JPH11323749A - 複合線条体 - Google Patents

複合線条体

Info

Publication number
JPH11323749A
JPH11323749A JP19565098A JP19565098A JPH11323749A JP H11323749 A JPH11323749 A JP H11323749A JP 19565098 A JP19565098 A JP 19565098A JP 19565098 A JP19565098 A JP 19565098A JP H11323749 A JPH11323749 A JP H11323749A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composite
striatum
striated body
filament
striated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP19565098A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4110621B2 (ja
Inventor
Fumiaki Noman
文昭 乃万
Akihiko Kitano
彰彦 北野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP19565098A priority Critical patent/JP4110621B2/ja
Publication of JPH11323749A publication Critical patent/JPH11323749A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4110621B2 publication Critical patent/JP4110621B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ropes Or Cables (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、中空状でありながら、複合線条体の
形態安定性と可撓性を両立させることができ、さらに
は、現場で複合線条体を分解、組立することができる優
れた複合線条体を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の複合線条体は、螺旋状の線条体を
複数本組み合わせてなる中空状の複合線条体であって、
該線条体の断面形状が、長手方向にほぼ一様で、かつ、
隣接する線条体とは面で接触していることを特徴とする
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロープ、ワイヤ
ー、ケーブル、補強筋という名称で総称される繊維強化
樹脂(以下FRPと略す)製の複合線条体、すなわち、
橋梁、トンネル等の土木資材、道路橋や歩道橋などの道
路資材、架線等の鉄道資材、治水・水処理設備資材、港
湾・海洋資材、架設機材などの土木、建築資材をはじ
め、帆船、船舶、自動車、航空・宇宙、防衛などの構造
資材、さらには、電力、電気通信機器、スポーツ用品な
ど産業資材全般の分野に亘って好適に利用される複合線
条体に関する。
【0002】
【従来の技術】素線と呼ばれる細線を撚り合わせて構成
される、鋼などの金属製のケーブル、ワーヤーロープに
対し、軽量で錆びない樹脂あるいは繊維強化プラスチッ
ク(以下FRPと略す)製のケーブル、ワイアーロープ
といった複合線条体が開発されている。中でも、中空状
のケーブルあるいはワーアーロープは、中空部を利用し
て流体や粉体の搬送、あるいは送電線や光ケーブル等の
通信線を通すことが出来るなど、一般の管状の産業資材
としての利用が可能となる。トンネルを掘削する際に地
盤補強として使用するケーブルボルトにおいては、地盤
にケーブルボルトを挿入のための穿孔した孔にセメント
ミルクを注入した後、FRP製のケーブルボルトを挿入
してセメントミルクとともに固化させるものであるが、
ケーブルボルトがキルナタイプと言われる中空状の場
合、セメントミルクの注入はケーブルボルトの挿入後
に、中空部から可能で、より確実にケーブルとセメント
ミルクと地盤を一体化させることができる等は、産業資
材として中空状の複合線条体が中実である複合線条体よ
りも利用価値が高いことを示しており、中空状の複合線
条体は極めて熱心に研究されている。
【0003】例えば、特公昭57−25679号公報に
は、軽量で耐腐食性に優れる繊維強化樹脂製のロープ状
物として、複数本のストランドを撚合または編組して互
いに決着させた構造が開示されていが、各ストランドは
結着しているため可堯性に乏しく、ロープ状物とはいっ
ても、実用的な巻き半径に巻き上げることはできず、棒
状体として使うことしかできない。しかも、編組構造で
は、ストランドは屈曲し、かつ断面積(断面形状)が長
手方向に亘り一様でないため、機械的特性が十分に発現
されてはおらず、FRPの特徴を生かしきった構造とは
いえない。
【0004】また、特開平2−115499号公報に
は、細線からなる中空状の線条体(ロックボルト)が開
示されているが、やはり、細線同士が結合材で互いに結
着されているため、線条体は可堯性に乏しく、実用上極
めて重要である、巻き上げが不可能となり、現場へは、
所定の長さに切断した棒状物として搬入するという手間
のかかる手順を取っている。所定の長さに切断するので
あれば、ロープ状物とはいえず、ロープ状物が持つ半無
限長さを有することで現場で任意の長さに切断して無駄
なく線条体を使用できるという利便性が失われており、
実用的な長尺のロックボルトは得られていない。さら
に、該公報の線条体は組紐構造であるため、前公報の場
合と同様、細線同士が互いに交絡し、かつ、細線の断面
は長手方向に亘り一様ではないため、各細線の潜在的な
強度、剛性等の機械的特性が十分発現されているとはい
えない。
【0005】前記両公報がともに、複合線条体を構成す
る各線条体を結着、あるいは固化させる理由は、複合線
条体としての形態を安定させるためであり、特に複合線
条体を中空構造にする場合には、各線条体を結着させる
ことと、組紐あるいは編組構造とすることでのみ、形態
の安定性が得られると言うのが従来の常識であった。形
態の安定性は、構造体としての信頼性、すなわち、機械
的物性の信頼性につながるものであり、作業性について
も、例えば、中空部の大きさが変化する場合には中空部
に挿入した挿入物が予期せぬ変形を被って破損したり、
中空部に流し込んだ流体の流量が制限されるというよう
な問題を生じるので、大変重要な要素となっている。
【0006】しかしながら、複合線条体の形態の安定性
を結着あるいは固着により確保した場合、特公平6−6
0471号公報に述べられているように、複合線条体の
構成要素である線条体(あるいは細線)1本1本の滑動
が妨げられて可堯性が乏しくなり、実用上極めて重要で
ある、ハンドリング性が犠牲となるばかりか、物性の低
下を来すという不都合が生じる。
【0007】特公平6−60471号公報には、かかる
結着による弊害を抑制することを目的とした、複合材か
らなる芯と、編組体からなる外層を有し、かつ該編組体
は、その表面に繊維状のループまたは、起毛繊維を有す
る複合線状体が開示されている。この技術によれば、線
条体同士の接触を点接触状態として相互に滑動を可能に
することができるが、繊維のループまたは起毛繊維のよ
