JPH11320188A - トッグルリンク式プレス機械のダイナミックバランサ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】前後方向に屈曲するトッグルリンク機構を設け
たプレス機械において、動的平衡のとれるダイナミック
バランサを提供する。 【解決手段】上端部に第１支点ピン８とポイント部にピ
ン６を設けたスライド駆動用トッグルリンク７と、第２
支点ピン９と動的バランスウエイトのピン１０Ａを有す
る動的バランスウエイト駆動用トッグルリンク１１を、
垂直面に対し互いに反対側で前後に揺動するように設
け、トッグルリンク７の上下のリンクを連結する連結ピ
ン７Ａをコネクチングロッド１５でクランク軸１２の偏
心部１３に連結し、トッグルリンク１１の連結ピン１１
Ａをコネクチングロッド１６で偏心部１４に連結し、偏
心部１３と偏心部１４の位相を１８０度ずらし、両トッ
グルリンク７、１１及び偏心部１３とコネクチングロッ
ド１５と偏心部１４とコネクチングロッド１６を相互に
動的に平衡させた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、トッグルリンクの
屈曲方向を前後方向としたトッグルリンク式プレス機械
のダイナミックバランサに関し、特にトッグルリンクの
屈曲による不平衡を平衡させたい場合に効果がある。

【０００２】

【従来の技術】トッグルリンク式プレス機械の不平衡慣
性力をバランスさせたものは、例えば特開平９−６６３
９５に開示されたもののように、トッグルリンク機構を
中央の駆動クランク軸の左右に対称に配置して、左右に
屈曲駆動することにより、トッグルリンク機構の下端に
連結したスライドと上端に連結したダイナミックバラン
サとを上下に互いに逆方向に駆動しているものがある。
この構成は、スライドの動的平衡の他、トッグルリンク
機構の動的平衡も対称に作動するので自動的にとれると
言う利点がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述の従来例は、２組
のトッグルリンク機構の中央に駆動クランク軸を配置
し、その左右両側でさらに左右方向に屈曲するトッグル
リンク機構を設けるのでプレス機械のスライドの左右幅
と比較してフレームの左右幅が広くなってしまうと言う
欠点がある。また、中央の駆動クランク軸部分を小さく
してスライドの左右のポイント幅を小さくすることも困
難である。

【０００４】本発明の目的は、上述の課題を解決し、前
後方向に屈曲するトッグルリンク機構を設けたプレス機
械において、動的平衡のとれるトッグルリンク式プレス
機械のダイナミックバランサを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、本発明は、トッグルリンクの屈曲を前後方向とし
たトッグルリンク式プレス機械において、スライドの２
ポイントを通る垂直面上に上下両端部の連結部を有し、
かつ垂直面に対し互いに反対側で前後方向に屈曲するよ
うに設けたスライド駆動用トッグルリンクと動的バラン
スウエイト駆動用トッグルリンクと、これらのトッグル
リンクの上下のリンクを連結する連結ピンの後方に左右
方向を向けて設けられ、スライド駆動用トッグルリンク
の連結ピンに連結した偏心部と、動的バランスウエイト
駆動用トッグルリンクの連結ピンに連結した偏心部とが
１８０度位相がずれたクランク軸とを具備し、プレス機
械を駆動した時の上下、前後、及び左右方向の動的平衡
を取るトッグルリンク式プレス機械のダイナミックバラ
ンサを構成する。

【０００６】また、トッグルリンクの屈曲を前後方向と
したトッグルリンク式プレス機械において、下端部をス
ライドのポイント部に連結し、上端部をポイント部上方
のフレームに設けた支点ピンに連結した複数のトッグル
リンクと、このトッグルリンクの上リンクと下リンクを
連結する連結ピンの後方に設けられ、連結ピンと連結し
た同位相の偏心部を有するクランク軸と、トッグルリン
クの上リンクを支点ピンを越えて伸長した先端部に設け
られ、それぞれのトッグルリンクの揺動運動を動的に平
衡させる第１動的バランスウエイトと、偏心部と１８０
度位相をずらしてクランク軸に設けられ、偏心部と連結
するコネクチングロッド及び偏心部の運動を動的に平衡
させる第２動的回転バランスウエイトとを具備し、プレ
ス機械を駆動した時のスライドの上下運動を除いた部分
の動的平衡を取るトッグルリンク式プレス機械のダイナ
ミックバランサを構成する。

【０００７】

【発明の実施の形態】図１から図７に本発明におけるト
ッグルリンク式プレス機械のダイナミックバランサの実
施例を示し、図１から図６は第１実施例を、また図７は
第２実施例を示す。

【０００８】第１実施例において、図１（ａ）は、本発
明の構成を線図にて解り易く示したものである。スライ
ドストロークの下死点の位置にあるスライド部６と、そ
の上方のフレームに固定された第１支点ピン８との間を
連結して設けたスライド駆動用トッグルリンク７と、第
１支点ピン８から下方にストロークするスライドに対す
る動的バランスウエイト部１０Ａと、その下方のスライ
ド部６の高さでフレームに固定された第２支点ピン９と
の間を連結して設けた動的バランスウエイト駆動用トッ
グルリンク１１とを、等長として垂直面の前後に設け
る。スライド駆動用トッグルリンク７及び動的バランス
ウエイト駆動用トッグルリンク１１の上下のリンクの連
結ピン７Ａ、１１Ａを、これと同じ高さで後方に設けた
クランク軸１２の互いに１８０度位相のずれた偏心部１
３、１４にコネクチングロッド１５、１６で連結してい
る。クランク軸１２を回転した時、スライド駆動用トッ
グルリンク７及び動的バランスウエイト駆動用トッグル
リンク１１の揺動が互いに動的に平衡するようにすると
ともに、偏心部１３、１４の回転とコネクチングロッド
１５、１６の前後動を互いに動的に平衡するようにし
た。

【０００９】図１（ｂ）に示すように、スライドと動的
バランスウエイトとのストロークは、これらに対応する
スライド駆動用トッグルリンク７及び動的バランスウエ
イト駆動用トッグルリンク１１を前後に互いに逆方向に
揺動させる関係から若干の相違はあるが、ほとんど対称
に上下運動をすることを表している。従って、上述を含
め、プレス機械は上下、前後及び左右方向にほとんど完
全に動的平衡をとることが出来る。

【００１０】図２から図６において、プレス機械１は、
フレーム３のスライドガイド３Ａにスライド４を上下動
自在に案内して設けている。スライド４の左右のポイン
トに立設したプランジャ５、５は、フレーム３に上下動
自在に案内され、上端部に左右方向のピン６、６でスラ
イド駆動用トッグルリンク７、７の下端部を連結してい
る。上端部は、その上方のフレーム３に左右方向を向け
て固定した第１支点ピン８、８に連結している。

【００１１】プランジャ５、５の中間部のフレーム３
に、プランジャ５、５の上端部とほぼ同じ高さに、第２
支点ピン９を左右方向に設け、その上方のフレーム３の
ウエイトガイド３Ｂ、３Ｂに上下動自在に動的バランス
ウエイト１０を設け、第２支点ピン９と動的バランスウ
エイト１０の左右方向のピン１０Ａとの間を連結する動
的バランスウエイト駆動用トッグルリンク１１、１１を
設けている。

【００１２】図３から図５に示すように、スライド駆動
用トッグルリンク７、７及び動的バランスウエイト駆動
用トッグルリンク１１、１１の上下のリンクの連結ピン
７Ａ、７Ａ、１１Ａの後方には、左右方向のクランク軸
１２を設けている。クランク軸１２には、スライド駆動
用トッグルリンク７、７に対応する偏心部１３、１３
と、動的バランスウエイト駆動用トッグルリンク１１の
連結ピン１１Ａに対応する偏心部１４とを設け、偏心部
分１３、１３と連結ピン７Ａ、７Ａ間をコネクチングロ
ッド１５、１５で連結し、偏心１４と連結ピン１１Ａ間
をコネクチングロッド１６で連結している。

【００１３】クランク軸１２の一端部に固設したメイン
ギヤー１７は、駆動軸１８のピニオン１９と噛み合わ
せ、駆動軸１８に回転自在に支持したフライホイール２
０をメインモータ２１で回転駆動し、フライホイール２
０に内装したクラッチ・ブレーキ２０Ａにより動力をク
ランク軸１２に接／断している。フレーム３下方のベッ
ド部にはボルスタ２２を据え付け、スライド４との間に
図示していない金型を固定して、プレス加工を行う。

【００１４】図１で説明したとおり、プレス機械１は、
スライド４部と動的バランスウエイト１０、スライド駆
動用トッグルリンク７、７と動的バランスウエイト駆動
用トッグルリンク１１、クランク軸１２の偏心部１３、
１３及びコネクチングロッド１５、１５と偏心部１４及
びコネクチングロッド１５、１５と偏心部１４及びコネ
クチングロッド１６を相互に質量を等しくし、動的平衡
を上下、前後及び左右方向にほぼ完全にとることが出来
る。

【００１５】図７に示す第２実施例のプレス機械２は、
スライド４を上下運動させ、ボルスタ２２との間の金型
でプレス加工を行う際に発生する上下方向の大きな振動
があるので、上下方向の振動は無視し、人の感覚として
敏感な前後方向の揺れを平衡させたものである。第１実
施例と同じ構成は同じ符号で表し、説明も簡略化した。

