JPH11314917A - 微細粉末の製造方法 - Google Patents

微細粉末の製造方法

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JPH11314917A
JPH11314917A JP12564998A JP12564998A JPH11314917A JP H11314917 A JPH11314917 A JP H11314917A JP 12564998 A JP12564998 A JP 12564998A JP 12564998 A JP12564998 A JP 12564998A JP H11314917 A JPH11314917 A JP H11314917A
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hydrochloric acid
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Yasuhiro Tsugita
泰裕 次田
Naoki Ishiyama
直希 石山
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Sumitomo Metal Mining Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続的な操業が可能な微細粉末の製造方法で
あって、粉末の簡単な回収と共に、副生する塩化水素ガ
スの有効利用が可能な方法を提供する。 【解決手段】 塩化物蒸気を反応器1内で高温にて水蒸
気で加水分解又は水素ガスで還元し、生成した微細粉末
をフィルター9で固気分離して回収し、副生した塩化水
素ガスは水と接触させ塩酸として回収する。微細粉末の
付着を防止するため、固気分離部の温度を塩化水素の露
点以上に保持し、フィルター9を振動させる。また、回
収された塩酸を用いて酸化物又は金属を溶解し、原料と
なる塩化物を製造に利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】塩化物を原料とする微細粉末
の製造方法であって、特に塩化アンチモンを原料とする
酸化アンチモン粉末の製造に好適な、連続的操業に適し
た微細粉末の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、金属の塩化物を原料とする加
水分解や水素還元によって、金属酸化物粉末や金属粉末
などの各種の微細粉末が製造されている。例えば、酸化
アンチモンの製造では、アンチモン精鉱や金属アンチモ
ンを転炉やルツボ炉中で酸化揮発させる乾式法の他に、
塩化アンチモンを原料として加水分解する湿式法が知ら
れている。
【0003】この湿式法による塩化アンチモンの加水分
解は、pHの制御が必要となるうえ、基本的に中和反応
であるので塩酸の回収が難しいことから、バッチ式で行
われているのが現状である。このため生産性が低く、連
続的な反応による生産性の向上が望まれている。
【0004】尚、乾式法による酸化アンチモンの製造方
法のうちの転炉法は、硫化物を原料とする場合には、S
2ガスをNa2SO3又はNa2SO4として固定するた
めSO2ガスの処理にコストがかかり、また原料として
高品位のアンチモン精鉱品位を必要とするなど、コスト
の点で問題がある。また、金属アンチモンを用いるルツ
ボ法は、湿式法と同じくバッチ式であるうえ、高価なル
ツボを使用することによるコストアップが問題となって
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、塩化物を
原料とする高温加水分解や水素還元によって、酸化物粉
末や金属粉末などの各種の微細粉末を製造する従来の方
法では、粉末の粒径、結晶性などの特性を制御するた
め、雰囲気や水素ガス流量などを制御する必要があるう
え、生成した微細粉末及び塩化水素ガスの取り扱いが難
しいことから、バッチ式が殆どであった。
【0006】しかし、バッチ式の場合には、各反応操作
ごとに昇温と冷却を繰り返すため、実質稼働率が極めて
低いという欠点があった。また、反応部の容積が大きく
なることから、装置が大型にならざるを得なかった。更
に、酸化アンチモンの製造では、銅製錬系からの粗酸化
アンチモンを塩酸で溶解して原料の塩化アンチモンとす
る場合には、塩酸を系外から投入する必要があるため、
このときの塩酸原単位が高くなるという問題があった。
【0007】本発明は、このような従来の事情に鑑み、
塩化物を原料とする高温加水分解又は水素還元により、
酸化物粉末又は金属粉末などの微細粉末を製造する方法
において、長期間の連続的な操業が可能であって、生成
する微細粉末を簡単に回収できると共に、副生する塩化
水素ガスを有効利用することができる方法を提供するこ
とを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明が提供する微細粉末の方法は、塩化物蒸気を
高温にて水蒸気又は水素ガスと反応させ、塩化物の加水
分解又は還元により生成した微細粉末と副生した塩化水
素ガスとを固気分離して、微細粉末を回収すると共に塩
化水素ガスを塩酸として回収することを特徴とする。
【0009】上記本発明の微細粉末の製造方法において
は、塩化物溶液又は塩化物粉末を反応器内に連続的に定
量供給し、反応器内で蒸発させて塩化物蒸気とすること
ができる。また、水蒸気又は水素ガスと共に又は別々
に、キャリヤーガスを反応器内に連続的に供給すること
が好ましい。
【0010】生成した微細粉末と塩化水素ガスの固気分
離では、固気分離部の温度を塩化水素の露点以上に保持
し、固気分離用フィルターを振動させることが好まし
い。また、固気分離した塩化水素ガスは、水中にバブリ
ングするか又は濡れ塔内で水と接触させることにより、
塩酸として回収する。回収された塩酸を用いて酸化物又
は金属を溶解し、原料となる塩化物を製造することがで
きる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、塩化物を原料とする
高温での加水分解又は水素還元により、酸化物粉末又は
金属粉末などの微細粉末を製造する方法について、長期
間の連続的な操業ができるように、生成する微細粉末と
副生する塩化水素ガスとを簡単に固気分離すると共に、
分離した塩化水素ガスを塩酸として回収して原料の一部
として有効利用する。
【0012】即ち、反応器に供給される塩化物蒸気と水
蒸気又は水素ガスは、間欠的に供給してもよいが、好ま
しくは連続的に供給し、更には所定の一定濃度となるよ
うに定量供給することが望ましい。定量供給に好適な方
法としては、塩化物蒸気とした気体よりも量的制御が簡
単な塩化物の粉末又は溶液を用い、この粉末又は溶液を
反応器内に定量供給して反応器内で加熱蒸発させる方法
がある。このような定量供給によって、反応器内におけ
る塩化物濃度が安定し、生成する微細粉末の物性値も安
定化する。
【0013】尚、塩化物の定量供給性を向上させる為、
塩化物粉末の場合はテーブルフィーダー又はスクリュー
フィーダー等の定量粉末供給機を使用し、塩化物溶液の
場合にはダイヤフラムポンプ又はセラミックポンプ等の
定量溶液供給機を用いることが好ましい。また、塩化物
の粉末や溶液を蒸発させる方法は特に限定されないが、
反応器内に高温に加熱した蒸発皿を配置し、この上に塩
化物の粉末や溶液を供給して蒸発はせる方法が簡単であ
り好ましい。
【0014】この塩化物蒸気は、高温度にて、水素ガス
で還元することにより微細な金属粉末が生成し、又は水
蒸気により加水分解されて微細な酸化物粉末が得られ
る。塩化物蒸気は、そのまま反応に供することもできる
が、キャリヤーガスとして反応器内に導入する空気又は
2あるいはArなどの不活性ガスにより、所定濃度に
希釈することも可能である。生成した微細粉末は、副生
した塩化水素ガスと共に、更にはキャリヤーガスにより
搬送されて、固気分離部に送られる。固気分離部では、
塩化水素ガス及びキャリヤーガスから微細粉末を分離す
る。
【0015】尚、反応器及び固気分離部は、副生する塩
化水素ガスに対して耐食性を有する材料、例えば純T
i、純Ni等からなる構造物で構成する必要がある。特
に、固気分離用のフィルターは、テフロンのような塩化
水素に対して耐食性のある有機物繊維等で作製したフィ
ルター又はセラミックフィルター、及びそれを固定する
リテーナーで構成することにより、効率良く且つ長時間
の使用が可能となる。
【0016】また、生成した金属酸化物又は金属粉末の
微細粉末は嵩密度の極めて小さい粉末であるので、固気
分離用フィルターの閉塞が起こりやすく、圧損が高くな
り、ガスの通過性が悪くなる。そこで本発明では、固気
分離部の温度を塩化水素の露点以上に保持して塩化水素
ガスの凝結を防止すると同時に、固気分離用フィルター
を連続的に又は間欠的に振動させる。これにより、微細
粉末をフィルターから落下させてフィルターの閉塞を防
止することができ、長時間の連続運転も何ら支障なく行
うことができる。
【0017】固気分離により完全に微細粉末を除去した
塩化水素ガスは、水中にバブリングするか又は濡れ塔内
で水と接触させることにより、汚染の無い高純度の塩酸
として回収することができる。この時、得られる塩酸濃
度を電気伝導度計を用いて測定し、その測定濃度に応じ
て反応器への水蒸気又は水素ガスの供給と塩酸の排出を
制御することによって、回収する塩酸濃度を通常200
〜300g/lの範囲で所望の一定濃度に維持すること
ができる。
【0018】更に、回収された高純度の塩酸を用いて、
金属酸化物又は金属を溶解することにより塩化物を製造
し、本発明方法の原料として不純物の無い塩化物を製造
供給することができる。特に、上記のごとく回収する塩
酸濃度を一定に維持することで、一定濃度の塩化物の製
造を効率的に安定して行うことが可能となる。このよう
に、塩化水素を塩酸として回収し、この塩酸を用いて原
料の塩化物を製造することにより、副生した塩化水素ガ
スの循環使用が可能となり、塩酸の原単位の低減が可能
となる。
【0019】次に、本発明の好ましい具体例として、塩
化アンチモンを原料として酸化アンチモンを製造する場
合を説明する。まず、反応器内の蒸発皿上に塩化アンチ
モンの粉末又は溶液を連続的に供給し、加熱して蒸発さ
せると共にキャリヤーガスで希釈することにより塩化物
濃度を制御する。この塩化アンチモンの蒸気を高温にて
水蒸気と接触させ、加水分解して微細な酸化アンチモン
を生成させる。
【0020】このときの塩化アンチモンの加水分解反応
の温度は、500〜1000℃の範囲が好ましい。反応
温度が1000℃を越えると、目的とする白色の3酸化
アンチモンSb23の他に黄色の5酸化アンチモンSb
25が生成し始め、純粋な3酸化アンチモンが得られな
い上に、設備保守の点からも経済的でない。また、反応
温度が500℃未満では、反応速度が低下し、反応効率
が悪くなるため実用的ではない。
【0021】得られた酸化アンチモンの微細粉末と副生
した塩化水素ガスとは、前記のごとく固気分離を行い、
微細粉末を回収すると共に塩化水素ガスを高純度の塩酸
として回収する。回収された高純度の塩酸は、銅製錬系
からの粗酸化アンチモンあるいは粗アンチモンメタルの
溶解に使用し、本発明方法の原料である塩化アンチモン
の製造に再利用する。これにより、副生した塩化水素ガ
スの循環再利用が可能となり、原料の一つとして不純物
の無い塩酸を供給することで原単位の低減が可能とな
る。
【0022】上記した本発明方法を実施するための製造
装置として、その基本構成の一具体例を図1に示す。反
応器1は縦型管状炉からなり、その内部には蒸発皿2が
配置してある。反応器1の上部には、塩化物容器3から
塩化物の粉末又は溶液を蒸発皿2に定量供給する供給管
4と共に、水蒸気発生器5からの水蒸気をキャリヤーガ
ス容器6からのキャリヤーガスにより反応器1に定量供
給する供給管7が設置してある。尚、塩化物の還元反応
の場合には、水蒸気発生器5の代わりに、水素ガス容器
を用いる。
【0023】反応器1の下部はダクト等によって固気分
離部8に接続されている。固気分離部8には、塩化水素
に対して耐食性を有する円筒濾紙などからなり、振動を
付加することが可能な固気分離用フィルター9が収納さ
れている。分離された微細粉末は粉末回収部10から回
収され、塩化水素ガスは塩酸回収部11で水に吸収され
て、塩酸として回収される。
【0024】
【実施例】実施例1 塩化アンチモン溶液を原料とし、図1の製造装置を用い
て、酸化アンチモン粉末を製造した。即ち、石英製の供
給管4から反応器1内の加熱された純Ni製の蒸発皿2
の上に、塩化アンチモン溶液を5cc/分の流量で間欠
的に滴下して蒸発させた。この塩化アンチモン蒸気を、
供給管7から導入した飽和水蒸気により1000℃にて
加水分解して、酸化アンチモン粉末を生成させた。
【0025】この酸化アンチモン粉末は微細であるた
め、そのまま吸引して白煙状態で固気分離部8に搬送
し、固気分離用フィルター9で分離して回収した。一
方、固気分離フィルター9を通過した塩化水素ガスは、
水中にバブリングして塩酸として回収した。回収した酸
化アンチモン粉末は、水洗濾過した後、120℃で真空
乾燥を行なった。
【0026】得られた酸化アンチモン粉末は、酸化アン
チモンの導電性が小さいので、Pt−Pdターゲットを
用いて真空蒸着した後、SEM観察した。その結果、得
られた酸化アンチモン粉末は、形状が不定形であり、等
軸晶あるいは斜方晶などが混在し、粒径としてもサブミ
クロンから数ミクロンの粒子が混在していた。
【0027】実施例2 上記実施例1において、塩化アンチモン溶液の供給をセ
ラミックポンプにより5cc/分の流量で連続的に且つ
定量的に行なった以外は、実施例1と同様に実施した。
回収した酸化アンチモン粉末は、同様にSEM観察した
結果、角柱状の等軸晶であり、平均粒径は1.5μmで
あった。
【0028】実施例3 図1の製造装置を用い、塩化アンチモン溶液をダイヤフ
ラムポンプにより3ml/分の供給速度で連続的に蒸発
皿2上に供給し、蒸発させた。同時に、キャリヤーガス
として空気を5リットル/分にて流し、水蒸気発生器5
から水蒸気を発生器1ないに供給して、塩化アンチモン
濃度を0.5g/lに制御した。
【0029】この塩化アンチモン蒸気を1000℃にて
水蒸気により加水分解し、微細な酸化アンチモン粉末を
生成させ、そのまま連続的にキャリヤーガスにより固気
分離部8に搬送して、酸化アンチモン粉末を回収すると
共に、副生した塩化水素ガスを塩酸として回収した。
尚、固気分離フィルターは、高温のガスにより自然に塩
化水素の露点以上の温度に保持された。
【0030】回収した酸化アンチモン粉末は、角柱状の
等軸晶であり、平均粒径は1.2μmであった。また、
固気分離部8を塩化水素ガスに対して耐食性を有する純
Tiからなる構造物、即ち回収容器、配管、及びテフロ
ン繊維で編んだフィルター等で構成することにより、長
期間の使用が可能であった。
【0031】実施例4 上記実施例3において、固気分離部の温度を塩化水素の
露点以上に積極的に加熱保持すると共に、固気分離用フ
ィルター9を電気式の振動子を用いて振動巾2mm、振
動数60ヘルツで振動させた。その結果、酸化アンチモ
ン粉末が極めて微細で且つ付着性のある粉末であるにも
拘らず、固気分離用フィルター9から酸化アンチモン粉
末を落下させて、閉塞を防止することができ、一層長期
間の連続運転が可能となった。
【0032】また、固気分離により完全に酸化アンチモ
ン粉末を除去した塩化水素ガスは、濡れ塔内で水と接触
させることにより、汚染の無い高純度の塩酸として回収
することができた。この時、得られる塩酸濃度を電気伝
導度計を用いて測定し、その測定濃度に応じて水の供給
と塩酸の排出を制御することにより、濃度300g/l
の塩酸が回収できた。
【0033】更に、回収された高純度で濃度300g/
lの塩酸を用いて、例えば銅精錬系から回収された5〜
100μmの粗酸化アンチモンを溶解することにより、
不純物の殆ど無い塩化アンチモン溶液を製造できた。こ
の塩化アンチモン溶液は、原料として充分使用できるも
のであった。
【0034】実施例5 塩化ニッケル粉末を原料とし、図1と類似の装置を用い
て、水素還元によりニッケル粉末を製造した。即ち、定
量供給機としてテーブルフィーダーを用い、5g/分の
供給速度で連続的に無水塩化ニッケル粉末を発生器内に
供給し、温度1000℃に加熱した蒸発皿上で塩化ニッ
ケルを蒸発させた。同時に、キャリヤーガスとして、N
2を5リットル/分で流すことにより塩化ニッケル濃度
を1g/lに制御し、水素ガスを5リットル/分で発生
器内に連続的に供給して、1100℃にて塩化ニッケル
を水素ガスで還元した。
【0035】生成した微細なニッケル粉末と副生した塩
化水素ガスを固気分離部に連続的に搬送し、テフロン製
フェルトからなるフィルターを通して固気分離を行な
い、微細なニッケル粉末を回収した。このニッケル粉末
は、平均粒径が1μmで、嵩密度が0.05g/l、タ
ップ密度が2.5g/cm3の微細な粉末であったが、フ
ィルターを振幅2mmの電気振動子にて毎分60回振動
させることにより、フィルターの閉塞を起こすことな
く、長時間の連続運転が可能であった。
【0036】固気分離により完全に粉末を除去した塩化
水素ガスは、水中にバブリングすることにより、汚染の
無い高純度の塩酸として回収できた。この時、塩酸濃度
を電気伝導度計を用いて測定し、水の供給と塩酸の排出
を制御することによって、塩酸濃度が36.5g/リッ
トル(1規定)の一定濃度の塩酸が回収できた。更に、
回収された高純度の塩酸を用いて、1〜100μmの酸
化ニッケル粉末を溶解することにより不純物を殆ど含ま
ない塩化ニッケルが得られ、この塩化ニッケルは原料と
して充分使用できるものであった。
【0037】実施例6 塩化物として塩化銅粉末、又は塩化銀粉末を用いた以外
は、実施例5と同様にして、金属粉末を製造した。その
結果、水素還元温度は銅又は銀の融点の0.6から0.9
倍の温度で、十分に反応率も高く、平均粒径が0.1〜
5μmの金属粉末が連続的に且つ効率的に回収できた。
同時に、高純度の塩酸も連続して安定的に回収できた。
【0038】実施例7 塩化銅粉末を原料とし、図1に類似の装置を用いて、高
温加水分解により酸化銅粉末を製造した。即ち、定量供
給機としてテーブルフィーダーを用いて、3g/分の供
給速度で連続的に塩化銅粉末を供給し、蒸発皿で蒸発さ
せると共に、キャリヤーガスとして空気を5リットル/
分で連続的に供給することにより、塩化銅濃度を0.5
g/lに制御した。この塩化銅蒸気を、連続的に供給し
た水蒸気により、1000℃にて加水分解した。
【0039】得られた微細な酸化銅粉末と塩化水素ガス
の固気分離を行ない、微細な酸化銅粉末を回収すると共
に、塩化水素ガスを塩酸として回収した。回収した酸化
銅粉末は、平均粒径が0.3μmであり、嵩密度が0.0
5g/lと極めて微細な粉末であった。比表面積を測定
すると、20m2/gと極めて大きな値を示した。
【0040】この酸化銅粉末は極めて微細で、付着性の
ある粉末であるため、フィルターの閉塞が起こりやす
い。そこで、固気分離部を塩化水素の露点以上の温度に
積極的に加熱保持すると共に、電気式の振動子を用いて
フィルターを振動巾2mm、振動数60ヘルツで振動さ
せることにより、閉塞を防止でき、長時間の連続運転が
可能となった。
【0041】固気分離した塩化水素ガスは、濡れ塔内で
水と接触させることにより、汚染の無い高純度の塩酸と
して回収することができた。この時、塩酸濃度を電気伝
導度計で測定し、水の供給と塩酸の排出を制御すること
により、一定濃度の塩酸が回収できた。更に、回収され
た塩酸を用いて、5〜100μmの酸化銅粉末を溶解す
ることにより、不純物の殆ど無い塩化銅を製造すること
ができ、この塩化銅は原料として充分使用できるもので
あった。
【0042】実施例8 塩化物として塩化ニッケルを用いた以外は実施例7と同
様にして、酸化ニッケル粉末を製造した。加水分解温度
を500〜1000℃の範囲内とすることにより、微細
で、結晶性に優れた酸化ニッケル粉末を回収することが
できた。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、塩化物蒸気の加水分解
又は水素ガスによる還元により酸化物又は金属の微細粉
末を製造するに際して、連続的な操業が可能であって、
生成する微細粉末を簡単に回収できると共に、副生する
塩化水素ガスを有効利用する方法を提供することができ
る。特に、副生する塩化水素ガスを塩酸として回収する
ことができるようになり、生産性の向上と共に、資源の
有効利用が可能となり、経済的にも極めて優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための装置の一具体例を
示す概略の側面図である。
【符号の説明】
1 反応器 2 蒸発皿 3 塩化物容器 5 水蒸気発生器 6 キャリヤーガス容器 8 固気分離部 9 フィルター 10 粉末回収部 11 塩酸回収部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化物蒸気を高温にて水蒸気又は水素ガ
    スと反応させ、塩化物の加水分解又は還元により生成し
    た微細粉末と副生した塩化水素ガスとを固気分離して、
    微細粉末を回収すると共に塩化水素ガスを塩酸として回
    収することを特徴とする微細粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 塩化物の溶液又は粉末を反応器内に連続
    的に定量供給し、反応器内で蒸発させて塩化物蒸気とす
    ることを特徴とする、請求項1に記載の微細粉末の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 水蒸気又は水素ガスと共に又は別々に、
    キャリヤーガスを反応器内に連続的に供給することを特
    徴とする、請求項1又は2に記載の微細粉末の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 固気分離部の温度を塩化水素の露点以上
    に保持し、固気分離用フィルターを振動させることを特
    徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の微細粉末の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 固気分離した塩化水素ガスを、水中にバ
    ブリングするか又は濡れ塔内で水と接触させることによ
    り、塩酸として回収することを特徴とする、請求項1〜
    4のいずれかに記載の微細粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 回収される塩酸の濃度を測定し、その測
    定濃度に応じて水蒸気又は水素ガスの供給と塩酸の排出
    を制御することにより、回収される塩酸の濃度を所定値
    に維持することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか
    に記載の微細粉末の製造方法。
  7. 【請求項7】 回収された塩酸を用いて金属酸化物又は
    金属を溶解し、原料となる塩化物を製造することを特徴
    とする、請求項1〜6のいずれかに記載の微細粉末の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 塩化物蒸気が塩化アンチモン蒸気であ
    り、これを500〜1000℃の温度にて水蒸気により
    加水分解し、生成した酸化アンチモンの微細粉末と副生
    した塩化水素ガスを固気分離することを特徴とする、請
    求項1〜7のいずれかに記載の微細粉末の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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