JPH11312405A - 光触媒膜付照明器具及びランプ - Google Patents

光触媒膜付照明器具及びランプ

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JPH11312405A
JPH11312405A JP10131012A JP13101298A JPH11312405A JP H11312405 A JPH11312405 A JP H11312405A JP 10131012 A JP10131012 A JP 10131012A JP 13101298 A JP13101298 A JP 13101298A JP H11312405 A JPH11312405 A JP H11312405A
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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光触媒活性を低減させることなく、アルカリ
金属イオンに対する耐蝕性の向上を図った光触媒膜付照
明器具及びランプを提供する。 【解決手段】 照明器具の透光性カバーガラス3の少な
くとも一方の表面上、又はランプの外球ガラスバルブ12
の外表面に、光触媒活性の高い酸化チタン結晶微粒子を
主成分とする第1の薄膜6,及びアルカリ金属イオンに
対する耐性の高い有機チタン化合物溶液からゾル−ゲル
法により形成した酸化チタンを主成分とする第2の薄膜
7とを順次配置形成し、これらの薄膜6,7で光触媒膜
5を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、酸化チタンを材
料とする光触媒膜を応用した照明器具及びランプに関す
る。
【0002】
【従来の技術】酸化チタンなどの金属酸化物半導体は、
そのバンドギャップエネルギーより大きい光エネルギー
を吸収すると、価電子帯の電子が導電帯に励起され、半
導体表面に正孔−電子対が生成し、それぞれが強い酸
化、還元作用を呈するので、このような金属酸化物半導
体は光触媒として利用することができる。このバンドギ
ャップエネルギーは概ね波長 410nmの光エネルギーに相
当するので、この波長以下の近紫外線乃至紫外線の照射
によって、光触媒を活性化させることができる。このよ
うな波長域の紫外線は、太陽光線を初め、蛍光ランプ、
HIDランプなどの人工光源の放射光に含まれている。
【0003】そこで、酸化チタンなどの金属酸化物半導
体は、薄膜の形で適当な基材の表面に付着させ、この薄
膜に上記波長域の紫外線が照射されるようにこの基材を
配置して、例えば、基材表面に付着した汚れ物質を薄膜
の光触媒作用によって随時分解除去し汚れがつかないよ
うにする、「防汚」などの目的に利用されている。ラン
プへの応用としては、上記薄膜をガラスバルブ表面に形
成した蛍光ランプなど、照明器具への応用としては、上
記薄膜を前面ガラス表面に形成した道路照明用灯具など
が知られている。
【0004】金属酸化物半導体のうち、酸化チタンは、
最も強い酸化作用を示し(結晶形がアナターゼ形の場
合、バンドギャップエネルギーが3.2eV)、また原料の
入手が容易で安全な物質でもあるので、光触媒材料とし
て最も多く利用されている。酸化チタン薄膜を形成する
には、既知の種々の方法が用いられるが、アナターゼ形
酸化チタン結晶微粒子を、二酸化ケイ素を主体とする結
着剤を含む適当な溶剤に懸濁させて得た液をコーティン
グ液として使用し、ディップ法、スプレー法などにより
薄膜形成することが多い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記コーテ
ィング液から形成した酸化チタン薄膜は、酸性溶液に接
触した場合は何の変化もなく、十分な耐性を有している
が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のイオンを含む
溶液に接触した場合は、酸化チタン薄膜が容易に溶解し
て消失するという重大な欠点があった。
【0006】酸化チタン薄膜のアルカリ金属(アルカリ
土類金属)のイオンに対する耐性については、次のよう
な現象が生じることが知られている。まず、酸化チタン
結晶微粒子の懸濁液から酸化チタン薄膜を表面に形成し
たガラス板試料を6枚用意する。次に、塩化ナトリウ
ム,塩化カリウム,塩化カルシウム,炭酸ナトリウム,
炭酸カリウム及び炭酸カルシウムの各水溶液(いずれも
濃度5重量%程度)を用意する。そして、前記酸化チタ
ン薄膜付きガラス板試料を、それぞれ前記の6種類の水
溶液に浸漬し、常温で放置する試験を行う。すると、約
10時間程度の経過で、アルカリ性の液(炭酸ナトリウ
ム,炭酸カリウム及び炭酸カルシウムの各水溶液、pH
約9)だけでなく、中性の液(塩化ナトリウム,塩化カ
リウム及び塩化カルシウムの各水溶液)に浸漬した試料
についても、液から取り出してみると、液に浸漬された
部分の膜が消失していることが確認できる。
【0007】この現象は、前記酸化チタンコーティング
液に含まれている、二酸化ケイ素を主体とする結着剤が
関係していると言われており、酸化チタン薄膜中の結着
剤に由来する成分が溶液中のアルカリ金属イオンと反応
するためと考えられている。したがって、二酸化ケイ素
を主体とする結着剤が用いられている限り、酸化チタン
薄膜の消失は避けられない。
【0008】一方、酸化チタンのみを成分とする薄膜の
場合は、アルカリ金属(アルカリ土類金属)のイオンが
存在する溶液に浸漬しても、膜が溶解して消失するとい
う現象は起きない。ところで、この酸化チタンのみを成
分とする薄膜は、真空蒸着法、ゾル−ゲル法等、古くか
ら知られているいくつかの方法により成膜することがで
きる。しかしながら、これらの方法による酸化チタン薄
膜は通常、完全な結晶質にすることは難しく、非晶質成
分がいくらか含まれているので、この薄膜の光触媒活性
は、酸化チタン結晶微粒子を主成分とする薄膜に比べて
幾分劣るという欠点を持っている。
【0009】酸化チタン光触媒膜が適用された製品にお
いて、使用時にその光触媒膜部分がアルカリ金属イオン
溶液に接触する可能性は十分にある。例えば、道路トン
ネル用照明器具の前面ガラス表面にこの光触媒膜が形成
されている場合、これら照明器具は多くの場合、トンネ
ル壁に設置されているから、雨水や土壌水がトンネル壁
を構成するコンクリート表面を流れ伝わった際に、コン
クート中のアルカリ金属イオンがこれらの水に溶出し、
これが直接、あるいは飛散する形でその前面ガラスに到
達する恐れがある。そこで、従来はこのような場合に
は、光触媒膜として、アルカリ金属イオンと反応しやす
い結着剤の含有が不可避な、酸化チタン結晶微粒子の薄
膜の使用を避け、ゾル−ゲル法等により形成され、結着
剤を含有せず、酸化チタンのみからなる薄膜を用いると
いう対策が取られてきた。しかし、このとき酸化チタン
本来の、高い光触媒活性は犠牲になっていたのである。
【0010】本発明は、従来の酸化チタン光触媒膜にお
ける上記の問題点を解消するためになされたもので、酸
化チタン光触媒膜について、その高い光触媒活性を極力
低減させることなく、アルカリ金属(アルカリ土類金
属)イオンに対する耐蝕性の向上を図り、この光触媒膜
が形成された部分の表面がアルカリ金属イオンが存在す
る溶液に接触しても光触媒膜が溶解して消失することが
ない光触媒膜付照明器具及び光触媒膜付ランプを提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
め請求項1に係る発明は、透光性カバーガラスの少なく
とも一方の表面上に少なくとも2層以上の多層薄膜から
なる光触媒膜を備えている照明器具において、前記光触
媒膜を構成する多層薄膜は、酸化チタンを主成分とする
2層の薄膜を有し、この2層の薄膜は、前記カバーガラ
スに近い側に配置された酸化チタン結晶微粒子を主成分
とする第1の薄膜と、該第1の薄膜の上に積層して配置
され、有機チタン化合物溶液からゾル−ゲル法により形
