JPH1133529A - 廃棄物溶融炉の水砕スラグの分別方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水砕された溶融物の粒体固化物からメタル分
を効率良く除去し、高品質なスラグを安定して回収する
こと。 【解決手段】 廃棄物を直接溶融する溶融炉からの出滓
溶融物の処理において、スラグとメタルよりなる溶融物
を同時に水砕し、粒化した固化物をその粒径によって細
粒と粗粒の２段階に分別し、更に細粒の固化物のみを磁
選することによって、スラグの固化物を効率よく回収す
ることを特徴とする廃棄物溶融炉の水砕スラグの分別方
法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、一般ごみや産業廃
棄物を直接溶融する廃棄物溶融炉において、この溶融炉
から出滓された溶融物の処理方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、廃棄物溶融炉から排出される溶融
物の処理装置として、例えば、図２に示すものがある
（特開平８−１８７４８５）。これでは、溶融炉１の開
放された出滓口２の下方に、溶融物３を水砕固化すろ水
砕装置４が設置されている。水砕装置４内に堆積した固
化物５を水中からかき上げた後、スラグの固化物６とメ
タルの固化物７に分離するための、回転ドラム式磁選機
８が接続されている。

【０００３】溶融炉１から常時出滓された溶融物３は、
水砕装置４中の水９中に落下する。水９中で急冷されて
細粒化した固化物５は、水中からかき出ずために設置さ
れたコンベア１０上に沈降し、その下流に設置された回
転ドラム式磁選機８に供給される。メタルの固化物７は
磁性を示すため、ドラム１１内に装備された永久磁石１
２に吸引されてドラム表面１３に吸着すると共に、非磁
性のスラグの固化物６は比較的高速で回転するドラム１
１の遠心力によって飛ばされる。また、回転ドラム式磁
選機８のドラム表面１３に吸着されたメタルの固化物７
は、ドラム表面１３に近接して設置されたスクレーパ１
４によつてドラム表面から掻き取られる。こうした一連
のプロセスによって、スラグの固化物６とメタルの固化
物７に分別され、スラグの固化物６は路盤材や骨材など
に再利用される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ここで、実際に水砕し
た溶融物を観察してみると、メタルの固化物はスラグの
固化物に比して粒径の大きいものが多い。粒径の大きい
メタルの固化物は他に比して磁選機に強く吸着され、磁
選機のドラム表面を覆ってしまう。それゆえ、粒径の小
さいメタル分は十分な吸引力が得られず、高速で回転す
るドラムの遠心力によって磁選機から振るい落とされて
しまう。ドラムに吸着しない固化物は、再利用を目的と
して回収されるスラグに不純物として混入する結果とな
り、これを回避するためには、吸着面が広い磁選機を導
入するか、ドラムの回転数を遅くして遠心力を低下させ
る必要がある。しかし、これによって装置の大型化もし
くは処理能力の低下は免れない。

【０００５】本発明は、上記の従来技術の問題点に鑑み
てなされたもので、水砕された粒体固化物からメタル分
を効率良く除去し、高品質なスラグを安定して回収する
ための方法および設備を提供する事を課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、廃棄
物を直接溶融する溶融炉からの出滓溶融物の処理におい
て、スラグとメタルよりなる溶融物を同時に水砕し、粒
化した固化物をその粒径によって細粒と粗粒の２段階に
分別し、更に細粒の固化物のみを磁選することによっ
て、スラグの固化物を効率よく回収することを特徴とす
る廃棄物溶融炉の水砕スラグの分別方法である。

【０００７】また、請求項２の発明は、廃棄物を直接溶
融する溶融炉からの出滓溶融物の処理において、廃棄物
の溶融炉の出滓口の下方に設置した水砕装置と、水中か
ら掻き出された固化物を粒径によって細粒、粗粒の２段
階に分別する粒径選別機と、その後段に設置された磁選
機とによって構成される廃棄物溶融炉の溶融物の水砕ス
ラグの分別装置である。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明では、水砕された固化物の
うち、メタル分の多くは粒径の大きい粒として固化し、
一方スラグは細粒化の度合いが高く、強度的にもろい事
もあって粒径の小さい粒となるという知見に基づいてな
されたものである。

【０００９】以下に本発明の実施の形態の一例を図１に
より説明する。廃棄物の溶融炉１の下方に常時開放され
た出滓口２から、連続的に出滓された溶融物３は、水砕
装置４の水９中に落下する。溶融物３は水中で急冷さ
れ、粒化した固化物５となる。

