JPH10100460A - サーマルヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

サーマルヘッドおよびその製造方法

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JPH10100460A
JPH10100460A JP20745297A JP20745297A JPH10100460A JP H10100460 A JPH10100460 A JP H10100460A JP 20745297 A JP20745297 A JP 20745297A JP 20745297 A JP20745297 A JP 20745297A JP H10100460 A JPH10100460 A JP H10100460A
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JP
Japan
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layer
insulating layer
interlayer insulating
conductive layer
contact hole
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Withdrawn
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JP20745297A
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English (en)
Inventor
Kyoji Shirakawa
享志 白川
Masakazu Kato
雅一 加藤
Hisafumi Nakatani
壽文 中谷
Kazuyoshi Sasaki
一義 佐々木
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Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 共通電極を多層としながら層間絶縁層の絶縁
性の信頼性が高いサーマルヘッドおよびその製造方法を
提供すること。 【解決手段】 基板11の表面に、保温層12、導電層
13、コンタクトホール14aを備えた層間絶縁層1
4、複数の発熱素子16、各発熱素子16に接続される
個別電極17およびコンタクトホール14aの内部で導
電層13と電気的に接続されるとともに各発熱素子16
に接続される共通電極15を積層形成し、これらの表面
を保護層20により被覆してなるサーマルヘッド10で
あって、導電層13を遷移金属により形成し、層間絶縁
層14を絶縁性セラミックスにより形成するとともに、
層間絶縁層14のコンタクトホール14a以外の部分に
おいて導電層13が外部に露出している露出部13Aを
除去したことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱転写プリンタに
搭載されるサーマルヘッドおよびその製造方法に係り、
特に、層間絶縁層の絶縁性の信頼性が高い電極を多層と
したサーマルヘッドおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、熱転写プリンタに搭載される記
録ヘッドとしてのサーマルヘッドは、発熱抵抗体からな
る複数個の発熱素子を基板上に1列もしくは複数列に整
列配置し、印字情報にしたがって各発熱素子を選択的に
通電加熱させることにより、感熱記録紙に発色記録した
り、あるいは、インクリボンのインクを溶融させて普通
紙、OHP用紙等の用紙に転写記録する等して各種の記
録媒体に記録を行うようになっている。
【0003】このような従来のサーマルヘッドは、基板
の表面の端部に凸状の保温層(蓄熱層)を形成し、この
保温層の表面に発熱抵抗体からなる発熱素子およびこの
発熱素子に通電を行うための電極を形成し、これらの表
面を保護層で被覆することにより形成されているととも
に、基板の端部に凸状の保温層を片寄らせて設け、この
保温層上に発熱部を配設した、いわゆるリアルエッジ化
が図られている。そして、リアルエッジ化されたサーマ
ルヘッドを用いることにより、印字品質の向上を達成し
ている。
【0004】図9はリアルエッジ化された従来のサーマ
ルヘッドの一例を示すものであり、従来のサーマルヘッ
ド1は、セラミックスまたはシリコンなどからなる絶縁
性を有する基板2の表面の端部2aに、高融点ガラスを
主成分とする部分グレーズからなる断面略円弧状の凸状
の保温層3が形成されている。この保温層3の表面に
は、Ta−SiO2 などのサーメット系からなる発熱抵
抗体をスパッタリングなどにより被着した後に、フッ素
系ガスと酸化ガスとの混合ガスによるプラズマエッチン
グを施して所望のパターンを形成し、これにより、所望
の分解能に対応するドットの数に応じて整列配置された
複数の発熱素子4が設けられている。さらに、各発熱素
子4の表面の一側(図9右側)には、共通電極5が形成
されており、各発熱素子4の表面の他側(図9左側)に
は、各発熱素子4に独立して通電を行う個別電極6が形
成されている。また、外部接続端子(図示せず)も共通
電極5および個別電極6と同時に形成されている。
【0005】前記共通電極5および個別電極6は、アル
ミニウムまたは銅などを素材とし、スパッタリングなど
により発熱素子4および保温層3の表面に略2μm程度
の厚さで被着した後、エッチングなどにより所定のパタ
ーンに形成されており、各発熱素子4の共通電極5と個
別電極6とに挟まれた部位が発熱部7とされている。ま
た、共通電極5は、基板2の端部2aと発熱部7との間
に挟まれて細々と形成されている。そして、各発熱素子
4の発熱部7は、共通電極5および個別電極6の間に給
電することにより選択的に発熱可能にされている。
【0006】また、保温層3、発熱素子4、共通電極5
および個別電極6の表面には、酸化や摩耗を防止するた
めの保護層8が形成されている。この保護層8は、各電
極5,6の図示しない外部接続端子の端子部以外のすべ
ての表面を被覆するようにして、耐酸化性および耐摩耗
性の良いサイアロンなどを素材とし、スパッタリングな
どにより積層形成されている。また、図示しない外部接
続端子部の端子部は、あらかじめ耐熱性の粘着テープな
どによるマスク層を形成し、保護層8を形成した後にマ
スク層を剥離することにより外部に露出され、この露出
部した部位には、易ハンダ性の金属メッキが施されるよ
うになっている。
【0007】なお、この種の従来のサーマルヘッド1
は、図示しない一枚の大きな基板上に複数個のサーマル
ヘッド1を同時に形成し、その大きな基板を所望の位置
にて分割することによりサーマルヘッド1が同時に複数
得られる製法が、生産効率などの理由により多用されて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来のサーマルヘッド1においては、リアルエッジ化
のために共通電極5が基板2の端部2aと発熱部7とに
挟まれた狭いところに細々と形成されているので、共通
電極5の素材として銅やアルミニウムを用いても電極抵
抗値が大きくなり、発熱素子列の中央部は電圧降下(コ
モンドロップ)を生じ発熱温度が低下して、印字濃度ム
ラが大きくなるなどの印字品質の低下を生じるという問
題点があった。
【0009】そこで、共通電極5の厚さを厚くすること
によりコモンドロップを低減して印字品質の低下を防止
することが考えられるが、共通電極5の厚さを厚くした
場合には、共通電極5上に位置する保護層8のステップ
カバーレッジが悪い上に、印字時のサーマルヘッド1と
プラテン(図示せず)との圧接力が発熱部7とその発熱
部7に隣位する共通電極5とに集中し、共通電極5へ大
きなせん断応力が加わり、銅やアルミニウムからなる軟
質の金属素材により形成された共通電極5が材料疲労
(金属疲労)を起こして、保護層8が早期に剥離破壊さ
れて共通電極5に摩耗や腐食による断線が生じ、印字寿
命が短いという問題点があった。
【0010】また、熱転写印字によるラフ紙印字品位の
向上には、サーマルヘッド1のプラテン(図示せず)へ
の圧接力をより高めることと、発熱部7の中心からイン
クリボンの引き剥がしを行う基板2の端部2aまでの距
離を極度に小さくした、いわゆるリアルエッジ化をより
図ることが必須条件となる。そして、サーマルヘッド1
のリアルエッジ化をより図ると、共通電極5上には、極
度に大きいせん断応力が繰り返し発生することになり、
印字寿命がより短くなるという問題点があった。
【0011】すなわち、従来のサーマルヘッド1の構成
においては、印字品質と印字寿命とを両立させることが
困難であるという問題点があった。
【0012】このような問題点に対処するためには、基
板2および保温層3の表面に下層共通電極としての導電
層を形成し、この導電層の表面に層間絶縁層を形成し、
この層間絶縁層の表面に複数の発熱素子4と各発熱素子
4に接続される個別電極6および前記導電層と電気的に
接続される上層共通電極としての共通電極5を形成し、
これにより、電極(共通電極)を多層としたサーマルヘ
ッド(図示せず)が考えられるが、このような電極を多
層としたサーマルヘッドにおいては、コンタクトホール
を形成する際にコンタクトホール以外の部位の層間絶縁
層に欠陥となる孔が必ず発生するため、層間絶縁層の絶
縁性の信頼性(信頼度)が低く、導電層と発熱素子4や
各電極5,6とが不必要な部位でショートを多発して、
共通電極5を多層としたサーマルヘッドを実用化するこ
とが困難であるという問題点があった。
【0013】本発明はこれらの点に鑑みてなされたもの
であり、共通電極を多層としながら層間絶縁層の絶縁性
の信頼性が高いサーマルヘッドと、このサーマルヘッド
を歩留まりよく製造することのできるサーマルヘッドの
製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ため、本発明者らは、層間絶縁層の信頼性が高い共通電
極を多層としたサーマルヘッドおよびその製造方法につ
いて鋭意研究を行った結果、層間絶縁層のコンタクトホ
ール以外の部分において導電層が外部に露出している露
出部は、エッチングを施すことにより除去することがで
き、また、熱酸化を施すことにより絶縁性酸化物にする
ことができ、その結果、電極を多層としても下層共通電
極としての導電層と上層共通電極としての共通電極およ
び個別電極、更には発熱素子などが不必要な部位でショ
ートするのを確実に防止できることを見い出し、本発明
を完成したものである。
【0015】すなわち、特許請求の範囲の請求項1に記
載の本発明のサーマルヘッドの特徴は、基板の表面に、
保温層、導電層、コンタクトホールを備えた層間絶縁
層、複数の発熱素子、各発熱素子に接続される個別電極
および前記コンタクトホールの内部で前記導電層と電気
的に接続されるとともに各発熱素子に接続される共通電
極を積層形成し、これらの表面を保護層により被覆して
なるサーマルヘッドであって、前記導電層を遷移金属に
より形成し、前記層間絶縁層を絶縁性セラミックスによ
り形成するとともに、前記層間絶縁層のコンタクトホー
ル以外の部分において前記導電層が外部に露出している
露出部を除去した点にある。
【0016】そして、このような構成を採用したことに
より、導電層が層間絶縁層のコンタクトホール以外の部
分において外部に露出することが皆無となり、下層共通
電極としての導電層と上層共通電極としての共通電極お
よび個別電極、更には発熱素子などとが不必要な部位で
ショートするのを確実に防止できる。
【0017】また、特許請求の範囲の請求項2に記載の
本発明のサーマルヘッドの特徴は、請求項1において、
前記導電層を高融点金属により形成し、前記層間絶縁層
をSiの酸化物または酸窒化物で形成した点にある。
【0018】そして、このような構成を採用したことに
より、導電層は高い耐熱性を確実に保持することがで
き、層間絶縁層は絶縁性を確実に保持することができ
る。
【0019】また、特許請求の範囲の請求項3に記載の
本発明のサーマルヘッドの特徴は、基板の表面に、保温
層、導電層、コンタクトホールを備えた層間絶縁層、複
数の発熱素子、各発熱素子に接続される個別電極および
前記コンタクトホールの内部で前記導電層と電気的に接
続されるとともに各発熱素子に接続される共通電極を積
層形成し、これらの表面を保護層により被覆してなるサ
ーマルヘッドであって、前記導電層を遷移金属、遷移金
属のサーメット、導電性セラミックスよりなる群から選
ばれた一つにより形成し、前記層間絶縁層を絶縁性セラ