成された酸化チタンを主成分とする第2の薄膜とで構成
されていることを特徴とするものである。また請求項2
に係る発明は、ガラスバルブの外表面に少なくとも2層
以上の多層薄膜からなる光触媒膜を備えているランプに
おいて、前記光触媒膜を構成する多層薄膜は、酸化チタ
ンを主成分とする2層の薄膜を有し、この2層の薄膜
は、前記ガラスバルブに近い側に配置された酸化チタン
結晶微粒子を主成分とする第1の薄膜と、該第1の薄膜
の上に積層して配置され、有機チタン化合物溶液からゾ
ル−ゲル法により形成された酸化チタンを主成分とする
第2の薄膜とで構成されていることを特徴とするもので
ある。
【0012】このように光触媒膜を、外側にアルカリ金
属イオンに対する耐性が高い、有機チタン化合物溶液か
らゾル−ゲル法により形成された酸化チタンを主成分と
する薄膜を配置し、この薄膜の下に光触媒活性の高い、
酸化チタン結晶微粒子主体の薄膜を隣接して配置して構
成しているので、十分に高い光触媒活性を保有し、また
光触媒膜面が、例えば建築物の壁等を構成するコンクリ
ートに含まれるアルカリ金属イオンを含んだ雨水や土壌
水に接触しても、膜が溶解して消失することはなく、し
たがって、防汚機能等の本来の機能を長期間保持できる
光触媒膜付照明器具及び光触媒膜付ランプを実現するこ
とができる。
【0013】請求項3に係る発明は、請求項1に係る光
触媒膜付照明器具において、前記光触媒膜を構成する多
層薄膜は、前記透明カバーガラスに隣接して配置された
二酸化ケイ素を主成分とする薄膜を含んでいることを特
徴とするものである。また請求項4に係る発明は、請求
項2に係る光触媒膜付ランプにおいて、前記光触媒膜を
構成する多層薄膜は、前記ガラスバルブに隣接して配置
された二酸化ケイ素を主成分とする薄膜を含んでいるこ
とを特徴とするものである。このように、透明カバーガ
ラスあるいはガラスバルブに隣接して二酸化ケイ素を主
成分とする薄膜を設けることにより、カバーガラスある
いはガラスバルブ中のアルカリ金属イオンの酸化チタン
を主成分とする薄膜への侵入を阻止することができ、よ
り長期間に亘って防汚機能を保持させることが可能とな
る。
【0014】請求項5に係る発明は、請求項1又は3に
係る光触媒膜付照明器具において、前記第1の薄膜を構
成する前記酸化チタン結晶微粒子は、アナターゼ形酸化
チタン結晶の微粒子であることを特徴とするものであ
り、また請求項6に係る発明は、請求項2又は4に係る
光触媒膜付ランプにおいて、前記第1の薄膜を構成する
前記酸化チタン結晶微粒子は、アナターゼ形酸化チタン
結晶の微粒子であることを特徴とするものである。この
ように、第1の薄膜を構成する酸化チタン結晶微粒子の
結晶形として、光触媒作用の最も大きいアナターゼ形の
ものを用いることにより、より一層、防汚機能を保持し
た照明器具又はランプを実現することができる。
【0015】請求項7に係る発明は、請求項1,3,5
のいずれか1項に係る光触媒膜付照明器具において、前
記第2の薄膜は、 200〜400nm の膜厚を有していること
を特徴とするものであり、また請求項8に係る発明は、
請求項2,4,6のいずれか1項に係る光触媒膜付ラン
プにおいて、前記第2の薄膜は、 200〜400nm の膜厚を
有していることを特徴とするものである。このように、
第2の薄膜の膜厚を 200〜400nm とすることにより、長
期間に亘って実用上有効な防汚性を発揮することが可能
な照明器具又はランプを実現することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、実施の形態に基づいて本発
明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。図1は、本発明に係る照明器具の実施の形態
として示す道路トンネル用照明器具の概略正面図であ
る。1は照明器具本体、2は高圧ナトリウムランプ等の
光源、3は強化ガラスからなる透光性カバーガラス、4
