JPH11320061A - 薄鋳片の連続鋳造方法および熱間圧延鋼帯の製造方法 - Google Patents

薄鋳片の連続鋳造方法および熱間圧延鋼帯の製造方法

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JPH11320061A
JPH11320061A JP14073798A JP14073798A JPH11320061A JP H11320061 A JPH11320061 A JP H11320061A JP 14073798 A JP14073798 A JP 14073798A JP 14073798 A JP14073798 A JP 14073798A JP H11320061 A JPH11320061 A JP H11320061A
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slab
thickness
rolling
hot
cast slab
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JP14073798A
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English (en)
Inventor
Seiji Kumakura
誠治 熊倉
Masayuki Kawamoto
正幸 川本
Yoshinori Tanizawa
好徳 谷澤
Masafumi Hanao
方史 花尾
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】内部品質の良好な鋳片を得ることが可能な薄鋳
片の連続鋳造方法およびこの薄鋳片を素材とする熱間圧
延鋼帯の製造方法の提供。 【解決手段】矩形断面形状の鋳型から引き抜かれた厚み
が110〜150mmの鋳片を、圧下しなければ鋳片中
心部の未凝固部厚みが20〜100mmである時点以前
に、0.5〜6.0mm/秒の圧下速度で、鋳片を50
〜90mmの厚みに圧下することによる薄鋳片の連続鋳
造方法およびこの薄鋳片を素材として、加熱または保熱
し、熱間圧延して得られた中間素材をコイル状に巻き取
った後、仕上げ熱間圧延を行って再度コイル状に巻き取
ることによる熱間圧延鋼帯の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中心偏析および非
金属介在物の少ない内部品質の良好な鋼の薄鋳片の連続
鋳造方法および薄鋳片を素材とする熱間圧延鋼帯の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鋼の連続鋳造においては、関連す
る設備の建設費および製造工程での要員の削減等の観点
から、製品の厚みや形状により近い鋳片を得る試みが進
められている。
【0003】とくに熱間圧延鋼帯(熱間圧延されたスト
リップ)を巻き取ったコイル(以下、ホットコイルと記
す)の製造においては、薄鋳片の連続鋳造方法と、これ
に続く製造ライン上に配置した簡易な熱間圧延設備によ
る圧延を組み合わせた方法が提案され、実用化されてい
る。
【0004】この簡易な熱間圧延設備の圧延用素材に
は、一般に厚み50mm程度の薄鋳片が用いられてい
る。厚み50mm程度の薄鋳片を連続鋳造する場合に
は、鋳型への溶鋼の注入に、通常用いられている形状お
よび寸法の浸漬ノズルを用いることができない。
【0005】外径を小さくして特殊な形状の浸漬ノズル
で、高速の鋳造条件、すなわち多くの溶鋼の供給量(浸
漬ノズルを単位時間に通過する溶鋼量)を確保しようと
する場合に、外径が50mm程度以下で特殊な形状の浸
漬ノズルを製造することは困難である。
【0006】したがって、この簡易な熱間圧延設備につ
ながり、実用化されている連続鋳造方法としては、下記
〜が代表的である。
【0007】浸漬ノズルが挿入される位置の鋳型上部
の長辺側形状を外側に膨らませた形状にしておき、この
膨らみを鋳造方向とともに縮小させて、鋳型の出側で矩
形にし、薄鋳片を製造する方法。この方法では、通常の
