロータディスク14の周囲に動翼12が複数枚植設される。また、静翼11は、タービンケーシング15にシュラウドセグメント16やリテイニングリング17、サポートリング18を介して支持される。これらの静翼11は、各ロータディスク14の動翼12の前方に配置されて、タービン段落を構成する。このタービン段落は、燃焼ガスの流れ方向(矢印A)の上流側から下流側へ向かって第1段落、第2段落、第3段落と称される。
上述のガスタービン10における静翼11は高温部品であり、図2に示すように、インナーサイドウォール19とアウターサイドウォール20に2連の翼部21が一体化されて形成される。両翼部21間に燃焼ガスが流れる。
また、静翼11及び動翼12などはNi基、Co基、またはNi−Fe基などの耐熱超合金により構成され、このうち特に、静翼11はCo基超合金、動翼12はNi基超合金にて構成される。しかしながら、これらの静翼11及び動翼12は、高温の燃焼ガスにさらされるなどの原因で損傷を受けやすく、例えば複雑な形状の静翼11における翼部21、インナーサイドウォール19及びアウターサイドウォール20の各箇所にき裂22が生じやすい。静翼11は、高価な耐熱超合金にて構成されているため、損傷が致命的である場合を除いて、き裂22等の損傷を補修して再使用に供される。
本実施の形態においては、図3の補修手順に従ってき裂などの損傷を補修する。この補修手順は補修前処理(図3(A))、補修材装填工程(図3(B))、補修材保持工程(図3(C))、熱処理工程(図3(D))、表面仕上げ工程(図3(E))の順である。但し、この図3は、静翼11と同一材料の実験材23に形成された、き裂22を模擬した溝24を補修する手順を示す。従って、補修前処理工程については実プラントの静翼11に対する場合と異なるが、他の工程については同様である。
実験材23は、実プラントの静翼11と同様にCo基超合金製であり、特に表1に示す組成のCo基超合金FSX414が用いられている。実験材23では、実プラントの静翼11において様々な深さ方向に延びるき裂22を模擬するために、例えば天面25、左側面26、右側面27に、ワイヤカット加工によって溝24が形成されている(図3(A))。
Figure 0005254116
さて、まず実験材23について実施する損傷補修手順について説明する。
前処理工程(図3(A))では、溝24の加工時の油分を除去するために、実験材23全体を例えばアセトンなどを用いて脱脂処理する。
次の補修材装填工程(図3(B))では、実験材23の天面25、左側面26、右側面27における全ての溝24内にろう付け補修材28を装填する。このろう付け補修材28は、Ni基溶融合金粉末とCo基非溶融合金粉末とが配合されたものである。Ni基溶融合金粉末はNi−Cr−Co−Si−B系であり、熱処理工程において溶融状態となる低融点のろう材として機能する。また、Co基非溶融合金粉末はCo−Ni−Cr系であり、実験材23の組成と同等の組成であり、熱処理工程において溶融しない。尚、Ni基溶融合金に代えて、Pt、AgまたはPbを用いてもよい。
次の補修材保持工程(図3(C))では、実験材23における天面25の溝24、左側面26の溝24、右側面27の溝24にそれぞれ装填された全てのろう付け補修材28の露出部分(盛り上げ部分)を、保持部材である金属箔29により覆って、各溝24内のろう付け補修材28を保持する。この場合、金属箔29は、実験材23の天面25、左側面26、右側面27に固着(例えばスポット溶着)される。この金属箔29は、例えば厚さが0.1mm以下の金箔が好ましい。厚さが0.1mm以下としたのは、金属箔29を実験材23の天面25、左側面26、右側面27の形状や、静翼11の複雑な表面形状に適合させるためである。
次の熱処理工程(図3(D))では、補修材保持工程を経た実験材23を真空熱処理炉に投入し、例えば1200℃の条件で、実験材23及びろう付け補修材28に拡散熱処理を施す。つまり、このときの加熱温度は、ろう付け補修材28のNi基溶融合金粉末を溶融させ、且つろう付け補修材28のCo基非溶融合金粉末を溶融させない温度である。この溶融状態のNi基溶融合金と、非溶融状態のCo基非溶融合金粉末及び実験材23の母材とが拡散反応により固着されて、溝24がろう付け補修される。この熱処理工程は、前述の如く、実験材23における天面25、左側面26、右側面27の全ての溝24にろう付け補修材28が装填され、且つこれらのろう付け補修材28の全てを金属箔29が保持した後に実施される。
この熱処理工程後の表面仕上げ工程(図3(E))では、実験材23の天面25、左側面26、右側面27から金属箔29を取り除き、これらの補修部分の表面を仕上げ加工する。この表面仕上げ加工後の状態を図4に示す。
この表面仕上げ加工後の実験材23における補修部分を断面観察したところ、実験材23の天面25、左側面26、右側面27のそれぞれに形成された模擬き裂である各溝24内において、図5に示すように、Co基非溶融合金粉末30と、溶融したNi基溶融合金31が、ボイド(隙間)を有することなく装填されていた。従って、補修部分の高温強度は、実験材23の非補修部分と同等レベルを示すものと推定される。
次に、実プラントで使用された静翼11(例えばガスタービン第1段静翼)を対象とした損傷補修手順について説明する。
この静翼11は、実験材23と同様に、表1に示す組成と同等の組成のCo基超合金にて構成されている。また、この静翼11には、長期間の使用によって、図6に示すように、翼部21、インナーサイドウォール19及びアウターサイドウォール20に異なる深さ方向に延びるき裂22が発生している。これらのき裂22を損傷補修手順によって補修する。
実プラントの静翼11に対する補修前処理工程では、補修すべきき裂22の表面に生成された酸化皮膜を、水素雰囲気中で熱処理を実施することで除去する。この酸化皮膜の除去によって、き裂22の表面とろう付け補修材28とのなじみ(接着)が良好になる。
この補修前処理工程の後に、前述の実験材23に対して実施した場合と同様に、全てのき裂22にろう付け補修材28を装填する補修材装填工程と、これら全てのろう付け補修材28の露出部分を金属箔29により覆って保持する補修材保持工程と、ろう付け補修材28のNi基溶融合金粉末及びCo基非溶融合金粉末と静翼11の母材とを拡散反応により固着してろう付け補修する熱処理工程と、金属箔29を取り除いて静翼11の表面を仕上げ加工する表面仕上げ工程と、を順次実施する。
上述の損傷補修手順によってき裂22が補修された補修部分を観察したところ、図7に示すように、静翼11のき裂22内において、Co基非溶融合金粉末30と、溶融したNi基溶融合金31とが、ボイド(隙間)を有することなく充填されていた。尚、金属箔29を設けないでき裂22を補修した場合には、図8に示すように、補修部分の断面において、Co基非溶融合金粉末30と溶融したNi基溶融合金31との間にボイド32が観察された。
次に、補修部分の高温強度を確認した。上述のようにして補修した静翼11の補修部分を含めて切り出し加工した第1試験片と、金属箔29を用いないで補修した静翼11の補修部分を含めて切り出し加工した第2試験片と、静翼11の母材から切り出し加工した第3試験片とを用いて、クリープ破断試験を実施した。この試験では、加熱温度が1000℃と500℃の場合について試験を行った。クリープ破断時間は、第2試験片が第3試験片よりも著しく低かったが、第1試験片が第3試験片と同程度であった。従って、高温強度は、第1試験片が第3試験片と同等であることが確認された。
以上のことから、本実施の形態によれば、次の効果(1)〜(3)を奏する。
(1)複雑な形状の静翼11の様々な箇所に生じた、深さ方向の異なる複数のき裂22内にろう付け補修材28を装填し、このろう付け補修材28を金属箔29により保持した後に、拡散熱処理を実施して複数のき裂22をろう付け補修する。このため、拡散熱処理において、溶融したろう付け補修材28(Ni基溶融合金)がき裂22内から流出することを金属箔29により防止できる。この結果、補修部分にボイド32がなく、従って補修部分を静翼11の母材と同等の高温強度に確保できるので、損傷を確実に補修できる。また、溶融したろう付け補修材28の流出が金属箔29により防止されるので、複数のき裂22を同時に補修でき、このため複数のき裂22の補修を迅速に実施できる。これらの結果、静翼11に生じた複数のき裂22を合理的に補修できる。
(2)静翼11に生じたき裂22がろう付け補修材28を用いてろう付け補修されるので、溶接による補修の場合に比べ、静翼11に補修による変形の発生を防止できる。
(3)静翼11に生じた複数のき裂22の全てにろう付け補修材28を装填し、且つこれらの全てのろう付け補修材28を金属箔29により保持した後に、この静翼11を、同様にしてろう付け補修材28を装填し金属箔29によりろう付け補修材28を保持した他の静翼11と共に真空熱処理炉に投入して、バッチ処理にて拡散熱処理を実施するので、効率的な補修を実現できる。
[B]第2の実施の形態(図10〜図12)
図10は、本発明に係る高温部品の損傷補修方法における第2の実施の形態であるガスタービン静翼の損傷補修方法を適用して、静翼に生じたき裂を補修する際の熱処理工程直前状態を示す静翼の断面図である。この第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる点は、保持部材の構成である。つまり、本実施の形態の保持部材は、アルミナまたはシリカを主成分とするセラミックス接着剤33が採用され、このセラミックス接着剤33がろう付け補修材28の露出部分を覆うことでこのろう付け補修材28を保持する。
このセラミックス接着剤33を保持部材として用いてき裂22を補修した場合にも、図11に示すように、補修後の静翼11内において、Co基非溶融合金粉末30と溶融したNi基溶融合金31とがボイド(隙間)を有することなく充填されていた。また、この補修された静翼11の補修部分を含めて切り出し加工した第4試験片と第3試験片とを用いてクリープ破断試験を実施したところ、図12に示すように、加熱温度が1000℃と500℃のいずれの場合においても、クリープ破断時間は第4試験片と第3試験片とで同程度であった。つまり、第4試験片の高温強度は第3試験片と同程度であった。
以上のことから、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の効果(1)〜(3)と同様な効果を奏するほか、次の効果(4)を奏する。
(4)セラミックス接着剤33はペースト状であり、更に熱処理工程終了後には材質強度が低下して剥離しやすくなるので、このセラミックス接着剤33を静翼11の表面に容易に固着できると共に除去できる。この結果、き裂22の補修の作業性を向上させることができる。
[C]第3の実施の形態(図13)
図13は、本発明に係る高温部品の損傷補修方法における第3の実施の形態であるガスタービン静翼の損傷補修方法を適用して、静翼に生じたき裂を補修する際の熱処理工程直前状態を示す静翼の断面図である。この第3の実施の形態において、前記第1及び第2の実施の形態と同様な部分については、同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
本実施の形態が前記第1及び第2の実施の形態と異なる点は、保持部材の構成である。つまり、本実施の形態の保持部材34は、金属箔29の上にセラミックス接着剤33を付着して積層させたものである。この場合、金属箔29は、第1の実施の形態の如く例えばスポット溶着などによって固着する必要はなく、積層されるセラミックス接着剤33によって静翼11の表面に固着される。
従って、本実施の形態においても、熱処理工程において、溶融したろう付け補修材28(つまり、溶融したNi基溶融合金)がき裂22内から流出することを保持部材34により防止できるので、前記第1及び第2の実施の形態の効果(1)〜(4)と同様な効果を奏する。
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本実施の形態において、ろう付け補修材28を装填する部位はき裂22だけではなく、酸化またはエロージョンによって様々な方向に窪んだ複数の減肉部であってもよい。
また、本実施の形態では、静翼11のき裂22または減肉部に対して補修する場合を述べたが、動翼12や燃焼器ライナ、トランジションピースなどに生じたき裂22または減肉部に対して補修してもよい。この場合、特に動翼12の場合には、この動翼12がNi基超合金にて構成されていることから、ろう付け補修材28はNi基溶融合金粉末のみが用いられる。
更に、本発明は、蒸気タービンやジェットエンジンなどのように、高温状態で運転されるエネルギー機関に対しても適用可能な補修方法である。
10 ガスタービン(エネルギー機関)
11 静翼(高温部品)
12 動翼(高温部品)
19 インナーサイドウォール
20 アウターサイドウォール
21 翼部
22 き裂(損傷)
28 ろう付け補修材
29 金属箔(保持部材)
30 Co基非溶融合金粉末
31 Ni基溶融合金
33 セラミックス接着剤(保持部材)
34 保持部材

Claims (5)

  1. 高温状態で運転されるエネルギー機関の高温部品に生じた複数の損傷を補修する高温部品の損傷補修方法であって、
    前記複数の損傷は、異なる深さ方向に延びる複数のき裂、または異なる方向に窪む複数の減肉部であり、
    前記高温部品の前記複数の損傷内にろう付け補修材を装填する補修材装填工程と、
    この装填された前記ろう付け補修材の露出部分を保持部材により覆って、このろう付け補修材を保持する補修材保持工程と、
    前記高温部品及び前記ろう付け補修材を拡散熱処理して、前記複数の損傷をろう付け補修する熱処理工程と、を有し、
    前記補修材保持工程で用いる前記保持部材が、金属箔またはセラミックス接着剤であることを特徴とする高温部品の損傷補修方法。
  2. 高温状態で運転されるエネルギー機関の高温部品に生じた複数の損傷を補修する高温部品の損傷補修方法であって、
    前記複数の損傷は、異なる深さ方向に延びる複数のき裂、または異なる方向に窪む複数の減肉部であり、
    前記高温部品の前記複数の損傷内にろう付け補修材を装填する補修材装填工程と、
    この装填された前記ろう付け補修材の露出部分を保持部材により覆って、このろう付け補修材を保持する補修材保持工程と、
    前記高温部品及び前記ろう付け補修材を拡散熱処理して、前記複数の損傷をろう付け補修する熱処理工程と、を有し、
    前記補修材保持工程で用いる前記保持部材が、金属箔にセラミックス接着剤を積層させたものであることを特徴とする高温部品の損傷補修方法。
  3. 前記熱処理工程は、高温部品における複数の損傷の全てにろう付け補修材を装填し、且つ保持部材により前記ろう付け補修材を保持した後に実施することを特徴とする請求項1または2に記載の高温部品の損傷補修方法。
  4. 前記高温部品が、ガスタービンの静翼または動翼であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高温部品の損傷補修方法。
  5. 高温状態で運転されるエネルギー機関の高温部品であって、請求項1乃至のいずれか1項に記載の損傷補修方法により損傷が補修されて構成されたことを特徴とする高温部品。
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