【００１６】スライド４に立設したプランジャ５のピン
６と下端部を連結したスライド駆動用トッグルリンク７
の上リンクを支点ピン２３を越えて伸長した端部に、ス
ライド駆動用トッグルリンク７の揺動及びコネクチング
ロッド１５の約１／２に対する第１動的バランスウエイ
ト２４を設けるとともに、スライド駆動用トッグルリン
ク７の上下リンクを連結する連結ピン７Ａとクランク軸
１２の偏心部１３を連結するコネクチングロッド１５の
約１／２の往復動による不平衡と、偏心部１３の回転に
よる不平衡とを、クランク軸１２の偏心部１３と１８０
度位相をずらした位置に設けた第２動的回転バランスウ
エイト２５で動的に平衡させたものである。

【００１７】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、第１実施例のように、前後方向に屈曲するト
ッグルリンクを垂直面に対し互いに反対側で前後に屈曲
させることにより、上下、前後及び左右の動的平衡が得
られ、かつポイント間の距離を小さくすることが出来、
さらにスライドに対する動的バランスウエイトが低い位
置で上下動するのでフレーム高さが小さく出来る。ま
た、第２実施例のように、スライドに対する動的平衡を
省略した場合にもプレス機械の前後及び左右方向の動的
平衡をとることが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例における原理説明用スケル
トン図

【図２】同じく、プレス機械の要部正面図

【図３】同じく、プレス機械のスライド駆動部の要部側
面図

【図４】同じく、プレス機械の動的バランスウエイト駆
動部の要部側面図

【図５】同じく、プレス機械フレーム上部の要部平面図

【図６】同じく、プレス機械フレーム中央部の要部平面
図

【図７】本発明の第２実施例におけるプレス機械の要部
側面図

【符号の説明】

１、２はプレス機械、３はフレーム、３Ａはスライドガ
イド、３Ｂはウエイトガイド、４はスライド、５はプラ
ンジャ、６はピン、７はスライド駆動用トッグルリン
ク、７Ａは連結ピン、８は第１支点ピン、９は第２支点
ピン、１０は動的バランスウエイト、１０Ａはピン、１
１は動的バランスウエイト駆動用トッグルリンク、１１
Ａは連結ピン、１２はクランク軸、１３、１４は偏心
部、１５、１６はコネクチングロッド、１７はメインギ
ヤー、１８は駆動軸、１９はピニオン、２０はフライホ
イール、２０Ａはクラッチ・ブレーキ、２１はメインモ
ータ、２２はボルスタ、２３は支点ピン、２４は第１動
的バランスウエイト、２５は第２動的回転バランスウエ
イト、である。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】トッグルリンクの屈曲を前後方向としたト
   ッグルリンク式プレス機械において、（イ）スライドの
   ２ポイントを通る垂直面上に上下両端部の連結部を有
   し、かつ垂直面に対し互いに反対側で前後方向に屈曲す
   るように設けたスライド駆動用トッグルリンクと動的バ
   ランスウエイト駆動用トッグルリンクと、（ロ）これら
   のトッグルリンクの上下のリンクを連結する連結ピンの
   後方に左右方向を向けて設けられ、前記スライド駆動用
   トッグルリンクの連結ピンに連結した偏心部と、（ハ）
   前記動的バランスウエイト駆動用トッグルリンクの連結
   ピンに連結した偏心部とが１８０度位相がずれたクラン
   ク軸と、を具備し、プレス機械を駆動した時の上下、前
   後、及び左右方向の動的平衡を取ることを特徴とするト
   ッグルリンク式プレス機械のダイナミックバランサ。
2. 【請求項２】トッグルリンクの屈曲を前後方向としたト
   ッグルリンク式プレス機械において、（イ）下端部をス
   ライドのポイント部に連結し、上端部をポイント部上方
   のフレームに設けた支点ピンに連結した複数のトッグル
   リンクと、（ロ）このトッグルリンクの上リンクと下リ
   ンクを連結する連結ピンの後方に設けられ、連結ピンと
   連結した同位相の偏心部を有するクランク軸と、（ハ）
   前記トッグルリンクの上リンクを前記支点ピンを越えて
   伸長した先端部に設けられ、それぞれのトッグルリンク
   の揺動運動を動的に平衡させる第１動的バランスウエイ
   トと、（ニ）前記偏心部と１８０度位相をずらして前記
   クランク軸に設けられ、前記偏心部と連結するコネクチ
   ングロッド及び前記偏心部の運動を動的に平衡させる第
   ２動的回転バランスウエイトと、を具備し、プレス機械
   を駆動した時のスライドの上下運動を除いた部分の動的
   平衡を取ることを特徴とするトッグルリンク式プレス機
   械のダイナミックバランサ。