JPH0647315A - キッシュ・グラファイトの選鉱方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 磨鉱装置の磨鉱効率を良くして操業費を安く
すると共に、選鉱設備に係る初期投資費を安くする。 【構成】 第１工程１０に、湿式原料篩１２で篩分けら
れた篩下を磁着物であるキッシュ・グラファイトと非磁
着物とに選鉱する磁力選鉱機１３を配備し、キッシュ・
グラファイトを第２工程２０の湿式磁着物篩２１に送
り、これを磨鉱装置２２に供給して湿式磁着物篩２１に
還流させ、湿式磁着物篩２１の篩下を第３工程３０の磁
着物浮遊選鉱機３２に送る一方、前記非磁着物を湿式非
磁着物篩１４を介して第３工程３０の非磁着物浮遊選鉱
機３１に送って、それぞれ沈鉱とグラファイトとに選鉱
することにより、１台の磁力選鉱機１３に磨鉱を必要と
するキッシュ・グラファイトだけを送るのでその操業費
を安くし得、また少ない台数の機器・装置で良いため初
期投資費も安くすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、キッシュ・グラファイ
トの選鉱方法に係り、特に、キッシュ・グラファイトを
回収する最終工程である浮遊選鉱機に供する原料を、事
前に磁力選鉱することにより、磨鉱効率を向上させ、し
かも選鉱設備費の削減を可能ならしめるようにしたキッ
シュ・グラファイトの選鉱方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】捕集ダストを選鉱して高品位の鱗片状黒
鉛と、セメント原料や廃棄物とに分離する選鉱方法は、
例えば特開昭５８−２２３６１０号公報にて開示されて
いる。以下、この捕集ダスト選鉱方法の概要を、その選
鉱工程を示すフロー図の図２を参照しながら説明する
と、この捕集ダスト選鉱工程は、後述する構成になる第
１工程１０と第２工程２０とに大きく分けられるが、同
図から良く理解されるように、３段階の磨鉱工程１１，
１３，２１の後に、それぞれ浮遊選鉱工程１２，１４，
２２が配備されてなるものである。

【０００３】より詳細には、第１工程１０は、粒径の大
きな捕集ダストＤL を篩分けし、これを第１段磨鉱工程
１１に送った後、磨鉱されたものを分級して一部を系外
へ排出し、他の一部を再び第１段磨鉱工程１１に戻す。

【０００４】一方、分級されたものと小粒径の捕集ダス
トＤS とを共に粗選鉱工程１２に送って粗選鉱して、浮
遊物である浮鉱と沈鉱とに分け、浮鉱は第２段磨鉱工程
１３を経て中選鉱工程１４に送り、中選鉱したものを浮
鉱と沈鉱とに分け、この中選鉱後の浮鉱を後述する第２
工程２０に送る一方、中選鉱後の沈鉱を粗選鉱前の工程
に戻すと共に、前記粗選鉱後の沈鉱を脱水して脱水ケー
キを造り、これをセメント原料に活用するか、あるいは
廃棄するようにしている。

【０００５】次に、第２工程２０では、中選鉱後の浮鉱
をさらに第３段磨鉱工程２１に送り、磨鉱されたものを
ｐＨ調整した後に精選鉱工程２２に送り精選鉱すると共
に浮鉱と沈鉱とに分け、精選鉱後の浮鉱を高品位鱗片黒
鉛として回収する一方、精選鉱後の沈鉱を粗選鉱前の工
程に戻すような工程になっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術で
は、磨鉱工程が３段配備されており、特に第１工程の第
１段磨鉱工程に対しては、磨鉱を必要とするもの、磨鉱
を必要としないものの如何を問わず送られる構成になっ
ている。

【０００７】周知のように、種々の形式の磨鉱装置が知
られているが、何れの形式の磨鉱装置にあっても高駆動
エネルギーを必要とするために磨鉱費が嵩むので操業費
に関して不利になる他、上記説明から良く理解されるよ
うに、その選鉱工程が極めて複雑で機器・設備費に係る
初期投資費に関しても経済的に不利になるという解決す
べき課題があった。

【０００８】従って、本発明の目的とするところは、主
としてキッシュ・グラファイトを磨鉱装置に送ることに
よりキッシュ・グラファイトの磨鉱効率を向上させると
共に、選鉱工程の簡略化を可能ならしめるキッシュ・グ
ラファイトの選鉱方法を提供するにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記実情に鑑
みてなされたものであって、従って本発明に係るキッシ
ュ・グラファイトの選鉱方法の要旨は、原料ホッパーか
ら定量づつ切出されるキッシュ・グラファイトが混入し
ているスラグ、ダスト等の原料を、湿式原料篩で篩い分
けて篩上のものを粗粒として系外へ排出し、篩下を磁力
選鉱機で磁選鉱して磁着物を湿式磁着物篩に送る一方、
非磁着物を湿式非磁着物篩で篩い分けて篩上を粗粒とし
て系外へ排出すると共に、篩下を非磁着物浮遊選鉱機に
送る第１工程と、前記湿式磁着物篩で篩い分けられた篩
上を磨鉱装置で磨鉱し、それを湿式磨鉱物篩で篩分けて
篩下を湿式磁着物篩に還流させると共に、該湿式磁着物
篩の篩下を磁着物浮遊選鉱機に送る第２工程と、両浮遊
選鉱機で非磁性沈鉱と磁性沈鉱とをそれぞれ沈鉱させる
一方、浮遊物をグラファイトスラリーとして回収する第
３工程とからなることを特徴とする。

