JPH11320696A - 強化繊維補強筋及びその製造方法 - Google Patents

強化繊維補強筋及びその製造方法

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JPH11320696A
JPH11320696A JP10153810A JP15381098A JPH11320696A JP H11320696 A JPH11320696 A JP H11320696A JP 10153810 A JP10153810 A JP 10153810A JP 15381098 A JP15381098 A JP 15381098A JP H11320696 A JPH11320696 A JP H11320696A
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JP
Japan
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reinforcing fiber
covering member
resin
tubular covering
reinforcing
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Application number
JP10153810A
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English (en)
Inventor
Tetsuya Sugiyama
哲也 杉山
Akira Kobayashi
朗 小林
Masahiko Uemura
政彦 植村
Masakazu Yoshida
雅一 吉田
Joji Obata
城司 小幡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Taisho Electric Ind Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Taisho Electric Ind Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂の注入速度が低下することなく、作業性
良く長距離にわたって樹脂を注入することが可能な強化
繊維補強筋及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 多数本の強化繊維束2aを有する補強繊
維束2と、補強繊維束2の長手方向に沿って延在し、十
分な空隙を有した態様で補強繊維束2を囲包して配置さ
れた可撓性の管状被覆部材4と、を有する強化繊維補強
筋1において、管状被覆部材の内壁部の長手方向に沿っ
て延在する樹脂流動通路7を、内壁部の円周方向に複数
形成する。樹脂流動通路7は、管状被覆部材4の内部空
間に連通する開口部7aを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば鉄筋の代替
物として使用可能な強化繊維を使用した補強筋に関する
ものであり、更に詳しく言えば、本発明は、道路、鉄道
などの土木構造物や建築構造物などの鉄筋コンクリート
構造物を建設する際に、或は既設コンクリート構造物を
補強する際に、鉄筋の代替物としてコンクリート中に埋
設して使用することのできるコンクリート補強筋及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄筋コンクリート構造物に使用される従
来の鉄筋は、酸、アルカリ、塩分に対する耐腐食性にお
いて劣っており、又、耐候性及び作業性においても問題
があり、これらの問題を解決するべく、鉄筋の代替物が
種々提案されている。
【0003】図7に、鉄筋の代替物として本件出願人の
一人である東燃株式会社により提案された強化繊維を使
用した強化繊維補強筋、所謂コンクリート補強筋1を示
す。この補強筋1は、多数本の強化繊維fを有する補強
繊維束2と、この補強繊維束2の長手方向に沿って延在
し、十分な空隙を有した態様で補強繊維束2を囲包して
配置された可撓性の管状被覆部材4と、を有する構造と
される。
【0004】斯かる構造とされるコンクリート補強筋1
は、例えば、コンクリート構造物の横方向鉄筋として好
適に使用される。つまり、コンクリート補強筋1は、例
