JPH10251984A - 中空状連続補強材及びアンカーボルト - Google Patents

中空状連続補強材及びアンカーボルト

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JPH10251984A
JPH10251984A JP5362497A JP5362497A JPH10251984A JP H10251984 A JPH10251984 A JP H10251984A JP 5362497 A JP5362497 A JP 5362497A JP 5362497 A JP5362497 A JP 5362497A JP H10251984 A JPH10251984 A JP H10251984A
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JP
Japan
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fiber
reinforcing material
hollow
resin
continuous reinforcing
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JP5362497A
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English (en)
Inventor
Satoru Kawaguchi
哲 川口
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Nippon Glass Fiber Co Ltd
Original Assignee
Nippon Glass Fiber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中空状連続補強材の引張り強度を向上させ
る。また、芯材を用いることなく、径が大きくかつ中空
形状に変形のない中空状連続補強材を製造する。並び
に、この中空状連続補強材を岩盤掘削用のアンカーボル
トとして使用する。 【解決手段】 繊維の連続編組管に、樹脂を含浸させ硬
化させて、中空状連続補強材を製造する。この繊維の連
続編組管は、中空形状であり、その軸線aと平行な繊維
すなわち縦糸1を編み込んだものである。この中空状連
続補強材を、岩盤に予め掘られた穴に挿入し、モルタル
等を流し込んで岩盤に固定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、繊維を連続的に
編組した管状物に樹脂を含浸させ硬化させたものに関す
る。更には、この樹脂硬化された管状物を、岩盤又は地
層を掘削する際のアンカーボルトとして使用するものに
関する。
【0002】
【従来の技術】中空状連続補強材とは、繊維が連続的に
編組された管状物を樹脂で硬化させた円柱形状のもので
ある。この中空状連続補強材は、連続的に編組されるた
め、数十メートルに渡りつなぎ目がなく均一な性能を示
す。また、中空状連続補強材は、剛性度及び引張り強度
が高く、各種構造物の補強材として使用可能である。例
えば、クラッド式蓄電池における電極活物質を収納する
ための電極チューブとして使用されている。また、更に
高い剛性度が要求される場合、この中空状連続補強材に
更に樹脂が付加されることもある。この例として、各種
ロッド又はポール等が挙げられる。
【0003】中空状連続補強材は、樹脂と繊維とが組み
合わされることにより、それら単体では発揮できない効
果、すなわち高い剛性度と高い引張り強度との両立をな
し得る。樹脂だけで製造された管状物は、剛性度は高い
が引張り強度はあまり高くない。また、繊維だけで製造
された管状物は、繊維同士の位置にずれが生じ易いの
で、剛性(現状の形状を維持しようとする性質)度は低
いが引張り強度は高い。従って、繊維の連続編組管を樹
脂で固めてしまうことにより、繊維同士の位置がずれ難
くなるので、繊維の連続編組管の剛性度の低さと樹脂の
引張り強度の低さとを互いに補うことができるようにな
る。
【0004】また、中空状連続補強材は、内部が空洞で
あることから軽量であり、かつ繊維の編組管に樹脂を含
浸させ硬化させるので、その成形が容易であるという特
徴を有する。
【0005】これらの特徴を生かして、中空状連続補強