鋳片厚みの連続鋳造に用いられている外径の浸漬ノズル
を使うことができる。
【0008】鋳片の断面形状に合わせた厚みの薄い扁
平な浸漬ノズルを使用することにより、鋳型厚みを可及
的に薄くして鋳片を製造する方法。ただし、このときに
得られる鋳片厚みは50mm程度まで薄くできないた
め、鋳片が鋳型から出たあと、鋳片中心部に未凝固溶鋼
が存在する間に、50mm程度の鋳片厚みまで未凝固圧
下を行う薄鋳片の製造方法。
【0009】上記の方法を組み合わせた薄鋳片の
製造方法。
【0010】上記、およびのいずれの製造方法に
おいても、生産量を通常の鋳片厚みの連続鋳造機並に確
保するため、2m/分程度の低速から5m/分程度の高
速までの鋳造速度が採用されている。
【0011】中国金属学会主催の国際会議CCC’97
で発表された資料「The Second International Conf−e
rence on Continuous Casting of Steel、28 Oct.1997
p35〜46」には、上記の組み合わせ方法が提案
されている。この方法によると、鋳型上部は浸漬ノズル
が入りやすくするため膨らませ、かつ鋳型出側の鋳片厚
みは、60mm厚の矩形断面とし、未凝固圧下すること
により厚み45mmの薄鋳片を得ている。
【0012】ところで、上記、およびその組み合わ
せのの薄鋳片の連続鋳造方法には、次のような問題が
ある。
【0013】の方法では、厚み約50mm程度の薄鋳
片が得られるが、鋳型の断面形状が鋳造方向で変化して
いるため、凝固過程で凝固殻が変形する。そのため、凝
固殻に大きな力が加わり、鋳片表面および表皮下等で割
れが生じる場合がある。極端な場合に、割れがブレーク
アウトの原因となって連続鋳造の操業が困難になる場合
がある。したがって、鋳片の表面品質および安定操業の
点で問題がある。
【0014】の方法は、厚みの薄い扁平な浸漬ノズル
を使用するとはいえ、浸漬ノズルの製造可能な下限厚み
の関係から、鋳片厚みの下限は90mm程度である。こ
の方法では、50mm程度の鋳片厚みとなるよう未凝固
圧下が実施されるが、圧下に伴い内部割れが発生する場
合がある。
【0015】の方法は、上記の組み合わせ方法で
あり、それぞれの問題点を併せ持つことになる。
【0016】の方法の問題点に対して、たとえば特開
平8−90187号公報には、未凝固圧下の際の内部割
れ防止方法が提案されている。未凝固圧下歪みが小さい
凝固初期に大きな圧下量を与え、凝固が進んでからは、
小さな圧下量にすることが提案されており、内部割れを
起こさずに、鋳片厚みが100mm程度から70mm程
度まで、約30mmの未凝固圧下が可能とされている。
【0017】しかし、上記の特開平8−90187号公
報に提案されている方法では、圧下が適切に行われない
場合に中心偏析がかえって多くなるという問題がある。
【0018】顕著な中心偏析がある鋳片を用いたホット
コイルにも中心偏析が残存する。たとえば、幅方向に数
条にスリットされたホットコイルから溶接して製造され
る鋼管の溶接部に、この中心偏析が原因の溶接上の欠陥
が発生する場合がある。
【0019】中心偏析対策として、たとえば特公平4−
20696号公報には、鋳片の中心部の固相率が、0.
1〜0.3となる時点から、固相率0.6〜0.9の流
動限界固相率となる時点までの間に、鋳片の凝固収縮に
見合う量だけ軽圧下する方法が提案されている。また、
この軽圧下の際の圧下速度を、0.5〜2.5mm/分
にすることが効果的とされている。
【0020】この特公平4−20696号公報の方法で
は、たかだか合計数mm程度の凝固収縮に見合う鋳片厚
み相当の未凝固圧下であり、薄鋳片を得るのに必要な2
0〜30mm以上の大きな圧下量の未凝固圧下の場合の
中心偏析防止対策にはなり得ない。
【0021】また、上記の、およびの方法で得ら
れる鋳片には、通常の連続鋳造方法で得られる厚みの鋳
片に比べて、非金属介在物が多く、そのためホットコイ
ルの内部品質が悪いという共通の問題がある。ホットコ
イルが、次工程として冷間圧延を受け、さらに冷間圧延
後に冷間で絞り加工を受ける場合には、これら、お
