JPH11319156A - アイアンゴルフクラブセット - Google Patents

アイアンゴルフクラブセット

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JPH11319156A
JPH11319156A JP11063251A JP6325199A JPH11319156A JP H11319156 A JPH11319156 A JP H11319156A JP 11063251 A JP11063251 A JP 11063251A JP 6325199 A JP6325199 A JP 6325199A JP H11319156 A JPH11319156 A JP H11319156A
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JP
Japan
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inertia
iron
axis
golf club
club head
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JP11063251A
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Yasushi Nagao
裕史 長尾
Koji Sakai
浩司 酒井
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Mizuno Corp
Original Assignee
Mizuno Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、アイアンゴルフクラブ
セットに関するものであり、アイアンクラブヘッドの特
性として重要な慣性モーメントを重心回りの慣性楕円体
で表し、その主軸まわりの慣性モーメントの内の最大の
慣性モーメントの値の平均値に対し一定範囲内に設定す
ることにより、クラブ番手毎にばらつくスイングを安定
させたものである。 【解決手段】アイアンゴルフクラブセットにおいて、各
アイアンクラブヘッド1をホーゼル端面1Cが水平にな
るように平面Hに設置した場合に、アイアンクラブヘッ
ド1の重心Gを通り該平面Hに垂直な軸をZ軸、該平面
Hとフェース面との交線と平行なアイアンクラブヘッド
1の重心Gを通る軸をY軸、アイアンクラブヘッド1の
重心Gを通りY軸と垂直でかつZ軸と垂直な軸をX軸と
したとき、アイアンクラブヘッド1の重心Gを通る慣性
楕円体5の3本の互いに直交した慣性主軸まわりの慣性
モーメントの内の最大の慣性モーメントの値を該最大の
慣性モーメントの平均値に対して±400gcm2 の
範囲内に設定したアイアンゴルフクラブセットである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アイアンゴルフク
ラブセットに関するものであり、アイアンクラブヘッド
の特性として重要な慣性モーメントを重心回りの慣性楕
円体で表し、その主軸まわりの慣性モーメントの内の最
大の慣性モーメントの値の平均値に対し一定範囲内に設
定することにより、クラブ番手毎にばらつくスイングを
安定させたものである。
【0002】
【従来の技術】慣性楕円体を考慮したものとしては、特
開平5−57034号公報で、慣性楕円の主軸方向に重
量配分を増加させアイアンクラブヘッドの重量の増加を
最小限に抑えて大きくしたものがあるが、アイアンゴル
フクラブセットの場合、クラブ番手毎のスイングのばら
つきが狙い通りのショットを妨げることがある。
【0003】又、特開平9−149954号公報では、
打球分布にあわせてスイートエリアを設定するものがあ
るが、アイアンゴルフクラブセットの場合、クラブ番手
毎のスイングのばらつきが狙い通りのショットを妨げる
ことがある。
【0004】従来の技術においては、慣性モーメントを
重心回りのすべての軸を用いて表した慣性楕円体の主軸
まわりの慣性モーメントの大きさを一定範囲内に設定さ