えば図9に示すように、軸方向鉄筋10を取り巻いて配
置される帯鉄筋1Aとして、更には、中間帯鉄筋1Bと
して使用することができる。
【0005】図7に示す、未だ樹脂が含浸されていない
コンクリート補強筋1は、可撓性に優れており、現場に
て任意の形状に変形することができ、作業性に優れてい
る。又、変形した後は、元の形状に戻ることはなく、変
形した形態を保持することができる。
【0006】次に、コンクリート補強筋1の管状被覆部
材4内へと樹脂が注入され、管状被覆部材4中の補強繊
維束2に樹脂が含浸される。このコンクリート補強筋1
は、帯鉄筋1A或いは中間帯鉄筋1Bとして使用する前
に、予め管状被覆部材4内へと樹脂を注入し、可撓性を
有した半硬化状態としておくことも提案されている。
【0007】管状被覆部材4内へと樹脂を注入する方法
としては、例えば、図8に示すように、注入器20を使
用することができる。注入器20は、大径穴21Aと小
径穴21Bを備えた段付き弾性チューブ21を有し、そ
の大径穴21A側端を管状被覆部材4の外周に取付具2
2にて固定する。補強繊維束2の突出端部2Aを弾性チ
ューブ21の小径穴21Bを貫通して取り出し、取付具
23にて弾性チューブ21の外周を締め付ける。これに
よって補強繊維束端部2Aは注入器20に固定される。
この後、弾性チューブ21に形成された樹脂注入口21
Cより注入器20内へと樹脂Rを供給する。これによ
り、樹脂Rは、管状被覆部材4の一端から内部へと注入
され、そして他方の端部へと流動する過程において補強
繊維束2内へと含浸される。
【0008】このとき、補強繊維束2の他方の端部2B
側に、管状被覆部材4の外周に密着適合する取付具31
を備えた排気器30を固定し、その接続管32を真空ポ
ンプのような真空源に接続し、上記注入器20を使用し
て管状被覆部材4内へと樹脂Rを注入するに先立って、
真空ポンプにて管状被覆部材4内を真空引きし、補強繊
維束2内の空気を除去しておくことができる。更には、
必要に応じて、樹脂注入中も真空ポンプを継続作動させ
て補強繊維束2内の空気を除去し、補強繊維束2内への
樹脂Rの含浸を効率よく行なうことが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らの研究実験の結果によると、従来のコンクリート補
強筋1にて管状被覆部材4内へと樹脂を注入した場合に
は、樹脂が管状被覆部材4内を進展して行くにつれて樹
脂を含浸した補強繊維束2自体が膨張し、管状被覆部材
4と補強繊維束2との間の空隙が減少し、抵抗となり、
更なる樹脂の進展を阻害するようになることが分かっ
た。このため、樹脂注入に非常に大きな圧力を要し、長
距離にわたって注入を行う際には非常に多くの時間を要
する、といった不具合が生じる。この不具合を解決する
ために、樹脂の注入を強化繊維補強筋1の長手方向の複
数箇所において行うことも考えられるが、作業性の点で
問題がある。
【0010】又、従来の強化繊維補強筋1においては、
管状被覆部材4内へと注入された樹脂が補強繊維束2に
対して常にその周囲から一様に供給されるとは限らず、
場合によっては、補強繊維束2の偏りに起因して樹脂の
含浸むらが生じることもあった。
【0011】従って、本発明の目的は、樹脂の注入速度
が低下することなく、作業性良く長距離にわたって樹脂
を注入することが可能な強化繊維補強筋及びその製造方
法を提供することである。
【0012】本発明の他の目的は、強化繊維に対して常
にその周囲から一様に樹脂が供給され、強化繊維の偏り
に起因する樹脂の含浸むらを防止することのできる強化
繊維補強筋及びその製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的は本発明に係る
強化繊維補強筋及びその製造方法にて達成される。要約
すれば、本発明は、多数本の強化繊維束を有する補強繊
維束と、前記補強繊維束の長手方向に沿って延在し、十
分な空隙を有した態様で前記補強繊維束を囲包して配置
された可撓性の管状被覆部材と、を有する強化繊維補強
筋において、前記管状被覆部材の内壁部の長手方向に沿
って延在する樹脂流動通路を、内壁部の円周方向に複数
形成し、前記樹脂流動通路は、前記管状被覆部材の内部
空間に連通する開口部を有することを特徴とする強化繊
維補強筋である。
【0014】前記樹脂流動通路の開口部は、前記強化繊
維束が入り込めない形状とされ、好ましくは、前記樹脂
流動通路は、その断面形状における前記開口部の幅(w
0 )と樹脂流動通路の最大径部の幅(w)が、 開口部幅(w0 )≦最大径部幅(w) とされる。又、前記樹脂流動通路は、軸線方向に平行に
或いは螺旋状に形成することができる。
【0015】本発明の一実施態様によれば、前記管状被
覆部材の内部には樹脂が注入され、前記補強繊維束へと
含浸されて可撓性を有する半硬化状態とされる。
【0016】本発明によれば、前記管状被覆部材内の容
積をVT 、この容積VT における前記補強繊維束の占有
容積をVF とすると、前記管状被覆部材内の補強繊維束
の占有率(%)、即ち、(VF ÷VT )×100は、5
〜80%とされ、前記樹脂流動通路の全容積をVA とす
ると、樹脂流動通路容積率(%)、即ち、(VA ÷V
T )×100は、5〜50%とされる。
【0017】本発明によれば、前記補強繊維束の強化繊
維は、軸線方向に平行に或いは螺旋状に捻って、又は、
編み込むことによって前記管状被覆部材内に配置され
る。更に、前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、セ
ラミックス繊維を含む無機繊維、アラミド繊維、ポリエ
チレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維を含む
有機繊維、又はチタン繊維、ステンレススチール繊維、
鉄繊維を含む金属繊維を単独で、又は複数種を混合して
使用することができる。
【0018】前記可撓性の管状被覆部材は、内径が2〜
100mm、肉厚が0.01〜50mmとされ、金属又
は樹脂材料で作製される。前記樹脂材料は、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ナイロン、塩化ビニール、PV
A、ゴム系樹脂にて作製される。所望に応じて、前記可
撓性の管状被覆部材は、その外表面に凹凸形状が形成さ
れる。
【0019】上記構成とされる本発明の強化繊維補強筋
は、前記管状被覆部材の一端から前記管状被覆部材内へ
と樹脂を注入し、前記管状被覆部材の他端から排気する
ことによって好適に作製される。
【0020】一実施態様によると、前記管状被覆部材の
他端からの前記排気は、樹脂を前記管状被覆部材内へと
注入する前に行うことができ、又、前記管状被覆部材の
他端からの前記排気は、樹脂を前記管状被覆部材内へと
注入しながら行うこともできる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る強化繊維補強
筋及びその製造方法を図面に則して更に詳しく説明す
る。以下に説明する各実施例にて強化繊維補強筋は、鉄
筋の代替物としてコンクリート構造物の補強に使用され
るコンクリート補強筋として説明するが、本発明はこれ
に限定されるものではない。
【0022】実施例1 図1及び図2に、本発明の強化繊維補強筋の一実施例を
示す。本実施例にて、所謂、コンクリート補強筋1は、
補強繊維束2と、この補強繊維束2を囲包して配置され
た可撓性の管状被覆部材4と、を有する。補強繊維束2
は、多数本の強化繊維fを収束した強化繊維束2aを更
に多数本束ねて構成される。
【0023】つまり、可撓性の管状被覆部材4は、その
中心穴6を貫通して補強繊維束2が延在して配置され、
管状被覆部材4と補強繊維束2との間には、詳しくは後
で説明するように、樹脂が注入されるに十分な空隙が保
持されている。即ち、長さLにおける管状被覆部材4の
中心穴6の容積をVT 、この容積VT における補強繊維
束2が占める容積(体積)をVF とすると、管状被覆部
材4内における補強繊維束2の占有率(%)は、(VF
÷VT )×100で示すことができ、好ましくは、5〜
80%とされる。補強繊維束2の占有率が5%より少な
いと、樹脂を多量に必要とする、更には、樹脂注入時に
管内に空気が残留する、といった問題があり、又、80
%より大きいと、樹脂の注入時に過大な圧力を要する、
又、繊維束内に十分に樹脂が含浸しない、といった問題
が発生する。
【0024】本発明によれば、管状被覆部材4の内壁
に、その周方向に均等に且つその長手方向に沿って樹脂
流動通路7が形成される。この樹脂流動通路7は、管状
被覆部材4の内部空間(中心穴6)に連通する開口部7
aを有しているが、この開口7aは、補強繊維束2を構
成する強化繊維束2aが入り込めない形状寸法とされ
る。樹脂流動通路7は、図2に示すように軸線方向に平
行に形成することもできるし、又は、螺旋状に形成する
こともできる。
【0025】この樹脂流動通路7は、後述するように、
樹脂注入時に、樹脂が補強繊維束2の中を含浸して行く
部分と樹脂の通路とを分離する機能をなす。
【0026】本発明の補強筋1の構造によれば、注入さ
れた樹脂は、一般には、樹脂流動通路7を伝って補強繊
維束2の外側から供給される。従って、補強繊維束2が
蛇行などにより管状被覆部材4内で偏っていても、樹脂
は管状被覆部材4の内壁から補強繊維束2を包囲して供
給されるので、上述したように、繊維の偏りによる未含
浸部の形成を防ぐことができる。
【0027】具体的には、この樹脂流動通路7は、例え
ば、図示するように断面形状が逆三角形の溝とすること
ができ、開口部2aが頂部とされ、底辺部7bの幅が
w、頂部から底辺部7bまでの高さがhとされる。
【0028】つまり、図示する逆三角形の溝7を用いた
場合、注入された樹脂は逆三角形溝7から管状被覆部材
4内に挿入された補強繊維束2内へと進展することが可
能であり、又逆に、補強繊維束2側から逆三角形溝7内
へと進展することも可能である。樹脂注入時に補強繊維
束2を構成する強化繊維束2aがこの逆三角形の溝7内
へと入り込むことはない。
【0029】樹脂流動通路7の全容積をVAとすると、
樹脂流動通路容積率(%)、即ち、(VA÷VT )×1
00は、5〜50%とするのが好ましい。5%より小さ
いと、樹脂流動通路7としての効果が低く、50%より
大きいと、管状被覆部材4の外径が大きくなり、又、2
倍の樹脂量を必要とするため不経済である。
【0030】樹脂流動路7は、一実施例としては、上述
したように逆三角形の溝とされるが、具体的には、底辺
部7bの幅(w)が1〜10mm、高さ(h)が1〜1
0mm、開口部7aの幅(w0 )が0.01〜5mmと
される。この溝は、逆三角形のほかに、多角形(図3
(A))、円形(図3(B))、或いはその他種々の形
状とすることができる。重要なことは、樹脂流動通路7
の断面形状にて、開口部7aの幅(w0 )と、樹脂流動
通路7の底辺部或いは径部とされる最大径部7bの幅
(w)が、 開口部幅(w0 )≦最大径部幅(w) とされることである。
【0031】管状被覆部材4内へと樹脂を注入する方法
としては種々の方法が考えられるが、先に図8を参照し
て説明した注入器20を使用する方法にて好適に実施す
ることができる。従って、樹脂注入方法についてここで
更に詳しく説明することはしない。ただ、図4に図8に
て説明した注入器20の一部を図示するが、この図4を
参照して本発明における樹脂注入方法の特徴部について
追加説明する。
【0032】つまり、本発明によると、補強繊維束2が
樹脂を含浸することによって膨張して管状被覆部材4の
内壁に達しても、注入された樹脂は、その外側の樹脂流
動通路7を通って先に進むことが可能となり、管状被覆
部材4の内壁を介して更にその先の補強繊維束2に供給
される。補強繊維束2を構成する強化繊維束2aは、物
理的に樹脂流動通路7内へと入り込むことはできないの
で、樹脂流動通路7内に強化繊維束2aが侵入して樹脂
流動通路7が閉塞されることはなく、注入に要する圧力
も小さくて済む。
【0033】尚、本発明によると、補強繊維束2は、一
般には、強化繊維fを平行状態に配列して作製される。
すなわち、上述したように、所定本数の強化繊維fを平
行に或いは緩く撚りを掛けて収束して作製されるストラ
ンド(強化繊維束2a)を更に平行に或いは緩く撚りを
掛けて複数本束ねることによって作製される。又、別法
として、補強繊維束2は、例えば、図5(A)、(B)
に示すように、平行状態に配列された強化繊維f或いは
強化繊維束2aを、同質或は異質の繊維で作製された編
組体3Aにて被覆して強化繊維束2aを緩く拘束して作
製することができ、更には、図5(C)に示すように、
平行状態に配列された強化繊維f或いは強化繊維束2a
を、同質或は異質の繊維或はテープ3Bで緩く拘束して
作製することも可能である。
【0034】補強繊維束2は、上述のように、一般に
は、そのストランド(強化繊維束2a)を平行に或いは
緩く撚りを掛けて複数本束ねることによって作製される
が、積極的に軸線方向に螺旋状に捻りを掛けて作製する
こと、更には編み込むことも可能である。この場合に
は、後で説明するように、樹脂を補強繊維束2内へと含
浸する際に管状被覆部材4内にて軸線方向一端から他端
へと流動する樹脂を旋回させることができ、補強繊維束
2内への樹脂の有効な含浸を可能とする。
【0035】強化繊維fとしては、炭素繊維、ガラス繊
維、セラミックス繊維を含む無機繊維、アラミド繊維、
ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維
を含む有機繊維、又はチタン繊維、ステンレススチール
繊維、鉄繊維を含む金属繊維を単独で、又は複数種を混
合して使用することができる。各種物性の繊維を混合し
て用いることにより、各繊維の特徴が引張応力の各レベ
ルで発揮され良好な変形性能を得ることができる。例え
ばアラミド繊維などの破断延びが大きい繊維と、炭素繊
維などの弾性率が大きい繊維を混合すると、初期弾性が
高く且つ破断延びの大きい複合体ができる。
【0036】通常、コンクリート構造物のための強化繊
維補強筋1としては、炭素繊維が好適に使用され、PA
N系、ピッチ系、その他、いずれのタイプの炭素繊維で
あっても構わない。好ましくは、強度が100Kgf/
mm2 以上、弾性率が10Tonf/mm2 以上とされ
る高強度、高弾性の炭素繊維が使用される。有機繊維が
使用される場合には、この有機繊維は、強度が100K
gf/mm2 以上、弾性率が2Tonf/mm2 以上で
あるのが好ましい。
【0037】一方、前記可撓性の管状被覆部材4は、用
途によって種々の材料及びサイズのものとすることがで
き、一般に、中心穴6の内径が2〜100mm、肉厚は
0.01mm〜50mmとされ、金属製とすることもで
きるが、樹脂材料で作製するのが好適である。好ましい
樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナ
イロン、塩化ビニール、PVA、ゴム系樹脂などを挙げ
ることができる。本発明によれば、多数本の強化繊維f
の回りに管状被覆部材4を設ける構成とされるので、本
発明のコンクリート補強筋をコンクリート中に埋設した
場合に、強化繊維fがコンクリート中のアルカリ成分、
さらには酸、塩分などにより腐食されるのを防止するこ
とができる。又、コンクリート補強筋1を、一部が、或
は全体が外部に露出するようにして使用した場合であっ
ても、管状被覆部材4に紫外線カットのための着色を施
すなどの手段により内部の強化繊維fの劣化を防止し、
耐候性を向上させることができる。
【0038】更に、本発明のコンクリート補強筋1をコ
ンクリート中に埋設した場合に、補強筋1とコンクリー
トとの付着力を増大させるために、管状被覆部材4の外
表面には凹凸形状を設けるのが好ましい。凹凸形状とし
ては、例えば、図6(A)に示すように、所定間隔で環
状の突起(ふし)8を形成することができ、又、図6
(B)に示すように、螺旋状に突起(ふし)8を形成し
ても良い。凹凸形状は、これらに限定されるものではな
く、任意の形状とすることができる。又、管状被覆部材
4の内径部は、図6(A)に示すように、より大きな内
径部を有するように形成しても良く、図6(B)に示す
ように、一定の内径としても良い。
【0039】上記構成のコンクリート補強筋1は、例え
ば電線製造業界にてポリエチレン被覆電線を製造するの
に使用されているクロスヘッドを使用して好適に製造す
ることができる。つまり、クロスヘッドに対して芯材と
して補強繊維束2を送給し、この芯材としての補強繊維
束2の回りに押出し機にて溶融された被覆部材用樹脂を
導入し、管状被覆部材4を形成することができる。
【0040】実施例1にて説明した構成の本発明のコン
クリート補強筋1は、例えば、コンクリート構造物の横
方向鉄筋として好適に使用することができる。つまり、
コンクリート補強筋1は、図9に示すように、軸方向鉄
筋10を取り巻いて配置される帯鉄筋1Aとして、更に
は、中間帯鉄筋1Bとして使用することができる。
【0041】図1に示す、未だ樹脂が含浸されていない
本発明のコンクリート補強筋1は、可撓性に優れてお
り、現場にて任意の形状に変形することができる。又、
変形した後は、元の形状に戻ることはなく、変形した形
態を保持することができる。勿論、必要に応じて、針金
で縛るなどの簡易な固定方法を併用することもできる。
【0042】従って、本発明に従った樹脂未含浸のコン
クリート補強筋1は、現場にて所望寸法に切断し、所定
形状に変形することができ、例えば、図9に示すよう
に、帯鉄筋1Aとして、又中間鉄筋1Bとして軸方向鉄
筋10などに、例えば両端部を所定角度に折り曲げ、他
の鉄筋などにフック止めすることにより取付けられる。
上述のように、必要に応じて、このフック止め部などを
更に針金で縛ることもできる。本発明のコンクリート補
強筋1の補強繊維束2は、図2及び図9に図示するよう
に、補強筋1の少なくとも注入側側端部より、例えばL
1 =1〜10cm程度突出しているのが、上述のよう
に、樹脂を注入するに際しても取り扱い上好ましい。
【0043】帯鉄筋1A及び中間鉄筋1Bの軸方向鉄筋
10に対する取付け方法は、図9に示す態様に限定され
るものではなく、例えば、図10に示すように、中間鉄
筋1Bは、対向する複数の軸方向鉄筋10を交互にジグ
ザグ状に連続して張設することもでき、又、図11に示
すように、帯鉄筋1Aは、複数の軸方向鉄筋10の外周
を取り囲んで連続的に螺旋状に巻き付けることも可能で
ある。
【0044】次に、コンクリート補強筋1の管状被覆部
材4内へと、上述したようにして、樹脂が注入され、管
状被覆部材4中の補強繊維束2に樹脂が含浸される。使
用する樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキ
シ系樹脂、又は、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂、ウレタン系樹脂などのラジカル
反応系樹脂とされる。
【0045】実施例2 実施例1で説明したコンクリート構造物の横方向鉄筋
(帯鉄筋及び中間帯鉄筋)として使用するべく、本発明
に従ったコンクリート補強筋1をクロスヘッドを用いて
種々の寸法形状にて作製した。その一例を示せば、次の
とおりである。図1及び図2を参照して、 A.管状被覆部材 材質: 塩化ビニール 外径(D1 ): 22mm 内径(D2 ): 16mm 長さ(L ):(1)20m(帯鉄筋用)、(2)40m(中間帯鉄筋用) B.補強繊維束 材質:PAN系炭素繊維24000本からなる強化繊維束2a(ストランド)を 80本一方向に平行に配列して補強繊維束2を形成した。 炭素繊維の強 度:490Kgf/mm2 弾性率: 24Tonf/mm2 両端部の突出長さ(L1 ): 20mm C.樹脂流動路 逆三角形の溝 底辺の幅(w) 2mm 高 さ(h) 2mm 開口部の幅(w0 ) 0.5mm 数 内壁周方向に均等に16個
【0046】このようにして作製したコンクリート補強
筋1の管状被覆部材4内における補強繊維束の占有率
(%)は、35%であった。又、樹脂流動通路7の容積
率(%)は、14%であった。
【0047】次いで、図9〜図11に示すように、帯鉄
筋1A及び中間鉄筋1Bとして軸方向鉄筋10などに取
付けた。コンクリート補強筋1は、容易に変形すること
ができ、作業性は極めて良好であった。
【0048】次いで、図8に示すような注入器20を用
いてコンクリート補強筋1の管状被覆部材4内へと樹脂
Rを注入した。樹脂Rとしては、常温硬化型のエポキシ
系樹脂を使用した。この樹脂Rの粘度は3Pであった
が、極めて良好に管状被覆部材4の一端から内部へと注
入され、そして他方の端部へと流動する過程において補
強繊維束2内へと含浸された。
【0049】このようにして建造したコンクリート構造
物に対して試験を行なったが、極めて良好な結果を得る
ことができた。
【0050】実施例3 上記実施例1、2においては、本発明のコンクリート補
強筋1は、複数本の強化繊維束2aを有する補強繊維束
2と、前記補強繊維束2の長手方向に沿って延在し、十
分な空隙を有した態様で前記補強繊維束2を囲包して配
置された可撓性の管状被覆部材4と、を有するものとし
て説明したが、更に、このコンクリート補強筋1の前記
管状被覆部材4の内部に予め樹脂を注入し、この樹脂を
前記補強繊維束2へと含浸しておくことも可能である。
但し、この実施例のコンクリート補強筋1は、建設現場
において、所定の形状に変形可能とするために、補強繊
維束2へと含浸された樹脂は、完全に硬化させることな
く、半硬化状態に保持する必要がある。
【0051】本実施例においても、実施例1にて説明し
たと同じ理由から、樹脂注入前における前記管状被覆部
材4内の補強繊維束の占有率(%)、即ち、(補強繊維
束2の占有容積VF /管状被覆部材4内の容積VT )×
100は、5〜80%とされる。
【0052】本実施例にて使用される管状の被覆部材
4、強化繊維f、含浸樹脂などは先の実施例1、2で説
