JPH1132721A - 魚節類エキス及びその乾燥物の製造法 - Google Patents

魚節類エキス及びその乾燥物の製造法

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JPH1132721A
JPH1132721A JP9225490A JP22549097A JPH1132721A JP H1132721 A JPH1132721 A JP H1132721A JP 9225490 A JP9225490 A JP 9225490A JP 22549097 A JP22549097 A JP 22549097A JP H1132721 A JPH1132721 A JP H1132721A
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JP
Japan
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cyclodextrin
extract
dried
bonito
fish
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Application number
JP9225490A
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English (en)
Inventor
Hisayoshi Kondo
尚義 近藤
Hitoshi Hirai
整 平井
Akihito Kawade
明史 川出
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Sato Foods Industries Co Ltd
Original Assignee
Sato Foods Industries Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本来の魚節類とほとんど同様の香りを有する魚
節類エキス及びその乾燥物を得ること。 【解決手段】サイクロデキストリンを添加した魚節類エ
キスを得るに際し、魚節類エキス中の総サイクロデキス
トリン重量に対する、αとβ−サイクロデキストリンの
重量和の割合を、60%以上100%以下で、且つβ−
サイクロデキストリンが10%以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚節類の香りをほ
とんど損なうことなしに得られる、魚節類エキス及びそ
の乾燥物の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より魚節類エキス及びその乾燥物を
製造する過程(抽出、濃縮、乾燥)で、その香気成分が
損失したり、或いは揮散するという問題があった。これ
らの問題に対し、特許第1112095号には、魚節類
エキスにサイクロデキストリンなどを添加して乾燥する
ことにより、風味を損なうことなく、優れた性状の乾燥
物を得る方法が開示されている。これは、サイクロデキ
ストリンによって香気成分を包摂することにより、香気
成分の揮散や酸化などの変質を低減させたものである。
【0003】また、予め粉砕した鰹節に含水アルコール
を加えて抽出し、残渣を分離して得られた抽出液からア
ルコール及び油層部を除去して得られるフレーバーエキ
ス部と、抽出残渣を酸で加水分解し、中和後に濾過して
得られる濾液を油脂又は有機溶剤を用いて脱臭し、さら
に非イオン交換樹脂に通して、苦味をとり、脱色して得
られる呈味液部を合わせることにより、鰹節の香気成分
を効率よく抽出する方法が開示されている。(特公昭4
8−6539号公報)。
【0004】また、魚節エキスの風味を強くすることを
目的とし、高乾燥魚節の削り及び魚節タール部の粉末を
だし原料としてだし汁を得、このだし汁に魚節蒸煮液を
加える方法が開示されている。(特開平6−30393
9号公報)。
【0005】しかし、上記したような方法で得られる魚
節類エキス及びその乾燥物は、香りの力価の改善はみら
れるものの、魚節類本来の香りと比べて、香りの質は明
らかに劣るものであった。また、従来よりサイクロデキ
ストリンを利用した魚節類エキスの乾燥物の製造法は開
示されているが、本発明のように、サイクロデキストリ
ンの組成に着目した検討は行われていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、魚節類本
来の香りとほとんど同様の香りを有する魚節類エキス及
びその乾燥物を得ることを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究の結果、サイクロデキストリ
ンを添加した魚節類エキス中のα、β及びγ−サイクロ
デキストリンの組成が、魚節類エキスの香りの質に、ま
た魚節類エキスを乾燥して得られる乾燥物の香りの質に
影響を及ぼすことを見い出し、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は、サイクロデキストリ
ンを添加した魚節類エキスを得るに際し、エキス中の総
サイクロデキストリン重量に対する、αとβ−サイクロ
デキストリンの重量和の割合を、60%以上100%以
下、且つβ−サイクロデキストリン重量の割合が10%
以上とすることを要旨とするものである。
【0009】サイクロデキストリンは、グルコースが環
状にα−1,4結合したオリゴ糖であり、グルコース単
位が6個のものをα−サイクロデキストリン、7個のも
のをβ−サイクロデキストリン、8個のものをγ−サイ
クロデキストリンという。サイクロデキストリンは、そ
の分子中に、内部は疎水性で外部は親水性の環状構造を
持ち、このため、疎水性の化合物が内部に取り込まれや
すく、熱、酸、アルカリなどに対して安定な包接化合物
を形成する性質がある。また、上記したサイクロデキス
トリンの種類により環の内径が異なるため、サイクロデ
キストリンの種類によって、包接されやすい化合物が異
なると言われている。
【0010】本発明者らは、上記したサイクロデキスト
リンの特性をもとに、サイクロデキストリンを添加した
魚節類エキス中のα、β及びγ−サイクロデキストリン
の組成が、魚節類エキス及びその乾燥物の香りの質に影
響を及ぼすのではと考え、以下のような検討を行ってき
た。
【0011】鰹節粉砕物1kgを95℃の温水10kg
に加え、攪拌しながら95℃で15分間抽出した。粕分
離により得られた液をセライト濾過によって清澄化し
て、ブリックス約3の抽出液9.2kgを得、これにα
−サイクロデキストリン(日本食品化工(株)製、商品
名セルデックスA−100)200gを添加し(ブリッ
クス約5)、室渦で15分間、15000rpmでホモ
ジナイザーにかけた。さらに、ブリックス20まで減圧
濃縮を行い、鰹節エキス(α)を得た。同様にして、β
−サイクロデキストリン(日本食品化工(株)製、商品
名セルデックスB−100)、γ−サイクロデキストリ
ン(日本食品化工(株)製、商品名セルデックスG−1
00)を用い、それぞれ鰹節エキス(β)及び(γ)を
得た。
【0012】このようにして得た各々の鰹節エキス(5
ml)に熱湯(80ml)を加えて溶解し、官能検査で
比較したところ、鰹節エキス(α)は、燻臭感のある軽
い香りはあるが、かつ節臭が欠けていた。鰹節エキス
(β)は、かつ節臭や燻臭に加え、その他の複雑な香り
が感じられた。また、鰹節エキス(γ)は、2番だし風
の重い香りや濃厚感のある香りはあるが、燻臭感が欠け
ていた。上記したα、β及びγ−サイクロデキストリン
の保香の特徴より、これらを組み合わせることにより、
さらに香りの質の調和を取ることができるのではないか
と考え、次に以下の検討を行った。
【0013】α−サイクロデキストリン(日本食品化工
(株)製、商品名セルデックスA−100)と、β−サ
イクロデキストリン(日本食品化工(株)製、商品名セ
ルデックスB−100)と、γ−サイクロデキストリン
(日本食品化工(株)製、商品名セルデックスG−10
0)の混合物(表1参照)と、鰹節粉砕物を用い、前記
した方法に従い各々の鰹節エキスを作製した。またこれ
らのエキスの一部は、さらに噴霧乾燥して、各々の鰹節
エキスの乾燥物を得た。これらのエキスは前記と同様に
熱湯に溶解し、また乾燥物は各々の1gを80mlの熱
湯に溶解した後、表2に記した評価基準、判断基準に基
づき、10名のパネラーによってそれらの香りを官能検
査で評価した。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】その結果、表3に記したごとく、総サイク
ロデキストリン重量に対する、αとβ−サイクロデキス
トリンの重量和の割合が60%以上100%以下で、且
つβ−サイクロデキストリン重量の割合が10%以上の
場合に、鰹節本来の香りとほとんど同様の香りを有す
る、優れた鰹節エキス及びその乾燥物が得られることを
見い出した。さらに上記の範囲内で、総サイクロデキス
