JPH07267178A - 水中翼付き船舶 - Google Patents

水中翼付き船舶

Info

Publication number
JPH07267178A
JPH07267178A JP6087397A JP8739794A JPH07267178A JP H07267178 A JPH07267178 A JP H07267178A JP 6087397 A JP6087397 A JP 6087397A JP 8739794 A JP8739794 A JP 8739794A JP H07267178 A JPH07267178 A JP H07267178A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydrofoil
lift
angle
hull
acceleration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6087397A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeaki Nozaki
豪朗 野崎
Yasuo Noma
康男 野間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yanmar Co Ltd
Original Assignee
Yanmar Diesel Engine Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yanmar Diesel Engine Co Ltd filed Critical Yanmar Diesel Engine Co Ltd
Priority to JP6087397A priority Critical patent/JPH07267178A/ja
Publication of JPH07267178A publication Critical patent/JPH07267178A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B63SHIPS OR OTHER WATERBORNE VESSELS; RELATED EQUIPMENT
    • B63BSHIPS OR OTHER WATERBORNE VESSELS; EQUIPMENT FOR SHIPPING 
    • B63B1/00Hydrodynamic or hydrostatic features of hulls or of hydrofoils
    • B63B1/16Hydrodynamic or hydrostatic features of hulls or of hydrofoils deriving additional lift from hydrodynamic forces
    • B63B1/18Hydrodynamic or hydrostatic features of hulls or of hydrofoils deriving additional lift from hydrodynamic forces of hydroplane type
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B63SHIPS OR OTHER WATERBORNE VESSELS; RELATED EQUIPMENT
    • B63BSHIPS OR OTHER WATERBORNE VESSELS; EQUIPMENT FOR SHIPPING 
    • B63B1/00Hydrodynamic or hydrostatic features of hulls or of hydrofoils
    • B63B1/16Hydrodynamic or hydrostatic features of hulls or of hydrofoils deriving additional lift from hydrodynamic forces
    • B63B1/24Hydrodynamic or hydrostatic features of hulls or of hydrofoils deriving additional lift from hydrodynamic forces of hydrofoil type
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B63SHIPS OR OTHER WATERBORNE VESSELS; RELATED EQUIPMENT
    • B63BSHIPS OR OTHER WATERBORNE VESSELS; EQUIPMENT FOR SHIPPING 
    • B63B1/00Hydrodynamic or hydrostatic features of hulls or of hydrofoils
    • B63B1/16Hydrodynamic or hydrostatic features of hulls or of hydrofoils deriving additional lift from hydrodynamic forces
    • B63B1/24Hydrodynamic or hydrostatic features of hulls or of hydrofoils deriving additional lift from hydrodynamic forces of hydrofoil type
    • B63B1/28Hydrodynamic or hydrostatic features of hulls or of hydrofoils deriving additional lift from hydrodynamic forces of hydrofoil type with movable hydrofoils
    • B63B1/285Hydrodynamic or hydrostatic features of hulls or of hydrofoils deriving additional lift from hydrodynamic forces of hydrofoil type with movable hydrofoils changing the angle of attack or the lift of the foil
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B63SHIPS OR OTHER WATERBORNE VESSELS; RELATED EQUIPMENT
    • B63BSHIPS OR OTHER WATERBORNE VESSELS; EQUIPMENT FOR SHIPPING 
    • B63B39/00Equipment to decrease pitch, roll, or like unwanted vessel movements; Apparatus for indicating vessel attitude
    • B63B39/06Equipment to decrease pitch, roll, or like unwanted vessel movements; Apparatus for indicating vessel attitude to decrease vessel movements by using foils acting on ambient water

