JPH11323298A - エポキシ接着フィルムの製造方法 - Google Patents

エポキシ接着フィルムの製造方法

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JPH11323298A
JPH11323298A JP14105498A JP14105498A JPH11323298A JP H11323298 A JPH11323298 A JP H11323298A JP 14105498 A JP14105498 A JP 14105498A JP 14105498 A JP14105498 A JP 14105498A JP H11323298 A JPH11323298 A JP H11323298A
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JP
Japan
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epoxy
adhesive film
molecular weight
producing
epoxy resin
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JP14105498A
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English (en)
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Takeshi Madarame
健 斑目
Hiroshi Shimizu
浩 清水
Katsuji Shibata
勝司 柴田
Ayako Matsuo
亜矢子 松尾
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Showa Denko Materials Co Ltd
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】多層プリント配線板に用いられるエポキシ接着
フィルムであって、耐熱性、取扱い性、耐薬品性、接着
性、剛性、低熱膨張性等の特性に優れた、フィルム形成
能を有する層間絶縁材料であるエポキシ接着フィルムの
製造方法を提供する。 【解決手段】二官能エポキシ樹脂とハロゲン化二官能フ
ェノール類をアルカリ金属化合物触媒とアルカリ金属元
素非含有化合物の存在下、溶媒中で加熱して重合させて
得た高分子量エポキシ重合体に、多官能エポキシ樹脂、
エポキシ樹脂用硬化剤、必要に応じて硬化促進剤、2個
以上のイソシアネート基を有するイソシアネート類のイ
ソシアネート基をマスク(ブロック)したマスクイソシ
アネート類と、無機充填材を配合した後、支持体フィル
ムの片面または両面に塗布し、溶媒を乾燥除去するエポ
キシ接着フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エポキシ接着フィ
ルム、特に多層プリント配線板に用いられるエポキシ接
着フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、電子機器に用いられる多層プリン
ト配線板に用いられる層間絶縁材料は、そのほとんど
が、熱硬化性樹脂をガラス布基材に含浸した熱硬化性樹
脂プリプレグである。ところが、近年、多層プリント配
線板の薄型化、高密度化に伴い、層間を極めて薄くする
ため、ガラス布等の基材を用いない層間絶縁材料が必要
となった。このような基材を用いない層間絶縁材料とし
ては、ゴムやアクリルで変性したり、熱可塑性樹脂を用
い、必要であれば無機充填材を配合してフィルム状にし
たものや、プリプレグ用樹脂に無機充填材を配合し、支
持体に塗布したもの、あるいは、高分子量エポキシ重合
体を用いたエポキシ接着フィルムが知られている。
【0003】この高分子量エポキシ重合体を用いてエポ
キシ接着フィルムを製造する方法については、特開昭5
1−87560号公報に開示されているように、直鎖状
高分子量エポキシ重合体と低分子量エポキシ樹脂を加熱
溶融し、有機カルボン酸塩を混合して、厚さが、0.3
〜0.5mmのシートを製造する方法が知られており、
得られたエポキシ接着フィルムは、引張り強度が約10
MPa、伸びが350〜870%であり、直鎖状高分子
量エポキシ重合体の分子量は、30,000〜250,
000とされている。
【0004】ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法
によるスチレン換算重量平均分子量が、50,000以
上の高分子量エポキシ重合体と、その製造方法は、特開
平4−120124号公報、特開平4−120125号
公報、特開平5−93041号公報、並びに特開平5−
93042号公報により開示されているように、二官能
エポキシ樹脂と二官能フェノール類を、エポキシ基/フ
ェノール水酸基=1/0.9〜1/1.1となるように
配合し、触媒の存在下に、溶媒中で加熱して重合させる
ものである。
【0005】特公平1−19806号公報には、フェノ
キシ樹脂を不飽和イソシアネート類で変性することによ
りフィルム形成能を持たせ、硬化フィルムが得られるこ
とが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ゴムやアクリルで変性
したり、熱可塑性樹脂を用いたものは、耐熱性、耐薬品
性、接着性が劣り、多層プリント配線板に用いられる層
間絶縁材料として不十分な特性であったり、また、プリ
プレグ用樹脂を支持体に塗布したものは、樹脂が低分子
量であるため、割れが発生し、極めて取扱いに問題のあ
るものであった。
【0007】特公平1−19806号公報に開示されて
いる、フェノキシ樹脂を不飽和イソシアネート類で変性
することによりフィルム形成能を持たせ、硬化フィルム
が得られることは、実施例中で使用されているフェノキ
シ樹脂がメチルエチルケトンに溶解していることから、
ここでいうフェノキシ樹脂には、フィルム形成能がな
く、この方法においても、十分な強度のフィルム形成能
を有するまでに直鎖状に高分子量化した高分子量エポキ
