JPH11329722A - Elパネルの製造方法およびelパネル - Google Patents

Elパネルの製造方法およびelパネル

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JPH11329722A
JPH11329722A JP10138766A JP13876698A JPH11329722A JP H11329722 A JPH11329722 A JP H11329722A JP 10138766 A JP10138766 A JP 10138766A JP 13876698 A JP13876698 A JP 13876698A JP H11329722 A JPH11329722 A JP H11329722A
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JP
Japan
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layer
reflective insulating
insulating layer
slurry
forming
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JP10138766A
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English (en)
Inventor
Yoichiro Yabe
洋一郎 矢部
Mitsuo Nakamura
光夫 中村
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Toshiba Corp
Toshiba Development and Engineering Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Electronic Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ELパネルの製造工程において、反射絶縁層
や発光体層の内部およびこれらの積層界面における凹凸
や空隙の発生を抑制する。 【解決手段】 無機絶縁物粒子およびバインダを含む反
射絶縁層形成用スラリーと蛍光体粒子およびバインダを
含む発光体層形成用スラリーを、ドクターブレード法に
より背面電極層1上に順に塗布し、反射絶縁層2および
発光体層3を背面電極層1上に積層形成する。この積層
体と透明電極シート4とを重ね合わせて熱圧着した後、
パッケージングフィルムで封止してELパネルを作製す
る。反射絶縁層2と発光体層3との積層界面の粗さは、
中心線平均粗さRa で 5μm 以下、あるいは蛍光体粒子
の平均粒径X(μm)に対して 1/5X以下となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はEL(エレクトロル
ミネッセンス)パネルの製造方法、およびそれを適用し
て作製したELパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】有機分散型のELパネルは、軽量・薄型
で形状の自由度に優れた面発光体として、液晶表示装置
や各種表示板のバックライト、乾式複写機の除電用光源
などの種々の用途に幅広く利用されている。
【0003】このような有機分散型のELパネルは、従
来、例えば以下のようにして作製されていた。すなわ
ち、まず背面電極となる例えばAl箔上に、反射絶縁層
となるBaTiO3 などの粉末を高誘電率を有する有機
バインダに分散させたペーストを塗布する。次いで、こ
の反射絶縁層となる塗布層を乾燥させた後、その上に発
光体層となるZnSなどの蛍光体粒子を高誘電率を有す
る有機バインダに分散させたペーストを塗布し、乾燥さ
せる。一方、透明絶縁フィルム上にITO膜などの透明
電極を被着形成して透明電極シートを作製する。
【0004】次に、上記透明電極シートと、反射絶縁層
および発光体層を順に形成したAl箔とを積層し、この
積層体を加熱ロール間を通過させて熱圧着(ラミネー
ト)する。この後、上記した熱圧着体を透明なパッケー
ジングフィルムで挟み込むように被覆し、このパッケー
ジングフィルムのはみだし部分を熱圧着することによっ
て、ELパネルが作製される。
【0005】ところで、従来のELパネルの製造工程に
おいては、反射絶縁層および発光体層の形成に主として
スクリーン印刷法が用いられてきた。スクリーン印刷法
では1回の印刷(塗布)で所要の塗布厚を得ることが困
難であるため、塗布乾燥を繰り返し行うことで所要の厚
さを得ている。このように、スクリーン印刷を繰り返し
行って形成した反射絶縁層や発光体層の内部には、空隙
や異物が混入しやすいという問題がある。さらに、スク
リーンメッシュに応じた空隙が生じるため、各塗膜の密
度低下が起こったり、また塗膜面に凹凸が生じるという
問題がある。
【0006】上述したような反射絶縁層および発光体層
を有する積層体を透明電極シートと共に熱圧着すると、
各層界面(特に反射絶縁層と発光体層との界面)に大き
な凹凸や空隙が残存してしまう。これらはELパネルの
発光品位の低下(例えば発光のざらつきや輝度むら)や
発光効率の低下の原因となっている。
【0007】一方、熱圧着条件を過度にすることによっ
て、界面の凹凸や空隙は減少するものの、透明電極シー
トのITO膜などにクラックが生じやすくなり、消費電
力が増大したり、また発光効率が著しく低下するなどの
問題が生じる。さらに、透明電極シートを積層する前
に、反射絶縁層や発光体層の塗布層のみを熱圧着するこ
とによって、空隙などは減少させることができるもの
の、特に反射絶縁層と発光体層との界面ではスクリーン
印刷による塗膜面の凹凸を小さくすることができない。
従って、特に反射絶縁層と発光体層との積層界面の凹凸
を抑制することは困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、反射
絶縁層および発光体層の形成にスクリーン印刷法を用い
ている従来のELパネルの製造方法においては、反射絶
縁層や発光体層の内部およびこれらの積層界面に凹凸や
空隙が生じやすいという問題がある。これらはELパネ
ルの発光品位の低下(発光のざらつきや輝度むらなど)
や発光効率の低下の原因となるため、その発生を極力抑
制することが求められている。特に、反射絶縁層と発光
体層との積層界面に形成された凹凸は、スクリーン印刷
そのものの技法に基づくものであり、積層後に修正する
ことは非常に困難であった。
【0009】本発明はこのような課題に対処するために
なされたもので、反射絶縁層や発光体層の内部およびこ
れらの積層界面における凹凸や空隙の発生を抑制するこ
とを可能にしたELパネルの製造方法、およびそのよう
な製造方法を適用することによって、発光品位および発
光効率を向上させたELパネルを提供することを目的と
している。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のELパネルの製
造方法は、請求項1に記載したように、蛍光体粒子を分
散含有する発光体層と、前記発光体層の一方の主面上に
積層配置され、無機絶縁物粒子を分散含有する反射絶縁
層と、前記反射絶縁層を介して前記発光体層と一体的に
対向配置された背面電極層と、前記発光体層の他方の主
面と一体的に対向配置された透明電極層とを具備するE
Lパネルを製造するにあたり、前記無機絶縁物粒子およ
びバインダを含む反射絶縁層形成用スラリーと前記蛍光
体粒子およびバインダを含む発光体層形成用スラリーと
を、ドクターブレード法により前記背面電極層または前
記透明電極層上に順に塗布し、前記反射絶縁層および前
記発光体層を前記背面電極層または透明電極層上に積層
形成することを特徴としている。
【0011】本発明のELパネルの製造方法において、
反射絶縁層および発光体層の積層形成工程には、例えば
請求項2に記載したように、反射絶縁層形成用スラリー
をドクターブレード法により背面電極層上に塗布し、こ
のスラリーの塗布層を乾燥させて反射絶縁層を形成する
工程と、発光体層形成用スラリーをドクターブレード法
により反射絶縁層上に塗布し、このスラリーの塗布層を
乾燥させて発光体層を形成する工程の 2工程を適用する
ことが好ましい。
【0012】本発明のELパネルの製造方法は、例えば
請求項3に記載したように、反射絶縁層形成用スラリー
および発光体層形成用スラリーの粘度を1000〜 10000cp
s の範囲に調整することが好ましい。さらに、請求項4
に記載したように、反射絶縁層形成用スラリーの塗布層
を 100〜 150℃の範囲の温度で乾燥させ、かつ発光体層
形成用スラリーの塗布層を60〜 150℃の範囲の温度で乾
燥させることが、また反射絶縁層形成用スラリーの塗布