れたものは提案されていない。複雑な形状を持つアイア
ンクラブヘッドの慣性モーメントを等価な楕円体で表
し、その主軸まわりの慣性モーメントの大きさを一定範
囲内に設定することで、アイアンゴルフクラブセット内
におけるスイングのばらつきを抑えることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】アイアンゴルフクラブ
セットの目的は、打者の目的とするボールの飛距離と方
向を確実にとらえることにある。そのため、アイアンゴ
ルフクラブセット内においてスイングがばらつくこと
は、ボールの飛距離が不安定になり、スコアメイクの上
で好ましくない。
【0006】一般に、慣性モーメントIは、I=Σmr
2 (m:質量、r:回転軸から質量体までの距離。)
で表される。しかし、現在一般に使われているアイアン
ゴルフクラブセットは、1つの軸回りの慣性モーメント
は考慮されても、慣性楕円体は考慮されていない。実
際、スイング時におけるアイアンクラブヘッドの動き
は、ある軸回りに固定されているものではなく、3次元
内で複雑な動きをしている。よって、重心回りの慣性モ
ーメントを考慮することは非常に重要なことである。そ
の慣性楕円体の3つの主軸まわりの慣性モーメントの内
の最大の慣性モーメントの値を該最大の慣性モーメント
の平均値に対して一定範囲内に設定することにより、ス
イング時におけるアイアンクラブヘッドのぶれのばらつ
きを最小限に抑えることができる。本発明は、慣性楕円
体の3つの主軸のまわり慣性モーメントの内の最大の慣
性モーメントの値を該最大の慣性モーメントの平均値に
対して一定範囲内に設定することにより、スイン最大の
慣性モーメントの平均値の大きさを一定範囲内に設定す
ることにより、クラブ番手間のスイングを安定させたア
イアンゴルフクラブセットを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は以下の構成からなる方法を用いて慣性楕円
体を求めた。まず、図2に示すように、アイアンクラブ
ヘッドの重心周りにX、Y、Zの直交した3次元座標軸
を設定する。各アイアンクラブヘッドをホーゼル端面が
水平になるように平面Hに設置して、アイアンクラブヘ
ッドの重心Gを通り該平面Hに垂直な軸をZ軸、該平面
とフェース面との交線と平行なアイアンクラブヘッドの
重心を通る軸をY軸、アイアンクラブヘッドの重心を通
りY軸と垂直でかつZ軸と垂直な軸をX軸とする。次に
X軸周りの慣性モーメントをIX 、Y軸周りの慣性モ
ーメントをIY 、Z軸周りの慣性モーメントをIZ と
し、図4に示すようにZ軸をα度回転させたときの新し
い座標系をX’、Y’、Zとして、そのときのX’軸回
りの慣性モーメントをIX’とする。更に図5に示すよ
うにY軸をβ度回転させたときの新しい座標系をX''、
Y、Z''として、そのときのX''軸回りの慣性モーメン
トをIX’’ とする。更に図6に示すようにX軸をγ
度回転させたときの新しい座標系をX、Y''' 、Z'''
として、そのときのZ''' 軸回りの慣性モーメントをI
Z’’’とする。上記の値より、3つの慣性モーメント
を数1、数2、数3により計算する。
【0008】
【数1】
【0009】
【数2】
【0010】
【数3】
【0011】上記の6の慣性モーメントを用いて、慣性
楕円体の式を数4により求める。
【0012】
【数4】
【0013】次に、慣性モーメント行列Iから固有値と
固有ベクトルを求める。即ち、数5の行列Iより、固有
値と固有ベクトルを求める。この固有値と固有値ベクト
ルから慣性主軸の傾き角度と大きさが決まる。
【0014】
【数5】
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に詳述
する。即ち、請求項1の発明は、アイアンゴルフクラブ
セットにおいて、各アイアンクラブヘッド1をホーゼル
端面1Cが水平になるように平面Hに設置した場合に、
アイアンクラブヘッド1の重心Gを通り該平面Hに垂直
な軸をZ軸、該平面Hとフェース面との交線と平行なア
イアンクラブヘッド1の重心Gを通る軸をY軸、アイア
ンクラブヘッド1の重心Gを通りY軸と垂直でかつZ軸
と垂直な軸をX軸としたとき、アイアンクラブヘッド1
の重心Gを通る慣性楕円体5の3本の互いに直交した慣
性主軸まわりの慣性モーメントの内の最大の慣性モーメ
ントの値を該最大の慣性モーメントの平均値に対して±
400gcm2 の範囲内に設定したアイアンゴルフク
ラブセットである。なお、本発明の慣性主軸である
1、I2、I3の定義としては、即ち、 慣性主軸:I1は、3本の直交した慣性主軸の内、主軸
まわりの慣性モーメントが最大になる軸である。 慣性主軸:I2は、3本の直交した慣性主軸の内、主軸
まわりの慣性モーメントが最大でも最小でもない軸であ
る。 慣性主軸:I3は、3本の直交した慣性主軸の内、主軸
まわりの慣性モーメントが最小になる軸である。
【0016】次に、請求項2の発明は、アイアンゴルフ
クラブセットにおいて、アイアンクラブヘッド1の重心
Gを通る慣性楕円体5の3本の互いに直交した慣性主軸
まわりの慣性モーメントの内の最大の慣性モーメントの
値を該最大の慣性モーメントの平均値に対して±200
gcm2 の範囲内に設定したことを特徴とするアイア
ンゴルフクラブセットである。
【0017】又、請求項3の発明は、上記アイアンゴル
フクラブセットがロングアイアンからショートアイアン
のゴルフクラブセット(2I〜9I)であることを特徴
とするアイアンゴルフクラブセットである。
【0018】又、請求項4の発明は、上記アイアンゴル
フクラブセットがロングアイアンのゴルフクラブセット
(2I〜4I)であることを特徴とするアイアンゴルフ
クラブセットである。
【0019】又、請求項5の発明は、上記アイアンゴル
フクラブセットがミドルアイアンゴルフクラブセット
(4I〜7I)であることを特徴とするアイアンゴルフ
クラブセットである。
【0020】又、請求項6の発明は、上記アイアンゴル
フクラブセットがショートアイアンゴルフクラブセット
(7I〜9I)であることを特徴とするアイアンゴルフ
クラブセットである。
【0021】
【実施例】本発明の実施例について,主として請求項2
の発明のアイアンゴルフクラブセットにもとづいて説明
すれば、図1及び図7に示すように3つの慣性主軸まわ
りの慣性モーメントの内の最大の慣性モーメントの値を
該最大の慣性モーメントの平均値に対して一定範囲内に
設定するための本発明の実施例1を示す斜視図である。
図7において、重心Gまわりの慣性楕円体5が開示され
ており、アイアンクラブヘッド1のトウ部2及びヒール
部3に比重の高い金属(バナジウム、鉛等)のウエイト
部材6を配置することにより、従来のアイアンクラブヘ
ッドの慣性楕円体の大きさより大きい慣性楕円体5に設
定出来るものである。なお、図7においては、トウ部2
とヒール部3に比重の高い金属のウエイト部材6を配置
したことにより、慣性楕円体5の長軸方向の大きさを大
きくしたが、本発明の慣性楕円体を目的の大きさにする
ためには、特に場所を図示したトウ部2とヒール部3に
限定する必要はない。又、長軸方向の大きさを小さくす
るために比重の軽い金属を配置することも可能である。
又、該ウエイト部材6を配置する方法としては、アイア
ンクラブヘッド1のヘッド本体1Aに凹部8を形成し、
該凹部8にウエイト部材6を嵌合圧入したり、溶接やろ
う付けにより溶着することが出来るものである。
【0022】図8は、3つの慣性主軸まわりの慣性モー
メントの内の最大の慣性モーメントの値を該最大の慣性
モーメントの平均値に対し一定範囲内に設定するための
本発明の実施例2のアイアンクラブヘッドを示す斜視図
である。図8において、重心Gを通過する慣性主軸が示
されており、アイアンクラブヘッド1のトウ部2及びヒ
ール部3にウエイトリブ部材7が形成されているため、
慣性楕円体5の大きさを本発明の目的とする大きさに設
定出来るものである。この図ではトウ部2とヒール部3
にウエイトリブ部材7を配置しているが、慣性楕円体5
を従来よりもより大きく設定するためには、図8に示す
トウ部2とヒール部3の場所に限定する必要もないし、