材は、上記の使用例の他、岩盤又は地層の掘削用のアン
カーボルトとしても近年使用されている。アンカーボル
トとは、特開平4−368595号公報に記載のよう
に、岩盤等を掘削する際に岩盤等に予め掘られた穴に埋
め込まれ、モルタル等で固定されるものをいう。このア
ンカーボルトを使用することにより、はつり機等の削岩
機による岩盤等の掘削作業において、岩盤等が無秩序に
崩落することを防止することができる。従って、このア
ンカーボルトを使用することにより、岩盤等の掘削作業
を安全かつ効率的に行なうことができるようになる。
【0006】このアンカーボルトは、高い機械的強度が
求められるため、以前は金属製のものしか使用できなか
った。しかし、金属製のアンカーボルトは、製品重量が
重く、その運搬及び取り扱いが困難であった。また、岩
盤等の掘削作業において、金属製のアンカーボルトは、
削岩機との接触により火花を発生させるので、引火性ガ
スが岩盤から発生してきた場合、爆発を引き起こす危険
性があった。並びに、金属製のアンカーボルトは、せん
断強度が高いので、削岩機の刃の寿命を縮めてしまう等
の問題点を有していた。そこで、機械的強度が高く、軽
量で、火花の発生がなく並びに削岩機の刃の寿命を縮め
ることのない上記の中空状連続補強材が、岩盤等の掘削
時のアンカーボルトとして使用されるようになってき
た。中空状連続補強材は、金属性のアンカーボルトと比
べて、剛性度と引張り強度等の機械的強度が劣る。しか
しながら、中空状連続補強材は、上述の利点の他にも、
岩盤等の掘削作業後の除去が容易である、その成形性が
よいという特徴を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の中空
状連続補強材は、以下の点が問題であった。すなわち、
この中空状連続補強材の材料である連続編組管は、編組
される繊維が平織り又は綾織りに編み込まれて円筒状に
形成されたものである。従って、編組されたそれぞれの
繊維は、お互いに交差しながら、この円筒の外周面に螺
旋状に巻き付けられた格好になる。そのため、中空状連
続補強材はその円筒の軸線方向に大きな引張り力を受け
ると、樹脂による繊維同士の接着が切れて繊維同士がず
れ、中空状連続補強材全体として変形する(伸びる)こ
とがある。すなわち、中空状連続補強材の引張り強度は
樹脂よりも繊維に依存している割合が高いので、中空状
連続補強材に大きな引張り力が掛けられた場合は、繊維
と樹脂との接着が切れて、繊維自体が引張り力の方向に
対して平行になって耐えようとする。繊維の高い引張り
強度は、引張り力の掛けられる方向と平行に置かれるこ
とにより、最も有効に発揮される。
【0008】樹脂による繊維同士の接着が切断された場
合、中空状連続補強材は、繊維同士のずれが容易に起こ
る様になり、その剛性が著しく低くなるので、補強材と
しての機能を果たし得なくなる。
【0009】そこで、より高い引張り強度を要求される
場合、中空状連続補強材は、繊維又は樹脂の量を増やさ
れなければならなかった。しかし、繊維又は樹脂の量が
多くなると、中空状補強補強材の重量が重くなりその取
り扱いが難くなる、並びに製造コストが高くなる等の問
題が新たに発生する。
【0010】中空状連続補強材の製造方法は、先ず組紐
を編む要領で繊維の連続編組管を作成し、次にこの連続
編組管を樹脂で充たした槽の中に浸して、最後にこの連
続編組管を機械でその軸線方向に引き出しながら加熱
し、樹脂を硬化させ円筒形に成形する方法である。以上
のような行程で製造されるため、中空状連続補強材は、
樹脂によって繊維同士が固定される前に軸線方向に引張
られるので、繊維同士がずれを起こして円筒形が変形す
ることがある。このため、製造過程での中空状連続補強
材の変形を防止するために、予め連続編組管の内部に、
スチロール等でできた芯材を入れておく必要がある。芯
材自体は中空状連続補強材が元々持っている性能を向上
させるものではないので、芯材を連続編組管内に入れる
ことは、何ら付加価値を生み出さない。
【0011】この発明は、上記の様な従来技術に存在す
る問題点に着目してなされたものである。その目的とす
るところは、樹脂の含浸及びその硬化成形時に連続編組
管に芯材を用いなくてもその形状に変形がなく、引張り
強度の高い中空状連続補強材を提供することをである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明の中空状連続補強材は、縦