Abstract

(57)【要約】 【目的】 水中翼の迎角を航走条件に応じて適正に制御
する。 【構成】 波浪のために水中翼5が空中に露出すると水
中翼5の揚力が0となるので、これを検出して迎角を最
小値とし、一定時間後にあらかじめ設定されている迎角
値とするように水中翼5をコントローラ25で制御す
る。 【効果】 水中への再突入時の衝撃がなくなり、突入後
の失速や翼背面に空気が長く残留することもなくなるの
で、水中翼の性能を低下させずに波浪中を航走すること
が容易となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、船体と全水没式の水
中翼とで揚力を発生させて航走する水中翼付き船舶にお
ける水中翼の迎角制御に関する。
【0002】
【従来の技術】水中翼付き船舶において、水没している
水中翼で船体重量の一部を支える揚力を発生させて航走
する水中翼付き船舶は公知である。この場合、安定した
高速航走を実現するためには水中翼の揚力を適切に制御
することが必要であって、この揚力は水中翼の迎角を変
化させることによって調整される。
【0003】しかし、水面の状態としては波の静かな状
態から波の荒い状態まであり、また加速時と減速時、乗
船者や積み荷の多少など、航走時の条件は一様ではな
く、従来のこの種の水中翼付き船舶では、種々の条件に
対応しながら水中翼の迎角を適正に制御することは困難
であった。このため、乗り心地が良くなかったり、速度
が制約されたりするという問題点があり、また波の高い
時には水中翼が破損する場合もあるなど、解決を要する
点が多々見受けられた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、このよう
な従来の水中翼付き船舶における問題点を解決し、船底
に備えた迎角可変の水中翼で船体重量の一部を支える揚
力を発生しながら航走する水中翼付き船舶において、水
中翼の迎角とそれに伴う揚力を種々の条件に応じて適正
に制御することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、第1の発明では、水中翼で発生している揚力を検
出する揚力検出手段と、検出される揚力が0に近い一定
レベル以下の値になると迎角が調整可能範囲の最小値に
なるように水中翼を駆動すると共に、所定時間経過後に
あらかじめ定められている揚力目標値を設定する揚力設
定手段と、設定された揚力目標値に応じて水中翼を駆動
する水中翼駆動手段、とを備えている。
【0006】また第2の発明では、水平面に対する船体
の前後方向の傾斜を検出するトリム角検出手段と、この
トリム角検出手段が設置された部分の上下方向の加速度
を検出する加速度検出手段と、船底前部に加わる水圧を
検出する水圧検出手段と、検出されるトリム角がトリム
角基準値以上になり、且つ検出される水圧が水圧基準値
以上になった場合に、検出される加速度の大きさに応じ
てトリム角を減少させる方向の補正を加えて揚力目標値
を設定する揚力設定手段と、設定された揚力目標値に応
じて水中翼を駆動する水中翼駆動手段、とを備えてい
る。
【0007】また第3の発明では、水平面に対する船体
の前後方向の傾斜を検出するトリム角検出手段と、船体
の前後方向の加速度を検出する加速度検出手段と、検出
されるトリム角がトリム角基準値以上になり、且つ検出
される加速度が正の方向の加速度基準値以上になった場
合に、トリム角を減少させる方向の補正を加えて揚力目
標値を設定する揚力設定手段と、設定された揚力目標値
に応じて水中翼を駆動する水中翼駆動手段、とを備えて
いる。
【0008】また第4の発明では、船体の前後方向の加
速度を検出する加速度検出手段と、検出される加速度が
負の方向の加速度基準値以上になった場合、あるいは推
進用機関が減速操作された場合に、迎角が調整可能範囲
の最小値になるように水中翼を駆動する水中翼駆動手
段、とを備えている。
【0009】また第5の発明では、船体の前部及び後部
の上下方向の加速度を検出する加速度検出手段と、船体
のピッチング方向の角速度を検出する角速度検出手段
と、検出される前部と後部の加速度の差及び角速度の大
きさに応じて揚力を減少させる方向の補正値を加えて揚
力目標値を設定する揚力設定手段と、設定された揚力目
標値に応じて水中翼を駆動する水中翼駆動手段、とを備
えている。
【0010】更に第6の発明では、水平面に対する船体
の前後方向の傾斜を検出するトリム角検出手段と、船体
の上下方向の加速度を検出する加速度検出手段と、検出
されるトリム角と加速度の大きさに応じて、トリム角の
変化が小さい時にはトリム角を所定の値に維持する姿勢
制御を主体とし、トリム角の変化が大きく、加速度の変
化が小さい時には水中翼の揚力制御を主体とし、トリム
角の変化と加速度の変化が共に大きい時には水中翼の迎
角制御を主体として迎角目標値をそれぞれ設定する迎角
設定手段と、設定された迎角目標値に応じて水中翼を駆
動する水中翼駆動手段、とを備えている。
【0011】上記の各発明における揚力あるいは迎角目
標値は船体重量に応じて補正されることが望ましく、船
体重量は、例えば航走中に揚力目標値を周期的に変動さ
せ、その時の揚力振幅値と船体の上下方向の加速度振幅
値の比率から推定することができる。また、航走中に検
出される波浪に伴う水中翼の揚力変動値と船体前部の上
下方向の加速度変動値の比率から船体重量を推定するこ
ともできる。
【0012】
【作用】第1の発明においては、水中翼が空中に露出し
て揚力が0になると迎角が最小値に駆動設定されるの
で、水中への再突入時に水中翼が大きな衝撃を受けるこ
とがなく、また突入後の失速が防止され、翼背面の残留
空気が速やかになくなり、水中翼の性能を低下させずに
波浪中を航走することが可能になる。
【0013】第2の発明においては、波浪中でも船首が
波に乗り上げるような大きなピッチングが抑制されるの
で、水中翼の空中への露出が防止され、良好な乗り心地
が確保されると共に船速の低下が防止される。
【0014】第3の発明においては、加速時に必要以上
に船首が上がることがなく、抵抗が小さくなって加速性
が向上される。
【0015】第4の発明においては、減速時に迎角が最
小値に駆動設定されるので揚力が最小となり、船体がよ
り広い面積で着水して抵抗が大きくなり、速やかな減速
や停船が可能となる。
【0016】第5の発明においては、船体のピッチング
が抑制されるので乗り心地が向上すると共に水中翼の性
能が確保される。
【0017】第6の発明においては、検出されるトリム
角と加速度の大きさにより波の高さを推定することがで
き、波や船体の状態に応じて最適の制御が選択されるの
で、高速性と安定性を両立させることができる。
【0018】請求項7及び8のようにして船体重量を推
定することにより、船体重量に応じた揚力制御が可能と
なり、乗り心地や高速性を良好に保つことができる。
【0019】
【実施例1】次に、第1の発明の実施例について説明す
る。この実施例は、船底が深い位置にある前部船底と浅
い位置にある後部船底の二つの部分に段差によって区分
された形状となっており、後部船底の前方に水中翼を配
置した水中翼船の例であり、図1は実施例の水中翼船の
概略側面図、図2は水中翼とこれを支持しているリンク
機構の側面図である。
【0020】図1において、1は船体、2は前部船底、
3は後部船底、4は段差であり、船底は段差4によって
深い位置にある前部船底2と浅い位置にある後部船底3
の二つの部分に区分された形状となっている。5は水中