は金属製蓋である。透光性カバーガラス3の外表面には
光触媒膜5が形成されている。図2は、光触媒膜5を含
むカバーガラス3の概略部分断面図である。カバーガラ
ス3の外面側から順に、酸化チタン結晶微粒子を主成分
とする第1の薄膜6及び有機チタン化合物溶液からゾル
−ゲル法により形成した酸化チタンを主成分とする第2
の薄膜7が配置され、薄膜6及び7で光触媒膜5が構成
されている。
【0017】光触媒膜5は、照明器具組立て前のカバー
ガラス板31表面に、次に示すようにディップ・コーティ
ング法により形成する。まず、予め表面を十分に洗浄し
たガラス板31を用意し、これを酸化チタン結晶微粒子被
膜コーティング剤「ST−K03」(石原産業株式会社
製、粒径7nmの酸化チタン結晶微粒子を濃度10重量%で
バインダーと共に溶剤に懸濁したもの)の液に浸漬し、
次いでこれを約2mm/secの速度で液から引き上げた。次
に、生乾きのうちに、溶剤を染み込ませた紙等、適当な
手段でガラス板31の片面の液膜を拭き取り、 200℃の乾
燥器で約10分間乾燥させ、ガラス板31の片面に酸化チタ
ン結晶微粒子を主成分とする薄膜6を約200nm の膜厚で
形成した。
【0018】また、酸化チタン被膜コーティング剤とし
ての有機チタン化合物溶液、例えば「GIP−Ti500」
(技研科学株式会社製、チタンキレート化合物を濃度5
重量%で酢酸エチル,エタノール等の溶剤に溶解したも
の)を用意し、この液に、酸化チタン結晶微粒子を主成
分とする薄膜6を片面に形成した上記ガラス板31を浸漬
し、4〜5mm/sec程度の速度で液からこれを引き上げ
た。次に、液膜が生乾きのうちに、溶剤を染み込ませた
紙等、適当な手段で酸化チタン結晶微粒子を主成分とす
る薄膜6を形成した側の反対側の面の液膜を拭き取り、
600℃の乾燥炉で約5分間熱処理し、膜厚約 100nmの酸
化チタン薄膜7を薄膜6の上に積層した。更に、酸化チ
タン薄膜7を形成する上記操作をもう1回繰り返すこと
によって、合計膜厚約 200nmの酸化チタン薄膜7を薄膜
6の上に形成した。このようして得られたガラス板31を
用いてカバーガラス3とし、図1に示す照明器具1を作
製する。
【0019】次に、上記実施の形態に係る照明器具の効
果を確認するために行った試験について説明する。照明
器具1のカバーガラス3の光触媒膜5が形成されている
側のガラス面に、アルカリ金属イオンを含む水溶液を
吹き付ける試験と、エンジンオイル等の汚れ物質を人
為的に付着させる点灯試験を行った。まず、の試験で
は、ナトリウム,カリウム等のアルカリ金属イオンを含
む水溶液(いずれも濃度5重量%程度)を用い、吹き付
け後、そのまま放置して約24時間経過時点で光触媒膜5
の表面を観察したが、いずれの場合も、膜面に若干の変
色が生じていたものの、膜の溶解・剥離は起きていなか
った。また、の試験では、透光性カバーガラス3の外
表面に酸化チタン結晶微粒子を主成分とする薄膜6のみ
を形成した同型式の照明器具と比較したが、両者はエン
ジンオイル等の汚れ物質の消失速度に大きな差がなく、
したがって、照明器具1の光触媒膜5は、十分な防汚効
果を有していることが確認できた。
【0020】本発明を適用した照明器具1における光触
媒膜5は、その膜厚によって有効性が異なる。このこと
を、適当な大きさの光触媒膜付ガラス平板試料片を用い
た実験結果に基づいて説明する。まず、50mm×75mm,厚
さ4mmのソーダ石灰ガラス板を用意し、その片面に形成
する酸化チタン結晶微粒子を主成分とする薄膜6の膜厚
は 200nmで同一とし、有機チタン化合物溶液からゾル−
ゲル法により形成した酸化チタンを主成分とする薄膜7
の膜厚だけを、表1に示す5通りの膜厚とした試料A〜
Eを作製した(同一試料番号で複数個作製)。そして、
これら5種類の試料片について、次の試験を行った。す
なわち、耐アルカリ金属イオン性試験(アルカリ土類
金属を含む):濃度5重量%の試験水溶液に試験片を50
時間浸漬させた後の膜の溶解・剥離の有無の観察、防