層および発光体層形成用スラリーの塗布層を、順に温度
が高くなるように設定した複数の乾燥ゾーンを通過させ
ることにより乾燥させることが好ましい。
【0013】また、本発明における第1のELパネル
は、請求項6に記載したように、蛍光体粒子を分散含有
する発光体層と、前記発光体層の一方の主面上に積層配
置され、無機絶縁物粒子を分散含有する反射絶縁層と、
前記反射絶縁層を介して前記発光体層と一体的に対向配
置された背面電極層と、前記発光体層の他方の主面と一
体的に対向配置された透明電極層とを具備するELパネ
ルにおいて、前記発光体層と前記反射絶縁層との積層界
面の粗さが、中心線平均粗さRa で 5μm 以下であるこ
とを特徴としている。
【0014】第2のELパネルは、請求項7に記載した
ように、蛍光体粒子を分散含有する発光体層と、前記発
光体層の一方の主面上に積層配置され、無機絶縁物粒子
を分散含有する反射絶縁層と、前記反射絶縁層を介して
前記発光体層と一体的に対向配置された背面電極層と、
前記発光体層の他方の主面と一体的に対向配置された透
明電極層とを具備するELパネルにおいて、前記蛍光体
粒子の平均粒径をX(μm)としたとき、前記発光体層と
前記反射絶縁層との積層界面の粗さが、 1/5X以下であ
ることを特徴としている。
【0015】本発明のELパネルの製造方法において
は、反射絶縁層および発光体層をドクターブレード法を
適用したウェットコーティングで形成している。ドクタ
ーブレード法によれば、所望の厚さを有する反射絶縁層
および発光体層を一度の塗布で均一に形成することがで
きる。また、スクリーン印刷法のように塗膜表面に凹凸
を生じさせることもない。従って、反射絶縁層および発
光体層の層内や各層界面における空隙や異物の発生を大
幅に抑制することができる。
【0016】このようなドクターブレード法により形成
した反射絶縁層および発光体層によれば、これらの界面
および発光体層表面を大幅に平滑化することができる。
具体的には、発光体層と反射絶縁層との積層界面の粗さ
を、中心線平均粗さRa で 5μm 以下、あるいは蛍光体
粒子の平均粒径X(μm)に対して 1/5X以下とすること
ができる。このように、発光体層と反射絶縁層との積層
界面の粗さを小さくすることによって、発光のざらつき
や輝度むらなどが抑制され、ELパネルの発光品位を高
めることができると共に、発光効率を向上させることが
可能となる。さらに、反射絶縁層および発光体層内の粉
体密度を高めることができる。例えば、発光体層内の粉
体密度の増大は、ELパネルの発光効率の向上などに大
きく寄与する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0018】まず、図1を参照して本発明の一実施形態
によるELパネルの製造工程について述べる。なお、図
1はこの実施形態によるELパネルの製造工程の要部を
示すものである。
【0019】図1(a)に示すように、例えば背面電極
1となるAlなどの金属箔上に、反射絶縁層2と発光体
層3を順に形成する。これら反射絶縁層2および発光体
層3はドクターブレード法を適用することによって、ウ
ェットコーティングにより順に積層形成される。なお、
場合によっては、後述する透明電極シート4上に発光体
層3および反射絶縁層2をドクターブレード法により順
に積層形成することも可能である。
【0020】具体的には、まずシアノエチルセルロース
のような高誘電率を有する有機系バインダをアセトンな
どの有機溶剤に溶解してバインダ溶液を作製する。次い
で、例えばTiO2 やBaTiO3 などの酸化物からな
る高反射性無機絶縁物粉末を、上記したバインダ溶液に
分散させて、反射絶縁層形成用スラリーを調製する。同
様に、ZnSなどの蛍光体粒子をバインダ溶液に分散さ
せて、発光体層形成用スラリーを調製する。無機絶縁物
粉末の平均粒径は 0.5〜 5μm 程度であることが、また
蛍光体粒子の平均粒径は15〜35μm 程度で、できるだけ
小さいことが好ましい。
【0021】これら反射絶縁層形成用スラリーおよび発
光体層形成用スラリーの粘度は、1000〜 10000cps の範
囲に調整することが好ましい。ドクターブレード法によ
れば、各層表面および界面の平滑性を高めることができ
るが、特に塗膜形成用スラリーの粘度を比較的低く設定
することによって、各層表面および界面の平滑性をより
一層向上させることができる。塗膜形成用スラリーの粘