翼、6はその支柱、7は段差4より後方の後部船底3の
前部に設けられたリンク機構であり、水中翼5はこのリ
ンク機構7を介して後部船底3に取り付けられ、前部船
底2の後端よりも深い位置の船体中心線上に配置されて
いる。Pは船体1の後部に設けられた推進機である。
【0021】図2に示すように、リンク機構7は、後部
船底3に前後方向に回動可能に連結された第1のリンク
71と、この第1のリンク71よりも後方において後部
船底3に前後方向に回動可能に連結された第2のリンク
72と、第1及び第2のリンク71,72の先端の間に
連結された第3のリンク73から構成されている。この
ように、第1乃至第3のリンクと船底によって四辺形の
リンク機構が形成されているが、この実施例では、特に
リンク71と72がほぼ同じ長さでリンク73が後部船
底3に対してほぼ平行となっており、且つリンク73の
長さがリンク71,72の船底への連結部間の距離より
も短く、全体としては台形のリンク機構となっている。
【0022】8は揚力制御用と揚力検出用を兼ねるアク
チュエータとして用いられる油圧シリンダであり、リン
ク72の中間部と船底のリンク71,72の連結部の間
の部分との間に連結されている。6aは後方に延長され
たリンク73の後端に軸部73aで回動可能に取り付け
られた取付板であって、支柱6は使用時にリンク73に
対して下向きに垂直に突出するような向きで取付板6a
に固定されており、取付板6aとリンク73との間にチ
ルト用のアクチュエータとして用いられる油圧シリンダ
9が連結されている。A〜Fは各リンク及び油圧シリン
ダ8の相互間あるいは船底への連結部を示している。
【0023】油圧シリンダ8,9はコントローラによっ
て制御される油圧で駆動されるようになっている。図2
には油圧シリンダ8の油圧回路を示してあり、11は油
圧ポンプ、12は切換電磁弁、13a,13bは配管、
14はコントローラ、15は油圧設定用のリリーフ弁、
16は圧力センサである。なお図示していないが、油圧
シリンダ9についても油圧シリンダ8に準じた油圧回路
が設けられている。
【0024】この実施例は次のように動作する。図2は
水中翼5を使用している時の状態を示したものであっ
て、油圧シリンダ8を作動させるとリンク72が連結部
Dの回りを前後に回動し、リンク機構7の四辺形が変形
してリンク73の水平度が変化するので、支柱6が垂直
の状態を中心として実線矢印のように前後方向に回動す
ることになり、水中翼5の迎角が変化して水中翼5によ
る揚力が制御されるのである。
【0025】例えば、切換電磁弁12が図示のようにa
サイドに切り替わっている時には、配管13aから供給
される油圧を高めることによりシリンダ内部のピストン
が押し出され、支柱6が反時計方向に回動して水中翼5
の迎角が増加する。また切換電磁弁12をbサイドに切
り換えれば、配管13bから供給される油圧によってピ
ストンが引き込まれるので、支柱6は時計方向に回動し
て水中翼5の迎角が減少することになる。
【0026】また、油圧シリンダ9を作動させて取付板
6aを後方に押すことにより、支柱6が取付板6aと共
に鎖線矢印にように回動して水中翼5が船底の段差4内
に格納される。図2の鎖線はこの格納状態を示してい
る。
【0027】上述のように、この実施例ではリンク機構
7と油圧シリンダ8,9が水流が当たらない船底の段差
4内に設けられており、航走時における抵抗増加や水中
翼5への空気の吸い込みなどがなく、水中翼の性能を十
分に発揮させることができるようになる。
【0028】ところで、上述のようなリンク機構7を用
いた場合には、各リンクの長さや油圧シリンダ8の連結
位置などを適切に選定することにより、水中翼5によっ
て得られる揚力の検出と、その揚力を調整するための迎
角の制御の両方を油圧シリンダ8によって行うことが可
能となる。次に、この点について図3を用いて説明す
る。図3は図2を簡略化して描いたものであり、各部の
寸法を図示のようにa〜iとし、船底3、水中翼5及び
リンク73が水平軸(x軸)に平行、支柱6が垂直軸
(y軸)に平行になっているとして説明する。なお、水
中翼5の揚力中心L0は前縁から1/4の位置にあって
支柱6はこの揚力中心に位置しており、Gは揚力中心か
ら垂線がリンク73と交わる点である。
【0029】ここで、図のように航走時における水流に
伴う抗力をR、揚力をLとし、連結部A,B,Eにかか
る力をそれぞれFA,FB及びFB′,FE、同各連結部で
のリンク及び油圧シリンダ8の傾斜角度を図のようにθ
A,θB,θEとすると、x軸方向の力の釣合、y軸方向
の力の釣合、B点回りのモーメントの釣合、D点回りの
モーメントの釣合は、それぞれ次の(1)式乃至(4)式で表
される。 FB′−FAsinθA=R …… (1) FB+FAcosθA=L …… (2) Rh=Lg−FAcosθA・a …… (3) FE・e・cosθE=FB・b・sinθB−FB′・b・cosθB …… (4)
【0030】次に抗力Rによる連結部Bでの反力FB
B′を求めるため、上記の(2)(3)式においてL=0と
置いて次式を得る。 FB=−FAcosθA …… (5) FA=−(h/a・cosθA)・R …… (6) (5)(6)式より FB=(h/a)・R …… (7) (1)式に(6)式を代入して FB′+(h/a・cosθA)・RsinθA=R FB′=〔1−(h/a)tanθA〕・R …… (8) (7)(8)式を(4)式に代入すると FE・e・cosθE=(h/a)・R・b・sinθB −〔1−(h/a)tanθA〕・R・b・cosθB …… (9)
【0031】ここで、RによってFEが発生しないよう
なリンク配置の条件を求めるために、FE=0と置いて
(9)式を変形すると、 (h/a)・R・b・sinθB −〔1−(h/a)tanθA〕・R・b・cosθB=0 これからRとbを消去してaについてまとめると、次の
(10)式が求められる。 a=(tanθA+tanθB)・h …… (10)
【0032】この(10)式は、水中翼5で発生する抗力R
が分離されて揚力Lのみにほぼ比例した反力が油圧シリ
ンダ8に加わること、すなわち、この時の油圧を測定す
れば揚力Lを検出できることを示している。従って、(1
0)式が成立するように各リンクの長さや油圧シリンダ8
の連結位置などを選定することによって、水中翼5によ
る揚力の検出とその揚力を制御するための迎角制御の両
方を1個の油圧シリンダ8で行うことが可能となるので
ある。なお、上記の説明は第3のリンク73と水中翼5
が船底3に平行であるとしているが、±5゜程度以内で
あれば実用上は支障なく(10)式を適用することができ
る。
【0033】上述の条件が満足されている場合の揚力L
による反力FEは、次のようにして求めることができ
る。まず(1)(3)式においてR=0と置いて次式を作り、
(4)式に代入してFEとLの関係式を求める。 (1)式より FB′=FAsinθA …… (11) (3)式より FA=(g/cosθA・a)L …… (12) (11)(12)式より FB′=(g/a)tanθA・L …… (13) (2)(12)式より FB=(1−g/a)L …… (14) (13)(14)式を(4)式に代入すると FE・e・cosθE=(1−g/a)L・b・sinθB −(g/a)tanθA・L・b・cosθB …… (15) FEについてまとめると FE=L・b・cosθB〔(1−g/a)tanθB −(g/a)tanθA〕/e・cosθE …… (16)