明したと同じものを使用することができ、同様に構成す
ることができる。
【0053】本実施例のコンクリート補強筋1を使用し
た場合においても、既に補強筋1内に樹脂が含浸されて
はいるが、この樹脂は未だ完全には硬化されていない半
硬化状態にあるために、帯鉄筋及び中間鉄筋として軸方
向鉄筋に取付ける作業は極めて容易に達成することがで
きる。実際に、本実施例のコンクリート補強筋1を、実
施例2で説明したと同様にして作製し、更に樹脂を注入
含浸させ、その後コンクリート構造物の補強に使用した
が、容易に変形することができ、作業性は極めて良好で
あった。
【0054】又、上述からも理解されるように、本実施
例のコンクリート補強筋1は、既に補強筋1内に樹脂が
含浸されているために、建設現場での樹脂注入作業は省
略されるか、或は、鉄筋構造体(鉄筋籠)などに組み付
ける前に行なうことができ、作業効率の点では優れてい
る。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の強化繊維
補強筋及びその製造方法によれば、強化繊維補強筋、即
ち、コンクリート補強筋は、多数本の強化繊維束を有す
る補強繊維束と、補強繊維束の長手方向に沿って延在
し、十分な空隙を有した態様で補強繊維束を囲包して配
置された可撓性の管状被覆部材と、を有する強化繊維補
強筋において、管状被覆部材の内壁部の長手方向に沿っ
て延在する樹脂流動通路を、内壁部の円周方向に複数形
成し、樹脂流動通路は、記管状被覆部材の内部空間に連
通する開口部を有する構成とされるので、繊維強化補強
筋の製造に際して、樹脂の注入速度が低下することな
く、作業性良く長距離にわたって樹脂を注入することが
可能であり、しかも、強化繊維に対して常にその周囲か
ら一様に樹脂が供給され、強化繊維の偏りに起因する樹
脂の含浸むらを防止することができる。又、本発明の繊
維強化補強筋は、炭素繊維などの強化繊維を使用し、軽
量で、強度的に優れ、且つ変形自在であり、従って、現
場での作業性に優れ、しかも耐候性、及び酸、アルカ
リ、塩分に対する耐腐食性に優れており、斯かるコンク
リート補強筋を使用することにより、極めて作業効率よ
くコンクリート構造物の補強を達成し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンクリート補強筋の一実施例の
断面図である。
【図2】本発明に係るコンクリート補強筋の斜視図であ
る。
【図3】本発明に係るコンクリート補強筋に形成される
樹脂流動通路の他の断面形状を示す断面図である。
【図4】本発明に係るコンクリート補強筋に樹脂を注入
する態様を説明するための断面図である。
【図5】本発明に係るコンクリート補強筋の他の実施例
の斜視図である。
【図6】本発明に係るコンクリート補強筋の正面図であ
る。
【図7】先願の発明に係るコンクリート補強筋の斜視図
である。
【図8】コンクリート補強筋に樹脂を注入するための樹
脂注入方法を説明するための図である。
【図9】コンクリート構造物の補強方法を説明するため
のコンクリート構造物の断面図である。
【図10】コンクリート構造物の補強方法を説明するた
めの他のコンクリート構造物の断面図である。
【図11】コンクリート構造物の補強方法を説明するた
めの他のコンクリート構造物の断面図である。
【符号の説明】
1 コンクリート補強筋 2 補強繊維束 2a 強化繊維束 4 可撓性管状被覆部材 7 樹脂流動通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植村 政彦 東京都渋谷区広尾一丁目1番39号 恵比寿 プライムスクェアタワー 東燃株式会社内 (72)発明者 吉田 雅一 神奈川県横浜市戸塚区前田町183 横浜テ クノビレッヂ 大昌電氣工業株式会社内 (72)発明者 小幡 城司 神奈川県横浜市戸塚区前田町183 横浜テ クノビレッヂ 大昌電氣工業株式会社内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数本の強化繊維束を有する補強繊維束
    と、前記補強繊維束の長手方向に沿って延在し、十分な
    空隙を有した態様で前記補強繊維束を囲包して配置され
    た可撓性の管状被覆部材と、を有する強化繊維補強筋に
    おいて、 前記管状被覆部材の内壁部の長手方向に沿って延在する