又、ウエイトリブ部材7の大きさを種々変更することも
可能である。又、慣性楕円体5を従来よりもより小さく
設定するためには、配置しないことも可能である。
【0023】本発明においては、アイアンクラブヘッド
の重心を通る慣性楕円体の3本の互いに直交した慣性主
軸まわりの慣性モーメントの内の最大の慣性モーメント
の値を重視した設計思想であるが、最小の慣性モーメン
トの値についても±200gcm2 の範囲内に設定し
たアイアンゴルフクラブセットであると慣性楕円体を3
次元で規定するため効果は高い。
【0024】表1に実施例を示す。
【0025】
【表1】本発明の実施例である慣性主軸まわりの慣性モ
ーメントの内最大のモーメント (単位:degree)
【0026】図9に実施例1のクラブ番手と慣性モーメ
ントの分布を示すグラフ。又、アマチュアゴルファー
が、実施例1のクラブセットをスイングした結果を表2
に示す。
【0027】
【表2】
【0028】本発明のアイアンゴルフクラブセットは、
重心回りの3本の慣性主軸のまわりの慣性モーメントの
内の最大の慣性モーメントの大きさが一定範囲内に存在
するように設計されたものであり、慣性モーメントの大
きさは、物体の回転運動に対して大きな影響を及ぼすも
のであり、例えば、独楽の様な玩具を考えた場合、回転
軸を中心にして長時間回転し続けるものが良いとされて
いる。一方、アイアンクラブヘッドの場合は、アイアン
クラブヘッド自体が回転するのではなく、シャフトが接
続されたグリップ部をゴルファーが把持してスイングに
よる回転運動を与えるものであり、その際のアイアンゴ
ルフクラブの動きは、複雑で特定することは非常に困難
である。しかし、その慣性主軸まわりの慣性モーメント
の大きさを一定範囲内に設定することにより、スイング
時に、アイアンクラブヘッドのぶれが番手毎に安定する
ため、飛距離の安定と方向性が良くなるものである。
【0029】本発明のアイアンゴルフクラブセットは、
前記したようにアイアンクラブヘッドの重心回りの慣性
楕円体の慣性主軸まわりの慣性モーメントの大きさを一
定範囲内に設定することにより、スイングの安定を図
り、且つ打球の飛距離が安定し、より打球の方向性が良
好となるものである。
【0030】
【発明の効果】本発明のアイアンゴルフクラブセットに
おいては、ロングアイアンからショートアイアンのゴル
フクラブセットのように、アイアンクラブヘッドの重心
回りの全ての軸回りの慣性モーメントを表したアイアン
クラブヘッドの重心を通る慣性楕円体の3本の互いに直
交する慣性主軸まわりの慣性モーメントの内の最大の慣
性モーメントの大きさを一定範囲内に設定することによ
り、スイングが安定するため、打球の飛距離が安定する
と共に方向性が良好となる効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアイアンクラブヘッドの一実施例を示
した斜視図。
【図2】本発明のアイアンクラブヘッドにおける座標を
示した斜視図。
【図3】本発明のアイアンクラブヘッドにおける慣性楕
円体を示した立体図。
【図4】本発明のアイアンクラブヘッドにおける座標を
示した斜視図。
【図5】本発明のアイアンクラブヘッドにおける座標を
示した斜視図。
【図6】本発明のアイアンクラブヘッドにおける座標を
示した斜視図。
【図7】本発明のアイアンクラブヘッドにおける実施例
1を示した斜視図。
【図8】本発明のアイアンクラブヘッドにおける実施例
2を示した斜視図。
【図9】本発明の第1実施例のクラブ番手と慣性モーメ
ントの分布を示すグラフ。
【符号の説明】
1 アイアンクラブヘッド 1A ヘッド本体 1B フェース面 1C ホーゼル端面 2 トウ部 3 ヒール部 4 バックキャビティ部 5 慣性楕円体 6 ウエイト部材 7 ウエイトリブ部材 8 凹部 G 重心 H 平面 I1 慣性主軸 I2 慣性主軸 I3 慣性主軸 X X軸 Y Y軸 Z Z軸
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年3月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 アイアンゴルフクラブセット