糸を編み込んだ繊維の連続編組管に、樹脂を含浸させ硬
化させたものである。
【0013】請求項2に記載の発明の中空状連続補強材
は、請求項1に記載の発明において、繊維の種類が炭素
繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、ケブラー繊維、セラ
ミック繊維、スチール繊維、ポリエステル繊維、高強度
ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維及びポリビニルア
ルコール繊維からなる群より選ばれた少なくとも1つで
あるものである。
【0014】請求項3に記載の発明の中空状連続補強材
は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、樹脂
の種類がエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニ
ルエステル樹脂及びフェノール樹脂からなる群より選ば
れた少なくとも1つであるものである。
【0015】請求項4に記載の発明の中空状連続補強材
は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明におい
て、繊維の連続編組管の縦糸の比率が、10〜90重量
%であるものである。
【0016】請求項5に記載の発明の中空状連続補強材
は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明におい
て、連続編組管の比率が、40〜90重量%であるもの
である。
【0017】請求項6に記載の発明のアンカーボルト
は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の中空状連続補
強材が、予め岩盤又は地層に掘られた設置穴に、埋め込
まれるものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て詳細に説明する。
【0019】この発明は、縦糸が織り込まれた繊維の連
続編組管に、樹脂が付着され、ある形状に成形硬化され
た中空状連続補強材に関するものである。この繊維の連
続編組管は、組紐を編む要領で製造されたものであっ
て、その製造の際にその軸線と平行な縦糸が織り込まれ
たものである。ここで、上記の軸線とは、編組管の任意
の断面における中心点を繋げた線である。この中空状連
続補強材に軸線方向の引張り力が掛けられた場合、縦糸
が存在することにより、縦糸が引張り力を専ら負担する
ようになる。繊維は高い引張り強度を示すので、引張り
強度が必要な箇所に繊維を存在させることにより、その
引張り強度を向上させることができる。すなわち、中空
状連続補強材は、その軸線と平行な繊維を有することに
より、軸線方向の引張り力に対して強い対抗性を示す。
【0020】この中空状連続補強材は、上記の編組管に
樹脂を付着硬化させて、繊維同士がずれないようにした
ものである。従って、中空状連続補強材は、高い引張り
強度と共に高い剛性度も示す。ここで、上記引張り強度
とは、中空状連続補強材がその軸線方向の引張り力に対
抗する性質の度合いであり、また上記剛性度とは、中空
状連続補強材がその形状を維持しようとする性質の度合
いである。
【0021】中空状連続補強材の引張り強度及び剛性度
は、その材料である繊維の連続編組管自体の引張り強度
及び剛性度、樹脂自体の機械的強度、並びに繊維と樹脂
との接着強度が互いに結び付いたものである。繊維の連
続編組管自体は、引張り強度は高いが剛性度が低い。ま
た樹脂自体は、その機械的強度に方向性がないので、特
定方向に大きな力が掛かった場合に破壊される。従っ
て、繊維の連続編組管に樹脂が付着され、繊維同士が樹
脂で固定されることにより、繊維と樹脂との接着強度及
び樹脂の機械的強度が繊維の連続編組管の低い剛性度を
補強する。すなわち、中空状連続補強材は、繊維の連続
編組管と比較して、剛性度が大きく向上する。また、そ
の高い引張り強度が低下することはない。
【0022】繊維同士がずれた場合は、繊維と樹脂との
接着が剥がれ、樹脂自体が破壊され、ときには繊維自体
が傷つけられる。この場合は、樹脂による繊維同士の固
定がなくなるので、繊維同士はずれ易くなる。従って、
中空状連続補強材は、その剛性が著しく低下する。ま
た、繊維自体が傷つくことにより、中空状連続補強材の
引張り強度が低下することになる。中空状連続補強材に
求められる機能は、引張り強度や剛性度等の機械的強度
が高いことである。従って、繊維同士がずれた場合、中
空状連続補強材は、補強材としての機能を果たし得なく
なる。
【0023】中空状連続補強材の形状は、特に限定され
るものではないが、円筒形状が好ましい。円柱形状は、
その他の四角柱又は三角柱等の角柱形状に比べ、その断
面において方向性を持たないので、使用方向に注意する
必要ない。反対に、意識的に方向性を持たせたい場合に
は、角柱形状の方が好ましい。
【0024】中空状連続補強材の製造方法は、従来の方
法と同様である。従って、樹脂が硬化し繊維同士の位置
が固定される前に、連続編組管は、その軸線方向の引張
り力を受けることになる。この発明は、連続編組管に縦
糸を有することにより、繊維同士が固定される前の製造
行程における引張り力に対しても、繊維同士のずれが生
じ難い。従って、芯材を用いなくても、連続編組管は、
製造工程において変形を起こし難い。この連続編組管に
樹脂が付加され硬化することにより、剛性と引張り強度
を兼ね備え、並びに形状に変形がない中空状連続補強材
が製造される。
【0025】編組管を作成する際の繊維の編み方は、特
に限定されないが、平織りが好ましい。平織りは、他の
織り方に比べて単純であるので、その実施が容易であ
る。また、平織りの織布は、他の織り方の織布よりも編
み目の数が多いので、繊維同士の間に樹脂が含浸し易
い。従って、平織りの編組管を用いた中空状連続補強材
は、樹脂と繊維との接着が強く、剛性が高いという特徴
を有する。剛性の高さは、補強材として好ましい性能で
ある。
【0026】編組管に使用される繊維の種類は、特に限
定されないが、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、
ケブラー繊維、セラミック繊維、スチール繊維、ポリエ
ステル繊維、高強度ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊
維及びポリビニルアルコール繊維が好ましい。これらの
繊維は、引張り強度が非常に高く、市場で容易に入手で
きることから、この発明に使用される繊維として好まし
い。これらの繊維は、単独で使用されてもよいし、合糸
されたものでもよい。これらの中でもガラス繊維は、化
学的に安定であり、並びに引張り強度が高いことからこ
の発明の繊維として更に好ましい。
【0027】この発明に使用する樹脂は、その種類を特
に限定されないが、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル
樹脂、ビニルエステル樹脂及びフェノール樹脂からなる
群より選ばれた少なくとも1つであることが好ましい。
これらの樹脂は、硬化後の機械的強度が高くかつ熱硬化
性樹脂であるので、中空状連続補強材の剛性を高め、高
温時においてもその剛性を保つことができる。また、こ
れらの樹脂は、化学的に安定であるので、様々な用途に
使用できる。例えば、上述の岩盤等の掘削用のアンカー
ボルトは、モルタル等と接触させられるので、化学的に
安定なことが要求される。
【0028】この発明においては、連続編組管における
縦糸の比率が10〜90重量であることが好ましい。前
記比率が10重量%未満の場合は、縦糸の比率が低すぎ
て、連続編組管の引張り強度の向上が十分でない。反対
に、この比率が90重量%より多い場合は、連続編組管
の外周面上に螺旋状に存在する繊維の比率が低すぎて、
連続編組管の繊維が纏まり難くなる。
【0029】中空状連続補強材における連続編組管は、
その比率が40〜90重量%であることが好ましい。こ
の比率が40重量%未満の場合は、繊維の比率が少な過
ぎて、引張り強度の向上という補強材としての機能を十
分に発揮できない。また、反対にこの比率が90重量%
より多い場合は、樹脂の比率が少な過ぎて、繊維同士の
接着が十分でない。すなわち、中空状連続補強材の剛性
が、本来発揮しうる性能を十分に発揮できない。結果と
して、編組管の含有率が上記範囲外の場合は、中空状連
続補強材の剛性度と引張り強度とが両立できない。
【0030】この発明の中空状連続補強材は、従来のも
のと同様の用途に使用できる。すなわち、クラッド式蓄
電池の電極チューブ、ロッドの芯材及び岩盤掘削用のア