汚性試験:紫外線照射による光触媒膜表面の汚れ物質の
付着量の経時変化の測定、可視光透過性試験:膜付試
料片の可視域分光透過率測定、膜硬度試験:鉛筆硬度
測定、密着性試験:テープ試験、を実施した。
【0021】なお、の耐アルカリ金属イオン性試験で
は、試験水溶液として炭酸ナトリウムを使用した。の
防汚性試験では、メチレンブルー(色素)の 0.1重量%
水溶液を汚れ物質として代用して膜面に付着させ、蛍光
灯ブラックライトを用い、45mmの距離から3.2mW/cm2
の照射強度の紫外線(波長 365nm)を試料片に照射し
て、試料片の光吸収率の減少率の経時変化を追跡した。
防汚性の良否の判定は、前記薄膜7がなく前記薄膜6単
独で光触媒膜が構成されている場合と比較して、紫外線
照射開始後5時間経過の時点での光吸収率の減少率が80
%以上の場合を「良」、60%以上80%未満の場合を「や
や良」、60%未満の場合を「不良」とした。の可視光
透過性試験における良否の判定は、分光透過率曲線を総
合的に見て行い、可視域の平均透過率が85%以上の場合
を「良」、75%以上85%未満の場合を「やや良」、75%
未満の場合を「不良」とした。のテープ試験では、剥
離がなければ「良」、若干の剥離が認められる場合は
「やや良」、完全に剥離する場合は「不良」とした。な
お、「光吸収率の減少率」とは、次式で計算して得られ
る数値である。 100 ×{1−(C−A)/(B−A)}〔%〕 A:色素付着前の試料片の光吸収率 B:色素付着直後の未処理の試料片の光吸収率 C:紫外線照射開始後、ある時点での試料片の光吸収率
【0022】上記試験結果は、表1に示す通りである。
また防汚性試験における色素被膜付試料片の光吸収率の
減少率の経時変化を図3に示す。表1及び図3には、比
較のため、この試験で用いているガラス板と同一寸法同
一材質のガラス基板の片面に、前記薄膜6のみで構成し
た光触媒膜を形成した試料片(試料F)及び前記薄膜7
のみで構成した光触媒膜を形成した試料片(試料G)の
試験結果も示してある。なお、表中の膜厚は光触媒膜の
最外側に配置する、有機チタン化合物溶液からゾル−ゲ
ル法により形成した酸化チタンを主成分とする薄膜の膜
厚を表している。
【0023】
【表1】
【0024】光触媒膜の最外側に配置する、有機チタン
化合物溶液からゾル−ゲル法により形成した酸化チタン
を主成分とする薄膜7は、その膜厚が大きくなればなる
ほど、耐アルカリ金属/アルカリ土類金属イオン性が高
くなると考えられるが、その際同時に、光触媒活性の高
い、薄膜7の下に隣接する酸化チタン結晶微粒子を主成
分とする薄膜6の影響が薄れて、光触媒膜の最表面にお
ける光触媒作用が弱まり、防汚性機能が低下していくこ
とが予想される。実際、表1は、本発明の照明器具の透
光性カバーが実用上有効な防汚性を発揮するためには、
前記薄膜7の膜厚が 200〜400nm であることが好ましい
ことを示している。また、膜厚がこの範囲より薄い場合
は耐アルカリ金属イオン性が十分でなく、逆にこの範囲
より厚い場合は、光触媒膜の最表面がゾル−ゲル法によ
り形成した酸化チタン薄膜の元来光触媒活性が不十分で
あるという性質が優勢となり、防汚性が不十分になり、
且つ光触媒膜の着色が顕著になるために可視光透過性が
悪化する、ということも示されている。
【0025】光触媒作用の主たる担い手である酸化チタ
ン結晶微粒子を主体とする薄膜を、有機チタン化合物溶
液からゾル−ゲル法により形成した酸化チタンを主成分
とする薄膜で被覆しても、その膜厚が所定の大きさ以下
であれば、その表面での光触媒作用が低下しないのは、
次のような理由が考えられる。すなわち、純粋な酸化
チタン結晶よりは劣るが、ゾル−ゲル法による酸化チタ
ン薄膜自体にも結晶成分が含まれているため、光触媒活
性があること、酸化チタン結晶微粒子を主成分とする
薄膜の、汚れ物質等に対する静電引力による吸着力が妨
げられないこと、被覆層であるゾル−ゲル法による酸
化チタン薄膜は、数Å〜数100 Åオーダーの空隙を多く
含む微細構造になっているため、下の薄膜が光励起され
て生じる正孔、電子等の荷電粒子がこの薄膜内を移動し
やすいことなどが考えられる。
【0026】以上の説明では、光触媒膜はガラス基板の
片面に形成されているものを取り上げたが、これは光触
媒膜の作用を単純化して説明するためで、本発明に係る
照明器具のカバーガラスの光触媒膜は、両面に形成され
ていてもよい。製造時に両面形成の方が、片面の膜を除
去する手間が省けるので、特にゾル−ゲル法の場合は工
業生産に向いている。しかし、その場合、内側の面の膜
による光吸収のために外側の面の膜の光触媒活性が幾分
低下するという犠牲を伴う。
【0027】上記実施の形態では、透光性カバーガラス
表面に光触媒膜が適用された照明器具を示したが、次
に、本発明に係る光触媒膜付ランプの実施の形態につい
て説明する。この光触媒膜付ランプは、光触媒膜がラン
プ自体に形成されているもので、図4はその一例とし
て、屋内照明等に用いられるメタルハライドランプ11を
示している。12は外球ガラスバルブで、該外球ガラスバ
ルブ12の外表面には、上記照明器具の実施の形態で説明
したものと同一構成の光触媒膜5が形成されていて、同
等の防汚作用を発揮している。13は発光管である。
【0028】上記各実施の形態に関する説明において
は、光触媒膜がいずれも酸化チタンを主成分とする2つ
の薄膜からなり、酸化チタンを主成分とする薄膜が、カ
バーガラス表面あるいはガラスバルブ表面、すなわち直
接ガラス基板表面に接触しているものを示したが、本発
明においては、酸化チタンの光触媒活性を阻害するとさ
れるガラス基板中のアルカリ金属イオンの酸化チタンを
主成分とする薄膜への侵入を阻止するため、例えば、図
5に示すように、この薄膜とガラス基板(カバーガラス
又はガラスバルブ)との間に二酸化ケイ素を主成分とす
る薄膜15を配置して、これら少なくとも3層によって光
触媒膜5を構成してもよい。なお、光触媒作用の主体的
な担い手である酸化チタン結晶微粒子を主成分とする薄
膜6の酸化チタンの結晶形は、この作用が最も大きいア
ナターゼ形であることが好ましい。
【0029】なお、上記実施の形態においては、光触媒
膜を酸化チタンを主成分とする2層膜、あるいはこれに
二酸化ケイ素を主成分とする薄膜を加えた3層膜で構成
したものを示したが、この他に、酸化チタンを主成分と
する薄膜と二酸化ケイ素を主成分とする薄膜とを適宜組
み合わせた層数4以上の多層膜で構成してもよい。
【0030】
【発明の効果】以上実施の形態に基づいて説明したよう
に、請求項1又は2に係る発明による光触媒膜付照明器
具又は光触媒膜付ランプにおいては、光触媒膜は、光触
媒作用の主体的な担い手である酸化チタン結晶微粒子を
主成分とする薄膜を、アルカリ金属やアルカリ土類金属
のイオンに対する耐蝕性の高い、有機チタン化合物溶液
からゾル−ゲル法により形成した酸化チタンを主成分と
する薄膜でオーバーコートしているので、実用上十分に
高い光触媒活性を保有し、且つ光触媒膜面が上記イオン
を含む雨水や土壌水等に接触しても光触媒膜が侵される
ことがなく、長期間に亘って防汚機能を保持できる。請
求項3又は4に係る発明によれば、カバーガラスあるい
はガラスバルブ中のアルカリ金属イオンの酸化チタンを
主成分とする薄膜への侵入を阻止することができ、より
長期間に亘って防汚機能を保持させることができる。請
求項5又は6に係る発明によれば、光触媒作用の最も大
きいアナターゼ形酸化チタン結晶を用いるようにしてい
るので、より一層防汚機能を有する照明器具又はランプ
を実現することができる。請求項7又は8に係る発明に
よれば、第2の薄膜の膜厚を 200〜400nm に設定してい
るので、長期間に亘って実用上有効な防汚性を発揮する
ことが可能な照明器具又はランプを提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光触媒膜付照明器具の実施の形態
の道路トンネル用照明器具の概略正面図である。
【図2】図1に示した照明器具の透光性カバーガラス