シ重合体が得られないものである。
【0008】特開平4−120124号公報、特開平4
−120125号公報、特開平5−93041号公報、
並びに特開平5−93042号公報により開示されてい
る、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるス
チレン換算重量平均分子量が50,000以上の高分子
量エポキシ重合体は、熱可塑性であり、十分な強度は有
するが、耐熱性、耐薬品性が低いという課題があった。
また、前記公報の方法で得られた高分子量エポキシ重合
体に、多官能エポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、高
分子量エポキシ重合体用架橋剤、無機充填材を配合して
エポキシ接着フィルムを製造すると、取扱い性が低下す
るという課題があった。
【0009】本発明は、多層プリント配線板に用いられ
るエポキシ接着フィルムであって、耐熱性、取扱い性、
耐薬品性、接着性、剛性、低熱膨張性等の特性に優れ
た、フィルム形成能を有する層間絶縁材料であるエポキ
シ接着フィルムの製造方法を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のエポキシ接着フ
ィルムの製造方法は、二官能エポキシ樹脂とハロゲン化
二官能フェノール類をアルカリ金属化合物触媒とアルカ
リ金属元素非含有化合物の存在下、溶媒中で加熱して重
合させて得た高分子量エポキシ重合体に、多官能エポキ
シ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤、必要に応じて硬化促進
剤、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネー
ト類のイソシアネート基をマスク(ブロック)したマス
クイソシアネート類と、無機充填材を配合した後、支持
体フィルムの片面または両面に塗布し、溶媒を乾燥除去
することを特徴とする。
【0011】高分子量エポキシ重合体には、ゲル浸透ク
ロマトグラフィー法によるスチレン換算重量平均分子量
で70,000以上のものを用いることができる。
【0012】また、高分子量エポキシ重合体を、N,N
−ジメチルアセトアミドに溶解したときの希薄溶液の還
元粘度が、0.60dl/g(25℃)以上であるもの
を用いることができる。
【0013】高分子量エポキシ重合体の合成に用いるア
ルカリ金属化合物触媒に、リチウム化合物を用いること
ができる。
【0014】高分子量エポキシ重合体の合成に用いるア
ルカリ金属元素非含有化合物に、イミダゾール類、アミ
ン類または有機リン化合物のうちいずれか1種以上を用
いることができる。
【0015】高分子量エポキシ重合体の合成に用いる溶
媒に、アミド系溶媒を用いることができる。
【0016】エポキシ樹脂用硬化剤に、多官能フェノー
ル類、アミン類またはイミダゾール化合物のいずれかを
用いることができる。
【0017】マスクイソシアネート類に、イソシアネー
ト基をフェノール類でマスク(ブロック)したものを用
いることができる。
【0018】無機充填材を、5〜90体積%配合するこ
とができる。
【0019】無機充填材に、水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウム、タルク、アルミナ、マグネシア、Eガ
ラス、シリカ、二酸化チタン、チタン酸カリウム、ケイ
酸アルミニウム、炭酸カルシウム、クレイ、窒化けい
素、硼酸アルミニウム、合成雲母の粉末状のうちいずれ
か1種以上を用いることができる。
【0020】無機充填材に、水酸化アルミニウム、タル
ク、クレイのうちいずれか1種以上を用いることができ
る。
【0021】支持体フィルムに銅箔を用い、銅箔の粗化
面のみに塗布することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明に用いる二官能エポキシ樹
脂には、分子内に2個のエポキシ基を有する化合物なら
ばどのようなものでも使用することができ、例えば、ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エ
ポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式
エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、二官能フェノ
ール類のジグリシジルエーテル化物、あるいは二官能ア
ルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれら
のハロゲン化物、水素添加物等がある。これらの化合物
は2種類以上を併用することができる。
【0023】また、ハロゲン化二官能フェノール類に
は、分子内に2個のフェノール性水酸基を有する化合物
ならばどのようなものでも使用でき、例えば、単環二官
能フェノールであるヒドロキノン、レゾルシノール、カ
テコール、多環二官能フェノールであるビスフェノール
A、ビスフェノールF、ナフタレンジオール類、ビフェ
ノール類およびこれらのアルキル置換体等の、ハロゲン
化物がある。これらの化合物は2種類以上を併用でき
る。
【0024】二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類
の当量比は、エポキシ基/フェノール性水酸基=1/
0.9〜1/1.1の範囲とすることが好ましい。この
当量比において、フェノール性水酸基が0.9未満の場
合には、直鎖状に高分子量化せず、副反応が起きて架橋
し、溶媒に溶けなくなり、1.1を超えると、高分子量
化が進まない。
【0025】高分子量エポキシ重合体の合成触媒には、
アルカリ金属化合物とアルカリ金属元素非含有化合物を
併用して用いる。アルカリ金属化合物の例としては、ナ
トリウム、リチウム、カリウムの水酸化物、ハロゲン化
物、有機酸塩、アルコラート、フェノラート、水素化
物、ホウ水素化物、アミド等がある。これらの中で、ア
ルカリ金属化合物触媒が、リチウム化合物触媒である
と、合成終了後の吸着剤による除去が容易であるので好
ましい。
【0026】アルカリ金属元素非含有化合物としては、