うな点接触では、活動する部分が容易に破壊して、複合
線条体としての形態安定性は使用頻度とともに乏しくな
っていく欠点があり。さらに、かかる点接触状態では、
心線が無い中空の場合には、特公平6−60471号公
報が心線の存在を発明の必須構成用件としていることか
らも明らかなように、複合線条体としての形態安定性は
全く失われてしまうものなのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来、軽
量で錆びないという優れた特徴のある中空状のFRP製
のワイヤーロープが限られた用途でしか使用されていな
いという理由は、可撓性と形態安定性が両立できていな
いためであり、環境保護の立場からも、エネルギー効率
のよい、FRP製の中空複合線条体を取り入れようとす
る各種産業分野においても、両者を両立させる技術の創
出が切望されているのが実状である。
【0009】本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、
中空状でありながら、複合線条体の形態安定性と可撓性
を両立させることができ、さらには、現場で複合線条体
を分解、組立することができる優れた複合線条体を提供
せんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の複合線条体は、螺旋状の線条体
を複数本組み合わせてなる中空状の複合線条体であっ
て、該線条体の断面形状が、長手方向にほぼ一様で、か
つ、隣接する線条体とは面で接触していることを特徴と
するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の複合線条体の一例を示す
図1〜図4に示す実施態様例により説明する。図1は、
本発明に係る中空状の複合線条体の実施態様の一例を示
す概略図である。 複合線条体1は、互いに結着されて
いない複数本の螺旋状の線条体2と、それら線条体で形
成される中空部3からなる。各線条体2の断面4の形状
は、複合線条体を長手方向に垂直に切断した時の各断面
で定義し、隣接する線条体とは面で接触している形状を
有する。また、線条体の螺旋形状は、図2に示す螺旋の
ピッチ5と径6により決まる。螺旋軸7は、線条体の断
面の幾何重心を長手方向に繋ぎ合わせた線として定義す
る。
【0012】複合線条体を構成する線条体としては、材
料に関係なく、線条体であればいかなる素材で構成され
たものでも使用することができる。すなわち、天然、合
成、無機および有機を含めたあらゆる素材からなる各種
線条体を使用することができる。それらの中でも樹脂の
みからなる線条体、繊維強化樹脂線条体が好ましく使用
される。特に少なくとも補強繊維8と樹脂9とからなる
繊維強化樹脂製線条体の複合線条体からなるもの(図
3)が好ましい。
【0013】まず、本発明の線条体2は、各線条体同士
が独立していて結着されていない点で、従来のワイアー
ケーブルとは全く相違するものであり、したがって組
立、分解が可能である。すなわち、現場への資材の搬入
は、複合線条体である必要はなく、複合線条体より軽量
で、柔軟性のある線条体の形態でよいということにな
る。すなわち、高重量・嵩高であるため実用化できなか
った大型の複合線条体が実現可能となる点で極めて特徴
的である。特に、トンネル採掘に利用するケーブルボル
トなどのように、狭い場所を通過して複合線条体を搬入
する必要がある場合には、これまで以上に多様な複合線
条体が利用できることになる。
【0014】また、分解・組立が可能であるので、複合
線条体の一部に、例えば異物の衝撃などにより、損傷が
生じた場合に、損傷した線条体のみを取り替えればよ
く、従来のように、複合線条体全部が使用不可能となる
ことはなく、極めて経済的な効果が生じる。
【0015】また、後述するように、複合線条体の長さ
が足りなくなって、同一形状の複合線条体同士を接続す
る場合に、従来のように複合線状線条体の断面同士を接
続させるのではなく、線条体の1本1本を一定以上の間
隔をあけて接続することで、複合線条体の接合面を長手
方向に分散させることができ、従来以上の接合強度が得
られるという効果もある。さらに、線条体の接続位置を
長手方向にずらすことで、容易に複合線条体を環状に組
み立てることができる。
【0016】次に、本発明の複合線条体は、線条体同士
が結着されていないため、従来の同じ径を有する複合線
条体に比べ、巻き上げ径(D)が極めて小さく、このた
め、コイル状に巻き上げた梱包形態でトラック輸送が可
能となり、現場への搬入が容易であるという特徴を有す
る。
【0017】巻き上げ径というのは、複合線条体を破損
させずに、ドラムに巻くことのできる最小径のことであ
る。実用的には、複合線条体の外径(d1)と巻き上げ
径(D)の比(D/d1)は20<D/d1<400の
範囲内とすると好ましい。この範囲より小さいと複合線
条体自体が柔軟すぎて、例えばメッセンジャーワイアー
などに利用する場合には複合線条体がブラブラして腰が
なくなる可能性がある。この範囲より大きいと、複合線
条体は棒状であり、ハンドリングが不十分となる可能性
がある。
【0018】従来の複合線条体においては、巻き上げ径
を小さくするためには、複合線条体の径を小さくするこ
とで対応せざるを得ず、こうした場合には、複合線条体
の径を小さくしたことで、複合線条体の耐荷重性能が低
下するという問題があった。また、耐荷重性能の低下を
本数でカバーすることも考えられるが、ロックボルトな
どの場合、ロックボルトの間隔を十分取る必要があり、
打ち込み本数に限界がある。
【0019】通常、複合線条体の巻き上げ径(D)は、
複合線条体の外径(d1)、線条体の引張または圧縮強
度(σ)、線条体の弾性率(E)により決まり、その値
は大凡(1)式となる。
【0020】 D=(Ed1/2σ) (1) 例えば、複合線条体のEが100GPa、d1が30m
m、σが1GPaの場合、Dは1.5mとなる。
【0021】本発明の複合線条体は、各線条体が結着さ
れていないため、線条体が有る程度移動でき、巻き上げ
径は(1)式において、複合線条体の径d1ではなく、
それよりも小さい線条体の外(接円)径d3で置き換え
た(2)式で与えられる。
【0022】D=(Ed3/2σ) (2) 複合線条体の外径d1は線条体の外接円径d3より大き
いので、本発明の複合線条体は、従来の複合線条体より
巻き上げ径が小さい。その値は、線条体1本を巻き上げ
場合に等しい柔軟性を有する。(2)式より明らかなよ
うに、本発明の複合線条体の巻き上げ半径をより小さく
するためには、線条体のd3を小さくすればよい。但
し、小さくすると、必要な線条体の本数nが増えすぎる
こともあるので、複合線条体を現場で組み立てたり、分
解したりする作業量を考慮して、現実的には、n=5〜
36本の範囲内とすることが望ましい。さらに、nは3
60の約数であることがより好ましい。
【0023】土木・建築分野では1〜15mの範囲内で
あることが作業性上好ましい。また、鉄道資材において
は0.3m〜5mの範囲内部であることが好ましい。
【0024】次に、本発明の複合線条体は、中空部を有
しているため、軽量で、かつ、この中空部を上述したよ
うに様々な目的に使用することができる。
【0025】中空部の大きさは特に制限されるものでは
ないが、例えば、気体などの流体を搬送する場合、流量
を大きくしたい場合には、大きくするとよいし。複合線
条体の外径を大きくせずに、強度を向上させたい場合に
は小さくするとよい。高粘度の流体を比較的早い速度で
流したい場合も、中空部の大きさは大きい方が好まし
い。
【0026】上述の複合線条体の柔軟性を確保するとい
う観点からは、中空部の径(複合線条体の内径に等し
い)d2と、外径d1との関係は、0.1<d2/d1
<0.6の範囲内であることが好ましい。この範囲より
大きいと強度が十分でなくなる可能性があり、この範囲
より小さいと柔軟性(巻き上げ径など)が十分でなくな
る可能性があるからである。
【0027】ただし、柔軟性については、線条体を複合
線条体に組み上げた後不必要となる場合(たとえばケー
ブルや架線など長期に使用する場合)には、上記の関係
は、0.01<d2/d1<0.6の範囲であってもか
まわない。d2/d1を小さくとることで、複合線条体
の有効断面積が増えて、強度を大きくすることができ
る。
【0028】また、中空部の形状は、円や楕円や多角形
であると内部に通信用のケーブル等を通す場合に、壁面
との摩擦抵抗が少なくて好ましく、外に凸の花びら形状
の場合には中空部の大きさが大きくできて好ましく、内
に凸の星形の場合にはセメントなどを流し込んだ場合の
接着力が大きくなって(接着面積が大きい)好ましい。
次に、本発明の線条体は、複合線条体としての形状を
安定して保つために、螺旋状をしており、断面形状は長
手方向にわたり一様で、隣接する線条体とは面で接触し
ている。
【0029】断面形状が一様である必要があるのは、従
来技術の項で述べたように、断面の形状が変化するとい
うことは、線条体が長手方向に不均一構造をとるという
ことであり、線条体の強度・弾性率などの機械的特性の
低下につながるからである。また、後述する断面形状の
関係で、隣接する線条体間にはたらく、摩擦や、押しつ
け力が長手方向に不均一となり、複合線条体の形態安定
性にも影響するからである。
【0030】図4には、好ましい線条体の断面形状の例
のいくつかを示した。線条体の断面が円の場合、線条体
同士は長手方向に線で接触することとなり、線条体が容
易に移動して複合線条体としての形状が安定しない。面
で接触させることで、線条体同士の摩擦力による形態安
定性が確保でき、また、複合線条体を引っ張った場合、
線条体同士が互いに締め付け合う力を面で受け止めるこ
とができるため、複数本の線条体をほぼ同時破壊させる
こおができ、補強繊維の持つ強度が十分に発揮できる。
【0031】複合線条体を断面からみた場合、隣接する
線条体の境は直線または曲線で表されるが、複合線条体
の形状をより安定化させるためには、線条体断面の周長
(S)の長さに占める隣接する線条体との同方向の接触
長さ(L)との比(L/S)が0.3<L/S<0.7
の範囲内であることが好ましい。この範囲より小さいと
接触面積が小さくなり(円断面に近い状態となり)、厳
しい環境下で本複合線条体を使用する場合に、予期せぬ
分解を生じることがあるからである。この範囲より大き
いと逆に形態が安定しすぎて、分解が容易でなくなる可
能性がある。
【0032】また、本発明の複合線条体に引張力が作用
した時には、線条体同士は押しつけ合うことになるの
で、接触する部分(上記接触長さに相当する部分)は直
線であることが好ましい。例えば図3の台形状の断面が
これに相当する。さらに、2直線は、直線の延長線が複
合線条体の中心14を通る直線あるいは放物線上を通る
のが最も複合線条体の形態が安定するため好ましい。複
合線条体の中心を通る直線あるいは放物線上に2直線が
ない場合は、複合線条体を引張った時、2直線(辺)に
かかる力のかかる方向が複合線条体の径方向以外の成分
をもつので、複合線条体の断面形状が変形し、形態保持
のバランスが確保できなくなる可能性があるからであ
る。
【0033】本発明の線条体において線条体の隣接する
その2辺が直線である場合、両辺のなす角度(図3中の
15)は10〜75度の範囲であることが好ましく、さ
らには30〜50度が好ましい。10度未満であると複
合線条体の構成本数が36本を越えるこことなり線条体
が容易に移動し形態保持ができなくなる。また、75度
を越えると5本未満となるため線条体が高剛性となり巻
き上げがむつかしくなる。このことから構成本数は5〜
36本の範囲が好ましい。さらには、6〜12本の範囲
内が好ましい。また、曲げモードを受ける場合には、断
面の対称性が確保できた方がバランスがとれるので、n
は偶数であるとより好ましい。
【0034】また、線条体同士の摩擦係数は、大きい方
が形態安定性上好ましが、分解することも考慮すると、
0.1〜0.4の範囲が好ましい。
【0035】隣接する線条体の2辺をつなぐ線は、直線
であっても、曲線であっても差し支えない。外に凸の曲
線であると、複合線条体の外観は丸みを帯びたものとな
り、ハンドリング時に作業者が手などを擦りむくなどの
災害の可能性が少なく好ましいばかりか、セメントなど
へ埋め込んだときにセメントとの接触面積が大きくなっ
て接着力が増すので好ましい。
【0036】勿論、積極的に、セメントなどとの接着力
を向上させるために、線条体の表面に突起や、凹み、溝
を設けても差し支えない。突起、凹み、溝は、必ずしも
長手方向に亘って一様である必要はなく、所々に点在さ
せても差し支えない。
【0037】建造物に使用する補強筋等の外周面はコン
クリートとの付着性が発現する方形、鋸歯状等の凹凸形
状が好ましい。コンクリートとの付着性を発現する方法
として線条体の表面をサンドブラスター等で荒らすか粒
状物、線状物等接着する後加工も好ましい。
【0038】尚、溝を隣接する線条体との接触面に設け
た場合には、中空部が複合線条体の中心部以外にも存在
することになり、産業資材としての利用価値が増す。例
えば、中心部の中空には光ケーブルを、溝には通電線を
挿入することができ、両者を分離することで、光ケーブ
ルと通電線間のノイズなどの相互作用の影響が出ないよ
うにすること等ができる。あるいは、中心部には樹脂を
流し込み、溝には硬化剤を流し込んで、複合線条体を緊
張させたり緊張を緩めたりして、あるいは振動を与えた
りして、樹脂と硬化剤が混ざるようにして複合線条体を
固めてしまうなどの利用法等がある。
【0039】また、隣接する線条体とのコーナー部分に
は応力集中を低減するため、コーナー部は丸みを帯びて
いることが好ましい。丸み半径は1mm以上であれば十
分である。
【0040】また、複合線条体が曲げを受けた場合に
は、線条体も曲げ状態となるため、この場合、断面は、
図4の(1)、(2)、(4)、(5)、(6)、
(8)、(9)、(10)、(11)、(12)等の対
称軸が1本以下であることが好ましい。対称軸が2本以
上となると、線条体が対称軸に対して回転し易くなり、
曲げを受けた時に複合線条体の断面形状が変化する可能
性があるからである。
【0041】つぎに、本発明の線条体は螺旋形状をして
いる。長手方向に形成される螺旋は組み合わせて複合線
条体としたとき形態保持するための撚りの役目を果た
す。すなわち、この撚りと上記した隣接する線条体同士
が面で接触するとい拘束力により結着されていないにも
かかわらず、線条体が複合線条体として形態保持するこ
とができる。
【0042】線条体の螺旋形状は、図2で示す常螺旋の
ことであり、螺旋のピッチ(c)と径(a)により形状
が決定される。線条体の断面の重心を長手方向に繋いで
できる線条体の中心軸は、図2のx,y,z,軸上で、
次式で定義される。すなわち、螺旋の形状はtをパラメ
ータとして、 x=acost y=asint z=(c/2π)t で表される。
【0043】複合線条体の形態安定性は螺旋の撚りによ
りもたらされるものであるから、ピッチcは、線条体の