トリン重量に対するαとβ−サイクロデキストリンの重
量和が70%以上90%以下(換言すれば、γ−サイク
ロデキストリンの割合が10%以上)で、且つα−サイ
クロデキストリン重量が30%以上70%以下の場合に
は、特に良好な結果が得られる。上記した範囲を逸脱し
た場合には、香りの質の調和は崩れ、好ましくないもの
になる。例えば、総サイクロデキストリン重量に対す
る、αとβ−サイクロデキストリンの重量和の割合が6
0%未満の場合には、全体として燻臭感が弱くて重たい
感じになったり、物足りないものになったりする。
【0017】
【表3】
【0018】また、サイクロデキストリンの添加時期の
違いによって、出来上がった鰹節エキス及びその乾燥物
の香りの質に違いが生じるかどうかを検討するため、表
1に記したサイクロデキストリン混合物の(11)、
(15)を用い、サイクロデキストリンを予め添加した
水性溶媒で鰹節粉砕物を抽出し、鰹節エキス及びその乾
燥物を作製した。即ち、上記サイクロデキストリン混合
物220gを95℃の温水10kgに溶解し、鰹節粉砕
物1kgを加え、95℃で15分間抽出した。粕分離に
よりブリックス約5の抽出液を9.6kg得、これをセ
ライト濾過で清澄化後、ブリックス20まで減圧濃縮し
て各々の鰹節エキスを得た。さらにこれらのエキスの一
部は噴霧乾燥して、各々のエキスの乾燥物を得た。
【0019】これらのエキス及びその乾燥物を前記と同
様に熱湯に溶解し、表2に記した評価基準、判断基準に
基づき、10名のパネラーによって香りを評価した。こ
の結果を、サイクロデキストリンを含まない水性溶媒で
抽出し、得られた抽出液に、後からサイクロデキストリ
ンを添加した場合の結果(表3参照)と比較することに
より、サイクロデキストリンを予め添加した溶媒で鰹節
の抽出を行う方が、より良好な結果が得られることを見
い出した。(表4参照)
【0020】
【表4】
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の魚節類エキスは、魚節類
の抽出工程、抽出液の濃縮工程(場合によっては、省く
こともできる)によって製造できる。また、乾燥物を得
る場合には、さらに乾燥工程が行われる。
【0022】抽出工程とは、魚節類に溶媒を加えて抽出
液を得る工程である。この際使用する魚節類は、いかな
るものでも使用することができるが、たとえば、鰹、宗
田鰹、鰯、鰺、鮪、鯖などの節類や煮干しなどがあげら
れ、これらは単独で使用してもよいし、2種以上の混合
物として用いてもよい。またこれらは、粉砕物、破砕
物、切断物、切削物、粉末などのように細分化された形
態で使用するのが好ましい。
【0023】抽出に使用する溶媒としては、水性溶媒及
び/又は水溶性有機溶媒があげられる。水性溶媒とは、
単なる水道水、脱イオン水、蒸留水でもよく、これらに
糖類、ゼラチン、カゼイン、植物蛋白、アラビアガム、
乳化剤類、アスコルビン酸などの抗酸化剤類などを、適
宜添加したものでもよい。また水溶性有機溶媒とは、水
と混和する有機溶媒をさし、例えば、メタノール、エタ
ノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、グリセリンなどがあげられる。これらは単独或い
は2種以上の混合物として用いてもよい。また、水性溶
媒と水溶性有機溶媒を混合して用いる場合には、所望に
応じて適宜その混合割合を決めることができるが、全抽
出溶媒に対する水溶性有機溶媒の濃度としては、5〜9
0重量%が好ましく、さらに好ましくは30〜60重量
%である。水溶性有機溶媒の濃度が上記範囲未満の場合
には、水溶性有機溶媒による魚節類中の疎水性成分の抽
出がし難くなり、また90%を越えると不要な油を抽出
するため好ましくない。
【0024】抽出温度は、特に限定するものではない
が、50℃以上100℃以下が好ましい。抽出温度が5
0℃未満では抽出効率が著しく低下し、また、100℃
を越えた温度では、不要な成分が過剰に抽出され、且つ
好ましい香気成分の変性が起こりやすくなる。魚節1重
量部を溶媒4から200重量部程度で浸漬あるいは、撹
拌しながら抽出を行い、さらに、抽出後は粗分離によ
り、抽出液を得ることができる。抽出液は、必要に応じ
てセライト濾過、セラミック濾過、遠心分離機などを用
い清澄化を行う。また、抽出により得られた粕は、さら
に酸で加水分解したり、プロテアーゼ等の酵素処理を施
し呈味成分の抽出を行うことができる。本発明の魚節類
エキスは、これらと混ぜて使用することもできる。
