JPH11316359A - 光制御デバイス - Google Patents

光制御デバイス

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JPH11316359A
JPH11316359A JP12332498A JP12332498A JPH11316359A JP H11316359 A JPH11316359 A JP H11316359A JP 12332498 A JP12332498 A JP 12332498A JP 12332498 A JP12332498 A JP 12332498A JP H11316359 A JPH11316359 A JP H11316359A
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JP
Japan
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electrode
electrode layer
width
optical waveguide
ridge
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JP12332498A
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Osamu Mitomi
修 三冨
Hiroshi Miyazawa
弘 宮沢
Kazuto Noguchi
一人 野口
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 速度整合、特性インピーダンス整合をとると
共に、電極の導体損失を大幅に低減することにより、低
駆動電圧で高速動作が可能な光制御デバイスを提供す
る。 【解決手段】 少なくとも1本の光導波路を表面近傍に
備え、かつ光導波路の近傍の表面を掘り込んだリッジ形
状とした電気光学効果を有する基板と、基板表面上に形
成されたバッファ層と、1本の光導波路直上にバッファ
層を介して形成された中心導体とこの中心導体が形成さ
れた光導波路近傍に形成された接地導体よりなる電極と
を有する光制御デバイスである。光制御デバイスは、電
極のうち、少なくとも中心導体がバッファ層に接する第
1の電極層と当該第1の電極層の上部に形成された1層
または複数層からなる第2の電極層からなり、第2の電
極層の幅が第1の電極層の幅より大きい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光制御デバイスに関
し、特に、製作が容易で、周波数特性が極めて広帯域か
つ低駆動電圧特性を有する光変調器、光スイッチ等の光
制御デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】光通信システムや光応用計測技術におい
ては、例えばニオブ酸リチウム(LiNbO3 :LN)
結晶のような電気光学効果を有する強誘電体を利用し
て、光変調器、光スイッチあるいは偏波制御器のよう
な、電気信号によって光の変調、スイッチング、偏波制
御等を行う光制御デバイスが多く用いられている。
【0003】LN結晶を用いた従来の進行波形高速光強
度変調器の構成例を図1(a)、(b)に示す。図1
(a)はコプレーナ線路形変調電極を用いた光変調器の
上面図、(b)は光変調器中央部のA−A′線に沿った
断面図である。この例では、電気光学効果を持つzカッ
ト−LN基板101にTiの熱拡散によりマッハ−ツェ
ンダ形光導波路102が形成され、基板のその周辺部は
数μmの深さ掘り込まれ、光導波路はリッジ構造となっ
ている。基板101の表面上には、変調電極による光の
伝搬損失を抑制するために、厚さtbの、例えばSiO
2 のような誘電体よりなるバッファ層(光導波路のクラ
ッド層)103が形成され、バッファ層103上にA
u、Al等の中心導体104および接地導体105から
構成されるコプレーナ線路変調電極が形成されている。
【0004】このような従来の変調器において、変調信
号の伝搬速度と光導波路を伝わる光波の速度が一致して
いない場合、変調器の動作帯域は主にこの速度不整合に
よって制限される。マイクロ波変調信号に対する電極の
実効屈折率をnm 、光導波路の実効屈折率をno (波長
λ=1.55μm帯ではno =2.15)とすると、イ
ンピーダンス整合(通常、特性インピーダンスZ=50
Ω)がとれているとき、光変調器の帯域幅Δf1 (エレ
クトリカル3dB)は、
【0005】
【数1】 Δf1 =1.4c/(π|nm −no |L) (1) の関係で与えられることが知られている。ここで、cは
真空中の光速、Lは変調電極の相互作用長である。変調
器の駆動電圧Vπの大きさは変調電極長Lに反比例する
関係がある。従って、式(1)の関係から、駆動電圧を
大きくすることなく広帯域化を図るためには、電極の特
性インピーダンスZを50Ωに近い値とし、さらにnm
の大きさをno の大きさに近づけるように、電極の厚さ
e 、バッファ層の厚さtb の大きさを設定している。
しかし、nm の値をのno 値に近づけた場合、主に電極
の抵抗に起因する導体損失の大きさで帯域幅Δf2 が制
限されるようになり、この場合(nm =no の時)、
【0006】
【数2】 Δf2 (GHz)=40/(αL)2 (2) で与えられる。ここでαは1GHzにおける減衰定数
(dB/cm)である。
【0007】従って、より低駆動電圧化や広帯域・高速
化を達成するためには、特性インピーダンス整合、マイ
クロ波−光波速度整合と共に、変調電極の導体損失を小
さくすることが極めて重要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】通常、光変調器の中心
導体の幅Wと中心導体の厚さte を大きくすれば、導体
損失を小さくできることが知られている。しかしなが
ら、従来の光変調器においては、幅Wを広くすると、電
極間(中心導体と接地導体間)の静電容量が増加して特
性インピーダンスが著しく低下するために、外部駆動回
路とのインピーダンス整合の問題が生ずることになる。
このために、通常、幅Wの大きさは光導波路の幅wo
ほぼ同程度で、かつリッジの幅wr より狭く設定されて
いた。従って、通常、中心導体幅はW=5〜8μm程度
の大きさが選ばれている。一方中心導体の厚さte につ
いては、デバイス製作技術の制約からアスペクト比(=
e /W)として高々3〜4程度に抑えられるために、
e =30μm程度が上限になり、導体損失の低減化に
制限が生じて、広帯域化に限界があった。また、アスペ
クト比が大きくなると、電極形成に当たってそのメッキ
形成のためのレジスト形状を反映して、電極形状は図1
に示すように、逆台形になって、実効的な電極寸法Wお
よびG(中心導体と接地導体の間隔)が、te の大きさ
によって異なるために、製品の特性が設計値からずれて
悪くなる、あるいは製品バラツキが大きくなる等の問題
があった。
【0009】一方、図1に示した構成と同様の構成であ
って、ただし、リッジの高さが0であり、LN基板10
1が平面状になっているいわゆるプレーナ形光変調器が
広く商品化されている。このプレーナ形光変調器の場
合、上記と同様の制約によって動作帯域が制限されると
共に、インピーダンス整合、速度整合をとる構成にする
と、通常、バッファ層の厚さを相対的により厚くする必
要が生ずる。このために、駆動電圧が大幅に増加して、
超高速動作用光変調器の実用性に大きな問題を抱えてい
た。
【0010】本発明の目的は、上述した従来の問題点を
解決し、速度整合、特性インピーダンス整合をとると共
に、電極の導体損失を大幅に低減することにより、低駆
動電圧で高速動作が可能な光制御デバイスを提供するこ
とにある。さらに、本発明は製品の特性のバラツキが小
さいデバイス構造を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明による光制御デバイスは、少なくとも1本の
光導波路を表面近傍に備え、かつ該光導波路の近傍の表
面を掘り込んだリッジ形状とした電気光学効果を有する
基板と、該基板表面上に形成されたバッファ層と、1本
の光導波路直上に前記バッファ層を介して形成された中
心導体と前記中心導体が形成された光導波路近傍に形成
された接地導体よりなる電極とを有する光制御デバイス
において、前記電極のうち、少なくとも前記中心導体
が、前記バッファ層に接する第1の電極層と該第1の電
極層の上部に形成された1層または複数層からなる第2
の電極層からなり、該第2の電極層の幅が前記第1の電
極層の幅より大きいことを特徴とする。
【0012】ここで、前記第2の電極層が複数層からな
り、該複数層の全てまたは一部の幅が前記第1の電極層
の幅より大きく設定することができる。
【0013】さらに、好ましくは、前記リッジの幅と高
さ、前記バッファ層の厚さおよび前記電極の形状・寸法
が前記電極を伝搬するマイクロ波信号波と前記光導波路
を伝搬する光波の伝搬速度が等しくなる条件を満足して
いる。前記電極の少なくとも中心導体の厚さが中心導体
の幅より大きくてもよい。
【0014】上記バッファ層は基板のリッジを完全に覆
って基板表面は平坦であってもよく、また、電極の中心
導体と接地導体の間のバッファ層が除去されていてもよ
い。
【0015】光制御デバイスはマッハ−ツェンダ形光強
度変調器であってもよい。さらに、前記基板がニオブ酸
リチウムであってもよい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の原
理と実施例を詳細に説明する。
【0017】図2に本発明による光制御デバイスの一実
施例を示す。本実施例は、z軸(結晶c軸)カット−L
N基板とコプレーナ線路電極を用いたリッジ形状のマッ
ハ−ツェンダ形光強度変調器の例であり、図2は光変調
器の中央部の断面を示したものである。Tiの熱拡散に
よる光導波路202近傍のLN基板1の表面をエッチン
グすることにより、LN基板201をリッジ形状化して
いる。LN基板201の表面にはバッファ層203が形
成され、バッファ層203を介して一方の光導波路部リ
ッジ上に中心導体の第1電極層204が、他方の光導波
路部リッジ上および本例では中心導体を挟むように平坦
な基板上に接地導体の第1電極層205が形成されてい
る。ここでは、基本形状として、電極の断面形状を矩形
として示している。中心導体の第1電極層204の幅w
elは、従来例と同様に、直下のLN基板光導波路幅wo
よりやや大きく、リッジ幅wr よりやや小さく構成して
いる。接地導体の第1電極層205のエッジは直下の光
導波路リッジ部を覆うように構成されている。さらに、
中心導体の第1電極層204および接地導体の第1電極
層205の上には、それぞれ第2電極層206および2
07が形成されている。ここで、中心導体の第2電極層
206の幅Wは第1電極層の幅welより大きく設定して
いる。
【0018】バッファ層203としては、SiO2 、あ
るいはポリイミド等のようなLNに対して誘電率が小さ
い材料が選ばれる。中心導体の第2電極層206と接地
導体の第2電極層207の間隔G、バッファ層203の
厚さtb 、リッジの高さtr、第1電極層の厚さtel
第2電極層の厚さteu(電極の全体の厚さte =tel
eu)の大きさは、光とマイクロ波との速度整合をと
り、特性インピーダンスZを適当な大きさ(例えばZ=
50Ω)にして外部回路とのインピーダンス整合を図る
ように構成される。ここで、電極の断面形状は図2では
矩形を示しているが、例えば中心導体の第1電極層20
4、第2電極層206、接地導体の第1電極層205、
第2電極層207が、それぞれ台形、または逆台形であ
っても、あるいは中心導体および接地導体が多層の任意
の形状をとっても同様の効果を有する。
【0019】この場合、従来例と同様に各電極層でアス
ペクト比の制約があっても、電極を複数の層で構成して
いるので、総電極厚te を大きくすることができる。ま
た、中心導体の第2電極層206はその幅が第1電極層
204の幅より相対的に大きくなっているので、その分
だけ厚さteuをより厚く構成できるので、従来例と比較
して、総電極厚te を大幅に増大できる利点が生ずる。
【0020】光変調器の特性は、中心導体の第1電極層
204のバッファ層203と接する側の幅welに大きく
依存することが知られている。本発明では、第1電極層
204のアスペクト比を、後述するように、無理に大き
くする必要がないので、幅welを設計値に近い大きさに
容易に形成できる利点がある。このために、デバイスの
製作の容易性と共に、製品の特性のバラツキを小さくで
きる利点も有する。
【0021】図3は、本発明による光変調器の他の実施
例の断面図である。本実施例もzカット−LN基板を用
いたリッジ形状化したマッハ−ツェンダ形光強度変調器
の例であり、LN基板301がリッジ形状を有し、光導
波路302がリッジ部に形成されていること、基板30
1の表面にバッファ層303が形成されていること、中
心導体が第1電極層304と第2電極層306の2層で
構成され、接地導体が第1電極層305と第2電極層3
07の2層で構成されていることは、図2の実施例と同
様である。ただし、本実施例においては、基板301に
は、光導波路が形成されていないリッジがさらに設けら
れ、その上にも接地導体が設けられている。本実施例に
おいては、中心導体の第1電極層304の幅welをリッ
ジ幅wrより大きくしている。さらに、中心導体の第2
電極層306の幅Wを第1電極層の幅welより大きく構
成している。この場合、リッジ幅wr 、中心導体の第2
電極層306と接地導体の第2電極層307の間隔Gを
一定の大きさに保った状態で、第1電極層304の幅w
elをリッジ幅wr より大きくしても、図1に示した従来
のリッジ形(wel<wr )の光変調器、あるいはLN基
板301がプレーナ構造(tr =0)の光変調器と異な
って、電極の静電容量がほとんど増加しない。これは、
例えば、特開平10−39266号公報に記述されてい
るように、本発明においては、LN基板301がリッジ
構造化され、リッジの両側に空気あるいはSiO2 等の
低誘電率の媒体が配置されていることに起因している。
この結果、welを大きくしても、従来例のように特性イ
ンピーダンスの大幅な低下を招くことなく、中心導体の
電極断面積を大幅に増加できるので、電極の導体損失を
大幅に低下できる。
【0022】なお、本実施例においては、接地導体の第
2電極層307の端部を第1電極層305の端部と一致
させているが、本発明における接地導体については、図
2に示したように第1電極層205の端部に対して第2
電極層207の端部を中心導体側に突き出るように構成
しても、あるいは、第1電極層の端部に対して第2電極
層の端部を後退した位置に配置しても、本発明の効果を
得ることができる。上述したように、本実施例において
は基板301には、光導波路が形成されていないリッジ
上にも接地導体が設けられいるので、特性の安定性を高
めることができる。
【0023】図4〜図7は、本発明の原理と効果を説明
するための図であり、LN基板を用いた光変調器の駆動
電圧と電極マイクロ波特性を準TEM波近似解析法で計
算した例を示す。
【0024】図4は、図2の実施例において、中心導体
の第1電極層の幅wel=8μm、厚さtel=10μm、
第2電極層の幅W=20μm、中心導体の第2電極層と
接地導体の第2電極層の間隔G=40μm、リッジ幅w
r =9μm、リッジの高さtr =3μm、バッファ層の
厚さtb =1.25μmに設定したとき、第2電極層の
厚さteuと電極特性の関係を示したものである。ここ
で、nm は電極のマイクロ波実効屈折率、Zは特性イン
ピーダンス、αは減衰定数(1GHzにおける導体損
失)、VπLは単位長さ電極の駆動電圧を表す。光波の
波長は1.55μm帯としている。
【0025】上記のような条件に設定した場合、図4か
ら、第2電極層の厚さteuを適当(この場合teu=20
μm)に設定すれば、nm =2.15、Z≒50Ωの大
きさになり、速度整合とインピーダンス整合が同時に満
たされる条件が得られることが分かる。なお、この速度
整合、インピーダンス整合条件は、従来例と同様の原理
によって、あらゆるリッジ並びに電極の構造、寸法に応
じて、それぞれの寸法を適当に選び、組み合わせれば達
成される。定性的には、リッジの高さtr が大きいほど
バッファ層の厚さtb は小さくなり、中心導体と接地導
体の間隔Gが大きいほど電極の全体の厚さte =(tel
+teu)は大きくなる。
【0026】図5は、図2の実施例において、中心導体
の第1電極層の幅wel=8μm、第2電極層の幅W=2
0μm、中心導体と接地導体の間隔G=60μm、リッ
ジ幅wr =9μm、リッジの高さtr =3μm、バッフ
ァ層の厚さtb =1.25μmに設定し、中心導体の電
極の総厚te (=tel+teu)=46μm一定に固定し
たとき、第1電極層の厚さtelと電極特性の関係を示し
たものである。図5から分かるように、telの大きさの
変動に対する各特性の変動は小さく、第1電極層204
をサブミクロン以上の厚さにすれば、本発明の効果を実
現できる。なお、この構成の場合、厚さtelが5から1
0μm程度で、ほぼ完全な速度整合およびインピーダン
ス整合がとれる。
【0027】図6は、図2の実施例において、中心導体
の第1電極層の幅wel=8μm、厚さ=tel=10μ
m、第2電極層の幅W=20μm、中心導体と接地導体
の間隔G=60μm、リッジ幅wr =9μm、リッジの
高さtr =3μm、バッファ層の厚さtb =1.25μ
mに設定した場合、中心導体と接地導体の間隔Gに対す
る速度整合を得るための第2電極層の厚さteu(tm
表示してある)と、その時の特性を示す。図中の印×は
図1に示した従来例の特性を表す。なお、ここで示した
いずれの構成も特性インピーダンスZは約50Ωであ
り、インピーダンス整合も満たしている。
【0028】図6中のpは性能指数を表し、
【0029】
【数3】 p=VπL・α (3) で定義されるパラメータである。変調器と信号源のイン
ピーダンス整合がとれている場合、変調器の駆動電圧V
π(V)、光応答特性のエレクトリカル3dB帯域幅f
(GHz)は、
【0030】
【数4】 Vπ/Δf1/2 =p/6.4 (4) の関係で与えられる。すなわち、pが小さい電極構造ほ
ど、高性能化(低駆動電圧化、広帯域化)が可能にな
る。
【0031】図6から分かるように、本発明によると、
中心導体の接地導体の間隔Gが大きくなる程速度整合を
得るための第2電極層の厚さtm が大きくなり、中心導
体の断面積が大きくなって、減衰定数αが大幅に減少す
る。一方、駆動電圧VπLの増加は小さいので、性能指
数は減少して高性能な光変調器が実現できる。
【0032】図7は、図3に示した実施例において、中
心導体の第1電極層の幅wel=15μm、厚さtel=1
0μm、リッジ幅wr =9μm、リッジの高さtr =5
μm、バッファ層の厚さtb =1μmに設定した場合、
第2電極層の幅Wと、中心導体と接地導体の間隔Gに対
する速度整合を得るための第2電極層の厚さtm との関
係、およびその時の特性を示す。図中の印×は従来例
(wel=W=15μm)の特性を表す。なお、ここで示
したいずれの構成も特性インピーダンスZは約50Ωに
なり、インピーダンス整合も満たしている。図7から、
W、Gが大きくなる程tm が大きくなり、中心導体の断
面積が大きくなって、減衰定数α、性能指数pが大幅に
減少して高性能な光変調器を実現できることが分かる。
【0033】図8は、本発明の光変調器のさらに他の実
施例の断面図であり、変調電極として非対称コプレーナ
ストリップ線路を用いた場合を示す。本実施例もzカッ
ト−LN基板を用いたリッジ形状化したマッハ−ツェン
ダ形光変調器の例であり、LN基板801がリッジ形状
を有し、光導波路802がリッジ部に形成されているこ
と、基板801の表面にバッファ層803が形成されて
いることは、図2の実施例と同様である。本実施例で
は、第2電極層を2層以上の複数の層で構成しており、
第2電極層の幅W1 、W2 、・・・・の全てもしくはそ
の一部を中心導体の第1電極層804の幅welに対して
大きく設定している。バッファ層803は、SiO2
ポリイミド等の低誘電率材料がLN基板801のリッジ
部を埋め込むように平坦化して形成されている。この平
坦化によって、その上部の電極層を容易に形成できるよ
うにしている。中心導体と接地導体間の静電容量を低減
させることにより、速度整合やインピーダンス整合を、
比較的薄い電極構成によって取れるように、必要に応じ
て中心導体と接地導体の間のバッファ層を除去しても良
い。図8は、中心導体と接地導体の間のバッファ層を除
去した状態を示している。この場合でも、中心導体と接
地導体の間隔G1 、G2 ・・・と、バッファ層803の
厚さtb 、リッジの高さtr 、第1電極層の厚さtel
第2電極層の厚さteu1 、teu2 等の大きさを、光とマ
イクロ波との速度整合を図り、特性インピーダンスZを
適当な大きさ(例えば50Ω)にした変調器構造を採用
すればよい。これによって電極のマイクロ波損失を従来
より大幅に小さくすることが可能であり、低駆動電圧で
広帯域な高性能光変調器を実現できる。また、変調電極
として対象コプレーナストリップ線路等の各種マイクロ
波線路を用いても同様の効果が生ずることは自明であ
る。
【0034】図9は、本発明のさらに他の実施例の断面
図である。本実施例もzカット−LN基板を用いたリッ
ジ形状化したマッハ−ツェンダ形光変調器の例であり、
LN基板901がリッジ形状を有し、光導波路902が
リッジ部に形成されていること、基板901の表面にバ
ッファ層903が形成されていること、基板301に
は、光導波路が形成されていないリッジがさらに設けら
れ、その上にも接地導体が設けられていることは、図3
の実施例と同様である。本実施例の特徴は、接地導体は
単層の電極層905で構成し、中心導体のみ複数の電極
層904、906で構成した点にある。電極の減衰定数
αは、主に中心導体の断面積で決まるので、中心導体の
みを複数の層で構成して厚さを大きくした本実施例の構
成でも減衰定数αの低減化に効果がある。
【0035】以上説明したように、本発明ではLN基板
をリッジ構造化しているので、特性インピーダンスZ
は、中心導体の第2電極の幅W、中心導体と接地導体の
間隔Gの大きさにはほとんど依存せず、主にリッジの幅
r 、高さtr とバッファ層の厚さtb 、中心導体の第
1電極の幅welの大きさでほぼ一義的に決まる。駆動電
圧VπLも、同様に中心導体の第2電極の幅Wおよび中
心導体と接地導体の間隔Gの大きさにはほとんど依存せ
ず、バッファ層の厚さtb の大きさでほぼ一義的に決ま
る。従って、本発明の特長の一つである第2電極の幅W
を大きくすることによって、特性インピーダンスZおよ
び駆動電圧VπLのそれぞれに与える悪影響は小さい。
これは、LN基板をリッジ形状化することによって、
(1)LiNbO3 基板が強誘電体材料であるために、
第2電極層の幅Wや中心導体と接地導体の間隔Gが大き
くなっても、電気力線の総量はさほど変化せずにLN基
板のリッジ部に集中した状態が保たれるので、中心導体
と接地導体間の静電容量がさほど変化しないこと、
(2)LiNbO3 の誘電率が結晶のc軸に対して平行
方向(:ε‖)と垂直方向(:ε⊥)で異方性(ε‖>
ε⊥)を持つために、中心導体と接地導体の間隔Gが大
きくなってもリッジ部のマイクロ波電界強度はほとんど
変化しないことに起因している。言い換えれば、このこ
とは、電極構造の設計の自由度を増大させ得るというこ
ともできる。これが、本発明の効果を引き出す、従来例
にない特長になる。
【0036】一方、本発明では減衰定数αを大幅に低減
できる。これは、中心導体の第2電極層の幅Wを大きく
することによって、マイクロ波電流に対する電気抵抗を
小さくできるためである。また、Wを大きくするに伴っ
て、電極のアスペクト比上の制約があっても、形状効果
によって、より厚い電極を比較的容易に製作できる利点
が生ずる。
【0037】中心導体と接地導体の間隔Gについては、
Gを大きくするほど性能指数パラメータpが小さくな
る。しかし、Gを必要以上に大きくすると構造分散によ
るマイクロ波特性への悪影響がでてくる。このために、
動作周波数に応じて、マイクロ波信号の波長より十分小
さい寸法を選ぶことにより、その影響を軽減できるの
で、G=10μm〜1000μm程度の大きさを選べば
よい。変調電極の厚さteは第2電極層の厚さWと同程
度の大きさ(te ≒W)から10倍程度(te ≒10
W)の大きさの範囲に設定すればよい。バッファ層の厚
さtb は、主に特性インピーダンスの大きさから決まる
が、光変調器の製作性や光導波路の伝搬損失・安定性あ
るいは駆動電圧などを考慮して、tb =0.1μm〜1
0μmになる。
【0038】LiNbO3 基板のリッジの高さtr 、幅
r については、tr =3μmおよび5μm、wr =9
μmの場合について具体的に説明した。しかし、本発明
による光変調器では、図1の従来例と同様に、駆動電圧
VπL特性の低減効果とマイクロ波特性、LiNbO3
基板のエッチング工程の容易さ、光導波路の伝搬損失を
考慮して、通常、tr =1〜10μm、wr =3〜20
μm程度に設定すればよい。
【0039】以上では、光導波路の幅wo =7μm、リ
ッジ幅wr =9μmの場合を示したが、これらの大きさ
を変えた場合、その大きさに応じて中心導体の第1電極
層の幅wel、第2電極層の幅Wの大きさを設定すれば本
発明の効果を同様に得ることができる。例えば、変調効
率を高めるために、光導波路の屈折率差(閉じ込め効
果)を大きくし、wo を小さくして光スポットサイズを
小さくした場合、それに合わせるように、リッジ幅wr
を小さくすれば、さらに高効率の光変調器を実現でき
る。
【0040】以上では、特性インピーダンスが50Ω系
の場合の構成例を示したが、50Ωと異なるインピーダ
ンス系の場合でも、従来例と同様の原理で、電極の構
造、寸法を適当に設定すれば、任意の電極特性インピー
ダンスを実現でき、本発明の効果を得ることができる。
【0041】さらに、以上では電気光学効果を有する基
板としてLiNbO3 を、バッファ層としてSiO2
用いた高速光強度変調器を例として本発明の原理、効
果、実施例を述べたが、この他に、電気光学効果を有す
る基板としてLiTaO3 やPLZT等の強誘電体や半
導体、有機材料などを利用し、バッファ層として、例え
ばAl23 やITO、ポリイミド等の相対的に低誘電
率の誘電体を利用しても良い。また、光強度変調器以外
に光位相変調器、光スイッチ、偏波制御器のような、少
なくとも1本の光導波を有し、電気信号によって光出力
を制御するあらゆる光デバイスに本発明を適用できるこ
とは自明である。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による光制
御デバイスは、少なくとも1本の光導波路を表面近傍に
備え、かつこの光導波路近傍の基板表面を掘り込んだリ
ッジ形状とした電気光学効果を有する基板と、基板表面
に形成されたバッファ層と、1本の光導波路直上にバッ
ファ層を介して形成された中心導体と、この中心導体が
形成された光導波路近傍に形成された接地導体よりなる
電極とを有し、少なくとも中心導体がバッファ層に接す
る第1の電極層と当該第1の電極層の上部に形成された
1層または複数層からなる第2の電極層からなり、第2
の電極層の一部または全ての幅を第1の電極層の幅より
大きく設定して構成している。また、特性インピーダン
スを適当な値に設定でき、マイクロ波の実効屈折率の大
きさを光の実効屈折率の大きさに合わせるように構成し
ている。ここで、バッファ層はリッジ基板を覆うように
平坦化されて構成されてもよく、また、電極の中心導体
と接地導体の間のバッファ層が除去されてもよい。光制
御デバイスはマッハ−ツェンダ形光強度変調器であって
もよい。さらに、基板がニオブ酸リチウムであってもよ
い。
【0043】本発明のこの構成によって、変調電極の断
面積を大きくすることが可能であり、また、電極構成も
容易にできる。この結果、本発明によれば、マイクロ波
減衰定数を大幅に低減化できるため、従来の問題を解決
でき、低電圧で高速・広帯域動作が可能な光制御デバイ
スを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のマッハ−ツェンダ形光強度変調器の一例
を示し、(a)は上面図、(b)は断面図である。
【図2】本発明の一実施例の断面図である。
【図3】本発明の他の実施例の断面図である。
【図4】本発明の原理と効果を説明するための、マイク
ロ波減衰定数、駆動電圧、インピーダンス、電極のマイ
クロ波実効屈折率と第2電極層の厚さとの関係を示す特
性図である。
【図5】本発明の原理と効果を説明するための、マイク
ロ波減衰定数、駆動電圧、インピーダンス、電極のマイ
クロ波実効屈折率と第1電極層の厚さとの関係を示す特
性図である。
【図6】本発明の原理と効果を説明するための、マイク
ロ波減衰定数、駆動電圧、速度整合を得るための第2電
極層の厚さ、性能指数と中心導体と接地導体の間隔との
関係を示す特性図である。
【図7】本発明の原理と効果を説明するための、マイク
ロ波減衰定数、駆動電圧、速度整合を得るための第2電
極層の厚さ、性能指数と第2電極層の幅との関係を示す
特性図である。
【図8】本発明の他の実施例の断面図である。
【図9】本発明のさらに他の実施例の断面図である。
【符号の説明】
101、201、301、801、901 リッジ構造
化したLiNbO3 基板 102、202、302、802、902 Ti熱拡散
光導波路 103、203、303、803、903 バッファ層 104、204、304、804、904 中心導体の
第1電極層 105、205、305、805、905 接地導体の
第1電極層 206、306、806、906 中心導体の第2電極
層 207、307、807 接地導体の第2電極層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1本の光導波路を表面近傍に
    備え、かつ該光導波路の近傍の表面を掘り込んだリッジ
    形状とした電気光学効果を有する基板と、該基板表面上
    に形成されたバッファ層と、1本の光導波路直上に前記
    バッファ層を介して形成された中心導体と前記中心導体
    が形成された光導波路近傍に形成された接地導体よりな
    る電極とを有する光制御デバイスにおいて、 前記電極のうち、少なくとも前記中心導体が、前記バッ
    ファ層に接する第1の電極層と該第1の電極層の上部に
    形成された1層または複数層からなる第2の電極層から
    なり、該第2の電極層の幅が前記第1の電極層の幅より
    大きいことを特徴とする光制御デバイス。
  2. 【請求項2】 前記第2の電極層が複数層からなり、該
    複数層の全てまたは一部の幅が前記第1の電極層の幅よ
    り大きいことを特徴とする請求項1に記載の光制御デバ
    イス。
  3. 【請求項3】 前記リッジの幅と高さ、前記バッファ層
    の厚さおよび前記電極の形状・寸法が前記電極を伝搬す
    るマイクロ波信号波と前記光導波路を伝搬する光波の伝
    搬速度が等しくなる条件を満足していることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の光制御デバイス。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011090332A (ja) * 2011-01-05 2011-05-06 Fujitsu Optical Components Ltd 光変調装置
JP2020060742A (ja) * 2018-10-12 2020-04-16 住友大阪セメント株式会社 光導波路素子および光変調器
JP2020086136A (ja) * 2018-11-26 2020-06-04 株式会社Xtia 光変調器及び光コム発生器

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