大きさ(重さ)にほぼ比例するaとの関係で適切な範囲
がある。定性的には、ピッチが長いと形態安定性は低下
する方向にあり、ピッチが短いと形態安定性は向上する
方向にある。
【0044】本発明においては、線条体の形態安定性が
十分確保できる条件として、ピッチcと径aの比c/a
は0.2〜500の範囲であることが好ましい。さら
に、現場での組立・分解の作業性を考慮すると、c/a
は1〜100の範囲内であるとより好ましい。
【0045】土木・建築用途においてコンクリート補強
用の筋として使用する際には、aは10〜30mmの範
囲が好ましく、cは100〜3000mmの範囲である
ことが好ましい。径aを本範囲内とすることで、土木・
建築分野で特に重要となる荷重負担能力を大きくするこ
とができるとともに、ピッチcを本範囲とすることで、
土木・建築分野で重要となる剛性を高くすることができ
るからである。また、両者を本範囲内とすることで、土
木・建築分野で最も好ましい、作業性と物性がバランス
した複合線条体が得られる。
【0046】一般的に繊維強化樹脂を成形する時、引き
揃えられた繊維束に樹脂を含浸し各種の形状に成形する
が、円形、円筒のような曲面を持つ成形品は曲面である
厚みをもった繊維束を張り付け、巻き付けた時に内外周
差のために内周部の繊維が屈曲成形されることとなり、
本来有する繊維の機械的特性が十分に発揮されていな
い。本発明の線条体についても螺旋にすることにより同
様で曲面はできるだけ大きくする必要がある。このこと
から螺旋ピッチは100mm以下では線条体の曲面が小
さ過ぎて機械的特性が確保できない。また、3000m
m以上となると撚り効果が少なくなり巻き上げた時形態
保持することができない。
【0047】以上、経済性上から利点のある、線条体の
断面は1種類で統一されている場合についての記述が多
かったが、勿論、コンクリートとの付着性の発現させる
などの目的で、異なる形状の断面を持つ線条体で1つの
複合線条体が形成されていても一向にさしつかえない。
【0048】次に、本発明の線条体は、樹脂または繊
維、特に補強繊維と樹脂からなる繊維強化樹脂(FRP
と以下略す)製であり、樹脂は固化したものである。
「固化」とは、熱硬化性樹脂にあっては、硬化反応によ
って硬化した樹脂の状態を意味し、熱可塑性樹脂にあっ
ては、冷却して固まった樹脂の状態を意味する。また、
補強繊維は実質上螺旋の軸の方向に配列していることが
機械物性上からも、成形上からも好ましい。
【0049】補強繊維としては炭素繊維、ガラス繊維、
アルミナ繊維、窒化珪素繊維等の無機繊維とアラミド繊
維、ナイロンなどのポリアミド系合成繊維、ポリオレフ
ィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリフェニルスルホ
ン繊維等の有機繊維といった公知の繊維を使用すること
ができる。
【0050】炭素繊維は、強度、弾性率が高く、耐食性
に優れるという特徴を持つ。PAN(ポリアクリルニト
リル)系、ピッチ系のいずれでもかまわないが、中でも
PAN系の炭素繊維は上記弾性率、伸度以外に径方向の
特性にもすぐれるので好ましい。複合線条体に腰を持た
せたい場合には、弾性率が200〜600GPaの炭素
繊維、柔軟性をもたせたい場合には強度が3〜10GP
aの範囲内のものを選定するとよい。炭素繊維は、補強
繊維の中では弾性率が高いので、複合線条体の形態安定
性を向上させたい場合に使用することができる。例え
ば、ガラス繊維製の複合線条体において、ピッチを大き
くとる必要が生じて形態安定性が不足する場合、ガラス
繊維に炭素繊維を合糸することで、線条体の剛性を増
し、形態安定性を向上させることができる。
【0051】ガラス繊維は、圧縮/引張の強度バランス
が良い。ガラス繊維とは、二酸化珪素(SiO2 )を主
成分とするいわゆるEガラス、Cガラス、Sガラスなど
の繊維状ガラスのことで、繊維径は5〜20μm程度の
ものであることが好ましい。上記の補強繊維を単独で使
用するか2種類以上を混合して使用することは補強繊維
の特性を十分に引き出し、また経済的であることから好
ましい。
【0052】繊維の形態としては、ストランド状、ロー
ビング状、紡績糸状、織物条、カバリング糸状など公知
の形態のいずれでも構わないが、強度や剛性を向上させ
たい場合には、ストランドあるいはロービング状である
ことが好ましい。また、2回/m〜10回/m程度の撚
りをかけることもプロセス上好ましい。上述した巻き上
げ径の関係では、ガラス繊維は炭素繊維より弾性率が小
さい(約7tonf/mm2 )ので、巻き上げ径を小さ
くしたい場合に使用することもできる。例えば、炭素繊
維の周りをガラス繊維製のメッシュやクロスで被覆する
等である。
【0053】有機繊維の中で、強度・弾性率が高く、構
造用に適するのは、アラミド繊維である。酸に対する抵
抗性があると同時に、強度は2.5GPa〜3.8GP
aと極めて高い。アラミド繊維として広く使用されてい
るのはケブラー繊維で、比重が炭素繊維やガラス繊維よ
り低いので、複合線条体を軽量化したい場合にも使用す
ることができる。例えば、炭素繊維製の複合線条体にお
いて、線条体の何本かをケブラー繊維製として、より一
層の軽量化ができる。また、ガラス繊維と同様、有機繊
維は非導電性であるので、炭素繊維を有機繊維で被覆す
ることで線条体、及び複合線条体の表面全部あるいは一
部を非導電性とすることができる。
【0054】本発明の線条体は複合線条体が引張を受け
た場合に、互いに押しつけ合うという挙動を呈するた
め、線条体が圧縮破壊する可能性があり、これを防止し
たい場合には、螺旋軸方向以外の方向、例えば、螺旋軸
と垂直あるいは、螺旋軸を45度の方向に繊維を補強し
て線条体が径方向に変形することを妨げることが好まし
い。例えば、上記したカバリング糸の場合におけるカバ
リング糸のカバー方向を芯となる補強繊維の繊維方向に
対し45度方向としたり、90度方向としたりすること
で線条体が径方向に変形し圧縮破壊するのを防止するこ
とができる。
【0055】また、圧縮破壊を抑制する他の方法とし
て、線条体の外周に一定間隔を空けて糸状物を巻き付け
ることもできる。勿論糸状物ではなく、筒状物で線条体
を被覆しても圧縮破壊の抑制に効果がある。尚、糸状物
を一定間隔置きに巻き付けた場合には、線条体の断面形
状は厳密には長手方向に亘り均一とはならないが、本発
明においては、複合線条体の形態安定性を損なわない程
度の断面形状の均一性が確保されている場合も含むもの
である。同様の意味で、線条体を接合した箇所では、補
強材などにより断面形状は厳密には長手方向に亘り均一
とはならないが、接合部は全体の長さに対しごく一部で
あり、接合部という局所的な断面形状の変化も本発明に
おいては許容されるものである。
【0056】なお、線条体の接合には、接着接合、融着
接合、機械接合など公知のあらゆる接合法を用いること
ができるが、断面形状を著しく変化させずに強い接合が
得られるという意味では接着接合が好ましい。この際、
接合法としては、バットジョイント、スカーフジョイン
ト、テーパーラップジョイント、シングルラップジョイ
ント、ダブルラップジョイント、ダブルバットラップジ
ョイント、ベベルラップジョイント、2重ベベルラップ
ジョイント、インサートラップジョイント、ベベルイン
サートラップジョイントなどが有効で、接着剤は信頼性
の高い、エポキシ系、アクリル系、フェノール系、シア
ノアクリレート系のものが特に好ましく使用される。中
でも耐久性の高いエポキシ系のものがより好ましく使用
される。また、接合を有する線条体の抜けを防止して、