【００１０】

【作用】キッシュ・グラファイトには、その生成過程に
おいて磁性物質である鉄が混入するので、これを磁力に
より選別することができる。そのため、本発明に係るキ
ッシュ・グラファイトの選鉱方法によれば、原料ホッパ
ーから定量づつ切出されるキッシュ・グラファイトが混
入しているスラグ、ダスト等の原料は、湿式原料篩で篩
い分けられ、篩上は粗粒として系外へ排出されるが、篩
下は第１工程の磁力選鉱機で選鉱され、選鉱された磁着
物が第２工程の湿式磁着物篩により篩分けられ、篩上の
ものだけが磨鉱装置に送られるので、１台の磨鉱装置で
効果的に磨鉱を必要とするキッシュ・グラファイトを磨
鉱することができる。

【００１１】そして、第１工程の磁力選鉱機で選鉱され
なかった非磁着物は湿式非磁着物篩で篩い分けられて、
篩上が粗粒として系外へ排出されると共に篩下が第３工
程の非磁着物浮遊選鉱機により非磁性沈鉱とグラファイ
トスラリーとに、また前記第２工程の湿式磁着物篩の篩
下が第３工程の磁着物浮遊選鉱機により磁性沈鉱とグラ
ファイトスラリーとにそれぞれ浮遊選鉱される。

【００１２】

【実施例】以下、本発明のキッシュ・グラファイトの選
鉱方法を実現する工程に係る実施例を、その選鉱工程を
示すフロー図の図１を参照しながら説明すると、これ
は、同図から良く理解されるように、非磁性物と磁性物
とを磁選鉱する第１工程１０と、磁性物を磨鉱する第２
工程２０と、非磁性物と磁性物とを浮遊選鉱する第３工
程３０とからなっている。

【００１３】より詳細には、第１工程１０では、原料ホ
ッパー１１から定量づつ切出されるキッシュ・グラファ
イトが混入しているスラグ、ダスト等の原料Ｗが、３０
ｍｍの篩目を有する湿式原料篩１２により篩い分けら
れ、篩上のものが粗粒ＧL として系外へ排出される。

【００１４】そして、篩下が６００〜８００ガウス程度
の磁力を有する磁力選鉱機１３により磁選鉱されて磁着
物が後述する第２工程２０の１ｍｍの篩目を有する湿式
磁着物篩２１に送られる一方、非磁着物が３ｍｍの篩目
を有する湿式非磁着物篩１４で篩い分けられて篩上が粗
粒ＧL として系外へ排出されると共に、篩下が後述する
第３工程３０の非磁着物浮遊選鉱機３１に送られる。

【００１５】次に、第２工程２０では、前記湿式磁着物
篩２１で篩い分けられた篩上が、周知の構成になる磨鉱
装置２２に送られて磨鉱され、次いで、１ｍｍの篩目を
有する湿式磨鉱物篩２３により篩分けられた篩下が前記
湿式磁着物篩２１に還流されると共に、湿式磁着物篩２
１の篩下が後述する第３工程３０の磁着物浮遊選鉱機３
２に送られる。

【００１６】さらに、第３工程３０では、両浮遊選鉱機
３１，３２により非磁性沈鉱３３と磁性沈鉱３４とがそ
れぞれ沈鉱される一方、浮遊物はグラファイトスラリー
３５として回収され、回収されたグラファイトスラリー
３５は、これを処理する後工程に送られるようになって
いる。

【００１７】なお、上記第１，２工程１０，２０におい
てそれぞれ湿式篩１２，１４，２１，２３を用いるよう
にしたのは、粗粒に付着しているグラファイトやキッシ
ュ・グラファイト等を洗落とすと共に、それらの大気中
への飛散を防止することにより、作業環境を良好に維持
するためである。

【００１８】以下、上記キッシュ・グラファイトの選鉱
工程の作用態様を説明すると、先ず第１工程１０におい
て、原料ホッパー１１から定量づつ切り出された原料Ｗ
は、湿式原料篩１２に供給されて原料塊に付着している
グラファイトやキッシュ・グラファイト等が洗落とされ
ると共に、粒径３０ｍｍ以上と未満とに篩分けされ、粒
径が３０ｍｍ以上の篩上の粗粒ＧL は系外へ排出される
一方、篩下は磁力選鉱機１３に送られる。