アルカリ金属元素を含まず、エポキシ基とフェノール性
水酸基のエーテル化反応を促進させるような触媒能を持
つ化合物であればどのようなものでもよく、例えばイミ
ダゾール類、アミン類、有機りん化合物等がある。
【0027】イミダゾール類としては、イミダゾール、
2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミ
ダゾール、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミ
ダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−ベンジル
−2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾ
ール、4,5−ジフェニルイミダゾール、2−メチルイ
ミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン、2−ウンデシ
ルイミダゾリン、2−ヘプタデシルイミダゾリン、2−
イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾ
ール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エ
チルイミダゾリン、2−フェニル−4−メチルイミダゾ
リン、ベンズイミダゾール、1−シアノエチルイミダゾ
ール等がある。
【0028】アミン類としては、脂肪族あるいは芳香族
の第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、第四級
アンモニウム塩及び脂肪族環状アミン類がある。これら
の化合物の一例としては、N,N−ベンジルジメチルア
ミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,
4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、
テトラメチルグアニジン、トリエタノールアミン、N,
N’−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ
〔2,2,2〕オクタン、1,8−ジアザビシクロ
〔5,4,0〕−7−ウンデセン、1,5,−ジアザビ
シクロ〔4,4,0〕−5−ノネン、ヘキサメチレンテ
トラミン、ピリジン、ピコリン、ピペリジン、ピロリジ
ン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルヘキシル
アミン、シクロヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、
ジ−n−ブチルアミン、ジフェニルアミン、N−メチル
アニリン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−オク
チルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリフェニルア
ミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメ
チルアンモニウムブロマイド、テトラメチルアンモニウ
ムアイオダイド等がある。
【0029】有機リン化合物としては、有機基を有する
リン化合物であればどのようなものでもよい。一例とし
ては、ヘキサメチルリン酸トリアミド、リン酸トリ(ジ
クロロプロピル)、リン酸トリ(クロロプロピル)、亜
リン酸トリフェニル、リン酸トリメチル、フェニルフォ
スフォン酸、トリフェニルフォスフィン、トリ−n−ブ
チルフォスフィン、ジフェニルフォスフィン等がある。
【0030】これらの触媒の配合量は、二官能エポキシ
樹脂1モルに対し、アルカリ金属化合物0.005〜
0.20モル、アルカリ金属非含有化合物0.005〜
0.20モルの範囲で、かつ、二官能エポキシ樹脂1モ
ルに対し、それらの合計が0.01〜0.30の範囲で
ある。0.01モル未満では、高分子量化反応が著しく
遅く、0.30モルを超えると、直鎖状に高分子量化し
ない。
【0031】本発明に用いるアミド系溶媒には、二官能
エポキシ樹脂と二官能フェノール類を溶解することがで
きるもの、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、
N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、2−ピロ
リドン、N−メチルピロリドン、カルバミド酸エステル
等が使用できる。これらの溶媒は、併用することもで
き、さらに他のケトン系溶媒、あるいはエーテル系溶媒
等と併用することができる。
【0032】溶媒を用いた重合反応の際の固形分濃度
は、10〜50重量%の範囲であることが好ましく、1
0重量%未満であると塗布する際の溶液粘度が著しく低
くなり、塗布することができなくなるおそれがある。5
0重量%を超えると副反応が多くなり直鎖状に高分子量
化しにくくなるおそれがある。この副反応が多くなる傾
向は、固形分濃度が大きい程起こり易く、40重量%以
下が好ましく、30重量%以下であることがさらに好ま
しい。
【0033】また、重合反応温度は、60〜150℃で
あることが好ましく、60℃未満では高分子量化反応が
著しく遅く、150℃を超えると副反応が多くなり、直
鎖状に高分子量化し難くなる傾向にある。
【0034】得られた高分子量エポキシ重合体1のスチ
レン換算重量平均分子量が70,000以上であり、ま
た、高分子量エポキシ重合体の希薄溶液の還元粘度は、
0.60dl/g以上であれば好ましい。0.60dl
/g未満であると、フィルム形成能が低下する。
【0035】本発明で用いる多官能エポキシ樹脂には、
分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物、例え
ば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノール
F型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、
フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボ
ラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型
エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ
樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、
グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン
型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシ
アヌレート型エポキシ樹脂、二官能フェノール類のジグ
リシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシ
ジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素
添加物等が使用できる。これらの化合物は、複数種類併
用することができ、二官能エポキシ樹脂以外の成分を不
純物として含むこともできる。この多官能エポキシ樹脂
の高分子量エポキシ重合体に対する配合量は、高分子量
エポキシ重合体100重量部に対して、1〜200重量
部の範囲とする。
【0036】この多官能エポキシ樹脂用の硬化剤には、
代表的なものとして、多官能フェノール、アミン類、イ
ミダゾール化合物、酸無水物等が使用できる。多官能フ
ェノールには、単環二官能フェノールであるヒドロキノ
ン、レゾルシノール、カテコール、多環二官能フェノー
ルであるビスフェノールA、ビスフェノールF、ナフタ
レンジオール類、ビスフェノール類およびこれらのハロ
ゲン化物、アルキル置換体、さらに、これらのフェノー
ル類とアルデヒド類との重縮合物であるノボラック樹
脂、レゾール樹脂等が使用でき、アミン類には、脂肪族
の1級アミン、2級アミン、3級アミン、芳香族の1級
アミン、2級アミン、3級アミン、グアニジン類、尿素
誘導体等、具体的には、トリエチレンテトラミン、ジア
ミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、
ジシアンジアミド、トリルビグアニド、グアニル尿素、
ジメチル尿素等が使用でき、イミダゾール化合物には、
アルキル置換イミダゾール、ベンズイミダゾール等が使
用でき、酸無水物には、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無
水フタル酸、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノン
テトラカルボン酸二無水物等が使用できる。硬化剤の配
合量は、多官能エポキシ樹脂100重量部に対して、1
〜70重量部使用する。
【0037】また、必要に応じて硬化促進剤を用い、例
えば、3級アミン、イミダゾール、4級アンモニウム塩
等を使用する。
【0038】本発明では、架橋剤として、マスクイソシ
アネートを用いる。これは、イソシアネート類を架橋剤
として使用すると、アルコール性水酸基との反応性が非
常に高いので室温で架橋反応が進行し、エポキシ樹脂溶
液のゲル化が起こる場合があるので、このイソシアネー
ト基をマスク(ブロック)して用いる。
【0039】本発明に用いるイソシアネート類は、分子
内に2個以上のイソシアネート基を有するもの、例えば
ジイソシアネート類には、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、フェ
ニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、
トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレ
ンジイソシアソート、ジフェニルエーテルジイソシアネ
ート、ジフェニルプロパンジイソシアネート、ビフェニ
ルジイソシアネート、及びこれらの異性体、アルキル置
換体、ハロゲン化物、ベンゼン環への水素添加物等が使
用できる。さらに、3個のイソシアネート基を有するト
リイソシアネート類、4個のイソシアネート基を有する
テトライソシアネート類等を使用することもでき、これ
らを併用することもできる。
【0040】このイソシアネートのマスク(ブロック)
剤の代表的なものとして、フェノール類がある。フェノ
ール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノー
ル、トリメチルフェノール、ブチルフェノール、フェニ
ルフェノール、ナフトール等の単官能フェノール類、ヒ
ドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ビスフェノ
ールA、ビスフェノールF、ビフェノール、ナフタレン
ジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロ
キシジフェニルスルホン等の二官能フェノール類とその
異性体及びハロゲン化物、ピロガロール、ヒドロキシヒ
ドロキノン、フロログルシン、フェノールノボラック、
クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、
ナフトールノボラック、レゾール等の多官能フェノール
類等がある。
【0041】このマスク(ブロック)剤は、イソシアネ
ート類のイソシアネート基1.0当量に対し、マスク
(ブロック)剤の活性水素が0.5〜3.0当量となる
ように用いることが好ましい。0.5当量未満である
と、マスク(ブロック)が不完全となり、高分子量エポ
キシ重合体がゲル化する可能性が高くなり、3.0当量
を超えると、マスク(ブロック)剤が過剰となり、形成
したフィルムにマスク(ブロック)剤が残り、耐熱性や
耐薬品性を低下させるおそれがある。
【0042】高分子量エポキシ重合体に対するイソシア
ネート類の配合量は、高分子量エポキシ重合体のアルコ
ール性水酸基当量1に対し、イソシアネート基当量0.
1〜2の範囲であることが好ましい。0.1未満である
と、架橋し難く、2を超えると、フィルム中にイソシア
ネート類が残り、耐熱性、耐薬品性を低下させるおそれ