【００１０】固化物５は、沈降し、固形物を連続的に搬
出するコンベア１０上に落下して、水９中からかき出さ
れる。搬出された固化物５は、その下流にある粒径選別
機１５例えば振動篩やトロンメル型回転篩などで、細粒
と粗粒の２種類に選別される。このとき、粒径選別機中
の篩１６の振動や回転によって、強度的にもろいスラグ
の固形物７は更に細粒化が進み、結果として篩１６を通
過する。

【００１１】固形物の粒径は、溶融対象の廃棄物の質、
溶融炉の運転条件、および水砕の条件によって異なる。
このため粒径分別の境界粒径は、例えば１〜１０ｍｍの
間でこれらの条件を加味して設定する。篩１６を通過で
きない固形物は、粒径の大きいメタルの粒１８であるの
で、通路１７を通ってメタル用受け容器１９に収納され
る。

【００１２】篩１６を通過した固形物中には、スラグの
固形物６と水砕の段階で細粒となったメ夕ルの固形物７
が共に含まれていろ。メタルの固形物７は磁性体である
ので、篩１６の後段に設置した磁選機８によって最終的
に分別される。磁選機８には、ここで図示した回転ドラ
ム型以外にも、コンベア型や他の公知の物を用いる事が
できる。磁選機８によって分別された固形物は、それぞ
れメタル用受け容器１９、スラグ用受け容器２Ｏに収納
される。

【００１３】（実施例）図１は本発明の１実施例であ
る。溶融炉１の下方に常時開放された出滓口２から、連
続的に出滓された溶融物３は、水砕装置４の水９中に落
下する。溶融物３は水中で急冷され、細粒化した固化物
５になろ。固化物５は、水中からかき出すために設置さ
れたコンベア１０上に沈降し、その下流にある粒径選別
機である振動篩１５で細粒と粗粒の２段階に分けられ
る。

【００１４】また、投入前には粗粒の固形物５であって
も、強度的にもろいスラグであれば、振動で割れや欠け
が生じて細粒化が進み、結果的に篩１６を通過する。固
形物の粒径は、溶融対象の廃棄物の質、溶融炉の運転条
件、および水砕の条件によって異なるため、粒径分別の
境界粒径は１〜１０ｍｍの範囲でこれらの条件を加味し
て設定する。篩１６を通過できない粗粒のメタル固形物
１８は、この段階で通路１７を経てメタル用受け１８容
器に収納される。

【００１５】篩１６を通過した固形物中には、スラグの
固形物６と細粒のメタルの固形物７が共に含まれてお
り、篩１６の後段に設置したドラム回転型磁選機８によ
って最終的な分別を行なう。ドラム回転型磁選機８は、
軸２０を中心として回転可能なドラム１１と、ドラムの
内部に装備された永久磁石１２と、粒体の固形物５をド
ラム１１に供給するフィーダ２１と、ドラム１１に近接
して設置されたスクレー．パ１４で構成される。フィー
ダ２１によってドラム表面１３に供給された固形物のう
ち、ドラム１１内の永久磁石１２に吸着されない非磁性
のスラグ分は、ドラム１１の回転に伴う遠心力によって
飛ばされ、スラグ用受け容器２Ｏに回収される。一方、
磁性体であろメタルの固形物７はドラム１３表面に吸着
され、さらにスクレーパ１４によってドラム表面１３か
ら引き剥がされ、その下方に設置されたスラグ用受け容
器１９に収納される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の一例の例の説明図。

【図２】従来の溶融物の処理装置の説明図。

【符号の説明】

１…溶融炉、２…出滓口、３…溶融物、４…水砕装置、
６…スラグ、７…メタル、１２…磁選機、１５…振動篩
（粒径選別機）、１６…篩、１８…メタル（粒径大）。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 直 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 廃棄物を直接溶融する溶融炉からの出滓
   溶融物の処理において、スラグとメタルよりなる溶融物
   を同時に水砕し、粒化した固化物をその粒径によって細
   粒と粗粒の２段階に分別し、更に細粒の固化物のみを磁
   選することによって、スラグの固化物を効率よく回収す
   ることを特徴とする廃棄物溶融炉の水砕スラグの分別方
   法。
2. 【請求項２】 廃棄物を直接溶融する溶融炉からの出滓
   溶融物の処理において、廃棄物の溶融炉の出滓口の下方
   に設置した水砕装置と、水中から掻き出された固化物を
   粒径によって細粒、粗粒の２段階に分別する粒径選別機
   と、その後段に設置された磁選機とによって構成される
   廃棄物溶融炉の溶融物の水砕スラグの分別装置。