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アイアンゴルフク
ラブセットに関するものであり、アイアンクラブヘッド
の特性として重要な慣性モーメントを重心回りの慣性楕
円体で表し、その主軸まわりの慣性モーメントの内の最
大の慣性モーメントの値の平均値に対し一定範囲内に設
定することにより、クラブ番手毎にばらつくスイングを
安定させたものである。
【0002】
【従来の技術】慣性楕円体を考慮したものとしては、特
開平5−57034号公報で、慣性楕円の主軸方向に重
量配分を増加させアイアンクラブヘッドの重量の増加を
最小限に抑えて大きくしたものがあるが、アイアンゴル
フクラブセットの場合、クラブ番手毎のスイングのばら
つきが狙い通りのショットを妨げることがある。
【0003】又、特開平9−149954号公報では、
打球分布にあわせてスイートエリアを設定するものがあ
るが、アイアンゴルフクラブセットの場合、クラブ番手
毎のスイングのばらつきが狙い通りのショットを妨げる
ことがある。
【0004】従来の技術においては、慣性モーメントを
重心回りのすべての軸を用いて表した慣性楕円体の主軸
まわりの慣性モーメントの大きさを一定範囲内に設定さ
れたものは提案されていない。複雑な形状を持つアイア
ンクラブヘッドの慣性モーメントを等価な楕円体で表
し、その主軸まわりの慣性モーメントの大きさを一定範
囲内に設定することで、アイアンゴルフクラブセット内
におけるスイングのばらつきを抑えることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】アイアンゴルフクラブ
セットの目的は、打者の目的とするボールの飛距離と方
向を確実にとらえることにある。そのため、アイアンゴ
ルフクラブセット内においてスイングがばらつくこと
は、ボールの飛距離が不安定になり、スコアメイクの上
で好ましくない。
【0006】一般に、慣性モーメントIは、I=Σmr
2 (m:質量、r:回転軸から質量体までの距離。)で
表される。しかし、現在一般に使われているアイアンゴ
ルフクラブセットは、1つの軸回りの慣性モーメントは
考慮されても、慣性楕円体は考慮されていない。実際、
スイング時におけるアイアンクラブヘッドの動きは、あ
る軸回りに固定されているものではなく、3次元内で複
雑な動きをしている。よって、重心回りの慣性モーメン
トを考慮することは非常に重要なことである。その慣性
楕円体の3つの主軸まわりの慣性モーメントの内の最大
の慣性モーメントの値を該最大の慣性モーメントの平均
値に対して一定範囲内に設定することにより、スイング
時におけるアイアンクラブヘッドのぶれのばらつきを最
小限に抑えることができる。本発明は、慣性楕円体の3
つの主軸のまわり慣性モーメントの内の最大の慣性モー
メントの値を該最大の慣性モーメントの平均値に対して
一定範囲内に設定することにより、スイン最大の慣性モ
ーメントの平均値の大きさを一定範囲内に設定すること
により、クラブ番手間のスイングを安定させたアイアン
ゴルフクラブセットを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は以下の構成からなる方法を用いて慣性楕円
体を求めた。まず、図2に示すように、アイアンクラブ
ヘッドの重心周りにX、Y、Zの直交した3次元座標軸
を設定する。各アイアンクラブヘッドをホーゼル端面が
水平になるように平面Hに設置して、アイアンクラブヘ
ッドの重心Gを通り該平面Hに垂直な軸をZ軸、該平面
とフェース面との交線と平行なアイアンクラブヘッドの
重心を通る軸をY軸、アイアンクラブヘッドの重心を通
りY軸と垂直でかつZ軸と垂直な軸をX軸とする。次に
X軸周りの慣性モーメントをX 、Y軸周りの慣性モー
メントをY 、Z軸周りの慣性モーメントをZ とし、図
4に示すようにZ軸を−α度回転させたときの新しい座
標系をX’、Y’、Zとして、そのときのX’軸回りの
慣性モーメントをX とする。更に図5に示すように