がある。
【0043】本発明において、無機充填材には、通常の
樹脂に用いられ、なお且つ樹脂よりも弾性率が高く、電
気絶縁性のものであれば使用することができ、例えば、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、タルク、ア
ルミナ、マグネシア、Eガラス、シリカ、二酸化チタ
ン、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カル
シウム、クレイ、窒化けい素、炭化けい素、硼酸アルミ
ニウム、合成雲母等の粉末状の充填材や、ガラス、アス
ベスト、ロックウール、アラミド等の短繊維状の充填材
や、炭化けい素、アルミナ、硼酸アルミニウム等のウィ
スカ等が使用できる。
【0044】無機充填材の配合量は、充填材入り樹脂中
の5〜90体積%使用することが好ましい。充填材が5
体積%未満では、フィルムの高剛性、低熱膨張の効果が
小さく、90体積%を超えると、フィルムの取扱い性低
下や接着力を低下させるため、好ましくは10〜60体
積%、さらに好ましくは20〜40体積%で使用する。
【0045】さらに、必要に応じて、難燃剤を配合する
こともでき、難燃剤には、テトラブロモビスフェノール
A、デカブロモジフェニルエーテル、臭素化エポキシ樹
脂、臭素化フェノール樹脂等の臭素化合物が使用でき
る。
【0046】これらの高分子量エポキシ重合体、マスク
イソシアネート類、多官能エポキシ樹脂、硬化剤、硬化
促進剤、及び無機充填材を、溶媒に溶解ないし分解させ
てワニスとする。混合方法、ワニスが均一に混合分散さ
れればよく、特に限定されるものではない。例えば、ら
いかい機、ビーズミル、パールミル、ボールミル、ホモ
ミキサー、メカニカルスターラー等の機器を用いること
ができる。混合分散温度は、用いた溶媒の凝固点以上
で、且つ沸点以下の温度範囲であればよい。混合分散す
る材料の投入順序は、いずれの順でもよい。また、無機
充填材は、いずれかの材料に予め混合分散させておいて
もよい。
【0047】このワニスを塗布する支持フィルムには、
上記ワニスに用いるアミド系溶媒等に溶解しないもの、
例えば、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、
ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が使
用でき、さらに、この支持フィルムに代えて、銅箔を用
い、塗布する面を粗化面とすることもできる。このワニ
スを塗布した後に行う乾燥は、使用するワニスの組成あ
るいは支持フィルムの分解温度よりも低い温度で行う。
【0048】
【実施例】実施例1 二官能エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂(エポキシ当量:172)を用い、ハロゲン化二
官能フェノール類として、テトラブロモビスフェノール
A(水酸基当量:272)を用い、エポキシ基/フェノ
ール性水酸基=1.00/1.00となるように配合
し、触媒として二官能エポキシ樹脂1モルに対し、水素
化リチウムを0.05モル、イミダゾールを0.05モ
ルの存在下に、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミ
ドを用い、溶液の固形分濃度が20重量%となるように
配合を調整し、120℃で10時間、その溶媒中で加熱
して重合させてフィルム形成能を有する高分子量エポキ
シ重合体を得た。その粘度は3,800mPa・sであ
り、ゲル浸透グロマトグラフィー(GPC)法によるス
チレン換算重量平均分子量が150,000であり、そ
の還元粘度は、N,N−ジメチルアセトアミド中25℃
で1.12dl/gであった。この高分子量エポキシ重
合体に、2個以上のイソシアネート基を有するイソシア
ネート類として、フェノールでマスクしたトリレンジイ
ソシアネートを用い、高分子量エポキシ重合体のアルコ
ール性水酸基1当量に対し、イソシアネート基0.5当
量となるように配合した。高分子量エポキシ重合体10
0重量部に対し、多官能エポキシ樹脂として、クレゾー
ルノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:195)
を30重量部、硬化剤として、フェノールノボラック樹
脂(水酸基当量:106)を20重量部配合した。さら
に、無機充填材として、平均粒径1.5μmのアルミナ
を30体積%になるように配合し、室温で機械的に90
分攪拌し、ワニスを得た。このワニスを、厚さ50μm
のポリプロピレンフィルムの片面に塗布し、乾燥器中
で、100℃,0.5hrの条件で乾燥し、厚さ56μ
mの半硬化状のエポキシ接着フィルムを得た。
【0049】実施例2 二官能エポキシ樹脂として、臭素化ビスフェノールA型
エポキシ樹脂(エポキシ当量:400)を用い、ハロゲ
ン化二官能フェノール類として、テトラブロモビスフェ
ノールA(水酸基当量:272)を用い、エポキシ基/
フェノール性水酸基=1.00/1.00となるように
配合し、触媒として二官能エポキシ樹脂1モルに対し、
水酸化ナトリウムを0.035モル、2−n−ウンデシ
ルイミダゾールを0.030モルの存在下に、溶媒とし
てN,N−ジメチルアセトアミドを用い、溶液の固形分
濃度が30重量%となるように配合を調整し、120℃
で10時間、その溶媒中で加熱して重合させてフィルム
形成能を有する高分子量エポキシ重合体を得た。その粘
度は2,200mPa・sであり、ゲル浸透クロマトグ
ラフィー(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子
量が135,000であり、この還元粘度は、N,N−
ジメチルアセトアミド中25℃で1.18dl/gであ
った。この高分子量エポキシ重合体に、2個以上のイソ
シアネート基を有するイソシアネート類として、クレゾ
ールでマスクしたヘキサメチレンジイソシアネートを用
い、高分子量エポキシ重合体のアルコール性水酸基1当
量に対し、イソシアネート基0.5当量となるように配
合した。高分子量エポキシ重合体100重量部に対し、
多官能エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エ
ポキシ樹脂(エポキシ当量:195)を30重量部、硬
化剤として、フェノールノボラック樹脂(水酸基当量:
106)を20重量部配合した。さらに、無機充填材と
して、平均粒径2.5μmのシリカを30体積%になる
ように配合し、室温で機械的に90分攪拌し、ワニスを
得た。このワニスを、厚さ50μmのポリプロピレンフ
ィルムの片面に塗布し、乾燥器中で、100℃、0.5
hrの条件で乾燥し、厚さ53μmの半硬化状のエポキ
シ接着フィルムを得た。
【0050】実施例3 二官能エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂(エポキシ当量:172)を用い、ハロゲン化二
官能フェノール類として、テトラブロモビスフェノール
A(水酸基当量:272)を用い、エポキシ基/フェノ
ール性水酸基=1/0.98となるように配合し、触媒
として二官能エポキシ樹脂1モルに対し、リチウムメト
キシドを0.05モル、ジフェニルアミンを0.05モ
ルの存在下に、溶媒としてN−メチルピロリドンを用
い、溶液の固形分濃度が30重量%となるように配合を
調整し、120℃で10時間、その溶媒中で加熱して重
合させてフィルム形成能を有する高分子量エポキシ重合
体を得た。その粘度は4,000mPa・sであり、ゲ
ル浸透グマトグラフィー(GPC)法によるスチレン換
算重量平均分子量が300,000であり、この還元粘
度は、N,N−ジメチルアセトアミド中25℃で1.2
5dl/gであった。この高分子量エポキシ重合体に、
2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート類
として、メチルエチルケトンオキシムでマスクしたジフ
ェニルメタンジイソシアネートを用い、高分子量エポキ
シ重合体のアルコール性水酸基1当量に対し、イソシア
ネート基0.5当量となるように配合した。高分子量エ
ポキシ重合体100重量部に対し、多官能エポキシ樹脂
としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ
当量:195)を30重量部、硬化剤として、フェノー
ルノボラック樹脂(水酸基当量:106)を20重量部
配合した。さらに、無機充填材として、平均粒径2μm
のクレイを30体積%になるように配合し、室温で機械
的に90分攪拌し、ワニスを得た。このワニスを、厚さ
50μmのポリプロピレンフィルムの片面に塗布し、乾
燥器中で、100℃、0.5hrの条件で乾燥し、厚さ
50μmの半硬化状のエポキシ接着フィルムを得た。
【0051】実施例4 二官能エポキシ樹脂として、臭素化ビスフェノールA型
エポキシ樹脂(エポキシ当量:400)を用い、ハロゲ
ン化二官能フェノール類として、テトラブロモビスフェ
ノールA(水酸基当量:272)を用い、エポキシ基/
フェノール性水酸基=1/1.02となるように配合
し、触媒として二官能エポキシ樹脂1モルに対し、水酸
化リチウムを0.040モル、N,N−ベンジルジメチ
ルアミン0.060モルの存在下に、溶媒としてN,N
−ジメチルアセトアミドを用い、溶液の固形分濃度が3
0重量%となるように配合を調整し、120℃で10時
間、その溶媒中で加熱して重合させてフィルム形成能を
有する高分子量エポキシ重合体を得た。その粘度は2,
200mPa・sであり、ゲル浸透クロマトグラフィー
(GPC)法によるスチレン換算重量平均分子量が18
5,000であり、この還元粘度は、N,N−ジメチル
アセトアミド中25℃で1.22dl/gであった。こ
の高分子量エポキシ重合体に、2個以上のイソシアネー
ト基を有するイソシアネート類として、フェノーsルで
マスクしたトリレンジイソシアネートを用い、高分子量
エポキシ重合体のアルコール性水酸基1当量に対し、イ
ソシアネート基0.5当量となるように配合した。高分
子量エポキシ重合体100重量部に対し、多官能エポキ
シ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
(エポキシ当量:195)を30重量部、硬化剤とし
て、フェノールノボラック樹脂(水酸基当量;106)
を20重量部配合した。さらに、無機充填材として、平
均粒径5μmの合成雲母を30体積%になるように配合
し、室温で機械的に90分攪拌し、ワニスを得た。この
ワニスを、厚さ50μmのポリプロピレンフィルムの片
面に塗布し、乾燥器中で、100℃、0.5hrの条件
で乾燥し、厚さ48μmの半硬化状のエポキシ接着フィ
ルムを得た。
【0052】実施例5 二官能エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂(エポキシ当量:172)を用い、ハロゲン化二
官能フェノール類として、テトラブロモビスフェノール
A(水酸基当量:272)を用い、エポキシ基/フェノ
ール水酸基=1/1.02となるように配合し、触媒と
して二官能エポキシ樹脂1モルに対し、水酸化リチウム
を0.035モル、リン酸トリ(クロロプロピル)を
0.035モルの存在下に、溶媒としてN,N−メチル
ピロリドンを用い、溶液の固形分濃度が30重量%とな
るように配合を調整し、120℃で10時間、その溶媒
中で加熱して重合させてフィルム形成能を有する高分子
量エポキシ重合体を得た。その粘度は3,000mPa
・sであり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法
によるスチレン換算重量平均分子量が300,000で
あり、その還元粘度は、N,N−ジメチルアセトアミド
中30℃で1.15dl/gであった。この高分子量エ
ポキシ重合体に、2個以上のイソシアネート基を有する
イソシアネート類として、クレゾールでマスクしたヘキ
サメチレンジイソシアネートを用い、高分子量エポキシ
重合体のアルコール性水酸基1当量に対し、イソシアネ
ート基0.5当量となるように配合した。高分子量エポ
キシ重合体100重量部に対し、多官能エポキシ樹脂と
して、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ
当量:195)を30重量部、硬化剤として、フェノー
ルノボラック樹脂(水酸基当量:106)を20重量部
配合した。さらに、無機充填材として、針状の直径1μ
m、長さ20μmの硼酸アルミニウムウィスカを30体
積%になるように配合し、室温で機械的に90分攪拌
し、ワニスを得た。このワニスを、厚さ50μmのポリ
プロピレンフィルムの片面に塗布し、乾燥器中で、10
0℃、0.5hrの条件で乾燥し、厚さ51μmの半硬
化状のエポキシ接着フィルムを得た。
【0053】比較例1 実施例1における無機充填材であるアルミナを配合せず
に用いた以外は、実施例1と同様にしてワニスを作製
し、厚さ50μmの半硬化状のエポキシ接着フィルムを
得た。
【0054】比較例2 実施例1における合成触媒である水素化リチウムとイミ
ダゾールを、水素化リチウム0.05モルだけに代えた
以外は、実施例1と同様に、120℃で10時間、その
溶媒中で加熱して重合させてフィルム形成能を有する高
分子量エポキシ重合体を合成した。その結果、得られた
高分子量エポキシ重合体の粘度は3,050mPa・s
であり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によ
るスチレン換算重量平均分子量が110,000であ
り、その還元粘度は、N,N−ジメチルアセトアミド中
25℃で1.12dl/gであった。この高分子量エポ
キシ重合体溶液を用い、実施例1と同様にしてワニスを
作製し、厚さ48μmの半硬化状のエポキシ接着フィル
ムを得た。
【0055】比較例3 実施例3における合成触媒であるリチウムメトキシドと
ジフェニルアミンを、リチウムメトキシド0.05モル
だけに代えた以外は、実施例3と同様に、120℃で1
0時間、その溶媒中で加熱して重合させて、フィルム形
成能を有する高分子量エポキシ重合体を合成した。その
結果、得られた高分子エポキシ重合体の粘度は3,05
0mPa・sであり、ゲル浸透クロマトグラフィー(G
PC)法によるスチレン換算重量平均分子量が240,
000であり、その還元粘度は、N,N−ジメチルアセ
トアミド中25℃で1.20dl/gであった。この高
分子量エポキシ重合体溶液を用い、実施例3と同様にし
てワニスを作製し、厚さ48μmの半硬化状のエポキシ
接着フィルムを得た。
【0056】比較例4 高分子量エポキシ重合体に、フェノキシ樹脂であるYP
50(東都化成株式会社製,商品名,平均分子量:6
8,000)を用い、2個以上のイソシアネート基を有
するイソシアネート類として、イソホロンジイソシアネ
ートを用い、そのイソシアネート基1.0当量に対し、
マスク剤として、メチルエチルケトンオキシムを1.0
当量用い、高分子量エポキシ重合体のアルコール性水酸
基1当量に対し、イソシアネート基0.5当量となるよ
うに配合した。高分子量エポキシ重合体100重量部に
対し、多官能エポキシ樹脂として、クレゾールノボラッ
ク型エポキシ樹脂(エポキシ当量:195)を30重量
部、硬化剤として、フェノールノボラック樹脂(水酸基
当量:106)を20重量部配合した。さらに、無機充
填材として、平均粒径2μmのクレイを30体積%にな
るように配合し、室温で機械的に90分攪拌し、ワニス
を得た。このワニスを、厚さ50μmのポリプロピレン
フィルムの片面に塗布し、乾燥器中で、100℃、0.
5hrの条件で乾燥し、厚さ43μmの半硬化状のエポ
キシ接着フィルムを得た。しかし、この接着フィルム
は、脆く、取扱いが困難で、評価を行うことができなか
った。
【0057】比較例5 プリプレグ用のエポキシ樹脂である臭素化ビスフェノー
ルA型(エポキシ当量:470)100重量部と、硬化
剤であるジシアンジアミドを5重量部と、硬化促進剤で
あるベンジルメチルアミンを0.2重量部とを、メチル
エチルケトンに溶解したエポキシ樹脂ワニスに、無機充
填材として平均粒径2μmのクレイを30体積%になる
ように配合し、室温で機械的に90分攪拌し、ワニスを
得た。このワニスを、厚さ50μmのポリプロピレンフ
ィルムの片面に塗布し、乾燥器中で、100℃、0.5
hrの条件で乾燥し、厚さ41μmの半硬化状のエポキ
シ接着フィルムを得た。しかし、この接着フィルムは、
脆く、支持フィルムから剥がす際に割れてしまい、取扱
いが困難で、評価を行うことができなかった。
【0058】<試験方法>実施例、比較例の中での測定
方法、および接着フィルムの特性、並びにワニスの保存
安定性を、以下の方法で試験を行った。 ・粘度 EMD型粘度計(株式会社東京計器製)を用い、25℃
で測定した。 ・ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるスチ
レン換算重量平均分子量ゲル浸透クロマトグラフィー
(GPC)に使用したカラムは、TSKgelG600
0+G5000+G4000+G3000+G2000
である。溶離液には、N,N−ジメチルアセトアミドを
使用し、試料濃度を2重量%とした。分子量の異なるス
チレンを用いて分子量と溶出時間の関係を求めた後、試
料の溶出時間を測定し、分子量を推定して、スチレン換
算重量平均分子量とした。 ・還元粘度 高分子量エポキシ重合体を、ウベローデ粘度計を用いて
測定した。 ・接着力 半硬化状のエポキシ接着フィルムの両面に、18μmの
銅箔であるTSA−18(古河サーキットフォイル株式
会社製、商品名)とを重ね、170℃、2MPa、30
分の条件で加熱加圧して積層一体化し、銅箔を10mm
幅で90゜方向に引っ張り、引き剥がし強さを測定し
た。 ・耐熱性 接着力を測定することに用いた銅箔と積層一体化した試
料を、25mm×25mmに切断し、260℃のはんだ
浴に浮かべ、180s間、ふくれなどの異常が無いか時
間を測定した。 ・取扱い性 半硬化状のエポキシ接着フィルムを、100mm×20
mmに切断し、マンドレル試験機(東洋精器株式会社
製)を用いて測定した。接着フィルムを芯棒の外側にな
るように配置し、芯棒を中心に屈曲させたときのクラッ
クの有無を測定した。芯棒の直径は、10mm〜1mm
である。 ・Tg 硬化した試料フィルムのガラス転移点(Tg)は、示差
走査熱量計910(デュポン社製,商品名)を用いた。 ・引張弾性率 硬化した試料フィルムのガラス状領域(E1),ゴム状