【0034】ここで、L・b・cosθB/e・cos
θEは正であるから、(16)式の右辺の〔 〕内が正の場
合にFEがLに対して正となる。すなわち、 (1−g/a)tanθB−(g/a)tanθA>0 この条件式を変形して g<a・tanθB/(tanθB+tanθA) …… (17)
【0035】反力FEが揚力Lに対して正の値を持つと
いうことは、揚力が作用すると迎角を減少させる方向に
反力FEが生じ、油圧シリンダ8にはこれを押し縮める
方向の力が作用するということである。従って、この時
の配管13a内の油圧を圧力センサ16で測定すれば揚
力Lを検出することができると共に、リリーフ弁15を
調整して圧力を維持し、あるいは圧力を変化させること
により、所定の迎角を維持し、あるいは迎角を変化させ
て揚力を制御することができる。
【0036】この実施例は、リンク機構7を上記の(10)
式及び(17)式が成立するように構成し、油圧シリンダ8
による迎角制御と揚力検出を行うものであり、ここでは
次のような制御を実施している。
【0037】図4はその制御手順を示したフローチャー
トであり、まず、ステップ101で切換電磁弁12がA
サイドにある時の配管13a内、すなわち揚力検出側の
油圧を圧力センサ16で測定する。次に、検出された油
圧をステップ102でごく0に近い値にあらかじめ設定
してある基準値p0と比較し、基準値p0より小さければ
ステップ103で切換電磁弁12をBサイドに切り換え
る。そしてステップ104で所定の設定時間t0が経過
した後、切換電磁弁12を再びAサイドに切り換えるの
である。この設定時間t0は通常1〜2秒程度に設定さ
れる。
【0038】図5は以上の手順における油圧と迎角の変
化状況及び切換電磁弁12の切り換え状態を示したタイ
ムチャートである。時間Tは水中翼5が空中に露出した
期間であり、切換電磁弁12の切り換えに応じて配管1
3a,13b内の圧力が変化し、一旦迎角が最低値まで
低下してt0時間だけ維持された後、元の値にまで徐々
に戻っている。なお、破線は配管13bの圧力を示して
いる。
【0039】一般に、従来は水中翼の揚力を一定に維持
するように制御しており、水中翼が空中に露出して揚力
が0になると迎角が最大位置となるように制御されるた
め、水中への再突入時の衝撃が非常に大きくなる。ま
た、迎角が過大なために失速を起こしやすく、また翼背
面の空気がいつまでも残るため、水中翼の性能を十分に
発揮できなかった。これに対してこの実施例によれば、
水中翼の空中露出が検出されると水中翼の迎角を最小値
とするので、水中への再突入時の衝撃が緩和されると共
に突入後の失速が防止され、翼背面の残留空気が速やか
になくなる等の作用効果が得られ、水中翼の性能を低下
させずに波浪中を航走することが容易となるのである。
【0040】なお、上記の実施例では水中翼5をリンク
機構7で支持してその迎角制御と揚力検出を同一の油圧
シリンダ8で行うようにしているが、本出願人が先に出
願した特願平5−316118号において開示したよう
な水中翼の支持構造や、迎角制御と揚力検出を別の手段
でそれぞれ行うようにした船舶においても、この発明を
適用できることは勿論である。
【0041】
【実施例2】次に、第2の発明の実施例について説明す
る。図6において、21は水平面に対する船体1の前後
方向の傾斜を検出するトリム角センサ、22はこのトリ
ム角センサ21と同じ位置に設置された部分の上下方向
の加速度を検出する加速度センサ、23は船底前部に取
り付けられてここに加わる水圧を検出する水圧センサで
ある。なお、図6では船体1が船底に段差のある形状と
なっているが、この実施例以降の各実施例は段差のない
船底形状であっても差し支えない。5は水中翼、6はそ
の支柱であることは前記の実施例と同様であるが、ここ
では上記特願平5−316118号において開示した構
造の支持機構によって船体1に支持されており、迎角制
御と揚力検出を行う油圧シリンダ24が支柱6の基部に
設けられている。
【0042】25はコントローラ、26は油圧供給装
置、27は水中翼格納用の油圧シリンダ、28は油圧セ
ンサ、31は推進用機関、32は推進装置、33は機関
速度切換操作部、34は機関の回転センサ、35は迎角
センサであるが、これらは一例であり、必要に応じて航
走や各種の制御に必要なその他の機器やセンサ類が適宜
設けられる。なお、機関速度切換操作部33は、コント
ローラ25からの指令あるいはマニュアル操作によって
機関自体の回転数を変え、あるいは減速機の減速比変更
やクラッチオンオフを行うように適宜構成されている。
【0043】図7はこの実施例の制御手順を示したフロ
ーチャートである。まず、ステップ201でトリム角セ
ンサ21の出力から航走トリム角θdを検出し、その平
均値を求める。加速度センサ22としては上下方向及び
前後方向の加速度を検出できるものが使用されており、
ステップ202では上下方向の加速度αxを検出してそ
の平均値を求め、ステップ203では前後方向の加速度
αyを検出してその平均値を求め、これらの値からステ
ップ204でトリム角補正量φを算出する。なお、この
実施例ではより正確な制御のために上下方向及び前後方
向の加速度の両方を用いて補正量を求めている。
【0044】次のステップ205では、上記の補正量φ
をあらかじめ設定されているトリム角基準値φ0と比較
し、φ>φ0でなければφ=0とし(ステップ20
6)、φ>φ0であればステップ207に進む。ステッ
プ207では水圧センサ23の出力から船底前部に加わ
る水圧pを検出し、ステップ208でこの水圧pをあら
かじめ設定されている水圧基準値p0と比較し、p>p0
でなければφ=0とするステップ206に進み、p>p
0であればステップ209に進む。
【0045】ステップ209では、ステップ201で求
めた航走トリム角θdの平均値からトリム角補正量φと
最適航走トリム角θoptとを差し引いてトリム角変更値
Δθdを算出し、更に比例定数を乗じて揚力変更値ΔL
を求める。以後のステップ210では、現在の揚力目標
値Lから揚力変更値ΔLを差し引いて新しい揚力目標値
Lを求め、機構的な制約から決まる最大及び最小の揚力
設定値Lmax及びLminの範囲内で最終目標値が設定され
る。これらの処理はコントローラ25で行われ、この結
果に応じて油圧供給装置26が制御され、油圧シリンダ
24が駆動されて水中翼5の迎角が変更されるのであ
る。
【0046】従来の制御のように水中翼の揚力を一定に
維持しようとすると、波浪中を航走していて波に乗り上
げた場合には船体前部の接水により船体前部の揚力が大
きくなり、水中翼の揚力との相乗作用で過度な船首上げ
モーメントが発生する。このため、乗り心地が悪くなる
ほか、波を乗り越えた後に船体が水面から飛び出して水
中翼が空中に露出してしまい、水中翼の機能が果たせな
くなる。
【0047】これに対してこの実施例によれば、トリム
角と加速度及び船底前部の水圧から波浪の高さと船底が
波に乗り上げている状態が検出され、それに応じて水中
翼の迎角がトリム角を減少させる方向に補正される。従
って、船首が波に乗り上げるような大きなピッチングが
抑制されることになり、良好な乗り心地が確保されると
共に水中翼の空中への露出が防止されて水中翼の機能が
阻害されることがなくなり、波浪中での高速航走が容易
となるのである。なお、トリム角を減少させる方向に補
正すべき上記の条件が解消された時には補正処理は終了
する。
【0048】
【実施例3】次に、第3の発明の実施例について説明す
る。この実施例は加速時の制御を適切に行うために上記
実施例2の制御の内容を若干変更したものであって、装
置の構成としては図6と同様であり、以下、図8のフロ
ーチャートにより制御の手順を説明する。なお、実施例
2と異なるもの以外には同じ記号を用いてあり、またこ
の実施例においてもより正確な制御のために上下方向及
び前後方向の加速度の両方を用いて補正を行っている。
【0049】まず、ステップ301〜303では図7の
ステップ201〜203と同様に航走トリム角θd、上
下方向の加速度αx及び前後方向の加速度αyを検出し、
それらの平均値を求める。ステップ304では前後方向
の加速度αyの平均値をあらかじめ設定されている正の
方向の加速度基準値α0と比較し、平均値がα0より大き
くなければφ=0とし(ステップ305)、α0より大
きければステップ306に進んでトリム角補正量φを算
出する。次のステップ309と310はステップ209
と210と同様であり、上記の手順で求めた各値から揚
力変更値ΔLを求め、最終の揚力目標値Lが設定されて
水中翼5の迎角が変更される。
【0050】以上のようにこの実施例によれば、前後方
向の加速度が基準値以上になると加速に伴う加速度に応
じてトリム角を減少させる方向の補正が行われるので、
トリム角センサ21の出力をそのまま用いる場合と比較
して、加速に伴う加速度の影響を除いて加速時の揚力制
御をより適切に行うことができる。従って、加速時に必
要以上に船首が上がることがなくなり、船体が受ける抵
抗が小さくなって加速性が向上されるのである。
【0051】
【実施例4】次に、第4の発明の実施例について説明す
る。この実施例は減速時の制御を適切に行うようにした
ものであって、装置の構成は図6と同様であり、また具
体的な油圧シリンダ24の駆動用油圧回路としては、図
2の構成のものが用いられ、切換電磁弁12の切り換え
操作によって水中翼5の迎角が変更されるようになって
いる。以下、図9のフローチャートにより制御の手順を
説明する。なお、図9の記号は実施例3と同じものを用
いてある。
【0052】まずステップ401で前後方向の加速度α
yを検出し、その平均値を求める。次いでステップ40
2でαyの平均値をあらかじめ設定されている加速度基
準値α0と比較し、−α0より小さい(すなわち負の方向
に大きい)状態でなければステップ403に、また−α
0より小さい状態であればステップ404に進む。
【0053】ステップ403では機関速度切換操作部3
3の状態から減速操作がなされたか否かが確認され、操
作されていればステップ404に、また操作されていな
ければステップ401に戻る。ステップ404および4
05は図4のステップ103および104と同じ処理で
あり、ステップ404で切換電磁弁12をbサイドに切
り換え、ステップ405で所定の設定時間t0が経過し
た後、切換電磁弁12を再びaサイドに切り換えるので
ある。
【0054】一般に、水中翼船は水中翼の揚力によって
船体抵抗が小さい状態で航走しているので、急速な減速
や停船が困難であり、この点で危険な面がある。しかし
この実施例によれば、加速度が負の方向に大きくなる減
速時や、機関が減速操作された時に、切換電磁弁12を
切り換えて水中翼の迎角を最小値としているので、喫水
を深くして船体の着水面積を広くすることができる。こ
のため、船体抵抗を高めて大きなブレーキ作用を発揮さ
せることが可能となり、速やかな減速や停船が容易とな
って安全性が向上されるのである。
【0055】
【実施例5】次に、第5の発明の実施例について説明す
る。図10はこの実施例で使用されるセンサの配置を示
したものであり、上下方向の加速度を検出する加速度セ
ンサ22F及び22Rを船体の前部と後部の中心線付近
にそれぞれ設け、また船体1のピッチング方向の角速度
を検出する角速度センサ36を船体重心付近に設けてあ
る。その他は図6と同様であり、同一の部分は同じ符号
で示してある。以下、図11のフローチャートにより制
御の手順を説明する。なお、前述の各実施例と異なるも
の以外は同じ記号を用いてある。
【0056】まず、ステップ501〜503では前述の
実施例に準じた手順によって、前部及び後部の上下方向
の加速度αF及びαRを検出し、またピッチング方向の角
速度ωpを検出し、それぞれの平均値を求める。ステッ
プ504では、ステップ501と502で求めた平均値
の差を算出し、更に比例定数を乗じて加速度に基づく揚
力変更値ΔL1を求め、またステップ505では、ステ
ップ503で求めた平均値に比例定数を乗じてピッチン
グ方向の角速度に基づく揚力変更値ΔL2を求める。以
後のステップ506では、平水時の揚力目標値L0から
上記の揚力変更値ΔL1及びΔL2を差し引いて新しい揚
力目標値Lを求め、図7のステップ210に準じて機構
的に決まる最大及び最小の揚力設定値の範囲内で最終目
標値が設定され、この結果に基づいて水中翼5の迎角が
変更されるのである。
【0057】上述のような手順によって、この実施例で
は迎角が船体のピッチングを抑制する方向に制御される
ので、波浪中でも船体の動揺が少なくなる。従って、水
中翼の性能を十分に発揮しながら最適航走姿勢を維持し
て波浪中を航走することができ、また良好な乗り心地も
確保されるのである。
【0058】
【実施例6】次に、第6の発明の実施例について説明す
る。一般に、船体滑走面と水中翼の両方で揚力を発生し
て船体重量を支持する方式の水中翼船では、波の状態に
よって船の運動が大きく影響される。このため、通常の
水中翼船で行われているような船体の姿勢を制御する制
御方式では、波の大きい場合には過大な迎角変化を生
じ、水中翼の抵抗増加や極端な場合は失速が発生し、水
中翼船としての性能を確保することが困難となる。この
実施例では、このような問題を次のようにして解決して
いる。構成は図6と同様でよく、センサとしてはトリム
角センサ21、加速度センサ22、回転センサ34及び
迎角センサ35が使用される。
【0059】図12は制御手順のブロック図であり、以
下これについて説明する。なお、これまでの説明におけ
るものと同一のものは同じ符号で示してある。コントロ
ーラ25の演算回路Aには、機関回転数nに比例定数k
3を乗じて求めた推定船速v、トリム角θd、検出された
上下方向の加速度を数Hzのローパスフィルタを通して
平滑化した加速度ay、水中翼の揚力L′及び迎角δが
入力され、次のような値が求められる。
【0060】まず、上記の加速度ayとトリム角θd
基にして、図13に示すようにθdが平均値より大きい
区間の時間をTu、その区間におけるayの最大幅をa
p-pとして波の最大傾斜角Wmaxに比例する値 Tu・a
p-p を求める。次にこの値の大きさに応じて、図14に
示す配分により姿勢制御時の姿勢偏差に対する迎角操作
量δ2と、揚力制御時の揚力偏差に対する迎角操作量δ3
の比率 J2/J3 を演算回路Bで求める。但し、J2
3=1とする。また、トリム角の検出出力の最大値θ
dmaxに応じて、図14に示す配分により上記の姿勢制御
あるいは揚力制御時のそれぞれの偏差に対する迎角操作
量(J2δ2+J3δ3)と、迎角制御時の迎角操作量δ1
比率 J4/J1 を演算回路Bで求める。但し、J4+J1
=1とする。
【0061】以上の演算結果を、迎角目標値の式 δ=
4(J2δ2+J3δ3)+J1δ1に代入して迎角目標値を
設定し、この値になるように水中翼5の迎角を制御する
のである。なお上記の処理に際しては、60秒程度でT
u,ap-p,Wmaxを平均化した値が用いられる。図15
は以上の処理手順を示したものであり、図中のC1,C3
は定数、G1は水中翼の迎角と揚力の間の伝達関数、G2
は水中翼揚力と船体前後方向傾斜角の間の伝達関数であ
る。
【0062】なお、演算回路Aで求められる姿勢制御の
目標値θd0、揚力目標値L及びC3と船速vとの間に
は、図16の(a)(b)(c)に示すような関係があり、船速
vに応じて選定される。また、上記のδ2,δ3は、δ2
=C1(θd0−θd)、δ3=C3(L−L′)の関係式か
ら求められ、これらの式の係数C1,C3は後述の手順に
よって船体の重量に応じて選定されるのであり、船体重
量によって式のゲインが変えられる。また、迎角制御の
目標値δ1は前述した手順によって決定される。
【0063】以上のように、この実施例においては検出
されるトリム角と加速度の大きさから船体の動揺状態に
応じて波の高さを推定して制御を切り換えている。従っ
て、波が穏やかな時には姿勢制御を主体として安定した
速力で航走でき、うねりがある時のようにピッチングが
ある時には水中翼の揚力制御を主体として船体の動揺を
抑え、更に三角波のように波の傾斜が大きくピッチング
も大きい時には、水中翼の迎角を直接制御して水中翼が
空中に飛び出すようなことを防止しながら航走すること
ができ、最適の制御を選択して高速性と安定性を両立さ
せることが可能となるのである。
【0064】
【実施例7】次に、請求項7に対応する実施例について
説明する。上述の説明でも触れたように、揚力あるいは
迎角の制御に際しては制御のゲインを船体、特にその船
首部の重量に応じて変更することが望ましく、乗り心地
の改善や航走性能の向上に有効である。この実施例では
航走中に揚力目標値を正弦波状に変動させ、その時の船
体の上下方向の加速度の大きさから船体重量を推定して
おり、以下、図17のフローチャートにより制御手順を
説明する。なお、この実施例のように正弦波状に変動さ
せず、他の周期的変動を採用することもできる。
【0065】ステップ701では揚力目標値Lを正弦波
状に変動させる。これは、例えば図2のリリーフ弁15
の設定値を変動させることによって、その時の揚力目標
値に対応する圧力を中心にして周波数f0(角速度ω0
2πf0)、揚力変動の振幅がLaとなるように行われる
のであり、通常航走時の設定揚力に相当する油圧に比例
する一定電圧に正弦波発生器の出力電圧を加えて得られ
る電圧信号を電磁弁式リリーフ弁に送ることによって行
う。
【0066】次のステップ702では図6の油圧センサ
28で揚力に比例した油圧pを検出し、これに比例する
電圧epに変換して変動周波数f0のバンドパスフィルタ
を通し、変動分の電圧Δepを求めた後、その平均値を
算出する。またステップ703では、図6の加速度セン
サ22で加速度αyを検出し、これに比例する電圧eα
に変換して変動周波数f0のバンドパスフィルタを通
し、変動分の電圧Δeαを求めた後、その平均値を算出
する。
【0067】次のステップ704では、上記の変動分の
平均値の比に比例定数を乗じて新しい制御定数k1を求
め、制御定数をこの新しいk1に変更すると共に、揚力
目標値の変動を終了する。この制御定数k1は図11に
おけるステップ504の比例定数k1と同じものであっ
て、定数k1が船体重量に応じて変更されて制御ゲイン
は船体重量が重くなるほど増加するように変化する。従
って、実施例5における揚力制御が船体重量に応じて行
われるようになり、乗り心地が改善されると共に航走性
能も向上されるのである。なお、船体重量は加速度の大
きさのみでも算出できるが、より精度の良い制御を行う
ためにこの実施例では船底に加わる水圧も利用してい
る。
【0068】なお、このような制御動作は常時行う必要
はなく、一定船速以上に加速して定常航走に移ったのを
確認した後に、数秒間行う等の方法で実施すればよいの
であり、必要に応じてマニュアル操作で行ってもよい
し、自動的に実施されるようにしておいてもよい。
【0069】
【実施例8】この実施例は請求項8に対応するもので、
船体重量に応じた制御ゲインの変更を上記とは異なる方
法で行っている。図18はその制御手順のフローチャー
トである。
【0070】まず、ステップ801では迎角検出値δの
単位時間内の変動幅(ピーク〜ピーク値)δp-pを求
め、これをあらかじめ設定された比較値B1と比較し、
変動幅が大きければ次のステップ802に進む。上記の
単位時間は船体の応答周期以上の時間、例えば1秒が選
定される。船体には水中翼の揚力のほかに波による力も
加わるが、波による力は測定が容易ではないので、ステ
ップ802では、上記と同じ時間内の水圧検出値pの変
化分(最小値pminとの差 p−pmin)Δpを求め、そ
の積算値ΣΔpをあらかじめ設定された比較値B2と比
較し、変動幅がこれよりも小さいこと、すなわち波の影
響が十分に小さいことが確認されると次のステップ80
3に進む。
【0071】ステップ803では同じ時間内の迎角Lの
変化分(最小値との差)ΔLを算出して積算し、次のス
テップ804で同じ時間内の上下方向の加速度ayから
高周波分を除去した値azを求め、その変化分(最小値
との差)Δazを算出して積算する。次のステップ80
5では、上記の変動分の積算値の比に比例定数Kを乗じ
て新しい制御定数k1を求め、制御定数をこの新しいk1
に変更する。これにより制御ゲインが船体重量に応じて
変化し、揚力制御が船体重量に応じて行われるのであ
る。
【0072】なお、推進装置には障害物が当たった時に
障害物に押されて後方に回動できるようなチルト機構が
一般に備えられている。従って、水中翼やその支柱に障
害物が当たった時の衝撃を図6の加速度センサ22で検
出した時に、例えば、機関速度切換操作部33を作動さ
せてクラッチをオフするようにしておけば、プロペラが
停止して水流の圧力で推進装置32が後方に自動的にチ
ルトするので、推進装置33が障害物に触れることを防
止できる。この場合には、上記の加速度センサ22とは
別の加速度センサを支柱6の取付部など、衝撃を検出し
やすい位置に設けてもよい。
【0073】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、第1の
発明は、水中翼で発生している揚力が0になると迎角値
を最小値に駆動設定するので、水中翼が空中に露出して
から水中に再突入する時に水中翼が大きな衝撃を受ける
ことがなくなる。従って、突入後の失速が防止されると
共に、翼背面の残留空気が速やかになくなり、水中翼の
性能を十分に発揮させながら波浪中を航走することが可
能となる。
【0074】第2の発明においては、検出される加速度
とトリム角及び水圧に応じてトリム角を減少させるよう
な補正を行うので、水中翼が空中に露出することが少な
くなり、良好な乗り心地で高速航走することが可能とな
る。
【0075】第3の発明においては、加速中であること
を加速度の大きさから検出し、トリム角を減少させるよ
うな補正を行うので、加速時に船首が上がり過ぎること
がなくなり、加速性が向上される。
【0076】第4の発明においては、減速中であること
が負の加速度の大きさから検出され、あるいは機関の減
速操作が行われた場合に、迎角値を最小値に駆動設定す
るので、船体の着水面積が大きくなって抵抗が増加し、
減速や停船が速やかに行われるようになって安全性が向
上する。
【0077】第5の発明においては、船体のピッチング
状態に応じて揺れを抑える方向に揚力が制御されるの
で、乗り心地が向上すると共に水中翼の性能を確保する
