JPH11333455A - 金属イオンを含む水の処理方法および排水の浄化方法 - Google Patents

金属イオンを含む水の処理方法および排水の浄化方法

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JPH11333455A
JPH11333455A JP14491598A JP14491598A JPH11333455A JP H11333455 A JPH11333455 A JP H11333455A JP 14491598 A JP14491598 A JP 14491598A JP 14491598 A JP14491598 A JP 14491598A JP H11333455 A JPH11333455 A JP H11333455A
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JP
Japan
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water
metal ions
treatment
wastewater
soluble polymer
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JP14491598A
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English (en)
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Junichi Miyake
純一 三宅
Yusuke Shioda
祐介 塩田
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水中の金属イオンを効率よく除去する方法を
提供する。特に重金属類等を含む排水から簡便な操作に
より重金属類等を効率よく除去し、引続き浄化処理を行
って排水を浄化する方法を提供する。 【解決手段】 金属イオンを含む水に水溶性ポリマーを
添加して金属イオンを実質的に折出させることなく捕捉
せしめた後、分離膜によりろ過する。また、引続き金属
イオンを含まない透過液と金属イオン捕捉水溶性ポリマ
ーを含む濃縮液とに分離し、得られる透過液を湿式酸化
処理などにより浄化処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属イオンを含む
水の処理方法および排水の浄化方法に関する。詳しく
は、本発明は、金属イオンを含む水から金属イオンを除
去する方法、代表的には化学プラント設備などから排出
される重金属類などの金属イオンを含む排水から金属イ
オンを除去する方法、および金属イオンを含む排水を、
この金属イオンを除去した後、浄化処理する排水の浄化
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】排水中のCOD成分および/または窒素
成分を処理する浄化方法は種々あるが、排水中に重金属
類、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム(以
下、これらを総称して「重金属類等」という場合もあ
る)が含まれている場合、以下のような問題がある。す
なわち、オゾン酸化処理法の場合は、オゾンによって重
金属類等が酸化されスケールを生成することがある。生
物処理法の場合は、排水中に重金属類等(特に重金属
類)が含まれると、生物に悪影響を与え、活性を低下さ
せることがある。アンモニアストリッピング法の場合
は、重金属類等がスケールを生成することがある。湿式
酸化処理法および湿式還元処理法の場合には、処理に際
して排水を加熱するため、スケールを生成することが多
く、特に固体触媒を用いたときには重金属類等が固体触
媒に悪影響を与えることが多い。
【0003】重金属類等を含有する排水から重金属類等
を除去する方法としては、(1)排水のpHを調整する
ことにより、重金属類等を不溶性の塩として析出させた
後、沈殿分離、浮上分離またはろ過分離などの固液分離
を行うことにより除去する方法、(2)排水に凝集剤な
どの添加剤を添加し、重金属類等を不溶化凝集した後に
固液分離することにより除去する方法(特開平10−1
5551号公報、特開平1−104392号公報な
ど)、(3)イオン交換樹脂などを用いて吸着により除
去する方法、(4)排水を湿式酸化、オゾン酸化、過酸
化水素による酸化、次亜塩素酸による酸化、電気的手法
による酸化などで酸化処理し、重金属類等を不溶化させ
た後、固液分離することにより除去する方法などが実施
もしくは提案されている。また、これら以外のスケール
対策法としては、(5)装置などシステムを改良し、ス
ケールを付着し難くする方法、(6)付着したスケール
を洗浄剤などを使用し取り除く方法、(7)発電所から
排出される排水を蒸発濃縮させる際のスケール生成を防
止するため水溶性高分子を添加する方法(特開平9−1
36078号公報)などが実施もしくは提案されてい
る。
【0004】しかし、上記の諸方法を用いた場合は、以
下のような問題があり、いずれの方法もそれらに対する
改善の必要性があった。(1)排水のpHを調整するこ
とにより、重金属類等を不溶性の塩として析出させる方
法では、重金属類等の種類によっては十分な効果が得ら
れない場合がある。また、重金属類等が複数存在する場
合にはそれらの溶解度積や濃度などが大きく影響し、ま
た重金属類等ごとに適切なpHが異なるため、pHの制
御が困難であることが多い。また、排水中に混在する有
機物の種類によっては、この方法では十分な効果が得ら
れない場合がある。また、後段で別の処理を行う際に、
pHを再調整しなければならなくなる場合もある。
(2)排水中に添加剤を添加しスケールを生成し難くす
る方法では、添加剤は一般に高価なものが多く、かつ添
加後に凝集沈殿などの工程が必要となる。また、重金属
類等を固形分として析出させるため、処理しなければな
らない固形分の量が増加するという問題もある。この方
法は、一般的に重金属類等の濃度が高い場合には有効で
あるが、低濃度の場合には処理コストが割高になること
が多い。(3)イオン交換樹脂などを用いて吸着により
除去する方法では、排水の塩濃度が高い場合あるいは排
水中にキレート作用を持つ物質が含有されている場合に
は、イオン交換が阻害され、重金属類等を十分に除去で
きないことが多い。また、イオン交換樹脂は定期的に再
生する必要があり、連続的に使用するためには複数のイ
オン交換樹脂充填塔を用意しなければならず、装置コス
トが高価になる場合が多い。(4)排水を湿式酸化、オ
ゾン酸化、過酸化水素による酸化、次亜塩素酸による酸
化、電気的手法による酸化などで酸化処理し、重金属類
等を不溶化させて固液分離することにより除去する方法
では、処理コストが高くなる場合が多い。(5)装置な
どシステムを改良し、スケールを付着し難くする方法で
は、スケール除去が不十分であることが多いとともに改
良に費用がかかる場合が多い。(6)付着したスケール
を洗浄剤などを使用し取り除く方法では、連続的に処理
することができないことが多く、またスケールを完全に
除去できない場合が多い。このため、排水処理の効率が
低下するなどの問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のとおり、スケー
ル生成の原因となる重金属類等を含む排水から重金属類
等を除去する従来の方法は種々の問題があって、工業的
実施には未だ満足できるものではなかった。かくして、
本発明は、これら従来技術の問題を解決し、簡便な操作
により効率よく重金属類等を除去することができる、実
用性および経済性において優れた重金属類等の除去方
法、および重金属類等を含む排水から重金属類等を除去
した後、浄化処理する排水の浄化方法を提供しようとす
るものである。
【0006】本発明の目的の一つは、金属イオンを含む
水、代表的にはスケール生成の原因となる重金属類等の
イオンを含む排水を処理して、これら金属イオンを効率
よく除去する方法を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、重金属類等のイオン
を含む排水を浄化処理するに当り、スケール生成の原因
となる重金属類等のイオンを予め効率よく除去してスケ
ール生成を防止した排水の浄化方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らの研究によれ
ば、重金属類等の金属イオンを含む排水に、金属イオン
を捕捉し得る機能を有する水溶性ポリマーを添加して、
金属イオンを捕捉させた後、この金属イオンを捕捉した
水溶性ポリマーを限外ろ過膜などの分離膜を用いてろ過
することにより金属イオンを効率よく分離できることを
わかった。本発明はこのような知見に基づいて完成され
たものである。
【0009】すなわち、本発明は、金属イオンを含む水
に水溶性ポリマーを添加して金属イオンを実質的に折出
させることなく捕捉せしめた後、分離膜によりろ過して
水中の金属イオンを除去することを特徴とする金属イオ
ンを含む水の処理方法である。
【0010】また、本発明は、金属イオンを含む排水に
水溶性ポリマーを添加して金属イオンを実質的に折出さ
せることなく捕捉せしめた後、分離膜によりろ過して、
金属イオンを実質的に含まない透過液と金属イオン捕捉
水溶性ポリマーを含む濃縮液とに分離し、次いで該透過
液を浄化処理することを特徴とする金属イオンを含む排
水の浄化方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の処理方法は、金属イオン
を含む水から金属イオンを除去する方法である。その態
様の一つは、重金属類、カルシウム、マグネシウム、ア
ルミニウムなどのうちの少なくとも1種の金属のイオン
を含む、例えばこれら金属によって汚染された地下水な
どから金属イオンを除去する方法である。
【0012】他の態様は、化学プラント設備、メッキ工
業設備、皮革製造設備、金属工業設備、金属鉱業設備、
食品製造設備、医薬品製造設備、繊維工業設備、紙パル
プ工業設備、染色染料工業設備、電子工業設備、機械工
業設備、印刷製版設備、ガラス製造設備、屎尿処理設
備、下水処理設備、発電設備などから排出される金属イ
オン、代表的には重金属類、カルシウム、マグネシウム
およびアルミニウムのうちの少なくとも1種の金属のイ
オンを含む排水を浄化処理するに当り、これら金属イオ
ンを除去する排水の処理であって、排水の浄化処理の際
のスケールの生成を防止するための予備処理でもある。
【0013】図1は、本発明の処理方法の一実施態様を
示した説明図である。金属イオンを含む水として排水を
例に挙げて説明するに、金属イオンを含む排水をライン
1から、また水溶性ポリマーをライン2から混合タンク
3に導入し、ここで両者を緊密に接触させて金属イオン
を水溶性ポリマーに捕捉させ、次いでこれら混合物をポ
ンプ4により、水溶性ポリマーを透過しない分離膜を備
えた分離装置5に導入し、ここで実質的に金属イオンを
含まない透過液と金属イオン捕捉水溶液ポリマーを含む
濃縮液とに分離する。そして、濃縮液はライン8により
混合タンク3に戻し、透過液はライン6から処理水タン
ク7に導入する。このような処理によって、実質的に金
属イオンを含まない排水を透過液として得ることができ
る。
【0014】図1に示す態様において、本発明の効果を
損なわない範囲において、種々の変更を行ってもよいこ
とはいうまでもない。例えば、混合タンク3を設けるこ
となく、水溶性ポリマーや分離装置5からの濃縮液をラ
イン1の排水中に直接導入し、これら混合物を分離装置
5に供給してもよい。また、後記のように、水溶性ポリ
マーの添加位置を変更してもよい。
【0015】重金属類の代表例としては、カドミウム、
ニッケル、コバルト、マンガン、銅、亜鉛、銀、鉄、ク
ロム、錫、鉛、水銀、ビスマス、ストロンチウム、バリ
ウムなどを挙げることができる。これらのなかでも、ニ
ッケル、コバルト、鉄、銅、亜鉛およびマンガンを効果
的に除去することができる。
【0016】排水中の金属の濃度については、特に制限
はなく、通常、金属の合計濃度が1mg/リットル以上
の排水が処理の対象となる。金属の合計濃度が1mg/
リットルより低い排水の場合、その浄化処理の際にスケ
ール生成の問題が生じることは少ない。本発明の処理方
法は、金属の合計濃度が3〜500mg/リットル、特
に5〜100mg/リットルの排水の予備処理に好適に
用いられる。
【0017】水溶性ポリマーとしては、金属イオンをキ
レート結合などによって捕捉することができ、かつ分離
膜でろ過して分離し得るものであれば、いずれも使用す
ることができる。通常、カルボン酸およびそのアルカリ
金属塩、スルホン酸およびそのアルカリ金属塩などの官
能基を有するアニオン性水溶性ポリマー、一級、二級、
三級アミノ基や四級アンモニウム塩の形態で窒素含有基
を有するカチオン性水溶性ポリマー、およびポリアクリ
ルアミドなどのノニオン性水溶性ポリマーや、両性水溶
性ポリマーなどが用いられる。
【0018】上記アニオン性水溶性ポリマーの代表例と
しては、アクリル酸重合体、アクリル酸系共重合体、例
えばアクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸/ス
ルホン酸基含有モノマー共重合体、およびそれらのアル
カリ金属(ナトリウム、カリウムなど)塩、並びにポリ
アクリルアミド部分加水分解物などを挙げることができ
る。また、上記カチオン性水溶性ポリマーの代表例とし
ては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート
(共)重合体、エチレンイミン(共)重合体などのほか
に、キトサンなどを挙げることができる。また、上記ノ
ニオン性水溶性ポリマーの代表例としては、アクリルア
ミド(共)重合体、エチレンオキシド(共)重合体、ビ
ニルアルコール(共)重合体、尿素−ホルマリン共重合
体などを挙げることができる。これら水溶性ポリマー
は、必要に応じて、2種以上を混合して使用することも
できる。なお、(共)重合体とは、例えばアルキルアミ
ド(共)重合体の場合、アクリルアミド単独重合体およ
びアクリルアミドと共重合可能な単量体との共重合体を
意味する。
【0019】通常は、アニオン性水溶性ポリマーが用い
られるが、金属イオンが陰イオンの場合には、カチオン
性水溶性ポリマーが用いられる。また、排水中の金属イ
オンを低分子有機化合物と結合させ、さらにこの低分子
有機化合物を上記の水溶性ポリマー捕捉することができ
る。上記低分子有機化合物の代表例としては、EDTA
やトリエタノールアミン、シュウ酸、クエン酸、各種の
アニオン性またはカチオン性界面活性剤などを挙げるこ
とができる。また同様に、排水中の金属イオンを比較的
低分子量の水溶性ポリマーで捕捉し、さらに他の水溶性
ポリマーでこの低分子量のポリマーを捕捉することもで
きる。
【0020】水溶性ポリマーの平均分子量は、水溶性ポ
リマーと排水とを混合したとき固形分として析出しない
限り、分離膜の分離機能に応じて、適宜決定することが
できる。つまり、使用する分離膜によって分離し得る大
きさであって、かつ排水と混合し金属イオンを捕捉せし
めたときに固形分として析出しない程度の平均分子量を
有する水溶性ポリマーを選択すればよい。具体的には、
3,000〜1,000,000、好ましくは5,00
0〜500,000の範囲の水溶性ポリマーを用いるの
がよい。平均分子量が1,000,000を超える水溶
性ポリマーの場合、金属イオンを捕捉すると析出し易く
なり、分離膜の透過流速減少を起こすことがある。一
方、平均分子量が3,000より小さい場合、このよう
な低分子量水溶性ポリマーを分離できる分離膜は水溶性
ポリマー以外の成分も分離することになるので、分離膜
の透過流速減少が起こり易くなる。
【0021】水溶性ポリマーの使用量については、排水
中の金属イオンを捕捉するに十分な量を用いるのがよ
い。通常、排水中のすべての金属を完全に捕捉するに必
要な量の1〜20倍の量で使用すればよい。特に、2〜
10倍、好ましくは3〜5倍の量で使用するのがよい。
ここでいう金属を完全に捕捉するに必要な量とは、使用
する水溶性ポリマーがアニオン性である場合、アニオン
性官能基の総原子価数が排水中の金属イオンの総原子価
数と等しくなる量を指す。水溶性ポリマーの使用量が少
なすぎると、捕捉されなかった金属イオンが分離膜を透
過し、透過液中の金属の濃度が増加して、その後の浄化
工程でスケールを生成させる原因となる。しかし、透過
液中の金属の濃度が、その後の浄化工程において、スケ
ールの生成を起こさない程度のものであれば、透過液中
に金属が混入していてもよい。本発明の「金属イオンを
実質的に含まない透過液」とは、上記のような趣旨で理
解されるべきものである。一方、水溶性ポリマーの使用
量を増加させて、排水中の金属イオンを完全に捕捉させ
てもよいが、必要量以上の水溶性ポリマーの使用は経済
的でない。
【0022】分離膜としては、排水中の金属イオンを捕
捉した水溶性ポリマーを分離できるものであれば、すな
わち金属イオン捕捉水溶性ポリマーの平均分子量よりも
小さい分画分子量を有する分離膜であれば、いずれも使
用することができる。前記の3,000〜1,000,
000の範囲の分子量を有する水溶性ポリマーを使用す
る場合には、一般に限外ろ過膜と称せられているものを
用いればよい。また、NF(ナノフィルター)膜と称せ
られるものも用いることができる。分離膜の形態につい
ては特に制限はなく、平膜状、中空状、管状、スパイラ
ル状などから適宜選択することができる。分離膜の材質
についても特に制限はなく、酢酸セルロースおよびその
誘導体、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエ
ーテルスルホン、高分子電解質錯合体、芳香族ポリアミ
ド、ポリビニルアルコールなどから適宜選択することが
できる。
【0023】水溶性ポリマーは、金属イオンと迅速かつ
緊密に接触させるために、水または排水中に予め溶解し
て水溶液の形態で添加するのがよい。固体の水溶性ポリ
マーをそのまま排水中に投入すると溶解させるのが困難
となり、金属イオンとの迅速かつ緊密な接触が十分得ら
れないこともある。水溶性ポリマーを添加する方法の代
表例としては、水溶性ポリマーを水に溶解させて添加す
る方法、排水の一部を分取し、これに水溶性ポリマーを
溶解させて添加する方法などを挙げることができる。
【0024】水溶性ポリマーと金属イオンとの迅速かつ
緊密な接触を促進するためには、水溶性ポリマーを排水
に添加した後、排水を十分撹拌するのがよい。撹拌方法
の代表例としては、撹拌羽根を回転させる方法、空気な
どでバブリングする方法などを挙げることができる。な
お、排水のライン中に水溶性ポリマーを直接に連続供給
して、特に撹拌することなく混合させてもよい。
【0025】水溶性ポリマーの添加方法には特に制限は
なく、バッチ式でも、連続式でもよい。また、その添加
位置についても、混合タンク3に添加しても、あるいは
ライン1の排水に直接添加してもよい。また、添加時期
についても、水溶性ポリマーの全量を混合タンク3に添
加しても、処理の前および処理中に分割し、数回に分け
て添加してもよい。いずれにしても、水溶性ポリマーと
排水中の金属イオンとの迅速かつ緊密な接触が得られる
ようにするのがよい。
【0026】撹拌は、排水を連続式に処理する場合に
は、常時行うのがよく、一方バッチ式に行う場合には、
前記混合タンク3の容量などによって異なるが、水溶性
ポリマーの添加後、少なくとも1分間、好ましくは3分
間以上撹拌するのがよい。また、排水と水溶性ポリマー
との混合は、通常、0〜100℃の範囲の温度で行う
が、5〜80℃の範囲で行うのが好ましい。
【0027】排水の性状などには特に制限はないが、強
酸や強アルカリの場合には、水溶性ポリマーによる金属
イオンの捕捉が困難となる場合もあるので、pH調整剤
などを添加して、排水のpHを3〜13、好ましくは6
〜12の範囲に調整したり、あるいは水溶性ポリマーに
よる金属イオンの捕捉を促進するような助剤を添加する
のがよい。また、排水中に多量の固形分が含まれている
場合には、本発明の処理に先だって、凝集沈澱、ろ過な
どの前処理を行って固形分を除去ないしは低減させるの
がよい。
【0028】ただし、分離装置に設置する分離膜には、
使用可能な温度およびpHの範囲が指定されることが多
く、この場合には分離装置に供給する排水の温度および
pHを指定された範囲内にする必要がある。
【0029】本発明の処理方法は、バッチ式または連続
式のいずれの方式によっても行うことができる。以下、
図1に基づいて、バッチ式処理方法と連続式処理方法と
を説明する。
【0030】バッチ式処理方法は次のとおりのものであ
る。すなわち、処理すべき排水1バッチ分を混合タンク
3に導入し、ここでライン2からの水溶性ポリマーと緊
密に接触させた後、分離装置5に供給し、ここでろ過に
より透過液と濃縮液とに分離する。その後は、濃縮液を
混合タンク3に循環した後、再び分離装置5に供給して
ろ過する操作を繰り返すものである。混合タンク3の濃
縮液の量は減少していくが、その金属の濃度が一定濃度
に達したら、ライン10から抜き出して、濃縮液処理工
程に送る。そして、新たな処理すべき排水1バッチ分を
混合タンク3に導入して、上記と同じ操作を行う。上記
排水1バッチ分とは、通常、混合タンク3の容量の70
〜100%である。このバッチ式処理方法は、処理すべ
き排水中の金属の濃度が高く、金属の濃度をあまり高倍
率に濃縮できない場合に好適に用いられる。
【0031】連続式処理方法とは、分離装置5で分離さ
れた透過液に相当する量の排水を混合タンク3に供給し
ながら処理する方法である。すなわち、処理すべき排水
を混合タンク3に導入し、ここでライン2からの水溶性
ポリマーと緊密に接触させた後、分離装置5に供給し、
ここでろ過により透過液と濃縮液とに分離し、濃縮液は
混合タンク3に循環する。分離装置5から抜き出された
透過液に相当する量の、新たな処理すべき排水をライン
1から、また必要量の水溶性ポリマーをライン2から混
合タンク3に導入し、得られる混合物を分離装置5に供
給し、ここでろ過により透過液と濃縮液とに分離し、濃
縮液を混合タンク3に循環する操作を繰り返す。そし
て、混合タンク3における液中の金属の濃度が一定濃度
以上になったら、ライン10から抜き出して、濃縮液処
理工程に送る。この連続式処理方法は、処理すべき排水
中の金属の濃度が低く、金属を高倍率に濃縮できる場合
に好適に用いられる。
【0032】なお、上述のバッチ式および連続式処理方
法において、本発明の効果を損なわない範囲において、
種々の変更を行ってもよいことはいうまでもない。例え
ば、連続式処理方法において、新たな処理すべき排水を
混合タンク3に追加するのは、混合タンク3の液量が減
少したときにバッチ式に行っても、透過液の量にあわせ
て連続的に追加してもよい。また、濃縮液処理工程に送
液する前に、混合タンク3への処理すべき排水の追加を
停止し、混合タンク3中の液を濃縮してもよい。また、
混合タンク3への排水の追加量を分離装置5から抜き出
される透過液の量よりも少なくして、混合タンク3の液
量を低下させてもよい。また、新たに追加する水溶性ポ
リマーは、その必要量を一括または分割して添加しても
よい。
【0033】上記処理方法において、混合タンク3内の
液をライン10から抜き出して濃縮液処理工程に送る時
期については、特に制限はなく、適宜決定することがで
きる。しかし、液中の金属の濃度が高くなりすぎると、
液の粘度が高くなって、濃縮液処理工程への送液が困難
となったり、分離装置5における処理液中の金属の濃度
が高いので、金属が透過液中に漏れたり、析出したりす
るなどの問題が生じる。一方、液中の金属の濃度が低い
状態で抜き出して濃縮液処理工程に送ると、この工程で
処理しなければならない濃縮液が増加して経済的に不利
となる。このため、混合タンク3内の液中の金属の合計
濃度が10,000mg/リットル以下、好ましくは5
0〜5,000mg/リットル、更に好ましくは100
〜1,000mg/リットルとなったときに、混合タン
ク3から抜き出して濃縮液処理工程に送るのがよい。
【0034】濃縮液処理工程における濃縮液の処理は、
生物処理や、燃焼処理、蒸発乾固処理、凝集沈澱処理、
イオン交換処理など各種方法によって行うことができ
る。また、これら方法を組み合わせて行ってもよい。こ
れらのうちでも、生物処理、または生物処理と他の処理
法との組み合せが好適に用いられる。
【0035】生物処理には、好気性および/または嫌気
性の生物処理を適用することができる。本発明の処理方
法によれば、処理すべき排水中に含まれていたCOD成
分の大半は透過液中に含まれるので、濃縮液中に含まれ
るCOD成分量は少ない。このため、濃縮液の処理に
は、生物処理が好適に用いられる。この生物処理は一般
に用いられている方法にしたがって行うことができる。
なお、濃縮液中の金属、特に重金属類が生物処理に悪影
響を与える場合には、凝集沈澱処理やイオン交換処理な
どを生物処理の前に予め実施して、生物処理に悪影響を
与えるものを除去した後、生物処理を行うのがよい。ま
た、必要に応じて、生物処理を行う前に濃縮液を適宜希
釈したり、pH調整を行ってもよい。
【0036】燃焼処理および蒸発乾固処理は一般に用い
られている方法にしたがって行うことができる。また、
凝集沈澱処理およびイオン交換処理により金属を除去し
た後の液は生物処理や、燃焼処理、蒸発乾固処理により
処理することができる。また、処理後の液が放流可能で
あれば、直接放流することもできる。
【0037】上記濃縮物処理工程で得られる固形物は適
宜処理すればよい。例えば、適当な方法によって有価金
属を分離回収してもよく、またそのまま埋め立て処理す
ることもできる。
【0038】本発明の排水の浄化方法は、金属イオンを
含む排水について、前記本発明の処理方法により金属イ
オンを除去し、次いで金属イオンを実質的に含まない透
過液(排水)を浄化処理して排水を浄化することからな
る。
【0039】本発明の「浄化処理」とは、透過液中のC
OD成分および/または窒素成分を除去するための処理
を意味する。その代表例としては、オゾン酸化処理、紫
外線を用いた処理、過酸化水素を用いた処理、電気的手
法による処理、次亜塩素酸を用いた処理、アンモニアス
トリッピング法による処理、亜硝酸または水素などによ
る硝酸態窒素の処理、生物処理、湿式酸化処理、湿式還
元処理などを挙げることができる。
【0040】オゾン酸化処理、紫外線を用いた処理、過
酸化水素を用いた処理、電気的手法による処理、次亜塩
素酸を用いた処理、アンモニアストリッピング法による
処理、および亜硝酸または水素などによる硝酸態窒素の
処理の場合、排水中に金属イオンが含まれていると、こ
れらが酸化されてスケールを生成し易くなるが、本発明
の浄化方法においては、予め金属イオンを除去しておく
ので、その後の浄化処理を効率よく行うことができる。
また、生物処理の場合も、排水中に金属イオンが含まれ
ていると、これらが生物に悪影響を与え、その活性を低
下させることがあるが、本発明の浄化方法においては、
予め金属イオンを除去しておくので、その後の浄化処理
を効率よく行うことができる。特に、固体触媒を用いる
湿式酸化処理の場合、処理に際して排水を加熱するの
で、排水中に金属イオンが含まれているとスケールが生
成し易くなり、またスケールが固体触媒に悪影響を与え
るため、予め金属イオンを除去することにより、その浄
化処理を特に効率よく行うことができる。
【0041】図2は、前記本発明の排水の処理方法によ
り排水中の金属イオンを除去した後の透過液(以下の説
明では、この透過液を「排水」という)を湿式酸化処理
して浄化する方法の一つの実施態様を示したものであ
る。以下、本発明の浄化方法を、図2に基づいて説明す
る。
【0042】図1のライン9からの排水をポンプ11に
より昇圧する。ライン12からの空気をコンプレッサー
13で昇圧した後、透過液に混入させる。ここで得られ
る気液混合物をライン14を経て、熱交換器15で加熱
した後、湿式酸化反応塔16に導入し、ここで湿式酸化
を行う。処理液はライン17を経て、熱交換器15およ
び冷却器18により冷却した後、気液分離器19に導入
し、ここで気液分離する。処理液はライン22から排出
させる。なお、気液分離器19では、液面コントローラ
(LC)により液面を検出して液面制御弁20を作動さ
せて一定の液面を保持するとともに、圧力コントローラ
(PC)により圧力を検出して圧力制御弁21を作動さ
せて圧力を所定値に維持する。
【0043】排水中のCOD成分濃度は、通常、1〜2
00g/リットルである。なかでも、COD成分濃度が
5〜150g/リットルのものが好適に処理できる。C
OD成分濃度が高すぎると、COD成分の反応熱が非常
に大きくなるため、湿式酸化反応器の制御が困難とな
る。一方、COD成分濃度が低すぎる場合には、COD
成分の反応熱が小さく、付属設備として熱交換装置を用
いて熱回収しても、この熱により装置の自立運転が困難
となる。このような場合には、湿式酸化処理自体には支
障はないが、処理を行う際に、別途熱供給装置が必要と
なる。
【0044】湿式酸化反応塔16としては、排水の湿式
酸化に一般に用いられている装置を用いることができ
る。反応塔は単管式、多管式のいずれの形式であっても
よいし、必要に応じて、両者を組み合わせて使用するこ
ともできる。また、湿式酸化には、触媒湿式酸化処理法
と無触媒湿式酸化処理法とがあり、触媒湿式酸化処理法
にも、固体触媒を用いるものや均一系触媒を用いるもの
があるが、本発明においては、いずれの処理方法も用い
ることができる。なかでも、固体触媒を用いる触媒湿式
酸化法では、排水中に金属イオンが含まれると、固体触
媒表面にスケールが付着して活性が低下することがある
ため、本発明の排水の浄化方法は、固体触媒を用いる触
媒湿式酸化法を用いる場合に特に効果的である。
【0045】上記触媒湿式酸化処理法に用いる固体触媒
としては、触媒湿式酸化処理に一般に用いられている固
体触媒を用いることができる。具体的には、液相酸化の
条件下で活性と耐久性とを兼ね備えた触媒であれば、い
ずれも使用することができる。例えば、チタン、鉄、ア
ルミニウム、ケイ素、ジルコニウムまたは活性炭などを
含有する触媒を挙げることができる。なかでも、チタ
ン、チタン−ジルコニウム、チタン−鉄などの酸化物が
好適に用いられる。なお、固体触媒は、上記成分(以
下、「第1成分」という)のほかに、第2成分を含んで
いてもよい。
【0046】第2成分としては、マンガン、コバルト、
ニッケル、タングステン、銅、セリウム、銀、白金、パ
ラジウム、ロジウム、金、イリジウム、ルテニウムなど
から選ばれる少なくとも1種の金属または金属化合物を
用いることができる。第1成分に対する第2成分の割合
については、第1成分75〜99.95重量%、第2成
分25〜0.05重量%とするのがよい。触媒の形状に
ついては特に制限はなく、球状、ペレット状など適宜選
択することができる。
【0047】湿式酸化処理法の実施条件については特に
制限はなく、湿式酸化処理に一般に用いられている条件
下に行うことができる。通常、100〜370℃、好ま
しくは140〜300℃の温度およびこの温度で排水が
液相を保持する圧力下で湿式酸化を行う。温度が370
℃を超えると排水を液相に保持できなくなる。一方、温
度が100℃未満では、処理効率が低下する。
【0048】排水の処理量は、処理温度が高い場合には
多くすることができ、逆に低い場合には少ないものとな
る。一般に、空間速度として、0.1〜5hr-1が効果
的であり、より効果的には0.5〜3hr-1である。
【0049】また、湿式酸化には、酸素および/または
オゾンを含有するガスが用いられるが、酸素および/ま
たはオゾンは適宜不活性ガスなどにより希釈して用いる
ことができる。一般には、空気が用いられるが、それ以
外に、他のプラントより生じる酸素含有の排ガスも適宜
使用することもできる。酸素含有ガスの使用量は、排水
中のCOD成分および/または窒素成分の濃度により適
宜選択することができる。例えば、排水中のCOD成分
および/または窒素成分を完全に水、炭酸ガス、無機塩
または灰分などにするに必要な酸素量の0.5〜5倍、
好ましくは1〜3倍とするのがよい。
【0050】また、アンモニア態窒素および重金属類等
を含有する排水に対して、本発明の排水の処理方法によ
り排水中の金属イオンを除去した後の透過液をアンモニ
アストリッピング法により浄化する方法の実施態様につ
いて以下に説明する。
【0051】アンモニアストリッピング法には大別して
空気ストリッピング法および蒸気ストリッピング法の2
つの方法があり、いずれの方法も用いることができる。
空気ストリッピング法は、アンモニア態窒素を含有する
排水に空気を吹き込んでアンモニアを放散させる方法で
あり、蒸気ストリッピング法は、アンモニア態窒素を含
有する排水に水蒸気を吹き込んでアンモニアを放散させ
る方法である。いずれの方法も、放散されたアンモニア
含有ガスは、アンモニアを回収したり、触媒燃焼法など
によりアンモニアを窒素などに酸化分解することにより
処理される。
【0052】本発明の排水の浄化方法によって浄化した
排水は、その水質が直接放流可能の場合には、直接放流
してもよい。なお、必要に応じて、浄化した排水を生物
処理してもよい。
【0053】
【発明の効果】本発明の従来の固液分離法に対する優位
点を列挙すると次のとおりである。
【0054】(1)固液分離では、固形分によるライン
閉塞の恐れがあるのに対し、本発明では固形分が実質的
に折出しないため、閉塞の恐れがない。
【0055】(2)固液分離では、固形分処理のため
に、脱水、乾燥などの工程が必要になるが、本発明では
不要である。
【0056】(3)固液分離では、凝集沈澱池などの大
型設備が必要であるが、本発明では不要である。
【0057】(4)固液分離では、凝集剤などを通常過
剰に添加するため大量の汚泥(固形分)が発生するが、
本発明では固形分は発生しない。
【0058】また、本発明の従来の他の重金属類等を除
去する方法に対する優位点を列挙すると次のとおりであ
る。
【0059】(1)本発明では、水溶性ポリマー以外の
薬品は通常必要としないため、低コストの処理が可能で
ある。
【0060】(2)本発明では、水中に共存する物質の
種類、濃度について幅広く対応できる。
【0061】(3)本発明では、水中に懸濁物質がある
場合でも同時に除去することができる。
【0062】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例をあげて
詳細に説明する。
【0063】実施例1 図1に示す態様にしたがって排水の処理を行った。カル
シウムイオン濃度30mg/リットル、マグネシウムイ
オン濃度10mg/リットル、COD(Cr)濃度1
5,400mg/リットルである排水50リットルをラ
イン1から容量50リットルの混合タンク3に投入して
おき、ここに水溶性ポリマーをライン2から添加して5
分間撹拌した。排水のpHは8.1であり、水温は約1
8℃であった。撹拌後の液中には固形物は見られなかっ
た。水溶性ポリマーは、平均分子量22万のポリアクリ
ル酸ソーダを固形分濃度約30%の水溶液の状態で用い
た。また、水溶性ポリマーの添加量は、カルシウムイオ
ンおよびマグネシウムイオンの1mol量に対してカル
ボキシル基4mol量となる量にした。撹拌後の液をポ
ンプ4により分離装置5に導入し、濃縮液はライン8に
より混合タンク3に戻し、透過液はライン6から処理水
タンク7に導入した。分離装置5のろ過膜は、ダイセン
・メンブレン・システムズ製の中空糸型限外ろ過膜FU
S−0382(分画分子量30,000、膜材質:ポリ
エーテルサルホン)を用いた。ライン8の調圧弁により
ポンプ4の出口圧力が約2kg/cm2Gとなるように
調節し、混合タンク3内の液量が約2リットルとなるま
で運転を継続した。処理終了後、混合タンク3内の液中
に固形物は見られなかった。処理終了後得られた各々の
液中のカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンの濃
度を誘導結合高周波プラズマ発光分光分析法により測定
した結果を表1に示す。
【0064】実施例2〜4 実施例1において、水溶性ポリマーとして、平均分子量
約5万のポリアクリル酸ソーダ(実施例2)、平均分子
量約6万のアクリル酸/マレイン酸(モル比7:3)共
重合体ナトリウム塩(実施例3)、および平均分子量約
40万のアクリル酸/メタクリル酸(モル比9:1)共
重合体ナトリウム塩(実施例4)を用いた以外は実施例
1と同様にして排水の処理を行った。処理終了後、実施
例1と同様にして、混合タンク3内の液および処理水タ
ンク7中の液の各々のカルシウムイオンおよびマグネシ
ウムイオンの濃度を測定した。結果を表1に示す。
【0065】実施例5 実施例1において、処理すべき排水として、鉄イオン濃
度5mg/リットルの排水を用い、水溶性ポリマーとし
て、同じ平均分子量約22万のポリアクリル酸ソーダを
鉄イオンの1mol量に対しカルボキシル基20mol
量で添加し、混合タンク内の液量が約10リットルとな
るまで運転を継続した以外は実施例1と同様にして排水
の処理を行った。処理終了後、混合タンク3内の液中に
固形物は見られなかった。本処理の結果を表1に示す。
【0066】比較例1 実施例1において、水溶性ポリマーを添加し撹拌した排
水を分離装置5に通さずに孔径0.45μmのメンブラ
ンフィルターによりろ過し、ろ液中のカルシウムイオン
およびマグネシウムイオンの濃度を測定した。結果を表
1に示す。
【0067】比較例2 実施例1において、水溶性ポリマーを排水に添加せずに
分離装置で分離処理し、液中のカルシウムイオンおよび
マグネシウムイオンの濃度を測定した。結果を表1に示
す。
【0068】
【表1】
【0069】実施例6 図2に示す態様にしたがって、実施例1で得られた透過
液を用いて触媒湿式酸化処理を2,000時間連続して
行った。透過液のpHは8.0であった。図1の引き抜
きライン9より透過液を透過液供給ポンプ11で1リッ
トル/hrの流量で昇圧フィードした。一方、酸素含有
ガス供給ライン12より供給される空気をコンプレッサ
ー13で昇圧した後、O2/COD(Cr)(空気中の
酸素量/化学的酸素要求量)=1.3の割合で上記透過
液中に混入した。この気液混合物は気液混合物供給ライ
ン14を経て、熱交換器15で加熱した後、触媒を充填
した湿式酸化反応塔16に導入し、処理温度200℃で
湿式酸化処理し、被処理液を処理液ライン17を経て、
熱交換器15および冷却器18において冷却し、気液分
離器19へ流した。気液分離器19においては、液面コ
ントローラ(LC)により液面を検出して液面制御弁2
0を作動させて一定の液面を保持するとともに、圧力コ
ントローラ(PC)により圧力を検出して圧力制御弁2
1を作動させて30kg/cm2Gの圧力を保持するよ
うに操作した。処理開始時の湿式酸化反応塔入口圧力
(PI)は31kg/cm2Gであった。処理液は処理
液排出ライン22から排出される。なお、触媒はチタン
−鉄の酸化物とルテニウムからなる触媒(ルテニウム1
重量%)を1リットル使用した。
【0070】結果は、2,000時間安定して触媒湿式
酸化処理でき、2,000時間後の湿式酸化反応塔入口
圧力(PI)は31kg/cm2Gであった。処理終了
後開放した湿式酸化反応塔の内部には、特に固形物の堆
積は観察されず、また抜き出した触媒の表面には、カル
シウムなどの付着も観察されなかった。2,000時間
後の処理液のCOD(Cr)濃度は500mg/リット
ルであり、pHは7.5であった。
【0071】比較例3 比較例1で得られたろ液を用いて、実施例6と同様の触
媒湿式酸化処理を2,000時間連続して行った。その
結果、2,000時間後の処理液のCOD(Cr)濃度
は6,500mg/リットルまでしか低減できず、2,
000時間後の湿式酸化反応塔入口圧力(PI)は36
kg/cm2Gにまで上昇していた。処理終了後開放し
た湿式酸化反応塔の内部には、多くの固形物が堆積して
おり、また抜き出した触媒の表面には、カルシウムなど
の付着が観察された。
【0072】比較例4 比較例2で得られた透過液を用いて、実施例6と同様の
触媒湿式酸化処理を2,000時間連続して行った。そ
の結果、2,000時間後の処理液のCOD(Cr)濃
度は5,000mg/リットルまでしか低減できず、
2,000時間後の湿式酸化反応塔入口圧力(PI)は
35kg/cm2Gにまで上昇していた。処理終了後開
放した湿式酸化反応塔の内部には、多くの固形物が堆積
しており、また抜き出した触媒の表面には、カルシウム
などの付着が観察された。
【0073】実施例7 実施例1で得られた濃縮液約0.2リットルと実施例6
で得られた触媒湿式酸化処理液約5リットルとを混合
し、この混合液について活性汚泥処理を行った。混合液
のCOD(Cr)濃度は500mg/リットルであっ
た。曝気槽容積は10リットル、MLSS濃度は約4,
000mg/リットルであり、反応温度約20℃で6時
間処理を継続した。空気吹き込みは活性汚泥が曝気槽底
部に沈積しない程度で行った。その結果、得られた処理
液のCOD(Cr)濃度は45mg/リットルであっ
た。
【0074】比較例5 実施例1と同じ排水約5リットルに対して実施例7と同
様の活性汚泥処理を24時間連続して行った。その結
果、処理液のCOD(Cr)濃度は11,500mg/
リットルまでしか低減できなかった。
【0075】比較例6 実施例1と同じ排水をCOD(Cr)濃度が500mg
/リットルになるように希釈した液約5リットルに対し
て実施例7と同様の活性汚泥処理を24時間連続して行
った。その結果、処理液のCOD(Cr)濃度は290
mg/リットルまでしか低減できなかった。
【0076】実施例8 処理すべき排水として、カルシウムイオン濃度50mg
/リットル、アンモニア態窒素濃度10,000mg/
リットルの排水を用い、実施例1と同様の処理を行っ
た。処理終了後、混合タンク3内の液中に固形物は見ら
れず、透過液中のカルシウムイオン濃度は0.9mg/
リットルであった。得られた透過液を用いて、図3に示
す態様にしたがって、空気によりアンモニアストリッピ
ング処理を行った。図1の引き抜きライン9より透過液
を透過液供給ポンプ23で1リットル/hrの流量でフ
ィードし、これにライン24からアルカリ供給ポンプ2
5により水酸化ナトリウム水溶液を添加して混合液のp
Hが約12となるように調整した後、これを放散塔27
の上部から供給し、一方放散塔の下部からはライン26
より空気を供給した。放散塔での処理条件は、処理温度
(透過液の温度)50℃、液ガス比L/G(=液供給量
/ガス供給量)1.0kg/Nm3であった。アンモニ
ア排ガスはライン28から排出され、処理液はライン2
9から排出される。結果は、1,500時間安定してア
ンモニアストリッピング処理でき、1,500時間後の
処理液中のアンモニア態窒素濃度は9mg/リットルで
あった。また、処理終了後開放した放散塔27の内部に
は、特に固形物の堆積は観測されず、内壁や充填物表面
にはカルシウムなどの付着も観察されなかった。
【0077】比較例7 実施例8において、処理すべき排水に対して実施例1と
同様の処理を実施せずに空気によりアンモニアストリッ
ピング処理を行った。その結果、1,500時間後にフ
ラッディングが生じ、運転不可能になった。1,500
時間後に開放した放散塔27の内部には多くの固形物が
堆積しており、内壁や充填物表面にはカルシウムなどの
付着が観察された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の処理の一実施態様を示す説明図であ
る。
【図2】 湿式酸化処理工程を含む本発明の排水処理の
一実施例態様を示すフローシートである。
【図3】 アンモニアストリッピング工程を含む本発明
の排水処理の一実施態様を示すフローシートである。 3 混合タンク 5 分離装置 11 ポンプ 13 コンプレッサー 15 熱交換器 16 湿式酸化反応塔 18 冷却器 19 気液分離器 20 液面制御弁 21 圧力制御弁 27 放散塔
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年5月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C02F 5/10 620 C02F 5/10 620Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属イオンを含む水に水溶性ポリマーを
    添加して金属イオンを実質的に折出させることなく捕捉
    せしめた後、分離膜によりろ過して水中の金属イオンを
    除去することを特徴とする金属イオンを含む水の処理方
    法。
  2. 【請求項2】 金属イオンを含む水が排水である請求項
    1記載の方法。
  3. 【請求項3】 金属イオンを含む排水に水溶性ポリマー
    を添加して金属イオンを実質的の折出させることなく捕
    捉せしめた後、分離膜によりろ過して、金属イオンを実
    質的に含まない透過液と金属イオン捕捉水溶性ポリマー
    を含む濃縮液とに分離し、次いで該透過液を浄化処理す
    ることを特徴とする金属イオンを含む排水の浄化方法。
  4. 【請求項4】 排水の浄化処理を、酸素を含有するガス
    の供給下、100〜370℃の温度およびこの温度にお
    いて排水が液相を保持するに十分な圧力下での湿式酸化
    処理法により行う請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 排水の浄化処理をアンモニアストリッピ
    ング法により行う請求項3記載の方法。
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