JPH1132251A - 画像処理装置 - Google Patents

画像処理装置

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JPH1132251A
JPH1132251A JP9258556A JP25855697A JPH1132251A JP H1132251 A JPH1132251 A JP H1132251A JP 9258556 A JP9258556 A JP 9258556A JP 25855697 A JP25855697 A JP 25855697A JP H1132251 A JPH1132251 A JP H1132251A
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Shinichirou Aizaki
紳一郎 合▲崎▼
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Abstract

(57)【要約】 【課題】振動の発生源をなくすと共に、装置構成の簡易
化を可能とする。 【解決手段】複屈折結晶である水晶を硝材として用いた
二重焦点光学系2の焦点位置を、液晶素子4による液晶
の配向の切換えにより、偏光板3を透過される光の偏光
方向を回転させることで切換える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光軸方向に高さを
有する3次元物体の観察画像を生成するための画像処理
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、解像度にすぐれ、且つ明るさの
大きな画像を光学的に取込むためには、開口の大きな光
学素子を用いた結像光学系が必要である。ところが、レ
ンズに代表される結像用光学素子は、開口が大きくなる
と焦点深度が浅くなることから、このような焦点深度が
浅いままで、顕微鏡における検査観察において、例えば
半導体ウェハのパターン、凹凸のある生物標本、LCD
パネル検査など、光軸方向に高さを有する3次元物体の
観察を行なうと、観察画像にぼけ画像が混在して解像度
が著しく劣化するため、かかる観察画像に基づいた検査
過程に支障をきたす虞があった。
【0003】そこで従来、このような3次元物体の画像
を一括して観察可能にするため、焦点深度を拡大するこ
とが考えられ、このような焦点深度を拡大する方法とし
て、合焦位置の異なる観察画像を加え合わせ、得られた
画像に適当な画像処理を行なうことにより、解像度や明
るさを損なうことなく焦点深度の深い画像を再生するよ
うにしたものがある。
【0004】つまり、このような考えに基づくものとし
て、特開平8−317273号公報に開示されるよう
に、標本の合焦面合わせを行なうようにステージを駆動
しながら、テレビカメラにより標本画像を撮像し、この
テレビカメラで得られた標本画像をメモリに記憶し、さ
らに記憶画像に対する加算タイミングで標本画像と記憶
画像を加算し、この加算画像を回復処理することで、合
焦位置の異なる複数の画像を加算した焦点深度の深い画
像を得るようにしたもの、あるいは、特開平8−294
035号公報に開示されるように、合焦時のコントラス
トが高く輝度変化の激しい部分についてはコントラスト
情報に基づく焦点位置検出を行ない、残った部分につい
ては、輝度処理に基づく焦点位置検出を行ない、これら
より得られた画像を合成して最終合焦画像を得るように
したものなどがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来のものは、いずれも合焦位置の異なる複数の画像を
取込むのに、試料ステージまたは顕微鏡の光学系部分を
機械的に動かすようにしているため、これらを精度よく
駆動するための構成の複雑な機械的駆動機構が必要とな
り、装置の大型化とともに、価格的にも高価になってし
まう。また、これらステージまたは顕微鏡の光学系部分
を直接動かすことは、観察対象を振動させる振動源にも
なる。このことは、観察対象に対してマニピュレータや
ピンセットによる作業を可能にした作業用顕微鏡などの
場合、観察対象が振動により移動してマニピュレータや
ピンセットに誤って触れてしまい、作業をやり直ししな
ければならなくなるなど、作業上の効率低下を招く虞も
あった。
【0006】本発明は上記のような実情に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、振動の発生源を無
くすことができると共に、装置構成の簡易化を図りなが
ら、3次元物体の正確で鮮明な観察画像を得ることが可
能な画像処理装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
複屈折結晶による二重焦点光学系と、この二重焦点光学
系の焦点位置を切換える焦点位置切換手段と、この焦点
位置切換手段により切換えられる二重焦点光学系のそれ
ぞれの焦点位置の画像を各別に記憶する記憶手段と、こ
の記憶手段に記憶された異なる焦点位置の画像の各画素
の輝度を比較選択して画像を再合成する画像処理手段
と、この画像処理手段により再合成された画像を表示す
る表示手段とを具備したことを特徴とする。
【0008】このような構成とした結果、機械的な動作
を伴わずに焦点位置を切換えることができ、2つの合焦
位置の画像を機械的振動を発生させることなく取込むこ
とができる。
【0009】請求項2記載の発明は、上記請求項1記載
の発明において、上記焦点位置切換手段は、二重焦点光
学系の複屈折結晶の光学軸に平行な直線偏光が透過され
る偏光板と、この偏光板を透過される光の偏光方向を回
転させる液晶素子を有する偏光フィルタからなることを
特徴とする。
【0010】このような構成とした結果、上記請求項1
記載の発明の作用に加えて、焦点位置切換手段として複
雑な機械的駆動機構を用いることなく、二重焦点光学系
の焦点位置を切換えることができる。
【0011】請求項3記載の発明は、上記請求項1記載
の発明において、上記画像処理手段は、予め異なる大き
さのしきい値が設定され、これらのしきい値に対し各焦
点位置の画像の対応する画素の輝度を比較するととも
に、この比較結果に基づいて、いずれか一方の画素を選
択し画像を再合成するようにしている。
【0012】このような構成とした結果、上記請求項1
記載の発明の作用に加えて、取込まれた2つの画像の各
画素の輝度をしきい値と比較選択し、それぞれの画像の
ぼけ部分を低減させて画像を再合成するため、従来の顕
微鏡の分解能、作動距離を維持したまま2倍の高さの3
次元物体の鮮明な観察画像を得ることができる。
【0013】請求項4記載の発明は、上記請求項1記載
の発明において、上記二重焦点光学系の対物レンズと上
記撮像手段との間に配置され、上記焦点位置切換手段に
より切換えられる二重焦点光学系のそれぞれの焦点位置
の画像の結像倍率が等しくなるように該対物レンズと撮
像手段との間の空気換算長を調節する結像倍率調節手段
をさらに具備したことを特徴とする。
【0014】このような構成とした結果、上記請求項1
記載の発明の作用に加えて、二重焦点光学系の2つの焦
点による像の結像倍率が等しくなるため、それぞれの像
による画像を再合成したときの画像上の長さが不一致と
なってしまうことがなく、3次元物体の正確で鮮明な観
察画像を得ることができる。
【0015】請求項5記載の発明は、上記請求項4記載
の発明において、上記結像倍率調節手段は、上記対物レ
ンズの光学軸と直交または平行な光学軸を有する複屈折
結晶による平行平板からなることを特徴とする。このよ
うな構成とした結果、上記請求項4記載の発明の作用に
加えて、上記結像倍率調節手段を簡易な構成で実現する
ことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)以下本発明の第1の実施の形態に
係る画像処理装置を図面に従って説明する。図1は画像
処理装置全体の概略構成を示している。同図において1
は顕微鏡であり、この顕微鏡1は、複屈折結晶である水
晶を硝材として用いた二重焦点光学系2と、この二重焦
点光学系2の焦点位置を切換えるための偏光板3、液晶
素子4により構成される偏光フィルタ5と、この偏光フ
ィルタ5を駆動する液晶駆動回路6を有し、さらに二重
焦点光学系2により結像される像を撮像する撮像手段7
を有している。
【0017】ここで、二重焦点光学系2は、焦点OA
(下側の焦点),OB(上側の焦点)のそれぞれの焦点
深度DA,DBが連続するように設計されたものであ
る。つまり、このような複屈折結晶を硝材とするレンズ
は、菊田久男・岩田耕一「複屈折レンズの光線追跡」、
光技術コンタクト、Vol.31.No5、p247〜
259(1993)に記載されているように、複屈折結
晶の光学軸に対する入射光線の偏光方向の違いにより2
つの位置で焦点を結ぶようになっていて、このとき、そ
れぞれの光線を常光線、異常光線と呼び、レンズの形状
を図2に示すようにすると、常光線での焦点距離fo 及
び異常光線での焦点距離fe は、 fo =r1 ・r2 /((no −1)(r1 −r2 )) …(1) fe =r1 ・r2 /((ne −1)(r1 −r2 )) …(2) (但し、r1 ,r2 :レンズの曲率半径、 no :常光線に対する屈折率、 ne :異常光線に対する屈折率。) で与えられるようになり、これにより、これら焦点距離
fo ,fe を適当に設計することで、焦点OA,OBの
それぞれの焦点深度DA,DBが連続するように設計す
ることが可能になる。
【0018】なお、二重焦点光学系2に使用する複屈折
結晶としては、水晶に限らず、方解石など、複屈折結晶
であるならば制限がないものとする。また、偏光フィル
タ5は、偏光板3を複屈折結晶の光学軸C(図2参照)
に対し平行な方向に配置していて、常時、偏光板3を透
過する光が二重焦点光学系2の複屈折結晶の光学軸に平
行な直線偏光になるように設定され、液晶駆動回路6に
より液晶素子4を駆動して液晶の配向を切換えることに
より、偏光板3を通った光の偏光方向が90°回転され
るようにしている。この場合の液晶駆動回路6による液
晶駆動は、後述するコントローラ9の指示により行なわ
れる。
【0019】なお、偏光板3の偏光方向は、複屈折結晶
の光学軸Cに対し平行な方向に配置する例を述べたが、
この偏光方向は、光学軸Cに垂直な方向でも構わない。
また、偏光板3の偏光方向を回転させる手段は、液晶に
限らず、電気的に偏光方向を変えられるものならば、特
に限定しない。
【0020】一方、撮像手段7には、切換スイッチ8を
接続している。この切換スイッチ8は、コントローラ9
からの切換信号により上述した液晶駆動回路6による液
晶駆動と同期して出力先を切換えるようにしている。
【0021】そして、この切換スイッチ8の出力先に
は、第1のフレームメモリ10と第2のフレームメモリ
11を接続している。これら第1のフレームメモリ10
及び第2のフレームメモリ11は、焦点位置の異なる2
つの画像を各別に記憶するものである。
【0022】これら第1のフレームメモリ10及び第2
のフレームメモリ11には、輝度比較回路12を接続し
ている。この輝度比較回路12は、これら第1のフレー
ムメモリ10及び第2のフレームメモリ11に記憶され
た焦点位置の異なる2つの画像の各画素の輝度を比較選
択するもので、予め、コントローラ9によってしきい値
L1 ,L2 (L1 <L2 )を設定されていて、これらの
しきい値L1 ,L2 に対し各焦点位置の画像の対応する
画素の輝度を比較すると共に、この比較結果に基づいて
いずれか一方の画素を選択し画像の再合成を行なうよう
にしている。
【0023】そして、輝度比較回路12には、第3のフ
レームメモリ13を接続し、この第3のフレームメモリ
13に表示手段14を介してモニタ15を接続してい
る。第3のフレームメモリ13は、輝度比較回路12で
の再合成により画像データを記憶するようにしている。
表示手段14は、第3のフレームメモリ13に記憶され
た画像データを表示信号に変換するもので、この表示信
号に基づいた画像をモニタ15に表示するようになって
いる。
【0024】次に以上のように構成した本実施の形態の
動作を説明する。まず、試料として図示しない3次元物
体を顕微鏡1の図示しない試料ステージ上に載置すると
ともに、試料が二重焦点光学系2の焦点深度DA,DB
の範囲に位置するように試料ステージの高さを調整す
る。
【0025】この状態で、試料の観察画像は、偏光フィ
ルタ5及び二重焦点光学系2を通って撮像手段7の撮像
面に結像され撮像される。この場合、二重焦点光学系2
前面に配置される偏光フィルタ5の液晶素子4は、コン
トローラ9の指示により液晶駆動回路6によって繰り返
し駆動され、液晶の配向を切換えられるので、偏光板3
を透過する光の偏光方向も切換えられるようになり、こ
れに伴い二重焦点光学系2の焦点位置は、焦点位置OA
(下側の焦点),OB(上側の焦点)の間で切換えられ
る。
【0026】また、この二重焦点光学系2の焦点位置の
切換えと同期してコントローラ9より切換信号が切換ス
イッチ8に送られる。これにより、撮像手段7により、
焦点位置OA焦点深度DA内の試料の観察画像と焦点位
置OB焦点深度DB内の試料の観察画像が交互に撮像さ
れる。
【0027】同時に、切換スイッチ8の切換動作に応じ
て第1のフレームメモリ10及び第2のフレームメモリ
11に送出され、焦点位置OA焦点深度DA内の試料の
鮮明な画像が第1のフレームメモリ10に、焦点位置O
B焦点深度DB内の試料の鮮明な画像が第2のフレーム
メモリ11にそれぞれ記憶される。
【0028】次に、これら第1のフレームメモリ10及
び第2のフレームメモリ11に記憶された画像は、輝度
比較回路12に送られ、比較され選択される。この場
合、輝度比較回路12には、コントローラ9によってし
きい値L1 、L2 を設定されている。この場合、輝度比
較回路12は、図3(a)に示すように第1のフレーム
メモリ10に記憶されたある画素の輝度をA、同図
(b)に示すように第2のフレームメモリ11に記憶さ
れた対応する画素の輝度をBとすると、同図(c)に示
すように、これらの輝度A,Bを比較するとともに、こ
れらのいずれか一方を選択することで画像を再合成す
る。
【0029】輝度比較回路12での比較選択の方法をさ
らに詳しく述べると、以下の3通りの条件がある。 (1)A,B両方の輝度がしきい値L1 より小さい時
は、合焦している画素の輝度と焦点の合っていない画素
の輝度を比較すると、焦点の合っていない方の画素は注
目している画素周辺の輝度の高いぼけ像のもれが加算さ
れるため輝度が高くなる。そこで、A,Bを比較したと
きに、輝度の低い方の画素を選択する。
【0030】(2)AまたはBの少なくともどちらか一
方がL1 とL2 の間にあるときは、その部分の画素の輝
度がある程度高い場合を表しているのであり、注目して
いる画素以外のぼけ像のもれの影響は少ない。一般に焦
点の合っている画素と焦点の合っていない画素を比較す
ると、焦点が合っている画素のほうが輝度が高いので、
A,Bを比較したときに、輝度の高い方の画素を選択す
る。
【0031】(3)A,Bのどちらか一方がL2 を越え
ている場合、その画素の部分の反射率が高いことを示し
ており、観察している試料の形状によっては、焦点の合
っている画素と焦点の合っていない画素を比較すると、
合っていない画素のほうが輝度が高くなる場合がある。
この場合は、A,Bを比較したときに、輝度の低い方の
画素を選択する。
【0032】以上の3つの条件で比較を行なうが、
(1)(3)のA,Bの輝度と画像のぼけの状態がこの
条件に当てはまらない場合がある。このような場合は、
最終的に得られる画像にぼけ像が乗り不鮮明な部分が出
てくる。このときは、L1 ,L2を調整することによ
り、L1 ,L2 による領域を設定し直す。これには、観
察者が画像観察を行ないながらコントローラ9によりL
1 、L2 の設定を行なうようになる。つまり、(1)の
条件に合わない場合、すなわちA,Bのどちらかの輝度
が著しく高いが、焦点の合っている画像と合っていない
画像を比較すると合っている画像のほうが輝度が高くな
らない場合は、L2 の値を大きくするように調整すれ
ば、誤ったA,Bの選択を回避することができる。ま
た、(3)の条件に合わない場合、すなわちA,Bのど
ちらかの輝度が著しく低く、焦点の合っている画素と合
っていない画素を比較すると、合っていない画素のほう
が輝度が高くならない場合は、L1 の値を小さくすれ
ば、誤ったA,Bの選択を回避することができる。これ
らのしきい値L1 ,L2 の設定は、観察を行なったとき
の不自然な画像の分布面積から観察者が容易に適正な値
を決めることができる。
【0033】図4はこのような条件に基づいた具体的な
比較フローを説明するもので、まず、ステップ401で
輝度AとBを比較し、B>Aならば、ステップ402で
輝度Bとしきい値L1 を比較する。そして、B<L1 な
らば、ステップ403に進み、輝度Aの画素を選択す
る。これをルート1とする。
【0034】また、ステップ402でB>L1 を判断し
たならば、ステップ404で輝度Bの画素を選択し、次
いで、ステップ405で輝度Bとしきい値L2 を比較す
る。そして、B<L2 ならば、ステップ406に進み、
輝度Bの画素を選択する。これをルート2とする。
【0035】また、ステップステップ405で、B>L
2 を判断したならば、ステップ407に進み、輝度Aの
画素を選択する。これをルート3とする。一方、上記ス
テップ401でB<Aを判断した場合は、ステップ40
8で輝度Aとしきい値L1 を比較する。そして、A<L
1 ならば、ステップ409に進み、輝度Bの画素を選択
する。これをルート4とする。
【0036】また、上記ステップ408でA>L1 を判
断したならば、ステップ410で輝度Aの画素を選択
し、次いで、ステップ411で輝度Aとしきい値L2 を
比較する。そして、A<L2 ならば、ステップ412に
進み、輝度Aの画素を選択する。これをルート5とす
る。
【0037】また、上記ステップ411で、A>L2 を
判断したならば、ステップ413にに進み、輝度Bの画
素を選択する。これをルート6とする。これにより、輝
度A,Bとしきい値L1 ,L2 の関係と、選択される結
果の関係は図5に示すようになる。この場合、ルート1
〜6についてしきい値L1 ,L2 に対する輝度A,Bの
関係が図示されていて、このうち丸で囲んである方が選
択結果である。
【0038】このような輝度比較回路12での比較選択
は、第1のフレームメモリ10及び第2のフレームメモ
リ11に記憶された画像の対応する全ての画素について
行なわれ、この結果として、再合成された画像が第3の
フレームメモリ13に記憶され、さらに、この第3のフ
レームメモリ13に記憶された画像は、表示手段14で
表示信号に変換されモニタ15に表示されるようにな
る。
【0039】この結果、例えば図6に示すように高い面
Xと低い面Yを有する試料21について、図示矢印方向
から観察を行なったとすると、第1のフレームメモリ1
0には二重焦点光学系2の焦点位置OA焦点深度DA内
の観察画像として図7(a)に示すように低い面Yに焦
点の合った画像が取込まれ(この場合、同図の破線で示
す高い面Xは、ぼけ画像となる。)、また、第2のフレ
ームメモリ11には二重焦点光学系2の焦点位置OB焦
点深度DB内の観察画像として同図(b)に示すように
高い面Xに焦点の合った画像が取込まれる(この場合、
同図の破線で示す低い面Yは、ぼけ画像となる。)。
【0040】そして、これら第1のフレームメモリ10
及び第2のフレームメモリ11の画像が輝度比較回路1
2で比較選択されることにより、第3のフレームメモリ
13には同図(c)に示すように高い面Xと低い面Yと
もに焦点の合った画像が取込まれ、これがモニタ15に
表示されることになる。
【0041】したがって、このようにすれば、複屈折結
晶である水晶を硝材として用いた二重焦点光学系2の焦
点位置を、液晶素子4による液晶の配向の切換えによ
り、偏光板3を透過される光の偏光方向を90°回転さ
せることで切換えるようにしたので、機械的な動作を伴
わずに焦点位置を切換えることができ、2つの合焦位置
の画像を機械的振動を発生させることなく取込むことが
でき、これにより、このときの振動により観察対象が移
動してマニピュレータやピンセットに触れるなどして作
業をやり直しするような不都合がなくなり、かかる観察
作業の効率低下を回避できる。
【0042】また、二重焦点光学系2の焦点位置の切換
えを偏光板3と液晶素子4からなる偏光フィルタ5を用
いることで、かかる焦点位置切換手段として複雑な機械
的駆動機構を必要とすることなく、二重焦点光学系の焦
点位置の切換えを行なうことができるようになり、その
分装置構成の簡単化を実現できると共に、価格的にも安
価にできる。
【0043】さらに輝度比較回路12では、焦点位置の
異なる2つの画像の各画素の輝度をしきい値と比較選択
し、それぞれの画像のぼけ部分を低減させて画像を再合
成することにより、従来の顕微鏡の分解能、作動距離を
維持したまま2倍の高さの3次元物体の鮮明な観察画像
を得られる。
【0044】なお、上述した実施の形態では、複屈折結
晶を用いた二重焦点光学系と偏光板及び液晶素子により
構成される偏光フィルタを用いる構成としたが、例え
ば、特開昭60−50510号公報に開示される液晶レ
ンズに置き換えても、同様な効果が期待できる。
【0045】(第2の実施の形態)以下本発明の第2の
実施の形態に係る画像処理装置を図面に従って説明す
る。図8は画像処理装置全体の概略構成を示しており、
基本的な構成及び動作は上記図1に示したものと同様で
あるので、同一部分には同一符号を付してその説明は省
略する。
【0046】しかして、二重焦点光学系2と撮像手段7
の間に複屈折結晶、例えば方解石による平行平板31を
配置する。この平行平板31は、方解石の光軸が二重焦
点光学系2の観察光軸と直交するように配置されるもの
で、使用する複屈折結晶は方解石に限らず、他のもので
あってもよい。
【0047】次に上記のように構成した本実施の形態の
特に観察光学系の動作について図9乃至図11を用いて
説明する。図10は本実施の形態の光学系部分であり、
図11は説明のために図10から方解石の平行平板31
を取り除いた時の結像関係を示す図である。なお、図1
1では偏光板3及び液晶素子4は省略している。
【0048】説明を容易にするために、撮像手段7とし
てCCDカメラを用い、モニタ15上に表示出力する際
に試料を50倍で観察できる、ビデオ倍率60倍のビデ
オ顕微鏡について考えるものとする。このとき、光学系
に要求される倍率は−0.83倍程度とする。
【0049】複屈折結晶を硝材とするレンズは、上記第
1の実施の形態で説明した如く複屈折結晶の光学軸に対
する入射光線の偏光方向の違いにより2つの位置で焦点
を結ぶようになっており、レンズの形状を上記図2に示
すようにすると、常光線での焦点距離fo 及び異常光線
での焦点距離fe は、上記式(1)及び(2)で表わす
ことができる。
【0050】硝材に屈折率no :1.544、ne :
1.553の水晶を用いて、−r1 =r2 =66.85
1[mm]の二重焦点光学系2の焦点距離を計算する
と、fo=61.44[mm]、fe =60.44[m
m]となる。一般にレンズの結像関係は図9に示すよう
に記号を定めると、結像倍率をβとして z=−f/β、z′=−β・f′ となる。
【0051】二重焦点光学系2の光学軸に平行な偏光を
もつ光線を光線A、垂直な偏光をもつ光線を光線Bと
し、それぞれの結像関係を図11に示すように定める
と、 zA=−fo /β、zA′=−β・fo ′、 …(3) zB=−fe /β、zB′=−β・fe ′ …(4) となる。
【0052】したがって、光線A、光線Bによる結像倍
率が−0.83となるようにするためには、zA,z
A′,zB,zB′はzA=−74.02[mm]、z
A′=51.00[mm]、zB=−72.82[m
m]、zB′=50.17[mm]とすればよい。この
とき光線Aと光線Bの物点位置は2.2[mm]離れ、
焦点深度を拡大することができる反面、結像面が1.8
3[mm]離れることとなる。
【0053】次に図10に示すように方解石の平行平板
31が二重焦点光学系2と撮像手段7の間に配置されて
いる状態について考える。平行平板31は、その光学軸
が光線Aの偏光方向に対しては直交するように、そして
光線Bの偏光方向に対しては平行になるように配置され
る。
【0054】そのため、平行平板31は光線Aに対して
は異常光線として屈折率1.486の媒質として、光線
Bに対しては常光線として屈折率1.658の媒質とし
てふるまう。このとき、結像位置の空気換算長は図11
に示すように平行平板31がない結像位置と等しくなら
なければならない。
【0055】光線A,Bの結像位置が等しくなるために
は、二重焦点光学系2と撮像手段7の間隔をz′、その
光線A,Bに対する空気換算長をzA″,zB″、平行
平板31の厚さをd、常光線に対する屈折率をno ′、
異常光線に対する屈折率をne ′とすると、以下の式が
成り立つ。すなわち、 zA″=z′−d+(d/ne ′) …(5) zB″=z′−d+(d/no ′) …(6) 上記図11で示したように光線A,Bの結像倍率を−
0.83とするためには、光線A,Bに対する二重焦点
光学系2と撮像手段7の間の空気換算長がそれぞれ zA″=zA′+fo ′=112.44[mm] …(7) zB″=zB′+fe ′=110.61[mm] …(8) である必要がある。
【0056】したがって、これらから二重焦点光学系2
と撮像手段7の間隔z′と平行平板31の厚さdを求め
ると、z′=121.0[mm]、d=26.2[m
m]となり、z′とdを設計によって求めることができ
ることがわかる。
【0057】このため、二重焦点光学系2と撮像手段7
の間隔z′を121.0[mm]とし、そこへ厚さ2
6.2[mm]の平行平板31を挿入すると、二重焦点
光学系2と撮像手段7の換算長は光線Aについては11
2.44[mm]、光線Bについては110.61[m
m]となる。このことから、光線Aと光線Bは物体上で
2.2[mm]離れた位置の像が共に結合倍率−0.8
3で撮像手段7の素子上に結像され、倍率の等しい像を
取り込むことができるものとなる。
【0058】なお、液晶素子4により切換えられながら
撮像手段7により撮像した画像の処理については上記第
1の実施の形態と同様であるので、その説明は省略す
る。このように、2つの合焦位置で得る像の結像倍率を
等しくすることができるので、その2つの画像を取込ん
で合成した場合でも、得られる再合成画像上の各部位の
長さが全て正確に一致するため、3次元物体のきわめて
正確で鮮明な観察画像を得ることができる。なお、本発
明は上記第1及び第2の実施の形態に限定するものでは
なく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施
することが可能であるものとする。
【0059】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、機械的な
動作を伴わずに焦点位置を切換えることができ、2つの
合焦位置の画像を機械的振動を発生させることなく取込
むことができる。
【0060】請求項2記載の発明によれば、上記請求項
1記載の発明の効果に加えて、焦点位置切換手段として
複雑な機械的駆動機構を用いることなく、二重焦点光学
系の焦点位置を切換えることができる。
【0061】請求項3記載の発明によれば、上記請求項
1記載の発明の効果に加えて、取込まれた2つの画像の
各画素の輝度をしきい値と比較選択し、それぞれの画像
のぼけ部分を低減させて画像を再合成するため、従来の
顕微鏡の分解能、作動距離を維持したまま2倍の高さの
3次元物体の鮮明な観察画像を得ることができる。
【0062】請求項4記載の発明によれば、上記請求項
1記載の発明の効果に加えて、二重焦点光学系の2つの
焦点による像の結像倍率が等しくなるため、それぞれの
像による画像を再合成したときの画像上の長さが不一致
となってしまうことがなく、3次元物体の正確で鮮明な
観察画像を得ることができる。請求項5記載の発明によ
れば、上記請求項4記載の発明の効果に加えて、上記結
像倍率調節手段を簡易な構成で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る概略構成を示
す図。
【図2】同実施の形態に係る二重焦点光学系を説明する
ための図。
【図3】同実施の形態に係る輝度比較回路の動作を説明
するための図。
【図4】同実施の形態に係る輝度比較回路の動作を説明
するフローチャート。
【図5】同実施の形態に係る輝度比較回路の動作を説明
するための図。
【図6】同実施の形態に係る具体的観察試料を示す図。
【図7】同実施の形態に係る具体的観察試料の観察画像
例を示す図。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る概略構成を示
す図。
【図9】同実施の形態に係る観察光学系の動作を説明す
る図。
【図10】同実施の形態に係る観察光学系の動作を説明
する図。
【図11】同実施の形態に係る観察光学系の動作を説明
する図。
【符号の説明】
1…顕微鏡 2…二重焦点光学系 3…偏光板 4…液晶素子 5…偏光フィルタ 6…液晶駆動回路 7…撮像手段 8…切換スイッチ 9…コントローラ 10…第1のフレームメモリ 11…第2のフレームメモリ 12…輝度比較回路 13…第3のフレームメモリ 14…表示手段 15…モニタ 21…試料 31…平行平板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複屈折結晶による二重焦点光学系と、 この二重焦点光学系の焦点位置を切換える焦点位置切換
    手段と、 上記二重焦点光学系で得られる画像を撮像する撮像手段
    と、 上記焦点位置切換手段により切換えられる二重焦点光学
    系のそれぞれの焦点位置の画像を上記撮像手段から取込
    んで各別に記憶する記憶手段と、 この記憶手段に記憶された異なる焦点位置の画像の各画
    素の輝度を比較選択して画像を再合成する画像処理手段
    と、 この画像処理手段により再合成された画像を表示する表
    示手段とを具備したことを特徴とする画像処理装置。
  2. 【請求項2】 上記焦点位置切換手段は、二重焦点光学
    系の複屈折結晶の光学軸に平行な直線偏光が透過される
    偏光板と、この偏光板を透過される光の偏光方向を回転
    させる液晶素子を有する偏光フィルタからなることを特
    徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  3. 【請求項3】 上記画像処理手段は、予め異なる大きさ
    のしきい値が設定され、これらのしきい値に対し各焦点
    位置の画像の対応する画素の輝度を比較すると共に、こ
    の比較結果に基づいて、いずれか一方の画素を選択し画
    像を再合成することを特徴とする請求項1記載の画像処
    理装置。
  4. 【請求項4】 上記二重焦点光学系の対物レンズと上記
    撮像手段との間に配置され、上記焦点位置切換手段によ
    り切換えられる二重焦点光学系のそれぞれの焦点位置の
    画像の結像倍率が等しくなるように該対物レンズと撮像
    手段との間の空気換算長を調節する結像倍率調節手段を
    さらに具備したことを特徴とする請求項1記載の画像処
    理装置。
  5. 【請求項5】 上記結像倍率調節手段は、上記対物レン
    ズの光学軸と直交または平行な光学軸を有する複屈折結
    晶による平行平板からなることを特徴とする請求項4記
    載の画像処理装置。
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