Y軸を−β度回転させたときの新しい座標系をX''、
Y、Z''として、そのときのX''軸回りの慣性モーメン
トをI X ’’ とする。更に図6に示すようにX軸をγ度
回転させたときの新しい座標系をX、Y''' 、Z''' と
して、そのときのZ''' 軸回りの慣性モーメントをZ
’’’ とする。上記の値より、3つの慣性モーメントを
数1、数2、数3により計算する。
【0008】
【数1】
【0009】
【数2】
【0010】
【数3】
【0011】上記の6の慣性モーメントを用いて、慣性
楕円体の式を数4により求める。
【0012】
【数4】
【0013】次に、慣性モーメント行列Iから固有値と
固有ベクトルを求める。即ち、数5の行列Iより、固有
値と固有ベクトルを求める。この固有値と固有値ベクト
ルから慣性主軸の傾き角度と大きさが決まる。
【0014】
【数5】
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に詳述
する。即ち、請求項1の発明は、アイアンゴルフクラブ
セットにおいて、各アイアンクラブヘッド1をホーゼル
端面1Cが水平になるように平面Hに設置した場合に、
アイアンクラブヘッド1の重心Gを通り該平面Hに垂直
な軸をZ軸、該平面Hとフェース面との交線と平行なア
イアンクラブヘッド1の重心Gを通る軸をY軸、アイア
ンクラブヘッド1の重心Gを通りY軸と垂直でかつZ軸
と垂直な軸をX軸としたとき、アイアンクラブヘッド1
の重心Gを通る慣性楕円体5の3本の互いに直交した慣
性主軸まわりの慣性モーメントの内の最大の慣性モーメ
ントの値を該最大の慣性モーメントの平均値に対して±
400gcm2 の範囲内に設定したアイアンゴルフクラ
ブセットである。なお、本発明の慣性主軸であるI1
2、I3の定義としては、即ち、 慣性主軸:I1は、3本の直交した慣性主軸の内、主軸
まわりの慣性モーメントが最大になる軸である。 慣性主軸:I2は、3本の直交した慣性主軸の内、主軸
まわりの慣性モーメントが最大でも最小でもない軸であ
る。 慣性主軸:I3は、3本の直交した慣性主軸の内、主軸
まわりの慣性モーメントが最小になる軸である。
【0016】次に、請求項2の発明は、アイアンゴルフ
クラブセットにおいて、アイアンクラブヘッド1の重心
Gを通る慣性楕円体5の3本の互いに直交した慣性主軸
まわりの慣性モーメントの内の最大の慣性モーメントの
値を該最大の慣性モーメントの平均値に対して±200
gcm2 の範囲内に設定したことを特徴とするアイアン
ゴルフクラブセットである。
【0017】又、請求項3の発明は、上記アイアンゴル
フクラブセットがロングアイアンからショートアイアン
のゴルフクラブセット(2I〜9I)であることを特徴
とするアイアンゴルフクラブセットである。
【0018】又、請求項4の発明は、上記アイアンゴル
フクラブセットがロングアイアンのゴルフクラブセット
(2I〜4I)であることを特徴とするアイアンゴルフ
クラブセットである。
【0019】又、請求項5の発明は、上記アイアンゴル
フクラブセットがミドルアイアンゴルフクラブセット
(4I〜7I)であることを特徴とするアイアンゴルフ
クラブセットである。
【0020】又、請求項6の発明は、上記アイアンゴル
フクラブセットがショートアイアンゴルフクラブセット
(7I〜9I)であることを特徴とするアイアンゴルフ
クラブセットである。
【0021】
【実施例】本発明の実施例について,主として請求項2
の発明のアイアンゴルフクラブセットにもとづいて説明
すれば、図1及び図7に示すように3つの慣性主軸まわ
りの慣性モーメントの内の最大の慣性モーメントの値を
該最大の慣性モーメントの平均値に対して一定範囲内に
設定するための本発明の実施例1を示す斜視図である。
図7において、重心Gまわりの慣性楕円体5が開示され
ており、アイアンクラブヘッド1のトウ部2及びヒール
部3に比重の高い金属(バナジウム、鉛等)のウエイト
部材6を配置することにより、従来のアイアンクラブヘ
ッドの慣性楕円体の大きさより大きい慣性楕円体5に設
定出来るものである。なお、図7においては、トウ部2