の、光触媒膜が形成されている部位の概略部分断面図で
ある。
【図3】防汚性試験において紫外線照射による汚れ物質
の付着量の経時変化を示す図である。
【図4】本発明に係る光触媒膜付ランプの実施の形態の
メタルハライドランプの概略外観図である。
【図5】本発明に係る光触媒膜付照明器具及びランプの
他の実施の形態における光触媒膜が形成されている部位
の概略部分断面図である。
【符号の説明】
1 照明器具本体 2 光源 3 透光性カバーガラス 4 金属製蓋 5 光触媒膜 6 酸化チタン結晶微粒子を主成分とする第1の薄膜 7 有機チタン化合物溶液からゾル−ゲル法により形成
した酸化チタンを主成分とする第2の薄膜 11 メタルハライドランプ 12 外球ガラスバルブ 13 発光管 15 二酸化ケイ素を主成分とする薄膜

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性カバーガラスの少なくとも一方の
    表面上に少なくとも2層以上の多層薄膜からなる光触媒
    膜を備えている照明器具において、前記光触媒膜を構成
    する多層薄膜は、酸化チタンを主成分とする2層の薄膜
    を有し、この2層の薄膜は、前記カバーガラスに近い側
    に配置された酸化チタン結晶微粒子を主成分とする第1
    の薄膜と、該第1の薄膜の上に積層して配置され、有機
    チタン化合物溶液からゾル−ゲル法により形成された酸
    化チタンを主成分とする第2の薄膜とで構成されている
    ことを特徴とする光触媒膜付照明器具。
  2. 【請求項2】 ガラスバルブの外表面に少なくとも2層
    以上の多層薄膜からなる光触媒膜を備えているランプに
    おいて、前記光触媒膜を構成する多層薄膜は、酸化チタ
    ンを主成分とする2層の薄膜を有し、この2層の薄膜
    は、前記ガラスバルブに近い側に配置された酸化チタン
    結晶微粒子を主成分とする第1の薄膜と、該第1の薄膜
    の上に積層して配置され、有機チタン化合物溶液からゾ
    ル−ゲル法により形成された酸化チタンを主成分とする
    第2の薄膜とで構成されていることを特徴とする光触媒
    膜付ランプ。
  3. 【請求項3】 前記光触媒膜を構成する多層薄膜は、前
    記透明カバーガラスに隣接して配置された二酸化ケイ素
    を主成分とする薄膜を含んでいることを特徴とする請求
    項1に係る光触媒膜付照明器具。
  4. 【請求項4】 前記光触媒膜を構成する多層薄膜は、前
    記ガラスバルブに隣接して配置された二酸化ケイ素を主
    成分とする薄膜を含んでいることを特徴とする請求項2
    に係る光触媒膜付ランプ。
  5. 【請求項5】 前記第1の薄膜を構成する前記酸化チタ
    ン結晶微粒子は、アナターゼ形酸化チタン結晶の微粒子
    であることを特徴とする請求項1又は3に係る光触媒膜
    付照明器具。
  6. 【請求項6】 前記第1の薄膜を構成する前記酸化チタ
    ン結晶微粒子は、アナターゼ形酸化チタン結晶の微粒子
    であることを特徴とする請求項2又は4に係る光触媒膜
    付ランプ。
  7. 【請求項7】 前記第2の薄膜は、 200〜400nm の膜厚
    を有していることを特徴とする請求項1,3,5のいず
    れか1項に係る光触媒膜付照明器具。
  8. 【請求項8】 前記第2の薄膜は、 200〜400nm の膜厚
    を有していることを特徴とする請求項2,4,6のいず
    れか1項に係る光触媒膜付ランプ。
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KR20230000297A (ko) * 2021-06-24 2023-01-02 동의대학교 산학협력단 자가 세척능을 갖는 스마트 등기구

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