JPH11329423A - 水素吸蔵合金粉末及び水素吸蔵合金電極 - Google Patents

水素吸蔵合金粉末及び水素吸蔵合金電極

Info

Publication number
JPH11329423A
JPH11329423A JP11071583A JP7158399A JPH11329423A JP H11329423 A JPH11329423 A JP H11329423A JP 11071583 A JP11071583 A JP 11071583A JP 7158399 A JP7158399 A JP 7158399A JP H11329423 A JPH11329423 A JP H11329423A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrogen storage
storage alloy
layer
acid
main phase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11071583A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukihiro Kuribayashi
幸弘 栗林
Masatoshi Ishii
政利 石井
Satoshi Shima
聡 島
Yasuhito Sugahara
泰人 須ヶ原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority to JP11071583A priority Critical patent/JPH11329423A/ja
Publication of JPH11329423A publication Critical patent/JPH11329423A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 初期特性及び寿命に優れ、かつ取り扱い性に
優れたニッケル水素吸蔵合金二次電池用の負電極を提供
する。 【解決手段】 表面改質されていない主相と、酸性溶液
によって可溶性材料が除去されて作られた、主相よりN
iリッチな層と、縮合リン酸処理により最表面がPで覆
われた層とを含む水素吸蔵合金粉末を提供する。また、
この水素吸蔵合金粉末を用いてなる水素吸蔵合金電極を
提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にニッケル水素
二次電池の負電極に用いたときに初期特性、及び寿命が
良好な電極となる水素吸蔵合金粉末を製造する方法、及
び、得られた水素吸蔵合金粉末を用いた電極に関する。
【0002】
【従来の技術】水素を吸蔵・放出する水素吸蔵合金が発
見されて以来、それは、水素貯蔵手段にとどまらず電池
等にも応用されているが、特にアルカリ二次電池は既に
実用化されており、用いる水素吸蔵合金も、次々に高容
量化及び長寿命化が図れてきた。即ち、当初に検討され
たCaCu5型結晶構造を有するLaNi5合金は、La
の一部を、Ce、Pr、Ndその他の希土類元素に置換
し、Niの一部をAl、Co、Mn等の金属元素で置換
することによって高容量化及び長寿命化が図られてき
た。
【0003】ところが、このような水素吸蔵合金を電池
用電極として用いた場合には、電池の高容量化や長寿命
化は図れるものの初期特性が低下する。初期活性は、一
般に、最大容量に達するまでの充放電サイクルの数で表
わされ、サイクル数が少ないほど初期特性が高いとされ
る。通常、初期特性は、1サイクル目の容量で評価され
る。しかしながら、初期特性の低い電池を密閉化した場
合には、正極と負極のバランスが崩れ、容量や寿命を低
下させるという欠点があった。上記の欠点を解決するた
めに、従来から水素吸蔵合金を酸やアルカリで処理する
ことが行われてきた。しかしながら、アルカリ処理は、
処理条件を高濃度かつ高温にする必要があるのみなら
ず、処理後の水洗も困難となるうえ、処理後の水素吸蔵
合金に組成変化を生じさせるので、電池用負電極の製造
が煩雑になるという欠点があった。また、酸処理の場合
には、寿命は改善されるものの、初期特性、高率放電特
性(ハイレート特性)について、実用の域に達しないと
いう欠点があった。また、これらの処理では、合金の改
質層(Niリッチ層)の厚みが厚くなり、主相との界面
で割れが生じ、剥がれることになり、電池内圧が上昇す
る原因となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、初期特性及び寿命に優れ、かつ高率放電特性に優れ
たニッケル水素吸蔵合金二次電池用の負電極を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の欠