ンカーボルト等である。これらの中でも、アンカーボル
トは、この発明の使用用途として好適である。これは、
この発明の中空状連続補強材の引張り強度が高くなった
こと、外径の大きな中空状連続補強材が容易に製造でき
ること、長い中空状連続補強材でもその形状に変形が生
じないことによる。
【0031】アンカーボルトは、上述のように、岩盤等
の掘削作業における削岩により岩盤等の崩落が無制限に
拡がることを防止する目的で、岩盤等に予め掘られた穴
に挿入されて、モルタル等で固定され使用されるもので
ある。従って、アンカーボルトは、岩盤等の崩落を防止
するために、高い剛性度と高い引張り強度とが求められ
る。この点において、縦糸を有する中空状連続補強材
は、アンカーボルトとして好ましいものである。また、
アンカーボルト用に岩盤等に予め掘られる穴は、数度の
削岩作業分をボーリング機械で一度に掘るので、深くか
つ直線状である。この点に関して、この発明の中空状連
続補強材は、長くまた外径が大きくなっても芯材を必要
とせず、その形状に変形がないので、上記アンカーボル
ト用の穴に容易に挿入することができる。従って、この
発明の中空状連続補強材は、上記の条件を十分に充たす
ので、アンカーボルトとして好ましい。
【0032】また、アンカーボルトとして好ましい条件
の一つに、中空状であることが挙げられる。アンカーボ
ルトは、岩盤等に掘られた穴に挿入された後に、モルタ
ル等を流し込まれ、この穴との隙間を埋められる。アン
カーボルトが中空状であると、モルタル等が注入される
際に、空気の抜け道ができて、モルタル等が容易に注入
できる。また、中空状連続補強材の内部から注入された
モルタル等が、岩盤の穴の奥まで到達し、中空状連続補
強材とこの穴との隙間を埋めながら、この穴の表面まで
回り込んでくるので、モルタル等がこの穴に充填された
ことが目で確認できる。従って、この発明の中空状連続
補強材は、長くまた径が大きくなっても、芯材を必要と
せず中空形状が成形できるので、アンカーボルトとして
好ましい。
【0033】この発明の中空状連続補強材の使用態様
は、縦糸入りの連続編組管を予め製造しておいて、必要
に応じて樹脂を付着させ、成形硬化させることが好まし
い。連続編組管は繊維同士が固定されていないので、こ
れを小さく折り畳み、この状態で運搬することが可能で
ある。中空状連続補強材は、その名の通り中空形状であ
るため、編組管の状態と比較して体積が大きくなる。従
って、連続編組管と樹脂とを個別にしておき、使用時ま
たは使用場所において中空状連続補強材を成形すること
により、これらの運搬及び保管が容易になる。例えば、
山岳トンネル工事におけるアンカーボルトとしてこの中
空状連続補強材を使用する場合に、上記使用態様の利点
が明確になる。すなわち、このような極所作業において
は、使用部材の運搬が困難な場合が多く、特にアンカー
ボルトのような大量に使用されるものは、体積が小さく
なることにより、運搬及び保管上の利益が大きくなる。
【0034】
【実施例】以下、実施例及び比較例により、この発明を
さらに具体的に説明する。
【0035】(実施例1)ポリ酢酸ビニルを主成分とす
る集束剤を用いて、繊維径13μmのガラスフィラメン
ト200本を1本のガラス繊維に纏め、このガラス繊維
の複数本に撚りを掛けて、1本のガラスロービングを製
造した。このとき、上記ガラス繊維の本数を調整し、2
080texと740texとの2種類のガラスロービ
ングを製造した。そして、編組管編み機(国分社製)
に、上記2080texのガラスロービングを縦糸1と
して24本、上記740texのガラスロービングを連
続編組管の外周面上を螺旋状に存在する繊維2として4
8本使用した。編み上がった連続編組管は、外径30m
m、長さ30m、重量100g/mであって、その縦糸
の比率が50重量%であった。この実施例の概念図を図
1に示す。
【0036】図3に示した加熱炉を有した樹脂含浸機を
用いて、上記の連続編組管を、中空状連続補強材に加工
する。先ず、予め編まれた連続編組管20は、箱10に
納められ、引張りローラー15によって、連続的に引き
出される。箱10から引き出された連続編組管20に、
樹脂(不飽和ポリエステル)21を付着させ、直ぐに加
熱炉13の中を通過させ、中空状連続補強材22を製造
した。このとき、編組管内には芯材を使用せず、加熱炉
の入り口に幅30mmのスリット14をおいて円柱形に