ミックスにより形成するとともに、前記層間絶縁層のコ
ンタクトホールの内部に位置する導電層の表面に耐酸化
性を有する導電性金属、耐酸化性を有する導電性金属の
サーメット、導電性セラミックスよりなる群から選ばれ
た一つからなる酸化防止層を形成し、前記層間絶縁層の
コンタクトホール以外の部分において前記導電層が外部
に露出している露出部を絶縁性酸化物とした点にある。
【0020】そして、このような構成を採用したことに
より、導電層が層間絶縁層のコンタクトホール以外の部
分において外部に露出することが皆無となり、下層共通
電極としての導電層と上層共通電極としての共通電極お
よび個別電極、更には発熱素子などとが不必要な部位で
ショートするのを確実に防止できる。
【0021】また、特許請求の範囲の請求項4に記載の
本発明のサーマルヘッドの特徴は、請求項3において、
前記導電層を高融点金属または高融点金属のサーメット
により形成し、前記酸化防止層をSi−Mo合金または
Si−Mo合金のサーメットにより形成し、前記層間絶
縁層をSiの酸化物または酸窒化物で形成した点にあ
る。
【0022】そして、このような構成を採用したことに
より、導電層は高い耐熱性を確実に保持することがで
き、酸化防止層はコンタクトホールの内部に位置する導
電層の表面を酸化から確実に保護することができ、層間
絶縁層は絶縁性を確実に保持することができる。
【0023】また、特許請求の範囲の請求項5に記載の
本発明のサーマルヘッドの特徴は、基板の表面に、保温
層、導電層、コンタクトホールを備えた層間絶縁層、複
数の発熱素子、各発熱素子に接続される個別電極および
前記コンタクトホールの内部で前記導電層と電気的に接
続されるとともに各発熱素子に接続される共通電極を積
層形成し、これらの表面を保護層により被覆してなるサ
ーマルヘッドであって、前記導電層を高融点金属からな
る第1導電層とこの第1導電層の表面に積層された高融
点金属のサーメットからなる第2導電層とにより2層に
形成し、前記層間絶縁層を前記第2導電層の前記層間絶
縁層のコンタクトホール以外の部分を酸化することによ
り得られた第1層間絶縁層とこの第1層間絶縁層の表面
に積層された絶縁性セラミックスよりなる第2層間絶縁
層とにより2層に形成した点にある。
【0024】そして、このような構成を採用したことに
より、第2導電層を酸化することにより得られる第1層
間絶縁層は良質の絶縁性酸化物セラミックスとなるの
で、導電層が層間絶縁層のコンタクトホール以外の部分
において外部に露出することが皆無となり、下層共通電
極としての導電層と上層共通電極としての共通電極およ
び個別電極、更には発熱素子などとが不必要な部位でシ
ョートするのを確実に防止できる。
【0025】また、特許請求の範囲の請求項6に記載の
本発明のサーマルヘッドの特徴は、請求項5において、
前記第1導電層を、Cr、Ti、Mo、Zr、Ta、N
b、W、Hfよりなる群から選ばれた高融点金属の少な
くとも一つから形成し、前記第2導電層を、CrとSi
2 とAl2 3 のサーメット、または、TaとSiO
2 とAl2 3 のサーメットからなる高融点金属のサー
メットにより形成した点にある。
【0026】そして、このような構成を採用したことに
より、第2導電層は酸化によってより良質の絶縁性酸化
物セラミックスとなる。
【0027】また、特許請求の範囲の請求項7に記載の
本発明のサーマルヘッドの特徴は、請求項5または請求
項6において、前記第2層間絶縁層をSiO2 とAl2
3の融合体により形成した点にある。
【0028】そして、このような構成を採用したことに
より、第2層間絶縁層の選択エッチング性が向上し、コ
ンタクトホールを効率よく形成することができる。
【0029】また、特許請求の範囲の請求項8に記載の
本発明のサーマルヘッドの特徴は、請求項5乃至請求項
7の何れか1項において、前記第2層間絶縁層の表面に
高融点金属からなる共通電極および個別電極を形成する
とともに、前記共通電極を前記コンタクトホール部で前
記発熱素子を介して前記第2導電層と電気的に接続した
点にある。
【0030】そして、このような構成を採用したことに
より、共通電極および個別電極の形成精度を向上させる
ことができる。
【0031】また、特許請求の範囲の請求項9に記載の
本発明のサーマルヘッドの特徴は、請求項1乃至請求項
8の何れか1項において、前記保温層を前記基板の一側
に片寄らせた点にある。
【0032】そして、このような構成を採用したことに
より、リアルエッジ化を図り印字品質を向上させること
ができる。
【0033】また、特許請求の範囲の請求項10に記載
の本発明のサーマルヘッドの製造方法の特徴は、基板の
表面に、保温層、導電層、コンタクトホールを備えた層
間絶縁層、複数の発熱素子、各発熱素子に接続される個
別電極および前記コンタクトホールの内部で前記導電層
と電気的に接続されるとともに各発熱素子に接続される
共通電極を積層形成し、これらの表面を保護層により被
覆してなるサーマルヘッドの製造方法であって、前記基
板および保温層の表面に遷移金属からなる導電層を形成
する導電層形成工程と、前記導電層の表面に絶縁性セラ
ッミックスからなる層間絶縁層を形成する成膜工程と、
前記層間絶縁層をエッチングをもってコンタクトホール
を備えた所定形状に形成するエッチング工程と、前記層
間絶縁層のコンタクトホールの内部に露出している導電
層の表面にマスクを形成するマスク工程と、前記層間絶
縁層のコンタクトホール以外の部分において前記導電層
が外部に露出している露出部をエッチングをもって選択
除去する露出部除去工程と、前記層間絶縁層のコンタク
トホールの内部に露出している導電層の表面に形成した
マスクを除去するマスク除去工程とをこの順に行う層間
絶縁層形成工程とを有する点にある。
【0034】そして、このような構成を採用したことに
より、導電層のコンタクトホール以外の部分において外
部に露出している露出部をエッチングをもって確実に除
去し、導電層が層間絶縁層のコンタクトホール以外の部
分において外部に露出することが皆無となり、下層共通
電極としての導電層と上層共通電極としての共通電極お
よび個別電極、更には発熱素子などとが不必要な部位で
ショートするのを確実に防止でき、層間絶縁層の信頼性
が高い電極を電極を多層としたサーマルヘッドを歩留ま
りよく効率的に製造することができる。
【0035】また、特許請求の範囲の請求項11に記載
の本発明のサーマルヘッドの製造方法の特徴は、請求項
10において、前記マスクをフォトレジストまたは前記
導電層と選択エッチング性を有する遷移金属により形成
した点にある。
【0036】そして、このような構成を採用したことに
より、マスクは、層間絶縁層のコンタクトホールの内部
に露出している導電層の表面がエッチングによって除去
されるのを確実に防止することができる。
【0037】また、特許請求の範囲の請求項12に記載
の本発明のサーマルヘッドの製造方法の特徴は、基板の
表面に、保温層、導電層、コンタクトホールを備えた層
間絶縁層、複数の発熱素子、各発熱素子に接続される個
別電極および前記コンタクトホールの内部で前記導電層
と電気的に接続されるとともに各発熱素子に接続される
共通電極を積層形成し、これらの表面を保護層により被
覆してなるサーマルヘッドの製造方法であって、前記基
板および保温層の表面に遷移金属、遷移金属のサーメッ
ト、導電性セラミックスよりなる群から選ばれた一つか
らなる酸化性を有する導電層を形成する導電層形成工程
と、前記導電層の表面に耐酸化性を有する導電性金属、
耐酸化性を有する導電性金属のサーメット、導電性セラ
ミックスよりなる群から選ばれた一つからなる酸化防止
層を形成し、この酸化防止層を層間絶縁層のコンタクト
ホールの形成予定領域を除いてエッチングをもって除去
し、層間絶縁層のコンタクトホールの形成予定領域に酸
化防止層を形成する酸化防止層形成工程と、前記層間絶
縁層のコンタクトホールの形成予定領域に酸化防止層を
形成した前記導電層の表面に絶縁性セラミックスからな
る層間絶縁層を形成する成膜工程と、前記層間絶縁層を
エッチングをもってコンタクトホールを備えた所定形状
に形成するエッチング工程と、前記エッチング工程によ
り前記層間絶縁層の前記酸化防止層が形成されたコンタ
クトホール以外の部分において前記導電層が外部に露出
している露出部を選択酸化して絶縁性酸化物とする露出
部酸化工程とをこの順に行う層間絶縁層形成工程とを有
する点にある。
【0038】そして、このような構成を採用したことに
より、導電層のコンタクトホール以外の部分において外
部に露出している露出部を選択酸化して絶縁性酸化物と
し、導電層が層間絶縁層のコンタクトホール以外の部分
において外部に露出することが皆無となり、下層共通電
極としての導電層と上層共通電極としての共通電極およ
び個別電極、更には発熱素子などとが不必要な部位でシ
ョートするのを確実に防止でき、層間絶縁層の信頼性が
高い電極を電極を多層としたサーマルヘッドを歩留まり
よく効率的に製造することができる。
【0039】また、特許請求の範囲の請求項13に記載
の本発明のサーマルヘッドの製造方法の特徴は、請求項
12において、前記露出部酸化工程を加熱温度が略70
0〜800℃の熱酸化で行う点にある。
【0040】そして、このような構成を採用したことに
より、導電層のコンタクトホール以外の部分において外
部へ露出している露出部を確実に絶縁性酸化物とし、層
間絶縁層の絶縁性の信頼性を向上させることができる。
【0041】また、特許請求の範囲の請求項14に記載
の本発明のサーマルヘッドの製造方法の特徴は、基板の
表面に、保温層、導電層、コンタクトホールを備えた層
間絶縁層、複数の発熱素子、各発熱素子に接続される個
別電極および前記コンタクトホールの内部で前記導電層
と電気的に接続されるとともに各発熱素子に接続される
共通電極を積層形成し、これらの表面を保護層により被
覆してなるサーマルヘッドの製造方法であって、前記基
板および保温層の表面に高融点金属からなる第1導電層
を形成する第1導電層形成工程と、前記第1導電層の表
面に高融点金属のサーメットからなる第2導電層を形成
する第2導電層形成工程とをこの順に行う導電層形成工
程と、前記第2導電層の表面に耐酸化性を有する金属、
サーメット、セラミックスよりなる群から選ばれた一つ
からなる酸化防止層を形成し、この酸化防止層を前記層
間絶縁層のコンタクトホールの形成予定領域を除いてエ
ッチングをもって除去し、前記層間絶縁層のコンタクト
ホールの形成予定領域に酸化防止層を形成する酸化防止
層形成工程と、前記第2導電層の前記酸化防止層が形成
された部位以外の外部に露出している露出部を選択酸化
して第2導電層の酸化物からなる第1層間絶縁層を形成
する第1層間絶縁層形成工程と、前記層間絶縁層のコン
タクトホールの形成予定領域の酸化防止層をエッチング
をもって除去するマスク除去工程と、前記第1層間絶縁
層の表面および前記マスク除去工程により前記第1層間
絶縁層の表面に露出している第2導電層の表面に絶縁性
セラミックスからなる第2層間絶縁層を形成する第2層
間絶縁層形成工程と、前記第2層間絶縁層をエッチング
をもってコンタクトホールを備えた所定形状に形成する
エッチング工程とをこの順に行う層間絶縁層形成工程と
を有する点にある。
【0042】そして、このような構成を採用したことに
より、コンタクトホール以外の部分を選択酸化して得ら
れた第1層間絶縁層は良質の絶縁性酸化物セラミックス
となるので、導電層が層間絶縁層のコンタクトホール以
外の部分において外部に露出することが皆無となり、下
層共通電極としての導電層と上層共通電極としての共通
電極および個別電極、更には発熱素子などとが不必要な
部位でショートするのを確実に防止でき、層間絶縁層の
信頼性が高い電極を多層としたサーマルヘッドを歩留ま
りよく効率的に製造することができる。
【0043】また、特許請求の範囲の請求項15に記載
の本発明のサーマルヘッドの製造方法の特徴は、請求項
14において、前記第1層間絶縁層形成工程を加熱温度
が略700〜800℃の熱酸化で行う点にある。
【0044】そして、このような構成を採用したことに
より、コンタクトホール以外の部分において外部へ露出
している露出部を確実に絶縁性酸化物セラミックスと
し、絶縁性の信頼性の高い第1層間絶縁層を容易に形成
することができるとともに、2層の層間絶縁層は、絶縁
性の信頼性をより向上させることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の
形態により説明する。
【0046】図1は本発明に係るサーマルヘッドの第1
の実施の形態の要部を示す拡大縦断面図である。
【0047】図1に示すように、本実施の形態のサーマ
ルヘッド10は、略平板状の基板11を有している。こ
の基板11の表面の図1にて左方上方に示す端部たる左
端部11aには、部分グレーズからなる断面略円弧状と
された凸状の保温層(蓄熱層)12が形成されている。
そして、基板11および保温層12の表面を覆うように
して略一様な厚さの下層共通電極としての導電層13が
形成されている。この導電層13の表面には、層間絶縁
層14が形成されており、この層間絶縁層14の図1に
て左方に示す左端部近傍には、導電層13と後述する上
層共通電極としての共通電極15とを電気的に接続する
ための所定形状のコンタクトホール14aが形成されて
いる。このコンタクトホール14aの長さは、後述する
少なくとも全部の発熱素子16の配列方向の長さ(図1
の紙面垂直方向の長さ)を有しており、前記共通電極1
5の長さとほぼ同長に形成されている。また、コモンド
ロップが発生しないようにしてコンタクトホール14a
を長手方向に複数に分割してもよい。
【0048】前記層間絶縁層14の表面には、所望の分
解能に対応するドットの数に応じて整列配置されたTa
−SiO2 などの発熱抵抗体からなる発熱素子16が形
成されている。この発熱素子16の図1にて左方に示す
左端部は、前記コンタクトホール14aの内部に位置し
ており、これにより、発熱素子16は、導電層13に接
続されている。そして、発熱素子16の一側(図1左
側)の表面には、各発熱素子16に接続される上層共通
電極としての共通電極15が形成されており、発熱素子
16の他側(図1右側)の表面には、各発熱素子16に
独立して通電を行う個別電極17が形成されている。そ
して、発熱素子16の共通電極15と個別電極17との
間に位置する部位により印字に用いる発熱部18が形成
されている。さらに、共通電極15の図1にて左方に示
す左端部は、各発熱素子16のコンタクトホール14a
の内部に位置する部位と各発熱素子16の間から露出し
ている導電層13とに接続されており、これにより、共
通電極15は、コンタクトホール14aの内部に位置す
る部位の発熱素子16と導電層13とに電気的に接続さ
れている。この共通電極15の表面の一部には、共通電
極15に対して外部から通電を行うためのAlなどから
なる軟質金属により形成された共通電極用外部接続端子
部(図示せず)が形成されている。
【0049】また、個別電極17の一側(図1右側)に
は、Alなどからなる軟質金属により形成された副個別
電極19が設けられており、この副個別電極19の右端
部には、副個別電極19を介して個別電極17に対して
外部から通電を行うための個別電極用外部接続端子部1
9aが形成されている。
【0050】前記共通電極15、発熱素子16、個別電
極17および副個別電極19の表面には、これらを酸化
あるいは摩耗などから保護するための保護層20が共通
電極用外部接続端子部(図示せず)および個別電極用外
部接続端子部19aを除いて形成されている。
【0051】本実施の形態のサーマルヘッドについて更
に詳しく説明する。
【0052】前記基板11は、従来と同様に、アルミナ
基板と称されるアルミナ粒子をグリーンシート化したも
のを焼成することにより形成されたセラミックスから形
成されている。
【0053】前記保温層12は、従来と同様に、高融点
ガラスを主成分として形成されている。
【0054】前記基板11および保温層12の表面に
は、遷移金属の中から選択された酸化性を有する硬質の
高融点金属であるCrまたはMoなどからなる導電層1
3が、スパッタリングなどの公知の方法により0.5μ
m程度の略一様な厚さに被着された後、公知のエッチン
グなどにより、例えば、導電層13の外周縁が基板11
の外周縁より若干小さくされた所定形状のパターンに形
成されている。
【0055】前記導電層13の表面には、絶縁性セラミ
ックスとしてのSiO2 またはSi−O−Nなどからな
る層間絶縁層14が、スパッタリング、CVDなどの公
知の方法により2.0μm程度の略一様な厚さに被着さ
れた後、公知のエッチングなどにより、共通電極15と
導電層13とを電気的に接続するための膜厚方向に貫通
したコンタクトホール14aを具備する所定形状のパタ
ーンに形成されている。
【0056】前記層間絶縁層14の表面には、従来と同
様に、Ta2 NまたはTa−SiO2 などからなる所望
の発熱抵抗体が、蒸着、スパッタリングなどの適宜な公
知の方法により略一様な厚さに被着された後、公知のエ
ッチングなどにより所望のパターンを形成し、これによ
り、所望の分解能に対応するドットの数に応じて整列配
置された複数の発熱素子16が形成されている。
【0057】前記発熱素子16の一側(図1左側)に
は、各発熱素子16に接続される上層共通電極としての
共通電極15が形成されており、発熱素子16の他側
(図1右側)には、各発熱素子16に接続され独立して
通電を行う所望の個別電極17が形成されている。この
共通電極15および個別電極17は、高融点金属である
とともに硬質金属でもあるCrなどをスパッタリングな
どの公知の方法により0.1μm程度の略一様な厚さに
被着した後、公知のエッチングなどにより所定形状のパ
ターンとすることによって形成されている。また、発熱
素子16の共通電極15と個別電極17とに挟まれた部
位が発熱部18とされている。
【0058】前記共通電極15および個別電極17を形
成するための金属素材としては、高融点金属の他にA
l、Cu、Au、Ni、Ni−Crなどを用いてもよ
く、特に、本実施の形態の構成に限定されるものではな
い。
【0059】前記共通電極15および個別電極17の表
面には、AlまたはCuなどの軟質金属をスパッタリン
グなどの公知の方法により1.0μm程度の略一様な厚
さに被着した後、公知のエッチングなどにより所定形状
のパターンとすることによって共通電極15の表面の所
望の位置には外部に露出した共通電極用外部接続端子部
(図示せず)が形成され、また、個別電極17の表面に
は副個別電極19が形成されるとともに、副個別電極1
9の右端部近傍の所望の位置には、外部に露出した個別
電極用外部接続端子部19aが形成されている。
【0060】前記発熱素子16、共通電極15、個別電
極17および副個別電極19などの表面には、これらを
保護するために5〜10μm程度の厚さの所望の保護層
20が、共通電極用外部接続端子部(図示せず)および
個別電極用外部接続端子部19a以外の表面を被覆する
ようにして形成されている。この保護層20は、発熱素
子16などを酸化による劣化から保護するとともに、図
示しないインクリボンなどへの当接による摩耗から保護
するために、耐酸化性および耐摩耗性の良いサイアロン
またはSi−O−Nなどを素材とし、スパッタリング、
CVDなどの公知の方法により形成されている。
【0061】また、外部に露出されている共通電極用外
部接続端子部(図示せず)および個別電極用外部接続端
子部19aには、Ni−Snなどの易ハンダ性のメッキ
が施される。
【0062】さらにまた、保温層12の左端部の上方の
保護層20の角部がインクリボン引き剥がしエッジ部2
1とされるとともに、発熱部18の中心CLからインク
リボン引き剥がしエッジ部21までのインクリボン引き
剥がし距離Lは、さらなるリアルエッジ化を図るために
100μm程度と短く形成されている。
【0063】なお、設計コンセプトなどの必要に応じ
て、共通電極15および個別電極17を発熱素子16の
下(層間絶縁層14の表面)に形成し、コンタクトホー
ル14aの内部で共通電極15を導電層13と直接接触
させる構成としてもよい。
【0064】つぎに、前述した構成からなる本実施の形
態のサーマルヘッドの製造方法について図2に示す工程
図に沿って説明する。
【0065】図2は本発明に係るサーマルヘッドの製造
方法の第1の実施の形態の要部を工程順に示すブロック
図である。
【0066】本実施の形態のサーマルヘッドの製造方法
は、従来と同様にして一枚の大きな基板(図示せず)上
に複数個のサーマルヘッド10を同時に形成し、その大
きな基板を所望の位置にて分割することにより複数個の
サーマルヘッド10が同時に得られるようになってい
る。
【0067】図2に示すように、本実施の形態のサーマ
ルヘッドの製造方法は、まず、基板形成工程25におい
て、従来と同様にしてアルミナ粒子をグリーンシート化
したものを焼成することにより基板11が形成され、つ
いで、保温層形成工程26において、従来と同様にして
基板11の表面の端部11aに高融点ガラスを主成分と
する凸状の保温層12が形成される。この基板形成工程
25および保温層形成工程26については、従来のアル
ミナ基板を用いたサーマルヘッドの製造方法と同一であ
るのでその詳しい説明は省略する。
【0068】つぎに、導電層形成工程27において、基
板11および保温層12の表面に、CrまたはMoなど
からなる素材をスパッタリングなどにより0.5μm程
度の略一様な厚さに被着した後、エッチングにより所望
のパターンの下層共通電極としての導電層13を形成す
る。この時、導電層13の外周縁を基板11の外周縁よ
り小さく形成することが、導電層13の不必要なショー
トを防止するうえで好ましい。
【0069】つぎに、層間絶縁層形成工程28におい
て、導電層13の表面にコンタクトホール14aを有す
る層間絶縁層14を形成する。この層間絶縁層形成工程
28について更に詳しく説明する。
【0070】前記層間絶縁層形成工程28は、まず、成
膜工程28Aにおいて、導電層13の表面にSiO2
たはSi−O−Nなどからなる素材を公知のスパッタリ
ングまたはCVDなどにより2.0μm程度の略一様な
厚さに被着して層間絶縁層14を形成する。つぎに、エ
ッチング工程28Bにおいて、層間絶縁層14の表面の
全面にフォトレジストをスピンナーなどで塗布してレジ
スト膜を形成した後、バッファードフッ酸(BHF)な
どで層間絶縁層14をエッチングして所望の位置にコン
タクトホール14aを有する所定形状の層間絶縁層14
を形成する。
【0071】つぎに、マスク工程28Cにおいて、層間
絶縁層14のコンタクトホール14aの内部に露出して
いる導電層13の表面にフォトレジストまたはCuなど
の導電層13と選択エッチング性を有する遷移金属を用
いてマスクを形成する。
【0072】つぎに、露出部除去工程28Dにおいて、
層間絶縁層14のコンタクトホール14aの内部のマス
クで覆った部位を除く層間絶縁層14の部分において導
電層13が外部に露出している露出部13A(図1に破
線にて示す)、すなわち、導電層13の端部に位置する
外形露出部13Aa(図1右方に破線にて示す)や、基
板11および保温層12に点在する凹凸などの欠陥部位
にリンクしてコンタクトホール14aを形成する際のエ
ッチング時にレジスト膜が破れて生じたり、層間絶縁層
14自身を形成する際に不慮のダストにより生じたりす
る層間絶縁層14の孔14b(図1に一部を拡大して示
す)によって外部に露出している導電層13の露出部1
3Ab(図1に一部を拡大して破線にて示す)をエッチ
ングをもって除去する。
【0073】更に説明すると、図3(a)に示す導電層
13の端部に位置する外形露出部13Aaは、図3
(b)に示すようにエッチングにより除去され、図3
(c)に示す層間絶縁層14の孔14bによって外部に
露出している露出部13Abは、図3(d)に示すよう
にエッチングにより除去される。したがって、露出部除
去工程28Dにおいて導電層13の外部に局所的に露出
している露出部13Aはエッチングにより強制的に選択
および除去され、層間絶縁層14のコンタクトホール1
4a以外の部分において導電層13の外部に対する露出
部13Aが確実に除去される。
【0074】なお、導電層13の外部に対する露出部1
3Aの除去は、層間絶縁層14の孔14bの大きさΦ1
より導電層13の除去する部位の大きさΦ2が大きくな
る(Φ1≪Φ2)ようにオーバーエッチングしておくこ
とが好ましい。なぜならば、後工程においてスパッタリ
ングにより発熱素子16や各電極15,17を層間絶縁
層14上に形成した際に、図3(e)に示すように、層
間絶縁層14の孔14bを通過して基板11あるいは保
温層12に到達した同図破線にて示す発熱素子16や各
電極15,17が、導電層13まで到達しないようにし
てショートを防止するためである。
【0075】つぎに、マスク除去工程28Eにおいて、
層間絶縁層14のコンタクトホール14aの内部に露出
している導電層13の表面を覆っているマスクを除去す
る。これにより、層間絶縁層14のコンタクトホール1
4aの内部の導電層13の表面が外部に露出する。
【0076】つぎに、発熱素子形成工程29において、
従来と同様に、Ta2 NまたはTa−SiO2 などから
なる所望の発熱抵抗体をスパッタリングなどにより0.
3μm程度の略一様な厚さに被着した後、フォトリソに
よるエッチングを施して分解能に対応するようにして所
望のドットの数に応じて整列配置された所定形状の複数
の発熱素子16を形成する。この時、各発熱素子16の
一側(図1左側)は、前記コンタクトホール14aの内
部に位置し外部に露出している導電層13の表面に直接
接し、発熱素子16は導電層13と電気的に接続する。
【0077】つぎに、電極形成工程30において、Cr
などの高融点金属であるとともに硬質金属でもある素材
をスパッタリングなどにより例えば0.1μm程度の比
較的薄い略一様な厚さに被着した後、フォトリソによる
エッチングを施すことにより発熱素子16の一側(図1
左側)に、各発熱素子16に接続される所望のパターン
の上層共通電極としての共通電極15を形成し、発熱素
子16の他側(図1右側)に、各発熱素子16に接続さ
れ独立して通電を行う所望のパターンの個別電極17を
形成する。このとき、共通電極15は、その一部が発熱
素子16のコンタクトホール14aの内部に位置する部
位に形成され、共通電極15は、コンタクトホール14
aの内部において、各発熱素子16と導電層13とに電
気的に接続される。また、発熱素子16の共通電極15
と個別電極17とに挟まれた部位が印字に用いられる発
熱部18とされる。さらに、AlまたはCuなどの軟質
金属からなる素材をスパッタリングなどにより例えば
2.0μm程度の比較的厚い略一様な厚さに被着した
後、フォトリソによるエッチングを施すことにより、共
通電極15の表面の所望の位置には、共通電極用外部接
続端子部(図示せず)を形成し、各個別電極17の一側
(図1右側)には、個別電極用外部接続端子部19aを
形成するための副個別電極19を形成する。
【0078】つぎに、保護層形成工程31において、従
来と同様に、図示しない共通電極用外部接続端子部およ
び個別電極用外部接続端子部19aを除いてサイアロン
またはSi−O−Nなどからなる素材を例えば5〜10
μm程度の略一様な厚さにスパッタリング、CVDなど
により被着することにより保護層20が形成され、つい
で、図2に破線にて示すダイシング工程32により、大
きな基板11を所望の位置にて分割してチップ化された
複数個のサーマルヘッド10を同時に得ることにより本
実施の形態のサーマルヘッド10の製造が完了する。
【0079】なお、図示しない共通電極用外部接続端子
部および個別電極用外部接続端子部19aには、保護層
20を形成する際に耐熱性の粘着テープなどによるマス
クが貼り付けられ、保護層20を形成した後にこのマス
クを剥離することにより外部に露出され、この露出部し
た部位には、Ni−Snなどの易ハンダ性のメッキが施
されるようになっている。
【0080】前述した構成からなる本実施の形態のサー
マルヘッド10は、露出部除去工程28Dにおいて層間
絶縁層14のコンタクトホール14aの内部に露出して
いる導電層13の表面にマスクを形成した状態でエッチ
ングすることにより、導電層13の端部に位置する外形
露出部13Aa(図1に破線にて示す)や、基板11お
よび保温層12に点在する凹凸などの欠陥部位にリンク
して層間絶縁層14をエッチングしてコンタクトホール
14aを形成する際のレジスト膜の破れや層間絶縁層1
4を形成する際の不慮のダストにより生じる層間絶縁層
14の孔14b(図1に一部を拡大して示す)によって
局所的に外部に露出している露出部13Ab(図1に破
線にて示す)などの導電層13の表面の外部に露出して
いる不必要な露出部13Aを確実に選択および除去する
ことができので、下層共通電極としての導電層13と、
層間絶縁層14を介して形成される上層共通電極として
の共通電極15、各発熱素子16、個別電極17および
副個別電極19とがコンタクトホール14a以外の不必
要な部位でショートするのを確実に防止し、層間絶縁層
14の絶縁性の信頼性を確実なものとすることができ
る。
【0081】すなわち、本実施の形態によれば、基板1
1および保温層12に欠陥部位がある場合においても、
層間絶縁層14の絶縁性の信頼性が高く、しかも電極を
多層としたサーマルヘッド10を歩留まりよく効率的に
製造することができる。
【0082】また、本実施の形態によれば、コンタクト
ホール14aにより、多層の電極を構成する導電層13
と共通電極15とを最短距離で導通させることができる
ので、発熱素子16に対する印加電圧のムラ(コモンド
ロップ)を確実に防止することができ、印字濃度ムラの
ない高品質の印字品質を確実に得ることができる。
【0083】さらにまた、本実施の形態によれば、共通
電極15がCrなどの高強度の硬質金属により薄く形成
されているので、共通電極15上に位置する保護層20
のステップカバーレッジが向上し、また、印字時のサー
マルヘッド10とプラテン(図示せず)との圧接により
共通電極15へ加わる大きなせん断応力に容易に耐える
ことができるので、共通電極15の剥離断線を防止する
ことができ、長期間に亘り安定した機能を保持させるこ
とができる。さらに、共通電極15がCrなどの高強度
の硬質金属により薄く形成されているので、従来130
μm程度であったインクリボン引き剥がし距離Lを10
0μm程度とみじかくすることができ、これにより、さ
らなるリアルエッジ化を図ることができ、印字品質およ
び印字熱効率を確実に向上させることができる。
【0084】したがって、本実施の形態のサーマルヘッ
ド10によれば、印字品質と印字寿命とを両立させると
ともに、高品質の印字品質を長期間に亘り確実に保持す
ることができる。そして、本実施の形態のサーマルヘッ
ドの製造方法によれば、層間絶縁層14の絶縁性の信頼
性が高い電極を多層としたサーマルヘッド10を歩留ま
りよく効率的に製造することができる。
【0085】図4は本発明に係るサーマルヘッドの第2
の実施の形態の要部を示す拡大縦断面図である。
【0086】図4に示すように、本実施の形態のサーマ
ルヘッド50は、シリコン基板と称されるシリコンから
なる基板51を有している。この基板51は、平板部5
1Aと、この平板部51Aの端部たる図4にて左方に示
す左端部近傍に一体に形成されたメサ部51Bとにより
構成されている。この基板51Aの表面には、略一様な
厚さの保温層(蓄熱層)52が形成されている。そし
て、基板51および保温層52の表面を覆うようにして
略一様な厚さの下層共通電極としての導電層53が形成
されている。この導電層53の表面には、層間絶縁層5
4が形成されており、この層間絶縁層54の図4にて左
方に示す左端部には、導電層53と後述する共通電極5
5とを電気的に接続するための所定形状のコンタクトホ
ール54aが形成されている。このコンタクトホール5
4aの長さは、後述する少なくとも全部の発熱素子57
の配列方向の長さ(図4の紙面垂直方向の長さ)を有し
ており、共通電極55の長さとほぼ同長に形成されてい
る。また、コモンドロップが発生しないようにしてコン
タクトホール54aを長手方向に複数に分割してもよ
い。さらにまた、層間絶縁層54のコンタクトホール5
4aの内部に位置する導電層53の表面には、耐酸化性
および導電性を有する酸化防止層56がその端縁を導電
層53と層間絶縁層54との間に位置するようにして形
成されている。
【0087】前記層間絶縁層54の表面には、所望の分
解能に対応するドットの数に応じて整列配置されたTa
−SiO2 などの発熱抵抗体からなる発熱素子57が配
設されている。この発熱素子57の図4にて左方に示す
左端部は、前記コンタクトホール54aの内部に位置し
ており、これにより、発熱素子57は、酸化防止層56
を介して導電層53に接続されている。そして、発熱素
子57の一側(図4左側)には、各発熱素子57に接続
される上層共通電極としての共通電極55が形成されて
おり、発熱素子57の他側(図4右側)には、各発熱素
子57に独立して通電を行う個別電極58が形成されて
いる。そして、発熱素子57の共通電極55と個別電極
58との間に位置する部位により印字に用いる発熱部5
9が形成されている。さらに、共通電極55の図4にて
左方に示す左端部は、各発熱素子57のコンタクトホー
ル54aの内部に位置する部位と各発熱素子57の間に
露出している酸化防止層56とに接続されており、これ
により、共通電極55は、コンタクトホール54aの内
部に位置する部位の酸化防止層56と発熱素子57とを
介して導電層53と電気的に接続されている。この共通
電極55の表面の一部には、共通電極55に対して外部
から通電を行うためのAlなどからなる軟質金属により
形成された共通電極用外部接続端子部(図示せず)が形
成されている。また、個別電極58の一側(図4右側)
には、Alなどからなる軟質金属により形成された副個
別電極60が設けられており、この副個別電極60の右
端部には、副個別電極60を介して個別電極58に対し
て外部から通電を行うための個別電極用外部接続端子部
60aが形成されている。
【0088】前記共通電極55、発熱素子57、個別電
極58および副個別電極60の表面には、これらを酸化
あるいは摩耗などから保護するための保護層61が共通
電極用外部接続端子部(図示せず)および個別電極用外
部接続端子部60aを除いて形成されている。
【0089】本実施の形態のサーマルヘッドについて更
に詳しく説明する。
【0090】前記基板51は、従来と同様に、シリコン
をエッチングすることにより形成されている。
【0091】前記保温層52は、従来と同様に、シリコ
ンと遷移金属と酸素との酸化物をスパッタリングあるい
は蒸着などの公知の方法により略一様な厚さに被着され
て形成されている。
【0092】前記基板51および保温層52の表面に
は、遷移金属(Cr、Moなど)または遷移金属のサー
メット(Ta−SiO2 、Ta−AlNなど)または導
電性のセラミックスとしての窒化物(TiN、ZrNな
ど)またはホウ化物(TiB2、ZrB2 など)または
ケイ化物(TiSi2 、ZrSi2 など)などからなる
導電層53が、スパッタリングなどの公知の方法により
0.5μm程度の略一様な厚さに被着された後、公知の
エッチングなどにより、例えば、導電層53の外周縁が
基板51の外周縁より若干小さくされた所定形状のパタ
ーンに形成されている。
【0093】前記導電層53の表面の一部(層間絶縁層
54のコンタクトホール54aを形成する部位たるコン
タクトホール54aの形成予定領域)には、Si−Mo
合金またはSi−Mo合金のサーメットまたはITOの
酸化物などからなる耐酸化性と導電性とを併せ持つ酸化
防止層56がスパッタリングなどの公知の方法により
0.2μm程度の略一様な厚さに被着された後、公知の
エッチングなどにより所定位置に所定形状で形成されて
いる。
【0094】また、導電層53の表面の略全面を占有す
る他部には、絶縁性セラミックスとしてのSiO2 また
はSi−O−Nなどからなる層間絶縁層54が、スパッ
タリング、CVDなどの公知の方法により2.0μm程
度の略一様な厚さに被着された後、公知のエッチングな
どにより、共通電極55と導電層53とを電気的に接続
するための膜厚方向に貫通したコンタクトホール54a
を具備する所定形状のパターンに形成されている。
【0095】前記層間絶縁層54の表面には、従来と同
様に、Ta2 NまたはTa−SiO2 などからなる所望
の発熱抵抗体が、蒸着、スパッタリングなどの適宜な公
知の方法により略一様な厚さに被着された後、公知のエ
ッチングなどにより所望のパターンを形成し、これによ
り、所望の分解能に対応するドットの数に応じて整列配
置された複数の発熱素子57が形成されている。
【0096】前記発熱素子57の一側(図4左側)に
は、各発熱素子57に接続される上層共通電極としての
共通電極55が形成されており、発熱素子57の他側
(図4右側)には、各発熱素子57に接続され独立して
通電を行う所望の個別電極58が形成されている。この
共通電極55および個別電極58は、高融点金属である
とともに硬質金属でもあるCrなどをスパッタリングな
どの公知の方法により0.1μm程度の略一様な厚さに
被着した後、公知のエッチングなどにより所定形状のパ
ターンとすることによって形成されている。また、発熱
素子57の共通電極55と個別電極58とに挟まれた部
位が発熱部59とされている。
【0097】前記共通電極55および個別電極58を形
成するための金属素材としては、高融点金属の他にA
l、Cu、Au、Ni、Ni−Crなどを用いてもよ
く、特に、本実施の形態の構成に限定されるものではな
い。
【0098】前記共通電極55および個別電極58の表
面には、AlまたはCuなどの軟質金属をスパッタリン
グなどの公知の方法により1.0μm程度の略一様な厚
さに被着した後、公知のエッチングなどにより所定形状
のパターンとすることによって共通電極55の表面の所
望の位置には外部に露出した共通電極用外部接続端子部
(図示せず)が形成され、また、個別電極58の表面に
は副個別電極60が形成されるとともに、副個別電極6
0の右端部近傍の所望の位置には、外部に露出した個別
電極用外部接続端子部60a形成されている。
【0099】前記発熱素子57、共通電極55、個別電
極58および副個別電極60などの表面には、これらを
保護するために5〜10μm程度の厚さの所望の保護層
61が、共通電極用外部接続端子部(図示せず)および
個別電極用外部接続端子部60a以外の表面を被覆する
ようにして形成されている。この保護層61は、発熱素
子57などを酸化による劣化から保護するとともに、図
示しないインクリボンなどへの当接による摩耗から保護
するために、耐酸化性および耐摩耗性の良いサイアロン
またはSi−O−Nなどを素材とし、スパッタリング、
CVDなどの公知の方法により形成されている。
【0100】また、外部に露出している共通電極用外部
接続端子部(図示せず)および個別電極用外部接続端子
部60aには、Ni−Snなどの易ハンダ性のメッキが
施される。
【0101】さらにまた、保温層52の左端部に隣位す
る角部の上方の保護層61の角部がインクリボン引き剥
がしエッジ部62とされるとともに、発熱部59の中心
CLからインクリボン引き剥がしエッジ部62までのイ
ンクリボン引き剥がし距離Lは、さらなるリアルエッジ
化を図るために100μm程度と短く形成されている。
【0102】なお、設計コンセプトなどの必要に応じ
て、共通電極55および個別電極58を発熱素子57の
下(層間絶縁層54の表面)に形成し、コンタクトホー
ル54aの内部で共通電極55を酸化防止層56を介し
て導電層53と電気的に接続させる構成としてもよい。
【0103】つぎに、前述した構成からなる本実施の形
態のサーマルヘッドの製造方法について図5に示す工程
図に沿って説明する。
【0104】図5は本発明に係るサーマルヘッドの製造
方法の第2の実施の形態の要部を工程順に示すブロック
図である。
【0105】本実施の形態のサーマルヘッドの製造方法
は、従来と同様にして一枚の大きな基板(図示せず)上
に複数個のサーマルヘッド50を同時に形成し、その大
きな基板を所望の位置にて分割することにより複数個の
サーマルヘッド50が同時に得られるようになってい
る。
【0106】図5に示すように、本実施の形態のサーマ
ルヘッドの製造方法は、まず、基板形成工程65におい
て、従来と同様にして平板状に形成されたシリコンをエ
ッチングしてメサ部51Bを有する基板51が形成さ
れ、ついで、保温層形成工程66において、従来と同様
にして基板51の表面にシリコンと遷移金属と酸素との
酸化物からなる略一様の厚さの保温層52が形成され
る。この基板形成工程65および保温層形成工程66に
ついては、従来のシリコン基板を用いたサーマルヘッド
の製造方法と同一であるのでその詳しい説明は省略す
る。
【0107】つぎに、導電層形成工程67において、基
板51および保温層52の表面に、遷移金属(Cr、M
oなど)または遷移金属のサーメット(Ta−Si
2 、Ta−AlNなど)または導電性のセラミックス
としての窒化物(TiN、ZrNなど)またはホウ化物
(TiB2 、ZrB2 など)またはケイ化物(TiSi
2、ZrSi2 など)などの素材をスパッタリングなど
により0.5μm程度の略一様な厚さに被着した後、エ
ッチングにより所望のパターンの下層共通電極としての
導電層53を形成する。この時、導電層53の外周縁を
基板51の外周縁より小さく形成することが、導電層5
3の不必要なショートを防止するうえで好ましい。
【0108】つぎに、酸化防止層形成工程68におい
て、Si−Mo合金またはSi−Mo合金のサーメット
またはITOの酸化物などの素材をスパッタリングなど
により0.2μm程度の略一様な厚さに被着した後、エ
ッチングにより層間絶縁層54のコンタクトホール54
aを形成する部位(形成予定領域)を除いて除去し、所
定位置に所定形状の導電性を有する酸化防止層56を形
成する。
【0109】つぎに、層間絶縁層形成工程69におい
て、導電層53の表面にコンタクトホール54aを有す
る層間絶縁層54を形成する。この層間絶縁層形成工程
69について更に詳しく説明する。
【0110】前記層間絶縁層形成工程69は、まず、成
膜工程69Aにおいて、酸化防止層56を含む導電層5
3の表面にSiO2 またはSi−O−Nなどの素材をス
パッタリング、CVDなどにより2.0μm程度の略一
様な厚さに被着して層間絶縁層54を形成する。つぎ
に、エッチング工程69Bにおいて、層間絶縁層54の
表面の全面にフォトレジストをスピンナーなどで塗布し
てレジスト膜を形成した後、バッファードフッ酸(BH
F)などで層間絶縁層54をエッチングして所望の位置
にコンタクトホール54aを有する所定形状の層間絶縁
層54を形成する。つぎに、露出部酸化工程69Cにお
いて、層間絶縁層54のコンタクトホール54aの内部
の酸化防止層56で覆った部位以外において導電層53
が外部に露出している露出部53A(図4に破線にて示
す)、すなわち、導電層53の端部に位置する外形露出
部53Aa(図4右方に破線にて示す)や、基板51お
よび保温層52に点在する凹凸などの欠陥部位にリンク
してレジスト膜に破れが発生してコンタクトホール54
aを形成するエッチング時に生じたり、層間絶縁層54
自身を形成する際に不慮のダストにより生じたりする層
間絶縁層54の孔54b(図4に一部を拡大して示す)
によって外部に露出している露出部53Ab(図4に一
部を拡大して破線にて示す)を、熱酸化によって、絶縁
性酸化物としたりあるいは昇華除去する。
【0111】さらに説明すると、導電層53として、C
r、Ta−AlN、ZrN、ZrB2 、ZrSi2 など
を用いた場合には、図6(a)に示す導電層53の端部
に位置する外形露出部53Aaは、図6(b)に示すよ
うに熱酸化により絶縁性酸化物70とされ、図6(c)
に示す層間絶縁層54の孔54bによって外部に露出し
ている露出部53Abは、図6(d)に示すように熱酸
化により絶縁性酸化物70とされる。
【0112】また、導電層53としてMoを用いた場合
には、図6(a)に示す導電層53の端部に位置する外
形露出部53Aaは、図6(e)に示すように熱酸化に
より昇華除去され、図6(c)に示す層間絶縁層54の
孔54bによって外部に露出している露出部53Ab
は、図6(f)に示すように熱酸化により昇華除去され
る。
【0113】したがって、露出部酸化工程69Cにおい
て導電層53が外部に局所的に露出している層間絶縁層
54のコンタクトホール54a以外の不必要な露出部5
3Aは熱酸化により強制的に絶縁性酸化物70とされた
り昇華除去され、層間絶縁層54のコンタクトホール5
4a以外の部分において導電層53が外部に局所的に露
出している露出部53Aが確実に選択および除去され
る。
【0114】なお、熱酸化によって層間絶縁層54のコ
ンタクトホール54a以外の不必要な露出部53Aを昇
華除去する場合には、前述した実施の形態と同様に、層
間絶縁層54の孔54bの大きさより導電層53の昇華
除去する部位の大きさが大きくなるようにオーバーエッ
チングしておくことが好ましい。
【0115】つぎに、発熱素子形成工程71において、
従来と同様に、Ta2 NまたはTa−SiO2 などから
なる所望の発熱抵抗体をスパッタリングなどにより0.
3μm程度の略一様な厚さに被着した後、フォトリソに
よるエッチングを施して分解能に対応するようにして所
望のドットの数に応じた所定形状の複数の発熱素子57
を整列配置する。この時、各発熱素子57の一側(図4
左側)は、前記コンタクトホール54aの内部に位置し
導電性の酸化防止層56に接し、発熱素子57は導電層
53と電気的に接続する。
【0116】つぎに、電極形成工程72において、Cr
などの高融点金属であるとともに硬質金属でもある素材
をスパッタリングなどにより例えば0.1μm程度の比
較的薄い略一様な厚さに被着した後、フォトリソによる
エッチングを施すことにより発熱素子57の一側(図4
左側)に、各発熱素子57に接続される所望のパターン
の上層共通電極としての共通電極55を形成し、発熱素
子57の他側(図4右側)に、各発熱素子57に接続さ
れ独立して通電を行う所望のパターンの個別電極58を
形成する。このとき、共通電極55は、その一部が発熱
素子57のコンタクトホール54aの内部に位置する部
位に形成され、共通電極55は、コンタクトホール54
aの内部において、各発熱素子57に接続され、その下
部に位置する酸化防止層56を介して導電層53と電気
的に接続される。さらに、AlあるいはCuなどの軟質
金属からなる素材をスパッタリングなどにより例えば
2.0μm程度の比較的厚い略一様な厚さに被着した
後、フォトリソによるエッチングを施すことにより、共
通電極55の表面の所望の位置には、共通電極用外部接
続端子部(図示せず)を形成し、各個別電極58の一側
(図4右側)には、個別電極用外部接続端子部60aを
形成するための副個別電極60を形成する。
【0117】つぎに、保護層形成工程73において、従
来と同様に、図示しない共通電極用外部接続端子部およ
び個別電極用外部接続端子部60aを除いてサイアロン
またはSi−O−Nなどからなる素材を例えば5〜10
μm程度の略一様な厚さにスパッタリング、CVDなど
により被着することにより保護層20が形成され、つい
で、図5に破線にて示すダイシング工程74により、大
きな基板51を所望の位置にて分割してチップ化された
複数個のサーマルヘッド50を同時に得ることにより本
実施の形態のサーマルヘッド50の製造が完了する。
【0118】なお、図示しない共通電極用外部接続端子
部および個別電極用外部接続端子部60aには、保護層
61を形成する際に耐熱性の粘着テープなどによるマス
ク層が貼り付けられ、保護層61を形成した後にこのマ
スク層を剥離することにより外部に露出され、この露出
部した部位には、Ni−Snなどの易ハンダ性のメッキ
が施されるようになっている。
【0119】前述した構成からなる本実施の形態のサー
マルヘッド50は、前述した第1の実施の形態のサーマ
ルヘッド10と略同様にして、導電層53の表面の導電
性の酸化防止層56に覆われたコンタクトホール54a
以外の部位において、導電層53が外部に露出している
不必要な露出部53Aを確実に絶縁性酸化物70とした
り昇華除去することができるので、下層共通電極として
の導電層53と、層間絶縁層54を介して形成される上
層共通電極としての共通電極55、各発熱素子57、個
別電極58および副個別電極60とがコンタクトホール
54a以外の不必要な部位でショートするのを確実に防
止し、層間絶縁層54の絶縁性の信頼性を確実なものと
することができる。
【0120】すなわち、本実施の形態によれば、基板5
1および保温層52に欠陥部位がある場合においても、
層間絶縁層54の絶縁性の信頼性が高く、しかも電極を
多層としたサーマルヘッド50を歩留まりよく効率的に
製造することができる。
【0121】また、本実施の形態によれば、コンタクト
ホール54aにより、多層の電極を構成する導電層53
と共通電極55とを最短距離で導通させることができる
ので、発熱素子57に対する印加電圧のムラ(コモンド
ロップ)を確実に防止することができ、印字濃度ムラの
ない高品質の印字品質を確実に得ることができる。
【0122】さらに、導電層53の表面のコンタクトホ
ール54aの内部に位置する導電性の酸化防止層56
は、露出部酸化工程69Cにおける熱酸化からコンタク
トホール54aの内部に位置する導電層53の表面を保
護するとともに、導電層53と共通電極55との電気的
な接続を確実なものとすることができる。
【0123】さらにまた、本実施の形態によれば、共通
電極55がCrなどの高強度の硬質の素材により薄く形
成されているので、共通電極55上に位置する保護層6
1のステップカバーレッジが向上し、また、印字時のサ
ーマルヘッド50とプラテン(図示せず)との圧接によ
り共通電極55へ加わる大きなせん断応力に容易に耐え
ることができるので、共通電極55の剥離断線を防止す
ることができ、長期間に亘り安定した機能を保持させる
ことができる。さらに、共通電極55がCrなどの高強
度の硬質の素材により薄く形成されているので、従来1
30μm程度であったインクリボン引き剥がし距離Lを
100μm程度とみじかくすることができ、これによ
り、さらなるリアルエッジ化を図ることができ、印字品
質および印字熱効率を確実に向上させることができる。
【0124】したがって、本実施の形態のサーマルヘッ
ド50によれば、印字品質と印字寿命とを両立させると
ともに、高品質の印字品質を長期間に亘り確実に保持す
ることができる。そして、本実施の形態のサーマルヘッ
ドの製造方法によれば、層間絶縁層54の絶縁性の信頼
性が高い電極を多層としたサーマルヘッド50を歩留ま
りよく効率的に製造することができる。
【0125】図7は本発明に係るサーマルヘッドの第3
の実施の形態の要部を示す拡大縦断面図である。
【0126】図7に示すように、本実施の形態のサーマ
ルヘッド100は、前述した第2の実施の形態のサーマ
ルヘッド50と同様の平板部101Aおよび図7にて左
方に示す端部たる左端部の近傍に一体に形成されたメサ
部101Bとにより構成された基板101の表面に略一
様な厚さの保温層(蓄熱層)102が形成されている。
そして、基板101および保温層102の表面を覆うよ
うにして略一様な厚さの下層共通電極としての導電層1
03が形成されている。この導電層103は、基板10
1および保温層102の表面を覆う下層の第1導電層1
03Aと、この第1導電層103Aの表面の一部、すな
わち、図7にて左方に示す左端部近傍のコンタクトホー
ル104aの形成部位や外部回路との接続部(図示せ
ず)などに位置するように積層された上層の第2導電層
103Bとにより2層に形成されている。
【0127】前記導電層103の表面には、層間絶縁層
104が形成されており、この層間絶縁層104の図7
にて左方に示す左端部近傍には、導電層103と共通電
極105とを電気的に接続するための所定形状のコンタ
クトホール104aが形成されている。そして、層間絶
縁層104は、前記第1導電層103Aの表面に積層さ
れた前記第2導電層103Bのうちのコンタクトホール
104aや外部回路との接続部(図示せず)以外の部分
を熱酸化することにより得られた第1層間絶縁層104
Aと、この第1層間絶縁層104Aの表面に積層された
第2層間絶縁層104Bとにより2層に形成されてい
る。
【0128】前記第2層間絶縁層104Bの表面の一側
(図7左側)には、各発熱素子107に接続される上層
共通電極としての所定パターンの共通電極105が形成
されており、第2層間絶縁層104Bの表面の他側(図
7右側)には、各発熱素子107に独立して通電を行う
所定パターンの個別電極108が形成されている。
【0129】前記第2層間絶縁層104B、共通電極1
05、個別電極108およびコンタクトホール104a
の内部に位置する第2導電層103Bの表面には、所望
の分解能に対応するドットの数に応じて整列配置された
発熱抵抗体からなる発熱素子107が配設されている。
そして、発熱素子107の共通電極105と個別電極1
08との間に位置する部位により印字に用いる発熱部1
09が形成されている。
【0130】すなわち、共通電極105は、コンタクト
ホール104a部に一部が接続されている発熱素子10
7を介してコンタクトホール104a部に位置する第2
導電層103Bと電気的に接続されている。
【0131】前記発熱素子107の表面の一部には、共
通電極105に対して外部から通電を行うためのAlな
どからなる軟質金属により形成された共通電極用外部接
続端子部(図示せず)が形成されている。また、個別電
極108の一側(図7右側)には、Alなどからなる軟
質金属により形成された副個別電極110が設けられて
おり、この副個別電極110の右端部には、副個別電極
110を介して個別電極108に対して外部から通電を
行うための個別電極用外部接続端子部(図示せず)が形
成されている。
【0132】前記共通電極105、発熱素子107、個
別電極108および副個別電極110の表面には、これ
らを酸化あるいは摩耗などから保護するための保護層1
11が共通電極用外部接続端子部および個別電極用外部
接続端子部(共に図示せず)を除いて形成されている。
【0133】なお、その他の構成については、前述した
第2の実施の形態のサーマルヘッド50と同様の構成と
されており、その詳しい説明は省略する。
【0134】本実施の形態のサーマルヘッドについて更
に詳しく説明する。
【0135】前記基板101は、シリコンなどの絶縁性
基板をエッチングすることにより形成されている。
【0136】前記保温層102は、Si−Ta−Oから
なるシリコンと遷移金属と酸素との酸化物をスパッタリ
ングあるいは蒸着などの公知の方法により略20μm程
度の一様な厚さに被着されて形成されている。
【0137】前記基板101および保温層102の表面
には、Cr、Ti、Mo、Zr、Ta、Nb、W、Hf
よりなる群から選ばれた高融点金属の少なくとも一つか
らなる下層の第1導電層103Aが、スパッタリングあ
るいは蒸着などの公知の方法により0.1μm程度の略
一様な厚さに被着されて積層された後、公知のエッチン
グなどにより、例えば、第1導電層103Aの外周縁が
基板101の外周縁より若干小さくされた所定形状のパ
ターンに形成されている。
【0138】前記第1導電層103Aの表面には、Cr
とSiO2 とAl2 3 のサーメット、または、Taと
SiO2 とAl2 3 のサーメットからなる高融点金属
のサーメットからなる上層の第2導電層103Bがスパ
ッタリングあるいは蒸着などの公知の方法により略1μ
m程度の一様な厚さに被着されて形成されている。
【0139】すなわち、下層の第1導電層103Aと、
上層の第2導電層103Bとにより2層の導電層103
が形成されている。
【0140】前記第2導電層103Bの表面には、耐酸
化性を有するSi−Mo合金または、そのサーメットな
どからなる酸化防止層(図示せず)が、スパッタリング
あるいは蒸着などの公知の方法により略0.2μm程度
の一様な厚さに被着されて積層されている。そして、第
2導電層103Bの表面に積層した酸化防止層の一部、
詳しくはコンタクトホール104aの形成予定領域およ
び外部回路との接続部(図示せず)などの所定位置に、
公知のエッチングなどにより酸化防止層による所定形状
のマスクパターンを形成してから、略700〜800℃
程度の温度で、外部に露出している露出部を熱酸化する
ことにより、略1μm程度の一様な厚さの下層の第1層
間絶縁層104Aが形成されている。
【0141】すなわち、上層の第2導電層103Bは、
熱酸化することにより、その大半が絶縁性酸化物に転換
されてCr23 −SiO2 −Al2 3 またはTa2
5−SiO2 −Al2 3 となり、良好な絶縁性を示
すとともに、Cr23 やAl2 3 を含有することに
より、酸化防止層のCF4 +O2 ガスによるドライエッ
チングに対して十分な選択制を有するものとできる。
【0142】前記第2導電層103Bの熱酸化を行った
後、酸化防止層をドライエッチングにより除去すると、
酸化防止層のマスクパターンにしたがって上層の第2導
電層103Bが部分的に外部に露出して導電性のパッド
部112がコンタクトホール104aの形成予定領域お
よび外部回路との接続部(図示せず)などの配設位置に
形成される。
【0143】なお、Si−Mo合金などからなる酸化防
止層は導電性を有するため、除去せずともこの酸化防止
層の表面をArのイオンビームなどで熱酸化により生じ
た酸化膜をクリーニング除去することで、コンタクトホ
ール104aの形成部位において、酸化防止層を介して
第2導電層103Bと共通電極105とを電気的に接続
したり、あるいは、酸化防止層を介して第2導電層10
3Bと発熱素子107とを電気的に接続することができ
るが、酸化防止層に共通電極105あるいは発熱素子1
07を接続するのは密着性のばらつきが大きいので、酸
化防止層を除去した方が製造品質を高く保持するうえで
好ましい。
【0144】また、酸化防止層は除去してもよいため、
Si−Mo合金などの金属に限定されず、SiO2 、S
3 4 などの耐酸性を有する絶縁性セラミックス、ま
たはITOなどの導電性セラミックスを用いてもよい。
【0145】前記酸化防止層を除去した下層の第1層間
絶縁層104Aの表面には、SiO2 とAl2 3 の融
合体、すなわち、SiO2 −Al2 3 の絶縁性セラミ
ックスからなる第2層間絶縁層104Bが、スパッタリ
ングあるいはCVDなどの公知の方法により略2μm程
度の一様な厚さに被着されて積層されている。
【0146】すなわち、下層の第1層間絶縁層104A
と、上層の第2層間絶縁層104Bとにより2層の層間
絶縁層104が形成されている。
【0147】そして、上層の第2層間絶縁層104B
は、例えば、SiO2 −Al2 3 (90:10mol
%)からなり、バッファードフッ酸(BHF)を用いて
エッチングする際に、下地の第2導電層103Bとのエ
ッチング選択比が十分に大きいものであるため、導電層
103と共通電極105や外部接続端子(図示せず)と
の電気的な接続を行うためのコンタクトホール104a
を第2層間絶縁層104Bに高能率で安定的に形成する
ことができる。
【0148】前記第2層間絶縁層104Bにコンタクト
ホール104aを形成した後、Cr、Ti、Mo、Z
r、Ta、Nb、Wよりなる群から選ばれた高融点金属
の一つ、例えば、Moが、スパッタリングあるいは蒸着
などの公知の方法により0.1μm程度の略一様な厚さ
に被着されて積層された後、CF4 +O2 ガスのドライ
エッチングにより、共通電極105および個別電極10
8の所定形状のパターンが所定位置に形成されている。
このMoなどの高融点金属からなる共通電極105は、
その一部をコンタクトホール104aの内部に位置させ
て第2導電層103Bと直接接続する構成としてもよい
が、高融点金属の密着力は、導電層103を形成する素
材、詳しくは第2導電層103Bを形成する高融点金属
のサーメットよりも、SiO2 、Al2 3 などの絶縁
性セラミックス、本実施の形態においてはSiO2 とA
2 3 の融合体、すなわち、SiO2 −Al2 3
絶縁性セラミックスからなる第2層間絶縁層104Bに
対して優れているため、共通電極105の一部をコンタ
クトホール104aの内部の第2導電層103Bと直接
接続せずに、第2層間絶縁層104Bの表面にのみ共通
電極105のパターンを制限しておいて、その上に形成
する発熱素子107を介して、第2導電層103Bと共
通電極105とを電気的に接続する方が製造品質の信頼
性を向上させるうえで好ましい。
【0149】そして、前記所定パターンの共通電極10
5および個別電極108を発熱素子107よりも先に形
成した後、Ta2 NまたはTa−SiO2 などからなる
所望の発熱抵抗体が、蒸着、スパッタリングなどの適宜
な公知の方法により0.3μm程度の略一様な厚さに積
層され、その後CF4 +O2 ガスのドライエッチングに
より、所望の分解能に対応するドットの数に応じて整列
配置された複数の発熱素子107が形成されている。
【0150】このように、略0.1μm程度の略一様な
厚さの薄い共通電極105および個別電極108を先に
精度良く形成しておいて、その上に所定パターンの発熱
素子107を形成するようにした方が発熱部109の抵
抗値のばらつきを小さくすることができる。
【0151】また、前記共通電極105および個別電極
108ならびに発熱素子107の、CF4 +O2 ガスの
ドライエッチングにおいて、前記第2層間絶縁層104
Bは、SiO2 に略10mol%のAl2 3 が添加さ
れて形成されているため、エッチング選択制を有してお
り、サイドエッチングなどの発生を防止することがで
き、製造品質の安定化と、高い歩留まりを得ることがで
きる。
【0152】前記発熱素子107の表面には、Al、C
u、Auなどの軟質金属をスパッタリングあるいは蒸着
などの公知の方法により略2.0μm程度の略一様な厚
さに被着した後、公知のリン酸系のエッチング剤などを
用いたエッチングにより、共通電極用外部接続端子(図
示せず)と、右端部近傍において外部に露出した個別電
極用外部接続端子(図示せず)を有する副個別電極11
0とが形成されている。
【0153】また、基板101上の保温層102の全面
に導電層103、詳しくは第1導電層103Aが形成さ
れているので、前記共通電極105は、高融点金属から
なる略0.1μm程度の薄いものとすることだけでコモ
ンドロップの発生を防止することができ、その結果、共
通電極105の電極材料としてAl、Cu、Auなどの
軟質の金属素材を用いる必要がない。
【0154】このように、印字の際にせん断応力が繰り
返し大きく加わる発熱部109からインクリボンの引き
剥がしを行うインクリボン引き剥がしエッジ部113ま
での部位にかけて形成される共通電極105の電極材料
として従来のAl、Cu、Auなどの軟質の金属素材を
用いないため、従来と異なり、共通電極105が早期に
材料疲労(金属疲労)を起こすのを確実に防止すること
ができ、材料疲労による保護層111の剥離破壊、およ
び、剥離破壊にともなう共通電極105の摩耗や腐食に
よる断線の発生を長期間に亘り確実に防止することがで
き、その結果、極限のリアルエッジ化を図った場合にお
いても、印字品質と印字寿命とを両立させることができ
る。
【0155】前記、発熱素子107や副個別電極110
などの表面には、これらを保護するために略5μm程度
の厚さの所望の保護層111が、共通電極用外部接続端
子部および個別電極用外部接続端子部(共に図示せず)
以外の表面を被覆するようにして形成されている。この
保護層111は、発熱素子107や副個別電極110な
どを酸化による劣化から保護するとともに、図示しない
インクリボンなどへの当接による摩耗から保護するため
に、耐酸化性および耐摩耗性の良いサイアロンまたはS
i−O−Nなどを素材とし、スパッタリング、CVDな
どの公知の方法により形成されている。
【0156】また、外部に露出している共通電極用外部
接続端子部および個別電極用外部接続端子部(共に図示
せず)には、Ni−Snなどの易ハンダ性のメッキが施
される。
【0157】なお、設計コンセプトなどの必要に応じ
て、基板101および保温層102の構成を前述した第
1の実施の形態のサーマルヘッド1の基板11および保
温層12からなる構成としてもよいし、共通電極105
を発熱素子107の表面に形成する構成としてもよい
し、コンタクトホール104aの内部で共通電極105
を第2導電層103Bと電気的に直接接続する構成であ
ってもよいし、酸化防止層を除去しない構成としてもよ
い。
【0158】つぎに、前述した構成からなる本実施の形
態のサーマルヘッドの製造方法について図8に示す工程
図に沿って説明する。
【0159】図8は本発明に係るサーマルヘッドの製造
方法の第3の実施の形態の要部を工程順に示すブロック
図である。
【0160】本実施の形態のサーマルヘッドの製造方法
は、従来と同様にして一枚の大きな基板(図示せず)上
に複数個のサーマルヘッド100を同時に形成し、その
大きな基板を所望の位置にて分割することにより複数個
のサーマルヘッド100が同時に得られるようになって
いる。
【0161】図8に示すように、本実施の形態のサーマ
ルヘッドの製造方法は、まず、基板形成工程120にお
いて、従来と同様にして平板状に形成された単結晶シリ
コンの表面を異方性および等方性エッチングにより略1
0〜20μmの高さの台形状の凸状のメサ部101Bを
有する基板101が形成され、ついで、保温層形成工程
121において、基板101の表面にシリコンと遷移金
属と酸素との酸化物であるSi−Ta−Oなどの低熱伝
導性酸化物からなる略一様の厚さの保温層102が、ス
パッタリングあるいは蒸着などの公知の方法により形成
される。これらの基板形成工程120および保温層形成
工程121については、従来のシリコン基板を用いたサ
ーマルヘッドの製造方法と同一であるのでその詳しい説
明は省略する。
【0162】つぎに、導電層形成工程122において、
基板101および保温層102の表面に、導電層103
を形成する。この導電層形成工程122について更に詳
しく説明する。
【0163】前記導電層形成工程122は、まず、第1
導電層成形工程122Aにおいて、基板101および保
温層102の表面に、Cr、Ti、Mo、Zr、Ta、
Nb、W、Hfよりなる群から選ばれた高融点金属の少
なくとも一つの素材、例えばCrをスパッタリングある
いは蒸着などの公知の方法により0.1μm程度の略一
様な厚さに被着して積層した下層の第1導電層103A
を形成する。この時、第1導電層103Aの外周縁を基
板101の外周縁より小さく形成することが、導電層1
03の不必要なショートを防止するうえで好ましい。つ
ぎに、第2導電層成形工程122Bにおいて、第1導電
層103Aの表面にCrとSiO2 とAl2 3 のサー
メット、または、TaとSiO2 とAl2 3 のサーメ
ットからなる高融点金属のサーメットの素材、例えばT
a−SiO2 −Al2 3 をスパッタリングあるいは蒸
着などの公知の方法により1.0μm程度の略一様な厚
さに被着して積層した上層の第2導電層103Bを形成
する。
【0164】すなわち、導電層形成工程122におい
て、下層の第1導電層103Aと、上層の第2導電層1
03Bとからなる2層の導電層103が形成される。
【0165】つぎに、酸化防止層形成工程123におい
て、前記第2導電層103Bの表面に耐酸化性を有する
金属またはそのサーメットなどの素材、例えばSi−M
o合金をスパッタリングあるいは蒸着などの公知の方法
により略0.2μm程度の一様な厚さに被着して積層し
た後、コンタクトホール104aの形成予定領域および
外部回路との接続部などの所定位置を除いてフォトリソ
により前記Si−Mo合金をCF4 +O2 ガスによるド
ライエッチングを施すことにより除去し、コンタクトホ
ール104aの形成予定領域および外部回路との接続部
などの所定位置に所定形状の酸化防止層を形成する。
【0166】つぎに、層間絶縁層形成工程124におい
て、導電層103の表面にコンタクトホール104aを
有する層間絶縁層104を形成する。この層間絶縁層形
成工程124について更に詳しく説明する。
【0167】前記層間絶縁層形成工程124は、まず、
第1層間絶縁層成形工程124Aにおいて、前記酸化防
止層に覆われた部位を除く前記第2導電層103Bの外
部に露出している露出部(表面)を略700〜800℃
程度の温度で熱酸化することにより、酸化防止層に覆わ
れた部位を除く第2導電層103Bの大半をCr23
−SiO2 −Al2 3 またはTa25 −SiO2
Al2 3 などの絶縁性酸化物に転換して、略1.0μ
m程度の一様な厚さの下層の第1層間絶縁層104Aを
形成する。すなわち、第1層間絶縁層成形124Aにお
いて、導電層103が外部に露出している不必要な露出
部が絶縁性酸化物に転換される。
【0168】つぎに、マスク除去工程124Bにおい
て、前記酸化防止層をドライエッチングにより除去す
る。すると、酸化防止層のマスクパターンにしたがって
上層の第2導電層103Bが外部に露出して導電性のパ
ッド部112がコンタクトホール104aの形成予定領
域および外部回路との接続部(図示せず)などの配設位
置に形成される。
【0169】つぎに、第2層間絶縁層成形工程124C
において、酸化防止層を除去した外部に露出している第
2導電層103Bの表面を含む下層の第1層間絶縁層1
04Aの表面に、SiO2 とAl2 3 の融合体、すな
わち、SiO2 −Al2 3の絶縁性セラミックスから
なる素材をスパッタリングあるいは蒸着などの公知の方
法により略2.0μm程度の一様な厚さに被着して積層
して、第2層間絶縁層104Bを形成する。
【0170】つぎに、第2層間絶縁層104Bのコンタ
クトホール104aの形成予定領域および外部回路との
接続部などを除いてフォトリソにより前記SiO2 −A
23 をバッファードフッ酸(BHF)によるウエッ
トエッチングを施すことにより除去し、所定形状のコン
タクトホール104aおよび外部回路との接続部などを
所定位置に形成する。
【0171】すなわち、層間絶縁層形成工程124にお
いて、下層の第1層間絶縁層104Aと、上層の第2層
間絶縁層104Bとからなる2層の層間絶縁層104が
形成されるとともに、層間絶縁層104のコンタクトホ
ール104aおよび外部回路との接続部などが形成され
る。
【0172】つぎに、電極形成工程125において、第
2層間絶縁層104Bの表面にCr、Ti、Mo、Z
r、Ta、Nb、Wよりなる群から選ばれた高融点金属
の一つの素材、例えば、Moをスパッタリングあるいは
蒸着などの公知の方法により0.1μm程度の略一様な
厚さに被着して積層した後、フォトリソにより前記Mo
をCF4 +O2 ガスによるドライエッチングを施すこと
により、所定形状の共通電極105および個別電極10
8を第2層間絶縁層104Bの表面に形成する。このと
き、共通電極105は、第2層間絶縁層104Bに設け
られたコンタクトホール104aに接近して、第2層間
絶縁層104Bの表面に位置するようにパターンが形成
されており、共通電極105の一部がコンタクトホール
104aの内部には位置しないようにして形成される。
【0173】つぎに、発熱素子形成工程126におい
て、従来と同様に、Ta2 NまたはTa−SiO2 など
の素材、例えばTa−SiO2 からなる所望の発熱抵抗
体をスパッタリングなどにより略0.3μm程度の略一
様な厚さに被着した後、フォトリソにより前記Ta−S
iO2 をCF4 +O2 ガスによるドライエッチングを施
すことにより、所定の分解能に対応するようにして所望
のドットの数に応じた所定形状の複数の発熱素子107
を整列配置するとともに発熱部109を形成する。この
時、各発熱素子107の一部は、前記コンタクトホール
104aの内部、すなわち、第2導電層103Bの表面
にも形成されるので、発熱素子107は、第2導電層1
03Bと、前記第2層間絶縁層の表面に形成されている
共通電極105との両者に電気的に接続される。言い替
えれば、第2導電層103Bと共通電極105とは発熱
素子107を介して電気的に接続される。さらに、Al
またはCuなどの軟質金属からなる素材をスパッタリン
グなどにより例えば2.0μm程度の比較的厚い略一様
な厚さに被着した後、フォトリソによるエッチングを施
すことにより、共通電極105の表面の所望の位置に
は、共通電極用外部接続端子部(図示せず)を形成し、
各個別電極108の一側(図7右側)には、個別電極用
外部接続端子部(図示せず)を形成するための副個別電
極110を形成する。
【0174】つぎに、保護層形成工程127において、
従来と同様に、図示しない共通電極用外部接続端子部お
よび個別電極用外部接続端子部を除いてサイアロンまた
はSi−O−Nなどからなる素材を例えば略5μm程度
の略一様な厚さにスパッタリング、CVDなどにより被
着することにより保護層111が形成され、ついで、図
8に破線にて示すダイシング工程128により、大きな
基板101を所望の位置にて分割してチップ化された複
数個のサーマルヘッド100を同時に得ることにより本
実施の形態のサーマルヘッド100の製造が完了する。
【0175】前述した構成からなる本実施の形態のサー
マルヘッド100は、基板101および保温層102の
表面に、下層の第1導電層103Aおよび上層の第2導
電層103Bからなる2層の導電層103と、後に形成
されるコンタクトホール104aの形成予定領域および
外部回路との接続部などを除く部位を熱酸化することに
より得られる下層の第1層間絶縁層104Aおよび上層
の第2層間絶縁層からなる2層の層間絶縁層104とに
より形成されているので、下層共通電極としての導電層
103と、層間絶縁層104を介して形成される上層共
通電極としての共通電極105、各発熱素子107、個
別電極108および副個別電極110とがコンタクトホ
ール104a以外の不必要な部位でショートするのを確
実に防止し、層間絶縁層104の絶縁性の信頼性をより
確実なものとすることができる。
【0176】すなわち、本実施の形態によれば、第2層
間絶縁層104Bの製造工程において発生する第2層間
絶縁層104Bを膜厚方向に貫通するピンホールなどの
欠陥部位がある場合においても、第2導電層103を熱
酸化することにより得られる下層の第1層間絶縁層10
4Aによって、絶縁性が確実に保持されるので、層間絶
縁層104の絶縁性の信頼性を高いものとすることがで
きるとともに、電極を多層としたサーマルヘッド100
を歩留まりよく効率的に製造することができる。
【0177】また、本実施の形態によれば、高融点金属
からなる比抵抗の小さい下層の第1導電層103Aは、
電気抵抗値が小さく給電を均等にすることができるの
で、通電時の電力損失を確実に低減することができると
ともに、印字濃度ムラのない高品質の印字品質を確実に
得ることができる。
【0178】さらに、本実施の形態によれば、高融点金
属のサーメットからなる比抵抗の大きい上層の第2導電
層103は、下層の第1導電層103Aによって導電性
を確保しているため、膜厚を薄く形成することができ
る。その結果、成膜による膜応力を低減することがで
き、これにより、基板101の反りを低減することがで
き、製造品質および歩留まりを容易に高い状態に保持す
ることができるので、サーマルヘッド100を歩留まり
よく効率的に製造することができる。
【0179】さらにまた、本実施の形態によれば、第2
導電層103Bの表面上でコンタクトホール104aの
形成予定領域などを覆う酸化防止層が導電性であって
も、熱酸化後に酸化防止層をエッチング除去し、コンタ
クトホール104aの形成部位において高融点金属のサ
ーメットからなる第2導電層103Bと類似の発熱素子
107を第2導電層103Bと接触させているので、第
2導電層103Bと発熱素子107との密着性を確実に
向上させることができ、製造品質および歩留まりを容易
に高い状態に保持することができ、その結果、サーマル
ヘッド100を歩留まりよく効率的に製造することがで
きる。
【0180】また、本実施の形態によれば、共通電極1
05および個別電極108は、高強度の硬質の高融点金
属で容易に薄く形成することができるので、各電極10
5,108上に位置する保護層111のステップカバー
レッジが向上し、また、各電極105,108の材料疲
労や応力集中を低減することができ、印字時のサーマル
ヘッド100とプラテンとの圧接により加わる大きなせ
ん断応力に対して十分に耐えることができるので、共通
電極105の早期の剥離断線を確実に防止することがで
き、長期間に亘り安定した機能を保持させることができ
る。
【0181】また、本実施の形態によれば、共通電極1
05は、高強度の硬質の高融点金属で薄く形成されてい
るので、機械強度が従来より格段に向上し、従来130
μm程度であったインクリボン引き剥がし距離Lを10
0μm程度とみじかくすることができ、これにより、リ
アルエッジ化を容易に図ることができ、印字品質および
印字熱効率を確実に向上させることができる。
【0182】また、本実施の形態によれば、各電極10
5,108を第2層間絶縁層104Bの表面に形成して
から、発熱素子107を積層形成しているので、同一の
ドライエッチング用ガスを用いたドライエッチングによ
り、所定形状の各電極105,108と発熱素子107
とを形成することができるので、発熱素子107の製造
精度を高精度化することができるとともに、製造工程を
簡略化することができ、その結果、生産性を確実に向上
させることができる。
【0183】したがって、本実施の形態のサーマルヘッ
ド100によれば、印字品質と印字寿命とを両立させる
とともに、高い印字品質を長期間に亘り確実に保持する
ことができる。そして、本実施の形態のサーマルヘッド
の製造方法によれば、層間絶縁層104の絶縁性の信頼
性が高い電極を多層としたサーマルヘッド100を歩留
まりよく効率的に製造することができる。
【0184】なお、本発明は、前記各実施の形態に限定
されるものではなく、必要に応じて変更することができ
る。
【0185】
【発明の効果】以上説明したように本発明のサーマルヘ
ッドおよびその製造方法によれば、層間絶縁層の絶縁性
の信頼性が高く、共通電極を多層とすることができるの
で、高品質の印字品質および印字寿命を長期間に亘り確
実に保持することができるとともに、歩留まりおよび生
産性を向上させることができるという極めて優れた効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るサーマルヘッドの第1の実施の
形態の要部を示す拡大縦断面図
【図2】 本発明に係るサーマルヘッドの製造方法の第
1の実施の形態の要部を工程順に示すブロック図
【図3】 (a)から(e)は図2に示す露出部除去工
程の詳細を示す説明図
【図4】 本発明に係るサーマルヘッドの第2の実施の
形態の要部を示す拡大縦断面図
【図5】 本発明に係るサーマルヘッドの製造方法の第
2の実施の形態の要部を工程順に示すブロック図
【図6】 (a)から(f)は図5に示す露出部酸化工
程の詳細を示す説明図
【図7】 本発明に係るサーマルヘッドの第3の実施の
形態の要部を示す拡大縦断面図
【図8】 本発明に係るサーマルヘッドの製造方法の第
3の実施の形態の要部を工程順に示すブロック図
【図9】 従来のサーマルヘッドの要部を示す拡大縦断
面図
【符号の説明】
10、50、100 サーマルヘッド 11、51、101 基板 12、52、102 保温層 13、53、103 (下層共通電極としての)導電層 13A、53A 露出部 103A 第1導電層 103B 第2導電層 14、54、104 層間絶縁層 14a、54a、104a コンタクトホール 104A 第1層間絶縁層 104B 第2層間絶縁層 15、55、105 (上層共通電極としての)共通電
極 16、57、107 発熱素子 17、58、108 個別電極 18、59、109 発熱部 20、61、111 保護層 27、67、122 導電層形成工程 28、69、124 層間絶縁層形成工程 28A、69A 成膜工程 28B、69B エッチング工程 28C マスク工程 28D 露出部除去工程 28E マスク除去工程 56 酸化防止層 68、123 酸化防止層形成工程 69C 露出部酸化工程 70 絶縁性酸化物 125 電極形成工程 126 発熱素子形成工程 L インクリボン引き剥がし距離
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 一義 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の表面に、保温層、導電層、コンタ
    クトホールを備えた層間絶縁層、複数の発熱素子、各発
    熱素子に接続される個別電極および前記コンタクトホー
    ルの内部で前記導電層と電気的に接続されるとともに各
    発熱素子に接続される共通電極を積層形成し、これらの
    表面を保護層により被覆してなるサーマルヘッドであっ
    て、 前記導電層を遷移金属により形成し、前記層間絶縁層を
    絶縁性セラミックスにより形成するとともに、前記層間
    絶縁層のコンタクトホール以外の部分において前記導電
    層の外部に露出している露出部を除去したことを特徴と
    するサーマルヘッド。
  2. 【請求項2】 前記導電層を高融点金属により形成し、
    前記層間絶縁層をSiの酸化物または酸窒化物で形成し
    たことを特徴とする請求項1に記載のサーマルヘッド。
  3. 【請求項3】 基板の表面に、保温層、導電層、コンタ
    クトホールを備えた層間絶縁層、複数の発熱素子、各発
    熱素子に接続される個別電極および前記コンタクトホー
    ルの内部で前記導電層と電気的に接続されるとともに各
    発熱素子に接続される共通電極を積層形成し、これらの
    表面を保護層により被覆してなるサーマルヘッドであっ
    て、 前記導電層を遷移金属、遷移金属のサーメット、導電性
    セラミックスよりなる群から選ばれた一つにより形成
    し、前記層間絶縁層を絶縁性セラミックスにより形成す
    るとともに、前記層間絶縁層のコンタクトホールの内部
    に位置する導電層の表面に耐酸化性を有する導電性金
    属、耐酸化性を有する導電性金属のサーメット、導電性
    セラミックスよりなる群から選ばれた一つからなる酸化
    防止層を形成し、前記層間絶縁層のコンタクトホール以
    外の部分において前記導電層が外部に露出している露出
    部を絶縁性酸化物としたことを特徴とするサーマルヘッ
    ド。
  4. 【請求項4】 前記導電層を高融点金属または高融点金
    属のサーメットにより形成し、前記酸化防止層をSi−
    Mo合金またはSi−Mo合金のサーメットにより形成
    し、前記層間絶縁層をSiの酸化物または酸窒化物で形
    成したことを特徴とする請求項3に記載のサーマルヘッ
    ド。
  5. 【請求項5】 基板の表面に、保温層、導電層、コンタ
    クトホールを備えた層間絶縁層、複数の発熱素子、各発
    熱素子に接続される個別電極および前記コンタクトホー
    ルの内部で前記導電層と電気的に接続されるとともに各
    発熱素子に接続される共通電極を積層形成し、これらの
    表面を保護層により被覆してなるサーマルヘッドであっ
    て、 前記導電層を高融点金属からなる第1導電層とこの第1
    導電層の表面に積層された高融点金属のサーメットから
    なる第2導電層とにより2層に形成し、前記層間絶縁層
    を前記第2導電層の前記層間絶縁層のコンタクトホール
    以外の部分を酸化することにより得られた第1層間絶縁
    層とこの第1層間絶縁層の表面に積層された絶縁性セラ
    ミックスよりなる第2層間絶縁層とにより2層に形成し
    たことを特徴とするサーマルヘッド。
  6. 【請求項6】 前記第1導電層をCr、Ti、Mo、Z
    r、Ta、Nb、W、Hfよりなる群から選ばれた高融
    点金属の少なくとも一つから形成し、前記第2導電層を
    CrとSiO2 とAl2 3 のサーメット、または、T
    aとSiO2とAl2 3 のサーメットからなる高融点
    金属のサーメットにより形成したことを特徴とする請求
    項5に記載のサーマルヘッド。
  7. 【請求項7】 前記第2層間絶縁層をSiO2 とAl2
    3 の融合体により形成したことを特徴とする請求項5
    または請求項6に記載のサーマルヘッド。
  8. 【請求項8】 前記第2層間絶縁層の表面に高融点金属
    からなる共通電極および個別電極を形成するとともに、
    前記共通電極を前記コンタクトホール部で前記発熱素子
    を介して前記第2導電層と電気的に接続したことを特徴
    とする請求項5乃至請求項7の何れか1項に記載のサー
    マルヘッド。
  9. 【請求項9】 前記保温層を前記基板の一側に片寄らせ
    たことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項
    に記載のサーマルヘッド。
  10. 【請求項10】 基板の表面に、保温層、導電層、コン
    タクトホールを備えた層間絶縁層、複数の発熱素子、各
    発熱素子に接続される個別電極および前記コンタクトホ
    ールの内部で前記導電層と電気的に接続されるとともに
    各発熱素子に接続される共通電極を積層形成し、これら
    の表面を保護層により被覆してなるサーマルヘッドの製
    造方法であって、 前記基板および保温層の表面に遷移金属からなる導電層
    を形成する導電層形成工程と、 前記導電層の表面に絶縁性セラッミックスからなる層間
    絶縁層を形成する成膜工程と、前記層間絶縁層をエッチ
    ングをもってコンタクトホールを備えた所定形状に形成
    するエッチング工程と、前記層間絶縁層のコンタクトホ
    ールの内部に露出している導電層の表面にマスクを形成
    するマスク工程と、前記層間絶縁層のコンタクトホール
    以外の部分において前記導電層が外部に露出している露
    出部をエッチングをもって選択除去する露出部除去工程
    と、前記層間絶縁層のコンタクトホールの内部に露出し
    ている導電層の表面に形成したマスクを除去するマスク
    除去工程とをこの順に行う層間絶縁層形成工程とを有す
    ることを特徴とするサーマルヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記マスクをフォトレジストまたは前
    記導電層と選択エッチング性を有する遷移金属により形
    成したことを特徴とする請求項10に記載のサーマルヘ
    ッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 基板の表面に、保温層、導電層、コン
    タクトホールを備えた層間絶縁層、複数の発熱素子、各
    発熱素子に接続される個別電極および前記コンタクトホ
    ールの内部で前記導電層と電気的に接続されるとともに
    各発熱素子に接続される共通電極を積層形成し、これら
    の表面を保護層により被覆してなるサーマルヘッドの製
    造方法であって、 前記基板および保温層の表面に遷移金属、遷移金属のサ
    ーメット、導電性セラミックスよりなる群から選ばれた
    一つからなる酸化性を有する導電層を形成する導電層形
    成工程と、 前記導電層の表面に耐酸化性を有する導電性金属、耐酸
    化性を有する導電性金属のサーメット、導電性セラミッ
    クスよりなる群から選ばれた一つからなる酸化防止層を
    形成し、この酸化防止層を層間絶縁層のコンタクトホー
    ルの形成予定領域を除いてエッチングをもって除去し、
    層間絶縁層のコンタクトホールの形成予定領域に酸化防
    止層を形成する酸化防止層形成工程と、 前記層間絶縁層のコンタクトホールの形成予定領域に酸
    化防止層を形成した前記導電層の表面に絶縁性セラミッ
    クスからなる層間絶縁層を形成する成膜工程と、前記層
    間絶縁層をエッチングをもってコンタクトホールを備え
    た所定形状に形成するエッチング工程と、前記エッチン
    グ工程により前記層間絶縁層の前記酸化防止層が形成さ
    れたコンタクトホール以外の部分において前記導電層が
    外部に露出している露出部を選択酸化して絶縁性酸化物
    とする露出部酸化工程とをこの順に行う層間絶縁層形成
    工程とを有することを特徴とするサーマルヘッドの製造
    方法。
  13. 【請求項13】 前記露出部酸化工程を加熱温度が略7
    00〜800℃の熱酸化で行うことを特徴とする請求項
    12に記載のサーマルヘッドの製造方法。
  14. 【請求項14】 基板の表面に、保温層、導電層、コン
    タクトホールを備えた層間絶縁層、複数の発熱素子、各
    発熱素子に接続される個別電極および前記コンタクトホ
    ールの内部で前記導電層と電気的に接続されるとともに
    各発熱素子に接続される共通電極を積層形成し、これら
    の表面を保護層により被覆してなるサーマルヘッドの製
    造方法であって、 前記基板および保温層の表面に高融点金属からなる第1
    導電層を形成する第1導電層形成工程と、前記第1導電
    層の表面に高融点金属のサーメットからなる第2導電層
    を形成する第2導電層形成工程とをこの順に行う導電層
    形成工程と、 前記第2導電層の表面に耐酸化性を有する金属、サーメ
    ット、セラミックスよりなる群から選ばれた一つからな
    る酸化防止層を形成し、この酸化防止層を前記層間絶縁
    層のコンタクトホールの形成予定領域を除いてエッチン
    グをもって除去し、前記層間絶縁層のコンタクトホール
    の形成予定領域に酸化防止層を形成する酸化防止層形成
    工程と、 前記第2導電層の前記酸化防止層が形成された部位以外
    の外部に露出している露出部を選択酸化して第2導電層
    の酸化物からなる第1層間絶縁層を形成する第1層間絶
    縁層形成工程と、前記層間絶縁層のコンタクトホールの
    形成予定領域の酸化防止層をエッチングをもって除去す
    るマスク除去工程と、前記第1層間絶縁層の表面および
    前記マスク除去工程により前記第1層間絶縁層の表面に
    露出している第2導電層の表面に絶縁性セラミックスか
    らなる第2層間絶縁層を形成する第2層間絶縁層形成工
    程と、前記第2層間絶縁層をエッチングをもってコンタ
    クトホールを備えた所定形状に形成するエッチング工程
    とをこの順に行う層間絶縁層形成工程とを有することを
    特徴とするサーマルヘッドの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記第1層間絶縁層形成工程を加熱温
    度が略700〜800℃の熱酸化で行うことを特徴とす
    る請求項14に記載のサーマルヘッドの製造方法。
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