複合線条体の強度を確保するというためには、線条体の
接合部を有する部分の複合線条体全体を金属や樹脂製の
リング、箔、帯、テープ、バンド、スプリングなどで帯
状物またはリング状物で被覆(固定部と以下呼ぶ)して
複合線条体の径方向の変化を抑制することも好ましい。
また、固定部は接合部を保護するという役割、接合部が
どこにあるかという目印の役割も果たす。この場合、固
定部の(かしめる)強さは、複合線条体を径方向に0.
01%〜0.5%程度変形させる強さであることが好ま
しい。かしめる強さが上記範囲以下であると固定部の帯
状物やリング状物といった金具や治具が使用中に移動し
てしまう可能性があり、上記範囲以上であると複合線条
体を破損する可能性がでてくるからである。固定部の長
手方向の長さとしては、複合線条体の径の0.5倍〜5
00倍の範囲内であることが好ましい。固定部の長さが
本範囲以下であると固定する効果が薄れる可能性があ
り、本範囲以上であると固定部による重量増加が生じる
ためである。
【0057】なお、線条体の接合部が短い間隔で存在し
すぎると、複合線条体としての強度が低下する場合があ
るので、各線条体の接合部はできるだけ均一に分散させ
ることが好ましい。定量的には、線条体の接合部の間隔
は複合線条体の径の10倍以上であることが好ましい。
また、同一の線条体が接合部を複数有する場合には、そ
れら接合部の間隔は、ピッチの4倍以上であることが好
ましい。
【0058】尚上記した帯状物を使用する場合には、接
合部と帯状物の位置を一致させることが有効であり、こ
うした場合には、接合部の間隔は、上記の半分以下であ
っても差しつかえない。
【0059】さらに、接着接合をより完全なものとする
方法として、接合部を有する箇所において複合線条体を
樹脂で固める方法も有効である。但し、樹脂を複合線条
体全体に亘り流し込むことは、複合線条体の柔軟性を損
ねる場合もあるので、組立分解を頻繁に行う用途では差
し控えた法がよい。逆に、一旦組立た後には分解せず、
半永久的に使用する用途では、複合線条体を樹脂で固め
て強度を向上させたり、耐候性を高めたりするすること
は好ましい。
【0060】また、接着接合に嵌合接合を併用すること
でも接合部の強度を高くすることができる。嵌合接合と
は、爪やノッチを線条体に設けてそららが機械的にかみ
合う構造のものである。
【0061】融着接合は、線条体の樹脂が熱可塑性樹脂
である場合などには、線条体同士を圧着させて融解させ
て接合したり、加熱したり、第3の熱可塑樹脂を加えた
りして融着させる方法である。理想的には、接合部で繊
維が連続していることが好ましいので、融着に際して
は、接合部をオーバーラップさせることが好ましいが、
ピッチとの関係で不可能なことも多いので、融着部に短
繊維や無機粒子などのフィラーを混入させることで融着
部の強度を向上させることができる。
【0062】本発明でいう樹脂としては、公知のあらゆ
る樹脂を使用することができる。フェノール樹脂、ベン
ゾオキサジン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂、ある
いは、ポリエチレン、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド
樹脂、ABS樹脂、ポチブチレンテレフタレート樹脂、
ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート等の樹脂などの
熱可塑性樹脂、及びこれら樹脂をアロイ化した変性樹脂
も使用することができる。ポリ塩化ビニルは低温性能に
優れて好ましい。エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビ
ニルエステル樹脂およびこれら樹脂の変性樹脂は、引き
抜き成形性に適し、かつ、耐薬品性、耐候性などに優れ
ているので、かかる性能が要求される用と分野の素材と
して好ましく使用される。また、フェノール樹脂、ベン
ゾオキサジン樹脂も難燃性に優れ、燃焼時の発生ガスも
少なく土木、建築用素材として好ましく使用される。ま
た、ナイロンなどの熱可塑性樹脂も熱変形させたい場合
の素材として好ましく使用される。
【0063】次に、本発明の線条体を製造するには、プ
ルトルージョン法、プルワインド法、フィラメントワイ
ンド法、ハンドレアップ法、レジントランスモールディ
ング法、SCRINP法等、公知のあらゆる技術を用い
ることができる。中でも、ブルトルージョン法は、螺旋
状の金型を使用することで、連続的に補強繊維ヤーンま
たはストランドに樹脂を短時間で含浸、硬化させること
ができて、効率的に線条体を製造できる。また、断面の
形状も金型の精度をあげることで、正確に調整でき、複
合線条体の形態安定性を極めて良好に確保することがで
きる。1例として、一方向に引き揃えた長繊維か、また
は短繊維の補強繊維束に熱硬化性樹脂または熱可塑性樹
脂を含浸し螺旋状の溝加工を施した金型に入れて固化し
螺旋状の線条体を得る。金型に切られた螺旋状の溝は線
条体を組み合わせた時の複合線条体中空部の外周に沿っ
て螺旋ピッチで巻き付けた軌跡を基に線条体に隣接する
2辺を有するほぼ台形状を組み合わせた時の状態と同一
なる位置に溝を加工する。この金型で成形した螺旋状の
線条体をえる。螺旋は複数本の線条体を接着せず組み合
わせた時の撚りの役目を果たし、組み上げた後、線条体
のほぼ台形形状の断面との相乗効果で形態を保持し、し
かも中心部に中空を形成する。複合線条体の撚りは巻き
上げる時、曲部の内外周差が発生する特に内周部長さは
中空部に逃げるとともに線条体の撚りに沿って外周部へ
滑り逃げて小径で巻き上げることができる。かくして出
来上がった線条体を複数本組み合わせることで、柔軟
で、形態が安定した中空状の複合線条体ができる。
【0064】次に、本発明の複合線条体の製造方法を図
面により、さらに具体的に説明する。図5、図6は、本
発明の樹脂製線条体の製造法であり、工程1で、樹脂9
を押出機24の金型25から押出し、一様な断面を有す
る棒状樹脂26を得る(図5)。その後、工程2で、こ
の棒状樹脂を赤外線などの加熱手段による加熱工程27
により、螺旋状のねじりを賦型して(図6)、樹脂製線
条体を製造するものである。かかる方法の他に、たとえ
ば押出成形において、金型を螺旋状にして、直接螺旋状
の樹脂製線条体を製造することもできる。
【0065】次に、図7は、本発明の繊維強化樹脂製線
条体の製造法であり、繊維強化繊維束17をクリール1
9から引き出し、樹脂含浸バス20、予備金型21を通
過させた後、螺旋状の金型にて樹脂を硬化させて螺旋形
状を賦型する。引き出しの駆動力は、引き抜き機23か
ら、導きロープ22を介して得る。かかる製造方法にお
いて、予備金型は、必ずしも必要ではないし、金型の数
を複数にしたり、賦型後に線条体同士を組み合わせる工
程を入れたり、複合線条体を同時に成形するなどの手段
を採用することなどの手段を適宜採用することができ
る。
【0066】かくして得られる本発明の複合線条体は、
ロープ、ワイヤー、ケーブル、補強筋という名称で総称
される樹脂製の複合線条体であるが、その利用分野は一
般産業資材全般といった広範に亘る。使用の形態は、複
合線条体のみでも、金属製の撚り線の芯線とするなどし
て他素材と組み合わせでも使用することができる。
【0067】具体的には、橋梁、トンネル等の土木資
材、道路橋や歩道橋などの道路資材、架線等の鉄道資
材、治水・水処理設備資材、港湾・海洋資材、架設機材
などの土木、建築資材をはじめ、帆船、船舶、自動車、
航空・宇宙、防衛などの構造資材、さらには、電力、電
気通信機器、スポーツ用品など産業資材全般に渡る。
【0068】このうち、橋梁には斜張橋や吊り橋のケー
ブル、ケーブルを固定するためのステーケーブル、ケー
ブルを固定する地盤やコンクリートの補強筋など、道路
橋や歩道橋の床板や床面を補強する補強筋、橋の防護
柵、防雪柵などである。道路資材としては各種標識や信
号柱、照明具固定用のケーブルやワイヤー、防護ネッ
ト、防雪ネット等として利用できる。
【0069】鉄道資材としては、トロリ線、ちょう架
線、補助ちょう架線、トロリ線、ハンガ、ドロッパ、曲
線引金線、架空地線、き電線、保護線を始めとするケー
ブル、ワイヤー類、電柱や信号柱の固定ケーブル等があ
る。
【0070】港湾・海洋資材としては、船舶の係留用ワ
ーアー、帆船用のワイアーケーブル、貨物の積み卸し用
のケーブル類、ウインチ用ケーブル、海中観測機器のブ
イ等の係留ワイアーなどである。
【0071】電力・電気通信用途では、送電線そのもの
はもとより、送電線の支持ケーブルあるいはシースとし
て、あるいは、アーマーロッド、ダンパー、スペーサー
などに使用することができる。また、送電ケーブルや光
ファイバー等の通信ケーブルを被覆・支持する中空管状
体としても、あるいはこれらを敷設する際のメッセンジ
ャーワーヤ、あるいは導線としても使用できる。
【0072】このうち、好ましい用途の一つとして、法
面その他の斜面の土留め等を目的として地盤に設置する
永久地盤アンカー、トンネルや坑道を掘削する際に地盤
補強として使用するロックボルトおよびケーブルボルト
が挙げられる。
【0073】かかる用途においては、本発明の特徴であ
る複合線条体の組立・分解が可能、複合線条体の長さが
半無限的に可能、複合線条体の柔軟性という特性が特に
重宝され、従来にない技術上、作業性上、経済性上の効
果をもたらす。
【0074】
【実施例】実施例1 補強繊維を炭素繊維とし東レ(株)”トレカ”T700
S(弾性率23.5tonf/mm2 、強度490kg
f/mm2 )のストランドを引き抜き成形により樹脂
(エポキシ樹脂)を含浸、硬化(硬化温度120℃、補
強線の繊維退席含有率=50%)して、長さ20mの螺
旋状の線条体を9本得た。線条体の螺旋のピッチは40
0mm、螺旋の径は20mmとした。また、線条体の断
面形状は丸みを帯びた図9の台形で、複合線条体に組み
合わせた時に隣接する線条体とは長さ5mmで接し、こ
の2辺のなす角度は40度である。
【0075】かかる線条体9本を組み合わせて長さ20
m、中空部の直径が10mm、外周18mmの複合線条
体を作成した。本複合線条体は4m径のドラムに巻き上
げることができた。また、かかる複合線条体は巻き上げ
の前後で形態は十分安定していた。また、一度分解し、
再度組み立てて巻き上げ径を再測定したところ、やはり
4.2であり、再測定の前後でも複合線条体の形態は非
常に安定していた。
【0076】実施例2 実施例1と同一の金型を使用し、補強繊維をガラス繊維
ロービング(日東紡績社製RS240PE−985)と
した他は実施例1と同様にして、ガラス繊維強化樹脂製
複合線条体を得た。かかる複合線条体は3m径のドラム
に巻き上げることができた。
【0077】比較例1 実施例1の複合線条体の外表面からエポキシ樹脂を塗布
して、硬化させた後、巻き上げ半径を測定したところ、
10mドラムでも巻き上げることはできなかった。
【0078】実施例3 この実施例は、補強繊維を含有しない樹脂製線条体のみ
で複合線条体を構成した例を示すものである。すなわ
ち、押出成型した高密度ポリエチレン(密度9.4g/
cm3 )からなる台形断面(図4の9の形状、上底3m
m、下底6mm、高さ5.6mm、斜辺同士がなす角度
30度)の線条体(長さ3m)を赤外線ヒーターで10
0℃に加熱して捩じって、螺旋状の線条体(螺旋径10
mm、ピッチ300mm)を12本得た。これらの線条
体を組み合わせて、中空状の複合線条体を組み立てた。
この複合線条体の内径は11.2mmで、外径は23.
2mmであった。
【0079】この複合線条体を巻き上げたところ、1m
のドラムに巻き上げができた。また、巻き上げ後も、形
態は安定しており、手で曲げても分解することはなかっ
た。また、12本の線条体の6本の表面を黄色に、残り
の6本の表面を黒色に着色して組み立てたところ、トラ
縞模様の意匠を有する複合線条体が得られた。
【0080】実施例4 実施例1と同一の複合線条体において、9本の線条体の
中の1本を螺旋軸に対し垂直に切断し、その箇所を室温
硬化型の2液硬化型エポキシ系接着剤で接合して、接合
部を有する長さ10mの複合線条体を得、これの両端を
把持して引張試験した。
【0081】その結果、引張強度は、線条体を接合して
いない場合(接合部を有しない複合線条体)の70%で
あった。
【0082】実施例5 実施例4の複合線条体において、接合部を有する箇所
を、直径1mmのスチールワイアで5回(幅5mm)巻
き締めた(縛った)固定部を設けて、実施例4と同様に
引張試験した。この際、スチールワイアで締め付けた箇
所の径の変化は0.1%であった。
【0083】その結果、引張強度は、線条体を接合して
いない場合の90%であった。
【0084】実施例6 実施例4の複合線条体の接合部を有する箇所を中心とし
て、複合線条体の長手方向に亘り、ゴム変性したエポキ
シ系接着剤を流し込んで、線条体を固着させた固定部を
設けて、実施例4と同様に引張試験した。固定部の長さ
は複合線条体の径の3倍であった。
【0085】その結果、引張強度は、線条体を接合して
いない場合の90%であった。
【0086】実施例7 実施例1と同一の複合線条体において、9本の線条体の
うちうの2本を切断し、その2箇所の間隔をピッチの2
倍(800mm)離してアクリル系接着剤で接合した、
長さ15mの複合線条体を得、これを両端把持して引張
試験した。
【0087】その結果、引張強度は、線条体を接合して
いない場合の70%であった。
【0088】
【発明の効果】本発明によれば、中空でありながら機械
的特性に優れ、しかも、線条体が接着していないため複
合線条体の分解、組立が容易にできるとともに柔軟性が
あり、巻き上げ径を小さくすることがでる、従来にな
い、極めて優良な産業資材、しいては、産業界の発展に
寄与する優れた複合線条体を安価に提供することができ
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合線条体の(立体)概略図である。
【図2】本発明の螺旋状線条体の概略図である。
【図3】本発明の線条体の断面の図である。
【図4】本発明の線条体の断面の図である。
【図5】本発明の線条体を製造する一例である押出成形
法の工程1を説明する概略図である。
【図6】図5の押出成形法の工程2を説明する概略図で
ある。
【図7】本発明の線条体を製造する一例であるプルトル
ージョン法を説明する概略図である。
【符号の説明】
1:複合線条体 2:線条体 3:中空部 4:線条体の断面(形状) 5:線条体の螺旋の径 6:線条体の螺旋のピッチ 7:線条体の螺旋軸 8:補強繊維 9:樹脂 10:複合線条体の外径(d1) 11:複合線条体の内径(d2) 12:線条体の外径(d3) 13:線条体の内径(d4) 14:複合線条体の(断面)中心 15:線条体の2辺のなす角度 16:金型 17:補強繊維束 18:引き抜き方向 19:補強繊維クリール 20:樹脂含浸バス 21:予備金型 22:導きロープ 23:引き抜き機 24:押出機 25:金型 26:棒状樹脂 27:加熱工程

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 螺旋状の線条体を複数本組み合わせてな
    る中空状の複合線条体であって、該線条体の断面形状
    が、長手方向にほぼ一様で、かつ、隣接する線条体とは
    面で接触していることを特徴とする複合線条体。
  2. 【請求項2】 該線条体が、樹脂製である請求項1記載
    の複合線条体。
  3. 【請求項3】 該樹脂が、繊維を含んだ繊維強化樹脂製
    線条体である請求項2記載の複合線条体。
  4. 【請求項4】 該繊維が、補強繊維である請求項3記載
    の複合線条体。
  5. 【請求項5】 該複合線条体が、その外径(d1)と巻
    き径(D)の比(D/d1)が20<D/d1<400
    の範囲内にある請求項1〜4のいずれかに記載の複合線
    条体。
  6. 【請求項6】 該複合線条体が、5〜36本の範囲の線
    条体で構成されているものである請求項1〜5のいずれ
    かに記載の複合線条体。
  7. 【請求項7】 該複合線条体が、その内径(d2)と外
    径(d1)の比(d2/d1)が0.01<d2/d1
    <0.6の範囲内にある請求項1〜6のいずれかに記載
    の複合線条体。
  8. 【請求項8】 該複合線条体を構成する線条体が、隣接
    する線条体と接触する該線条体の断面の周方向の長さ
    (L)と該断面の周長(S)との比(L/S)が0.3
    <L/S<0.7の範囲内にあるものである請求項1〜
    7のいずれかに記載の複合線条体。
  9. 【請求項9】 該線条体の断面形状が、隣接する線条体
    との接触面において直線であり、その直線を結ぶ線との
    結合部が丸み半径1mm以上の丸みを帯びているもので
    ある請求項1〜8のいずれかに記載の複合線条体。
  10. 【請求項10】 該線条材が、0.1〜0.4の範囲の
    摩擦係数を有するものである請求項1〜9のいずれかに
    記載の複合線条体。
  11. 【請求項11】 該複合線条体が、その外面に突起状物
    を設けられたものである請求項1〜10のいずれかに記
    載の複合線条体。
  12. 【請求項12】 該線条体が、その接触面に溝が設けら
    れたものである請求項1〜11のいずれかに記載の複合
    線条体。
  13. 【請求項13】 該線条体の断面形状が、1本以下の対
    称軸を有する形状を有するものである請求項1〜12の
    いずれかに記載の複合線条体。
  14. 【請求項14】 該線条体の螺旋ピッチ(c)と複合線
    条体の径(a)の比(c/a)が、0.2<c/a<5
    00の範囲内である請求項1〜13のいずれかに記載の
    複合線条体。
  15. 【請求項15】 該線条体のピッチcが、100〜30
    00mmの範囲内である請求項1〜14のいずれかに記
    載の複合線条体。
  16. 【請求項16】 該線条体の補強繊維が、炭素繊維を少
    なくとも含有するものである請求項1〜15のいずれか
    に記載の複合線条体。
  17. 【請求項17】 該線条体の補強繊維が、ガラス繊維を
    少なくとも含有するものである請求項1〜16のいずれ
    かに記載の複合線条体。
  18. 【請求項18】 該線条体が、内層部とその外側に設け
    た表層部とで構成されているものである請求項1〜17
    のいずれかに記載の複合線条体。
  19. 【請求項19】 該線条体の該表層部が、該線条体の螺
    旋軸方向以外の方向に配列された繊維で構成されている
    ものである請求項18記載の複合線条体。
JP19565098A 1998-03-18 1998-07-10 複合線条体 Expired - Fee Related JP4110621B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19565098A JP4110621B2 (ja) 1998-03-18 1998-07-10 複合線条体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6817598 1998-03-18
JP10-68175 1998-03-18
JP19565098A JP4110621B2 (ja) 1998-03-18 1998-07-10 複合線条体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11323749A true JPH11323749A (ja) 1999-11-26
JP4110621B2 JP4110621B2 (ja) 2008-07-02