よびの方法で得られる鋳片では、材質面での性能を満
足しない。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、中心偏析お
よび非金属介在物の少ない、すなわち内部品質の良好な
薄鋳片の連続鋳造方法および、それに引き続く熱間圧延
による熱間圧延鋼帯の製造方法を提供することを目的と
する。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
(1)に示す鋼の薄鋳片の連続鋳造方法および(2)に
示す熱間圧延鋼帯の製造方法にある。
【0024】(1)鋳型から引き抜かれた断面形状が矩
形で厚みが110〜150mmの鋳片を、圧下しなけれ
ば鋳片中心部の未凝固部厚みが20〜100mmである
時点以前に、0.5〜6.0mm/秒の圧下速度で、鋳
片を50〜90mmの厚みに圧下することによる薄鋳片
の連続鋳造方法。
【0025】(2)上記(1)に記載の方法で得られた
鋳片を、引き続き加熱または保熱し、熱間圧延して得ら
れた中間素材をコイル状に巻き取った後、仕上げ熱間圧
延を行って再度コイル状に巻き取ることによる熱間圧延
鋼帯の製造方法。
【0026】鋳片に未凝固圧下法を適用し薄鋳片を得る
連続鋳造方法において、残された現状の課題は、前述の
とおり非金属介在物の低減および中心偏析の改善であ
る。
【0027】最初に、非金属介在物の低減方法につい
て、以下に説明する。図3は、C含有率が0.05重量
%の普通鋼の鋳片厚みと鋳片の表皮下1mmでの非金属
介在物の個数との関係を示す図である。鋳片横断面試験
片の幅中央部から、鋳片表面を含む20mm×20mm
試験片を各鋳片厚みについて3個採取し、倍率400倍
で顕微鏡観察し、JIS G 0555に規定する「鋼
の非金属介在物の顕微鏡試験方法」により、非金属介在
物の平均の個数を計測した。図3では、50mmの厚み
の鋳片の非金属介在物個数を100として指数表示し
た。その結果、50および105mmの厚みの薄鋳片の
非金属介在物の個数が最も多かった。これらの鋳片の場
合には、熱間圧延して得たホットコイルを冷間圧延した
製品および冷間圧延製品をさらに絞り加工した製品は、
要求される性能を満足することができない。
【0028】50〜110mm未満の薄鋳片を得る連続
鋳造方法では、鋳片の厚みが薄すぎるため、鋳型内の溶
鋼から非金属介在物が浮上しにくく、除去されにくい。
また、鋳型内の溶鋼を覆っているパウダが溶融しにくい
ので、浮上してきた非金属介在物を捕捉する作用が少な
い。このため、非金属介在物が多いのである。
【0029】一方、110mmおよび150mm厚みの
鋳片の非金属介在物の個数は、通常の連続鋳造法による
250mm厚みの鋳片の場合とほぼ同じであり、非金属
介在物の個数が少なく良好である。したがって、鋳片厚
みを110mm以上とするのが、非金属介在物を少なく
する手段である。
【0030】次に、中心偏析の改善について、以下に説
明する。本発明の方法では、0.5〜6.0mm/秒と
いう速い未凝固圧下速度で圧下することにより、新たな
等軸晶を生成させずに柱状晶を優先的に成長させる。そ
れによって、中心偏析を著しく改善できる。
【0031】従来は、電磁攪拌等の手段で等軸晶を多く
生成させることにより、等軸晶間に濃化溶鋼を均一に分
散させて偏析をおこさせず、中心偏析を防止する方法が
一般的であった。
【0032】本発明の方法では、等軸晶を生成させず
に、成長する柱状晶前面の形状を均一にすることによっ
て中心偏析を防止する。未凝固圧下の際の圧下速度を適
切な範囲で速くすれば、成長中の柱状晶前面が鋳片厚み
の中心部にまで、急速に圧下されて移動する。一方、鋳
片中心部には温度の高い未凝固溶鋼が存在するので、鋳
片中心部に移動した柱状晶前面の温度勾配が大きくな
り、さらに柱状晶が発達する。このため、温度勾配が大
きい条件下で発達する柱状晶の成長方向の前面形状は均
一な形状となり、このような柱状晶前面には、偏析成分
が濃化しにくいのである。
【0033】一方、圧下速度が遅い場合には、鋳片中心
部の温度勾配が小さくなり、等軸晶が生成する。また逆