領域(E2)の引張弾性率は、広域動的粘弾性測定装置
であるDVE−4型レオスペクトラー(レオロジー社
製、商品名)を用いた。 ・熱膨張係数 硬化した試料フィルムのガラス状領域(α1)、ゴム状
領域(α2)の熱膨張係数は、熱機械分析装置TMA4
000(マックサイエンス社製,商品名)を用いた。 ・耐薬品性 硬化した試料フィルムを、メチルエチルケトン、N,N
−ジメチルアセトアミド、トルエン、アセトン、塩化メ
チレン、10重量%塩酸、10重量%水酸化ナトリウム
のそれぞれに、30分間浸漬し、表面を目視で観察し、
膨潤、溶解のないものを良好と判断した。 ・ワニスの保存安定性 ワニスの状態で、室温に7日間放置し、攪拌して、目視
で観察し、ゲル化していないものを良好と判断した。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によっ
て、接着性、耐熱性、取扱い性、耐薬品性に優れ、か
つ、剛性、低熱膨張性に優れたエポキシ接着フィルムの
製造方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松尾 亜矢子 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化成 工業株式会社下館研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二官能エポキシ樹脂とハロゲン化二官能フ
    ェノール類をアルカリ金属化合物触媒とアルカリ金属元
    素非含有化合物の存在下、溶媒中で加熱して重合させて
    得た高分子量エポキシ重合体に、多官能エポキシ樹脂、
    エポキシ樹脂用硬化剤、必要に応じて硬化促進剤、2個
    以上のイソシアネート基を有するイソシアネート類のイ
    ソシアネート基をマスク(ブロック)したマスクイソシ
    アネート類と、無機充填材を配合した後、支持体フィル
    ムの片面または両面に塗布し、溶媒を乾燥除去すること
    を特徴とするエポキシ接着フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】高分子量エポキシ重合体に、ゲル浸透クロ
    マトグラフィー法によるスチレン換算重量平均分子量で
    70,000以上のものを用いることを特徴とする請求
    項1に記載のエポキシ接着フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】高分子量エポキシ重合体を、N,N−ジメ
    チルアセトアミドに溶解したときの希薄溶液の還元粘度
    が、0.60dl/g(25℃)以上であるものを用い
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のエポキシ
    接着フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】高分子量エポキシ重合体の合成に用いるア
    ルカリ金属化合物触媒に、リチウム化合物を用いること
    を特徴とする請求項1〜3のうちいずれかに記載のエポ
    キシ接着フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】高分子量エポキシ重合体の合成に用いるア
    ルカリ金属元素非含有化合物に、イミダゾール類、アミ
    ン類または有機リン化合物のうちいずれか1種以上を用
    いることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれかに記
    載のエポキシ接着フィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】高分子量エポキシ重合体の合成に用いる溶
    媒に、アミド系溶媒を用いることを特徴とする請求項1
    〜5のうちいずれかに記載のエポキシ接着フィルムの製
    造方法。
  7. 【請求項7】エポキシ樹脂用硬化剤に、多官能フェノー
    ル類、アミン類またはイミダゾール化合物のいずれかを
    用いることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれかに
    記載のエポキシ接着フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】マスクイソシアネート類に、イソシアネー
    ト基をフェノール類でマスク(ブロック)したものを用
    いることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれかに記
    載のエポキシ接着フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】無機充填材を、5〜90体積%配合するこ
    とを特徴とする請求項1〜8のうちいずれかに記載のエ
    ポキシ接着フィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】無機充填材に、水酸化アルミニウム、水
    酸化マグネシウム、タルク、アルミナ、マグネシア、E
    ガラス、シリカ、二酸化チタン、チタン酸カリウム、ケ
    イ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、クレイ、窒化けい
    素、硼酸アルミニウム、合成雲母の粉末状のうちいずれ
    か1種以上を用いることを特徴とする請求項1〜9のう
    ちいずれかに記載のエポキシ接着フィルムの製造方法。
  11. 【請求項11】無機充填材に、水酸化アルミニウム、タ
    ルク、クレイのうちいずれか1種以上を用いることを特
    徴とする請求項1〜9のうちいずれかに記載のエポキシ
    接着フィルムの製造方法。
  12. 【請求項12】支持体フィルムに銅箔を用い、銅箔の粗
    化面のみに塗布することを特徴とする請求項1〜11の
    うちいずれかに記載のエポキシ接着フィルムの製造方
    法。
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