点を解決するために、負電極用水素吸蔵合金粉末及びそ
の製造方法について鋭意検討した結果、水素吸蔵合金粉
末を酸性溶液で処理することにより、合金表面に形成さ
れた酸化物層や水酸化物層が除去され、また合金表面が
主相より高Ni濃度であるNiリッチになるため、未処
理の場合に比べて電極作製後の充放電による初期活性化
が容易になり、初期活性化効果が高まる結果、電池性能
が向上することを見い出した。さらに、粉砕した水素吸
蔵合金を縮合リン酸/又はフィチン酸を含む溶液で処理
する工程を加えることにより、活性化された表面が酸化
させることがなくなり、ゆえに、保存性及び取り扱い性
に優れた水素吸蔵合金粉末を、簡便に製造することが出
来るとともに、それをニッケル水素吸蔵合金電池の負電
極に使用した場合には、電池の容量や寿命を低下させる
こともなく、初期特性を向上させることができることを
見い出した。具体的には、粉砕などにより得た水素吸蔵
合金粉末を、有機酸又はその塩等によって処理した後、
1分子中のリン原子の数が2〜20である縮合リン酸及
び/又はフィチン酸を含む溶液を用いて処理する工程を
含む水素吸蔵合金粉末の製造方法によって、上記目的を
達成した。
【0006】本発明者らは、上記縮合リン酸による処理
についてさらに検討したところ、酸処理による改質層
(Niリッチ層)と縮合リン酸による処理によるPで覆
われた層に最適な厚みがあることを見い出し、本発明に
到達した。すなわち、本発明は、表面改質されていない
主相と、酸性溶液によって可溶性材料が除去されて作ら
れた、主相よりNiリッチな層と、縮合リン酸処理によ
り最表面がPリッチな層との三層を含む水素吸蔵合金粉
末を提供する。また、本発明は、この水素吸蔵合金粉末
を用いてなる水素吸蔵合金電極を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で使用する水素吸蔵合金は
特に限定されるものでなく、負電極に用いられる公知の
水素吸蔵合金の中から適宜選択して用いることができる
が、特に電池とした場合のサイクル寿命を良好とする観
点及びNiリッチ層を得る目的から、MmNi5系の水
素吸蔵合金を用いることが好ましい。ここで、Mmは、
La、Ce、Pr及びNd等の希土類元素の混合物から
なるミッシュメタルと呼ばれるものである。その中でも
Laを主成分として、Ce、Pr、Ndから一種以上選
ばれると良い。
【0008】MmNi5系の水素吸蔵合金は、サイクル
寿命を良好とする観点から、Niの一部がCoで置換さ
れると共に、Alによって置換されたものであることが
好ましく、さらにMnで置換されたものであることが好
ましい。具体的には、一般式(La)x1-x(Ni)a
bで表される。式中、Rは、La以外の希土類金属、
特に好ましくは、Ce、Pr、Ndからなる一群から選
ばれる少なくとも一種であり、Mは、Mn、Al、C
o、Ti、Fe、Zrからなる一群から選ばれる少なく
とも一種である。x、a及びbは、それぞれ正の数であ
り、xは、0.2〜1であり、bは、0<b≦2.0で
あり、a+bは、4.0〜6.0である。
【0009】本発明においては、例えば、前記した組成
の金属元素の混合物を、真空下、またはアルゴン、ヘリ
ウム等の不活性雰囲気化下で公知の高周波誘導炉等を用
いて溶解することにより水素吸蔵合金を得、これを、ボ
ールミル、ジェットミル、ペルベライザー等を用いて粉
砕して粉末とした後、酸性溶液で処理し、次いで縮合リ
ン酸及び/又はフィチン酸を含む溶液で処理し、必要に
応じて水洗した後乾燥することにより、本発明の水素吸
蔵合金粉末を得ることができる。
【0010】水素吸蔵合金粉末は、平均粒径5〜50μ
m、特に15〜50μmの粉末を用いることが好まし
い。また、上記粉砕により得られる水素吸蔵合金の他
に、本発明では急冷法により得られた水素吸蔵合金粉末
を使用してもよい。例えば、ロール急冷、アトマイズ法
等により得られた水素吸蔵合金粉末である。
【0011】本発明で用いる酸性溶液には、無機酸又は
有機酸若しくはその塩を含む溶液が挙げられるが、好ま
しくは、その有機酸若しくはその塩である。本発明で用
いる有機酸は、ギ酸、クエン酸、グリコール酸等のカル
ボン酸、スルホン酸、スルフェン酸、スルフィン酸等が
好ましく、その中でも、スルホン酸(R'-SO3H)、
スルフェン酸(R''-SOH、具体例としては、アント
ラキノン−1−スルフェン酸、トリプチセン−1−スル
フェン酸、1−メチルウラシル−4−スルフェン酸
等)、スルフィン酸(R'''-SO2H)がより好まし
い。R'、R''、R'''は、各々独立に一価の脂肪族炭化
水素基(好ましく炭素数1〜20、より好ましくは炭素
数1〜10)、芳香族炭化水素基、アミノ基等であり、