    樹脂流動通路を、内壁部の円周方向に複数形成し、前記
    樹脂流動通路は、前記管状被覆部材の内部空間に連通す
    る開口部を有することを特徴とする強化繊維補強筋。
  2. 【請求項2】 前記樹脂流動通路の開口部は、前記強化
    繊維束が入り込めない形状とされる請求項1の強化繊維
    補強筋。
  3. 【請求項3】 前記樹脂流動通路は、その断面形状にお
    ける前記開口部の幅(w0 )と樹脂流動通路の最大径部
    の幅(w)が、 開口部幅(w0 )≦最大径部幅(w) とされる請求項2の強化繊維補強筋。
  4. 【請求項4】 前記樹脂流動通路は、軸線方向に平行に
    或いは螺旋状に形成される請求項1、2又は3の強化繊
    維補強筋。
  5. 【請求項5】 前記管状被覆部材の内部には樹脂が注入
    され、前記補強繊維束へと含浸されて可撓性を有する半
    硬化状態とされていることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれかの項に記載の強化繊維補強筋。
  6. 【請求項6】 前記管状被覆部材内の容積をVT 、この
    容積VT における前記補強繊維束の占有容積をVF とす
    ると、前記管状被覆部材内の補強繊維束の占有率
    (%)、即ち、(VF ÷VT )×100は、5〜80%
    とされる請求項1〜5のいずれかの項に記載の強化繊維
    補強筋。
  7. 【請求項7】 前記樹脂流動通路の全容積をVA とする
    と、樹脂流動通路容積率(%)、即ち、(VA ÷VT
    ×100は、5〜50%とされる請求項6の強化繊維補
    強筋。
  8. 【請求項8】 前記補強繊維束の強化繊維は、軸線方向
    に平行に或いは螺旋状に捻って、又は、編み込むことに
    よって前記管状被覆部材内に配置される請求項1〜7の
    いずれかの項に記載の強化繊維補強筋。
  9. 【請求項9】 前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊
    維、セラミックス繊維を含む無機繊維、アラミド繊維、
    ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維
    を含む有機繊維、又はチタン繊維、ステンレススチール
    繊維、鉄繊維を含む金属繊維を単独で、又は複数種を混
    合して使用する請求項8の強化繊維補強筋。
  10. 【請求項10】 前記可撓性の管状被覆部材は、内径が
    2〜100mm、肉厚が0.01〜50mmとされる請
    求項1〜9のいずれかの項に記載の強化繊維補強筋。
  11. 【請求項11】 前記可撓性の管状被覆部材は、金属又
    は樹脂材料で作製される請求項10の強化繊維補強筋。
  12. 【請求項12】 前記樹脂材料は、ポリエチレン、ポリ
    プロピレン、ナイロン、塩化ビニール、PVA、ゴム系
    樹脂を含む請求項11の強化繊維補強筋。
  13. 【請求項13】 前記可撓性の管状被覆部材は、その外
    表面に凹凸形状が形成される請求項10、11又は12
    の強化繊維補強筋。
  14. 【請求項14】 可撓性の管状被覆部材内に、多数本の
    強化繊維束を有する補強繊維束を備え、前記管状被覆部
    材の内壁部にはその長手方向に沿って樹脂流動通路を形
    成し、前記樹脂流動通路は、前記管状被覆部材の内部空
    間に連通する開口部を有する強化繊維補強筋の前記管状
    被覆部材の一端から前記管状被覆部材内へと樹脂を注入
    し、前記管状被覆部材の他端から排気することを特徴と
    する補強繊維束に樹脂が含浸された強化繊維補強筋の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 前記管状被覆部材の他端からの前記排
    気は、樹脂を前記管状被覆部材内へと注入する前に行う
    ことを特徴とする請求項14の強化繊維補強筋の製造方
    法。
  16. 【請求項16】 前記管状被覆部材の他端からの前記排
    気は、樹脂を前記管状被覆部材内へと注入しながら行う
    ことを特徴とする請求項14の強化繊維補強筋の製造方
    法。
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