に、圧下速度が速すぎても、柱状晶が鋳片の中心部に急
速に多量に近づくことによって、鋳片中心部の温度が均
一化され、新たに等軸晶の核生成が起こる。このように
して生成した等軸晶は、鋳片の中心部の方向に成長して
いる柱状晶前面の形状をでこぼことし、この場所に偏析
成分が濃化して、中心偏析となるのである。
【0034】このようにして得られた中心偏析や非金属
介在物の少ない内部品質の健全な薄鋳片を用いて、引き
続き加熱または保熱し、熱間圧延して得られた中間素材
をコイルに巻き取り、巻き戻しを行い、しかる後に、仕
上げ熱間圧延を行ってコイル状に巻き取ることにより、
品質の良好なホットコイルが得られる。この良好な品質
のホットコイルは、冷間圧延して得られる製品や、さら
に冷間圧延製品を絞り加工して得られる製品にも適用可
能である。
【0035】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の薄鋳片の連続鋳
造方法の原理を説明するための鋳片断面の概略図であ
る。垂直曲げ型の連続鋳造機を用いる例で、鋳型出側以
降に垂直部があり、その後の湾曲部で未凝固圧下を行う
例を示す。
【0036】本発明の方法では、鋳片厚みを110〜1
50mmとする。下限厚みを110mmとする理由は、
前述のとおり鋳片の非金属介在物を少なくするためであ
る。上限厚みの150mmは、これ以上鋳片厚みが厚く
なると、連続鋳造設備が通常の連続鋳造設備と同じにな
って、薄鋳片を製造するという本発明の目的にそぐわな
い。
【0037】圧下しなければ鋳片中心部の未凝固部厚み
が20〜100mmである時点以前に圧下を完了させる
のは、未凝固圧下前の110〜150mm厚みの鋳片を
用いて、後述する圧下後の鋳片厚みを50〜90mmと
するためである。圧下前の鋳片厚みから未凝固厚みを引
いた鋳片厚み以下の鋳片厚みに圧下することは設備が過
大となり、実施が困難である。たとえば、110mm厚
みの鋳片に対しては、圧下しなければ鋳片中心部の未凝
固厚みが20〜60mmに達する前までに圧下を完了さ
せれば、50〜90mm厚みの鋳片が得られる。また、
150mm厚みの鋳片では、圧下しなければ鋳片中心部
の未凝固厚みが60〜100mmに達する前までに圧下
を完了させれば、同じく50〜90mm厚みの鋳片を得
ることができる。なお、上述の圧下を完了させなければ
ならない未凝固厚みに到達する時点は、従来からある凝
固伝熱解析法で容易に求めることができる。
【0038】本発明の方法では、上記の未凝固圧下によ
り50〜90mmの鋳片とする。下限を50mmとする
理由は、ホットコイルの製品性能を確保するために望ま
しい下限の鋳片厚みが50mmだからであり、さらにこ
れより薄い鋳片にしても、後段の熱間圧延設備が簡易な
設備にならないからである。また、上限を90mmとす
る理由は、以下のとおりである。
【0039】図4は、未凝固圧下後の鋳片厚みと等軸晶
厚みとの関係を示す図である。C含有率が0.20重量
%の普通鋼を、厚み110および150mm、幅100
0mmの鋳片に連続鋳造し、圧下速度2.0mm/秒で
未凝固圧下した。鋳片の横断面試験片のマクロ組織を観
察し、鋳片厚み中心部近傍の等軸晶厚みを測定した結果
を示す。
【0040】圧下前の鋳片厚みが110および150m
mのいずれの場合も、未凝固圧下後の鋳片厚みが90m
m以下であれば、等軸晶が生成していない。
【0041】図5は、未凝固圧下後の鋳片厚みと中心偏
析との関係を示す図である。図4と同じ試験条件で未凝
固圧下試験を行った結果を示す。中心偏析の評価グレー
ドは鋳片のマクロ組織から判定した。その評価グレード
のうち、評価Aは、中心偏析皆無、評価Bは、わずかに
中心偏析あり、評価Cは、部分的に点状の中心偏析あ
り、評価Dは、部分的に著しい中心偏析あり、評価E
は、鋳片全幅に中心偏析ありである。いずれも未凝固圧
下後の鋳片厚みが90mmを超えると、中心偏析の評価
グレードのばらつきが大きく、偏析が著しい場合があ
る。鋳片厚みが90mm以下に圧下された場合には、ば
らつきが減少し、かつ中心偏析が著しく減少している。
これは、前述のとおり等軸晶の生成を抑制したことに起
因している。
【0042】なお、未凝固圧下後の鋳片厚みを90mm
以下とすることにより、同じ鋳造速度で比較したとき、
未凝固圧下しない場合に比べて、鋳型内に供給される溶
鋼の単位時間当たりの量が減少する。そのため鋳型内の
溶鋼の流動が静かになり、鋳型内の溶鋼からの非金属介
在物の浮上および溶融したパウダによるこの非金属介在
物の捕捉と除去が促進され、内部品質が良好となる効果
も得られる。
【0043】未凝固圧下速度は、0.5〜6.0mm/
秒とする。図6は、未凝固圧下速度と等軸晶厚みとの関
係を示す図である。C含有率0.20重量%の鋼の当初
の厚み110mm、幅1000mmの鋳片を、圧下速度
を変えて厚み90mmまで未凝固圧下して、鋳片横断面
のマクロ組織を観察し、鋳片厚み中心部近傍の等軸晶厚
みを測定した。
【0044】未凝固圧下速度が0.5〜6.0mm/秒
の範囲のとき、等軸晶は生成していない。未凝固圧下速
度が0.5m/秒未満のとき、等軸晶厚みが大きいの
は、圧下による鋳片中心部への柱状晶の移動速度が遅い
ためである。また、未凝固圧下速度が6.0mm/秒を
超えると、等軸晶厚みが増加しているのは、柱状晶が鋳
片厚み中心部に急速に、多量に近づくためである。した
がって、未凝固圧下速度は0.5〜6.0mm/秒とし
た。より好ましくは、1.0〜6.0mm/秒である。
【0045】図2は、本発明の熱間圧延鋼帯の製造方法
を実施するための設備の概要を示す図である。連続鋳造
機1は垂直部以降の曲げ部に未凝固圧下装置2を備えて
おり、その後段に加熱または保熱炉3、粗圧延機4と中
間素材を巻き取り、巻き戻す装置のコイルボックス5を
備えている。連続鋳造機と加熱または保熱炉の間には、
鋳片の切断装置6、粗圧延機の前に、スケールブレーカ
ー7を設置してもよい。切断装置は、通常の油圧式で良
く、スケールブレーカーとしては、高圧水タイプ等が利
用できる。コイルボックスの後に、仕上圧延機8と圧延
されたストリップを巻き取るコイラー9を備える。図示
していないが、仕上圧延機の前に、たとえば誘導加熱装
置、また、仕上圧延機の後段に、水冷却装置を設置して
も良い。その他、とくに表示および図示しないが、クロ
ップ処理のための装置等の圧延に必要な最低限の装置を
設置するのが良い。
【0046】粗圧延機は、連続鋳造機での未凝固圧下の
実施により、鋳片厚みが50〜90mmの範囲にあるた
め、仕上圧延機の台数と圧下荷重性能とも関連するが、
設備費の観点から1台が望ましい。
【0047】また、粗圧延機での圧延後にいったん巻き
取ることで、圧延された中間素材の鋼片のスケール除去
と保熱が達成されるとともに、圧延ラインの長さが短縮
される。
【0048】仕上圧延は、3〜5台程度の仕上圧延機で
行うことが望ましい。連続鋳造機の未凝固圧下装置と一
台の粗圧延機の効果により、3〜5台の仕上圧延機で1
mm厚み程度の最終製品厚みへの圧延を行うことができ
る。
【0049】
【実施例】図1に示す本発明の装置構成例の連続鋳造機
であって、垂直部1.5m、湾曲半径6.5mの垂直曲
げ型で、鋳片曲げ部以降に上下対のロールによる未凝固
圧下ゾーン長さ1.5mの圧下装置を備えた連続鋳造機
を用いて鋳造試験を行い、鋳片厚み、未凝固圧下速度お
よび圧下後の鋳片厚みが中心偏析に及ぼす影響を調査し
た。表1に試験条件および試験結果を示す。なお、鋳片
幅は、すべて1000mmとした。中心偏析評価グレー
ドは、鋳片横断面サンプルのマクロ組織観察結果から判
定した。なお、評価グレードの内容は、前述のとおりで
ある。
【0050】
【表1】
【0051】本発明例のNo.1〜3は、本発明で規定
する条件の範囲内で、鋳片厚み110mm、圧下完了直
前の未凝固厚み80mm、圧下後の鋳片厚み80mm、
圧下速度2.0mm/秒の条件で、対象鋼は普通鋼でC
含有率が0.05〜0.30重量%の範囲で試験した。
中心偏析は、いずれも中心偏析グレード評価A〜Bで、
良好であった。C含有率0.30重量%の本発明例のN
o.3は、C含有率が多いので、わずかに中心偏析が見
られた。
【0052】本発明例のNo.5〜7は、C含有率0.