成形した。また、加熱炉内の温度を150度で一定に保
ち、この編組管を加熱炉内に120秒間存在させた。こ
の実施例においては、中空状連続補強材を連続で製造
し、その後引張り試験のため2m毎に切断した。この中
空状連続補強材は、連続編組管の比率が75重量%であ
った。また、この中空状連続補強材を目視検査したとこ
ろ、全体的に変形がなく、繊維同士の位置のずれも見ら
れなかった。
【0037】この実施例と以下の比較例で製造した中空
状連続補強材を、引張り強度試験器(島津社製)にか
け、その引張り強度を測定した。引張り強度とは、中空
状連続補強材の表面(樹脂)にヒビ又は亀裂が発生した
ときの引張り荷重である。その結果を、表1に示す。
【0038】(比較例1)実施例1と同じガラス繊維を
用いて、1480texのガラスロービングを製造し
た。このガラスロービング48本を、連続編組管の外周
面に螺旋状に存在する繊維3として使用した。この連続
編組管の概念図を図2に示す。この編組管には縦糸を用
いないので、その円柱形状を維持するために発泡スチロ
ールを芯材として使用した。この発泡スチロールは、円
柱形状であって、上記ガラスロービングを編組する際に
編組管内に挿入された。この連続編組管は、外径30m
m、長さ30m、重量100g/mであって、縦糸がな
い以外は実施例1と同じである。その後の工程は、実施
例1と同様である。この比較例の中空状連続補強材は、
編組管の比率が75重量%であった。また、この円柱状
補強材を目視検査したところ、全体的に変形がなく、繊
維同士の位置がずれている箇所も見られなかった。
【0039】
【表1】
【0040】この実施例と比較例とから、連続編組管に
縦糸を編み込むことにより、編組管に芯材を用いなくて
も、長く、径が大きく、中空形状に変形がなく並びに引
張り強度の高い中空状連続補強材が製造できることが判
る。
【0041】なお、この発明は、実施形態を次のように
変更して具体化することも可能である。 (a)縦糸が織り込まれた連続編組管に、ポリエチレン
又はポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を付着させる。熱
可塑性樹脂を使用することにより、成形後の中空状連続
補強材の再成形が容易にできる。
【0042】(b)高強度ガラスを用いて、ガラス繊維
を製造し、この高強度ガラス繊維をを用いて連続編組管
を製造する。高強度ガラスは、通常のガラス繊維と比較
して引張り強度が更に高いので、この高強度ガラス繊維
を用いることにより、引張り強度の更に高い連続編組管
及び中空状連続補強材を製造することができる。
【0043】(c)外径が30mm以上の縦糸を編み込
んだ芯材を有さない繊維の連続編組管に、樹脂を付着さ
せ硬化させる。外径が30mm以上であっても、連続編
組管内に芯材を必要とせず、円柱形状が変化しない中空
状連続補強材ができる。中空状連続補強材の径が大きく
なるほど、その機械的強度は高くなるので、補強材とし
ては径が大きいほど好ましい。
【0044】(d)縦糸を編み込んだ芯材を有さない繊
維の連続編組管に、樹脂を付着硬化させ、2m以上の中
空状補強材を製造する。連続編組管に芯材を用いること
なく、中空形状に歪みのない2m以上の長さの中空状補
強材を製造できる。
【0045】さらに、前記実施形態から把握される技術
的思想について以下に記載する。 (1)前記樹脂は、その種類が熱可塑性樹脂である請求
項1〜5(請求項3を除く)のいずれか1項に記載の中
空状連続補強材。 (2)請求項6に記載の発明において、樹脂は熱可塑性
樹脂を使用したものであるアンカーボルト。 (3)繊維の種類が高強度ガラス繊維である請求項1〜
5(請求項2を除く)のいずれか1項に記載の中空状連
続補強材。 (4)請求項6に記載の発明において、繊維は高強度ガ
ラス繊維を使用したものであるアンカーボルト。 (5)外径が30mm以上である請求項1〜5のいずれ
か1項に記載の中空状連続補強材。 (6)請求項6に記載の発明において、その外径が30
mm以上であるアンカーボルト。 (7)長さが2m以上である請求項1〜5のいずれか1
項に記載の中空状連続補強材。 (8)請求項6に記載の発明において、長さが2m以上
であるアンカーボルト。
【0046】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るため、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発
明の中空状連続補強材によれば、繊維の連続編組管に縦
糸を編み込むことにより、連続編組管に芯材を用いなく
ても、中空形状に変形がなく、引張り強度の高い中空状
連続補強材が製造できる。
【0047】請求項2に記載の発明の中空状連続補強材
によれば、請求項1に記載の発明のの効果に加えて、引
張り強度の高い繊維を用いて連続編組管を製造すること
により、更に引張り強度の高い中空状連続補強材を製造
することができる。
【0048】請求項3に記載の発明の中空状連続補強材
によれば、請求項1又は請求項2にに記載の発明の効果
に加えて、硬化後の機械的強度の高い熱硬化性樹脂を使
用することにより、剛性が高くまた高温環境下において
もそれを維持する中空状連続補強材を製造することがで
きる。
【0049】請求項4に記載の発明の中空状連続補強材
によれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明の
効果加えて、その縦糸の比率を限定することにより、連
続編組管の繊維がばらけることを防止でき、かつ引張り
強度の高い中空状連続補強材を製造することができる。
【0050】請求項5に記載の発明の中空状連続補強材
によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明の
効果に加えて、連続編組管の比率を限定することによ
り、高い剛性と高い引張り強度とを兼ね備えた中空状連
続補強材を製造することができる。
【0051】請求項6に記載の発明のアンカーボルトに
よれば、岩盤等の掘削作業において、請求項1〜5のい
ずれか1項に記載の中空状連続補強材を、予め掘られた
岩盤等の穴に挿入しモルタル等で固定することにより、
削岩作業における岩盤等の無制限な崩落をより効果的に
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の連続編組管の概念図。
【図2】縦糸のない連続編組管の概念図。
【図3】加熱炉を有した樹脂含浸機の概念図。
【符号の説明】
1… 連続編組管の縦糸 2… 連続編組管の外周面に螺旋状に存在する繊維 3… 連続編組管の外周面に螺旋状に存在する繊維 10… 繊維の連続編組管の入った箱 11… 樹脂含浸槽 12… 樹脂含浸ローラー 13… 加熱炉 14… スリット 15… 引張りローラー 20… 繊維の連続編組管 21… 樹脂 22… 中空状連続補強材 a… 中空状連続補強材の軸線

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縦糸を編み込んだ繊維の連続編組管に、
    樹脂を含浸させ硬化させた中空状連続補強材。
  2. 【請求項2】 上記繊維は、その種類が炭素繊維、ガラ
    ス繊維、アラミド繊維、ケブラー繊維、セラミック繊
    維、スチール繊維、ポリエステル繊維、高強度ポリオレ
    フィン繊維、ポリアミド繊維及びポリビニルアルコール
    繊維からなる群より選ばれた少なくとも1つである請求
    項1に記載の中空状連続補強材。
  3. 【請求項3】 上記樹脂は、その種類がエポキシ樹脂、
    不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂及びフェ
    ノール樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1つであ
    る請求項1又は請求項2に記載の中空状連続補強材。
  4. 【請求項4】 上記の縦糸を編み込んだ繊維の連続編組
    管において、縦糸の比率が10〜90重量%である請求
    項1〜3のいずれか1項に記載の中空状連続補強材。
  5. 【請求項5】 上記連続編組管の比率は、40〜90重
    量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の中空状
    連続補強材。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の中
    空状連続補強材が、予め岩盤又は地層に掘られた設置穴
    に、埋め込まれるアンカーボルト。
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