JPH11314391A - サーマルヘッド - Google Patents

サーマルヘッド

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JPH11314391A
JPH11314391A JP12586598A JP12586598A JPH11314391A JP H11314391 A JPH11314391 A JP H11314391A JP 12586598 A JP12586598 A JP 12586598A JP 12586598 A JP12586598 A JP 12586598A JP H11314391 A JPH11314391 A JP H11314391A
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JP
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common electrode
heating element
layer
electrode
thermal head
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JP12586598A
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English (en)
Inventor
Hirotoshi Terao
博年 寺尾
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Alps Alpine Co Ltd
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Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サーマルヘッドの共通電極での電圧降下を抑
制することによって、発熱素子に均一な発熱をさせて記
録濃度のムラのない良好な記録画像を得ることができる
サーマルヘッドを提供すること。 【解決手段】 共通電極6を保温層5上にほぼ全面に形
成し、前記共通電極6上にこの共通電極6と個別電極1
6とを電気的に絶縁する層間絶縁層9を形成し、この層
間絶縁層9上に前記個別電極16および発熱素子10を
形成したこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はサーマルヘッドに係
り、特に、共通電極を保温層上に積層してなるサーマル
ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、サーマルプリンタに搭載され
る記録ヘッドとしてのサーマルヘッドは、発熱抵抗体か
らなる複数個の発熱素子を基板上に1列もしくは複数列
に整列配置し、記録情報にしたがって各発熱素子を選択
的に通電加熱させることにより、感熱記録紙に発色記録
したり、あるいは、インクリボンのインクを溶融させて
普通紙、OHP用紙等の用紙に転写記録する等して各種
の記録媒体に記録を行うようになっている。
【0003】このようなサーマルヘッドの従来のもの
は、図10および図11に示すように、セラミックスま
たはシリコンなどからなる絶縁性を有する基板24を有
しており、この基板24の上面の図11中の右端部近傍
には、断面略円弧状の凸部24aが形成されている。
【0004】そして、前記基板24の上面には保温層2
5が形成されている。この保温層25の上面には、Ta
−SiO2 などのサーメット系からなる発熱抵抗体をス
パッタリングなどにより被着した後に、フッ素系ガスと
酸化ガスとの混合ガスによるプラズマエッチングを施し
て所望のパターンを形成し、これにより、所望の分解能
に対応するドットの数に応じて整列配置された複数の発
熱素子26が設けられている。
【0005】さらに、各発熱素子26の上面の一側(図
11右側)には、共通電極27が形成されており、図1
0に示すように、この共通電極27はサーマルヘッド2
3の外周縁に沿うようにしてコの字状に形成されてい
る。そして、前記共通電極27の2つの端部は共通電極
端子27aとなっており、この共通電極端子27aの上
面には、共通電極端子メッキ27bが形成されている。
【0006】一方、発熱素子26の上面の他側(図11
左側)には、各発熱素子26に独立して通電を行う個別
電極28が形成されている。また、個別電極28と発熱
素子との間には、個別電極28と発熱素子26とを電気
的に接続する個別側接続電極29が形成されている。ま
た、前記個別電極の図11における左端部は、個別電極
端子28aとなっており、この個別電極端子28aの上
面には、個別電極端子メッキ28bが形成されている。
【0007】前記共通電極27および個別電極28は、
アルミニウムまたは銅などを素材とし、スパッタリング
などにより発熱素子26および保温層25の上面に約2
μm程度の厚さで被着した後、エッチングなどにより所
定のパターンに形成されており、各発熱素子26の共通
電極27と個別電極28とに挟まれた部位が発熱部26
aとされている。
【0008】また、保温層25、発熱素子26、共通電
極27および個別電極28の上面には、酸化や摩耗を防
止するための保護層30が形成されている。この保護層
30は、耐酸化性および耐摩耗性の良いサイアロン(S
i−Al−O−N系化合物固溶体)などを素材とし、前
記個別電極端子28aおよび共通電極端子27a以外の
すべての上面を被覆するようにして、スパッタリングな
どにより積層されている。
【0009】そして、以上の構成を有する従来のサーマ
ルヘッド23においては、共通電極27および個別電極
28の間に選択的に通電することによって発熱素子26
を選択的に発熱して、この部位に当接するインクリボン
のインクを記録紙上に転写するか、あるいは直接感熱記
録紙を発色させて所望の記録を行なっていた。
【0010】また、従来のサーマルヘッド23において
は、前述のごとく、基板24の端部に凸状の保温層25
を片寄らせて設け、この保温層25上に発熱部26aを
配設した、いわゆるリアルエッジ化が図られており、こ
のリアルエッジ化されたサーマルヘッド23を用いるこ
とにより、記録品質の向上を達成していた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のサーマ
ルヘッドにおいては、リアルエッジ化のために共通電極
27が基板24の端部と発熱素子26とに挟まれた狭い
ところに極端に細長く形成されていたため、共通電極2
7の素材として銅やアルミニウムを用いても電極抵抗値
が大きく、共通電極27において、いわゆるコモンドロ
ップ(電圧降下)が生じていた。
【0012】さらに、発熱素子26から共通電極端子2
7aまでの通電経路の長さが各発熱素子26ごとに異な
っていたため、発熱素子の配列位置によって共通電極2
7における電圧降下量が異なっていた。このため、発熱
素子26の発熱温度が配列位置によって異なっていた。
【0013】これによって、記録濃度ムラが大きくなる
などの記録品質の低下を生じるという問題点があった。
【0014】そこで、共通電極27の厚さを厚くするこ
とによりコモンドロップの量を低減して記録品質の低下
を防止することが考えられるが、共通電極27の厚さを
厚くした場合には、共通電極27上に位置する保護層2
5が積層しにくくなる上に、記録時のサーマルヘッド2
3とプラテン(図示せず)との圧接力が発熱部とその発
熱部26aに隣位する共通電極27とに集中し、共通電
極27に大きなせん断応力が加わってしまうことになっ
ていた。従って、CuやAlからなる軟質の金属素材に
より形成された共通電極27が材料疲労(金属疲労)を
起こして、保護層25が早期に剥離破壊されて共通電極
27に摩耗や腐食による断線が生じ、寿命が短いという
欠点があった。
【0015】また、発熱素子26の配列方向に各発熱素
子26に隣接した複数個の隣接共通電極を有するいわゆ
る交互リードヘッドとよばれる公知のサーマルヘッドを
用いることで、電圧降下を抑制して各発熱素子26の配
列位置における発熱温度の差をなくすこともできるが、
この場合も、1の発熱素子と隣位の発熱素子との間に隣
接共通電極が形成されているため、かなりの本数の隣接
共通電極が必要とされ、この結果、形成できる発熱素子
の数が制約されてしまうという欠点があった。
【0016】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たもので、サーマルヘッドの共通電極での電圧降下を抑
制することによって、発熱素子に均一な発熱をさせて記
録濃度のムラのない良好な記録画像を得ることができる
サーマルヘッドを提供することを目的とするものであ
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明に係る請求項1に記載のサーマルヘッドの特徴
は、前記共通電極を前記保温層上にほぼ全面に形成し、
前記共通電極上にこの共通電極と個別電極とを電気的に
絶縁する層間絶縁層を形成し、この層間絶縁層上に前記
個別電極および発熱素子を形成した点にある。
【0018】そして、このような構成を採用したことに
より、共通電極が下層にほぼ全面形成されるため、各発
熱素子から共通電極の端子までの通電経路が短縮され、
これによって共通電極における電圧降下量を抑制するこ
とが可能になる。
【0019】前記目的を達成するため本発明に係る請求
項2に記載のサーマルヘッドの特徴は、請求項1におい
て、前記共通電極を高融点金属により形成した点にあ
る。
【0020】そして、このような構成を採用したことに
より、発熱素子の下層に形成された共通電極が、発熱素
子の発熱によって溶融し破損するのを防ぐことが可能に
なる。 前記目的を達成するため本発明に係る請求項3
に記載のサーマルヘッドの特徴は、請求項1において、
前記共通電極を高融点金属からなる発熱素子側電極層
と、低抵抗率の金属からなる共通電極端子側電極層とに
より形成した点にある。
【0021】そして、このような構成を採用したことに
より、発熱素子の下層に位置する発熱素子側電極層にお
いては発熱素子の発熱による共通電極の破損を防ぐこと
ができるとともに、共通電極端子側電極層においては、
通電抵抗が著しく小さいため、共通電極による電圧降下
を規制し、発熱素子に均一な発熱を行なわせることが可
能になる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
乃至図9参照して説明する。
【0023】なお、図1では、説明の便宜上実際のもの
と比して極端に本数の少ない5ドット分の発熱素子10
を有するサーマルヘッド1を例にして説明する。
【0024】図2に示すように、本実施形態におけるサ
ーマルヘッド1は、略平板状の基板4を有している。ま
た、この基板4の図2において右端部近傍には、断面略
台形状の凸部4aが形成されている。
【0025】前記基板4の上面には、保温層(蓄熱層)
5が形成されている。この保温層5は、従来と同様に、
高融点ガラスを主成分としている。
【0026】前記保温層5の上面には、共通電極として
の下層共通電極6が形成されている。この下層共通電極
6の形成範囲は、図2において右方に示す、発熱素子1
0が形成されている側の端部(以下、発熱素子側端部と
する)から、前記凸部4a上方を経て、図3において左
方に示す共通電極端子14および図2の左方に示す個別
電極端子18の形成されている側の端部(以下、電極端
子側端部とする)の近傍までとなっている。すなわち、
前記下層共通電極6は保温層5の上面にほぼ全面に形成
されている。また、この下層共通電極6は、発熱素子側
電極層7と共通電極端子側電極層8とによる2層構造に
よって形成されている。
【0027】前記発熱素子側電極層7は、前記保温層5
の上面に、発熱素子側端部から電極端子側端部の手前に
かかる範囲にわたって均一な厚さで形成されている。こ
の発熱素子側電極層7の厚さは、熱応答特性への影響を
小さくさせるために薄い厚さで形成されており、好まし
くは0.15μm程度の厚さとされている。また、前記
発熱素子側電極層7は、高温を発する発熱素子10の下
方に配置されるため、この発熱素子10の発熱温度によ
って溶融し破損しない高融点金属、例えばCr、Mo、
Ti、Zr、Ta、Nb、W、Hfなどの融点1500
℃以上の高融点金属によって形成されている。さらに、
前記発熱素子側電極層7の、発熱素子の配列方向(図1
の紙面横方向)の幅は、基板4の同方向の幅よりもやや
狭い幅とされている。
【0028】また、前記共通電極端子側電極層8は、前
記発熱素子側電極層7の電極端子側(図2の左側)の端
部上面から、前記保温層5の上面であって電極端子側端
部近傍にかかる範囲にわたって形成されている。この共
通電極端子側電極層8は、低抵抗率の金属によってやや
厚く形成されており、好ましくはAl、Cu、Au、N
i等の抵抗率1×10-9Ωm以下の金属によって1.0
〜3.0μm程度の厚さに形成されている。また、前記
共通電極端子側電極層8の図2にて紙面垂直方向の幅
は、前記発熱素子側電極層7の同方向の幅よりも大きく
形成されている。
【0029】次に、前記発熱素子側電極層7および前記
共通電極端子側電極層8の上面には、層間絶縁層9が形
成されている。この層間絶縁層9は絶縁性を確実に保持
できるようにSiの酸化物または窒酸化物によって形成
されている。また、この層間絶縁層9の厚さは、1.5
μm程度となっている。
【0030】前記層間絶縁層9の発熱素子側端部には、
発熱素子側接続部11が形成されている。そして、この
発熱素子側接続部11によって露出した発熱素子側電極
層7の上面には、Mo,Cr,Ti等の高融点金属から
なる共通側接続電極15が形成されている。そして、こ
の共通側接続電極15には、上層の発熱素子10が接続
されている。したがって、この発熱素子側接続部11の
内部において、下層側の発熱素子側電極層7と上層側の
発熱素子10とが電気的に接続されるようになってい
る。なお、この発熱素子側接続部11の図2における紙
面垂直方向の形成範囲は、発熱素子側電極層7の同方向
の形成範囲とほぼ同一となっている。
【0031】さらに、前記層間絶縁層9の電極端子側で
あって図2の紙面垂直方向両端部には、図3に示す共通
電極端子側接続部12が形成されている。そして、この
共通電極端子側接続部12によって露出した共通電極端
子側電極層8の上面には、Al等の導電性の良好な金属
からなる端子接続電極13が形成されている。そして、
この端子接続電極13の図3における左端部は、共通電
極端子14となっており、この共通電極端子14の上部
には共通電極端子メッキ14aが形成されている。した
がって、前記共通電極端子側接続部12の内部におい
て、前記共通電極端子側電極層8と共通電極端子14と
が電気的に接続されるようになっている。
【0032】そして、前記層間絶縁層9の上面であって
前記凸部4aの上方に対応する位置には、Ta−SiO
2からなる前記発熱素子10が形成されている。この発
熱素子10は、サーマルヘッド1の所望の分解能に対応
するドットの数に応じて図1における紙面横方向に整列
配置されるようになっている。
【0033】なお、前述したように、前記下層共通電極
6は保温層5の上面にほぼ全面形成されているが、これ
に限る必要はなく、各発熱素子10と共通電極端子14
との距離がほぼ均等な長さになる導電経路が形成される
ような形状のものであればよい。前記層間絶縁層9の上
面であって前記発熱素子10の左端部近傍から図2にお
ける左端部にかかる範囲には、Al、Cu等の導電性の
良好な金属からなる個別電極16が形成されている。こ
の個別電極16の底面であって図2における右端部に
は、Mo、Cr、Ti等の高融点金属からなる個別側接
続電極17が形成されている。そして、この個別側接続
電極17の一端は前記発熱素子10の上面に接続されて
いる。したがって、前記発熱素子10と個別電極16と
が電気的に接続されるようになっている。さらに、この
個別電極16の図2における左端部は、個別電極端子1
8となっている。そして、この個別電極端子18の上部
には個別電極端子メッキ18aが形成されている。
【0034】次に、前記発熱素子10、個別電極16、
共通側接続電極15、個別側接続電極17、層間絶縁層
9、端子接続電極13、発熱素子側電極層7および保温
層5の上部には、これらを酸化あるいは摩耗などから保
護するための保護層19が形成されている。この保護層
19は、耐酸化性および耐摩耗性の良好なサイアロン
(Si−Al−O−N系化合物固溶体)またはSi−O
−N系化合物などからなる。
【0035】なお、図2は、凸部4aが形成されたSi
基板を用いたものであるが、本発明はこれに限定するも
のではなく、例えば図4に示すように水平なセラミック
ス基板20の一部にグレーズ層からなる凸形状部21を
設けたサーマルヘッド22にも対応するものである。
【0036】次に本発明に係るサーマルヘッド1の製造
方法について図5乃至図9を参照して説明する。
【0037】本実施の形態のサーマルヘッド1の製造方
法は、従来と同様にして一枚の大きな基板4上に複数個
のサーマルヘッド1を同時に形成し、その大きな基板4
を所望の位置にて分割することにより複数個のサーマル
ヘッド1が同時に得られるようになっている。
【0038】本実施の形態のサーマルヘッド1の製造方
法は、まず、基板形成工程において、従来と同様にして
平板状に形成されたシリコンをエッチングして凸部4a
を有する基板4が形成され、ついで、保温層形成工程に
おいて、従来と同様にして基板4の上面にシリコンと遷
移金属と酸素との酸化物からなる、図5に示す略一様の
厚さの保温層5が形成される。次に、共通電極形成工程
のうち、まず、発熱素子側電極層形成工程により、基板
4および保温層5の上面に、Cr、Mo、Ti、Zr、
Ta、Nb、W、Hfなどからなる融点1500℃以上
の高融点金属をスパッタリングなどにより0.15μm
程度の均一な厚さに被着した後、エッチングにより、所
望のパターンの下層共通電極6の一部としての、図6に
示す発熱素子側電極層7を形成する。この時、発熱素子
側電極層7の外周縁を基板4の外周縁より小さく形成す
ることが、発熱素子側電極層7の不必要なショートを防
止するうえで好ましい。
【0039】次に、共通電極形成工程のうち、共通電極
端子側電極層形成工程により、保温層5および発熱素子
側電極層7の上面にAl、Cu、Au、Ni等の抵抗率
1×10-9Ωm以下の導電性の良好な金属をスパッタリ
ングなどにより1〜3μm程度の均一な厚さに被着した
後、エッチングにより下層共通電極6の一部としての、
図7に示す前記共通電極端子側電極層8を形成する。
【0040】次に、層間絶縁層形成工程において、発熱
素子側電極層7および共通電極端子側電極層8の上面に
発熱素子側接続部11および共通電極端子側接続部12
を有する層間絶縁層9を形成する。
【0041】この層間絶縁層形成工程について更に詳し
く説明する。
【0042】前記層間絶縁層形成工程は、まず、成膜工
程において、発熱素子側電極層7および共通電極端子側
電極層8の上面にSiO2 またはSi−O−N系化合物
などからなる素材を公知のスパッタリングまたはCVD
などにより1.0〜3.0μm程度の均一な厚さに全面
成膜して、図8に示す層間絶縁層9を形成する。
【0043】次に、エッチング工程において、層間絶縁
層9の上面の全面にフォトレジストをスピンナーなどで
塗布してレジスト膜を形成した後、バッファードフッ酸
(BHF)などで層間絶縁層9をエッチングして所望の
位置に、図9に示す発熱素子側接続部11および共通電
極端子側接続部12を形成する。
【0044】次に、発熱素子形成工程において、従来と
同様に、Ta2 NまたはTa−SiO2 などからなる所
望の発熱抵抗体をスパッタリングなどにより0.3μm
程度の均一な厚さに被着した後、フォトリソによるエッ
チングを施して分解能に対応するようにして所望のドッ
トの数に応じて整列配置された所定形状の複数の発熱素
子10を形成する。このとき、各発熱素子10の一側
(図2右側)は、前記発熱素子側接続部11により露出
している発熱素子側電極層7の上面に近接した状態にな
っている。
【0045】次に、共通側接続電極形成工程において、
Mo,Cr、Ti等の高融点金属をスパッタリングなど
により被着し、エッチング等によって前記発熱素子10
と発熱素子側電極層7とにかかる所望のパターンの共通
側接続電極15を形成する。
【0046】次に、個別側接続電極形成工程において、
Mo,Cr、Ti等の高融点金属をスパッタリングなど
により被着し、エッチング等によって前記発熱素子10
と後述する個別電極16とにかかる所望のパターンの個
別側接続電極17を形成する。
【0047】次に、個別電極形成工程において、Al等
をスパッタリングなどにより例えば1〜3μm程度の厚
さに被着した後、個別側接続電極17の一側(図2左
側)に、各発熱素子10に接続され独立して通電を行う
所望のパターンの個別電極16を形成する。
【0048】次に、端子接続電極形成工程において、A
lなどの良好な導電性を有する金属をスパッタリングな
どにより例えば0.1μm程度の均一な厚さに被着した
後、公知のエッチングにより、共通電極端子側接続部1
2内部において前記共通電極端子側電極層8と電気的に
接続された所望のパターンの端子接続電極13を形成す
る。
【0049】次に、保護層形成工程において、共通電極
端子14および個別電極端子18を除いてサイアロン
(Si−Al−O−N系化合物固溶体)またはSi−O
−N系化合物などからなる素材を例えば5〜10μm程
度の略一様な厚さにスパッタリング、CVDなどにより
被着することにより保護層19が形成され、ついで、ダ
イシング工程により、大きな基板4を所望の位置にて分
割してチップ化された複数個のサーマルヘッド1を同時
に得ることにより本実施の形態のサーマルヘッド1の製
造が完了する。
【0050】なお、前記共通電極端子14および個別電
極端子18には、保護層19を形成する際に耐熱性の粘
着テープなどによるマスク層が貼り付けられ、保護層1
9を形成した後にこのマスク層を剥離することにより外
部に露出される。そして、この共通電極端子14および
個別電極端子18の上面には、Ni−Sn系化合物など
の易ハンダ性の共通電極端子メッキ14a、および個別
電極端子メッキ18aをそれぞれ形成する。
【0051】次に、本発明の実施形態の作用について熱
転写プリンタを例にとって説明する。
【0052】以上の構成を有する本実施形態のサーマル
ヘッド1は、図示しないサーマルプリンタのキャリッジ
上に搭載して使用する。すなわち、本実施形態のサーマ
ルヘッド1によってキャリッジに装着したリボンカセッ
トのインクリボンを記録紙上に圧接させるとともに、キ
ャリッジを移動させながら記録情報に基づいて発熱素子
10に選択的に通電することによって、発熱素子10上
のインクリボンのインクを記録紙上に溶融転写あるいは
昇華転写して所望の記録に使用する。
【0053】より具体的に説明すると、本実施形態のサ
ーマルヘッド1の前記個別電極端子18と共通電極端子
14には、図示しない通電用のケーブルの一端が接続さ
れており、このケーブルの他端はプリンタ本体の図示し
ない通電制御部に接続されている。そして、この通電制
御部から、ケーブルを介して、記録情報に基づいて本実
施形態の個別電極端子18に通電される。これによっ
て、まず、個別電極端子18から、個別電極16に信号
が伝達され、この個別電極16から、個別側接続電極1
7に電流が伝わる。さらに、この個別側接続電極17か
ら、発熱素子10に電流が伝わる。そして、発熱素子1
0から、さらに電流が共通側接続電極15に伝わり、こ
の共通側接続電極15から、発熱素子10の下層の発熱
素子側電極層7に電流が通れる。
【0054】次に、発熱素子側電極層7から共通電極端
子側電極層8に電流が伝わる。この際、この発熱素子側
電極層7は発熱素子の直下に位置するが、0.15μm
程度の薄い厚さとされているため、熱応答特性への影響
は小さく、また、高融点金属によって形成されているた
め、発熱素子10の熱によって通電が妨げられることも
ない。
【0055】次に、共通電極端子側電極層8から、端子
接続電極13に電流が伝わる。なお、この際、この共通
電極端子側電極層8は良好な導電性金属によって1〜3
μmとやや厚く形成されているため、共通電極端子側電
極層8の図1において横方向の通電抵抗をほとんど無視
できる状態で、端子接続電極13への通電が行なわれ
る。
【0056】そして、前記端子接続電極13から共通電
極端子14に電流が伝わり、そして、この共通電極端子
14からサーマルヘッド1の外部に電流が流れていく。
このようにして、通電制御部からの命令による通電流
が、個別電極端子16から、発熱素子10を介して共通
電極端子14に流れることにより、発熱素子10が抵抗
熱によって発熱することになる。
【0057】したがって、本発明の実施形態によれば、
発熱素子側電極層7と共通電極端子側電極層8との2層
構造からなる下層共通電極6が発熱素子10の下層に形
成されていることによって、発熱素子10と共通電極端
子14との通電経路が従来に比べて短く、導電性の良好
な共通電極端子側電極層8においては、図1におけるサ
ーマルヘッド1の配列方向の通電抵抗は無視することが
できるほど小さいため、下層共通電極6全体として通電
抵抗が従来の共通電極における通電抵抗に比較して著し
く少なくなり、従来より問題とされていた共通電極にお
ける電圧降下(コモンドロップ)を抑制することができ
る。
【0058】これによって、共通電極端子14と発熱素
子10との通電経路の長さに影響されずに発熱素子10
に均一な通電を行なうことができ、各発熱素子10が均
一な温度で発熱するため記録濃度のムラのない良好な記
録画像を得ることができる。
【0059】なお、本発明は前記実施の形態のものに限
定されるものではなく、必要に応じて種々変更すること
が可能である。
【0060】例えば、本実施形態では、前記下層共通電
極6を、共通電極端子側電極層8と発熱素子側電極層7
の2相構造により形成しているが、前記共通電極端子側
電極層8と前記発熱素子側電極層7とを、高融点かつ高
導電率性を有する1種類の金属、あるいは、少なくとも
高融点性を有する1種類の金属によって同一の形成工程
において形成するようにしてもよい。
【0061】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の請求項1に
係るサーマルヘッドによれば、サーマルヘッドの共通電
極での電圧降下を抑制することによって発熱素子に均一
な発熱をさせて記録濃度のムラのない良好な記録画像を
得ることができる。
【0062】また、本発明の請求項2に係るサーマルヘ
ッドによれば、請求項1に記載のサーマルヘッドの効果
に加えて、発熱素子の下層に形成された共通電極が、発
熱素子の発熱によって溶融し破損するのを防ぐことが可
能になる。また、本発明の請求項3に係るサーマルヘッ
ドによれば、請求項1に記載のサーマルヘッドの効果に
加えて、発熱素子の下層に位置する発熱素子側電極層に
おいては発熱素子の発熱による共通電極の破損を防ぐこ
とができるとともに、共通電極端子側電極層において
は、通電抵抗が著しく小さいため、共通電極による電圧
降下を規制し、発熱素子により均一な発熱を行なわせる
ことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るサーマルヘッドの実施形態を示
す平面図
【図2】 図1のサーマルヘッドの2−2線に沿った断
面図
【図3】 図1のサーマルヘッドの3−3線に沿った断
面図
【図4】 本発明に係るサーマルヘッドの実施形態の一
例として基板にグレーズ層を形成したサーマルヘッドを
示す断面図
【図5】 図1のサーマルヘッドの製造工程のうち保温
層の形成状態を示す平面図
【図6】 図1のサーマルヘッドの製造工程のうち発熱
素子側電極層の形成状態を示す平面図
【図7】 図1のサーマルヘッドの製造工程のうち共通
電極端子側電極層の形成状態を示す平面図
【図8】 図1のサーマルヘッドの製造工程のうち層間
絶縁層の形成状態を示す平面図
【図9】 図1のサーマルヘッドの製造工程のうち発熱
素子側接続部と共通電極端子側接続部の形成状態を示す
平面図
【図10】 従来のサーマルヘッドを示す平面図
【図11】 図10に示した従来のサーマルヘッドの1
1−11線に沿った断面図
【符号の説明】
1 サーマルヘッド 6 下層共通電極 7 発熱素子側電極層 8 共通電極端子側電極層 9 層間絶縁層 11 熱素子側接続部 12 共通電極端子側接続部 14 共通電極端子 16 個別電極 18 個別電極端子

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の上面に保温層を形成し、この保温
    層の上方に複数の発熱素子を形成するとともに、これら
    の各発熱素子に電気的に接続される個別電極および共通
    電極を形成したサーマルヘッドであって、前記共通電極
    を前記保温層上にほぼ全面に形成し、前記共通電極上に
    この共通電極と個別電極とを電気的に絶縁する層間絶縁
    層を形成し、この層間絶縁層上に前記個別電極および発
    熱素子を形成したことを特徴とするサーマルヘッド。
  2. 【請求項2】 前記共通電極を高融点金属により形成し
    たことを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッド。
  3. 【請求項3】 前記共通電極を高融点金属からなる発熱
    素子側電極層と、低抵抗率の金属からなる共通電極端子
    側電極層とにより形成したことを特徴とする請求項1に
    記載のサーマルヘッド。
JP12586598A 1998-05-08 1998-05-08 サーマルヘッド Ceased JPH11314391A (ja)

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DE69907063T DE69907063T2 (de) 1998-05-08 1999-05-05 Thermokopf
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6330014B1 (en) 1999-04-09 2001-12-11 Alps Electric Co., Ltd. Thermal head manufactured by sequentially laminating conductive layer, layer insulating layer and heater element on heat insulating layer

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6330014B1 (en) 1999-04-09 2001-12-11 Alps Electric Co., Ltd. Thermal head manufactured by sequentially laminating conductive layer, layer insulating layer and heater element on heat insulating layer

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