20重量%の普通鋼を、本発明で規定する条件の範囲内
で、鋳片厚み120mm、圧下完了直前の未凝固厚み7
5〜95mm、圧下速度2.0mm/秒の条件で、圧下
後の鋳片厚みを50〜90mmの範囲で試験した。いず
れも中心偏析グレード評価がAで、良好であった。本発
明例のNo.4は、本発明例のNo.5の試験条件中の
圧下速度を本発明で規定する下限の0.5mm/秒とし
た場合で、中心偏析はBでほぼ良好であった。
【0053】本発明例のNo.8〜10は、C含有率
0.20重量%の普通鋼を、本発明で規定する条件の範
囲内で、鋳片厚み150mm、圧下完了直前の未凝固厚
み65〜100mm、圧下後の鋳片厚みが90mmの条
件で、圧下速度を2.0〜6.0mm/秒の範囲で試験
した。いずれも中心偏析グレード評価がAで良好であっ
た。
【0054】これに対し、比較例のNo.11、12お
よび13は、圧下前の鋳片厚み120mmの鋳片につい
て、圧下後の鋳片厚みまたは圧下速度のいずれかを、本
発明で規定する範囲外として試験した。比較例のNo.
14は、圧下前の鋳片厚み150mmの鋳片について、
圧下後鋳片厚みと圧下速度の両方を、本発明で規定する
範囲外として試験した。これら比較例のNo.11〜1
4の試験結果の中心偏析グレードは、C〜Eであり、部
分的ないし顕著な中心偏析が認められた。
【0055】次に、本発明の方法で得られた鋳片を素材
として、図2に示す装置構成例の熱間圧延設備でホット
コイルに圧延する試験を行った。鋳片の製造条件は、鋳
型幅1200mm、鋳型厚み110mm、鋳造速度6m
/分で、未凝固圧下量は20mmおよび60mmであ
る。
【0056】未凝固圧下量20mm、圧下後の鋳片みが
90mmのとき、とくに鋳片を加熱炉で積極的に加熱し
なくても、炉出側の鋳片の表面温度は1150℃以上あ
り、粗圧延機以降の圧延温度が確保できた。1台の粗圧
延機で圧下率56%の圧延を行った後に、いったんコイ
ルボックスに巻き取った。この巻き取りにより、圧延さ
れた中間素材である薄鋼片からの放熱を防止することが
でき、仕上圧延機入側で約880℃の圧延素材の表面温
度を確保することができた。4台の仕上圧延機で内外面
品質の良好な製品厚み2mmのホットコイルが得られ
た。
【0057】未凝固圧下量が60mm、圧下後の鋳片厚
みが50mmの場合には、鋳片の温度が下がり、加熱が
必要であった。加熱炉で鋳片を1180℃まで加熱して
粗圧延を行った。粗圧延機では、圧下率60%の圧延を
行い、いったんコイルボックスに巻き取り、その後、4
台の仕上圧延機で仕上圧延を行った。このとき問題な
く、製品厚み1.0mmの極薄のホットコイルが得られ
た。
【0058】
【発明の効果】本発明の方法の適用により、中心偏析お
よび非金属介在物の少ない、すなわち内部品質の良好な
薄鋳片を得ることが可能である。また、この薄鋳片を素
材として品質の良好な熱間圧延鋼帯を安いコストで製造
することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄鋳片の連続鋳造方法の原理を説明す
るための鋳片断面の概略図である。
【図2】本発明の熱間圧延鋼帯の製造方法を実施するた
めの設備の概要を示す図である。
【図3】鋳片厚みと表皮下1mmの鋳片の非金属介在物
個数との関係を示す図である。
【図4】未凝固圧下後の鋳片厚みと等軸晶厚みとの関係
を示す図である。
【図5】未凝固圧下後の鋳片厚みと中心偏析との関係を
示す図である。
【図6】未凝固圧下速度と等軸晶厚みとの関係を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 花尾 方史 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳型から引き抜かれた断面形状が矩形で厚
    みが110〜150mmの鋳片を、圧下しなければ鋳片
    中心部の未凝固部厚みが20〜100mmである時点以
    前に、0.5〜6.0mm/秒の圧下速度で、鋳片を5
    0〜90mmの厚みに圧下すること特徴とする薄鋳片の
    連続鋳造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法で得られた鋳片を、
    引き続き加熱または保熱し、熱間圧延して得られた中間
    素材をコイル状に巻き取った後、仕上げ熱間圧延を行っ
    て再度コイル状に巻き取ることを特徴とする熱間圧延鋼
    帯の製造方法。
JP14073798A 1998-05-22 1998-05-22 薄鋳片の連続鋳造方法および熱間圧延鋼帯の製造方法 Pending JPH11320061A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109014100A (zh) * 2018-09-29 2018-12-18 东北大学 一种提高钢质薄板坯连铸过程拉钢速度的方法
CN112218730A (zh) * 2018-05-23 2021-01-12 西马克集团有限公司 用于分批和连续操作的铸轧设备

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