これらは、カルボキシル基、アミノ基、水酸基等の親水
基で置換されていてもよい。具体的には、好ましくは、
スルファミン酸、スルファニル酸、スルファミノ安息香
酸、スルホサリチル酸、スルホ安息香酸、スルホ酢酸の
うちから選択することができるが、少なくとも一種を使
用することが望ましい。その中でも、好ましくは、スル
ホサリチル酸、スルファミン酸、スルホ酢酸である。特
に、5−スルホサリチル酸、2−ハイドロキシ−スルホ
安息香酸が好ましい。また、本発明で用いる有機酸の塩
としては、Na、K、Ca等の塩が挙げられ、好ましく
は、スルホサリチル酸、スルファミン酸、スルホ酢酸の
Na、K、Ca塩である。本発明で用いる有機酸の塩
は、一種または二種以上を混合して使用できる。これら
の有機酸は、置換基の位置に関係なく用いることができ
る(即ち、異性体を含む。)。有機酸又はその塩の溶解
に用いる溶媒としては、水、エタノール等のアルコール
類、エーテル類、アセトン等のケトン類が挙げられ、単
独又は混合して用いられる。好ましくは、水溶液の状態
で有しているものである。本発明で用いる酸性溶液は、
特に有機酸またはその塩を含む溶液が挙げられるが、両
方を併用する態様もある。無機酸としては、リン酸等が
挙げられる。
【0012】有機酸又はその塩の使用量は合金100重
量部に対し、0.01〜30重量部とすることが好まし
く、さらには、0.5〜10重量部用いるとよい。30
重量部を超えると初期特性は改善されるが到達容量が低
下する場合があり、0.01重量部未満では処理効果が
発揮できない場合がある。無機酸の使用量は、合金10
0重量部に対し、0.01〜30重量部とすることが好
ましい。更に好ましくは、0.5〜10重量部である。
【0013】Niリッチ層とは、特に合金表面において
改質層が下記であることをいう。酸性溶液の処理による
改質層(Niリッチな層)の厚みは25nm〜100n
mが好ましく、特に30〜60nmとすることが好まし
い。25nm未満では、未処理と変わらず初期特性が低
い傾向があり、100nmをこえると電池寿命が低下す
る傾向がある。
【0014】本発明で使用する縮合リン酸には、一般式
n+2n3n+1で表される、正リン酸が鎖状に縮合して
できたポリリン酸、及び、一般式(HPO3mで表され
る、正リン酸が環状に縮合してできたポリメタリン酸が
包含される(式中、n、mは、それぞれ2〜20の整数
を表す。)。本発明においては、これらのうち、特に、
一分子中のリン原子の数が2〜20のものを使用する
が、特にリン原子の数が2〜10の縮合リン酸が好まし
い。nが1であるH3PO4を用いると、初期活性化が少
しは良くなるものの、保存特性のみならず取り扱い性が
悪く酸化しやすいので到達容量も低くなる。また、n、
mが21より大きいと水素の吸蔵放出反応が阻害される
ので、水素吸蔵量が減少する。縮合リン酸に用いるとし
ては、水、アルコール(好ましくは炭素数1〜5)、ト
ルエンのような芳香族炭化水素系溶媒、及びアセトン等
のケトン類等を使用することができる。また、水とアル
コール、アセトンとトルエン等の混合溶媒を使用しても
よい。
【0015】本発明においては、これらの縮合リン酸を
混合して用いても良く、さらに、これらと共に、又はこ
れらの縮合リン酸に代えてフィチン酸を使用することも
できる。フィチン酸を溶解する溶媒としては、水、アル
コール(好ましくは炭素数1〜5)、トルエンのような
芳香族炭化水素系溶媒、及びアセトン等のケトン類等を
使用することができる。また、水とアルコール、アセト
ンとトルエン等の混合溶媒を使用してもよい。
【0016】また、処理浴中の縮合リン酸/フィチン酸
の使用量は、処理する水素吸蔵合金100重量部に対
し、約0.01〜10重量部(約0.01〜10重量
%)とすることが好ましく、特に約0.1〜1重量部と
することが好ましい。0.01重量部未満では、合金表
面が酸化し保存性が低下する傾向があり、10重量部を
こえると初期特性が低下する傾向がある。
【0017】本発明における酸性溶液による処理方法、
及び縮合リン酸を含む溶液での処理方法は、特に限定さ
れるものではなく、水素吸蔵合金を上記の溶液に浸漬す
る方法等の公知の方法を用いて行えば良いが、処理を良
好に行う観点から、粉砕して粉末とした水素吸蔵合金を
処理溶液に浸漬することが好ましく、特に撹拌した場合
には、得られた粉末を用いた電極の初期活性をさらに良
好とすることができる。
【0018】本発明で用いた酸性溶液の処理温度は室温
〜100℃とすることが好ましく、また、縮合リン酸及
び/又はフィチン酸で処理する場合には、室温〜130
℃とすることが望ましい。必要ならば、密閉容器で10
kgf/cm2以下の加圧条件下で処理を行っても良