とヒール部3に比重の高い金属のウエイト部材6を配置
したことにより、慣性楕円体5の長軸方向の大きさを大
きくしたが、本発明の慣性楕円体を目的の大きさにする
ためには、特に場所を図示したトウ部2とヒール部3に
限定する必要はない。又、長軸方向の大きさを小さくす
るために比重の軽い金属を配置することも可能である。
又、該ウエイト部材6を配置する方法としては、アイア
ンクラブヘッド1のヘッド本体1Aに凹部8を形成し、
該凹部8にウエイト部材6を嵌合圧入したり、溶接やろ
う付けにより溶着することが出来るものである。
【0022】図8は、3つの慣性主軸まわりの慣性モー
メントの内の最大の慣性モーメントの値を該最大の慣性
モーメントの平均値に対し一定範囲内に設定するための
本発明の実施例2のアイアンクラブヘッドを示す斜視図
である。図8において、重心Gを通過する慣性主軸が示
されており、アイアンクラブヘッド1のトウ部2及びヒ
ール部3にウエイトリブ部材7が形成されているため、
慣性楕円体5の大きさを本発明の目的とする大きさに設
定出来るものである。この図ではトウ部2とヒール部3
にウエイトリブ部材7を配置しているが、慣性楕円体5
を従来よりもより大きく設定するためには、図8に示す
トウ部2とヒール部3の場所に限定する必要もないし、
又、ウエイトリブ部材7の大きさを種々変更することも
可能である。又、慣性楕円体5を従来よりもより小さく
設定するためには、配置しないことも可能である。
【0023】本発明においては、アイアンクラブヘッド
の重心を通る慣性楕円体の3本の互いに直交した慣性主
軸まわりの慣性モーメントの内の最大の慣性モーメント
の値を重視した設計思想であるが、最小の慣性モーメン
トの値についても±200gcm2 の範囲内に設定した
アイアンゴルフクラブセットであると慣性楕円体を3次
元で規定するため効果は高い。
【0024】表1に実施例を示す。
【0025】
【表1】本発明の実施例である慣性主軸まわりの慣性モ
ーメントの内最大のモーメント (単位:gcm2
【0026】図9に実施例1のクラブ番手と慣性モーメ
ントの分布を示すグラフ。又、アマチュアゴルファー
が、実施例1のクラブセットをスイングした結果を表2
に示す。
【0027】
【表2】
【0028】本発明のアイアンゴルフクラブセットは、
重心回りの3本の慣性主軸のまわりの慣性モーメントの
内の最大の慣性モーメントの大きさが一定範囲内に存在
するように設計されたものであり、慣性モーメントの大
きさは、物体の回転運動に対して大きな影響を及ぼすも
のであり、例えば、独楽の様な玩具を考えた場合、回転
軸を中心にして長時間回転し続けるものが良いとされて
いる。一方、アイアンクラブヘッドの場合は、アイアン
クラブヘッド自体が回転するのではなく、シャフトが接
続されたグリップ部をゴルファーが把持してスイングに
よる回転運動を与えるものであり、その際のアイアンゴ
ルフクラブの動きは、複雑で特定することは非常に困難
である。しかし、その慣性主軸まわりの慣性モーメント
の大きさを一定範囲内に設定することにより、スイング
時に、アイアンクラブヘッドのぶれが番手毎に安定する
ため、飛距離の安定と方向性が良くなるものである。
【0029】本発明のアイアンゴルフクラブセットは、
前記したようにアイアンクラブヘッドの重心回りの慣性
楕円体の慣性主軸まわりの慣性モーメントの大きさを一
定範囲内に設定することにより、スイングの安定を図
り、且つ打球の飛距離が安定し、より打球の方向性が良
好となるものである。
【0030】
【発明の効果】本発明のアイアンゴルフクラブセットに
おいては、ロングアイアンからショートアイアンのゴル
フクラブセットのように、アイアンクラブヘッドの重心
回りの全ての軸回りの慣性モーメントを表したアイアン
クラブヘッドの重心を通る慣性楕円体の3本の互いに直
交する慣性主軸まわりの慣性モーメントの内の最大の慣
性モーメントの大きさを一定範囲内に設定することによ
り、スイングが安定するため、打球の飛距離が安定する
と共に方向性が良好となる効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアイアンクラブヘッドの一実施例を示
した斜視図。
【図2】本発明のアイアンクラブヘッドにおける座標を
示した斜視図。
【図3】本発明のアイアンクラブヘッドにおける慣性楕
円体を示した立体図。
【図4】本発明のアイアンクラブヘッドにおける座標を
示した斜視図。
【図5】本発明のアイアンクラブヘッドにおける座標を
示した斜視図。
【図6】本発明のアイアンクラブヘッドにおける座標を
示した斜視図。
【図7】本発明のアイアンクラブヘッドにおける実施例
1を示した斜視図。
【図8】本発明のアイアンクラブヘッドにおける実施例
2を示した斜視図。
【図9】本発明の第1実施例のクラブ番手と慣性モーメ
ントの分布を示すグラフ。
【符号の説明】 1 アイアンクラブヘッド 1A ヘッド本体 1B フェース面 1C ホーゼル端面 2 トウ部 3 ヒール部 4 バックキャビティ部 5 慣性楕円体 6 ウエイト部材 7 ウエイトリブ部材 8 凹部 G 重心 H 平面 I1 慣性主軸 I2 慣性主軸 I3 慣性主軸 X X軸 Y Y軸 Z Z軸

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アイアンゴルフクラブセットにおいて、各
    アイアンクラブヘッドをホーゼル端面が水平になるよう
    に平面に設置した場合に、アイアンクラブヘッドの重心
    を通り該平面に垂直な軸をZ軸、該平面とフェース面と
    の交線と平行なアイアンクラブヘッドの重心を通る軸を
    Y軸、アイアンクラブヘッドの重心を通りY軸と垂直で
    かつZ軸と垂直な軸をX軸としたとき、アイアンクラブ
    ヘッドの重心を通る慣性楕円体の3本の互いに直交した
    慣性主軸まわりの慣性モーメントの内の最大の慣性モー
    メントの値を該最大の慣性モーメントの平均値に対して
    ±400gcm2 の範囲内に設定したアイアンゴルフ
    クラブセット。
  2. 【請求項2】上記アイアンゴルフクラブセットにおい
    て、アイアンクラブヘッドの重心を通る慣性楕円体の3
    本の互いに直交した慣性主軸まわりの慣性モーメントの
    内の最大の慣性モーメントの値を該最大の慣性モーメン
    トの平均値に対して±200gcm2 の範囲内に設定
    したことを特徴とする請求項1記載のアイアンゴルフク
    ラブセット。
  3. 【請求項3】上記アイアンゴルフクラブセットがロング
    アイアンからショートアイアンのゴルフクラブセットで
    あることを特徴とする請求項1又は2記載のアイアンゴ
    ルフクラブセット。
  4. 【請求項4】上記アイアンゴルフクラブセットがロング
    アイアンのゴルフクラブセットであることを特徴とする
    請求項1又は2記載のアイアンゴルフクラブセット。
  5. 【請求項5】上記アイアンゴルフクラブセットがミドル
    アイアンのゴルフクラブセットであることを特徴とする
    請求項1又は2記載のアイアンゴルフクラブセット。
  6. 【請求項6】上記アイアンゴルフクラブセットがショー
    トアイアンのゴルフクラブセットであることを特徴とす
    る請求項1又は2記載のアイアンゴルフクラブセット。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6425832B2 (en) * 1997-10-23 2002-07-30 Callaway Golf Company Golf club head that optimizes products of inertia
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JP2016002430A (ja) * 2014-06-19 2016-01-12 ダンロップスポーツ株式会社 ゴルフスイング解析装置、方法及びプログラム

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