【００１９】周知のように、キッシュ・グラファイトの
多くは磁性物である鉄と結合しているので、磁着物であ
るキッシュ・グラファイトが磁力選鉱機１３に吸引され
て非磁着物と分離され、キッシュ・グラファイトは第２
工程２０の湿式磁着物篩２１に送られ、また非磁着物は
この第１工程１０の最終工程の湿式非磁着物篩１４に送
られ、ここにおいて粒径３ｍｍ以上と未満とに篩分けさ
れ、粒径が３ｍｍ以上の篩上の粗粒ＧL は系外へ排出さ
れる一方、篩下は第３工程３０の非磁着物選鉱機３１に
送られる。

【００２０】次に、第２工程２０において、磁力選鉱機
１３により選鉱されたキッシュ・グラファイトは、湿式
磁着物篩２１で粒径１ｍｍ以上と未満とに篩分けされ、
粒径が１ｍｍ以上の篩上は磨鉱装置２２に送られて磨鉱
され、鉄とグラファイトとに分離された後に湿式磨鉱物
篩２３に送られ、その篩下が湿式磁着物篩２１に還流さ
れると共に、この湿式磁着物篩２１による篩下は第３工
程３０の磁着物選鉱機３２に送られる。従来のように、
全てが磨鉱装置に供給されるのではなく、磨鉱を必要と
するものだけが磨鉱装置２２に供給されるので、磨鉱効
率が大幅に向上することとなる。

【００２１】さらに、第３工程３０において、非磁着物
は非磁着物選鉱機３１により非磁性沈鉱と浮遊物である
高純度のグラファイトとに分離され、また磨鉱物は磁着
物選鉱機３２により鉄等の磁性沈鉱と浮遊物である高純
度のグラファイトとに分離され、両選鉱機３１，３２に
より分離された高純度のグラファイトはグラファイトス
ラリー３５として回収されると共に次処理工程に送られ
る一方、非磁性沈鉱や磁性沈鉱はそれぞれ有効活用ある
いは廃棄処分される。

【００２２】このように、磨鉱装置２２には磨鉱を必要
とするものだけが供給されるのでその駆動エネルギーが
従来と同様であっても磨鉱効率の向上による操業費の削
減があり、しかも従来の場合と比較して選鉱工程を構成
する機器・装置の配備数が少なくて済み、初期の設備投
資費の削減も可能になる。

【００２３】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係るキッ
シュ・グラファイトの選鉱方法によれば、現存する磨鉱
装置は何れの形式の場合も高駆動エネルギーを消費する
が、この選鉱工程に配備される磨鉱装置は１台であっ
て、しかもこの磨鉱装置には磨鉱を必要とする原料のみ
が供給されて磨鉱効率を高めることができるので、その
操業費を削減することができ、また従来の工程の粗選，
中選と同等の処理ができるのに加えて、この選鉱工程に
配備される機器・装置の数量が少なくて良く初期設備投
資を削減することができるので、操業費の削減と設備投
資費の削減とに対して極めて多大な効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係るキッシュ・グラファイト
の選鉱方法を実現する選鉱工程を示すフロー図である。

【図２】従来例に係る捕集ダストの選鉱方法の選鉱工程
を示すフロー図である。

【符号の説明】 １０…第１工程、１１…原料ホッパー、１２…湿式原料
篩、１３…磁力選鉱機、１４…湿式非磁着物篩 ２０…第２工程、２１…湿式磁着物篩、２２…磨鉱装
置、２３…湿式磨鉱物篩 ３０…第３工程、３１…非磁性物浮遊選鉱機、３２…磁
性物浮遊選鉱機、３３…非磁性沈鉱、３４…磁性沈鉱、
３５…グラファイトスラリー ＧL …粗粒 Ｗ…原料

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 原料ホッパーから定量づつ切出されるキ
   ッシュ・グラファイトが混入しているスラグ、ダスト等
   の原料を、湿式原料篩で篩い分けて篩上のものを粗粒と
   して系外へ排出し、篩下を磁力選鉱機で磁選鉱して磁着
   物を湿式磁着物篩に送る一方、非磁着物を湿式非磁着物
   篩で篩い分けて篩上を粗粒として系外へ排出すると共
   に、篩下を非磁着物浮遊選鉱機に送る第１工程と、前記
   湿式磁着物篩で篩い分けられた篩上を磨鉱装置で磨鉱
   し、それを湿式磨鉱物篩で篩分けて篩下を湿式磁着物篩
   に還流させると共に、該湿式磁着物篩の篩下を磁着物浮
   遊選鉱機に送る第２工程と、両浮遊選鉱機で非磁性沈鉱
   と磁性沈鉱とをそれぞれ沈鉱させる一方、浮遊物をグラ
   ファイトスラリーとして回収する第３工程とからなるこ
   とを特徴とするキッシュ・グラファイトの選鉱方法。