い。高温で、又は冷却して処理を行うことは、工業的に
生産するための設備コストがかかり過ぎるので経済的で
ない。特に、冷却して処理を行うと処理時間が長くかか
り過ぎるので実用的ではない。処理時間は何れの処理に
おいても0.1〜10時間であり、温度が高い場合は短
く、低い場合には時間を長くとるように適宜調節すれば
良い。
【0019】Pで覆われた層とは特に合金最表面に存在
する。Pで覆われた層の厚みは、1nm〜50nmが好
ましく、特に10nm〜30nmが好ましい。1nm未
満では、合金表面が酸化し、保存性が低下する傾向があ
り、50nmをこえると、活性化が低下する傾向があ
る。
【0020】本発明は、表面改質されていない主相と、
酸性溶液によって、Al、Mn、希土類元素(RE)の
順に可溶性材料が除去されて作られたNiリッチな層
と、縮合リン酸処理により最表面がPで覆われた層とを
含む水素吸蔵合金粉末を提供する。この構造について、
透過型電子顕微鏡(TEM)−エネルギー分散型X線分
光器(EDX)等により観察される。粉末を最も単純化
すると、三重丸構造として表せる。即ち、中心に主相が
存在し、その上にNiリッチ層、最表面にPで覆われた
層である三層構造である。Niリッチ層は、特にその層
中にNiを60〜80重量%、Coを10〜20重量%
含み、残部がRE、Mn等を含む構成となっていること
が望ましい。なお、三重丸構造は本発明の一形態にすぎ
す、本発明がこれに限定されるものではない。粉体の粒
状が球以外では三重丸構造とはならないが、主相よりN
iリッチな層、最表面がPで覆われた層を有し、本発明
の作用、効果を得られる形態であれば、本発明に含まれ
る。また、各層の厚さも、処理条件等により同一粒子で
も部分によって異なるが、主相よりNiリッチな層、最
表面がPで覆われた層を有し、本発明の作用、効果を得
られる形態であれば、本発明に含まれる。
【0021】本発明においては、このようにして得られ
た合金粉末100重量部を、PVA、セルロース類、P
TFE、ポリエチレンオキサイド、高分子ラテックス等
のバインダー0.1〜20重量部にペースト化し、Ni
繊維体や発泡Ni等の三次元導電性支持体に充填した
り、パンチングメタル等の二次元導電性支持体に圧着す
る等の公知の方法により、負極を得ることができる。
【0022】本発明の水素吸蔵合金粉末をニッケル水素
二次電池の負電極に用いると電池の初期活性が明らかに
改善される。これは、酸処理によって水素吸蔵合金の表
面にある希土類酸化物が除去されて、活性化された表面
にリン化合物が吸着して表面を覆うためである。それに
よって、当初の好適な表面状態(活性状態)が長期にわ
たって維持される。
【0023】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳述す
るが、本発明はこれによって限定されるものではない。 実施例1〜3、比較例1〜9 Laの20重量%をCeに置換した合金A側(La80
重量%、Ce20重量%)を原子比1.0とした場合
に、これに対し、B側として、Ni、Co、Mn、Al
を、各々が3.80、0.70、0.20及び0.30
となるように各元素を秤量し、それらをアルゴン雰囲気
下の高周波溶解炉で溶解し、冷却してB/Aが原子比で
5.0であるLaNi5系の水素吸蔵合金を得た。得ら
れた水素吸蔵合金を、1020℃で5時間、アルゴン雰
囲気で熱処理した後、粉砕して、平均粒径が32μmの
水素吸蔵合金の粉末を得た。
【0024】得られた粉末を、表1に示す表面処理条件
に従い、スルホサリチル酸水溶液に浸漬し、撹拌した。
次いで、水洗した後、縮合リン酸又はフィチン酸を含有
する処理水溶液と混合し撹拌した。混合比率は、水素吸
蔵合金粉末2kgに対し、処理水溶液を1リットルとし
た。濾過した後乾燥して得られた粉末を電極に用いた電
池の特性を評価することによって、本発明の水素吸蔵合
金粉末の特性及びそれを用いた本発明の電極の特性を評
価した。改質層(Niリッチ層)及び最表面層(P層)
の厚みは、それぞれ表面処理条件を調整し、TEM分析
により厚みを測定した。また、EDX分析により組成分
析を行った。
【0025】開放系電池の作製 得られた粉末を各々2g採取し、3重量%のポリビニル
アルコール(平均重合度2000、ケン化度98モル
%)水溶液0.5gを各々に加えて混合し、ペーストと
した。得られたペーストを、繊維状Ni支持体に塗着し
て乾燥した後、加圧成形して、厚みが0.5mmの負極
を作製した。次いで、酸化ニッケル正極として、公知の
方法で作製された焼結式ニッケル正極を用いると共に、
セパレータとしてポリプロピレン系不織布、電解液とし
て6規定の水酸化カリウム水溶液を使用し、負極と組み
合わせて負極規制の開放型ニッケル−水素二次電池を作
製し、下記のようにして初期特性及び初期容量を測定し
た。
【0026】初期特性、初期容量 これらの電池を、20℃の一定温度下で、180mAで
5時間充電する一方、電池電圧が1.0Vとなるまで1
20mAの電流で放電させるサイクルを繰り返し、1サ
イクル目の容量を測定して初期活性を評価し、10サイ
クル目の容量を初期容量として評価した結果を各処理の
条件と共に表1に示した。
【0027】高率放電特性 これらの電池を、下記の条件で充放電を行い、高率放電
特性を測定した。最初に合金1gあたり30mAで15
時間充電を行った後、1時間休止し、合金1gあたり6
0mAで放電させて、終止電圧が1.0Vに達するまで
放電した。次に、1時間休止をおいて、30mAで15
時間充電を行ったあと、1時間休止し、150mAで電
池電圧が1Vとなるまで放電させた。そのときの容量を
0.5C放電容量とした。同様に300mAで電池容量
が1Vとなるまで放電させた容量を1C放電容量とし
た。
【0028】寿命の評価 初期特性の評価と同条件で容量−サイクル寿命テストを
行い、初期特性を100としたときの放電容量の低下率
を図2に示した。
【0029】表1、表2の結果より、スルホサリチル酸
処理による30〜35nm程度の改質が望ましい。ま
た、最表面のP層を形成させるには厚すぎても、薄すぎ
ても期待する効果は得られず、20nm程度が最適であ
ることが判明した。厚ければ厚いほど活性化が低下す
る。
【0030】水素吸蔵合金をスルホサリチル酸処理する
ことで、サイクル寿命特性が劣化しない程度に、酸化物
層が効果的に除去され、合金表面での電気化学的反応を
円滑に進行させること。また、活性化を犠牲にすること
のない縮合リン酸処理を施すことで、三層を形成させる
こと。かつ、最適な厚みがあり、その厚みが、電池特性
に依存することを見出した。
【0031】
【発明の効果】本発明の電極を用いれば、初期特性に優
れると共に、サイクル寿命に優れた電池を提供すること
ができる。本発明においては、水素吸蔵合金表面の改良
された改質効果によって、高率放電特性、寿命などの特
性に優れた水素吸蔵合金電極を得ることができる。
【0032】表1の「リン化合物種類」の欄において、
Pと数字の組合せは、該数字のリン原子の数を一分子中
に有するポリリン酸を示す。表2の「酸処理後Niリッ
チ層」の欄の「Ni量」「Co量」は、TEM−EDX
分析の結果に基づく。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】透過型電子顕微鏡(TEM)−エネルギー分散
型X線分光器(EDX)の観察結果を示す。
【図2】透過型電子顕微鏡(TEM)−エネルギー分散
型X線分光器(EDX)の観察結果を示す。
【図3】容量−サイクル寿命テストにおいて、初期特性
を100としたときの放電容量の低下率を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01M 10/30 H01M 10/30 Z (72)発明者 須ヶ原 泰人 福井県武生市北府二丁目1番5号 信越化 学工業株式会社磁性材料研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面改質されていない主相と、主相よりN
    iリッチな層と、Pで覆われた層とを、順次に内から外
    に配する内部構造を有する水素吸蔵合金粉末。
  2. 【請求項2】 表面改質されていない主相と、酸性溶液
    によって可溶性材料が除去されて作られた、主相よりN
    iリッチな層と、縮合リン酸処理により最表面がPで覆
    われた層とを含む請求項1に記載の水素吸蔵合金粉末。
  3. 【請求項3】 上記表面改質されていない主相が、一般
    式(La)x1-x(Ni)ab(式中、Rは、La以外
    の希土類金属から選ばれる少なくとも一種であり、M
    は、Mn、Al、Co、Ti、Fe、Zrからなる一群
    から選ばれる少なくとも一種である。x、a及びbは、
    それぞれ正の数であり、xは、0.2〜1であり、b
    は、0<b≦2.0であり、a+bは、4.0〜6.0
    である。)で表される請求項1または請求項2に記載の
    水素吸蔵合金粉末。
  4. 【請求項4】 上記Pで覆われた層の厚さが1nm〜5
    0nm、上記Niリッチな層の厚さが25nm〜100
    nmである請求項1〜3のいずれかに記載の水素吸蔵合
    金粉末。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の水素吸
    蔵合金粉末を用いてなる水素吸蔵合金電極。
JP11071583A 1998-03-17 1999-03-17 水素吸蔵合金粉末及び水素吸蔵合金電極 Pending JPH11329423A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11071583A JPH11329423A (ja) 1998-03-17 1999-03-17 水素吸蔵合金粉末及び水素吸蔵合金電極

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-88185 1998-03-17
JP8818598 1998-03-17
JP11071583A JPH11329423A (ja) 1998-03-17 1999-03-17 水素吸蔵合金粉末及び水素吸蔵合金電極

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11329423A true JPH11329423A (ja) 1999-11-30

Family

ID=26412687

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11071583A Pending JPH11329423A (ja) 1998-03-17 1999-03-17 水素吸蔵合金粉末及び水素吸蔵合金電極

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11329423A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004066421A1 (ja) * 2003-01-20 2004-08-05 Yuasa Corporation 密閉型ニッケル水素蓄電池とその製造法
CN100359722C (zh) * 2003-01-20 2008-01-02 株式会社汤浅开发 密闭型镍氢蓄电池及其制造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004066421A1 (ja) * 2003-01-20 2004-08-05 Yuasa Corporation 密閉型ニッケル水素蓄電池とその製造法
CN100359722C (zh) * 2003-01-20 2008-01-02 株式会社汤浅开发 密闭型镍氢蓄电池及其制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2004247288A (ja) 密閉型ニッケル水素蓄電池とその製造法
JP3998370B2 (ja) 水素吸蔵合金電極
JPH10334913A (ja) アルカリ蓄電池およびその製造法
JP2012188728A (ja) 複合水素吸蔵合金及びニッケル水素蓄電池
KR100305176B1 (ko) 수소흡장합금 전극 및 수소흡장합금 전극의 제조방법
CN109830676A (zh) 二次可充电镍氢电池用高容量且长寿命La-Mg-Ni型负极储氢材料及其制备方法
JPH11329423A (ja) 水素吸蔵合金粉末及び水素吸蔵合金電極
JP3861788B2 (ja) 水素吸蔵合金粉末、水素吸蔵合金電極およびそれを用いたニッケル水素蓄電池。
JP3279994B2 (ja) 水素吸蔵合金粉末及びアルカリ蓄電池用負極
JPH10162820A (ja) アルカリ蓄電池用水素吸蔵合金の製造方法
JP2004127549A (ja) ニッケル・水素蓄電池
JP4743997B2 (ja) 水素吸蔵合金電極
US6235130B1 (en) Hydrogen absorbing alloy powder and electrodes formed of the hydrogen absorbing alloy powder
JP5532390B2 (ja) ニッケル水素蓄電池
JPH0950805A (ja) アルカリ蓄電池用ニッケル電極及びニッケル電極用活物質並びにその製造方法、アルカリ蓄電池
JPH10326613A (ja) 水素吸蔵合金電極
JPH11265714A (ja) 水素吸蔵合金粉末の製造方法及び該水素吸蔵合金粉末を用いた電極
JP3547920B2 (ja) 水素吸蔵合金電極の製造方法
JP2001126724A (ja) 水素吸蔵合金粉末の製造方法
JPH11131160A (ja) 水素吸蔵合金粉末及びそれを用いた電極
JP2008269888A (ja) ニッケル水素蓄電池
JPH11269501A (ja) 水素吸蔵合金粉末の製造方法及び水素吸蔵合金電極
JP2002069511A (ja) 水素吸蔵合金の製造方法および水素吸蔵合金電極
JP3189361B2 (ja) アルカリ蓄電池
JPH0756802B2 (ja) 水素吸蔵電極の製造法