度が 10000cps を超えると、平滑化効果が小さくなり、
一方1000cps 未満であると 1回当りの塗布量が減少する
おそれがある。
【0022】上述した反射絶縁層形成用スラリーおよび
発光体層形成用スラリーを、ドクターブレード法で背面
電極1となるAl箔(Alフイルム)上に順に塗布する
と共に、各スラリーの塗布層を乾燥させることによっ
て、反射絶縁層2および発光体層3を順に積層形成す
る。ここで、反射絶縁層2の塗布厚は乾燥後に20〜50μ
m程度となるように設定することが好ましい。また、発
光体層3の塗布厚は乾燥後に30〜70μm 程度となるよう
に設定することが好ましい。
【0023】すなわち、まず図2に示すようなドクター
ブレード装置10のスラリー容器(ダム)11内に反射
絶縁層形成用スラリー12を収容し、背面電極1となる
Alフイルム13をローラ14で連続的に送りなが
ら、その一方の表面上に反射絶縁層形成用スラリー12
を塗布する。この反射絶縁層形成用スラリー12の塗布
層12′の厚さは、ドクターブレードで均一に調整され
る。図2に示すドクターブレード装置10では、パイプ
ドクター15で反射絶縁層形成用スラリー12の塗布厚
を調整している。この後、反射絶縁層形成用スラリーの
塗布層12′を乾燥機16で乾燥することによって、反
射絶縁層2が得られる。
【0024】このようなドクターブレード法によれば、
上記したような厚さの反射絶縁層2を一度の塗布で均一
に形成することができるため、反射絶縁層2内における
空隙や異物の発生が大幅に抑制される。従って、反射絶
縁層2内の粉体密度(無機絶縁物粒子の充填密度)およ
び表面の平滑性を大幅に高めることができる。反射絶縁
層2の表面の平滑化には、ドクターブレード法自体の表
面平滑化効果も寄与している。
【0025】また、反射絶縁層形成用スラリーの塗布層
12′の乾燥温度は、例えば 100〜150℃というように
比較的低く設定することが好ましい。さらに、乾燥機1
6は順に温度が高くなるように設定した複数の乾燥ゾー
ンを有することが好ましく、このような乾燥ゾーンを通
過させて反射絶縁層形成用スラリーの塗布層12′を乾
燥させることが望ましい。このように、乾燥温度を比較
的低く設定すると共に、順に温度が高くなるように設定
した複数の乾燥ゾーンを通過させて、反射絶縁層形成用
スラリーの塗布層12′を乾燥させることによって、反
射絶縁層2の表面平滑性をより一層高めることができ
る。なお、乾燥温度を比較的低く設定した場合、Alフ
イルム13の送り速度を遅くすることによって、スラリ
ー塗布層を十分に乾燥させる。
【0026】次に、前述した発光体層形成用スラリーを
ドクターブレード装置のスラリー容器(ダム)内に収容
し、このようなドクターブレード装置に反射絶縁層2を
形成したAlフイルムをセットする。ドクターブレード
装置は図2に示した通りである。そして、Alフイルム
を連続的に送りながら、反射絶縁層2上に発光体層形成
用スラリーを重ね塗りする。この発光体層形成用スラリ
ーの塗布層の厚さは、反射絶縁層2の形成時と同様に、
ドクターブレードで均一に調整される。
【0027】このようなドクターブレード法によれば、
反射絶縁層2の形成時と同様に、前述したような厚さの
発光体層3を一度の塗布で均一に形成することができる
ため、発光体層3内における空隙や異物の発生が大幅に
抑制される。従って、発光体層3内の粉体密度(蛍光体
粒子の充填密度)および表面の平滑性を大幅に高めるこ
とができる。さらに、反射絶縁層2の表面が平滑である
ことに加えて、発光体層3を一度の塗布で均一に形成す
ることができるため、これら反射絶縁層2と発光体層3
との積層界面の粗さを大幅に小さくすることが可能とな
る。
【0028】また、発光体層形成用スラリーの塗布層の
乾燥温度は、例えば60〜 150℃というように比較的低く
設定することが好ましい。さらに、スラリー塗布層の乾
燥は反射絶縁層2の形成時と同様に、順に温度が高くな
るように設定した複数の乾燥ゾーンを通過させることに
より実施することが望ましい。このように、乾燥温度を
比較的低く設定すると共に、順に温度が高くなるように
設定した複数の乾燥ゾーンを通過させて、発光体層形成
用スラリーの塗布層を乾燥させることによって、発光体
層3の表面平滑性および反射絶縁層2との積層界面の平
滑性をより一層高めることができる。
【0029】なお、反射絶縁層2および発光体層3は、
上述したように各スラリーの塗布と乾燥を順に行って形
成してもよいし、あるいは例えば2連のドクターブレー
ド装置を用いて、反射絶縁層形成用スラリーと発光体層
形成用スラリーを連続して塗布し、各スラリーの積層塗
布層を乾燥させることで形成してもよい。
【0030】一方、ポリエステルフィルムのような透明
絶縁フィルム上に、ITO膜などからなる透明電極を蒸
着法などにより被着形成して、透明電極シート4を作製
する。そして、図1(b)に示すように、ドクターブレ
ード法により反射絶縁層2および発光体層3が順に積層
形成された背面電極1と透明電極フィルム4とを、発光
体層3と透明電極(図示せず)とが対向するように積層
する。
【0031】次に、図3に示すように、上記した積層体
を例えば加熱ロール間を通過させて熱圧着(ラミネー
ト)する。この熱圧着体すなわちEL発光素子の透明電
極シート4側に、必要に応じて6-ナイロンフィルムなど
からなる吸湿性フィルム5を配置し、さらにその外側を
ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)フィル
ムのような水湿透過率の小さい透明なパッケージングフ
ィルム6、6で挟み込む。そして、パッケージングフィ
ルム6、6のはみだし部を熱圧着して封止することによ
つて、目的とするELパネル7が得られる。
【0032】上述した実施形態のELパネルの製造方法
においては、反射絶縁層2および発光体層3をドクター
ブレード法で順に積層形成していることなどに基づい
て、各層内の粉体密度(無機絶縁物粒子および蛍光体粒
子の充填密度)を高めることができ、さらには反射絶縁
層2と発光体層3との界面粗さや発光体層3の表面粗さ
を大幅に低下させることが可能となる。ドクターブレー
ド法は大型のELパネルの製造に対しても適している。
【0033】反射絶縁層2と発光体層3との界面粗さに
ついては、中心線平均粗さRa で 5μm 以下とすること
ができる。このように、反射絶縁層2と発光体層3との
界面粗さをRa 5μm 以下とすることによって、ELパ
ネル7の発光のざらつきや輝度むらなどが大幅に抑制さ
れ、ELパネル7の発光品位を高めることができる。さ
らに、界面粗さをRa 5μm 以下とすると共に、蛍光体
粒子の充填密度を増大させることによって、発光効率を
向上させることができる。このELパネル7の発光品位
や発光効率の向上には、発光体層3の表面の平滑性も寄
与している。
【0034】また、蛍光体粒子の粒径が大きいほど、反
射絶縁層2と発光体層3との界面粗さや発光体層3の表
面粗さが大きくなる傾向があるが、ドクターブレード法
を適用することで反射絶縁層2と発光体層3との界面粗
さを、蛍光体粒子の平均粒径X(μm)に対して 1/5X以
下とすることができる。このように、ドクターブレード
法を適用することによって、比較的大きな蛍光体粒子を
使用した場合においても、界面粗さを十分に小さくする
ことができる。
【0035】特に、反射絶縁層2と発光体層3との積層
界面に凹凸が形成された場合、例えば透明電極シート4
を積層する前に熱圧着を実施しても修正することが困難
であるため、塗布、乾燥工程で平滑化する意義は大き
い。そして、上述したように、反射絶縁層2と発光体層
3との界面粗さをRa 5μm 以下、あるいは蛍光体粒子
の平均粒径X(μm)に対して 1/5X以下とすることによ
って、ELパネル7の発光品位、発光特性、発光効率な
どを向上させることが可能となる。
【0036】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例およびその評
価結果について述べる。
【0037】実施例1 まず、アセトンにシアノエチル系有機バインダを溶解し
てバインダ溶液を作製した。次いで、平均粒径 2μm の
BaTiO3 粉末を、上記したバインダ溶液に分散させ
て、反射絶縁層形成用スラリーを調製した。同様に、平
均粒径25μm のZnS蛍光体粒子を上記したバインダ溶
液に分散させて、発光体層形成用スラリーを調製した。
これらスラリーの粘度はおよそ3000cps 程度とした。
【0038】これら反射絶縁層形成用スラリーおよび発
光体層形成用スラリーを用いて、図2に示したようなド
クターブレード装置により、背面電極1となるAlフイ
ルム反射絶縁層2および発光体層3を順に積層形成し
た。
【0039】具体的には、まずドクターブレード装置1
0のローラ14とパイプドクター15との間隙(スリッ
ト)を 200μm に調整した。そして、このドクターブレ
ード装置10に反射絶縁層形成用スラリーを流し込むと
共に、Alフイルムを1m/minで走行させることによっ
て、Alフイルム上に反射絶縁層形成用スラリーを連続
的に塗布した。この反射絶縁層形成用スラリーの塗布層
は 100〜 130℃の温度で乾燥させた。乾燥はスラリー塗
布層を有するAlフイルムを、順に温度が高くなるよう
に設定した複数の乾燥ゾーンを通過させることにより実
施した。
【0040】このようにして得た反射絶縁層は均一な厚
さを有し、その厚さは約30μm であった。また、BaT
iO3 粒子の充填密度も良好であり、内部に空隙や異物
はほとんど存在していなかった。
【0041】次に、ドクターブレード装置に反射絶縁層
2を形成したAlフイルムをセットし、発光体層形成用
スラリーを流し込むと共に、Alフイルムを1m/minで走
行させることによって、反射絶縁層2上に発光体層形成
用スラリーを連続的に塗布した。この発光体層形成用ス
ラリーの塗布層は60〜 130℃の温度で乾燥させた。乾燥
はスラリー塗布層を有するAlフイルムを、順に温度が
高くなるように設定した複数の乾燥ゾーンを通過させる
ことにより実施した。
【0042】このようにして得た発光体層は均一な厚さ
を有し、その厚さは約40μm であった。また、ZnS蛍
光体粒子の充填密度も良好であり、内部に空隙や異物は
ほとんど存在していなかった。
【0043】一方、透明フィルム上にITO膜を被着形
成した透明電極シート4を、上記した発光体層3上に重
ね合せた後、加熱ロール間を通過させることによって熱
圧着した。なお、背面電極層1としてのAlフイルム箔
と透明電極シート4に、それぞれリードを仮止めした後
に、熱圧着を実施した。
【0044】次に、6-ナイロンフィルムからなる吸湿性
フィルム5を、熱圧着体の透明電極シート4上に配置
し、さらにその外側にPCTFEフィルムからなるパッ
ケージングフィルム6、6をそれぞれ配置し、これを熱
圧着ロール間を通過させた。そして、パッケージングフ
ィルム6のはみだし部を熱圧着して封止することによっ
て、目的とするELパネル7を得た。
【0045】また、本発明との比較例として、反射絶縁
層および発光体層をスクリーン印刷により形成する以外
は、上記実施例と同様なELパネルを作製した。
【0046】これら実施例1および比較例1による各E
Lパネルの断面構造を電子顕微鏡により観察した。その
結果、実施例1によるELパネルにおいては、図3に示
したように、反射絶縁層2と発光体層3との積層界面や
発光体層3と透明電極シート4との積層界面が平滑化さ
れており、反射絶縁層2と発光体層3との積層界面の粗
さは中心線平均粗さRa で 2.5μm であった。
【0047】一方、比較例1によるELパネルにおいて
は、図4に示したように、反射絶縁層2と発光体層3と
の積層界面や発光体層3と透明電極シート4との積層界
面に凹凸が生じており、特に反射絶縁層2と発光体層3
との積層界面の粗さは中心線平均粗さRa で 7.5μm と
大きかった。
【0048】また、これら実施例1および比較例1によ
る各ELパネルを用いて、これらに同一の電圧を印加し
て発光品位や発光効率などを評価したところ、比較例1
によるELパネルに比べて実施例1によるELパネル
は、発光品位や発光効率などの発光特性が優れることが
確認された。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のELパネ
ルの製造方法によれば、反射絶縁層や発光体層の内部に
おける空隙や異物の発生を抑制することができると共
に、各層界面や表面の平滑性を大幅に向上させることが
できる。従って、このような製造方法を適用した本発明
のELパネルによれば、発光品位や発光効率を向上させ
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態によるELパネルの製造
工程の要部を示す断面図である。
【図2】 図1に示すELパネルの製造工程で使用した
ドクターブレード装置の一構成例を示す図である。
【図3】 本発明の一実施形態で作製したELパネルの
要部構造を示す断面図である。
【図4】 本発明との比較例として作製したELパネル
の要部構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1……背面電極 2……反射絶縁層 3……発光体層 4……透明電極シート 5……吸湿性フィルム 6……パッケージングフィルム 7……ELパネル

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光体粒子を分散含有する発光体層と、
    前記発光体層の一方の主面上に積層配置され、無機絶縁
    物粒子を分散含有する反射絶縁層と、前記反射絶縁層を
    介して前記発光体層と一体的に対向配置された背面電極
    層と、前記発光体層の他方の主面と一体的に対向配置さ
    れた透明電極層とを具備するELパネルを製造するにあ
    たり、 前記無機絶縁物粒子およびバインダを含む反射絶縁層形
    成用スラリーと前記蛍光体粒子およびバインダを含む発
    光体層形成用スラリーとを、ドクターブレード法により
    前記背面電極層または前記透明電極層上に順に塗布し、
    前記反射絶縁層および発光体層を前記背面電極層または
    透明電極層上に積層形成することを特徴とするELパネ
    ルの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のELパネルの製造方法に
    おいて、 前記反射絶縁層および発光体層の積層形成工程は、前記
    反射絶縁層形成用スラリーをドクターブレード法により
    前記背面電極層上に塗布し、前記スラリーの塗布層を乾
    燥させて前記反射絶縁層を形成する工程と、前記発光体
    層形成用スラリーをドクターブレード法により前記反射
    絶縁層上に塗布し、前記スラリーの塗布層を乾燥させて
    前記発光体層を形成する工程とを有することを特徴とす
    るELパネルの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のELパネルの製造方法に
    おいて、 前記反射絶縁層形成用スラリーおよび発光体層形成用ス
    ラリーの粘度を1000〜10000cps の範囲に調整すること
    を特徴とするELパネルの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のELパネルの製造方法に
    おいて、 前記反射絶縁層形成用スラリーの塗布層を 100〜 150℃
    の範囲の温度で乾燥させ、かつ前記発光体層形成用スラ
    リーの塗布層を60〜 150℃の範囲の温度で乾燥させるこ
    とを特徴とするELパネルの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のELパネルの製造方法に
    おいて、 前記反射絶縁層形成用スラリーの塗布層および前記発光
    体層形成用スラリーの塗布層を、順に温度が高くなるよ
    うに設定した複数の乾燥ゾーンを通過させることにより
    乾燥させることを特徴とするELパネルの製造方法。
  6. 【請求項6】 蛍光体粒子を分散含有する発光体層と、
    前記発光体層の一方の主面上に積層配置され、無機絶縁
    物粒子を分散含有する反射絶縁層と、前記反射絶縁層を
    介して前記発光体層と一体的に対向配置された背面電極
    層と、前記発光体層の他方の主面と一体的に対向配置さ
    れた透明電極層とを具備するELパネルにおいて、 前記発光体層と前記反射絶縁層との積層界面の粗さが、
    中心線平均粗さRa で5μm 以下であることを特徴とす
    るELパネル。
  7. 【請求項7】 蛍光体粒子を分散含有する発光体層と、
    前記発光体層の一方の主面上に積層配置され、無機絶縁
    物粒子を分散含有する反射絶縁層と、前記反射絶縁層を
    介して前記発光体層と一体的に対向配置された背面電極
    層と、前記発光体層の他方の主面と一体的に対向配置さ
    れた透明電極層とを具備するELパネルにおいて、 前記蛍光体粒子の平均粒径をX(μm)としたとき、前記
    発光体層と前記反射絶縁層との積層界面の粗さが、 1/5
    X以下であることを特徴とするELパネル。
  8. 【請求項8】 請求項6または請求項7記載のELパネ
    ルにおいて、 前記背面電極層、反射絶縁層、発光体層および透明電極
    層からなる積層体は、パッケージングフイルムにより封
    止されていることを特徴とするELパネル。
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