JPH11322371A - 導電層付ガラス板、その製造方法、導電性ペ―ストおよび自動車用窓 - Google Patents

導電層付ガラス板、その製造方法、導電性ペ―ストおよび自動車用窓

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JPH11322371A
JPH11322371A JP11020645A JP2064599A JPH11322371A JP H11322371 A JPH11322371 A JP H11322371A JP 11020645 A JP11020645 A JP 11020645A JP 2064599 A JP2064599 A JP 2064599A JP H11322371 A JPH11322371 A JP H11322371A
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JP
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glass
conductive layer
conductive
glass plate
powder
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JP11020645A
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English (en)
Inventor
Kazuo Sunahara
一夫 砂原
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C2217/00Coatings on glass
    • C03C2217/40Coatings comprising at least one inhomogeneous layer

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  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】耐摩耗性にすぐれた導電層付ガラス板を得る。 【解決手段】ガラス板と、該ガラス板に焼き付けられ
た、導電性物質を主成分とする導電層と、該導電層を実
質的に被覆するように形成された、低融点ガラスを主成
分とするガラス滲出被覆層と、を備えた導電層付ガラス
板であって、ガラス滲出被覆層は、焼成の際に、該導電
性ペーストに含まれる低融点ガラスの粉末が溶融して生
成した低融点ガラスが導電層表面に滲出して形成され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のリヤウイ
ンドウなどの曇りを防止するためにリヤウインドウなど
のガラス板上に導電層が設けられた導電層付ガラス板、
その製造方法、焼成によってガラス滲出被覆層を形成す
る導電性ペースト、および導電層付ガラス板を用いた自
動車用窓、に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のリヤウインドウに用いられるガ
ラス板の曇りを防止するために、ガラス板上には多数本
の加熱用の導電性線条、および該導電性線条の両端に接
続する共通電源ライン(バスバー)が印刷・焼成されて
いる。バスバーには、リード線取り出し用の金属製給電
端子がハンダ等により取り付けられている。該金属製給
電端子間に電圧を印加し導電性線条を発熱させることに
よりガラス板の表面温度を露点以上に保ち、これにより
ガラス板の曇りを防止できる。
【0003】導電性線条は、導電性ペーストをガラス板
に印刷後焼成することにより、該ガラス板上に形成され
る。なお、導電性線条の幅は、自動車用ガラス板におい
ては視認性確保のために通常は1mm以下、ガラス板の
中央部においては約0.4mmとされる。
【0004】導電性ペーストは、銀粉末等の導電性物質
粉末、低融点ガラス粉末、有機質ワニス、そして場合に
よっては無機耐火物フィラー粉末を混合して作製され
る。印刷された導電性ペーストを焼成すると、銀粉末等
の導電性物質粉末は焼結し、導電層を形成する。下地と
近接する側の導電層の面は、低融点ガラス粉末が溶融し
てできた低融点ガラスによって、下地に焼き付けられ
る。ここで、下地とは、ガラス板、またはガラス板表面
に形成されたセラミックカラー層をさす。
【0005】近年、自動車デザインの多様化にともな
い、導電性線条が設けられたリヤウインドウなどを昇降
可能とすることが求められている。導電性線条が設けら
れたリヤウインドウなどを昇降すると、昇降時に発生す
るリヤウインドウとゴムパッキンとの摩擦のため、導電
性線条の導電層が摩耗劣化するおそれがある。これは、
導電性線条の表面に露出している導電層の硬度が小さい
からである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような導電層の摩
耗劣化を防止する方法としては、従来より、(1)ガラ
ス板上に印刷・焼成された導電性線条の表面に、電解メ
ッキ処理により緻密で硬度の大きい銅・ニッケル層を形
成する方法、(2)導電性線条を形成するための導電性
ペーストを所定の幅に塗布後、ガラスぺーストを前記幅
より幅広に塗布し、次いで加熱して焼き付け、導電性線
条の表面にガラス層を形成する方法(特開昭50−15
514)、等が知られている。これら従来の方法を行う
と工程が多くなる。その結果、作業性が悪くなる、コス
トが増加する、等の問題があった。また、(2)の方法
ではガラス層の導電性線条からのはみ出しが多く、透視
像が歪むおそれがあった。
【0007】本発明は、以上の課題を解決する、導電層
付ガラス板、その製造方法、焼成によってガラス滲出被
覆層を形成する導電性ペースト、および導電層付ガラス
板を用いた自動車用窓、の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ガラス板と、
該ガラス板に焼き付けられた、導電性物質を主成分とす
る導電層と、該導電層を実質的に被覆するように形成さ
れた、低融点ガラスを主成分とするガラス滲出被覆層
と、を備えた導電層付ガラス板を提供する。
【0009】また、ガラス板に焼き付けられた、導電性
物質を主成分とする導電層を、ガラス板に印刷された導
電性ペーストを焼成することにより形成し、該導電層を
実質的に被覆し、低融点ガラスを主成分とするガラス滲
出被覆層を、焼成の際に、該導電性ペーストに含まれる
低融点ガラスの粉末を溶融させて生成した低融点ガラス
を導電層表面に滲出させて形成することを特徴とする導
電層付ガラス板の製造方法。を提供する。また、無機成
分として少なくとも、50〜90重量%の導電性物質粉
末および10〜50重量%の低融点ガラス粉末、を含有
する導電性ペーストをガラス板上に印刷し、焼成するこ
とを特徴とする導電層付ガラス板の製造方法を提供す
る。
【0010】また、ガラス板に印刷し焼成することによ
り導電層付ガラス板を製造する導電性ペーストにおい
て、焼成の際に、該導電性ペーストに含まれる低融点ガ
ラス粉末が溶融して生成した低融点ガラスが導電層表面
に滲出してガラス滲出被覆層を形成する導電性ペースト
を提供する。また、前記導電層付ガラス板を自動車の昇
降式窓ガラス板に用いた、自動車用窓を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明における導電性物質は、導
電層に所望の導電性を付与するものである。導電性物質
としては、銀、金、白金、銀−白金合金、銀−パラジウ
ム合金、銀−ロジウム合金、酸化ロジウム、等を使用で
き、導電性が高い、入手しやすい、価格が安い、等の理
由から、銀を使用するのがより好ましい。
【0012】本発明における導電層は、導電性物質を主
成分として含有し、通常はその含有率は50重量%以上
である。本発明における導電層表面は、下地(ガラス
板、またはガラス板表面に形成されたセラミックカラー
層)に焼き付けられていない側の面をさす。本発明にお
ける導電層は、ガラス板、またはガラス板表面に形成さ
れたセラミックカラー層に焼き付けられるものである。
以下では、導電層をガラス板に焼き付ける場合について
述べる。
【0013】本発明における低融点ガラスは、ガラス板
として一般に用いられるソーダライムガラスの軟化点
(約730℃)より低い温度で軟化流動を開始するガラ
スである。
【0014】本発明におけるガラス滲出被覆層は、焼成
の際に、導電性ペーストに含まれる低融点ガラス粉末が
溶融して生成した低融点ガラスが導電層表面に滲出して
形成されるものであり、低融点ガラスを主成分として含
有し、通常はその含有率は50重量%以上である。ガラ
ス滲出被覆層は、低融点ガラスに加え無機耐火物フィラ
ーを含有してもよいが、その場合のガラス滲出被覆層
は、低融点ガラスと無機耐火物フィラーの合量が50重
量%以上である層である。
【0015】低融点ガラスが導電層表面に滲出する機構
の詳細は不明であるが、焼成の際に導電性ぺーストに含
まれる導電性物質粉末が焼きしまり、その結果低融点ガ
ラスが導電層表面に押し出されるのではないか、と考え
られる。
【0016】本発明における低融点ガラスおよび無機耐
火物フィラーは、いずれも導電層より硬度が大きい。し
たがって、低融点ガラス、または、低融点ガラスおよび
無機耐火物フィラー、を含有するガラス滲出被覆層を用
いて被覆することにより、導電層の耐摩耗性が向上す
る。
【0017】なお、リード線取り出し用の金属製給電端
子をハンダ付けなどによって導電層と電気的に接続させ
る場合には、導電層にこの給電端子を接続すべき部位を
設ける。この部位については、例えば、1)滲出被覆層
を削り取る、または、2)本発明の導電性ペーストの上
に従来の導電性ペーストを重ねて印刷し焼成する、こと
が好ましい。1)または2)のようにすることにより、
この部位は実質的にガラス滲出被覆層に被覆されず、す
なわち、この部位の導電層表面は導電層内部と電気的に
導通することとなる。ここで、従来の導電性ペーストと
は、焼成時にガラス滲出被覆層が形成されないものであ
る。
【0018】本発明の導電層付ガラス板は、導電性ペー
ストをガラス板上に印刷し、焼成することにより製造さ
れる。焼成時に導電性物質粉末は焼結し、導電層を形成
する。ガラス板と近接する側の導電層の面は、低融点ガ
ラス粉末が溶融してできた低融点ガラスによって、ガラ
ス板に焼き付けられる。一方、ガラス板との接触に寄与
しない残りの低融点ガラスの大部分は、導電性物質粉末
が焼結する際に導電層表面に滲出する。その結果、導電
層表面は導電層より硬度の大きい低融点ガラスによって
被覆され、導電層の耐摩耗性が向上する。
【0019】導電性ペーストは、通常は導電性物質粉末
および低融点ガラス粉末の他に、導電性ペーストに印刷
性を付与するための有機質ワニスを含有する。有機質ワ
ニスは、バインダー機能を有する有機質樹脂を溶媒に溶
解したものであり、導電性ペーストに印刷性を付与でき
るものであれば特に限定されない。有機質ワニスとし
て、エチルセルロース樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹
脂およびフェノール樹脂からなる群より選ばれた1以上
の有機質樹脂を、α−テルピネオール、ブチルカルビト
ールアセテートおよびフタル酸エステルからなる群より
選ばれた1以上の溶媒に溶解したものを用いることが、
原料が市販されており入手しやすいことから、好まし
い。
【0020】次に、本発明の導電性ペーストについて述
べる。導電性物質粉末としては、導電性が高い、入手し
やすい、価格が安い、等の利点がある銀粉末が好まし
い。銀粉末の平均粒径は、導電性ペーストの印刷性を考
慮すると、20μm以下、さらには0.1〜10μm、
特には0.1〜6μm、が好ましい。銀粉末として、印
刷性や焼結性を良好に制御するために、平均粒径の異な
る銀粉末や箔状の銀粉末を2種以上混合して用いてもよ
い。
【0021】さらに、導電層の電気抵抗の制御やハンダ
食われ(導電層の銀がハンダに溶け込んで接着強度を劣
化させたり、ときには導電層が脱落することによりハン
ダ付け不能となる現象)の防止のため、他の導電性物
質、例えば、金、白金、銀−白金合金、銀−パラジウム
合金、銀―ロジウム合金、酸化ロジウム、等を添加して
もよい。
【0022】導電性ペースト中の導電性物質粉末の含有
率は、導電性ペースト中の全無機物のうち50〜90重
量%であることが好ましい。50重量%より少ないと、
導電層の電気抵抗が高くなりすぎ、導電層は発熱線条と
しての機能を果たしにくくなる。好ましくは60重量%
以上である。90重量%より多いと、導電性ペースト中
の低融点ガラス粉末の含有率が低くなりすぎ、導電層表
面に滲出する低融点ガラスの量が少なくなり、その結
果、低融点ガラスによる導電層表面の被覆が不完全とな
り、導電層の耐摩耗性が劣化しやすい。ここでいう全無
機物とは、有機質ワニス等の有機物を除くすべての導電
性ペースト材料である。
【0023】導電性ペースト中の低融点ガラス粉末の含
有率は、導電性ペースト中の全無機物のうち10〜50
重量%であることが好ましい。10重量%より少ない
と、導電層表面に滲出する低融点ガラスの量が少なくな
り、その結果、低融点ガラスによる導電層表面の被覆が
不完全となり、導電層の耐摩耗性が劣化しやすい。50
重量%より多いと、導電層中の低融点ガラスの割合が増
加し、その結果、導電層の電気抵抗が高くなりすぎ、導
電層は発熱線条としての機能を果たしにくくなる。好ま
しくは40重量%以下である。
【0024】本発明の導電性ペースト中には、必須では
ないが無機耐火物フィラー粉末を含有させてもよい。低
融点ガラスよりも硬度の大きい無機耐火物フィラーを含
有させることにより、導電層のガラス滲出被覆層は低融
点ガラスに加え無機耐火物フィラーを含有する。その結
果、導電層の耐摩耗性が向上する。また、無機耐火物フ
ィラーは導電性線条の熱膨張係数制御の目的でも用いら
れる。無機耐火物フィラーとしては、α−アルミナ、石
英、ジルコン、コージエライト、フォルステライト、等
が用いられる。
【0025】導電性ペースト中の無機耐火物フィラー粉
末の含有率は、導電性ペースト中の全無機物のうち30
重量%以下であることが好ましい。30重量%より多い
と、導電層中の無機耐火物フィラーの割合が増加し、そ
の結果、導電層の電気抵抗が高くなりすぎ、導電性線条
は発熱線条としての機能を果たしにくくなるうえ、低融
点ガラスが少なくなりすぎ、導電層のガラス板への焼き
付きが不十分となる。
【0026】本発明において、ガラス板を曲げ加工する
際に、低融点ガラス粉末が溶融してできた低融点ガラス
によって導電層をガラス板に焼き付けるために、かつ、
導電層表面を低融点ガラスで被覆して導電層の耐摩耗性
を向上させるために、低融点ガラス粉末は下記酸化物基
準の重量%表示で次のような組成範囲をもつものとされ
る。
【0027】 PbO 50〜85、 B23 10〜35、 SiO2 1〜25、 TiO2 0〜20、 ZrO2 0〜15、 SnO2 0〜10、 Al23 +CeO2 0〜 2、 Li2 O+Na2 O+K2 O 0〜 3、 MgO+CaO+SrO+BaO 0〜 3、 P25 0〜 3、 ZnO 2〜20。
【0028】上記組成範囲について、重量%を単に%と
表わして以下に説明する。PbOは、フラックス成分と
して必須である。50%より少ないと、軟化点が高くな
りすぎて流動性が悪くなり、導電層とガラス板との焼き
付きが不十分になるおそれがある。好ましくは55%以
上、より好ましくは60%以上である。85%より多い
と、化学的耐久性が低下する。好ましくは83%以下、
より好ましくは80%以下、特に好ましくは70%以下
である。
【0029】B23 は、フラックス成分として必須で
ある。10%より少ないと、軟化点が高くなりすぎる。
好ましくは12%以上である。35%より多いと、化学
的耐久性が低下する。好ましくは30%以下、より好ま
しくは25%以下である。
【0030】SiO2 は網目形成成分であり、化学的、
熱的および機械的特性を制御するために必須である。1
%より少ないと、化学的耐久性が低下する。好ましくは
2%以上、より好ましくは4%以上である。25%より
多いと、軟化点が高くなりすぎる。好ましくは20%以
下、より好ましくは15%以下である。
【0031】TiO2 、ZrO2 、SnO2 はいずれも
必須成分ではないが、結晶化および化学的耐久性向上の
ために導入してもよい。ここで結晶化とは、低融点ガラ
ス粉末を昇温していくとソーダライムガラスの軟化点よ
り低い温度で軟化流動を開始するとともに、それに引き
続いて結晶析出が始まる現象をいう。結晶析出により、
結晶化する低融点ガラス粉末を用いた場合は結晶化しな
い低融点ガラスを用いた場合に比べ流動性は低下する。
したがって結晶化する低融点ガラス粉末を用いることに
より、曲げ加工に使用される成形型への低融点ガラスの
付着を防止できる。
【0032】ガラス溶解時の失透を防ぐためには、Ti
2 は20%以下が好ましく、17%以下が特に好まし
い。同じく、ZrO2 は15%以下が好ましく、12%
以下が特に好ましい。同じく、SnO2 は10%以下が
好ましく、2%以下が特に好ましい。
【0033】Al23 、CeO2 はいずれも必須成分
ではないが、化学的耐久性向上のためにAl23 +C
eO2 が2%になるまでは導入してもよい。2%超では
軟化点が高くなりすぎる。好ましくは0.1〜1%であ
る。
【0034】Li2 O、Na2 O、K2 Oはいずれも必
須成分ではないが、フラックス成分としてLi2 O+N
2 O+K2 Oが3%になるまでは導入してもよい。3
%超では熱膨張係数が大きくなりすぎる。好ましくは1
%以下である。
【0035】MgO、CaO、SrO、BaOはいずれ
も必須成分ではないが、溶解性の向上、熱膨張係数の制
御、などの目的で、MgO+CaO+SrO+BaOが
3%になるまでは導入してもよい。3%超では化学的耐
久性が低下する。
【0036】P25 は必須成分ではないが、化学的耐
久性、特に耐酸性を向上させるために、3%までは導入
してもよい。3%超ではガラス溶解時に失透し、好まし
くない。
【0037】ZnOは、フラックス成分として必須であ
る。2%より少ないと、軟化点が高くなりすぎて流動性
が悪くなり、導電層とガラス板との焼き付きが不十分に
なるおそれがある。好ましくは4%以上、より好ましく
は5%以上である。20%より多いと、化学的耐久性が
低下する。好ましくは15%以下、より好ましくは10
%以下である。
【0038】本発明における低融点ガラスの軟化点は4
00〜600℃であることが好ましい。次に、本発明の
自動車用窓について述べる。本発明の自動車用窓は、導
電性線条を有し、かつ耐摩耗性にすぐれた本発明の導電
層付ガラス板を用いる。通例、該導電性線条の両端には
バスバーが接続されている。本発明の自動車用窓は、導
電性線条を加熱素子として使用すれば、自動車のリヤウ
インドウ、サイドウインドウ、等に用いられる、防曇機
能を有する昇降式等のスライド式窓ガラス板として使用
できる。
【0039】また、本発明の自動車用窓は、導電性線条
をラジオ、テレビ等の放送受信用アンテナ素子として使
用すれば、自動車のリヤウインドウ、等に用いられる、
放送受信機能を有する昇降式窓ガラス板として使用でき
る。
【0040】以上、導電層をガラス板に焼き付ける場合
について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、
例えばガラス板表面に形成されたセラミックカラー層に
導電層を焼き付ける場合にも本発明を適用できる。
【0041】また、低融点ガラスとして着色ガラスを用
いることにより導電層を着色することもできる。さら
に、低融点ガラスとして酸性液体に対する耐蝕性に優れ
たガラス等、化学的耐久性に優れたガラスを用いること
により、導電層の化学的耐久性を向上させることもでき
る。
【0042】
【実施例】表1〜2の低融点ガラス組成欄に示す組成と
なるように原料を調合した。この原料を白金ルツボ中に
入れ、1500℃で溶融した後、溶融ガラスをローラー
で冷却しながらフレーク化した。フレーク化したガラス
をボールミルにて平均粒径3〜5μmに粉砕し、低融点
ガラス粉末を作製した。無機耐火物フィラーを添加する
場合は、ボールミル中にフレーク化したガラスとともに
無機耐火物フィラーを入れて混合・粉砕を行い、低融点
ガラス粉末を作製した。
【0043】有機質ワニスとしては、重合度4のエチル
セルロース樹脂をα−テルピネオールに溶解し、濃度が
10重量%のものを作成した。次いで表1〜2の上段に
示した割合で、銀粉末、低融点ガラス粉末、無機耐火物
フィラー粉末および有機質ワニスを調合後、磁器乳鉢中
で1時間混練を行い、さらに三本ロールにて3回分散を
行い、導電性ペーストを作製した。銀粉末としては、平
均粒径8μmの箔状銀粉末と平均粒径3μmの球状銀粉
末を50:50の重量割合で混合したものを用いた。
【0044】この導電性ペーストをスクリーン印刷機に
てガラス板表面に印刷し、幅が0.5mm、長さが約2
00mmの直線状の導電性線条を3本形成した。次に、
120℃にて10分間乾燥後、電気炉中で670℃、5
分間焼成し、導電層付ガラス板を作製した。
【0045】作製した導電層付ガラス板の導電性線条に
ついて、以下に述べる方法により、ガラス滲出被覆層の
有無、ガラス滲出被覆層はみ出し量、比抵抗、および電
気抵抗変化率を測定した。結果を表1〜2に示す。例1
〜10は実施例、例11〜12は比較例、無機耐火物フ
ィラー粉末の欄の*はアルミナを、**はフォルステラ
イトを、それぞれ無機耐火物フィラー粉末として使用し
たことを示す。
【0046】ガラス滲出被覆層の有無:光学顕微鏡によ
って100倍の倍率でガラス滲出被覆層被覆層の有無を
観察した。 ガラス滲出被覆層はみ出し量:光学顕微鏡によって10
0倍の倍率で観察し、ガラス滲出被覆層の導電層の端面
からのはみ出し量を測定した。透視像の歪み防止および
視認性確保の観点から、はみ出し量0.1mm以下を合
格とした。
【0047】比抵抗:(株)アドバンテスト製デジタル
マルチメーターを用いて、電気抵抗Rを測定した。さら
に、東京精密(株)製サーフコム(商品名)を用いて、
断面形状を測定し積分法にて断面積Sを算出し、比抵抗
=R×S/Lにより、比抵抗を求めた(表1には3本の
導電性線条に関する比抵抗の平均値を示す)。導電性確
保の観点から、比抵抗20μΩ・cm以下を合格とし
た。なお、Lは導電性線条の長さである。
【0048】電気抵抗変化率:(株)アドバンテスト製
デジタルマルチメーターを用いて、電気抵抗を測定し
た。次に、以下に述べるウインドウ昇降試験条件に従
い、ガラス板の導電性線条印刷面の摩耗および化学的劣
化を加速した。この加速試験後、電気抵抗を測定した。
加速試験前後における、3本の導電性線条の電気抵抗の
平均値の変化率を算出し、これを%表示したものを電気
抵抗変化率とした。耐摩耗性確保の観点から、電気抵抗
変化率は5%以下であることが好ましい。
【0049】ウインドウ昇降試験条件:約100mm×
100mmの試験面に、リヤウインドウと接触し摩擦を
おこすウエザーストリップと同材料のゴムパッキンを、
0.1〜2N/cmの荷重が均等にかかるように接触さ
せながら、速度50〜500mm/secで試験面を上
下に5000回移動(昇降)する。この際、昇降100
〜500回につき1回、ダスト水10〜50mlを試験
面に噴霧する。ダスト水としては、JIS Z8901
で規定されているものを使用する。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】例1〜10では、ガラス滲出被覆層はみ出
し量、比抵抗、電気抵抗変化率のいずれも問題ない。例
11では、ガラス滲出被覆層がなく、したがって耐摩耗
性が不良となり、電気抵抗変化率が許容値である5%よ
りも大きい。例12では、ガラス滲出被覆層はみ出し量
が許容値である0.1mmよりも大きく透視像の歪みお
よび視認性の点で不良であり、また比抵抗も許容値であ
る20μΩ・cmよりも大きく必要な導電性を確保でき
ない。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、耐摩耗性にすぐれた導
電層付ガラス板を提供できる。そしてこの導電層付ガラ
ス板を、放送受信機能を有するスライド式自動車窓ガラ
ス板に用いることにより、放送受信機能を長期間維持で
きる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス板と、 該ガラス板に焼き付けられた、導電性物質を主成分とす
    る導電層と、 該導電層を実質的に被覆するように形成された、低融点
    ガラスを主成分とするガラス滲出被覆層と、を備えた導
    電層付ガラス板。
  2. 【請求項2】導電層は、ガラス板に印刷された導電性ペ
    ーストを焼成することにより形成されたものであり、ガ
    ラス滲出被覆層は、焼成の際に、該導電性ペーストに含
    まれる低融点ガラスの粉末が溶融して生成した低融点ガ
    ラスが導電層表面に滲出して形成されたものである請求
    項1記載の導電層付ガラス板。
  3. 【請求項3】導電層が給電端子を接続すべき部位を備
    え、該部位は実質的にガラス滲出被覆層に被覆されてい
    ない、請求項1または2記載の導電層付ガラス板。
  4. 【請求項4】導電性ペーストの無機成分が、50〜90
    重量%の導電性物質粉末、10〜50重量%の低融点ガ
    ラス粉末および0〜30重量%の無機耐火物フィラー粉
    末から実質的になり、該低融点ガラスが下記酸化物基準
    の重量%表示で、 PbO 50〜85、 B23 10〜35、 SiO2 1〜25、 TiO2 0〜20、 ZrO2 0〜15、 SnO2 0〜10、 Al23 +CeO2 0〜 2、 Li2 O+Na2 O+K2 O 0〜 3、 MgO+CaO+SrO+BaO 0〜 3、 P25 0〜 3、 ZnO 2〜20、 から実質的になる、請求項2または3記載の導電層付ガ
    ラス板。
  5. 【請求項5】ガラス板に印刷し焼成することにより導電
    層付ガラス板を製造する導電性ペーストにおいて、焼成
    の際に、該導電性ペーストに含まれる低融点ガラス粉末
    が溶融して生成した低融点ガラスが導電層表面に滲出し
    てガラス滲出被覆層を形成する導電性ペースト。
  6. 【請求項6】導電性ペーストの無機成分が、50〜90
    重量%の導電性物質粉末、10〜50重量%の低融点ガ
    ラス粉末および0〜30重量%の無機耐火物フィラー粉
    末から実質的になり、該低融点ガラスが下記酸化物基準
    の重量%表示で、 PbO 50〜85、 B23 10〜35、 SiO2 1〜25、 TiO2 0〜20、 ZrO2 0〜15、 SnO2 0〜10、 Al23 +CeO2 0〜 2、 Li2 O+Na2 O+K2 O 0〜 3、 MgO+CaO+SrO+BaO 0〜 3、 P25 0〜 3、 ZnO 2〜20、 から実質的になる、請求項5記載の導電性ペースト。
  7. 【請求項7】ガラス板に焼き付けられた、導電性物質を
    主成分とする導電層を、ガラス板に印刷された導電性ペ
    ーストを焼成することにより形成し、 該導電層を実質的に被覆し、低融点ガラスを主成分とす
    るガラス滲出被覆層を、焼成の際に、該導電性ペースト
    に含まれる低融点ガラスの粉末を溶融させて生成した低
    融点ガラスを導電層表面に滲出させて形成することを特
    徴とする導電層付ガラス板の製造方法。
  8. 【請求項8】無機成分として少なくとも、50〜90重
    量%の導電性物質粉末および10〜50重量%の低融点
    ガラス粉末、を含有する導電性ペーストをガラス板上に
    印刷し、焼成することを特徴とする導電層付ガラス板の
    製造方法。
  9. 【請求項9】請求項5または6記載の導電性ペーストを
    用いる、請求項7または8記載の導電層付ガラス板の製
    造方法。
  10. 【請求項10】請求項1、2、3または4記載の導電層
    付ガラス板を自動車のスライド式窓ガラス板に用いた、
    自動車用窓。
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