ことができる。
【0078】第6の発明においては、検出されるトリム
角と加速度の大きさによって波の大きさを推定し、波の
高さとそれによる船体の揺れの状態に応じて最適の制御
を選択するようにしたので、高速性を確保しながら安定
性の良い航走が可能となる。
【0079】また、これらの発明において船体重量、特
に船首部の重量を推定して揚力目標値を補正することに
より、船体重量に応じた適切な揚力制御が可能となり、
乗り心地や高速性を良好に保って航走することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明の一実施例の全体の概略側面図であ
る。
【図2】同実施例の水中翼支持機構の構成を示す図であ
る。
【図3】同実施例の動作説明図である。
【図4】同実施例の制御手順のフローチャートである。
【図5】同実施例の動作を示すタイムチャートである。
【図6】第2の発明の一実施例の全体の概略側面図であ
る。
【図7】同実施例の制御手順のフローチャートである。
【図8】第3の発明の一実施例の制御手順のフローチャ
ートである。
【図9】第4の発明の一実施例の制御手順のフローチャ
ートである。
【図10】第5の発明の一実施例の全体の概略側面図で
ある。
【図11】同実施例の制御手順のフローチャートであ
る。
【図12】第6の発明の一実施例の制御手順のブロック
図である。
【図13】同実施例の動作説明図である。
【図14】同じく同実施例の動作説明図である。
【図15】同実施例の制御手順のフローチャートであ
る。
【図16】同実施例の動作説明図である。
【図17】他の実施例の制御手順のフローチャートであ
る。
【図18】同じく他の実施例の制御手順のフローチャー
トである。
【符号の説明】 1 船体 5 水中翼 8,24 油圧シリンダ 14,25 コントローラ 15 リリーフ弁 16,28 油圧センサ 21 トリム角センサ 22,22F,22R 加速度センサ 23 水圧センサ 33 機関速度切換操作部 34 回転センサ 35 迎角センサ 36 角速度センサ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船底に迎角可変の水中翼を備え、この水
    中翼で船体重量の一部を支える揚力を発生しながら航走
    する水中翼付き船舶であって、水中翼で発生している揚
    力を検出する揚力検出手段と、検出される揚力が0に近
    い一定レベル以下の値になると迎角が調整可能範囲の最
    小値になるように水中翼を駆動し、所定時間経過後にあ
    らかじめ設定されている揚力目標値に応じて水中翼を駆
    動する水中翼駆動手段、とを備えたことを特徴とする水
    中翼付き船舶。
  2. 【請求項2】 船底に迎角可変の水中翼を備え、この水
    中翼で船体重量の一部を支える揚力を発生しながら航走
    する水中翼付き船舶であって、水平面に対する船体の前
    後方向の傾斜を検出するトリム角検出手段と、このトリ
    ム角検出手段が設置された部分の上下方向の加速度を検
    出する加速度検出手段と、船底前部に加わる水圧を検出
    する水圧検出手段と、検出されるトリム角がトリム角基
    準値以上になり、且つ検出される水圧が水圧基準値以上
    になった場合に、検出される加速度の大きさに応じてト
    リム角を減少させる方向の補正を加えて揚力目標値を設
    定する揚力設定手段と、設定された揚力目標値に応じて
    水中翼を駆動する水中翼駆動手段、とを備えたことを特
    徴とする水中翼付き船舶。
  3. 【請求項3】船底に迎角可変の水中翼を備え、この水中
    翼で船体重量の一部を支える揚力を発生しながら航走す
    る水中翼付き船舶であって、水平面に対する船体の前後
    方向の傾斜を検出するトリム角検出手段と、船体の前後
    方向の加速度を検出する加速度検出手段と、検出される
    トリム角がトリム角基準値以上になり、且つ検出される
    加速度が正の方向の加速度基準値以上になった場合に、
    トリム角を減少させる方向の補正を加えて揚力目標値を
    設定する揚力設定手段と、設定された揚力目標値に応じ
    て水中翼を駆動する水中翼駆動手段、とを備えたことを
    特徴とする水中翼付き船舶。
  4. 【請求項4】船底に迎角可変の水中翼を備え、この水中
    翼で船体重量の一部を支える揚力を発生しながら航走す
    る水中翼付き船舶であって、船体の前後方向の加速度を
    検出する加速度検出手段と、検出される加速度が負の方
    向の加速度基準値以上になった場合、あるいは推進用機
    関が減速操作された場合に、迎角が調整可能範囲の最小
    値になるように水中翼を駆動する水中翼駆動手段、とを
    備えたことを特徴とする水中翼付き船舶。
  5. 【請求項5】船底に迎角可変の水中翼を備え、この水中
    翼で船体重量の一部を支える揚力を発生しながら航走す
    る水中翼付き船舶であって、船体の前部及び後部の上下
    方向の加速度を検出する加速度検出手段と、船体のピッ
    チング方向の角速度を検出する角速度検出手段と、検出
    される前部と後部の加速度の差及び角速度の大きさに応
    じて揚力を減少させる方向の補正値を加えて揚力目標値
    を設定する揚力設定手段と、設定された揚力目標値に応
    じて水中翼を駆動する水中翼駆動手段、とを備えたこと
    を特徴とする水中翼付き船舶。
  6. 【請求項6】船底に迎角可変の水中翼を備え、この水中
    翼で船体重量の一部を支える揚力を発生しながら航走す
    る水中翼付き船舶であって、水平面に対する船体の前後
    方向の傾斜を検出するトリム角検出手段と、船体の上下
    方向の加速度を検出する加速度検出手段と、検出される
    トリム角と加速度の大きさに応じて、トリム角の変化が
    小さい時にはトリム角を所定の値に維持する姿勢制御を
    主体とし、トリム角の変化が大きく、加速度の変化が小
    さい時には水中翼の揚力制御を主体とし、またトリム角
    の変化と加速度の変化が共に大きい時には水中翼の迎角
    制御を主体として迎角目標値をそれぞれ設定する迎角設
    定手段と、設定された迎角目標値に応じて水中翼を駆動
    する水中翼駆動手段、とを備えたことを特徴とする水中
    翼付き船舶。
  7. 【請求項7】航走中に揚力目標値を周期的に変動させ
    て、その時の水中翼の揚力振幅の検出値と船体の上下方
    向の加速度振幅値の比率から船体重量を推定し、推定さ
    れる船体重量に応じた補正値を加えて揚力目標値を設定
    するようにした請求項1乃至6のいずれかに記載の水中
    翼付き船舶。
  8. 【請求項8】航走中に検出される水中翼の揚力変動分と
    船体前部の上下方向の加速度変動分の比率から船体重量
    を推定し、推定される船体重量に応じた補正値を加えて
    揚力目標値を設定するようにした請求項1乃至6のいず
    れかに記載の水中翼付き船舶。
JP6087397A 1994-03-31 1994-03-31 水中翼付き船舶 Pending JPH07267178A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6087397A JPH07267178A (ja) 1994-03-31 1994-03-31 水中翼付き船舶

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6087397A JPH07267178A (ja) 1994-03-31 1994-03-31 水中翼付き船舶

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07267178A true JPH07267178A (ja) 1995-10-17

Family

ID=13913747

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6087397A Pending JPH07267178A (ja) 1994-03-31 1994-03-31 水中翼付き船舶

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07267178A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6782839B1 (en) * 1999-11-01 2004-08-31 Yanmar Diesel Engine Co., Ltd. Hydrofoil boat
JP2010269723A (ja) * 2009-05-22 2010-12-02 Yanmar Co Ltd 水中翼を備えた船舶
FR3073490A1 (fr) * 2017-11-15 2019-05-17 Seair Dispositif automatise de positionnement sous l'eau de foil pour bateau motorise
WO2023038526A1 (en) 2021-09-13 2023-03-16 Excellent Naval Architecture B.V. Planing boat comprising a supporting hydrofoil with an asymmetric hydrofoil section

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6782839B1 (en) * 1999-11-01 2004-08-31 Yanmar Diesel Engine Co., Ltd. Hydrofoil boat
JP2010269723A (ja) * 2009-05-22 2010-12-02 Yanmar Co Ltd 水中翼を備えた船舶
FR3073490A1 (fr) * 2017-11-15 2019-05-17 Seair Dispositif automatise de positionnement sous l'eau de foil pour bateau motorise
WO2023038526A1 (en) 2021-09-13 2023-03-16 Excellent Naval Architecture B.V. Planing boat comprising a supporting hydrofoil with an asymmetric hydrofoil section
NL2029177B1 (en) * 2021-09-13 2023-03-23 Excellent Naval Arch B V Planing boat comprising a supporting hydrofoil with an asymmetric hydrofoil section

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4261278A (en) Gyro-controlled pitch stabilizing system
KR101206748B1 (ko) 풍력선의 자유비행 카이트식 수풍 부재를 위한 포지셔닝장치
JPH0832528B2 (ja) 水中翼船の重心位置最適化装置
JP5380369B2 (ja) 減揺制御の双胴船およびその制御方法
GB2243581A (en) Hydrofoil sailboat with control system
AU2009208095B8 (en) Apparatus and method for automatically adjusting the sail surface exposed to the wind
JPH09202291A (ja) 浮体減揺装置
IL305414A (en) Angiopoietin-like 3 (ANGPTL3) IRNA compositions and methods of using them
JPH07267178A (ja) 水中翼付き船舶
US6732670B2 (en) Sailing craft
US11414162B2 (en) Control system for marine vessel, marine vessel, and control method for marine vessel
JP3242512B2 (ja) 水中翼付船舶
JP2021116016A (ja) 船舶の進路制御システム及び船舶
JP4200543B2 (ja) 船舶海洋構造物の横揺れ抑制装置
KR100292094B1 (ko) 어선의 전복방지장치
US20240036589A1 (en) System with command looping saturation and autopilot heading
US20220297799A1 (en) Aquatic moving body
US20240034446A1 (en) Control strategy with safe blade deployment limit
JP2529920Y2 (ja) 高速艇用フィンスタビライザー制御装置
JP2004224103A (ja) 船舶のフラップ制御装置
JPH06107277A (ja) 水中翼船
WO2022195302A1 (en) Vessel oscillation damper system
JPS6338094A (ja) フインスタビライザ−の制御方法
JP2022160038A (ja) 船舶の姿勢制御装置
JPS61241294A (ja) 舶用フインスタビライザ装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20040527

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20041008

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02