【0025】サイクロデキストリンは、上記の抽出溶媒
中に添加してから、抽出を行ってもよいし、抽出液に後
から添加して使用することもできる(乾燥物を得る場合
には、例えば、乾燥工程前に添加してもよい。)。ま
た、両方に添加しても構わない。しかし、抽出工程中の
香気成分等の変性及び損失を防止することができるた
め、溶媒中にサイクロデキストリンを添加してから抽出
を行う方が好ましい。
【0026】使用できるサイクロデキストリンは、グル
コース単位が6から8より成る環状構造を有するもので
あればいずれでもよく、例えば、非分岐サイクロデキス
トリン、分岐サイクロデキストリン(グルコシルサイク
ロデキストリン、マルトシルサイクロデキストリンな
ど)、サイクロデキストリン誘導体(ジメチルサイクロ
デキストリン、トリメチルサイクロデキストリン、ヒド
ロキシエチルサイクロデキストリン、ヒドロキシプロピ
ルサイクロデキストリンなど)などが使用できる。
【0027】ここで添加するサイクロデキストリンは、
総サイクロデキストリン重量に対するαとβ−サイクロ
デキストリンの重量和の割合が60%以上100%以下
で、且つβ−サイクロデキストリン重量の割合が10%
以上という組成のものである。
【0028】このような組成のサイクロデキストリンを
調整する方法としては、市販のα、β、γ−サイクロデ
キストリンを組み合わせるか、α、β、γ−サイクロデ
キストリンの混合物として市販されている、例えば商品
名デキシーパールK−50(塩水港精糖(株)製、総サ
イクロデキストリン重量に対するαとβ−サイクロデキ
ストリンの重量和の割合が約90%、β−サイクロデキ
ストリン重量の割合が約25%)、商品名リングデック
ス−PK(メルシャン(株)製、総サイクロデキストリ
ン重量に対するαとβ−サイクロデキストリンの重量和
の割合が約90%、β−サイクロデキストリン重量の割
合が26%)といったものを用いるか、或いはこれらの
市販されている混合物に、α、β、γ−サイクロデキス
トリンを所定の範囲で加えるなどがあげられる。
【0029】サイクロデキストリンの添加量は、所望に
応じて適宜決めることができるが、前記溶媒に対し、約
0.05〜30重量%で使用することができるが、より
好ましい範囲は約0.5〜10重量%である。この範囲
よりサイクロデキストリン量が少ない場合には、エキス
に魚節類の香気成分が十分に残らず、香りの力価が弱い
ものになる。また、サイクロデキストリン量が上記範囲
より多い場合には、サイクロデキストリン自体が、エキ
ス或いはその乾燥物の呈味に影響を及ぼし好ましくな
い。
【0030】サイクロデキストリンの組成を分析するに
は、周知の方法を使用することができるが、高速液体ク
ロマトグラフ(以下、HPLCと略)によって分離、分
析する方法が簡便である。
【0031】濃縮工程は、所望に応じて行えばよい。し
かし、魚節類エキスの乾燥物を得る場合には、乾燥の経
費を少なくできるため、濃縮は行う方が好ましい。減圧
濃縮、凍結濃縮、逆浸透圧濃縮などの周知の方法により
濃縮を行うことができるが、香気成分の揮散、変性が少
ない逆浸透圧濃縮が好ましい。
【0032】エキスの乾燥物を得る場合には、乾燥工程
を行えばよい。この際エキスに、新たに粉末化基材を加
えても構わない。この際使用できる粉末化基材として
は、前記に例示したようなサイクロデキストリンや、そ
の他粉末化基材として公知なデキストリンや可溶性澱粉
などが使用できる。しかし、サイクロデキストリンを使
用する場合には、エキス中の総サイクロデキストリン量
が所定の範囲になるようにすればよい。また、エキス中
の総粉末化基材の量としては、約0.5〜40重量%に
なるようにすればよいが、好ましくは約2〜20重量%
である。この範囲より粉末化基材量が少ない場合に乾燥
物に香気成分が十分に残らず、また多い場合には、乾燥
物中のエキス含度が低くなるため、味が薄くなり好まし
くない。乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥、真空乾
燥、凍結乾燥、噴霧乾燥などの周知の方法が使用できる
が、乾燥中の香気成分のロスが少ない、凍結乾燥、噴霧
乾燥が好ましい。乾燥物の形状は、微粉末でもよいし、
周知の方法により例えば顆粒状、タブレット状、ブロッ
ク状などに成型して用いても構わない。
【0033】以上のような工程により、魚節類の本来の
香りとほぼ同様の香りを有する魚節類エキス及びその乾
燥物を得ることができる。こうして得られた魚節類エキ
ス或いは乾燥物は、そのままでも使用できるが、化学調
味料、食塩、糖類等と配合して使用することもできる。
【0034】
【実施例】次に、実施例によって本発明を具体的に説明
する。
【0035】(実施例1)α−サイクロデキストリン
(日本食品化工(株)製、商品名セルデックスA−10
0)、β−サイクロデキストリン(日本食品化工(株)
製、商品名セルデックスB−100)、γ−サイクロデ
キストリン(日本食品化工(株)製、商品名セルデック
スG−100)の粉末を、各々、100g、70g、3
0gとり、85℃の温水8000gに溶解した。この溶
液中の、総サイクロデキストリン重量に対する、α、
β、γ−サイクロデキストリン重量の割合は、各々、5
0%、34%、16%であった(αとβ−サイクロデキ
ストリンで、84%を占める。)。
【0036】この液に、鰹節粉末600gを投入し、時
々攪拌しながら80℃で30分間抽出した後、セライト
濾過を行い、ブリックス3.3の鰹節エキス6900g
を得た。
【0037】この鰹節エキス30mlを、熱湯60ml
に溶解後に試飲したところ、鰹節本来の香りとほとんど
同様の香りを有していた。
【0038】(実施例2)サイクロデキストリンを含有
するデキストリン製剤である商品名デキシーパールSD
−20(塩水港精糖(・株)製、固形分中の約20%が
サイクロデキストリン)2kgとβ−サイクロデキスト
リン(日本食品化工(株)製、商品名セルデックスB−
100)100g)及びγ−サイクロデキストリン(日
本食品化工(株)製、商品名セルデックスG−100)
100gを70℃の温水30kgに溶解した。この溶液
をHPLC分析したところ、総サイクロデキストリン重
量に対する、α、β、γ−サイクロデキストリン重量の
割合は、各々、27%、50%、23%であった(αと
β−サイクロデキストリンで、77%を占める。)。
【0039】この液に、鰹節粉砕物2.5kgと宗田鰹
節粉砕物0.5kgを加え、撹拌しながら85℃で40
分間抽出し、粕分離して、ブリックス8.9の抽出液2
6.5kgを得た。この抽出液を遠心分離機で清澄化
後、逆浸透圧濃縮により、ブリックス15まで濃縮し
た。得られた濃縮液は、噴霧乾燥機で、チャンバー温度
90℃の条件下で噴霧乾燥し、鰹節エキスの乾燥粉末を
2.1kg得た。
【0040】この鰹節エキスの乾燥粉末1gを熱湯50
mlに溶解して試飲したところ、鰹節本来の風味とほと
んど同様であった。
【0041】HPLC分析:測定溶液は、グルコアミラ
ーゼ処理を施した後に、分析に供した。カラムは、BI
O−RAD社製のAMINEX HPX−42A(30
0mm×7.8mmφ)をカラム温度55℃で用い、脱
気純水を移動相(0.6ml/分)として、示差屈折計
により得られるピーク面積比より、サイクロデキストリ
ンの組成を算出した。
【0042】グルコアミラーゼ処理:測定溶液(ブリッ
クス5程度に濃度調整したもの、1ml)と、酵素溶液
{生化学工業(株)製グルコアミラーゼの溶液(pH
5.0の20mM酢酸緩衝液に、約70ユニット/ml
になるように溶解したもの、1ml)と、生化学工業
(株)製α−アミラーゼの溶液(pH6.0の20mM
酢酸緩衝液に、約420ユニット/mlになるように溶
解したもの、30μl)の混合液}を混合し、50℃で
120分間反応させた後、煮沸して酵素を失活させた。
【0043】(実施例3)サイクロデキストリンを含有
するデキストリン製剤である商品名デキシーパールK−
50(塩水港精糖(株)製、固形分中の約50%がサイ
クロデキストリン)1kgと、γ−サイクロデキストリ
ン(日本食品化工(株)製、商品名セルデックスG−1
00)250g)及び分岐デキストリン商品名BLD
(8)(参松工業(株)製)2kgを、75℃の温水5
0kgに溶解した。実施例2に従ってHPLC分析した
ところ、この溶液中の総サイクロデキストリン重量に対
する、α、β、γ−サイクロデキストリン重量の割合
は、各々、45%、18%、37%であった(αとβ−
サイクロデキストリンで、63%を占める。)。
【0044】この液に、鰹節切削物2kg、鯖節切削物
2kg、宗田節切削物1kgを加え、撹拌しながら95
℃で20分間抽出し、粕分離して、ブリックス8.3の
抽出液46kgを得た。
【0045】得られた抽出液は、遠心分離機にかけて液
を清澄化し、実施例2と同様に、ブリックス15まで濃
縮後、プレート式熱交換器を用いて95℃10秒間加熱
殺菌した。その後、−30℃に予備凍結し、真空度0.
1〜0.2トル、棚温度40℃の条件で凍結真空乾燥し
て、魚節エキスの乾燥物3.1kgを得た。
【0046】この魚節エキスの乾燥物1gを50mlの
熱水に溶解して風味をみたところ、魚節本来の香りとほ
とんど変わらないものであった。
【0047】(実施例4)サイクロデキストリンを含有
する液状デキストリンである商品名セルデックスSL−
20(日本食品化工(株)製、固形分75%で固形分中
の約20%がサイクロデキストリン。サイクロデキスト
リンの組成を実施例2に準じて測定したところ、α、
β、γ−サイクロデキストリン重量の割合は、各々32
%、28%、40%であり、αとβ−サイクロデキスト
リンで、60%を占める。)3kgを、30%のエタノ
ール水溶液50kgに溶解した。
【0048】この液に鰹節粉末3kgを加え、60℃で
攪拌しながら60分間抽出し、粕分離後に減圧下でエタ
ノールを除去して、ブリックス5.2の抽出液を33k
g得た。
【0049】この鰹節エキス20mlを80mlの熱湯
に溶解し風味をみたところ、鰹節らしい風味が感じられ
た。
【0050】
【発明の効果】本発明を用いれば、魚節類本来の香りと
ほぼ同様の香りを有する、優れた魚節類エキス及びその
乾燥物を得ることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年12月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】 エキスの乾燥物を得る場合には、乾燥工
程を行えばよい。この際エキスに、新たに粉末化基材を
加えても構わない。この際使用できる粉末化基材として
は、前記に例示したようなサイクロデキストリンや、そ
の他粉末化基材として公知なデキストリンや可溶性澱粉
などが使用できる。新たに加える粉末化基材の量は、粉
末化直前の魚節類エキス溶液中に、約0.5〜40重量
%になるようにすればよいが、好ましくは約2〜20重
量%である。この範囲より粉末化基材量が少ない場合に
乾燥物に香気成分が十分に残らず、また多い場合には、
乾燥物中の節抽出成分含度が低くなるため、味が薄くな
り好ましくない。乾燥方法としては、例えば、熱風乾
燥、真空乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥などの周知の方法が
使用できるが、乾燥中の香気成分のロスが少ない、凍結
乾燥、噴霧乾燥が好ましい。乾燥物の形状は、微粉末で
もよいし、周知の方法により例えば顆粒状、タブレット
状、ブロック状などに成型して用いても構わない。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】サイクロデキストリンを添加した魚節類エ
    キスを得るに際し、エキス中の総サイクロデキストリン
    重量に対する、α−サイクロデキストリンとβ−サイク
    ロデキストリンの重量和の割合が60%以上100%以
    下で、且つβ−サイクロデキストリン重量の割合が10
    %以上であることを特徴とする魚節類エキスの製造法
  2. 【請求項2】予めサイクロデキストリンを添加した水性
    溶媒及び/又は水溶性有機溶媒を用いて魚節類エキスを
    得ることを特徴とする請求項1に記載の魚節類エキスの
    製造法
  3. 【請求項3】請求項1に記載の魚節類エキスの乾燥物
  4. 【請求項4】請求項2に記載の魚節類エキスの乾燥物
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