JPH11321787A - 船舶海洋構造物の横揺れ抑制装置 - Google Patents

船舶海洋構造物の横揺れ抑制装置

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JPH11321787A
JPH11321787A JP10131926A JP13192698A JPH11321787A JP H11321787 A JPH11321787 A JP H11321787A JP 10131926 A JP10131926 A JP 10131926A JP 13192698 A JP13192698 A JP 13192698A JP H11321787 A JPH11321787 A JP H11321787A
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正泰 板橋
Seiya Yamashita
誠也 山下
Tsuguharu Hirayama
次清 平山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が簡単で、減揺効果が広い範囲で得られ
るように、かつ船速低下をまねかないで横揺れを抑制で
きる船舶海洋構造物の横揺れ抑制装置を提供する。 【解決手段】 船舶10の甲板13上にマスト14を設
け、そのマスト14に昇降動自在にウェイト21を設
け、そのウェイト21を上下する上下動装置26を設
け、航走時にウェイトを上下させてローリングとピッチ
ングを抑えるようにしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船舶海洋構造物の
横揺れを抑制する船舶海洋構造物の横揺れ抑制装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、船舶海洋構造物の動揺を抑制する
ものとして、(1) アンチローリングタンク、(2) フィン
スタビライザー、(3) ハイブリッド減揺装置がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(1) ア
ンチローリングタンクは、減揺のための固有の振動数が
決まってしまい、減揺効果が固有周期に限定される、
(2) フィンスタビライザーでは、水中翼を利用するた
め、抵抗が発生し船側が低下する、(3) ハイブリッド減
揺装置では、機構が複雑になる等問題がある。
【0004】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決
し、構造が簡単で、減揺効果が広い範囲で得られるよう
に、かつ船速低下をまねかないで横揺れを抑制できる船
舶海洋構造物の横揺れ抑制装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1の発明は、船舶の甲板上にマストを設け、そ
のマストに昇降動自在にウェイトを設け、そのウェイト
を上下する上下動装置を設け、航走時にウェイトを上下
させてローリングとピッチングを抑えるようにした船舶
海洋構造物の横揺れ抑制装置である。
【0006】請求項2の発明は、船舶の甲板上にマスト
を設け、そのマストにウイングセイルを水平旋回自在に
設け、上記ウェイトを上下する上下動装置を設けると共
に上記ウイングセイルの迎え角を調整するサーボ機構を
設け、航走時に上記ウェイトを上下動させると共にウイ
ングセイルの迎え角を制御して横揺れとピッチングを抑
えるようにした船舶海洋構造物の横揺れ抑制装置であ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適一実施の形態
を添付図面に基づいて詳述する。
【0008】図1において、10は、海洋構造物として
の船舶で、推進器11とラダー12とを備え、海上Sを
高速航送するようになっている。
【0009】この船舶10の甲板13上には、船舶10
の略重心を通る位置にマスト14が設けられ、そのマス
ト14に、回転自在にウイングセイル15が設けられ
る。
【0010】ウイングセイル15は、リンク機構16を
介してサーボ機構17に連結され、そのサーボ機構17
により迎え角を自在に調整できるようになっている。
【0011】図2に示すように、ウイングセイル15
は、多数の流線型のリブ板18を、上部から下部に掛け
て漸次長くなるように形成し、そのリブ板18にマスト
14を挿通する穴19を形成し、このリブ板18をマス
ト14に上下に間隔を置いて回転自在に取り付けると共
にこれらリブ板18の全体を覆うように帆布20を貼り
付けて形成される。
【0012】このウイングセイル15は、マスト14に
挿通された後、リンク機構16とサーボ機構17にて、
セイル角度が制御されるようになっている。
【0013】また、マスト14には、ウェイト21が船
舶10のローリング(横揺れ)に応じて上下動されるよ
うになっている。
【0014】このウェイト21は、図3(a)、図3
(b)に示すように、マスト14の上部に従動滑車23
が設けられ、マスト14の下部に駆動滑車24が設けら
れ、その滑車23,24間に索25が巻き掛けられると
共にその索25にウェイト21が取り付けられ、駆動滑
車24がモータ等の上下動装置26により正逆に回転さ
れてマスト14内でウェイト21が上下動されるように
なっている。
【0015】さて、本発明は、船舶10が、航走中に波
浪等の外乱でローリングやピッチングを起こす際に、マ
スト14内のウェイト21を上下動させて、慣性モーメ
ントを制御することにより船舶の動揺を抑え、同時に、
ウイングセイル15の角度(迎え角)を操作して、その
ローリングを打ち消すモーメント力を作用させてローリ
ングを抑えるようにしたものである。
【0016】先ず、船舶10を剛体としたときの回転運
動方程式は、数1で表される。
【0017】
【数1】
【0018】慣性モーメントIは、通常は定数として扱
う。このとき数1は、数2で表される。
【0019】
【数2】
【0020】しかし、Iを可変とすると、数3となる。
【0021】
【数3】
【0022】この数3中のIドット(t)を制御するこ
とにより、減衰力係数を増加させることができ、ウェイ
ト21を上下動させることにより実現できる。
【0023】このウェイト21の上下動は、船舶10が
停船中でも減揺効果が得られると共に広い周期で減揺効
果が得られ、ローリングとピッチングの2自由度の減揺
効果が得られる。
【0024】また、ウイングセイル15のセイル操作角
度δs を操作することで、ウイングセイル15には、相
対風速で揚力Lが発生する。この揚力Lにより、船幅方
向には、モーメント力Mが発生し、このモーメントMで
ローリングを抑えることができる。
【0025】先ず、船舶10には、図示していないが、
船体の状態(横流れ速度v、横揺れ角速度p、横揺れ角
φ、回頭角速度r、回頭角ψ、舵角δ、セイル操作角δ
s 、ウェイト高さδw )を検出する各種センサが設けら
れている。
【0026】船体の減揺の制御ロジックは、ウイングセ
イルを用いて線形自乗最適レギュレータを用いて制御を
行う。
【0027】この最適レギュレータに用いる線形運動方
程式は、数4のとおりである。
【0028】
【数4】
【0029】この数1の運動方程式から最適レギュレー
タの手法を用いて、数5で示される制御入力uを求め
る。
【0030】
【数5】
【0031】このゲインマトリックスKを用いて、時々
刻々の状態量(状態ベクトル)から制御入力を計算し、
セイルの操作角度を制御する。
【0032】このように、ウェイト21の上下動とセイ
ル角度の制御を併せて行うことで、効果的な減揺制御が
行える。
【0033】図4は、減揺制御を行うブロック図を示し
たものである。
【0034】図において、30は船体、31は、ウェイ
ト21とウイングセイル14をそれぞれ操作する、上下
動装置26と、リンク機構16とサーボ機構17からな
るアクチュエータ、32は、船体の状態(横流れ速度
v、横揺れ角速度p、横揺れ角φ、回頭角速度r、回頭
角ψ)を検出するセンサ、33は、上記数1,2を演算
するための演算装置である。
【0035】先ず、ロール角=0となる指令と、センサ
32からの船体の状態が加算器34を介して演算装置3
3に入力されて、セイル角度の操作量35がアクチュエ
ータ31に入力され、それに基づいてウェイトとウイン
グセイルにより船体30が操作されてロール角が「0」
になるように制御されるが、この際、船体30には、波
浪等の外乱36が加わるため、センサ32は、この外乱
36の加わった船体の状態を、横揺れ速度v,横揺れ角
速度p、横揺れ角φ、回頭角速度γ、回頭角ψの変化と
して検出し、これに基づいて演算装置33が、ゲインマ
トリックスKを用いて、時々刻々の状態量(状態ベクト
ル)から制御入力35を計算し、外乱36を加味した制
御量を決定して最適化を図るようになっている。
【0036】次に、本発明の減揺制御の結果を図5,図
6により説明する。
【0037】図5(a)は、慣性モーメントの経時変化
を示し、図5(b)は、そのとき制御したウェイトの上
下位置の経時変化を示す。
【0038】図5(c)は、船体のロールの経時変化を
示し、図中点線aは、制御なしのロール変化を、実線b
は、ウェイトの上下位置を制御したときのロール変化を
示している。
【0039】点線bに示すように、ウェイトを制御しな
いときは、ロール角が±10度変化するが、ウェイトの
上下位置を制御することで±約5度に抑えることができ
た。
【0040】また、図6(a)は、ウイングセイルの操
作角を0にして船舶を航走したときのロール角の経時変
化を示したもので、図6(b)は、図6(a)のロール
角の経時変化に対してウイングセールを制御したときの
ロール角の経時変化を示し、図6(c)は、そのときの
ウイングセイルの操作角の制御の経時変化を示してい
る。
【0041】図6(a)に示すように、ウイングセイル
を操作しない場合は、±約10度ロール角が不規則に変
化するが、この変化に対して図6(c)に示すようにウ
イングセイル角度を制御することで、図6(b)に示す
ようにロール角度の変化を±約3度の範囲に減揺するこ
とができた。
【0042】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、船舶の航
走中に生じるローリングを、ウェイトの上下させること
により、さらにウイングセイルの角度も併せて操作する
ことでローリングを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図である。
【図2】図1のウイングセイルの詳細図である。
【図3】図1のウェイトを上下する機構の詳細を示す図
である。
【図4】本発明における減揺制御を示すブロック図であ
る。
【図5】本発明において、ウェイトの上下による減揺の
実験結果を示す図である。
【図6】本発明において、ウイングセイルによる減揺の
実験結果を示す図である。
【符号の説明】
10 船舶 13 甲板 14 マスト 15 ウイングセイル 17 サーボ機構 21 ウェイト 26 上下動装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船舶の甲板上にマストを設け、そのマス
    トに昇降動自在にウェイトを設け、そのウェイトを上下
    する上下動装置を設け、航走時にウェイトを上下させて
    ローリングとピッチングを抑えるようにしたことを特徴
    とする船舶海洋構造物の横揺れ抑制装置。
  2. 【請求項2】 船舶の甲板上にマストを設け、そのマス
    トにウイングセイルを水平旋回自在に設け、上記ウェイ
    トを上下する上下動装置を設けると共に上記ウイングセ
    イルの迎え角を調整するサーボ機構を設け、航走時に上
    記ウェイトを上下動させると共にウイングセイルの迎え
    角を制御して横揺れとピッチングを抑えるようにしたこ
    とを特徴とする船舶海洋構造物の横揺れ抑制装置。
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