Family

ID=26409405

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19565098A Expired - Fee Related JP4110621B2 (ja) 1998-03-18 1998-07-10 複合線条体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4110621B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007119933A (ja) * 2005-10-25 2007-05-17 Tokyo Seiko Seni Rope Kk 長尺繊維ロープの製造法および長尺繊維ロープ
JP2016087484A (ja) * 2014-10-30 2016-05-23 株式会社ナガオカ 取水フィルター及びその製造方法並びに製造装置
JP2018177534A (ja) * 2017-04-20 2018-11-15 オーチス エレベータ カンパニーOtis Elevator Company エレベータシステムのベルトのためのテンション部材
CN114837002A (zh) * 2022-05-18 2022-08-02 江苏帝威新材料科技发展有限公司 一种水泥混凝土构件用高粘结力碳纤维复合筋及制备方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6004340B2 (ja) * 2013-01-09 2016-10-05 住友電工スチールワイヤー株式会社 Pc鋼材の張力表示器及びその表示方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007119933A (ja) * 2005-10-25 2007-05-17 Tokyo Seiko Seni Rope Kk 長尺繊維ロープの製造法および長尺繊維ロープ
JP2016087484A (ja) * 2014-10-30 2016-05-23 株式会社ナガオカ 取水フィルター及びその製造方法並びに製造装置
JP2018177534A (ja) * 2017-04-20 2018-11-15 オーチス エレベータ カンパニーOtis Elevator Company エレベータシステムのベルトのためのテンション部材
EP3392185B1 (en) * 2017-04-20 2024-07-24 Otis Elevator Company Tension member for elevator system belt
CN114837002A (zh) * 2022-05-18 2022-08-02 江苏帝威新材料科技发展有限公司 一种水泥混凝土构件用高粘结力碳纤维复合筋及制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4110621B2 (ja) 2008-07-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7650742B2 (en) Cable made of high strength fiber composite material
US5727357A (en) Composite reinforcement
KR101936499B1 (ko) 나선형 리브를 가진 복합소재 리바의 제조방법
EP0417612B1 (en) Filament-reinforced resinous structural rod
US4813221A (en) Flexible tension members
KR102112960B1 (ko) 콘크리트 보강용 frp메쉬
WO2022007705A1 (zh) 一种弹性体粘合的纤维增强复合线材及其制备方法
JP4110621B2 (ja) 複合線条体
JP2000027082A (ja) 繊維強化プラスチック製素線及びより線並びにそれらの製造方法
CN111535178A (zh) 一种可用于夹片锚固的预应力frp筋及其制备方法
JPH0132058B2 (ja)
KR102060285B1 (ko) 콘크리트 보강용 frp메쉬의 제조방법
JP2869130B2 (ja) 繊維強化熱硬化性樹脂製撚構造体及びその製造方法
RU2520542C1 (ru) Композитная стеклопластиковая арматура (варианты)
JP4336432B2 (ja) せん断補強用熱可塑性樹脂被覆frp筋、せん断補強用熱可塑性樹脂被覆frp筋の製造方法
GB2118735A (en) Optical fibre transmission cable reinforcement
JPS6312785A (ja) 棒材
JPH11320696A (ja) 強化繊維補強筋及びその製造方法
CN213013922U (zh) 一种可用于夹片锚固的预应力frp筋
JP6965404B1 (ja) プレストレストコンクリートポール、その製造方法及びプレストレストコンクリートポール製造用定着装置
CN211036537U (zh) 一种穿插用多股绳缆
JP3502287B2 (ja) 光ファイバケーブル用スペーサの製造方法
JPH0428082Y2 (ja)
JPH0413140B2 (ja)
JP3472149B2 (ja) 光ファイバケーブル用スペーサ及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050414

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060710

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060808

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061004

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080318

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080331

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110418

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120418

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120418

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130418

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130418

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140418

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees