JP3313953B2 - サーマルヘッド - Google Patents
サーマルヘッドInfo
- Publication number
- JP3313953B2 JP3313953B2 JP26407295A JP26407295A JP3313953B2 JP 3313953 B2 JP3313953 B2 JP 3313953B2 JP 26407295 A JP26407295 A JP 26407295A JP 26407295 A JP26407295 A JP 26407295A JP 3313953 B2 JP3313953 B2 JP 3313953B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- thermal head
- protective layer
- wear
- heat
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Electronic Switches (AREA)
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明はサーマルヘッドに係
り、特に、表面に保護層を有し、この保護層の耐摩耗性
を著しく向上させることを可能としたサーマルヘッドに
関する。
り、特に、表面に保護層を有し、この保護層の耐摩耗性
を著しく向上させることを可能としたサーマルヘッドに
関する。
【０００２】
【従来の技術】一般に、感熱プリンタ、熱転写プリンタ
等のサーマルプリンタに搭載されるサーマルヘッドは、
例えば、複数の発熱抵抗体を絶縁性基板上に直線的に整
列配置し、印字情報に基づいて前記各発熱抵抗体を選択
的に通電加熱させて、感熱プリンタにおいてはサーマル
紙といわれる感熱記録紙に発色記録させるか、また、熱
転写プリンタにおいては、インクリボンのインクを溶融
して普通紙に転写記録させるようになっている。
等のサーマルプリンタに搭載されるサーマルヘッドは、
例えば、複数の発熱抵抗体を絶縁性基板上に直線的に整
列配置し、印字情報に基づいて前記各発熱抵抗体を選択
的に通電加熱させて、感熱プリンタにおいてはサーマル
紙といわれる感熱記録紙に発色記録させるか、また、熱
転写プリンタにおいては、インクリボンのインクを溶融
して普通紙に転写記録させるようになっている。
【０００３】図４はこのような従来のサーマルヘッドを
示したものであり、アルミナ等の絶縁性材料からなる基
板１の上面には、耐熱ガラスやＳｉＯ2 等の熱伝導性の
低い材料からなり保温層として機能する保温層２が形成
されており、この保温層２は、その一部が上方に突出す
るように形成されるとともに、この突出部分からさらに
上方に突出する凸部３が形成されている。この保温層２
の前記凸部３の上面には、Ｔａ2 ＮやＴａ−ＳｉＯ2 等
の材料からなる複数の発熱抵抗体４が、蒸着、スパッタ
リング等により積層後にフォトリソグラフィ技術により
所定パターンにエッチングを行なうことにより直線状に
整列するように形成されている。
示したものであり、アルミナ等の絶縁性材料からなる基
板１の上面には、耐熱ガラスやＳｉＯ2 等の熱伝導性の
低い材料からなり保温層として機能する保温層２が形成
されており、この保温層２は、その一部が上方に突出す
るように形成されるとともに、この突出部分からさらに
上方に突出する凸部３が形成されている。この保温層２
の前記凸部３の上面には、Ｔａ2 ＮやＴａ−ＳｉＯ2 等
の材料からなる複数の発熱抵抗体４が、蒸着、スパッタ
リング等により積層後にフォトリソグラフィ技術により
所定パターンにエッチングを行なうことにより直線状に
整列するように形成されている。
【０００４】また、前記各発熱抵抗体４の両側の上面に
は、各発熱抵抗体４に対してそれぞれ個別に接続される
個別電極５および前記各発熱抵抗体４のすべてに接続さ
れる共通電極６がそれぞれ形成されており、これら各電
極５，６は、例えば、Ａｌ、Ｃｕ、Ａｕ等の軟質金属か
らなり、蒸着、スパッタリング等により積層された後に
フォトリソグラフィ技術によりエッチングを行なうこと
により所望の形状のパターンに形成されている。そし
て、前記各発熱抵抗体４は、前記共通電極６および個別
電極５の間に、最小印字単位たる１ドットに相当分の発
熱部を露出するようにして各個独立に形成されるように
なっている。
は、各発熱抵抗体４に対してそれぞれ個別に接続される
個別電極５および前記各発熱抵抗体４のすべてに接続さ
れる共通電極６がそれぞれ形成されており、これら各電
極５，６は、例えば、Ａｌ、Ｃｕ、Ａｕ等の軟質金属か
らなり、蒸着、スパッタリング等により積層された後に
フォトリソグラフィ技術によりエッチングを行なうこと
により所望の形状のパターンに形成されている。そし
て、前記各発熱抵抗体４は、前記共通電極６および個別
電極５の間に、最小印字単位たる１ドットに相当分の発
熱部を露出するようにして各個独立に形成されるように
なっている。
【０００５】さらに、前記基板１、保温層２、各発熱抵
抗体４および各電極５，６の上面には、各発熱抵抗体４
および各電極５，６を保護する保護層７が約７〜１０μ
ｍの膜厚に積層されており、この保護層７は、各電極
５，６の端子部以外のすべての部分を被覆するようにな
されている。この保護層７は、発熱抵抗体４を酸化によ
る劣化から保護するＳｉＯ2 等からなる約２μｍの膜厚
の耐酸化層８と、この耐酸化層８上に積層され感熱記録
紙、インクリボン等の感熱記録部材との接触による摩耗
から各発熱抵抗体４および各電極５，６を保護するＴａ
2 Ｏ5 等からなる約５〜８μｍの膜厚の耐摩耗層９とか
ら構成されている。この保護層７は、前記各電極５，６
の端子部以外の表面のすべてを被覆するようになされて
おり、この保護層７の耐酸化層８および耐摩耗層９は、
スパッタリング等の手段により順次形成されるものであ
る。
抗体４および各電極５，６の上面には、各発熱抵抗体４
および各電極５，６を保護する保護層７が約７〜１０μ
ｍの膜厚に積層されており、この保護層７は、各電極
５，６の端子部以外のすべての部分を被覆するようにな
されている。この保護層７は、発熱抵抗体４を酸化によ
る劣化から保護するＳｉＯ2 等からなる約２μｍの膜厚
の耐酸化層８と、この耐酸化層８上に積層され感熱記録
紙、インクリボン等の感熱記録部材との接触による摩耗
から各発熱抵抗体４および各電極５，６を保護するＴａ
2 Ｏ5 等からなる約５〜８μｍの膜厚の耐摩耗層９とか
ら構成されている。この保護層７は、前記各電極５，６
の端子部以外の表面のすべてを被覆するようになされて
おり、この保護層７の耐酸化層８および耐摩耗層９は、
スパッタリング等の手段により順次形成されるものであ
る。
【０００６】このような従来のサーマルヘッドにおいて
は、所定の印字情報に基づいて前記個別電極５に選択的
に通電することにより、対応する発熱抵抗体４の発熱部
を発熱させ、用紙に対してインクリボンのインクを溶融
転写記録させて所望の印字を行なうようになっている。
は、所定の印字情報に基づいて前記個別電極５に選択的
に通電することにより、対応する発熱抵抗体４の発熱部
を発熱させ、用紙に対してインクリボンのインクを溶融
転写記録させて所望の印字を行なうようになっている。
【０００７】また、近年、このようなサーマルヘッドに
おいて、印字の高品質化が要求されてきており、この印
字の高品質化に対応するため、従来は、サーマルヘッド
の発熱抵抗体４の中心からインクリボンの剥離を行なう
基板１の端部までの寸法を小さく形成するとともに、保
温層２の凸部３を大きく突出させて、この凸部３の上に
発熱抵抗体４を形成するようにしている。
おいて、印字の高品質化が要求されてきており、この印
字の高品質化に対応するため、従来は、サーマルヘッド
の発熱抵抗体４の中心からインクリボンの剥離を行なう
基板１の端部までの寸法を小さく形成するとともに、保
温層２の凸部３を大きく突出させて、この凸部３の上に
発熱抵抗体４を形成するようにしている。
【０００８】このように構成することにより、発熱抵抗
体４の発熱により溶融されたインクリボンのインクが冷
却固化する前に用紙からインクリボンを剥離することが
できるとともに、サーマルヘッドの発熱部にプラテンの
圧接荷重が集中的に作用するため、インクリボンを用い
ての用紙への良好な印字を行なうことができるものであ
る。
体４の発熱により溶融されたインクリボンのインクが冷
却固化する前に用紙からインクリボンを剥離することが
できるとともに、サーマルヘッドの発熱部にプラテンの
圧接荷重が集中的に作用するため、インクリボンを用い
ての用紙への良好な印字を行なうことができるものであ
る。
【０００９】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記従来のサ
ーマルヘッドにおいては、インクリボンを用いた印字品
質は向上されるが、インクリボンを用いない感熱記録紙
への印字の際には、保護層７の摩耗が大きくなってしま
い、サーマルヘッドの損傷が生じてしまうという問題が
ある。
ーマルヘッドにおいては、インクリボンを用いた印字品
質は向上されるが、インクリボンを用いない感熱記録紙
への印字の際には、保護層７の摩耗が大きくなってしま
い、サーマルヘッドの損傷が生じてしまうという問題が
ある。
【００１０】これは、一般に、感熱記録紙には、ＣａＣ
Ｏ3 、ＳｉＯ2 等が含まれており、Ｔａ2 Ｏ5 等からな
る保護層７が、前記感熱記録紙のＣａＣＯ3 、ＳｉＯ2
等との摩擦により破壊されやすい性質を有しているため
である。
Ｏ3 、ＳｉＯ2 等が含まれており、Ｔａ2 Ｏ5 等からな
る保護層７が、前記感熱記録紙のＣａＣＯ3 、ＳｉＯ2
等との摩擦により破壊されやすい性質を有しているため
である。
【００１１】このため、感熱記録紙への印字を行なった
場合でも、サーマルヘッドの保護層７が摩耗しないよう
に、保温層２の凸部３の形状、保護層７の膜厚を変化さ
せる必要があり、このようにすると、インクリボンを用
いた印字品質が劣化してしまうという問題を有してい
る。
場合でも、サーマルヘッドの保護層７が摩耗しないよう
に、保温層２の凸部３の形状、保護層７の膜厚を変化さ
せる必要があり、このようにすると、インクリボンを用
いた印字品質が劣化してしまうという問題を有してい
る。
【００１２】本発明は前記した点に鑑みてなされたもの
であり、インクリボンを用いた印字品質を低下させるこ
となく、感熱記録紙に対する耐摩耗性を著しく向上させ
ることのできるサーマルヘッドを提供することを目的と
するものである。
であり、インクリボンを用いた印字品質を低下させるこ
となく、感熱記録紙に対する耐摩耗性を著しく向上させ
ることのできるサーマルヘッドを提供することを目的と
するものである。
【００１３】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
請求項１に記載の発明に係るサーマルヘッドは、基板上
に保温層を形成し、この保温層上に複数の発熱抵抗体を
形成するとともに、対応する発熱抵抗体に個別に接続さ
れる複数の個別電極および前記各発熱抵抗体のすべてに
接続される共通電極を形成し、前記基板、保温層、各発
熱抵抗体および各電極を保護する保護層を形成してなる
サーマルヘッドであって、前記保護層を、ＳｉＯ2 から
なる下層と、ＣｒＣ、ＴｉＣとＳｉＯ2 との混合体から
なる上層とから形成したことを特徴とするものである。
請求項１に記載の発明に係るサーマルヘッドは、基板上
に保温層を形成し、この保温層上に複数の発熱抵抗体を
形成するとともに、対応する発熱抵抗体に個別に接続さ
れる複数の個別電極および前記各発熱抵抗体のすべてに
接続される共通電極を形成し、前記基板、保温層、各発
熱抵抗体および各電極を保護する保護層を形成してなる
サーマルヘッドであって、前記保護層を、ＳｉＯ2 から
なる下層と、ＣｒＣ、ＴｉＣとＳｉＯ2 との混合体から
なる上層とから形成したことを特徴とするものである。
【００１４】また、請求項２に記載の発明は、基板上に
保温層を形成し、この保温層上に複数の発熱抵抗体を形
成するとともに、対応する発熱抵抗体に個別に接続され
る複数の個別電極および前記各発熱抵抗体のすべてに接
続される共通電極を形成し、前記基板、保温層、各発熱
抵抗体および各電極を保護する保護層を形成してなるサ
ーマルヘッドであって、前記保護層を、ＡｌＮからなる
下層と、ＣｒＣ、ＴｉＣとＡｌ2 Ｏ3 との混合体からな
る上層とから形成したことを特徴とするものである。
保温層を形成し、この保温層上に複数の発熱抵抗体を形
成するとともに、対応する発熱抵抗体に個別に接続され
る複数の個別電極および前記各発熱抵抗体のすべてに接
続される共通電極を形成し、前記基板、保温層、各発熱
抵抗体および各電極を保護する保護層を形成してなるサ
ーマルヘッドであって、前記保護層を、ＡｌＮからなる
下層と、ＣｒＣ、ＴｉＣとＡｌ2 Ｏ3 との混合体からな
る上層とから形成したことを特徴とするものである。
【００１５】さらに、請求項３に記載の発明は、請求項
１または請求項２において、前記保護層の上層の上面に
さらに、前記保護層の下層の形成材料により絶縁層を形
成したことを特徴とするものである。
１または請求項２において、前記保護層の上層の上面に
さらに、前記保護層の下層の形成材料により絶縁層を形
成したことを特徴とするものである。
【００１６】
【００１７】本発明に係るサーマルヘッドによれば、Ｃ
ｒＣ、ＴｉＣとＳｉＯ2 またはＡｌ2 Ｏ3 との混合体に
より保護層の上層を形成するものであり、しかも、下層
に、上層に対して密着性の良好なＳｉＯ 2 またはＡｌＮ
を用いているので、上層は、感熱記録紙に対する耐摩耗
性を高く保持しつつ、クラックや剥離等の故障が発生す
ることを確実に防止することができる。また、前記上層
は耐摩耗性と密着性とのバランスが極めて良好であるた
め、保護層の全体の膜厚を薄く形成することができるも
のである。
ｒＣ、ＴｉＣとＳｉＯ2 またはＡｌ2 Ｏ3 との混合体に
より保護層の上層を形成するものであり、しかも、下層
に、上層に対して密着性の良好なＳｉＯ 2 またはＡｌＮ
を用いているので、上層は、感熱記録紙に対する耐摩耗
性を高く保持しつつ、クラックや剥離等の故障が発生す
ることを確実に防止することができる。また、前記上層
は耐摩耗性と密着性とのバランスが極めて良好であるた
め、保護層の全体の膜厚を薄く形成することができるも
のである。
【００１８】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図１
乃至図３を参照して説明する。
乃至図３を参照して説明する。
【００１９】図１は本発明に係るサーマルヘッドの実施
の一形態を示したもので、基板１の上面に形成された保
温層２の上面には、複数の発熱抵抗体４が直線状に整列
するように形成されており、前記各発熱抵抗体４の両側
の上面には、各発熱抵抗体４に対してそれぞれ個別に接
続される個別電極５および前記各発熱抵抗体４のすべて
に接続される共通電極６がそれぞれ形成されている。
の一形態を示したもので、基板１の上面に形成された保
温層２の上面には、複数の発熱抵抗体４が直線状に整列
するように形成されており、前記各発熱抵抗体４の両側
の上面には、各発熱抵抗体４に対してそれぞれ個別に接
続される個別電極５および前記各発熱抵抗体４のすべて
に接続される共通電極６がそれぞれ形成されている。
【００２０】これら基板１、保温層２、各発熱抵抗体４
および各電極５，６の構成は、前記図４に示すものと同
様であるため、同一部分には、同一符号を付して詳細な
説明を省略する。
および各電極５，６の構成は、前記図４に示すものと同
様であるため、同一部分には、同一符号を付して詳細な
説明を省略する。
【００２１】また、前記基板１、保温層２、各発熱抵抗
体４および各電極５，６の上面には、各発熱抵抗体４お
よび各電極５，６を保護する保護層７が積層されてお
り、この保護層７は、発熱抵抗体４を酸化による劣化か
ら保護する耐酸化層８と、この耐酸化層８上に積層され
感熱記録紙、インクリボン等の感熱記録部材との接触に
よる摩耗から各発熱抵抗体４および各電極５，６を保護
する耐摩耗層９とから構成されている。
体４および各電極５，６の上面には、各発熱抵抗体４お
よび各電極５，６を保護する保護層７が積層されてお
り、この保護層７は、発熱抵抗体４を酸化による劣化か
ら保護する耐酸化層８と、この耐酸化層８上に積層され
感熱記録紙、インクリボン等の感熱記録部材との接触に
よる摩耗から各発熱抵抗体４および各電極５，６を保護
する耐摩耗層９とから構成されている。
【００２２】本実施形態においては、前記耐酸化層８
は、絶縁性と耐酸化性と密着性の良好なＳｉまたはＡｌ
等の酸化物であるＳｉ０2 、Ａｌ2 Ｏ3 等、あるいはＳ
ｉまたはＡｌの窒化物であるＳｉ3 Ｎ4 、ＡｌＮ等によ
り形成されており、また、耐摩耗層９は、耐摩耗性の良
好な高融点金属の窒化物であるＣｒＮ、ＴｉＮ等あるい
は高融点金属の炭化物であるＣｒＣ、ＴｉＣ等と、密着
性の良好なＳｉまたはＡｌの酸化物であるＳｉ０2 、Ａ
ｌ2 Ｏ3 等あるいはＳｉまたはＡｌの窒化物であるＳｉ
3 Ｎ4 、ＡｌＮ等との混合体から形成されている。な
お、この耐摩耗層９の耐摩耗性を高めるためには、高融
点金属の窒化物あるいは炭化物の比率を、例えば、５０
％〜９０％程度にすればよい。
は、絶縁性と耐酸化性と密着性の良好なＳｉまたはＡｌ
等の酸化物であるＳｉ０2 、Ａｌ2 Ｏ3 等、あるいはＳ
ｉまたはＡｌの窒化物であるＳｉ3 Ｎ4 、ＡｌＮ等によ
り形成されており、また、耐摩耗層９は、耐摩耗性の良
好な高融点金属の窒化物であるＣｒＮ、ＴｉＮ等あるい
は高融点金属の炭化物であるＣｒＣ、ＴｉＣ等と、密着
性の良好なＳｉまたはＡｌの酸化物であるＳｉ０2 、Ａ
ｌ2 Ｏ3 等あるいはＳｉまたはＡｌの窒化物であるＳｉ
3 Ｎ4 、ＡｌＮ等との混合体から形成されている。な
お、この耐摩耗層９の耐摩耗性を高めるためには、高融
点金属の窒化物あるいは炭化物の比率を、例えば、５０
％〜９０％程度にすればよい。
【００２３】次に、本実施形態の作用について説明す
る。
る。
【００２４】前記耐摩耗層９を構成する高融点金属の窒
化物または炭化物は、感熱記録紙に対して耐摩耗性が極
めて良好であるが、この高融点金属の窒化物または炭化
物は、耐酸化層８に対して熱膨張率が大きく、かつ、硬
度も大きいため、膜の圧縮応力が小さな状態または大き
い状態で用いると、クラックや剥離等の故障が発生しや
すいという問題がある。
化物または炭化物は、感熱記録紙に対して耐摩耗性が極
めて良好であるが、この高融点金属の窒化物または炭化
物は、耐酸化層８に対して熱膨張率が大きく、かつ、硬
度も大きいため、膜の圧縮応力が小さな状態または大き
い状態で用いると、クラックや剥離等の故障が発生しや
すいという問題がある。
【００２５】しかしながら、本実施形態においては、高
融点金属の窒化物または炭化物に、この高融点金属の窒
化物または炭化物に対する密着性に優れ、熱膨張率の小
さいＳｉまたはＡｌの酸化物あるいは窒化物を加えた混
合体により、耐摩耗層９を形成するものであり、しか
も、耐酸化層８に、耐摩耗層９に対して密着性の良好な
ＳｉまたはＡｌの酸化物あるいは窒化物を用いているの
で、耐摩耗層９は、感熱記録紙に対する耐摩耗性を高く
保持しつつ、クラックや剥離等の故障が発生することを
確実に防止することができるものである。
融点金属の窒化物または炭化物に、この高融点金属の窒
化物または炭化物に対する密着性に優れ、熱膨張率の小
さいＳｉまたはＡｌの酸化物あるいは窒化物を加えた混
合体により、耐摩耗層９を形成するものであり、しか
も、耐酸化層８に、耐摩耗層９に対して密着性の良好な
ＳｉまたはＡｌの酸化物あるいは窒化物を用いているの
で、耐摩耗層９は、感熱記録紙に対する耐摩耗性を高く
保持しつつ、クラックや剥離等の故障が発生することを
確実に防止することができるものである。
【００２６】また、前記耐摩耗層９は、前述のように耐
摩耗性に優れる高融点金属の窒化物または炭化物と、こ
れに対する密着性に優れ熱膨張率の小さいＳｉまたはＡ
ｌの酸化物あるいは窒化物とを加えた混合体により形成
しており、耐摩耗性と密着性とのバランスが極めて良好
であるため、例えば、耐酸化層８の膜厚が１μｍ、耐摩
耗層９の膜厚が３〜４μｍ程度で十分な効果を得ること
ができ、これにより、保護層７の全体の膜厚を、従来の
７〜１０μｍから４〜５μｍ程度に薄く形成することが
可能となる。
摩耗性に優れる高融点金属の窒化物または炭化物と、こ
れに対する密着性に優れ熱膨張率の小さいＳｉまたはＡ
ｌの酸化物あるいは窒化物とを加えた混合体により形成
しており、耐摩耗性と密着性とのバランスが極めて良好
であるため、例えば、耐酸化層８の膜厚が１μｍ、耐摩
耗層９の膜厚が３〜４μｍ程度で十分な効果を得ること
ができ、これにより、保護層７の全体の膜厚を、従来の
７〜１０μｍから４〜５μｍ程度に薄く形成することが
可能となる。
【００２７】また、図２は本発明のサーマルヘッドと従
来のサーマルヘッドを用いて、感熱記録紙（富士写真フ
ィルム株式会社製Ｆ５０ＵＪ）に対して印字速度を１０
０ｃｐｓ、サーマルヘッドのプラテンへの圧接圧を９０
０ｇとして印字を行ない、この場合におけるサーマルヘ
ッドの走行距離と保護層７の摩耗寸法を測定した実験結
果を示したものである。
来のサーマルヘッドを用いて、感熱記録紙（富士写真フ
ィルム株式会社製Ｆ５０ＵＪ）に対して印字速度を１０
０ｃｐｓ、サーマルヘッドのプラテンへの圧接圧を９０
０ｇとして印字を行ない、この場合におけるサーマルヘ
ッドの走行距離と保護層７の摩耗寸法を測定した実験結
果を示したものである。
【００２８】この実験結果によれば、本発明のサーマル
ヘッドの保護層７の摩耗寸法は、従来のサーマルヘッド
の保護層７の摩耗寸法に比較して、約１／５程度の摩耗
寸法であることを示しており、本発明のサーマルヘッド
は、耐摩耗性が著しく向上していることがわかる。
ヘッドの保護層７の摩耗寸法は、従来のサーマルヘッド
の保護層７の摩耗寸法に比較して、約１／５程度の摩耗
寸法であることを示しており、本発明のサーマルヘッド
は、耐摩耗性が著しく向上していることがわかる。
【００２９】したがって、本実施形態においては、高融
点金属の窒化物または炭化物に、この高融点金属の窒化
物または炭化物に対する密着性に優れ熱膨張率の小さい
ＳｉまたはＡｌの酸化物あるいは窒化物を加えた混合体
により、耐摩耗層９を形成し、しかも、耐酸化層８に、
耐摩耗層９に対して密着性の良好なＳｉまたはＡｌの酸
化物あるいは窒化物を用いているので、耐酸化層８に対
する耐摩耗層９の剥離等の発生を確実に防止しつつ、耐
摩耗層９の感熱記録紙に対する耐摩耗性を著しく高める
ことができる。
点金属の窒化物または炭化物に、この高融点金属の窒化
物または炭化物に対する密着性に優れ熱膨張率の小さい
ＳｉまたはＡｌの酸化物あるいは窒化物を加えた混合体
により、耐摩耗層９を形成し、しかも、耐酸化層８に、
耐摩耗層９に対して密着性の良好なＳｉまたはＡｌの酸
化物あるいは窒化物を用いているので、耐酸化層８に対
する耐摩耗層９の剥離等の発生を確実に防止しつつ、耐
摩耗層９の感熱記録紙に対する耐摩耗性を著しく高める
ことができる。
【００３０】また、耐摩耗性と密着性とのバランスが極
めて良好であるため、保護層７の全体の膜厚を薄く形成
することが可能となり、膜形成時間を短縮して、生産効
率を高めることができる。
めて良好であるため、保護層７の全体の膜厚を薄く形成
することが可能となり、膜形成時間を短縮して、生産効
率を高めることができる。
【００３１】また、図３は本発明の実施の他の形態を示
したもので、本実施形態においては、耐摩耗層９の上面
に絶縁層１０を形成するようにしたものであり、その他
の構成は、前記実施形態に示すものと同様であるため、
同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
したもので、本実施形態においては、耐摩耗層９の上面
に絶縁層１０を形成するようにしたものであり、その他
の構成は、前記実施形態に示すものと同様であるため、
同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【００３２】本実施形態において前記絶縁層１０を形成
する手段としては、例えば、前記耐酸化層８の絶縁性材
料および耐摩耗層９の導電性材料をスパッタリング等の
手段により順次形成した後、前記耐酸化層８の材料を用
いて絶縁性酸化膜である絶縁層１０をスパッタリングに
より薄く形成するものがある。また、その他の手段とし
ては、耐摩耗層９の表面を、酸素プラズマ処理により強
制酸化することにより、絶縁層１０を形成するものがあ
る。
する手段としては、例えば、前記耐酸化層８の絶縁性材
料および耐摩耗層９の導電性材料をスパッタリング等の
手段により順次形成した後、前記耐酸化層８の材料を用
いて絶縁性酸化膜である絶縁層１０をスパッタリングに
より薄く形成するものがある。また、その他の手段とし
ては、耐摩耗層９の表面を、酸素プラズマ処理により強
制酸化することにより、絶縁層１０を形成するものがあ
る。
【００３３】一般に、サーマルヘッドを形成する場合
に、各電極５，６と外部の電源とを接続するための外部
接続端子を基板１上に形成するものであり、この外部接
続端子は、Ａｌ電極を亜鉛置換法でＮｉ−Ｓｎメッキ等
することにより形成されるものであるが、前記保護層７
の導電性が高いと外部接続端子以外にもメッキが析出し
やすくなる。しかし、本実施形態においては、耐摩耗層
９の上面に絶縁層１０を形成しているので、耐摩耗層９
部分にメッキが析出してしまうことを確実に防止するこ
とができる。
に、各電極５，６と外部の電源とを接続するための外部
接続端子を基板１上に形成するものであり、この外部接
続端子は、Ａｌ電極を亜鉛置換法でＮｉ−Ｓｎメッキ等
することにより形成されるものであるが、前記保護層７
の導電性が高いと外部接続端子以外にもメッキが析出し
やすくなる。しかし、本実施形態においては、耐摩耗層
９の上面に絶縁層１０を形成しているので、耐摩耗層９
部分にメッキが析出してしまうことを確実に防止するこ
とができる。
【００３４】したがって、本実施形態においても前記実
施形態と同様に、耐酸化層８に対する耐摩耗層９の剥離
等の発生を確実に防止しつつ、耐摩耗層９の感熱記録紙
に対する耐摩耗性を著しく高めることができ、耐摩耗性
と密着性とのバランスを良好にして保護層７の全体の膜
厚を薄く形成することができ、生産効率を著しく高める
ことができる。
施形態と同様に、耐酸化層８に対する耐摩耗層９の剥離
等の発生を確実に防止しつつ、耐摩耗層９の感熱記録紙
に対する耐摩耗性を著しく高めることができ、耐摩耗性
と密着性とのバランスを良好にして保護層７の全体の膜
厚を薄く形成することができ、生産効率を著しく高める
ことができる。
【００３５】なお、本発明は前記各実施形態のものに限
定されるものではなく、必要に応じて種々変更すること
が可能である。
定されるものではなく、必要に応じて種々変更すること
が可能である。
【００３６】
【発明の効果】以上述べたように本発明に係るサーマル
ヘッドは、ＣｒＣ、ＴｉＣとＳｉＯ2またはＡｌ2 Ｏ3
との混合体により保護層の上層を形成し、上層に対して
密着性の良好なＳｉＯ 2 またはＡｌＮにより下層を形成
しているので、下層に対する上層の剥離等の発生を確実
に防止しつつ、上層の感熱記録紙に対する耐摩耗性を著
しく高めることができる。また、耐摩耗性と密着性との
バランスが極めて良好であるため、保護層の全体の膜厚
を薄く形成することが可能となり、膜形成時間を短縮し
て、生産効率を高めることができる等の効果を奏する。
ヘッドは、ＣｒＣ、ＴｉＣとＳｉＯ2またはＡｌ2 Ｏ3
との混合体により保護層の上層を形成し、上層に対して
密着性の良好なＳｉＯ 2 またはＡｌＮにより下層を形成
しているので、下層に対する上層の剥離等の発生を確実
に防止しつつ、上層の感熱記録紙に対する耐摩耗性を著
しく高めることができる。また、耐摩耗性と密着性との
バランスが極めて良好であるため、保護層の全体の膜厚
を薄く形成することが可能となり、膜形成時間を短縮し
て、生産効率を高めることができる等の効果を奏する。
【図１】本発明のサーマルヘッドの一実施形態を示す縦
断面図
断面図
【図２】本発明のサーマルヘッドと従来のサーマルヘッ
ドとの走行距離と保護層の摩耗寸法を測定した実験結果
を示すグラフ
ドとの走行距離と保護層の摩耗寸法を測定した実験結果
を示すグラフ
【図３】本発明のサーマルヘッドの他の実施形態を示す
縦断面図
縦断面図
【図４】従来のサーマルヘッドを示す縦断面図
１ 基板 ２ 保温層 ４ 発熱抵抗体 ５ 個別電極 ６ 共通電極 ７ 保護層 ８ 耐酸化層 ９ 耐摩耗層 １０ 絶縁層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7，ＤＢ名) B41J 2/335
Claims (3)
- 【請求項１】 基板上に保温層を形成し、この保温層上
に複数の発熱抵抗体を形成するとともに、対応する発熱
抵抗体に個別に接続される複数の個別電極および前記各
発熱抵抗体のすべてに接続される共通電極を形成し、前
記基板、保温層、各発熱抵抗体および各電極を保護する
保護層を形成してなるサーマルヘッドであって、前記保
護層を、ＳｉＯ2 からなる下層と、ＣｒＣ、ＴｉＣとＳ
ｉＯ2との混合体からなる上層とから形成したことを特
徴とするサーマルヘッド。 - 【請求項２】 基板上に保温層を形成し、この保温層上
に複数の発熱抵抗体を形成するとともに、対応する発熱
抵抗体に個別に接続される複数の個別電極および前記各
発熱抵抗体のすべてに接続される共通電極を形成し、前
記基板、保温層、各発熱抵抗体および各電極を保護する
保護層を形成してなるサーマルヘッドであって、前記保
護層を、ＡｌＮからなる下層と、ＣｒＣ、ＴｉＣとＡｌ
2 Ｏ3との混合体からなる上層とから形成したことを特
徴とするサーマルヘッド。 - 【請求項３】 前記保護層の上層の上面にさらに、前記
保護層の下層の形成材料により絶縁層を形成したことを
特徴とする請求項１または請求項２に記載のサーマルヘ
ッド。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP26407295A JP3313953B2 (ja) | 1995-10-12 | 1995-10-12 | サーマルヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP26407295A JP3313953B2 (ja) | 1995-10-12 | 1995-10-12 | サーマルヘッド |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09104127A JPH09104127A (ja) | 1997-04-22 |
| JP3313953B2 true JP3313953B2 (ja) | 2002-08-12 |
Family
ID=17398135
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP26407295A Expired - Fee Related JP3313953B2 (ja) | 1995-10-12 | 1995-10-12 | サーマルヘッド |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3313953B2 (ja) |
-
1995
- 1995-10-12 JP JP26407295A patent/JP3313953B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH09104127A (ja) | 1997-04-22 |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JP3069247B2 (ja) | サーマルヘッド | |
| JP3868755B2 (ja) | サーマルヘッド及びその製造方法 | |
| JP3313953B2 (ja) | サーマルヘッド | |
| JPH10250127A (ja) | サーマルヘッド | |
| JP3169518B2 (ja) | サーマルヘッド | |
| JP2895317B2 (ja) | 記録媒体の摺接部品 | |
| JPH10100460A (ja) | サーマルヘッドおよびその製造方法 | |
| JP2837026B2 (ja) | サーマルヘッド | |
| JPH04288244A (ja) | サーマルヘッド | |
| JP3338273B2 (ja) | サーマルヘッド | |
| JP2999909B2 (ja) | サーマルヘッド及びその製造方法並びにこれを用いたサーマルプリンタ | |
| JP7041043B2 (ja) | サーマルヘッドおよびサーマルヘッドの製造方法 | |
| JP2000318196A (ja) | サーマルヘッド | |
| JP2895313B2 (ja) | 記録媒体の摺接部品 | |
| JPH07205465A (ja) | サーマルヘッド及びその製造方法 | |
| JPH0890809A (ja) | サーマルヘッドおよびその製造方法 | |
| JPH0768816A (ja) | サーマルヘッド | |
| JPH0880628A (ja) | サーマルヘッド | |
| JPH08108555A (ja) | サーマルヘッド | |
| JPH05229157A (ja) | サ−マルヘッド | |
| JPH0538832A (ja) | サーマルヘツド | |
| JPH10119336A (ja) | サーマルヘッド及びその製造方法 | |
| JP2001277568A (ja) | サーマルヘッドおよびその製造方法 | |
| JPH11314391A (ja) | サーマルヘッド | |
| JPH06135032A (ja) | サーマルヘッド |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20020122 |
|
| A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20020521 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080531 Year of fee payment: 6 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090531 Year of fee payment: 7 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090531 Year of fee payment: 7 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100531 Year of fee payment: 8 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100531 Year of fee payment: 8 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110531 Year of fee payment: 9 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120531 Year of fee payment: 10 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120531 Year of fee payment: 10 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130531 Year of fee payment: 11 |
|
| FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140531 Year of fee payment: 12 |
|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |